絶倫敏腕社長な幼なじみと秘密の関係を ~抑えられない新婚夫婦の求愛~

書籍情報

絶倫敏腕社長な幼なじみと秘密の関係を ~抑えられない新婚夫婦の求愛~


著者:戸瀬つぐみ
イラスト:千影透子
発売日:2022年 2月25日
定価:620円+税

ウェブデザイナーとして働き、自他共に認める社長派である文乃にはある秘密があった。
それは文乃が由緒正しい飛鳥井家の一人娘であること。
そして、彼女が熱い視線を向ける社長――恭平の一族は、飛鳥井家に使える家令だということである。
家を出て独立しつつも、「普通のOLとして社会に出てみたい」という文乃の願いを叶えてくれた恭平に、文乃は密かに想いを募らせている。
しかしそんな平和な日々を壊すかのように、両親によってお見合いが計画されていると知った文乃は、玉砕覚悟である決意をして――!?
「わかりました。では、結婚しましょう」
その日から、文乃と恭平の関係は「社長と社員」「主と従者」でもなく「夫と妻」に一気にステップアップしてしまう――!?

【人物紹介】

飛鳥井文乃(あすかい ふみの)
遡れば華族にあたる、由緒正しい飛鳥井家の一人娘。
普段は普通のOLとして生活している。
恭平のことが幼い頃から大好き。

高塚恭平(たかつか きょうへい)
代々、飛鳥井家に使える高塚家の一人息子。
現在は家を出て独立している。
昔は文乃に思うところがあったようで……?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

入れ替わりで、恭平のシャワーを待つことになった文乃は、そっと寝室の扉を開けた。
「あれ?」
 数日前の引っ越し準備で、この先のクローゼットに衣類を持ち込んだ時にもここに入ったが、その時とは何かが違って見えた。
 ベッドが変わっているのだ。以前はセミダブルのベッドがそこにあったが、今は存在感のあるキングサイズに替わっている。
 文乃と一緒に寝るために、買い替えてくれたのだと解釈し、一気に鼓動が高まっていく。
 文乃はベッドに上がり、その中央にぽつんと正座して待機した。
 防音性の高いマンションの一室は静寂に包まれていて、シャワーの音もほとんど聞こえてこない。
 恭平の私生活など知らないから、彼が入浴にどれくらいの時間をかけるのか予想がつかない。文乃にとって待っている時間は、少し長く感じられた。テレビも付けず、スマホも手にせず、ただ黙ってそこにいたからだ。
 ルームウェア姿になった恭平が現れたのは、それから二十分後くらいだっただろうか。
 洗い立ての髪は、まだ少し湿っていて、それがなんとも色っぽい。本人はさっぱりとした顔をしているのに、文乃は目があっただけで落ち着かなくなる。
「お待たせしました」
「あの……恭平、これからよろしくお願いします。……それと、ごめんね」
 文乃は緊張を隠して、ベッドに近付いてきた恭平に向かって、正座をしたままお辞儀をした。
「なぜ文乃が謝る必要があるのか、理解しかねます」
 ベッドに上がってきた恭平に、無理矢理上を向かされる。彼の顔はわずかに不機嫌だった。文乃が謝ったことが気に入らなかったらしい。
「だって……私の都合に巻き込んでしまったから」
「俺も望んでしたことです。……それより、足、痺れませんか?」
「う、うん、そういえば」
 文乃が足を崩すと、確かに痺れていた。
 恭平がその足首を掴んで、痺れがやわらぐように伸ばしてくれる。そして、文乃の足の甲に口付けをしてきた。
「恭平……」
 触れられた場所が、熱くなる。愛おしそうに文乃の足を撫でながら、恭平は熱を帯びた瞳を向けてくる。
「夫婦らしいことを、しましょうか?」
 不敵に笑った恭平を前に、文乃はただこくこくと頷いた。二人は間違いなく今夜男女の関係になる。そう確信し、嬉しさのあまり泣いてしまいそうになった。
 頬と耳が、熱を持っている。きっと今文乃は真っ赤な顔をしているのだろう。思わずそれを隠すように覆うと、クスッと小さな笑い声が聞こえてきた。今の気持ちを、彼にはすべて見透かされている気分だ。
 恭平はもう一度文乃の足の甲に口付けをしたあと、着ていたガウンの紐に手を伸ばしてきた。
「あの……私はじめてで」
「わかってます」
「え? どうしてわかるの?」
 二人の関係は今まで色恋とは無縁で、経験の有無など話題にするわけもない。
 彼には処女を嗅ぎ分ける能力があるのか。それとも、はじまる前から何かおかしなことをしているのか。
 はじめてだと判定されたその理由が知りたくて問うと、彼は呆れ混じりに言う。
「学生時代、門限を破ったことなど一度もないですよね。働きはじめてからも、送迎を拒否して、周囲の者が把握できない場所に立ち寄ったことなどないでしょう」
「……そうでした」
 高校までは女子校で異性とは無縁。大学では純粋な学生仲間として多少の交流があったが、確かに両親に嘘を吐いてデートに行ったことはない。処女を喪失するタイミングがなかったことくらい、近くにいた者ならわかってしまうのだろう。
「それに、文乃は俺のことが好きなんですよね?」
「そうよ……ずっと前から恭平が好き。だからほかの誰かなんて考えられなかった」
 ただの興味本位の、心が伴っていない行為など必要としていない。
 信用してもらえて嬉しいが、同時に好いたほうと、好かれているほうの関係性を浮き彫りにされた気がしてしまう。
 少し拗ねて口を尖らせた文乃をあやすように、恭平は頬や額に口付けを落としはじめる。そして羽織っていたガウンは取り払われ、下着姿でそっとベッドに横たえられた。
 露わになったベビードールは透けている素材なので、胸の形が見えてしまっている。裸よりいやらしい気がして、つい手で隠してしまった。
「文乃……すごく綺麗だ」
 彼のそんな賞賛の言葉は、文乃の羞恥心を余計に煽る。だって、慣れていないのだ。
「恥ずかしい……」
「俺のために着てくれたんですよね。……お願いだから隠さないでください」
 そう言って、恭平は期待を込めた眼差しで見つめてくる。隠すために使っているその手を、勝手にどかしてくれたらいいのに、彼は自発的な行動を促している。彼からのお願いを拒否できるわけもなく、文乃はゆっくりと胸を覆っていた手を、シーツの上まで移動させていった。
 じっと恭平に見られている。しかも本当に嬉しそうな顔で。
「もし……変なところがあったら言って」
「あなたに変なところなどあるわけないでしょう。そんなに緊張しないでください。力を抜いて」
 恭平は、文乃の手を一度握りしめたあと、ベッドに縫いとめるように頭の位置にずらし、そのまま自分の身体を覆い被せてきた。
 心地よい恭平の重みを感じながら、唇を重ね合わせる。
 恭平の唇は、少しかさついていて柔らかい。キスをはじめると唾液で唇がしっとりと潤っていく。
「キスは気持ちいいですか」
「うん。気持ちいい……もっとしたい。……して」
「仰せのままに」
 直後彼の舌が滑り込んできて、二人は深く繋がる。
 互いの歯がぶつかり合うのも気にせず、恭平は文乃の口の奥まで侵入してきた。舌や、歯列や、内頬を擦られると、なぜか別の場所が疼く。
 動くたびに接触する胸のあたりや、触れられてすらいない下腹部がせつなくなるのだ。
「んっあ……恭平……」
 文乃は自分でも必死に舌を伸ばしてキスに応えながらも、どんどんと大きくなる快感に戸惑い、すがりつくように彼の首に手を回した。
 密着すると、互いの肌のぬくもりを感じることができて、安心する。しかし、同時に己の内側から湧きあがる興奮は大きくなるばかりだ。
 貪るような口付けをしながら、文乃は無意識に身体をくねらせた。触れ合いで発生する快感を、欲深く求めるようになっていた。
 恭平は、そんな淫らな行動を指摘こそしなかったが、煽るように自分の足を文乃の秘部のあたりに割り込ませてくる。
「あっ……恭平……私、無理かもしれない」
「大丈夫です。怖いことはしません」
「違うの……だってまだキスしかしてないのに、気持ちいいんだもの」
 服も脱いでいない、まだ繋がる部分に直接触れられたわけでもない。それなのに、身体がおかしくなってしまいそうだ。心臓はずっと早鐘を打っているし、息もどんどん荒くなっている。
 もっと濃厚な触れ合いをしたら、自分がどうなってしまうのかわからなかった。
「よかった。それならやめません」
 恭平は宣言をして、文乃のベビードールに触れた。前にあるリボンを解けば、簡単に素肌が晒される。
 露わになった文乃の胸の膨らみをじっくりと眺めたあと、そっとその場所に触れてきた。
 最初は優しく包み込むような動きだった。その感触を確かめながら、恭平は次第に自由に、戯れのように揉みしだいてくる。
 男性の大きな手の中で、文乃の乳房は大きく形を変えている。その光景がひどく艶めかしい。
 ふいに恭平の指先が、文乃の胸の頂をかすめていった。
「あっ、……はぁ……」
 敏感なその部分に触れられると、びくっと腰が浮き上がってしまう。すでに硬くなりかけていた先端が、ピンと立ち上がってきた。まるでもっと触れて欲しいと主張するように。
「文乃の身体は、とても素直ですね」
 恭平が乳房に唇を寄せてくる。赤い舌を尖らせて、乳頭につんと触れた。
 そのままコロコロと舌先で転がされ、そして彼は大きく口を開け、文乃の胸にむしゃぶりついた。
「は、んんっ……恭平……」
 合間に吐き出される彼の熱い吐息が肌にかかる。今の文乃は、それさえも快感として拾ってしまう。
 舌と指の両方で、硬くなった胸の頂を弄られると、びりびりとした強い快楽の波が全身に広がっていく。
 彼と恋人になれた時、どんなふうに抱きしめてくれるのか、どんなキスをしてくれるのか想像をしたこともあったが、それは夢見がちなものだった。
 現実は違う。目の前にいるのは、面倒見がよく冷静沈着ないつもの恭平ではなく、文乃の裸に欲情しているただの男だ。
 瞳の奥にはっきりとした情欲を宿しながら、文乃の胸を嬉しそうに、そして夢中で貪っている。彼もまた、文乃と同じように息を弾ませていた。
「ひっ……やっ、ああ……、激しい……よ、……んんっ」
 大きな嬌声が出てしまいそうになり、文乃は思わず自分の手を口に当てた。しかし、すかさず恭平に咎められてしまう。
「抑えたらだめです。文乃のかわいい声をもっと聞かせてください」
 追い込むように、ますます胸への愛撫を熱心に施していく恭平は、少し意地悪だ。
 じゅるっと音を立てながら、薄紅色の胸の蕾を弄るその姿を、わざと見せつけてくる。
「……あっ、私……我慢できない」
 胸から発生した痺れが下腹部に絶え間なく伝わり、文乃の女の部分をキュンと疼かせている。
「ここが、……せつないの」
 場所を示すように、股を擦り合わせる。
 身につけている透けるほど薄いショーツの衣擦れの感触と、移動してきた恭平の視線が、文乃の疼きをさらに大きくさせていた。
「感じてくれたんですね」
「はじめてなのに、おかしくない?」
「俺は嬉しいです」
 恭平が微笑んでくれたので、文乃は満たされた心地になった。未経験の行為への不安も吹き飛んでしまう。
 恭平は文乃の片方の足を高く上げると、内腿にもキスをしてきた。くすぐったさを感じ、笑いをこらえていた文乃だが、触れられる場所がだんだんと身体の芯に近付いてくると、くすぐったさより快感が勝ってくる。
「はぁっ……」
 その反応を確認した恭平は、文乃がまさかと思っていた秘密の場所にまでためらわず口付けをしてくる。
 下着越しに、その形を確認するように。恭平が口付けをした場所には小さな突起があって、舌で弄られると、胸以上に過敏に反応してしまうことが自分でもわかった。
 ほんの少し触れられただけで、体中に快感が走り抜ける。何度かの刺激で硬くなっていき、もっと触れて欲しいとねだる。
 下着を剥ぎ取られてしまえば、誰にも見せたことがない部分が晒される。どうして恭平は、熱心にそこを見つめるのだろう。見られていることに耐えきれず、文乃は思わず目を瞑った。
 するとすぐに、さっきより艶めかしい感触が発生する。
 熱さと湿り気を感じる。これはきっと恭平の舌だ。彼は直接文乃の恥部を舐めているのだ。
 確認せずにいられなくて、うっすら目を開けると、寝そべりながら大きく開いた自分の股の間に、恭平が頭部をうずめてる光景が目に入ってくる。
 もう、隠してくれる下着もないのに。
「んっ、……恭平……恥ずかしい」
「大丈夫。ただ、気持ちよくなっていてください」
 陰唇に触れるような距離で言葉を発せられると、吐息さえ刺激となる。恭平は文乃の敏感な花芽を口で弄りながら、まだ何の侵入も許していない密壺の中へ、指をすすめてきた。
 固く閉じた入り口をほぐすように探られると、そこから淫らな密をこぽりと垂らしてしまった。
 彼の指の動きに合わせて、くちゅくちゅと卑猥な水音が響いている。
「痛みはないですね?」
 恭平は、確認しながらゆっくりと文乃の中を暴いていく。
 指をもう一本増やされ、少しずつ奥へ侵入していく。花芽を弄られながら、腹側の少し深い場所を指で擦られると、奥からどんどんと淫水が湧きあがってくる。
「あっ……ぁっ……恭平、そこ……一緒にしたら……私……わたし」
 小さな波が何度も押し寄せてきて、もう少しで何かを味わうことができる。……特別な何かを。そう感じ、文乃は腰を震わせた。
 自分が絶頂に向かっているのだと理解したが、強制的に引きずり出されているようで怖くもある。
 手を彷徨わせても、縋るものはシーツしかない。
「んんっ、恭平……待って……」
「怖がらないで、素直になってください」
「抱きしめてくれないと、いやなの……」
 文乃が素直に気持ちを伝えると、恭平はピタッと手を止めて顔を上げた。じっと、熱をはらんだ瞳で見つめられると、自然と感情が高ぶる。
「好き……恭平、好き。お願い、私を本物の奥さんにして」
 どうせなら、肌を合わせながらがいい。文乃がその先をねだると、恭平は笑みを返してくれた。
 そうして彼は、自分の服をさっと脱ぎはじめる。
 文乃は与えられる愛撫に夢中になりすぎて、彼が今まで服を着たままだったことに気付いていなかった。
 露わになる引き締まった男性の裸体を前に、ごくりと唾をのみ込んだ。
 彼の裸を見るのははじめてだ。服の上からではわからなかった、割れた腹筋や隆々とした腕を見ると、身体の造りの違いに惚れ惚れとしてしまう。
 そして、なにより腹につきそうなほどそそり立っている、彼の象徴から目が離せない。
 恭平は服を脱ぎ捨てたあと、サイドチェストの引き出しから避妊具を取り出し繋がる準備をはじめた。
「付けるの?」
 二人は夫婦なのだから、必要ないのではないか。あえて慎重になる意図を確認したくて、彼に尋ねる。
「しばらくは二人の時間を大切にしたいんです。恋人としての時間を持てなかったので」
「……恋人」
 今日の彼は、言葉で、態度で、文乃を喜ばせてくれる。明日覚めてしまう夢なのではないかと心配になるくらいだ。
 恭平は素早く避妊具を付けたあと、文乃の秘部に手を伸ばし、十分に潤んだままであることを確認してから、先端を宛がった。
 そうして、文乃の願いを聞き届けるように、身体を倒してしっかりと肌を合わせてきた。
「文乃、いいですか?」
 恭平の肌の熱を感じる。鼓動がさらに速くなっていく。
 ついに好きな人とひとつになれるのだという期待は、未知なる行為に対しての不安を吹き飛ばす。早く恭平が欲しくてたまらない。
 文乃も恭平の背中に手を回して、受け入れる準備ができていることを伝える。すると、恭平は腰を押し付けて、ゆっくりと熱塊を押し込んでくる。
「あっ、……すごい、大きい……んんっ」
 指二本よりずっと質量のある屹立した竿に、隘路が切り開かれていく。まだ、耐えられない痛みではなかった。だが恭平がさらに奥へと進もうとしているので、自分の身体は大丈夫なのかと不安に襲われる。
 自然と歯を食いしばり、身体が硬くなってしまう。
「ほら、ちゃんと呼吸をして……力を抜いてください」
 言いながら、恭平は額や頬に何度も口付けをしてくれた。しかし、彼のほうも苦悶に耐えるような強ばった顔になってしまう。
「恭平も、苦しいの?」
 問うと、恭平は苦笑いをした。
「俺は、よすぎて……己を律するのに必死なだけです」
 その顔が少年のようにかわいらしく、愛おしさがこみあげてくる。丁寧に扱ってくれるのは嬉しいが、もっと本性を剥き出しにして欲しい気持ちが芽生えてくる。
 普段見せない顔、ほかの誰にも見せない顔を文乃は見たいのだ。
「私、大丈夫だよ。もっと奥まできて」
「文乃……」
 楔が、さらに深く打ち込まれる。やはり痛みはある。でも、ここでやめて欲しくはなかった。
 文乃は恭平の頭部を引き寄せて、口付けをねだった。
「キスして、いっぱい」
 すぐに願いは叶い、唇を重ね合わせてくれる。彼の舌を受け入れ、激しいキスに夢中になっていると、自然と身体の強ばりが解けていく。
 その瞬間を見計らって、恭平は文乃の最奥まで熱杭を押し込んできた。
「ゃっ、あぁ!」 
 目一杯に広がった膣壁が、きゅうきゅうと彼の竿を締め付けてしまっている。
「全部、挿ってます。ゆっくり呼吸をして。……少しだけ動きます」
 恭平は断りを入れてから、小さく腰を動かしていった。与えられる口付けの場所が、耳や首筋に移ってしまったので、文乃の唇が自由になる。
 ゆっくり呼吸をしろと言われたが、文乃は乱れながら、嬌声と歓喜の言葉を勝手に紡いでしまう。
「あっ、ああ、恭平……好き、んあっ……すごいよぅ。私、恭平とひとつになってる。……んっ、嬉しい……好き」
「くっ……煽るようなこと言わないでください」
 途端に、恭平の腰の動きが激しくなった。奥を穿たれ、一気に引き抜かれる。結合が解けてしまうぎりぎりの場所から、また奥へと戻されていった。
「ひゃっ、ああ、……はげし、い」
 刺激を受けるたびに文乃の奥は喜び、蜜を滴らせながら淫らに蠢いていた。抜き差しのたびに卑猥な水音を立てている。
 まるで身体のすべてが性感帯になったような敏感さで、恭平が滴らせた汗が胸に落ちる感覚さえ、快楽となっていく。
「文乃、もう少しだけ……耐えてください」
 余裕のない口調で、恭平は言う。
「あぁ、いいの……恭平、私……ああっ、わたし……」
 視界がチカチカとしてくる。白い波が襲ってくるような感覚。指で刺激を与えられた時より、もっと激しい波が襲ってくるとわかった。
 文乃は無我夢中で恭平にすがりつく。すると、文乃の中で暴れている恭平の昂りの質量が、さらに増した。
「あっ、ああ、恭平! 私……もう、ああっ!」
 ぐっと、深い場所に杭を押し付けられた瞬間に、文乃は絶頂へと押し上げられる。
 直後、恭平の昂りの脈動を感じ、どくどくと、薄い皮膜越しに爆ぜた精の存在を感じられた。
「私、とっても幸せ……ありがとう」
 自分の中で、彼がちゃんと気持ちよくなって果ててくれたことが嬉しい。
 好きな人と結ばれた。叶わない恋だと思っていたのに、なんと幸せなことだろう。
「礼を言うのは、俺のほうです」
 よく頑張りましたと褒めるように、恭平が額にキスをしてくれる。
 夢ではないことを確かめながら、文乃はずっと恭平に抱きついていた。

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