業務命令は偽りの婚約者!? ~極上社長は淫らに溺愛する~

書籍情報

俺に抱かれるの、好きだろう?

業務命令は偽りの婚約者!?
~極上社長は淫らに溺愛する~

著者:深月香
イラスト:北沢きょう
発売日:7月29日
定価:620円+税

片桐建設の真面目で優秀なお堅い社長秘書として沓子は働いている。
仕事一筋なその姿勢は、「秘書との恋愛はしない」と宣言している社長・片桐からも信頼を置かれていた。
あるとき、片桐のパートナーとして参加したパーティーで、彼から「プロジェクトが終わるまで、偽りの婚約者になってほしい」と相談される。
過去の苦い恋愛経験のせいもあり、軽い気持ちで結婚なんてできないと沓子が断ろうとすると、彼は彼女の唇を奪って……!?
「早瀬の気持ちは分かった。本気なら、いいんだな?」
秘書を敬遠していたのは、社長だったのに――片桐の官能的な色気に流され、沓子は……!?

【人物紹介】

早瀬沓子(はやせとうこ)
真面目で優秀な片桐建設の社長秘書。
過去の恋愛経験にトラウマがあり、恋愛をすることに臆病になっている。
片桐のことは社長として信用を置いている。

片桐蓮(かたぎりれん)
若手ながらやり手で有名な片桐建設の社長。
クールな性格で無駄なことが嫌い。
秘書との恋愛はしないと宣言していたが、沓子に惹かれている。

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 窓から夜景が見渡せる豪奢なベッドルームの床には、バッグやハイヒールが散乱していた。かなり性急にベッドに連れ込まれたのが、ひと目で分かる。
 ――まだ、シャワーも浴びていないのに。
 ラウンジバーから客室までの記憶はあやふやだった。片桐に口説かれ覚悟を決めてからの時間が、刹那のように感じられる。沓子の躊躇いを知ってか、片桐が何もかも手早く整えたからかもしれない。最上階のスイートルームを手配し、言葉少なに部屋までやってくると、優しく沓子に訊ねるのだ。
「怖気づいた? 帰りたいか?」
「そ、そんなこと……だ、大丈夫です」
 片桐に喜色が浮かぶ。
「もう遠慮はできないからな」
 そこからは、火が付いたようだった。片桐は沓子の膝裏に腕を回し軽々とお姫様抱っこすると、ベッドルームへ向かった。突然のことに沓子の思考は追いつかず、ただ片桐にしがみつくことしかできない。
 はじまりの合図のように、するりと沓子の髪が解かれる。
「っ……ん、んっ……」
 ベッドに押し倒された沓子は、片桐に口づけられていた。息もつかせぬような激しいキスだ。同時に、ドレスの上から胸を揉まれている。キスとは違い、片桐の手の動きは控えめで優しい。沓子を怖がらせまいとしているようだった。
 触れられているのは胸なのに、身体中がむず痒く感じる。背中に滑り込んだ片桐の手が、ファスナーにかかり緊張感を高めた。ジリリと背後で金具が下ろされ、いよいよドレスが身体から引き抜かれようとしている。
 唇が離れた一瞬の隙に、慌てて沓子はドレスの胸元を押さえた。
「だ、だめ……」
「今さら、どうして?」
「シャワー浴びてませんから……汗が……」
「俺は汗臭いか?」
「い、いいえ」
「だったら、構わないな。俺は早く君を抱きたくてしょうがない。君は、いい匂いがする」
「ん……ふっ……」
 片桐は素早く唇を重ね、舌を口腔に滑り込ませた。沓子の情欲を煽るように、いやらしく掻き回す。そうされるうちに、沓子もおずおずと舌を伸ばすのだ。言葉とは裏腹に、身体は片桐に触れられるのを悦んでいる。
 片桐は沓子を貪りながらネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外した。
「腰を上げてくれ」
 沓子の背中に、片桐の腕が回される。
 ――いよいよ、だ。
 視界の端でスパンコールが輝き、胸元に開放感を感じた。バサリ、とドレスが床に落とされる。間近で見る片桐の熱を纏った瞳に、沓子は胸を高鳴らせた。
 ――すごい……社長の色気……。
 溢れる片桐の魅力に戸惑いながらも、望まれていることが嬉しいと感じる。とはいえ、いきなり行為にのめり込めるほど、沓子に色事の経験はない。
 ――どうしよう……。
 下着だけになった沓子は、恥ずかしさにもじもじと膝を合わせた。
「ふっ……可愛いな」
 ブラが外され、狼狽えてしまった。しかし片桐は、余裕のある手つきで沓子を剥いでいく。
「ドレス姿も良かったが、何も纏わない君はもっと綺麗だ」
 ショーツだけにされた沓子は、かろうじて乳房を両手で隠しベッドの上に横たわっていた。羞恥心から視線を泳がせてしまう。いつもの能面のような表情はすっかり消え、沓子は頬を赤く染め唇を震わせた。
「まだ恥ずかしいのか?」
 艶めいた髪を一房掬うと、片桐はそれに口づけた。
 再び沓子に覆い被さろうとする片桐も、すでに服を脱ぎ捨てたあとだ。逞しい肩、割れた腹筋、そのさらに下はさすがに恥ずかしくて直視できない。
「俺を見てろ。恥ずかしさなんてすぐに消える」
 片桐の首筋や鎖骨に、遠慮がちに視線を這わす。程よく筋肉がつき引き締まった、大人の男の色気がだだ漏れする裸体に、劣情が掻き立てられた。とはいえ、片桐の身体を眺め、性的な刺激を受ける自分を素直に受け止めきれない。
「……やっぱり恥ずかしいです」
 ふいっ、と片桐から視線を反らして沓子は言った。
「心を閉ざそうとするな。信じろと言っただろ?」
 片桐は、沓子の睫毛に、頬に、口の端に、そっとキスを落とす。丁寧で優しいキスに、沓子は胸がきゅっとなるのを感じた。
「……怖い。私、不感症なんです」
 はじめてのセックスは、痛いだけの行為だった。元カレと片桐は別人だけど、それでもやっぱり沓子は初体験の記憶を思い出して怖いと感じてしまう。
 『痛いからもう止めて!』沓子が頼んでも元カレは止めてくれなかった。沓子が感じても濡れてもいない様子を見て、落胆したような顔をした。大好きだったのに、たった一度の行為で気持ちは醒めてしまった。
 ――あんな思いは、もうしたくない……。
「無理強いはしない。嫌だったら言ってくれ。俺を信じろ」
「……でも」
「仕事じゃないんだ。心配するな。今の俺は、君に夢中なただの男だよ」
 ――社長が、私に夢中?
 冷静で厳しい片桐が、沓子に夢中になるとは思えない。しかし、片桐は信じろ、と言った。信じたい気持ちと惑いがせめぎ合う。それでも片桐の言葉が嬉しくて、じんわりと胸が熱くなった。
 沓子は恐る恐る片桐へ視線を戻した。
「大丈夫だ。大事にするから」
 片桐は甘く囁いて沓子を抱き締めた。温かな片桐の胸に顔を埋め、沓子は少しずつ頑なな心を溶かしていく。
「さっきの続きをしよう」
 慈しむように髪を撫でられる。ちゅ、と音を立て啄むようなキスをされる。慌ただしく奪うようなものとは違う。ひたすら優しいキスを、何度も片桐は繰り返した。沓子はキスに誘われて、片桐の背中へと腕を回す。意図せず片桐の胸へ、乳房を押し付けてしまう。先端が片桐の厚い胸板に擦られ、じんとした。
 ――どうしよう……気持ちいい。
 自然と沓子からもキスを返していた。柔らかな唇を押し付け合ったり、軽く吸って離したり。優しいキスに心が溶かされていく。この瞬間だけでいい、過去を忘れて没頭したい。沓子が片桐に溺れてしまうのに時間はかからなかった。
「君は、本当に可愛いな」
「はぁ……んっ」
 ねっとりと、片桐の舌が沓子の唇を割って侵入してくる。あっという間に、咥内は片桐に埋め尽くされてしまった。沓子の舌は、片桐によって絡め取られ、絞られ吸われてしまう。片桐は角度を変えながら、余すことなく沓子の咥内を舐り尽くした。
 頭が、じんと痺れはじめる。片桐は上顎と下顎へ丁寧に舌を這わせ、沓子が気持ちいいと感じるところを探っているようだった。
 太腿の内側に、熱くて硬いものが押し当てられている。片桐も興奮しているのだと思うと、沓子の中に愛おしくも艶めかしい気持ちが芽生えた。
 沓子の口から抜かれた舌が、今度は首筋を這っていく。鎖骨を舐められ吸われ、優しく唇を押し付けられるうちに、じわじわと沓子の身体は火照っていった。見計らったように、片桐の手が乳房に触れる。可愛がるように優しく揉みしだいていく。
「……っ、社長……っ……や……」
 最初は遠慮がちに乳房へ触れていた片桐だが、沓子がこらえきれずに甘い声をあげると、刺激を強めるように荒々しく揉みしだく。
「こんな上等なもの隠してたのか……すごく綺麗だ。君の身体を目にすると、宝石も霞むな」
 片桐は胸を揉みながら、乳首に吸い付いた。卑猥な音を立てながら片方の乳房は貪られ、もう片方の先端は指先でコリコリと刺激される。片桐の唇が淫らな糸を引いた。反対側の乳頭を、きゅ、と抓られ、たまらず沓子は声を出す。
「ひゃ、ァ……んっ……だ、だめ……」
 沓子はシーツを乱しながら、身体をくねらせる。気持ちが良すぎて、蕩けてしまいそうだ。ぎらついた表情をした片桐が、手の甲で口を拭う。
「いつもの君らしくない。そんな反応されると余計にそそられる。乳首もこんなに硬くして、素直な身体だ」
「あ、ぁんっ……」
 快楽から逃れようとする沓子の手首を掴み押さえつけると、片桐は再び乳輪を口に含む。唇に硬く勃った先端を挟まれれば、秘部がじくじくと疼き出した。やがて蜜が、じわ、と溢れその感触にも身悶えする。
「あ、溢れるの……、も、もう、だめ……」
 蜜が滴るのを感じた沓子は、太腿に力を入れて愛液が溢れないよう快感を逃そうとする。その様子を眺めながら、片桐は悪戯な笑みを浮かべた。
「どこから溢れる? やめてほしいのか?」
 沓子は、ふるっと首を横に振る。下着はすでにしっとりと湿ってしまった。恥ずかしいけれど、どうにか熱を冷ましてほしい。
 ――お願い、触れて……。
 抑えられない欲望が込み上げる。切なさに沓子は涙を滲ませた。
 ――だけど……だめ。触れないで。
 相反する気持ちに心が乱される。いやらしい欲望が罪のように思えた。
「溢れるのはここか? そろそろ、ここも触れてほしいだろ?」
「い、いや、だめぇ……っ」
 とうとう暴かれてしまった。汚してしまったショーツに触れられ、かぁっ、と沓子の頬は熱くなる。
「触れられるのは怖いかと思ったが、下着の上からでもこんなに感じて、しっかり濡れてるじゃないか。いい子だ」
 ――私が、濡れているなんて……。
 沓子自身が一番驚いていた。
 薄い布越しに、片桐の指が割れ目をなぞるのが分かる。ゆっくりと優しく、次第に速度をあげる。何度も撫でられ沓子は目眩を覚えた。ぐじゅぐじゅと、溢れた蜜が音を立てる。
「あっ……あっ……」
 それに合わせて甘い声が漏れた。沓子を見つめる片桐の瞳が熱を帯びていく。欲望に囚われた雄の目だ。
 ――もう、逃げられない。きっと、食べられる。
 沓子には、片桐が獲物を前にした獣のように感じられた。この獣にだったら、めちゃくちゃにされてもいい……と邪な考えが浮かぶ。社長である片桐と繋がることへの免罪符が欲しかったのだ。
「あっ……、はぁ、んっ……」
 いつの間にか片桐の手はショーツのなかに潜り、茂みを撫でていた。さわさわと優しく触れられ身体がむずむずする。片桐は、指で陰毛を挟み、軽く上へ引っ張った。今度は、円を描いてから、恥丘を指の腹で押し付ける。
「や、ぁっ……しゃ、ちょう……」
 膣内がきゅうと締め付けられ、さらに蜜が溢れた。
「ここもいいだろう? じっくり慣らしてやる。心配するな」
 花弁に優しく蜜をなすりつけられた。徐々に蜜口へと指が近づいているようで、沓子は身震いしてしまう。
 湿った淫らな指が、茂みに隠れた敏感な花芽を摘んだ。一瞬で全身へと電流が走り、沓子の身体は痙攣する。耐えていた蜜が一気に噴き出すようだった。
「その調子だ。感じる君はとても可愛い。もっと乱れろ」
「や、ぁっ……、んっ……」
 沓子の甘い吐息は、片桐の唇によって塞がれる。唇を割って侵入した舌が、口内を舐め回した。舌を擦られ、もどかしくなる。同時に指は優しく花芽を扱き、皮を剥いた。剥き出しになった花芯を刺激され、沓子はあまりの刺激に耐えられず暴れた。
「そこ、やっ……だめぇっ……!」
「もうどろどろだ。少し弄っただけでこんなに濡らせるなんて、君は仕事以外でも優秀だな。もっとご褒美をやらないと」
 片桐は沓子を褒めながら、しとど濡れた蜜口の様子を確認するように触れた。花びらは押し広げられ、ぱっくりと開いている。片桐は纏わりついた蜜を丁寧に花弁に塗り込んだ。
「解すから、力を抜いて」
 ついに片桐の長い指が、ぐちゅ、と膣内に差し込まれる。想像以上の刺激に、沓子は身体をしならせた。
「い、やぁあっ……!」
 ――こんなの、私じゃない。こんなの、知らない。変になるっ……。
「キツいな……。もっと力を抜くんだ」
「む、むり……っ、あ、んっ」
 ゆっくりと、片桐の指は壁を押し広げ沓子のなかに侵入する。隘路は片桐を感じて燃えるように熱くなった。擦られるたびに、媚壁は狭まろうとして更に刺激を与える。片桐は花芯に蜜をなすりつけながら、指を出し入れする。ぐちゃぐちゃに掻き回され、どんどん愛液が溢れ出る。
「ふぁ……っ、あ、んっ」
 押し寄せる悦楽に、いつしか沓子は、強張っていた力を抜いてだらんと身体を開いていた。しかし膣内は、いやらしく力いっぱい片桐の指を咥え込んで離そうとはしない。どんなに抑えようとしても、淫らに喘いでしまう。
「あぁっ……ンっ、あぁ、っ……!」
「不感どころか、これほど敏感だとは……驚いたな。君の身体は、ますます俺を夢中にさせる」
 ――私が、敏感……?
 片桐の言葉に、沓子は動揺する。
 ――人並みに濡れているのなら嬉しいけれど……。
「君がどれだけ感じやすいか、もっと分からせてやろうか」
 片桐は快感によって膨らんだ陰核を、強めに摘んだ。弱いところを攻められて、たちまち媚壁が収斂する。押し寄せる悦楽に震えながら、沓子は自然と腰を揺らめかせた。
「んっ、ぁっ……しゃ、社長……やっ……」
「解れてきたな」
 沓子のなかに侵入する指が、一本から二本へと増やされる。膣壁は収縮しながら、ぎゅうぎゅうと指を締め付けた。絶頂感を連れた小さな波がどんどん大きくなる。懸命に耐えようと片桐にしがみつく沓子の瞳から、ぽろりと涙がこぼれた。
 ――いやっ、怖い。何かが、くる……。
 片桐は沓子を抱き込み、唇を塞いで、愛おしむように舌を差し入れ絡める。指は膣壁を擦り、花芯を引っ掻く。尿意を感じ狼狽えた沓子は、たまらず片桐の背中に爪を立てた。
 痙攣する蜜穴から快感の飛沫があがった。肌は粟立ち、腰の揺れは止まらない。経験したことのない未知の感覚から、どうすれば逃れられるのか、沓子には分からなかった。
 ――ああっ……だめ、おかしくなるっ……!
 襲い来る波に怯え、沓子はぎゅっと身体に力を入れた。片桐の指が速度を上げて抜き差しされる。せり上がってくる快感はやがて全てを覆い尽くした。とうとう身体の中で悦楽が弾ける。背中を弓なりに反らせ、沓子はのたうった。
「大丈夫だ、俺を信じて身を任せろ」
「やっ、しゃ、しゃちょうっ……、や、あぁぁあっ――!」
 明滅する意識の中で、沓子は打ち震える。快感に占拠され、もう自分を保っていられない。達して力が抜けた身体は、たっぷりと愛液を滴らせながらベッドへと沈み込んだ。
 ――こんなの、知らない……。
 沓子の涙は止まらなかった。その涙を片桐の唇がそっと拭う。
「ちゃんとイけたな。だから言っただろう? 君は敏感だって」
 媚肉はまだびくびくと痙攣し、膣壁は甘えるように片桐の指に絡みついて、とめどなく蜜を溢れさせている。
「こ、こんなの、はじめて……です」
 惚ける頭で、沓子はなんとか言葉を発する。
「そう言ってもらえると、喜ばしいな。よく覚えておくんだ。君をはじめてイかせたのは、この俺だからな」
 ――私、社長の指で……はじめて……。
 恥ずかしいけれど嬉しい――、過去の辛い記憶が上書きされていくみたいだ。
 ゆっくりと指が引き抜かれ、沓子は途端に心細くなった。思わず縋るように、片桐の腕を掴んでしまう。
「まだ終わりじゃない。腰を浮かせてくれ。続きをしてもいいか?」
 片桐は言い聞かせるように、興奮冷めやらぬ沓子の頬を撫でた。
 ――気持ちいい……。だけどこの先は少し怖い……。
 達したばかりの沓子は、まともな思考ができない。身体は、怖さより快感を求めてしまう。緊張しながら腰を浮かすと、素早くショーツが抜き取られた。濡れそぼった秘所が冷たい空気にさらされる。
「やっ……」
 反射的に閉じようとした膝は、片桐に押さえつけられる。今さら遅いが、羞恥心が込み上げ、沓子はたまらず顔を覆った。
「恥じらう君も可愛いが、そんな余裕もなくなるくらい、もっと感じさせてやるからな」
 片桐は沓子の左足首を持ち上げた。驚いた沓子が顔を覆う手を外すと、足の親指が口に含まれるところだった。
「ひゃ! ぁっ……」
 次に人差し指、それから中指と、一本ずつ咥えられ歯を立てられて舐められる。自分へのご褒美に、サロンで施術した発色の良いピンク色のフットネイルが、片桐の口の中に消えていく。食べられてしまうような感覚に、沓子の背筋はぞくぞくとした。その隙にもう片方の手が、太腿を撫でながら足の付け根へと下りてくる。付け根の辺りを這う指は、行ったり来たりもどかしい動きをした。
「やっ……あ、んっ」
 指は肝心なところを避けて滑る。すでに蕩けきった陰部には、再び触れようとしてくれなかった。ちゅぽ、と音を立て、足の小指が口から抜かれる。すると秘所から、とろんと蜜が溢れ出た。
「は、んっ……」
 沓子は思わず腰をくねらせてしまう。
 ――社長、ひどい……。
 相変わらず片桐の手は太腿や臀部をなぞるだけだ。もどかしい快感に蜜壷はもっと触れてほしくてどんどん濡れていく。どうしてこれほど焦らされているのか、沓子は分からなかった。
「どうしてほしい?」

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