S系エリートの後輩くんは、狙った獲物を本気の猛烈愛で射止めたい

書籍情報

S系エリートの後輩くんは、狙った獲物を本気の猛烈愛で射止めたい


著者:太田まりえ
イラスト:ワカツキ
発売日:2023年 9月15日
定価:620円+税

20代最後の夜、文具メーカーに務める未来はバーに来ていた。
そこにいたのは有能な営業部の後輩・玲央だった。
誘われて一緒に飲むことになったのだが、彼の優しさや気遣いに落ち込んでいた未来の心は癒やされていく……。
そろそろ帰ろうと、未来が立ち上がったとき、机上にあった彼女の手帳が落ちてしまい――!?
そこに書かれていたのは30歳になるまでにやりたいことのリストだった。
『②だれかと同衾する』
手帳を拾いあげた玲央に、リストの二番目の項目を見られて動揺する未来。
そんな彼女に先程までの紳士さとは一転した肉食獣のような目で玲央は告げた――。
「だれでもいいなら、俺でもいいですよね?」
二人はバーを出たあと、未来のアパートへと向かうことに……。
普段の様子からは想像もできないほど、甘く意地悪で独占欲すら感じる玲央の愛撫に蕩けさせられた未来は――?

【人物紹介】

香川未来(かがわ みく)
巴文具株式会社の生産管理部に務める29歳。
几帳面かつ心配性な性格。
30歳になるのを機にやりたいことリストを作ったのだが、なかなか最後の一歩を踏み出せなくて――?

成田玲央(なりた れお)
営業部のエリート後輩。26歳。
明るく、社交性が高い性格で、年齢性別を問わず友人が多い。
未来に対しての独占欲はかなり強く、ベッドでは少しサディスティックな一面を見せるようで……!?

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【試し読み】

 ワンルームのアパートに自分以外の人の気配がするのは、初めてのことだ。
 浴室から聞こえてくる水音に耳をすませ、そんなことをぼんやり思っているうちに、どれだけ時間が経っただろう。シャワーを終えて部屋に入ってきた玲央は、ベッドに浅く腰かけた未来を見て、微かに眉をひそめた。
「未来さん……?」
 明らかに異性を感じさせる玲央を直視してしまい、未来は意味もなく自身のバスローブの合わせ目に手をやった。タオル地越しにもわかる鼓動は、間違いなく、今夜だけでもう数えられないくらい人生最速記録を塗り替えている。
「ごめ……私、こういうこと、慣れてなくて……」
 まだ少しだけ水滴が残る肌。ほどよく鍛えられた胸板と二の腕。くっきりと割れた腹筋まで目で追い、黒のボクサーパンツに一瞬だけ視線を這わせて慌てて顔を上げた。
 赤面を隠す間もなく、狭いアパートでやけに存在感を放つ男によって、未来はたちまち距離を詰められる。
「……大丈夫。未来さん、どんなふうにされたい? 優しく? それとも――」
 玲央の湿った肌が未来のバスローブに重なり、そのままふわっと、まるでガラス細工でも扱うかのように優しく抱きしめられる。ベッドの下に膝立ちになった彼は、未来を安心させるようにゆっくりと言葉を紡いだ。
「激しくされるのが好き……?」
 それが癖なのか、玲央はまた未来の顔を覗き込んだ。些細な仕草の意味を一つも見落とすまいとするような熱視線が、――世界でいちばん愛おしいものを見つめるような情欲に満ちた眼差しが、未来を絡め取る。
 どんなふうに? そんなの決まってる。
「できれば、――できれば、成田くんが本当に好きな人とする時みたいにしてほしいの」
 錯覚でもいいから、一度でかまわないから、誰かに大事にされてみたい。本当に愛される感覚を、自分の肌で体験してみたい。
 発言が重すぎただろうか、と不安になったが、玲央は眩しいものでも見るかのように目を細めただけだった。次の言葉を紡ぐ暇もなく、今度は両頬に手を添えられ、額に触れるだけのキスをされる。
 条件反射でまぶたを閉じれば、ほとんど距離を感じさせないくらいの近さで玲央のかすれた声が聞こえた。
「喜んで」
 左まぶた、目尻、左頬、鼻先……と順に玲央の唇が未来の顔を辿る。どこまでもやさしい触れ方に、緊張していた未来の全身から力が抜けた。くたりと玲央に体を預けたことで、理屈では説明のつかない安堵を覚える。
「未来さん、キスされるの好き?」
 唇をかすめ、未来のあごに唇を押し当ててから、玲央が問う。
 ぐわりと揺れてしまいそうになる上体を、彼の力強い手が背中から支えてくれる。
「ん、……好き」
 自分ではないだれかが答えているかのように、遠くの方で声が聞こえた。
(気持ちいい……)
 けれど、一定のリズムで繰り返されていたキスの雨は、ふいに止まった。
「……成田くん?」
 未来の視界に、先ほどまでの穏やかさを捨て去った玲央の顔が映り込む。心なしか彼の顔が赤い。
 視線を真正面から受け止め、玲央はゆっくりと目元をゆるめた。
「いや、好きって言われるの、こんなにクるもんなんだなぁ、と。……それより、名前で呼んでほしいです」
「……名前?」
「そう。玲央って……」
「……玲央、くん? あ……!」
 バスローブの襟元は、玲央の手によって一瞬で大きく開かれた。淡い黄赤のブラに包まれた平均より大きな胸がこぼれ出る。
 巨乳に良い思い出など一切ない。むしろ未来のコンプレックスだ。今まで付き合ってきた元彼たちは、みんな一様に未来の大きな胸を喜んだけれど、同時に、未来への過剰な期待や勘違いもしていた。その多くが、経験豊富そうという安直な思い込みで、現実とのギャップに逆ギレした元カレもいたほどだ。
(経験豊富どころか、思いっきり初心者マークでも貼っておきたいくらいの乏しい経験しかないのにな。でももしかして、成田くんも勘違いしてる……?)
 人生で一度だけ奔放に振る舞ってみよう。そう決めた心が、しゅるしゅるとしぼむのを感じた。
 勝手な言い分を押しつけられ、彼らの理想に届かなかったからと言って、未来が咎められるいわれはない。
 そんな不安を一蹴するかのような甘い感嘆の息が、玲央のかたちの良い唇の隙間から吐き出される。
「未来さん、すごい……きれいだ」
 ガラス細工でも扱うかのような繊細な手が、首筋から鎖骨、鎖骨から胸の谷間へと滑っていく。ブラのレースに触れたところで手は止まり、玲央がもう一度「きれいだ」と呟くのが聞こえた。その声色に嘘もお世辞も微塵も感じられず、今度は不安とは違う理由で身を捩りたくなる。
「ただ大きいだけで、恥ずかしい……」
「だめ。隠さないで」
 無意識に胸元を隠そうとした両手は、あっさりと玲央の手に阻まれた。社内でも随一と言われるイケメンが自分のアパートの一室で跪き、あまつさえ、半裸の自分を食い入るように見つめている。――その非現実的なシチュエーションに、未来の心臓が早鐘を打つ。
「もったいないから、脱がせたくないな……」
 ギリギリ聞き取れる程度の低音は、情欲の気配が濃厚で、彼女の方が蕩けそうになる。
 玲央は宣言通り、薄い布地はそのままにして未来の左胸の頂にかぶりついた。
「ん、ァ! ――ぁあンっ!」
 やわらかな布越しに感じる、熱を帯びたあまがゆい刺激。ゾクゾクでもビクビクでもない、言葉にできないような悦楽が未来の背骨を走り、脳も下腹部も痺れるのがわかった。
(なに、これ……)
 理解が追いつかないのに、本能は素直に快楽を受け入れる。胸への愛撫を受けた経験がないわけではないが、そんなつたない記憶が霞むような丁寧な舌遣いだった。
 焦れるようなもどかしさを不満に思うより先に、玲央は未来の背中に片手を回すと、あっという間にブラのホックを外した。
 ふわっと解放感に包まれた次の瞬間、アプリコット色のブラはあっけなくその役目を終え、大きめの胸がまろび出る。一瞬だけ外気に晒された敏感な突起は、すぐさま玲央の熱い口内に呑み込まれた。
「んん、……ぁ、……やぁっ!」
 左胸の乳嘴が玲央のやわらかな舌でちゅくちゅくと転がされる。嬲られるたびに、甘い電流が走るような感覚で未来の尾てい骨のあたりが痺れる。
「ア、ぁぁあっ――ん、ふッ!」
(だめ、声が出ちゃう……!)
 かたくなった先端をぢゅっと吸われた瞬間、未来は堪えきれずに手の甲で自身の口を覆った。のけぞるようにして身をくねらせた未来に、玲央がやっと唇を離す。
「可愛い。未来さん、すごい敏感だね」
 胸の蕾にフッと息を吹きかけられ、過敏になったそこが微弱な責め苦を受け止める。
 未来が息を殺すのを見越していたかのように、玲央は今度は右の乳嘴に口を寄せた。身構えるよりも前に左の胸は大きな手のひらに包まれ、やわやわとやさしく揉まれる。
「――んんっ! ぁ、っ!」
「右も左もどっちもよさそうだけど、……こっちの方が感じる?」
「んむ、んん……っ!」
 玲央は未来の返事を聞くこともなく、空いた手をそっと脇腹から腰骨に滑らせる。絶え間なく与えられる疼くような刺激と手のひらのくすぐったい感覚に、未来の両目に薄く涙が滲んだ。
(待って、だめ! 気持ち良すぎて……!)
 声に出せない悲鳴を、自身の手の甲で塞ぎ止める。くぐもった声が漏れたことも気恥ずかしい。
(なに、こんな……知らない……!)
 甘やかすような、愛おしむような、優しさに満ち溢れた愛撫。
 玲央の舌はリズムを変えて未来の乳頭を舐め転がし、反応を伺う。同じように、彼の長い指が未来の左胸の飾りをくすぐり弾き、そのたびにビクビクと未来の腰が勝手に震えてしまう。
「ンむ、っ……――ぁ!」
「未来さん、だーめ」
 まるで幼子に言い聞かせるかの如き甘やかな声音と共に、玲央の愛撫は止まった。続きをねだるより先に、彼の熱を帯びた手が未来の手首を掴む。そのままぐいと引っ張られ、未来は思わず不満のあまり眉根を寄せた。けれど、そんな彼女を玲央が真剣な眼差しで見つめ返す。
「未来さん、だめだよ。体に傷をつけちゃ」
(――あ……!)
 声を押し殺すために手の甲に歯を立てた。痛みより、玲央がくれる快感の方が圧倒的で、堪えきれなくて。
 赤くなった薄い皮膚に玲央が唇を寄せる。
「だって、変な声が出ちゃうの……」
 隣室には未来と同じく会社員らしい女性が住んでいる。言葉を交わしたことはないが、仕事帰りやごみ捨てのタイミングで顔を合わせれば会釈くらいはする仲だ。こんな声を聞かれたら、恥ずかしくて彼女の顔を直視できないだろう。
 けれど、玲央はまったく意に介さず、歯型の薄く残る未来の手の甲の部分に赤い舌を這わせる。見せつけるかのような緩慢な動作に、未来はまた目を奪われた。
「我慢しないで。好きな人が出す声なら、どんな声でも聞きたい……」
 チュ、と生々しい水音を立て、玲央が唇を離した。触れられた場所だけが焼けるように熱い。
(好きな人、って……)
 『好きな人とするようにしてほしい』なんてお願いをしたせいだろう。そうわかっていても、妖艶さを放つ男に真顔でそう言われれば、本気にしてしまいそうになる。
 戸惑う未来をよそに、玲央は床に落ちていたネクタイに手を伸ばした。
「また傷をつけないようにしないと」
 こんなにきれいなんだから、と囁くようにつけ加えられ、あっという間に両手首をネクタイで拘束される。祈りをささげるように両手を組んだ状態で自由を奪われたけれど、やわらかな布地のせいか、そういう結び方なのか、痛くはなかった。
「怖い……?」
 少し考え、未来は小さく首を横に振った。玲央の獰猛な目を見れば、恐怖よりも興奮の方が先に立つ。
 誰かに求められ、欲しがられる快感は、未来が久しく経験していないものだった。
「良かった。本当に怖くなったらすぐに外せるよ。でも、これから未来さんをもっと感じさせるから、体に傷はつけないでほしいから少しだけ我慢して」
「成田く、……待っ!」
「玲央。ちゃんと名前で呼んで」
「――っ!」
 玲央は、床から立ち上がり、自身もベッドにのぼると、迷うことなく未来を背後から抱きしめた。そして、脚を投げ出すようにして座ったまま彼女を包み込み、唇を耳元に寄せる。
 すっかりはだけたバスローブでさえ邪魔だと言わんばかりに乱雑に払い除け、玲央はもう一度、未来の胸に両手を添えた。
「すごい。やわらかくて気持ちいい」
「っ、ぁ、……ん、ふ」
 ふたつの小さな突起はそれぞれ玲央の親指と中指につままれ、こよりを作るように捏ねられる。単調な動作の中で、時折、ペースを乱すように人差し指で先端を押され、そのたびにあまりの気持ちよさに脳の奥で光が明滅する。微弱な悦楽は足のつけ根のあたりに蓄積し、次への期待が膨らんでいく。
「や、ぁ……!」
「先っぽをいじられるのが好きなの? ここを指でこすってあげると、未来さんの顔が溶けそうになる」
「んん、っ、――や、玲央くん、そればっかり、しちゃだめぇ……!」
 舌っ足らずな懇願に、玲央は喉奥で低く笑った。背後にいる彼の表情が見えない分、首筋に当たる熱い吐息と声から興奮がひしひしと伝わってくる。
(それに、玲央くんの……すごくおっきくなってる……)
 玲央を椅子代わりにしている状態だ。当然、おしりの下で存在を主張している剛直に気づかないはずがない。
(どうしよう、嬉しい……)
 正直すぎる男の反応に、未来の中で純然たる喜びが湧き上がる。
「だめ……? じゃあ、次はどこを触ってほしい?」
 右耳に直接吹き込まれた、いじわるな質問。からかうように耳たぶを食まれ、ぞわぞわとした感覚に全身の力が抜ける。
 未来の中にあった躊躇が、一瞬で霧散した。
 確認しなくてもわかる。もうとろとろに淫蜜を吐き出しているはずの蜜壺に、玲央の長い指で早く触ってほしくて仕方がない。
「もっと、――もっと下も触ってほしいの」
「もっと下? こっちのこと?」
 玲央の右手が胸から脇腹へと滑る。くすぐったくて身をよじれば、玲央の右手はわざとらしく臍のあたりを彷徨う。
「ん、ぁ……!」
「未来さん……?」
 そこが弱点だと悟ったのか、玲央がゆったりと未来の耳に舌を這わせる。そうしている間も、彼の左手は絶え間なく未来の敏感な胸の蕾を扱き、右手は期待を煽るように未来のショーツの縁をなぞる。
「もっと?」
 甘やかな誘惑の声に、未来は夢中で頷いた。手首を拘束されていなければ、きっともう一秒だって待つことができずに、自慰を始めていただろう。今までに一度も感じたことのないほどの飢餓感に気が狂いそうになるのに、玲央の手で翻弄されるのが気持ちよくて仕方ない。
「もっと、……もっとシて!」
「こんなにきれいな上にエロいとか、ほんと、ヤバイ」
「……ん、んムッ!」
 ぐずる未来を最後まで待つことなく、玲央は一瞬だけ右手で彼女の顎を掴んだ。おもむろに横を向かせ、すぐさま未来の口を自身の口で塞ぐ。直後、玲央の右手は未来の両足を割り開いた。それだけで水音が立ちそうな、濡れそぼった秘処は、喜んで彼の手を受け止める。
「あ、……っ、ん、……アァ!」
 未来の口から、意味をなさない声がこぼれた。
 人生で初めて買ったオープンショーツは、玲央の指先によって難なくこじ開けられた。玲央自身も予想外だったのか、探っていた手が止まる。唇が離れたことに不満を覚える。けれど、もっとキスして、と未来がねだるより先に、玲央は低い声で囁いた。
「未来さん、この下着は自分で買ったの? エロすぎ。こんなの着て他の男をたぶらかそうとしてたなんて、……お仕置きしないとね」
 職場での人懐っこい玲央と全く違う、感情の読めないトーン。ただ、言葉の端々から感じた加虐性に、未来の全身を痺れるような震えが走り、淫猥な期待で秘処がさらに潤むのがわかった。玲央に気づかれたくなくて無意識に足を閉じようとしたが、今度もまた、彼の方が機敏に未来の動きを封じた。その直後、彼は何のためらいもなく未来の秘処に指を一本差し入れた。
「あ、ァんっ、……ああああんんんっ!」
 縛られたままの手で口を塞ぐこともできず、懸命に声を押し殺すが、玲央は未来を観察するかのようにわざとらしく彼女を見つめる。
 未来のものより太くて長い指が秘裂をめくるようにして隘路から引き抜かれる。満たされる喜びを知ってしまった内壁が、さらなる刺激を求めてうごめいた。
「やばい。……めちゃくちゃエロい」
「ンぁ、ゃ、玲央く……抜かないでっ……!」
 喉奥を震わせて低く笑った彼は、左手の親指で胸の先端をやさしく引っかいた。少しだけ痛みのある鋭利な愉悦に、腰が震える。そのせいで、小さなオープンショーツの中で立ち上がっていた淫芽が布地にこすれ、そこからも刺されるような強い快感が生まれた。
(もうダメ……! 我慢できない……!)
 生理的な涙で両頬が濡れる。玲央はますます嬉しげに囁いた。
「指一本じゃ足りないでしょ? 増やしてあげるね」
「あ、ぁあ、……ん!」
 レースの狭間から二本目の指が差し入れられ、その先端は遠慮も容赦もなく未来の敏感な割れ目をさらに押し開く。くちゅ、という湿った淫靡な音が未来の鼓膜を揺らした。
「あぁ、すごい濡れてるね、ここ。未来さん、わかる?」
「わかんな、い……」
 弱々しく首を振った未来を見て、玲央は目を細めた。それが恍惚とした表情にも思え、自尊心をくすぐられる。
「うそつき。ここはすごく喜んでるよ。聞こえるでしょ? 俺が指を動かすたびにぐちゅぐちゅって音がする。それにほら――」
 意地悪に語られる、卑猥すぎる描写。それと共に淫らな襞をぱっかりと二本の指で割り開かれ、玲央の眼前に晒された。
「もっと欲しそうにヒクヒクしてる」
「ン、ふぁ、っ……!」
「あぁ、こっちもぬるぬるだ」
 不意打ちの強すぎる快感に、未来の口から嬌声が漏れた。陰核を指で転がされているのだ、と理解した瞬間、玲央が指の力加減を変えた。とろみを帯びた蜜をまとっているせいか、敏感な淫芽は抵抗もなくなすがままに転がされ、おなかの奥に熱が溜まる。
「あぁぁっ! や、だめぇ……!」
「ん? 未来さん、こっちも弱い?」
 くすくすと歌うような囁きに、未来は夢中で首を振って答えた。
「わかんないの。――あ、ァぁ、それ、ダメぇ……! 気持ち良すぎるからぁ……!」
「参ったな。そんな可愛い顔でダメって言われても逆効果だよ?」
 涙の向こうに微笑を浮かべる端正な顔が見え、心臓を締めつけられるような感覚に襲われる。
「もっとシたくなる――」
 玲央の手が何かを探すように未来のナカを動く。凹凸のひとつずつを慎重になぞっていた人差し指が、偶然、ある一点に触れた瞬間、未来の眼前で火花が散った気がした。
「んんんっ! ぁ、そこ、……なんで……!」
「……あ、見つけた。未来さんの気持ちいいところ」
 確かめるように、玲央が何度もおなか側の肉壁、ちょうどおへその裏側あたりを指で弾く。狭い隘路で彼の指が媚肉をこするたび、蕩けるような気持ち良さが全身に広がる。
「んぁ、っ……、玲央くん、待って! そこ、変!」
「変じゃないよ。大丈夫」
「で、でも……」
「触られたこと、ないの? 自分で触ったことは?」
 きっと顔が真っ赤になっているだろう。ブンブンと大きく横に首を振ると、なぜか嬉しそうな玲央にもう一度「大丈夫」と囁き返される。
 揺らぐことのない、自信に満ちた言葉に安心感を得るけれど、それでも初めての経験への恐怖は残る。
「でも、おかしくなっちゃう……」
「ん、おかしくなっていいよ。本当はえっちな未来さん、すごく可愛い」

 許された。
 認められた。
 受け入れてもらえた。

 心に火がともるような歓喜に襲われた次の瞬間、「可愛すぎて、もっとめちゃくちゃにしたくなる」とワントーン低い声で物騒なことを告げられる。言葉だけでなく態度でもそう告げるかのように、玲央の人差し指と中指は器用にナカの弱いところを擦り、親指が蜜をまとった陰核をぬるりと嬲った。

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