極上社長と敏腕専務に蕩けるほど愛されています!?
著者:小日向江麻
イラスト:千影透子
発売日:2022年 4月29日
定価:650円+税
有名玩具メーカーを辞めたあやめの再就職先は、玩具は玩具でも、アダルトグッズのメーカーだった!
勘違いから面接を受けてしまったが、『ワクワク感を届けたい』という自分のモットーと、社長である御子柴の熱意に後押しされ未知の世界に足を踏み入れることを決意。
しかし、先輩のアドバイスによって商品の使用感レポートを御子柴に提出することになってしまい!?
羞恥心から早くも躓いてしまったあやめに、御子柴が手を差し伸べてくれた。
「教えてあげますから、レポートに素直に書いてくださいね。いいですか?」
その日からあやめの中で御子柴という存在が大きくなっていく。
一方、御子柴の右腕であやめを親身に気遣ってくれる上司の泉との距離も近づいていた。そんな中、次のレポート商品として渡されたのは……コンドーム――!?
【人物紹介】
来栖あやめ(くるす)
元有名玩具メーカーで働いていた。
『ワクワク感』を届けることを大切にしている。
真っ直ぐで仕事熱心。
御子柴佑(みこしば たすく)
あやめの再就職先、『GAT株式会社』の社長。
がっしりした男前な男性。
腹違いの弟である泉とギクシャクしてしまっていることに悩んでいる。
泉圭佐(いずみ けいすけ)
御子柴の右腕敵存在で、あやめと共に仕事をする機会が多い。
中性的で柔和な男性。
腹違いの兄である御子柴には抱えるものがあるようで……。
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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。
【試し読み】
「御子柴さんっ……くすぐったい、ですっ……」
応接セットの長いソファに組み敷かれた私は、ブラウスから覗く首や鎖骨などに口付けを落とされつつ、膝丈のスカートの裾から手を差し入れられた。そして、ストッキング越しにふくらはぎから太腿までを、フェザータッチでゆっくりと撫でられる。
「甘くてそそられる声だ。もっと聞かせて」
胸に響く低音に促され、私の心臓はドキドキを通り越してバクバクと今にも破裂しそうな音を立てる。
――この状況はどうしたことか。私はなぜ御子柴さんに愛撫されているんだろう。いや。それ以前に、なぜキスを許したのか。考えてみるけれど、こんな状態では思考がまとまるはずもない。
ひとつだけ断言できるのは、嫌ではなかったということ。誰だって、自分が素敵だと思う人とのキスに悪い気はしないものだ。
「ぁ、んっ……」
彼はもう片方の手もスカートのなかに差し入れ、同じように脚を優しく撫でながら、ウエスト部分に辿り着く。そうして、両サイドからストッキングの履き込み口を掴み、足先に向かってするすると下ろして、脱がせてしまう。
「白くて、滑らかで、綺麗な肌ですね」
「ふぅ、ぁっ……」
彼の長く筋張った手が、私の内股を直にするりと撫でた。じわじわと滲むような快感に背を震わせる。
「……例のおもちゃはどこです?」
「っ……?」
唐突な問いに、思わず目を瞬かせる。
「持ち歩いているんじゃないですか? 『メルティベア』を」
「どうして、それを」
「真面目なあなたの考えそうなことです。不本意なレポートに気を揉んでいたのなら、おそらくそうだろうと。……失礼しますよ」
ソファに立てかけるように置かれていた私のバッグを拾い上げると、彼が私にそっと差し出した。私はそれを受け取ると、奥底にしまってあった角型のポーチから、彼が示したクマ型のおもちゃを取り出した。
「もっと触れていたいところですが……本題はこちらなので」
バッグとポーチを再びソファの下に戻すと、私から受け取った『メルティベア』を目の前でチラつかせながら御子柴さんが言った。
御子柴さんからの呼び出しのあとはランチに出ようと思っていたこともあり、たまたまこの部屋に通勤用のバッグを持ち込んでいた。この一週間、レポートは悩みの種だったので、『メルティベア』はバッグに入れっぱなし。それを彼に見抜かれ、発見された形だ。
「この吸引バイブ、何回試しました?」
「……一回、です」
「たった一回?」
私はおずおずと頷く。その一回が鮮烈すぎて、情報収集には十分だと思い、それ以降は使っていない。アダルトグッズによる自慰が初めてだったこともあり、気持ちよすぎて怖くなってしまったのもある。
「もったいない。繰り返し使えば、何度でも上りつめることができるのに。……ということは、あなたはまだ、このおもちゃの真価を知らないわけですね」
御子柴さんがまた喉を震わせて笑う。彼がこんな風に笑うのは、愉快に思っているときなのだろうとやっとわかってきた。
「教えてあげますから、レポートに素直に書いてくださいね。いいですか?」
「はいっ――ん……ふ、うんっ……」
頷くと、再び御子柴さんの唇が私のそれに重なる。二回目のキスは、さっきと違って少し強引。舌先が無防備な唇をいとも容易く割って入ってきて、歯列や口蓋をゆっくりなぞっては舐め上げる。口のなかの弱い場所を刺激され、そこからじんわりと麻痺していくようだった。
御子柴さんはキスしながら『メルティベア』を傍らに置き、私のブラウスのボタンを上から順番に外していく。すべてのボタンを外し終えると、ブラウスの合わせ目を左右に開き、脱がせてしまう。そこから覗くキャミソールをたくし上げ、胸の覆いを露出させる。
「あの……こっちは、関係ないんじゃ……?」
「こっち?」
本来なら、御子柴さんの目に触れることはなかったであろう、パウダーピンクのブラをひと撫でして、彼が訊ねる。
「ですから、その……もっと下のほうに使うおもちゃなので」
直接的な言葉は極力使いたくない。私は言葉を選びつつ、やっとの思いで答えた。
――これではまるで、普通にセックスをするみたいだ。私が現状をどうにか飲み込めているのは、これも仕事であると自分自身に言い聞かせているから。その前提が崩れてしまっては、ますます混乱してしまう。
「なるほど。あなたがどんな風におもちゃを試したのか、よくわかりますよ」
「えっ?」
「いきなり局部に当てた。そうでしょう?」
「……だって、吸引バイブってそのためのものですよね」
「ええ、もちろん。その通りです。でも、より高い快感を得る方法があるんですよ。今から、それを教えますから」
御子柴さんは涼しい顔でそう言ってのけると、応接テーブルの上から香水瓶のようなボトルを取り、蓋を開けた。これは『Melty*honey』の主力商品のひとつである、温感ローションだ。とろみのある潤いをまとえるのはもちろんのこと、肌に乗せるととじんわりと温かくなることと、フローラル系のいい香りがすること、とてもローションとは思えない可愛らしいパッケージが人気を呼んで、常に販売サイトの人気上位にある――と、泉さんから説明を受けた。
彼はボトルの中身を手のひらに取って、私の首やデコルテ、二の腕、脇腹などに伸ばしていく。芳しい花の香りが、鼻腔をくすぐった。
「ん……温かい……ですね」
「肌の水分に反応してるんですよ。自然な温かさでしょう?」
私は頷いた。優しい手つきで塗りこまれて生じる温かさは、人肌のそれだ。そう意識した瞬間、またドキドキが加速する。艶めかしい指の動きとも相まって、まるで御子柴さんと肌を密着させているみたいな錯覚に陥ったからだ。
「それで――いよいよこちらを使います」
言いながら、御子柴さんは『メルティベア』を拾い上げてスイッチを入れた。クマの口にあたる吸引部分が細かく振動を始める。
「あっ……!」
ローションを乗せた首元に吸引部分を当てると、くすぐったいような、もどかしい感触が走る。振動レベルは一段階目、弱いレベルだ。でも微弱な刺激が逆に心地よいというか――はむはむと甘噛みされているみたいで、期待感と欲望とが高まるのを感じる。
「ん、はぁっ……ふ、うぅっ……」
二の腕、デコルテなど、身体の中心から遠い場所から順におもちゃを当てられる。一定の振動を保ったままのそれは、ホットローションをまとった肌を細かく波打たせながら、軽やかで甘やかな刺激を刻んでいく。
性感帯をなぞっているわけではないのに、吐息に興奮が交ざり始める。柔らかな皮膚をちゅくちゅくと音を立てて愛撫するかのごとく、御子柴さんの手に握られた『メルティベア』が、場所を変えながら緩やかな快感を施してくれる。
こんな使い方、思いつかなかった。吸引バイブという名前からして、秘芽を吸い立てるためのものであるという認識でしかなかったので、意外だった。
「吸引できる場所は、局所だけじゃないんです。こうして時間をかけて愛撫されるのも気持ちいいですよね」
「は……はいっ……ふぅ、ぁあっ……」
今まさに考えていることを言い当てられた気がして、私はドキッとしながら頷いた。と同時に、再びデコルテに当てられていたおもちゃが、じわりじわりと胸元まで降りていき、柔い膨らみに到達した。こぼれる吐息が、湿り気を多分に含んだものへ変わる。
「――もちろんここも、気持ちよくできるんですよ」
「ぁっ……!」
両方の肩ひもを外されて、ブラのカップからふたつの膨らみがこぼれた。
「その気になってくれたみたいで、何よりです」
御子柴さんに指摘されて、羞恥心を煽られる。露になった膨らみの先に色付く蕾は、さらなる刺激を待ちわびるようにぷっくりと勃ち上がっている。
咄嗟に胸を隠そうとした手を、彼に払われた。
「言ったでしょう。あなた自身も楽しむべきだ。今は羞恥を忘れて、私に委ねて」
「御子柴さ――ぁ、はぁん……!」
一度『メルティベア』を置いた御子柴さんは、改めてホットローションを手に取り、私の両胸にマッサージをするように伸ばしていく。膨らみを下から支えるような手つきで揉んだり、掬い上げたりする。彼の温もりや温感効果により、じわじわとした温かさが生じて心地いい。
「ふぁっ……!」
彼の両手は次第に膨らみの上のほうを捉え、それぞれの親指で勃起した先端部分を掠める。ローションのついた滑る指先で、そのしこった場所を何度も擦り上げる。
「ぁ、それっ……!」
「触ってほしそうでしたからね。気持ちいいでしょう」
胸の先端に突如与えられる直接的な刺激に、私は何度も首を縦に振って肯定する。
「たっぷり塗ったので、これからもっとよくなりますよ」
彼の言う通り、ローションを丹念に塗布された胸元は、部屋の明かりを反射して、上から水飴でも垂らしたみたいにテラテラと光っている。自分でもすごく煽情的でいやらしい眺めだと思った。
彼はどこか愉しそうにまた『メルティベア』を構えると、膨らみのラインに沿って吸引部分を宛がった。クマはぬるぬるの白い肌を甘噛みしながら、次第に胸の頂へと向かってくる。
「ぁあっ――……!」
白からピンクへと色味が変わる場所に吸い付いたあと、ぱくんとクマの口中に収めるようにして、吸引部分を胸の先に押し当てられる。その瞬間、背中にぞくぞくとした官能的な悦びが駆け抜けた。
「ぁん、ん――これっ……!」
「気に入ってもらえたみたいですね」
私の反応を満足そうに見つめながら、御子柴さんは胸の先を吸引部分に当てたまま、ゆっくりと円を描くようにおもちゃを動かした。
「んぁ、はぁっ、ああっ……!」
先端を咥えられ、軽く吸い立てられているかのような感触だ。ローションで濡れているせいで、吸引部分の動きは、舌先でトリルされるときに似ていて、その淡い快楽に意識を持っていかれる。
「この商品は、もともとどちらにも使えるように開発したんです。そのおかげもあって、ユーザーから好評みたいですね」
「そう、なんですねっ……」
言葉を交わす間も、『メルティベア』はツンと上を向いた胸の先を咥えたまま、微かに振動を続けている。
「振動レベルを上げるともっとイイですよ。試してみましょうか?」
御子柴さんは私の了承を得るでもなく、『メルティベア』の振動レベルを一気に二段階上げた。吸引部分が、それまでよりもパワフルに振動する。
「んはぁっ……!」
胸の先端に小さな花火が散るように、微細でいて甘やかな刺激が迸る。
「ぁん、やぁっ――……気持ち、いいっ……!」
思わずそう声に出してしまうほど、気持ちよかった。舌先で感じやすい胸の先端をころころと転がされている感覚が、休みなくずっと続いている。丁寧かつ人間には不可能な愛撫に、私はすぐに夢中になった。
「こっちの乳首も欲しそうですね?」
もう片方の頂を示しながら、今度はその場所におもちゃを当てる。期待通りの愛撫を得られたことで、官能的な痺れを覚えるとともに、腰がきゅんと疼いた。
「はぁっ、んんんっ……! それ、イイっ……!」
しばらくの間、御子柴さんの手のなかにある『メルティベア』は、私の両胸の頂を行ったり来たりしていた。吸引されていないほうは彼の指先で捏ねられ、また違った性質の刺激を与えられる。
「その顔……すごく可愛いですよ」
御子柴さんに耳元で囁かれて、私は小さく首を横に振った。自分がどんな顔をしているかなんてわからない。きっと、とめどなく襲ってくる快感に支配されていやらしい表情をしているんだろう。
「あなたが悦びに喘ぐ姿、もっと見てみたいですね」
御子柴さんの操作によって『メルティベア』の振動が止まった。それを応接テーブルに置いてから、私のスカートのジッパーを下ろしてしまう。
「そろそろお待ちかねの場所に移ります」
「っ……」
誰がどう見たって、業務の領域を超えている。いよいよ彼の手がスカートに伸びてきたとなれば抗ってもいいはずなのに、私は彼の所作ひとつひとつを見つめ、されるがままになっている。
胸だけでこんなに気持ちいいのなら、もっと敏感な場所を弄られたらどうなってしまうのだろう? そんな好奇心を止められない。
御子柴さんはブラとお揃いのピンク色のショーツの中心をひと撫でして、眉を上げた。
「こんなに濡らして――いけない人だ」
「やぁっ……」
彼に触れられたことで初めて気が付いた。ショーツの布地が秘裂にぴったりと張り付くくらいに、入り口からとろとろとした蜜が溢れている。
――揶揄されるほど反応してしまっているなんて恥ずかしい。堪らずぎゅっと目を瞑る。
恥ずかしいのに、それと同じくらい、さらなる快感を求めて、期待を募らせてしまう自分がいる。現に、身体そのものが心臓になってしまったのではと勘違いするくらい、鼓動はどきん、どきんと大きな音を立てている。
御子柴さんは幾分もったいぶった手つきでショーツを下ろした。それは過剰に丁寧なようにも、私を焦らしているようでもある。彼は私の両脚を軽く開くように動かした。
薄い恥毛を掻き分け、秘裂の両脇に指先を添えて、入り口を剥き出しにする。まだ残暑の季節ゆえに、クーラーの効いた空気が粘膜に触れ、ひんやりと冷たい。ここにはホットローションを塗っていないのに、じんじんするような熱をまとっている。
御子柴さんに大事な場所を見られている。そんな興奮のせいもあるかもしれない。
変化の乏しい彼の表情は、女性の局部の前でも同じだった。微かに目を細めてから、今度は指先で直に触れ、そこに十分な潤いがあることを確認する。そうして、テーブルの上のおもちゃに手を伸ばし、再度スイッチを入れた。振動レベルをこれまでと同じ三段階目に調節する。
「ローションは必要ないですね。このまま――」
「っ――……!!」
言うが早いか、強い悦楽が身体の中心を貫いた。吸引部分がとろとろの愛液に塗れた敏感な突起を吸い上げ、ぶるぶると震えている。
――何これっ……!? 身体の奥に電気が走ってるみたい……!
呼吸をするのを忘れてしまいそうな強烈な刺激。実際に、私は少しの間息を止め、その快楽に感じ入ってしまっていたかもしれない。
『メルティベア』を試したことがあるからこそ、使用感は把握しているつもりだった。けど、全然違う。私が自宅で味わったそれとは快感の程度に差がありすぎる。
「だ、めぇっ……! これ、だめ、ぁ――……私、もうっ……!!」
何かに縋りたくて、おもちゃを操作する御子柴さんのスーツの袖口をぎゅっと掴む。
わずか数秒の出来事だった。私はピンポイントに与えられた鋭利な悦楽によって、高みに押し上げられてしまう。
息を詰まらせ、吐き出したときにはもう開いた足先をぴんと伸ばして突っ張らせ、びくんびくんと震わせて果てていた。何もわからないまま、猛烈な勢いで襲ってきた高波に掻っ攫われた。そんな気分だ。
「あぁ、もうイってしまいました?」
「はぁっ……ぁあ……あぁっ……」
おもちゃに吸われていた秘芽を解放され、御子柴さんにそう訊ねられて自覚する。
――私、イっちゃったんだ。ほんの少ししか当てられてないのに……。
「イった感想、忘れないように訊いておきましょうか」
驚きと絶頂後の余韻とで、浅い呼吸を貪る私に彼が言った。彼の淡々とした声音に、『メルティベア』の作動音が重なって聞こえている。
「気持ち、よすぎて……何がなんだか、わけがわかりません……」
思考する余裕などなく、ありのままを伝えるだけに留まる。以前、確かにこのおもちゃを試したはずなのに、そのときよりも遥かに凄まじい快感が襲ってきたのは、どういうことなのだろうか。
そんな私を見下ろしながら、御子柴さんはあの喉奥を鳴らす笑いをこぼした。
「ちょっとずつ焦らしながら快感を高めていくほうが、より深いエクスタシーを得られるんですよ。覚えておいてください」
「は……はい。次からは気を付けます」
私の疑問は、頭上の彼が解消してくれた。ただおもちゃを試せばいいのではない。どういう風に試すかが重要であるということらしい。別のおもちゃを試すときには、そのあたりの研究も行ってからのほうが詳しいレポートを書くことができそうだ。
「『次からは』なんて、勝手に終わろうとしてます? ……まだ終わりじゃないですからね」
「え……? ぁ、やぁあああっ……!」
御子柴さんはたった今、高みに上りつめたせいでさらに敏感になっている秘芽に、再びおもちゃの吸引部分を押し当てた。『メルティベア』の口が、絶妙な加減の振動とともに私のぐずぐずに蕩けきった秘裂に浮かぶ突起を食む。
「御子柴さん、何してっ――ぁあ、強いぃっ……!」
強すぎる快感は、場合によっては苦痛として感知されるのだと知った。私は反射的に暴力的とも言える愛撫から逃れるべく激しく身体を捩ってみるけれど、私の身体に跨った御子柴さんがそれを許さない。片手で私の動きを制しつつ、もう片方の手でしっかりと秘芽におもちゃを当て続けながら、こう問いかけた。
「吸引バイブがなぜ売れるのかわかりますか?」
「そん、なぁっ……わかんな、っ、ぁはぁ――!」
考える余裕も、答える余裕もなかった。声を発することでさえ精いっぱい。少しでも気を抜くと、声色に媚びた響きが交ざり、意味をなさない叫びを上げてしまいそうだった。
「連続イキできるから、なんですよ」
彼は耳元に妖しい囁きを落としてから、こともあろうか、おもちゃの振動レベルをもう一段階上げた。
「ひぁああっ!?」
それに合わせて、作動音ももう一段階高くなる。よりいっそう激しくなる震えが秘芽を襲う。
「ぁああああああっ……!!」
下半身が溶けてなくなりそうな不思議な感覚がしたと思ったら、瞬く間に二回目の絶頂を迎えた。いや。無理やり絶頂させられたという表現のほうが正しいかもしれない。
無機質なおもちゃは、私の状態を慮ることも、加減をすることもない。定められた強さで吸い付かれ、振動を加えられて――耐えられなくなって、また弾ける。
お腹の奥にぎゅうっと強い負荷がかかったあと、私が達したことを悟った御子柴さんの手が下肢から離れた。と同時に、苦痛のような快感から解放される。
「……来栖さん。可愛いイキ顔でしたよ」
真上から聞こえる御子柴さんの声に、そちらへと視線を向ける。本心の見えない笑みを濃くしながら、彼の唇がゆっくりと近づいてきて、また私のそれに重なった。