契約結婚するはずが、初恋の御曹司に一生分の最愛を注がれました

書籍情報

契約結婚するはずが、初恋の御曹司に一生分の最愛を注がれました


著者:乃村寧音
イラスト:ワカツキ
発売日:2023年 7月14日
定価:620円+税

高校生の頃からの友人である柊輔に美琴は長い間淡い恋心を抱いていた。
そんなある日、美琴は柊輔から契約結婚の提案をされてしまい――!?
病気の祖母のために結婚を申し込まれた美琴は柊輔への思いから、彼との契約結婚を受け入れることに。
自分への恋愛感情がないであろう柊輔と夜を過ごすために、今度は美琴からある提案を持ちかけた。
それは「お互いに役になりきってシチュエーションプレイをする」というもので……?
提案を前のめりで受け入れてくれた柊輔と、「遠距離恋愛中の二人」としてデートをすることに。
初めて友達の域を超えた扱いにドキドキが止まらない美琴だったが、柊輔の行動やセリフがとても演技のようには思えなくて――!?
「可愛い。ずっと触りたかった……」
柊輔と過ごす甘く優しい一夜に美琴は身も心も蕩けさせられて……。

【人物紹介】

古城美琴(ふるしろ みこと)
家事代行サービスの起業家。28歳。
真面目で頑張り屋な性格。
柊輔とは高校時代の同級生で、当時から淡い恋心を抱いており……?

森部柊輔(もりべ しゅうすけ)
母方の会社の後継者。28歳。
良い家庭でおおらかに育つ。一方で策士な一面も見せる。
友人である美琴に結婚を申し込むのだが――!?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

「きれいだね」
 周囲を見回す。
「かなり、掃除したからね」
「自分で?」
「もちろん。だって今のところ、俺は普通のサラリーマンだからさ」
「でも、いるよ、けっこう。サラリーマンでも、掃除を頼んでくる人」
「……ごめん嘘ついた。本当は、掃除はプロに頼んでるんだ。俺は昨夜、ちょっと片づけたくらい」
 柊輔はいつもの感じになっていて……。
 お互い、ちょっとハッとして、黙り込んでしまった。
(ダメ! 今、素に戻っちゃダメ! 一番ダメなタイミング!)
 ヘリコプターを降りて。リムジンに乗って。わたしたちはここへ来た。
 予想に反して、連れてこられたのはホテルではなく柊輔のマンションだった。
 場所は、かなり都心、というか、京橋。丸の内の会社までは、徒歩で行っていたらしい。これまで来たことがないので、知らなかった。
 大通りに面していたけれど、防音がしっかりしているから、室内はとても静か。白とブラウンを基調とした、落ち着いたインテリア。
 間接照明と、窓から入る月明り、というかビル明かりで、ほの暗い感じ。
 玄関からまっすぐ歩いて正面のリビングに来たから、他の部屋はわからないけれど、3LDKくらいの広さがあるマンションのような気がする。リビングダイニングになっていて、広めのキッチンが併設されている。シルバーの大きな扉はたぶん冷蔵庫だろう。
「えっと……半年前に来たときより、きれいみたい」
「そ、そうか。美琴のために、頑張って掃除したんだ」
「ありがとう」
 かなり無理があったけれど、なんとか雰囲気をシチュエーション通りに戻すため、そのようにふるまった。
(そうよね。無理、絶対に無理。普段の感じだと、ロマンチックな雰囲気になれない)
「飲み物を持ってくるよ」
 柊輔がキッチンの冷蔵庫から缶ビールを二本出してきた。
(うん、飲みたいよね……)
 なんだか素面でいるのは難しい。リビングのソファに並んで座り、お互い無言のままビールを飲み干した。どうやら同じ気持ちなようだ。
「もう一本、飲む?」
「う、うん」
 返事をしながら、頭の中では必死に考えをめぐらせる。こういうとき……久しぶりに会った遠距離恋愛の彼女ならどうする?
 柊輔が持ってきてくれたビールを受け取る。さっき一本飲み切ったせいか、少し気分が落ち着いてきた。お酒が入ったほうが落ち着く、というのは変かもしれないけれど。
(遠距離恋愛の彼女なら……彼に久しぶりに会えたら……)
 恋人同士のはずなのに、ソファに並んで座っているのに。二人の間には不自然な隙間があった。とりあえず、それを詰める。
 ぴたり、と体を寄せると、柊輔が一瞬、ビク、としたように思えた。そしてその直後、ふ、と息を吐き、肩に手を回してきた。
「やっと……会えたね」
 優しい声。ホッとして、
「うん、うれしい」
 そう言いながら、柊輔の膝に手を乗せる。
 少し緊張しながらも、さらに体の力を抜き、もたれかかった。すると柊輔がこちらに体を向け、顔を寄せてきた。
 唇が重ねられた。温かい。下唇を軽く挟んで、次に上唇も。唇の合わせ目をそっと舌でなぞられ、入り込んで来る。ちらりと歯茎を舐められ、歯と歯のへと差し込まれ、そんなことをされているうちにすっかり我慢ができなくなったわたしは、自分から舌を絡めてしまう。
「ん……ふ」
 次第に、押されるように、そしてすこし引っ張られたりもして、わたしはソファに横倒しにされ、柊輔が圧し掛かってきた。
(あ……)
 キスに没頭しながらも、一瞬、ちょっと慌てた。開けてはいけない扉を開けてしまった感じ。
(ダメ、我に返っちゃ。わたしは今、彼女なの!)
 柊輔への想いが溢れそうになり、自分で自分を叱咤する。彼女なんだから、柊輔とのセックは初めてではないのだ。だから、もっと普通に……と思っていたら。
「……あのさ。いいの、本当に」
 一瞬唇が離れ、耳元で囁かれた。遠距離恋愛の彼女ではないわたしに、確認している声だった。
「うん、いいの」
 わたしもできるだけ冷静に答える。
「ごめん俺も男だから……途中でダメって言われたらちょっと……」
「言わないよ」
 決意を込めてそう言うと、ぎゅっと抱きしめられた。
 再び、濃厚な口づけ。さっきよりもさらに深く、舌が滑り込んで来る。舌の根元まで探られ、吸い上げられる。唾液の絡まり合う音が、ぴちゃぴちゃと、静かな室内に響いている。
(柊輔って、こういうキスする人だったんだ……すご……)
 わたしだって別に処女というわけでもなく、少しは経験があるのに、それどころではないという感じ……。激しい。
 犯されてるみたい。何度も舐めては吸い上げられ、閉じることができない口の端から、唾液が垂れてしまう。息が上がってきた。
 少し苦しく感じ、柊輔の胸に手を当て押し戻すようにしたけれど──やめてくれない。逆に手首を掴まれ、押さえつけられてしまった。唇が離れ、柊輔はワンピースのポロネック部分の前ボタンを外し始めた。
(あっ……)
 柊輔はどちらかというとわたしとの行為に引き気味なんだと思っていたから、次々と強引に進められていくことにわたしはひたすら驚いている。気持ちは追いついていかないのに、体だけが反応しているみたい……。
 ピンク色のレースのブラジャーは、一番のお気に入りを着てきた。ショーツもお揃いのものを身につけている。でも、それが露わになると、やっぱり恥ずかしい。
(やだ。胸、見られちゃう)
 望んだのは自分なのにびくびくして、逃げたくなる。
 柊輔が着ていたジャケットを脱いでそのへんに放った。ベルトも外す。そんな姿も、もちろん初めて見る。柊輔はインナーのTシャツも脱いでしまった。
(あっ……)
 胸の高鳴りがどんどん激しくなる。細身だけれど程よく筋肉がつき、びしっと引き締まった柊輔の上半身は、つい見とれてしまうほどカッコいい。肌もすごくきれいだ。
 見下ろされ、スカートを捲られ、ストッキングとショーツを同時に引き下げられた。柊輔はどちらかというと真剣な表情。
「あ……」
 思わず身を捩ったけれど、すぐに押さえつけられた。脚を膝で割られる。柊輔は真剣な表情。
「あぁっ……」
 思わず、小さな声が漏れた。
「邪魔……」
 柊輔が小さくつぶやき、今日買ったばかりの超お高いワンピースを乱暴にたくしあげ、わたしに腕を上げさせて、スポンと脱がせてしまった。ついでにブラジャーもはぎとる。
(わ……こんなにいきなり、全てを見られてしまうなんて)
 こうなることはわかってはいたものの、なんだかやはり緊張してきた。
(リラックス、しなきゃ)
「がんばるから」
 柊輔がつぶやいた。このつぶやきは、役柄になり切ったものか、本人のものか、判別しづらい。わたしは役柄と受け取った。久しぶりだから、がんばる……という意味。
「うれしい。好き……」
 自分のセリフが正しいのかいまいちわからないけれど、とりあえずつぶやくと、これはOKの意味に決まっているからか柊輔の手がわたしの乳房に触れた。
 身体のわりに大きいと言われる胸。柊輔にはどう見えているのだろう。少しでもセクシーに見えていればいいのだが。
 乳房を揉みあげられる。
「可愛い。ずっと触りたかった……」
 優しい、甘い声。
 これもまぁ、半年間我慢していた、という意味なんだろうか。
 触れられた瞬間からゾクゾクしていて、すでに乳首が固くとがっているのがわかる。その先っぽに柊輔が優しく口づけをした。
「あ……」
 キュン、とお腹の奥がひくつく。出口に向かって大量の蜜が降りてきているのがわかる。だんだん何も考えられなくなっていく。
 胸の先に、ぬめぬめとした柔らかい柊輔の舌を感じる。その舌はコリコリと乳首の先を嬲った。
「あんっ……」
 気持ちよさに仰け反って、身を捩る。
「やっ……あ、あぁぁ」
 柊輔が与えてくれる刺激がさらに強くなる。舐めるだけでなく吸い上げられ、それは両方の胸に行われた。
「可愛い声だね。もっと聞かせてよ……」
 両ひざに手が入れられ、持ち上げられる。
「やぁっ」
 脚が大きく開く。秘所が、柊輔の目の前にさらされる。それだけではない。
(は、恥ずかしいっ)
 ふうっ、とそこに息を吐きかけられた。
「あぁっ!」
 恥ずかしさと期待で、体の奥がきゅうっとした。キスでスイッチが入ってしまったわたしの体。それなのに──。
「あ、あ、それヤダぁ!」
 悲鳴を上げる。びちゃ、と音がして柊輔がわたしのそこに口づけし、舐めたから。
(シャワーも浴びてないのに!)
「あ、あ、あぁぁ」
 思わず声が出て、脚に力も入ってしまう。すると。
「力、抜いて。可愛いよ、すっごく可愛い。大好きだから……舐めさせて」
 言葉は優しいのに、抵抗できない力でぐいっと開かれた。
 ぬちゅ。くちゅ。びちゃ。粘ついた水音。蜜口の周りの、花びらや粘膜を丹念に舐められる。大事なものを慈しむ感じで……。尖らせた舌を蜜壺にそっと差し入れてきて、体の奥から降りてきている蜜を、舐めとっている。
「いっぱい出てるね。うれしい。美琴の蜜、甘くて美味しいよ……」
 声がいつもと違う。ちょっと掠れたような響き。
「ん……ふ……」
 感覚がすべて舐められている箇所に集中してしまう。息が上がってしまう。
「は……ぁ、う」
 指だ。人差し指を柊輔が内部を確認するように差し入れた。
「ちょっと固いね。半年間、抱いていないからかな?」
 セフレがいたのは一年以上前だから、半年どころではないけれど……。オナニーはしていても、セックスがしばらくぶりなのは確かで、体が忘れ始めていたのかもしれない。しかしこれは設定の話だ。
 どうせ柊輔とつきあえるわけじゃないから、と思っていい加減な男女関係を繰り返していたけれど、まさかこんなことになるなんて。
(もし柊輔に抱いてもらえるってわかっていたら、きっと処女を守っていたのに。あ、でもそんなの、この場合、柊輔はうれしくないのか……慣れていて、やりやすいほうがいいよね)
 ちょっとしゅんとしながら、曖昧にうなずく。
(なんでもいいや。だって今、現実に抱いてもらえているんだもん)
 その喜びに集中しよう。
「じゃ、もっと濡らしてあげないとね。ここは……どんな感じなの?」
 ちゅっ、と花芯に吸い付かれた。
「ひぁっ!」
 刺激が強すぎて、体がビクンと痙攣する。
「お。反応がいいね。ここ、気持ちいいんだね?」
 反応するとわかったからか、柊輔は舌で花芯の両サイドを丹念に舐めあげ、次に唇に含んで吸い上げ、そのまま先で花芯を嬲った。
 こんなの、我慢できるわけがない。
「あっあっ、あぁぁぁっ」
 強い刺激と快感に、体がバタついてしまう。それを抑え込みながら、柊輔はさらに続けている。やめてくれる感じはない。
「いっ、いやぁっ、ひっ、あ、あぁぁぁぁ」
「クリが膨らんできたよ……どうする? このまま少し、焦らされたい?」
 意地悪な言葉。返事なんかできない。
「いや……あ、あぁ、も、もぉ……だめぇ」
 弄られ、じわじわと、どんどん熱くなっていくわたしの体。花芯の快楽で、体の奥に信号が送られる。大量の蜜と一緒に子宮も降りてくる。熱く膨らみながら。
 蜜口も、膣壁も、奥も。どんどん熱っぽくなっていく。
(こんなの、初めて……)
 セフレとの適当なセックスにこんな熱さは感じなかった。ぜんぜん違うのだ。好きな人とするセックスというのは。気持ちも体も同時に熱くなっていく。初めて知った。
 でも、それは今、言えない。そういう設定じゃないから……
「あっ、ふ、ふぁぁっ。あ、だめっ、あ、もう、あぁぁ……」
 花芯を責められながら、さらに指が二本に増えている。内側をほぐしている感じ。さっきよりも水音が大きい。蜜が増えているから……。
「すっごい、濡れてる……」
「もう、やめて、だって、だって」
 真っ白になっていく思考に縋りつきながら、柊輔に話しかけた。
「だって、どうしたの?」
「だって、イっちゃうぅぅぅ」
「だめ。もうちょっと我慢しようか」
 柊輔が少し笑いながら言う。
「もう、無理い……」
「マジで? じゃあ、とりあえずイっておきますか」
 膣壁の中。恥骨のちょっと上側。柊輔はわたしが感じる箇所をすでに押さえていたみたいで……そこを押し上げながらジュッ、と花芯を吸い上げた。
「……くっ、あぁぁぁぁぁっ!」
 ぎゅうっと奥まで引き絞られ、弾けた。ひくひくと花芯付近から奥まで痙攣する。奥からは蜜が溢れ、全身は汗でびっしょり。
「いっぱいイけたね。良かった。美琴、すっごく可愛い……」
 柊輔の声が、蕩けそうに甘い。
(わたしだけイッちゃった……。こんなつもりじゃなかった気がするんだけど……)
 視点が定まらない。ぼんやりしてしまう。額にキスされた。そして。
「あ……」
 抱き上げられた。お姫様抱っこ。
「じゃ、ベッドに移動しますか。俺の──奥さん、でいいんだよね」
(お、お、奥さん?)
 奥さんなんて言葉、自分には似合わないと思っていた。それなのに、そう言われて微笑まれて、ドキドキが頂点に達してしまった。今死んでも後悔はないくらいの歓喜。
(わたしったらどうしちゃったの。絶対にいつものわたしじゃない)
 あまりのうれしさに、返事もできない。ただひたすら柊輔を見つめていると、柊輔も愛しそうに見つめ返し てくれた。
 柊輔に抱き上げられて向かったのは、リビングの奥のドアを開けた先。そこに、ベッドがあった。
 かなり大きいベッド。キングサイズだと思う。グレージュっぽい色合いでまとめられたリネン類は、ピシッと整えられてとても清潔感がある。
(プロの仕事だな)
 一目見てわかった。
 わたしの会社は主に小田急線沿いの家庭が主戦場なので柊輔に頼まれたことはないけれど……。夫婦共働きが増えた現在、気分よく生活するために家事をアウトソーシングするのはとても合理的な選択だ。その分、別のことをすればいい。
 ベッドを見てちょっと緊張が走った。それをごまかすために、ぎゅ、と柊輔に抱きついてみた。
 そっと降ろされ、すぐに圧し掛かられ、額や頬に何度もキスされた。そして唇を塞ぐみたいに、しっかりとキス。
(大好きな彼女には……柊輔はいつも、こんな風にしていたの?)
 想像するとちょっと切ない。でも、考えても仕方ない。
 唇の合わせ目をなぞるように開かれる。入り込んで来る舌を迎え入れて、こちらからも絡める。
 太腿や脚の付け根に、柊輔の熱く昂っている固いモノが当たる。
 わたしは全裸で、柊輔は上半身裸だったけれど、いったん体を起こしパンツやボクサーショーツやソックスを脱ぎ捨ててしまった。わたしもなんとなく体を起こす。
(あっ……)
 初めて目にする柊輔のモノは、すでにガチガチで大きくなっていて──こんな大きいの入るかな? と少し怖くなった。柊輔は避妊具をつけた。
「あーヤバい……」
 柊輔がつぶやく。
「どうしたの?」
「興奮しすぎてる、俺……」
 設定のセリフなのか本当にそうなのか、全く判別がつかない。実際に、すごく臨戦態勢だし……。興奮しているのは本当には違いないけど。
「わたしも……」
 そうつぶやくと、ぎゅっと抱きしめられて、倒された。
 両膝を広げられ、濡れた窪みを確かめるように柊輔の指先が彷徨う。すぐに熱く硬いモノが入り口にあてがわれる。
 ぐうっ、と先端が蜜口に押し込まれた。大きいので、膣壁が圧迫される。つい喘いでしまう。
「あ、あ、あぁ」
 さらに押し入れられ、浅い部分で少し抜き差し……。じゅぶじゅぶと音がする。
「柊輔……」
 思わず名前を呼ぶと、キスされた。そして。
「うれしいよ。愛してる……」
 その言葉と共に、ズン、と最奥まで打ち込まれた。

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