肉食警察官は熱い情欲を止められない

書籍情報

俺を夢中にさせるなんて 現行犯逮捕!!!

肉食警察官は熱い情欲を止められない

著者:皆原彼方
イラスト:南国ばなな
発売日:8月28日
定価:630円+税

見た目と性格のギャップのせいで恋愛にいい思い出のない怜美は、目が覚めると合コンで知り合った警察官の因幡と一糸まとわぬ姿で手錠に繋がれていた!?
昨晩の記憶をおぼろげにしか覚えていなかった怜美は取り乱すが、どうやらプレイの一環ではめてしまったらしい。
さらに鍵は手元になく、しばらく一緒に行動しなければいけないという事態。
特殊な状況下で怜美は素のそそっかしさを全開に見せてしまうが、
そんな失敗すら「かわいい」と甘やかしてくれる因幡に、怜美の心はざわめくのだった。
「会って数日の男の言葉じゃ信用できないか?」
手錠によって物理的に結ばれたふたりは、一緒に過ごすうちに心も近づいていって――。

【人物紹介】

塩原怜美(しおはられみ) 営業の仕事をしている26歳のOL。右利き。 クールビューティーな見た目で周りからは「デキる女」と思われているが、性格はそそっかしくて素直というギャップがある。 父親が警察官のため、警察という職業に憧れがある。

因幡晃(いなばあきら) 交番に勤める26歳の警察官。左利き。 一見、一匹狼のような他人を寄せ付けない雰囲気を持つが、 怜美のそそっかしい部分や抜けているところを、からかいつつも笑って受け入れる優しい性格。

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【試し読み】

「……今すぐ色気のないこと言えたら見逃してやれるけど」
「え、や、なに」
「なに、じゃない。分かるだろ」

 彼の唇が、うっすらと笑みを浮かべる。それは今までに見た、少し甘くて柔いものとは違って、こちらを甚振りたいという欲望が形になったものに見えた。喉がぐっと絞まるような感覚。転がり落ちるように濃密さを増していく空気は、ひどく甘くて、自然と呼吸が浅くなっていく。
 ここで素知らぬふりを続けるには、私は大人になりすぎていた。因幡さんが何を言いたいのか、私に与えられている選択肢が何なのか、手に取るようによく分かる。『まずいぞ』という警告が今まさに現実のものとなろうとしているのだ。
 因幡さんの気を削ぐようなことを言えたら、この雰囲気は今すぐに消え失せる。私が嫌だと言ったり、そういうつもりじゃなかったと言ったりしても、きっと彼は止まってくれるだろう。じっとこちらを見つめてくる、確かに劣情を孕んだ瞳。三時間前に会ったばかりの相手だから、酒精に目が眩んだのかは判別がつかない。でも十中八九そうだ。お酒に酔って、いい気分で、そこそこ楽しく喋った女が据え膳よろしく自分のベッドにいるので、そういう気分になりました。きっとそういうことだ。
 ただ、酒精に目が眩んでいるのは私も同じで、――――酩酊したままの思考は『いいんじゃないか』なんて言い出してしまう。

「言わなくていいのか」

 するりと伸びてきた手が、頬から顎にかけてを丁寧に撫でた。愛玩動物を愛でるように、何度も何度も。そのたびに肌がぴりぴりと痺れて、触れられたところが燃えるように熱くなる。体温が上がったせいで、一度引いていた酩酊感が急速に回り始めた。
 少しはましになっていた思考力が、あっという間に低下する。理性がなくなってしまえば、残るのは本能だけ。
 この人にもう少し触れられてみたい、なんて浅ましい本能だ。

「ん……っ」

 身体の主導権が本能とアルコールに明け渡された瞬間、因幡さんの指先が耳朶を掠め、甘ったるい声が漏れた。それに微かに息を呑んだ彼が、そのまま指先を輪郭に沿って下ろしていく。顎、喉、鎖骨、――――濡れた胸元。はあ、と息を吐いた瞬間、また一段空気の温度と粘度が増したような気がして。

「……これでも一応、何もしないつもりだったんだけどな」
「説得力、ないね……?」
「誰のせいだと思ってんだ」
「わたし」
「正解」

 ふ、と柔らかく笑った因幡さんが、そのままゆっくりと姿勢を低くしていく。緩慢に下りてくる唇に、期待でうなじがぞくぞくと震えた。悪戯好きらしい指先が、ブラウスの上から膨らみの裾野を引っ掻く。もう呑み込めないほどに、空気がどろりと甘く濁る。

「俺は……据え膳もチャンスも見逃してやれるほど、品行方正でもねえから」

 それに、『大丈夫』な男だと思われっぱなしじゃ困るしな。
 甘ったるく吐き捨てた彼の目が、笑みの形に歪んだのを見た瞬間、唇に柔いものが噛みついた。彼の唇は熱く乾いていて、私のものよりも大ぶりで薄い。そんな差をまざまざと感じられるほどに深く、深くまで口付けられる。むしゃぶりつくようなキスは、ちゅ、うう、とひどい音を立て、私を耳からも責め立てていった。

「ふ、ぅ……っん、」
「ッは、……ちゅ、ん、酒の味すんな……」

 ああ、キス、しちゃった。
 濡れそぼった舌はひどく熱い。喉を鳴らして笑った因幡さんは、妬けるぐらいにはキスが上手だった。
 奥側から手前にかけて、私の舌をきゅ、きゅ、と締め上げて唾液を啜って。上顎のつるりとした段差を舌先で巧みにくすぐって。呼吸ごと奪うかのように咥内を好き勝手に掻き回されて、――――ただでさえ鈍くなっている頭が酸素を失う。ぼんやりとし始めた意識の中で、因幡さんの体温と、身体をまさぐるその手の感触だけがひどくはっきりとしていた。

「ん、ぁ……っいなば、さ、」
「な……これ、ん、何の味だ……?」
「ン、んんっ……ワイン、かなあ、」

 彼の舌が、味を確かめるように私のそれを舐めしゃぶる。はしたない水音と共に、舌の上で色んなお酒の味が混ざり合って、より強い酩酊感が頭を揺さぶった。美味しいというわけでもないのに、もっとたくさん欲しくなる。もっともっと、深くまで酔ってしまいたい。けぶる視界の中、因幡さんが少しだけ唇を離して、誘うように舌を垂らした。

「ん、」

 どろっとした瞳が微かにたわんで、私を唆す。分厚い、男の人の舌。そう思うとお腹の奥がぐんと重くなるような感覚がして、――――気付けば私は、それにちゅうちゅうと吸い付いて、ウイスキーの苦味の残滓に酔いしれていた。因幡さんの大きな手のひらが、褒めるように私の後頭部をくしゃくしゃと撫で回す。こんな厭らしいキスなんて、したことない。社会人になって一人遊びばかり上手くなった私にとっては、キスはいっとう気持ちよくて、興奮する行為の一つだった。
 色んなものに追い立てられて、ふわふわして、ぐらぐらして、何も分からなくなっていく。アルコールと快感に溺れていく。ただ私を蹂躙する因幡さんの熱い吐息が、唇から首筋へと移ったのを微かに知覚した。

「塩原、ばんざいしろ」
「ん? うん……?」
「よくできました。……これ、外すぞ」

 甘い声音が私を褒めそやし、ぐっと低く掠れて耳を打つ。
 熱く艶やかな唇が剥き出しになった肩に押し当てられて初めて、ブラウスを剥ぎ取られたことに気付いた。ついでのように淡い色合いのインナーとブラジャーも脱がされ、火照った身体がぶるりと震える。因幡さんはそれらをぽいと後ろへ放り投げると、私の両膝の辺りを太腿で跨ぐようにして圧し掛かってきた。
 柔い膨らみが支えを失って、とろりと形を失くしていく淫靡な過程を、因幡さんの苛烈な視線にじっくりと見守られる。ぎらつく肉欲と酩酊が交互にちらつく瞳は、見ているだけで私の背筋をぞくぞくと粟立たせた。お腹の奥がきゅ、うう……っと疼いて、隘路に蜜が染み出し始めるのを確かに感じて。

「っ、ぁ……」
「ハァ、っ……やらし、」
「ゃ、ぁあっ!」

 揶揄するような吐息が胸元を掠めた瞬間、先ほどまで私の唇と睦み合っていた舌が、膨らみの先端に食い付いた。熱くぬるつく感覚にびくんと腰が跳ね、背筋が反る感覚。蕾は扇情的なキスによって既に膨らみ始めていて、彼の咥内に招かれた途端、さらに厭らしく張り詰める。蕾だけではなく、ふっくらとした薄紅色の乳輪までが、彼の大きな口に覆われていて、――――それ理解した瞬間に、私はこれから何をされるのかをはっきりと悟った。
 ちらりと上げられた視線が、私を射抜く。ふ、と目元を甘く残酷に緩めた因幡さんが、きつく、蕾と乳輪を吸い上げた。

「ひゃ、ぁあっ……ッ!」

 口に含まれただけのときとは、比べ物にならないほどの衝撃。幼く未熟な、浅い絶頂だった。
 ぴんと爪先まで伸びた足に力が入り、意識が一瞬途切れる。ぱち、ぱち、とショートの火花が瞼の裏に散って、――――シナプスの接触が直るよりも早く、反対側の膨らみが彼の手に優しく鷲掴みにされる。
 合コンの席で見惚れた骨ばった指が柔い肉に沈んで、その形をめちゃくちゃにしていくのを、私は法悦にどっぷりと浸かりながら見つめた。指先は捏ねるようにばらばらに動いてみたり、根本から蕾のほうへ搾り上げるように力を加えてみたりと、多彩な愛撫で私をなぶる。膨らみの中にある芯が、男の手で力強く揉まれてじんじんと疼いた。

「ぁ、ああっ、ぅ、因幡さ……っ」
「ン……ッは、ここ、こりっこりになって……」

 はあ、と熱っぽい溜息が膨らみを滑り落ち、鳩尾を撫でた。先ほどの横暴を詫びるかのように、ちゅ、ちゅう、と甘ったるく蕾を吸われる。舌のざらついた部分が蕾の側面や天辺を丁寧に磨いていくのが堪らなく気持ちよくて、口の端からはつい涎が垂れてしまう。

「あっ、ふぁ、あ……ン、っあ、」
「ん……かりかりされんのも、好きだろ」
「ッう、んんっ……!」

 反対の蕾は、短い爪でかりかりと丁寧に掻きむしられた。爪の先が不規則に天辺の段差をほじくり、たまに叱るように、きゅっと抓られる。根元から搾るように引っ張って、揉みながら扱いてみせる。淫靡で執拗な、胸への愛撫。そこで生み出された重く甘い快感はお腹の奥にどんどん溜め込まれ、未だショーツに包まれたままの秘部をたっぷりと潤ませていった。無意識に膝頭を擦り合わせ、太腿をきゅう、と締めて身悶えると、因幡さんがぴたりと動きを止める。ちらりと視線を私の顔へ遣ったのち、ゆっくりと蕾を解放した。
 先ほどまでの清楚ぶった薄紅色から、ふしだらな赤に染まった蕾が、久しぶりの外気にふるりと揺れる。彼の唇との間に、銀色のとろりとしたアーチがかかって、やがて膨らみの上に卑猥なラインを描いてみせた。

「ふ、……あま、」
「ぁ、ン……甘いの……?」
「ああ。……お前の肌、甘くて、頭がおかしくなりそうだ」

 きっと私は今、すごく情けなくて蕩けた顔で彼を見上げているのだろう。
 頭の奥底にほんの少し生き残っていた、素面のときの私が囁く。クール系で、一匹狼っぽくて、ツッコミは入れてくれるけど低体温な因幡さんが、何かすごく厭らしいことを言っているような気がする、――――『肌が甘い』なんて、ただの猥雑な単語よりよっぽど淫靡に聞こえるって。
 一度そう思ってしまえば、もう彼の言動の全部が厭らしいような気がして、私の思考がぐつりと煮崩れた。素面のときの私は塗りつぶされ、今晩はきっと二度と戻ってこない。腰の奥がずんと重くて、ひくひく震えて、早く熱を与えてほしくて堪らなくなる。

「あー……クソ熱い……」

 ばさりとシャツを脱いだ因幡さんが、汗で湿り始めていた前髪を掻き上げる。ぎらついた瞳は完全に据わっていて、昏く甘やかだ。均整の取れた身体。浮き出た腹筋と、その下を想起させる腰の厚みに、尾骶骨がじんと痺れたような気がした。

「塩原も、下脱ごうな」
「うん……」
「そう……そのまま腰上げてろ」

 因幡さんの手が、スカートのホックを器用に外す。恭しく腰と太腿を抱え上げられ、ショーツごと取り払われてしまえば、もう私を守ってくれるものは何も無くなってしまう。ショーツでせき止められていた蜜が、とぷりと溢れて会陰を濡らす感覚。因幡さんが一つ瞬きをして、ゆるりと雄くさく口角を上げた。

「……もう、こんなに濡らしてんの」

 どうりで腰が揺れてると思った。
 私の痴態をなじるように、揶揄うように因幡さんが笑う。酩酊した頭が反論を思いつくよりも先に、その指が垂れた蜜を掬い上げて、ほろりと口を開けている秘所へと押し戻した。泥濘の浅瀬に潜り込んだ指先は硬く、私の指とは比べ物にならないぐらい太い。骨ばって節くれだつそれが、ずりずりと媚肉を掻き分けて沈んでくるのを、私は爪先でシーツを引っ掻きながら甘受する、――――ああ、自分の指でするより、ずっとずっと気持ちいい。
 指はしばらく蜜壺の入り口の狭さを愉しむように揺らめいて、次いで温かに潤んだ奥まで穿っていった。指の質量に押されてとろみが零れ、因幡さんの指や手のひらをべっとりと汚していく。襞をこそぐように指の腹で撫で擦り『かたち』を確かめる動きは、今から自身を迎え入れる膣の検分をしているかのようで、その淫猥な仕打ちに隘路全体が震え、指を健気に食い締めた。

「あっ……ぅ、んぁ、」
「は、ッ……奥までとろっとろにしてるくせに、めちゃくちゃ締まる……っほら、また、」
「んん、ぁ、だって……」

 きゅ、うう、と再び搾るように締まる内壁に、因幡さんの声が劣情に掠れた。顎から伝い落ちた汗が膨らみの下辺りに落ちて肌を灼く。蠕動するような動きは完全に意識外のことで、揶揄されたって止められるものではない。だから私はそのままふしだらな反応を曝け出し、蜜路の具合の良さを彼に教えてしまうのだ。当然彼もそれには気付いていて、くちくちと指を抜き差ししてはふやけた粘膜を苛めていく。
 締まるくせに溶けている、というのは、昔付き合っていた人にも言われたことがある。これ自体が男の人にとっていいことなのかはよく分からない。
 分かるのは、今から私を抱こうとしているこの男が、――――私の身体に、ひどく興奮してくれているということだけだ。

「っん、また、締まってる……」
「ッは、ァあっ、ぁ、そこ、」
「な……これ、酒のせい? それとも……お前がやらしくて、えっちなせい?」

 なあ、どっちだよ、――――卑猥な言葉で私を追い詰める彼が、指を二本に増やして、襞の粒を丁寧に掻きむしる。二本の指が水かきを起点に、淫路を広げるように開いていく。くぱ、という卑猥な音。開かれた壁から、とろ、と垂れ落ちる粘液。躾けられている感覚に、眩暈がするほど興奮した。
 私の中は久しぶりの侵入者に従順で、浅瀬は指の根本を食んでは緩むを繰り返し、奥のほうは愛撫によって素直に形を変えてしまう。私はあえかな嬌声を上げ、ろくに答えを返せないまま、因幡さんにぐずぐずに蕩かされていくだけ。

「まだ指二本しか入れてねえのに……こんなんで、俺の、上手に呑み込めんの?」

 揶揄をまぶした声音に下を見れば、因幡さんが私を真っ直ぐに見つめていた。私しか見えていない、こちらを一心に求める瞳。理性のない剥き出しの欲望。それらに晒された肌がひりつくと同時に、どろっ、と胎奥が蕩けた。今の私は、この人に激しく求められているのだ、――――その自覚が、私をもっと深いところへと堕としてしまって。

「できる?」
「っん、ン、できる、ぅ……っ」

 悲鳴のような降伏宣言に、彼の喉が鳴る気配がした。いい子いい子と褒めるように、彼の指が浅瀬の腹側をくちゅくちゅと撫でまわす。少しふっくらとした、蜜壁の弱点。押し込んでみたり、引っ掻いてみたりとそこに淫虐を加えられると、くん、と腰が勝手に浮いて刺激を強請るように震えてしまう。浅瀬で受けた快感を注ぎ込まれた胎奥は、壊れた蛇口のようにこんこんと愛液を垂れ流して、果てが近いことを私と彼に知らせていた。

「ッは……じゃあ、一回イこうな?」
「あっ、ぁ、は、ひう……っ」
「一回イッて、もっととろとろになったら、挿れてやるから……っ」

 落ち着いた声が、語尾にハートマークがつきそうなほどに甘ったるいものへと化けた。
 一度蜜口から抜け出た指が、三本になって戻る。浅瀬の弱点まで何とか分け入ると、指先を鉤状に曲げて、そのざらついた天井をぐぐっと押し上げてみせた。瞬間的に襞がきゅんと締まり、呆れるほど正直に、そこが『好い場所』なのだと征服者に伝えてしまう。当然、因幡さんがそれを見逃すはずもなく、彼は唇を舐めてうっそりと笑うと、激しくそこを突き上げ始めた。

「ひ、ッア、ああっ!」
「ッ……ああ、すげ……ン、」

 ぐ、ぐっ、ぐり、と断続的に、一定のリズムで。弱点を押し潰す手を止めないまま、熱い溜息を吐いた因幡さんがこちらに覆いかぶさり、再び膨らみにしゃぶりついた。膨れた蕾をねっとりと舐め上げ、吸い付いて、甘噛みをして、たっぷりと味わったら反対側の蕾へ。ふかふかの乳輪、まろい膨らみ、ぷっくりとした蕾。それら全てが赤い歯型にどんどん汚されていく。ただでさえ許容以上の快楽を注がれているところに、先ほど散々弄ばれた場所への淫虐だ。耐えられるはずもなく、私は喉を晒して喜悦に浸る。
 口淫に翻弄されている上も、手淫で乱されている下も、どこもかしもひどい水音を立てていた。因幡さんによってぐしゃぐしゃに蹂躙された身体は、もはや私の管理下にはない。まるで彼が望む通りに反応し、果てへと昇り詰めていくだけの淫らな人形のようで、――――でも、私はそれに抗うどころか、それを理解することすら危うかった。

「あっ、あ、や、っやぁ……っイく、イくの、因幡さ……っ」
「ッ……! ハ、ほんっと、最高……」

 興奮からか、彼の語尾が荒く掠れる。膨らみを弄ぶのをやめた唇が、今度は耳朶に甘噛みを施す。つぽ、と耳孔に舌を捻じ込まれて、たっぷりの唾液で愛撫されると、ぞわぞわとした性感にうなじが粟立った。

「な、さっきはいいって言ったけど……俺に挿れられて、本当にいいのか……?」
「っや、ぁあッ、んっ、なに……」
「イッたら、俺のがここに、」

 ――――はいっちゃうから、な。
 すり、とおへその下を厭らしく撫で上げられると同時に、太腿に硬く熱いものが押し付けられる。それがスラックスの下で猛々しく育った彼の屹立だと気付いた瞬間、私の隘路はそれを食い締めるさまを夢想した――――
 きつく締まる蜜壺を、まろく肥えた切っ先がずりずりと穿ち進む。張り出した笠の段差が襞をこそぎ、甘く熟れた粘膜を掻きむしる。指でかわいがられているところも、丁寧に抉って。とろっとした蜜に歓待されながら沈んでいく剛直は、幹まで太く充溢していて、蜜口の淵を戻らないほどに広げてしまう。やがて奥まで辿り着いたそれは、秘された壁を穿って私を圧迫感でいっぱいにする。とん、とん、と機嫌を窺うように小突いたあと、窄まりの先に入れてくれと強請るように、ぐりぐりと壁を押し上げて、――――

「ぁ、あ……っ」

 ぞくぞく、した。
 夢想だけで、信じられないほどの悦楽が私の身体を這い上がる。そんなものないはずなのに、精神が勝手に快楽を受け取って、食い締めるもののない隘路をひどくひくつかせた。はあ、と熱っぽい呼気が耳孔に吹き込まれ、がくんと腰が跳ねる。爪先が激しくシーツを掻く。ぎゅうう、と快感が胎の内側に引っ張り込まれるような感覚。
 ほとんど想像だけで果てそうになっている私を見て、因幡さんは満足そうにへその下を引っ掻いた。

「良さそう、だな」

 悦の滲んだ声音が最終通告だった。打ち震える私の身体へ、指が激しく追い打ちをかける。淫壁をひときわ強く刺激しながら、親指で押し潰したのだ、――――蜜口の上でふるふると震えていた、真っ赤な花芽を。

「じゃあ、――――ほら、イけよ…ッ」
「ッい、ぁ、ァああっ……~~~~!」

 ぐるんと視界が回って、ただ甘ったるい因幡さんの声だけが耳から脳髄を貫いて。そこでばちんと音がして、生き残っていた回路が一気に落ちたのが分かった。切り裂くような、鋭い快感に傷つけられて、じゅわ、と胎奥が蕩ける。信じられないほどの多幸感。どっと血液が逆流し、暴れる心臓がひどい音を立てる。全身に攣るほどの力が籠り、不随意に筋肉が震えた

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