完璧な旦那さまの秘密を知ったら、いじわるな激甘テクで蕩けさせられました!?

書籍情報

完璧な旦那さまの秘密を知ったら、いじわるな激甘テクで蕩けさせられました!?


著者:小日向江麻
イラスト:南国ばなな
発売日:2023年 10月13日
定価:630円+税

社内恋愛を経て結婚した奏と里桜は幸せな新婚生活を送っていた。
優しく家庭的で完璧な夫との毎日はとても満ち足りたものだったのだが――。
ある休日に奏がでかけた際、里桜が家計簿をつけようと共有PCを開いたところ、そこには見慣れないネットショップのサイトが映っていて……!?
画面に映し出されていたのは、ふわふわとした起毛素材の手錠の画像だった――!?
アダルトグッズの購入履歴から浮気相手がいるのかと疑ってしまう里桜だったが、そこに奏が帰ってきて……。
彼に疑問をぶつけるも奏から告げられたのは、彼が秘密にしていた性的嗜好で――?
どんな奏くんも知りたいし、愛したい。
里桜は奏の秘密を受け入れると共に、知らない世界の扉を開けることになる。
「すごい反応。いいよ、いっぱい舐めてあげる――」
完璧な夫・奏との新しい夜はいつもよりちょっぴりいじわるで、そして驚くほど淫靡なものだった。
また彼との夜を繰り返すうちに、里桜の感情や身体も次第に変化していき……?

【人物紹介】

若林里桜(わかばやし りお)
奏の妻で、化粧品メーカーに務める26歳。
真面目で心優しく、素直でまっすぐに育ってきた。
ある日、夫である奏の秘密を知ってしまい……!?

若林奏(わかばやし かなで)
営業部営業二課係長の29歳。
家庭内でも優しく思いやりがあり、家事もそつなくこなす完璧な夫。
だが、彼は里桜に対して秘密にしていることがあるようで――?

●電子書籍 購入サイト

*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

「んっ……奏くんっ――ふ、むぅっ……!」
「もっと舌を出してごらん」
 奏くんは私を寝室に連れて行くと、息ができなくなりそうなくらいに激しいキスを交わしながら、私をベッドの上に押し倒した。
 行為をするとき、彼は必ず部屋の照明を落とすか、最小限に絞ってくれる。けれど今日は、天井のシーリングライトが煌々と点ったままだ。
「ちょっと、待ってっ……んんっ……!」
 本当に息ができなくなるのでは、と危ぶんで、奏くんの胸を軽く押した。
 普段、奏くんと交わすキスは蕩けるようで、感じ入ってしまうような恍惚を運んでくるものだ。
 でも今は――まるで獣に食べられているみたいだ、と思う。奪われるような激しい口付けは、別の意味で私の思考を停止させようとしてくる。
 ……なんだか、私の知ってる奏くんじゃない。
 私の顔を覗き込みながら、彼は猫のようにぱっちりとした目を細めた。
「僕に本当の意味で求められたいって言ったのは里桜ちゃんでしょ?」
「そ、そうだけどっ……」
 ――だからといって、人が変わってしまったようになられても戸惑う。奏くんではない人とキスしてるのでは……なんて非現実的な思考さえ浮かんでしまう。
「じゃ、やめる? 僕はそれでも構わないよ。さっきも言ったけど、そのままの里桜ちゃんが好きだから。無理して合わせてほしいとは思わないんだ」
「……それは、やだ……」
 背中に回した手で、奏くんのシャツをきゅっと掴んだ。
 ――せっかく身も心も愛し合えるチャンスなのに。ここで怖じ気づいたら振り出しに戻ってしまう。もう、あんな不安な思いはしたくない。
「抱いてほしい?」
「っ……!」
 思わせぶりに訊ねられて面食らってしまった。
 ……本当に、いつもの奏くんじゃないみたい。普段の彼は、こんな風にいじわるに訊ねたりしない。むしろ私の思いを汲んで先回りしてくれるのに。
 私はよほど変な顔をしていたのだろう。堪らず奏くんが噴き出した。
「いいね、その反応。思った通りだ」
 ――思った通りって、どういうことだろう。
 訊ねようとして、その答えが先ほど交わした会話のなかに隠れていたのだと気が付く。
『恥ずかしそうにされると、もっと辱めたり、いじめたいって思ったりとか……』
 ――Sの人って、そういうリアクションが好きなんだろうか。
 ということは、奏くんは私のことをもともと辱めたり、いじめたりしたい……って思ってたんだ。そう思わせる人に、彼は惹かれるということ?
 細かい言葉のニュアンスに、彼の知らなかった一面がより浮き彫りになるようで、なんとも複雑だ。
「……抱いてほしいんでしょ?」
 鼻の先でキスできそうな距離でもう一度訊ねられる。私を見下ろす瞳は獲物を見つけた肉食獣にも似ていて、鋭かった。……ドキドキして、目が離せない。
「返事は?」
「っ……」
 私は返事の代わりに頷く。言葉にするにはどうしても羞恥心が邪魔をした。
「素直に答えられて偉いね。……そう、そんなに僕に抱かれたかったんだ」
 彼の大きな手が、するりと私の頭を撫でた。そのまま、私のシャツのボタンをゆっくりと、ひとつずつ外していく。
「どれくらいぶり? ……二週間くらい?」
「多分、そうっ……」
 きちんと数えてはいないけど、おそらくは。
 最近は正確に数えてしまうと落ち込むことが多いから、あまり意識しないようにしていた。
「嗜好がバレそうで緊張してたっていうのがいちばんの理由ではあるけど……里桜ちゃんさ、あんまりセックス好きってイメージないから、正直どれくらいの間隔で誘っていいかわからなかったのもあるんだよね」
「…………」
 セックスそのものが好きかどうかと訊かれると……嫌いではない、と思う。
 でもそれは、相手が自分の好きな人なら、という条件付きだ。私の場合なら奏くん。行為から得られる快感よりは、肌を合わせることで愛情を確かめ合ったり、安心感を覚える。その時間に幸せを感じるというか。
 ……だからその時間が減ってしまって、すごく寂しかった。
「里桜ちゃんのほうから誘ってくれてもよかったのに」
「で、できないよそんなのっ」
「どうして?」
「だって……女の人のほうからそういうこと言うと……男の人、引いちゃわない……?」
 漠然と、求めるのは男の人のほうで、それに女の人が応じる、というイメージがある。女の人のほうから誘ったら幻滅されてしまいそうで怖い。
 すると、奏くんがおかしそうに喉奥を鳴らして笑った。
「な、なんで笑うの」
「いや、里桜ちゃんってけっこう古風なところあるよね。かわいいけど」
 ちょっとムッとした口調になってしまったからだろうか。奏くんは悪気はないとばかりに小さく首を横に振ってから、おもむろにこう切り出した。
「じゃあ今度からは約束して? したくなったら必ず教えること。……いいね?」
 ――あ。またその目だ。
 瞳の奥に潜む、ぎらつくなにかが――私を体よく従わせようとする。
「う、うんっ……わかった」
 それ以外の答えが見つからなくて、私は頷いた。
「いい子だね――」
「んんっ……!」
 いつの間にかシャツの前ははだけ、ブラのホックを外されていた。
 シャツの下に着ていたキャミソールの裾から片手を差し入れられ、左のブラのカップの下を撫でた手のひらが胸の頂を捉える。
「どうしたの? 触ってないのに、ここ……こんなに硬くしちゃって」
 不思議そうに訊ねつつ、その理由はわかっていそうな所作で、何度も頂を撫でつける。
「やぁっ……」
 乾いた手のひらが膨らんだ頂に触れると、微弱な電流のようにぴりぴりとした快感が迸る。私は恥ずかしさと快感で身をよじった。
「いやだったらこんな風にはならないんじゃない?」
「ぁっ、や――引っ張らないでっ……!」
 触れるだけでは飽き足らず、彼の指先が頂を摘んだ。撫でられてたときよりもずっと鮮烈な悦びが胸の先を貫く。
「摘んだら余計に尖ってきた。まるで『もっと触って』っておねだりしてるみたいだよ。身体のほうがずっと素直だね」
「っ……!」
 恥ずかしさと気持ちよさが綯い交ぜになった、なんとも言えない驚きにぞくぞくした。
 身体の変化をつぶさに言葉にされると、頭の奥が灼けそうになる。
 ――奏くんがこんなこと言うなんてっ……!
「前に『構えないで』って約束したの忘れちゃった? 気持ちいいときは気持ちいいって言わなきゃ。里桜ちゃんに感じてほしいから、君の身体に触れてるんだよ。素直に受け入れて」 
 奏くんと約束したことは覚えてる。私もその通りだと思ったし、なるべく素直に表現しようと努力しているつもりだったけれど、間隔が空いてしまうといつもの恥ずかしがり屋の自分に戻ってしまう。
「――ま、でもいいよ。そういう反応はそういう反応で、僕も楽しませてもらうから」
 彼は私の耳元で囁くと、キャミソールの裾をたくし上げた。ブラのカップを上にずらして、顔を出した胸の先をぱくりと口に含んでしまう。
「んぁ……!」
「ぷっくり勃ち上がって、すごくえっちだね……舐められてうれしい?」
「ぁあっ!」
 繰り返し舌先を頂に撫でつけるように動かしたあと、再び口に含んだ。そして不意に、先端を甘噛みする。
 びっくりした。と同時に、膨らんだ胸の先に今まで経験したことのない、じわりとした快感が滲む。その刺激の強さに、びくん、と腰が跳ねてしまう。
「こういうの好き? 里桜ちゃん、噛んだりするのいやがるかな、と思って今までしなかったんだけど……気持ちよくない?」
「ん、ぁ……ふぁっ……!」
 ――気持ちよかった。直接神経に響くような愉悦は、私の思考をいとも簡単に溶かしてしまう。
「ちょっと赤くなっちゃったかな。でも花びらが散ったみたいで、きれいだよ」
 自分でも、室内の明かりに照らされた胸元を見てみる。カップから露出した左胸の先が、淡いピンクに染まっていた。
「こっちばっかりじゃなくて……反対側もかわいくしてあげようか」
 奏くんは反対側のカップもずり上げると、露になった先端にキスをして、唇で挟み、扱きはじめる。
「ぁあっ……奏くんっ……!」
「わかってる。こうしてほしいんだよね」
「ぁんっ!」
 左胸と同様に、右胸の先もやわやわと甘噛みされる。痛みともくすぐったさとも違う感覚が、脳内を、身体を満たしていく。
「気持ちよさそうな声。そんないやらしい声を出されたら……僕も興奮してきちゃうよ」
「ふ、ぁ……あぁっ……」
 未知の悦楽を追いかけることに終始してしまいそう。なされるがまま、デニムのスカートのジッパーを下ろされ、脱がされる。私の下半身は、薄布一枚だけをまとった状態というわけだ。
「そろそろあれを使おうか」
 奏くんは一度ベッドから離れると、例の手錠を持ってきた。
 とても愛らしいデザインだけど、近くで見るとしっかり「手錠」だな、と思う。両方の手首を繋ぐ金具だったり、手首をホールドする部分を一周するみたいに巻かれているベルトだったり。おもちゃなのだろうけど、本格的だ。
「これ、着けてみよう」
「う……うん」
 最初は右手。次は左手に手錠をはめられる。ソフトなカラーであることと、デザインがどこかリストバンドに似ていることで、装着にあまり抵抗は感じなかった。
「いいよ。すごくいい」
 裸同然で手錠をはめた私の姿を見て、奏くんは妖しく両目を細めた。
 拘束された両手を頭上に持っていかれる。二本の手を束ねられるのは、想像以上に不自由だ。
 ――このあと、どんな風にされちゃうんだろう?
 不安のなかに、ほんの少しだけ期待が入り混じっているのを、私は気が付かないふりをした。
「あっ……!」
「あぁ、すごいね。ここ……粗相をしたみたいにびしょびしょだ」
 だから奏くんの行動を遮ることも難しい。片足を持ち上げられると、下腹部が露出する。その場所をまじまじと見つめて、彼がつぶやいた。
「言わないでっ……!」
 この状況では言葉で抗うのが精いっぱいだ。突き刺さるような視線を感じながら、私は泣きそうになる。
 自分の身体だから、わざわざ視線をくれるでもなくわかっていた。愛撫されていたのは胸なのに、お腹の下が熱い。溢れた情欲の証のせいで、下着が張り付く感じがする。
「感心してるんだよ。こんなになるまで感じてくれたんだって。今までの僕とのセックスで、ここまで反応してくれたことなかったんじゃない?」
「わ……わかんない、そんなの……」
 首を横に振って否定しつつ、そうかもしれないと思う。こんな風に、制御がきかなくなるくらいに高ぶってしまったことはないのかも。ただ、それを認めるのはやっぱり……恥ずかしい。
「そうだよね。里桜ちゃんはこういうことにあんまり慣れてなかったから。……だからセックスがいやにならないように、僕も慎重にしてたわけだけど」
「んひっ!」
 私の脚を押さえているのとは逆の指先で、下着越しの入り口をつっとなぞられる。溢れた淫蜜をまとわせながら、彼の人差し指が秘裂に軽く沈み込んだ。くちゅりと粘着質な音が響く。
「――でもこんなドロドロになっちゃうくらいに、はしたない身体なら……もう遠慮する必要なんてないよね?」
「っ……」
 私の身体の上に覆いかぶさっていた奏くんが、やや低いトーンで囁く。欲情に濡れた瞳は、私の痴態をよろこんでいるみたいだ。それから彼は、片足は外側に広げたまま足元にずり下がった。彼の視線の先には、すでに熟れ切った果物みたいにぐずぐずになった私の下腹部がある。
「これ脱いで。もっと恥ずかしいところ、広げて見せて」
「だって……電気、点いてるっ……」
「点いてるからだよ。脱いで、どうなってるか、僕に見せてごらん」
「えっ!?」
 ――そんなこと、できるわけないっ……!
 これまで幾度も彼と触れ合っているけれど、自分の局部を明るい場所で晒したことなんて一度もなかったのに。
 ぎゅっと目を閉じて――想像しただけで全身が熱くなった。火照った肌から、一瞬にして汗が噴き出す。
「あぁ、でもどの道手錠をされた手じゃ無理だったね。里桜ちゃんができないなら、代わりに僕が脱がせて……広げてもいいよね?」
 固まってしまった私を一瞥して笑ったあと、奏くんが私のショーツに手をかけた。
 反射的に上体を起こして拒もうとするけれど、間に合わない。あっけなくショーツが引き抜かれ、剥き出しの秘部が暴かれる。
「ぁっ……だめ、見ないでっ……!」
「きれいだよ。里桜ちゃんの……濡れて光って、ひくひくして」
 今度は下着越しじゃなくて、直接。彼の指が触れる。
 入り口の縁をなぞり、潤んだ粘膜を押し広げて――普段、誰の目にも触れることのないその部分を、熱心にじっと覗き込まれる。
「……恥ずかしすぎて死んじゃうっ……!」
 どうしたらいいかわからなくなって、思わずくっついた両手で顔を覆った。
「本当に恥ずかしいだけ? ……もっと別の感覚が湧いてきたりしない?」
 ――別の感覚?
「全身の毛が逆立つような、ぞくぞくするような……さ」
「あっ、だめぇっ……!」
 刹那、下腹部に鮮烈な刺激が走った。反射的にそちらを見ると――奏くんが下肢に顔を埋め、舌を這わせていた。
「やぁあっ……んんんっ……!」
「恥ずかしい場所、見られながら舐められるの……堪んないでしょ?」
 舌先で秘裂を愛撫しながら、彼の視線は相変わらず私の恥部に注がれている。
 全部見られてる――本当なら詳らかにすることのない場所を、奏くんにくまなく見られている。
 そう知覚するとまた全身が燃えるように熱くなって、与えられる快感が増幅されていくような気がした。身体の奥から湧き上がってくる、知らなかった衝動。
 彼の言う、『別の感覚』をはっきりと意識した瞬間だった。
「ここ真っ赤に充血して……舌で突くたびに、入り口からとろとろしたのがいっぱい溢れてくるね……」
「あぁっ、だめ――そこっ……!」
 入り口のそばにある敏感な粒を刺激されると、それまでとは比較にならない悦楽が襲いかかってくる。
「すごい反応。いいよ、いっぱい舐めてあげる――」
「だめ、だめぇっ……やぁあああっ……!!」
 凹凸のある舌の表面で、感じやすい粘膜を何度も何度も刺激される。ぐにゅぐにゅとした柔らかな感触も相まって、快楽のゲージが急速に高まって――振り切れてしまった。
 無意識に腰を突き出しつつ、その余韻を味わうみたいに全身に緊張が走った。左右の手首を繋ぐ鎖が、冷たく軋んだ音を立てる。
「あれ、もうイッちゃった? まだ早いよ」
「んんん~~~……!!」
 もう気をやってしまったのだから、解放される。
 そう思ったのに、彼は許してくれなかった。むしろもっと乱れろとばかりに両手で腰を掴んで引き寄せると、舌を膣内にねじ込みながら粘膜の上を蠢かせる。
 絶頂後の弛緩した身体を、指ではないものに強引にこじ開けられた。柔らかくぐにゅぐにゅとした感触がさらに私を追い立ててくる。
「だ、めぇっ――止めて、おかしくなっちゃうからぁっ……!」
「だーめ。今日は僕なりの愛しかたでいいって話だったでしょ?」
「でもっ……! ぁああっ……!」
 僕なりの愛しかた――今までよりもずっと深くて、執着すら感じる愛情表現。
 必死に逃れようとするけれど、男性である奏くんの力には敵わない。がっちりと押さえられた上に、脚の間に頭を入れられてしまってはなすすべがなかった。束ねられた両手がむなしく宙を掻く。
「奏くんっ……だめぇっ――本当に……こんなの、おかしくなっちゃうよぉっ……!」
 味わったことのない突き抜けるような愉悦は、苦痛を伴っていた。私はなりふり構わず叫んだ。
 ――気持ちいいのに、感覚の鋭さに耐えられそうもない。すぐに振り払いたくなるような激しさで、我を忘れてしまうのではという恐怖にとらわれる。
「そうそう。そうやって、乱れる里桜ちゃんの姿が見たかったんだ。敏感になってるときにイイところ責められると、そうなっちゃうよね」
 そんな私の姿を見て、奏くんが興奮交じりにうれしそうにつぶやく。今の私には、喋ったときの吐息が粘膜に触れることさえソフトな刺激に変わってしまうのだ。
「蕩けた顔、ちゃんと見たいな」
 奏くんは顔を上げると、さっきそうだったように、私の真上に覆いかぶさるような体勢に戻る。
「かわいいよ里桜ちゃん。いつもの君も好きだけど……今の君は、もっとかわいい」
 手のひらで優しく頭を撫でられる。普段通りの所作のはずなのに、眼差しにはやっぱり湿り気を帯びた情欲が潜んでいる。
「心配しなくても……僕は里桜ちゃんに夢中だよ。浮気したなんて思わせないように、これからは徹底的に愛してあげるからね?」
 黒々とした瞳が妖艶な笑みによって細められる。ちょっと怖いと思うのと同時に、その目に惹かれはじめている自分がいた。

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