初心な上司を篭絡するために猛烈な溺愛で蕩けて啼かせたい

書籍情報

初心な上司を篭絡するために猛烈な溺愛で蕩けて啼かせたい


著者:藍川せりか
イラスト:夜咲こん
発売日:2023年 3月31日
定価:620円+税

両親からお見合いを勧められた七瀬はとても乗り気だった。
なぜなら、相手は前から好きだった上司の本郷聡史だからだ。
そんな彼とお見合いだなんて、人生最大のチャンス。
これを逃すわけにはいかないと意気込んでやってきた。
絶対にうまくやってみせる!と思うものの、プライベートな話をしようとするとすぐにシャットダウンされてしまう。
仲良くなりたいのに、なかなか踏み込めない。でもそんな彼が好き!と惹かれていて……。
「惣田さんは別の相手を探したほうがいい。今日は時間をとって悪かった」
どんな言葉も謙遜としか受け取ってもらえず相手にしてもらえない七瀬、一体どうする――!?

【人物紹介】

惣田七瀬(そうだ ななせ)
好奇心旺盛な性格、前向き、若さゆえ失敗を恐れない猪突猛進型女子。
ちょっとミーハーなところも。
ガチムチで男らしい男性がタイプで、本郷のことを気に入っている。

本郷聡史(ほんごう さとし)
七瀬の上司。
若くして仕事ができるため、異例の昇進を遂げている。
ガタイがよく、男らしいが女性とはあまり話さない。
業務以外のことはあまり話さず、いつも寡黙に仕事をしている。

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【試し読み】

 私は今まで付き合った人に浮気されたことも、酷い扱いを受けたことはないけれど、きっと本郷さんの立場だったら、同じように傷ついてしまうだろう。
 そして恋愛に対しても、結婚に対しても、前向きになれないはず。また同じような思いをしたくないと気持ちにセーブをしてしまうかもしれない。
「こんな話聞いても湿っぽくなるよな。ごめん、忘れて」
「いいえ、大丈夫です。本郷さんのこと、もっと知りたいから、もっといろいろな話を聞かせてほしいです」
 きっと上司と部下のままだったら、こんな話をすることはなかっただろう。本郷さんが抱えている悩みとか、過去とか、もっと知っていきたい。
「私……浮気なんて絶対しません。お金目当てでもないし、嘘もつきません」
「え?」
「言葉では何とでも言えると思いますが、今はまだ言葉で伝えることしかできません。これから、本郷さんの目で確かめてほしいです」
 ずっと本郷さんだけが好きだ。
 優しいところも、厳しいところも、頼もしいところも、寡黙なところも、全部。
 まだまだ知らないところもたくさんあるだろうけど、それも全部好きになる自信がある。
 昔の彼女みたいに本郷さんの家柄とか、お金とかが目的とは思わないし、本郷さんが無一文になって、借金をしたとしても、それでも好きでいられる。
「気づいていると思いますが、私は本郷さんが好きです。元カノさんとか、周りにいる女性とは違うってところ、本郷さん自身の目で確かめてください」
「惣田さん……」
 こんな早々に告白をするつもりじゃなかったけれど、私が真剣だということを伝えなきゃという思いに駆られて言ってしまった。
 先週に朝まで過ごしたことも、生半可な気持ちじゃない。好きだからしたこと。誰でもよかったわけじゃないと分かってほしい。
「変なものを使って強請ってここまで呼び寄せて申し訳なかったですが、それくらい本郷さんのことが真剣なんです。きっとこれくらいしないと、本郷さんは私のことを意識してくれませんでしたよね?」
 まっすぐに彼を見つめて話すと、本郷さんも思いに応えるようにじっと見つめ返してくる。
「だから、チャンスをください。私のことを見極めるための時間を作ってほしいです」
 一緒に過ごしてみて、ダメだと判断されたらしつこくせずに諦めるから――と伝えた。
 一生懸命思いの丈を伝えきると、しばらく沈黙が訪れた。
 わぁぁ……沈黙が怖い。でも、ここで返事を焦っちゃダメだ。本郷さんもいろいろ考えているんだろうし。
 様々な不安が渦巻きながら、彼の返事を待っていると、彼は静かに口を開いた。
「……分かった」
 そ、その返事は……私の提案に承諾してくれた?
 私にもう少しだけ見極めるための時間を作ってくれるってこと……だよね?
「本郷さん……!」
 拒まれなかったことが嬉しくて、私は彼の体に飛びつく。
「そ、惣田さん……っ、こら」
 彼の首に手を回して、ぎゅううっと抱き着くと、本郷さんは慌てだす。まだ私との時間を作ってくれることに承諾してくれただけなのに、もう付き合うことになったみたいなテンションでいるものだから困惑しているっぽい。
「七瀬って呼んでください」
「ダメだよ、もし会社で呼んでしまったら大変なことになるから、変な癖はつけられない」
「ええーっ。大丈夫ですよ」
 いつまでも「惣田さん」と呼ばれるのは寂しい。少しでも親密になりたいから、名前を呼んでほしいとお願いする。
「お願い、本郷さん」
 彼の太ももの上に乗って、首に手を回しながらおねだりするけれど、彼は顔を背けて拒否を続ける。
「だめだって……」
「じゃあ、キスしてもいいですか?」
「えっ――」
 驚いて正面を向いた瞬間の隙をついて、ちゅっと素早く唇を奪う。
「惣田さん!」
「だって……この前は酔っていたから。ちゃんと素面のときに、私のキスを感じてほしくて」
「――――っ」
 やられた、と悔しさと照れの混ざった複雑の表情を浮かべる本郷さんが可愛い。
「本郷さん、好きです」
 もう一度、ちゅっとリップ音をたてながら口づける。
 彼の頬に手を添えて、何度も唇を重ねていると、だんだん体が熱くなってきた。触れ合うだけのキスじゃ物足りなくなってきて、触れ合わせる時間が長くなってくる。
 拒否することなく、私にされるがままの本郷さんをいいことに、私は彼の唇を割って舌を挿入した。
「……っ、ん」
 本郷さんの舌は熱くて甘い。
 いくら絡ませても物足りなくて、もっとほしくなる。口づけを続けていると、彼から熱い吐息が漏れて、このキスを喜んでくれていることが伝わってくる。
 控えめにしか動かない彼の舌も愛おしくて、私がもっと愛したくなって、つい激しくしてしまう。
「そ……だ、さん……」
 そろそろ止めよう、と言い出しかねない本郷さんの声に、私は最後の一手を出す。
「本郷さん。これ……消してほしいんです、よね?」
 テーブルの上に置いていたスマホを手に取り、私たちがベッドの上で横になっている写真を見せる。
 そう、今日ここに呼び出したのは、この写真を消してほしければ、私の家に来てくださいと脅したからだ。
「う、うん……」
「じゃあ、もう一度エッチしてください」
 この前は酔っていて、私が一方的に襲っただけだ。彼の記憶の中に残っているのかどうか定かじゃない。ちゃんと私がどういう人なのか見極めるのなら、こういうこともちゃんと見てほしい。
「それは、無理だよ」
「どうしてですか? 私のこと、女性として見てくれる時間をくれるって言ったじゃないですか」
「そうだけど……それは、こういうことをするんじゃなくて、もっと――ほら、あの……」
 健全なデートをして、会話をして、仲を深めていこうって?
 もちろん、それも大事なプロセスだとは思うけれど、体の相性だって大事なことだ。
「デートもしたいですけど、エッチもしたいです。本郷さん、私のこと、全部見てください」
「でも、こういうことは、ちゃんと付き合っている人とするべきで」
「じゃあ、これは何ですか?」
 私の太ももに当たっている彼の股間を手で撫でて、彼を責め始める。言葉ではそう言うけれど、体はしっかり反応している。
 今日はこの前みたいに、私がグイグイいくんじゃなくて、ノーマルな感じでいこうと思ったのに、本郷さんが逃げ腰だから、こうなるしかなくなる。
「そ、それは……」
「本郷さんのここは、したいって思っているんじゃないですか? 硬くなってますよ」
 あああ、こんなこと言ったら嫌われるかもしれないのに。
 もっと可愛らしい女性でいたいのに、本郷さんを目の前にすると、いつもこんな積極的になってしまう。
 大丈夫かな、と不安になるけれど、私が強気に出ると、本郷さんが困った顔をする。その表情が可愛くて、もっと困らせたいと危ない加虐心が湧き出てくる。
「部下の家に呼び出されて、上に乗られて興奮してるんじゃないんですか? 本郷課長」
 役席名で呼ぶと、彼の股間が更に反応した。
「挿れてくれたら、消去しますよ。簡単なことでしょ?」
「でも……」
 鍛えられた逞しい彼の体を撫でて、誘惑を続ける。耳元で甘い囁きをすると、本郷さんの体の力が抜けていくのを感じた。
「私たちの職場が同じだから心配しているんですか? 大丈夫です、私、誰にも言いませんから。それに、私たちはお見合いしたんですよ。お見合い相手と仲良くすることは、悪いことじゃありません」
 だから、ね? と、甘い言葉をかけ続けながら、彼のウエスト部分のボタンを外す。ファスナーを下ろして、ボトムスを脱がせようとすると、本郷さんは腰を浮かせた。
 拒否されなかった。……よかった。ってことは、もしかして続けてもいいのかな?
「本郷さんは、こうやって責められるのが好きなんですか?」
「そういうわけじゃ……」
「そうかな? すっごく興奮しているように見えますけど」
 ボクサーパンツを太ももあたりまで脱がせると、膨張した屹立が天を仰ぐ。苦しかった場所から解放されて更に大きくなった気がする。
「従順な本郷さん、可愛いです」
「あ……っ」
 屹立を握って上下に擦ると、彼の腰がビクンと大きく震えた。体もさることながら、ここも比例して大きい。この前よりも鮮明に見える彼の大事な部分を見つめて、私も更に興奮していく。
「どうしますか? エッチして画像消去するか、しないか」
 本郷さんの口から「する」と言わせたい願望のある私は、その答えが聞けるように誘導していく。
 屹立を指先でなぞって鈴口から溢れた蜜を先端に塗ると、そのたびに彼の腰が震えて感じているのが伝わってくる。
「ねぇ、どうします?」
「どう……って……。……っ、はぁ……」
 部下とこんなことを何度もしてはいけないのに、という理性と、感じる場所を触られて気持ちよくなってしまっている本能で揺れている本郷さんが愛おしい。
 普段真面目で、寡黙で、仕事熱心な上司が乱れている姿を見ていると、私のほうが欲情してくる。
 もっと乱したい、もっと理性を壊したい。
「挿れる? 挿れない?」
 彼のものを扱きながら、耳元で質問を続ける。形の綺麗な耳にそっと囁いたあと、舌で舐めてみた。
「私は、挿れてほしいです。本郷さんとのエッチ、すごく気持ちよかったから」
 恥を忍んで、全力で誘惑する。
 淫乱な女だとか、痴女だと思われても仕方ない。だって私、本郷さんとどうしてももう一度したい。酔った勢いの一度きりにしたくないから。
「写真、どこかに流出したら困りますよね?」
「……っ」
 本郷さんの太ももの上に乗りながら、私は自分のデニムを脱いで、ショーツ姿になると、上のTシャツは着たままの状態で下半身だけ下着姿になった。
 そしてそのショーツをずらして、彼のものを私の蜜口へと近づける。
「惣田さん……!」
 待って、と腰を引く彼に負けじと私は腰を押し付けた。愛撫されていないのに、蜜で潤っているそこに彼のものを押し付けるといやらしい蜜音が鳴る。
 きっと本郷さんの屹立に愛液が移って、ぬるぬるになっているに違いない。
 すぐそこに本郷さんのものがあると思うと、興奮が止まらない。
「もしバレたら、私たちが付き合っているって、噂になっちゃいますもんね?」
 それは困るでしょう? とジワジワと追い詰めていると、本郷さんが口を開いた。
「……する……」
 返事が聞こえているくせに、私は聞こえなかったような顔をして彼を見つめる。
「今、何か言いました?」
「するから、絶対に消してくれ。……それと、ゴムを」
 完堕ちした彼の返事に満足した私は、ベッドの傍に準備していたコンドームを彼に渡した。それを受け取った本郷さんは、下半身に手を伸ばして手早く自身に装着する。
「挿れるよ」
 切羽詰まったような切ない声色でそう囁かれて、私の胸は大きく跳ねる。ほしくてほしくてたまらなかったものが、ようやく手に入る――その喜びで、それだけで嬉しくて仕方ない。

 彼の太ももの上に乗っていた体を持ち上げられて、彼のものが私の中にゆっくりと入ってくる。中を伺うように少しずつ蜜を絡ませながら、じわじわと侵食されていく感覚に震える。
「あ……っ、ん――」
 閉じていた内側をこじ開けられていく。
 その間も、本郷さんの頬やフェイスラインにキスをしていると、彼の顔がこっちに向いて口づけられた。
「んんっ……」
 本郷さんからキスしてくれた!
 それが嬉しくて、無我夢中でキスに溺れた。お互いの舌を大胆に絡ませながら、濃厚な口づけを繰り返して極上のキスに夢中になっている間に、私たちは最後までしっかりと繋がった。
「あ、っ……はぁ……」
 苦しいほどにこじ開けられた感覚が愛おしい。愛撫されていないのに、彼のものを全部飲み込んで、中がどんどん熱くなっている。
「本郷さん、好き」
 そう告げると、彼のものが私の中で更に大きくなった気がした。苦しいほど押し開けられているのに、更に質量が増して苦しい。だけど、それが気持ちよくて癖になる。
 中を擦られるといい場所に当たって、すぐに達してしまいそう。
「ほ……ごさん……っ、気持ちい……っ」
 向かい合って座っている状態で、下から力強く何度も押し上げられる。そのたびに繋がった場所から淫猥な音がして、蜜が溢れていることに気づく。
 繋がっている間、何度も彼の頬や耳に口づけて、好きだと行動で伝える。言葉でも行動でも示したい。私がこんなに本郷さんのことを想っているのだと気づいてほしい。
「惣田さん……」
 全力で好きと表現していると、本郷さんは私の顔を見つめてから口づけた。情熱的なキスをしながら、体は燃え上がるように熱くなっていく。
「ん、んん……っ! ん、ぅ」
 息を惜しむくらいのキスをしながら、接合部を揺さぶられると、体は一気に昇り始める。
「本郷さん、好き……!」
 好きだって気持ちを隠さなくてよくなったから、何度も好きだと伝える。すると、彼は私の体を抱きかかえてベッドへ移動した。
 繋がったまま上から見下ろされて、息が止まりそうなほどドキドキする。すぐに首に手を回してキスをねだると、彼も応えるように唇を重ねた。
「惣田さん……」
 甘い声色で名前を呼ばれたあと、唾液が零れるのも気にせず夢中でキスをしていると、抽送が激しくなってくる。
 この体勢……気持ちいい。
 この前にしたときは、常に自分が優位だった。本郷さんが泥酔していたから仕方なかったのだけど、相手から攻められていると求められているようで嬉しい。
 いつも自分が過ごしている部屋で、大好きな人に抱かれている――そう思うと興奮が止まらなかった。
「ほ……ん、ごうさん……気持ちい、ですか……?」
 私を見つめている表情は、冷静そうで感情が読めない。こんなに気持ちいいと思っているのも、喜んでいるのも私だけなのだろうかと不安になって聞いてしまった。
「ん……気持ちいい、よ」
「よかった」
 私がホッとしたら、本郷さんの表情が少しだけ緩くなった気がした。少しだけ隙のあるところを見られたようで、新しい一面にときめいてしまう。
「いっぱい気持ちよくなってください」
「……っ」
 私を感じてほしい。私がどういうものなのか、見定めてほしい。そして気に入ってほしい。私がほしいと思うほど求めるようになってほしいのだ。
 そんな願いをこめて言葉にしたのだけれど、本郷さんは表情を隠すように俯いた。
「そういうこと、言うのは……よくない」
「え?」
 聞き取れないほどの小さな声がして、何を言ったのか気になったところで、彼の動きが一気に加速していく。私の中をくまなく知ろうとする強い動きに襲われて、嬌声を上げることしかできなくなった。
 お腹の奥が……熱い。
 肌と肌のぶつかる音が激しくなって、快感に身を委ねるしかなくなる。頭の中が真っ白になって意識が薄れていく。
「……も、ダメ……っ、本郷さん……!」
「――っ、出すよ」
 その言葉のあと、彼から全てを貰おうとする本能的な動きで蜜道が強く彼を締め付ける。そのあとすぐに、彼の動きがより一層激しくなって、私たちは同時に果てたのだった。

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