敏腕副社長は生真面目秘書を痺れるほど甘い執愛に陥落させて

書籍情報

敏腕副社長は生真面目秘書を痺れるほど甘い執愛に陥落させて


著者:沙布らぶ
イラスト:千影透子
発売日:2023年 10月27日
定価:630円+税

水島由加里はYAC工業株式会社副社長付きの秘書として働いている。
副社長・屋久野知樹は有能であるばかりでなく、YAC工業のため社内改革を推し進めていた。
ある日、知樹と由加里は新規アプリのプレゼンのため出張にきていた。
トラブルが発生したものの、プレゼンは無事に終わり、打ち上げとしてレストランで夕食を共にすることに――。
お酒も入り、普段より打ち解けながら会話が弾んだ二人だったのだが、由加里は仕事では見られない知樹の姿にときめきを感じて……?
知樹がふと零した弱音に、真面目な彼女は心からの真摯な気持ちを伝える。
そのとき、ふらついた知樹に由加里が駆け寄ると、ぐっと抱き締められてしまい――!?
思わぬ彼の行動に、由加里は秘めていた知樹への感情を大きく揺さぶられることになる。
そのまま、ホテルの部屋で由加里は知樹に熱く甘く抱かれるのだった……。
「……知らなかった。君は――触れると、こんな声を聞かせてくれるんだな」
週明け、何事もなかったかのように仕事をする二人だったが、なぜか知樹がデートを申し込んできて――?

【人物紹介】

水島由加里(みずしま ゆかり)
副社長付きの秘書を努める27歳。
秘書らしく真面目で気遣いができるが、少し真面目すぎる一面も。
知樹への秘めていた想いを揺さぶられてしまい……?

屋久野知樹(やくの ともき)
YAC工業株式会社副社長の29歳。
ストイックで自信にあふれているが、由加里の前ではやや気弱になることも。
社内改革のために奮闘している中、由加里の存在には何度も救われていて――?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 部屋の一番奥にあるベッドルームは、クイーンサイズのベッドがどんと鎮座していた。壁と床は木目調で、照明の薄暗さも相まってかなり落ち着いた空間が演出されている。
(普通に泊まるだけだったら、素敵な部屋なんだろうな……)
 残念ながら、今の由加里にそんな余裕は一切なかった。
 ギクシャクとしたぎこちない動きでベッドの上に腰かけた由加里の隣に、知樹も腰を下ろす。
 ――ぐっと腰を抱き寄せられると、体が大げさにはねた。
「別に、そう緊張することじゃない」
「……相手が副――知樹さんだから、緊張するんです」
 これまで由加里は、しっかりとプライベートと仕事を分けてきた。社内恋愛が禁止されているわけではないが、その境界を曖昧にすると自分が働きにくくなるのは容易に想像できるからだ。
「仕事の延長だと考えているから緊張するんだ。単純に、ここにいるのはちょっと顔を知っている程度の、知り合いの男だと思えばいい」
「そ、そんなの無理で――んんっ……!」
 大きく開いた唇を、知樹のそれがぱっくりと食んでくる。
 触れた唇の熱さに体がふるっ……と震えると、彼は強く由加里の体を抱き寄せてきた。
「んんっ、ぅっ……ふ、ぁっ……」
 ちゅ、と音を立てて唇をついばまれ、角度を変えたくちづけが何度も繰り返される。
 優しく触れるようなキスの雨に、一瞬強張っていた体から力が抜けていくのがわかった。
「ん、ちゅっ……は――と、知樹さん……?」
 何度目かのキスの後、ようやくゆっくりと唇が離れていった。
 そういえばこうして誰かと触れ合うのは、ひどく久しぶりのような気がする。
「なるべくじっくりと、君のことを愛したいとは思っている。だが……すまない、あんまり余裕がないみたいだ」
 謝罪の言葉を口にした知樹だったが、その視線は艶めかしく挑戦的だ。
 かすかに欲望の光が宿った瞳は、普段由加里に見せる理知的なものとはまるで違う――本能を揺さぶってくるかのようなその視線から、目をそらすことができなかった。
「ひどいことをするつもりはないが、もしも君のことを傷つけそうになったら、思い切り殴ってくれ」
「な、殴ってって……」
 いくらなんでも、知樹がそこまでのことをするとは思えなかった。
 酒に酔っているとはいえ、理性まで失っているとは思いたくない――思いたくはなかったが、こういう状況になってしまった以上は由加里も胸を張ってそうは言いきれなかった。
「……殴りません。あの、い、痛いのは無理ですけど、それ以外なら大丈夫です……」
 由加里としては、そう言うのが精いっぱいだった。
 本当に彼のことが嫌いで、男性として見られないというのなら最初から部屋にはついてきていなかっただろう。
 お互いの下心や、胸の内に抱いていたいろいろな感情をお酒のせいということにして、今二人は抱き合っている。
「そうか。……うん、痛くするつもりはないよ」
 そう言って、知樹は少しだけ笑ったようだった。
 ふっと吹き出された吐息が、首筋にかかってくすぐったい――そのすぐ後に軽くその場所を吸い上げられて、かすかな刺激に肩が跳ねる。
「んぁ、っ……」
 ちぅっ、と小さく皮膚を吸い上げられ、それからその場所を熱い舌先が舐っていく。
 まるで確かめるように肌に触れてくる知樹の肩に手を置くと、彼は甘えるように由加里にすり寄ってきた。
 普段とは違うその姿がなんだか可愛らしく思えて、そっと彼の髪を撫でてみた。
「……子どもじゃないんだけどな」
「ご、ごめんなさい……その、つい……」
 顔を上げた知樹がむっと唇を突き出してきたが、普段よりもずっと幼いその仕草は由加里からしてみれば可愛い以外の何物でもない。
 母性本能というわけではないが、普段強く自分を律している男が違う姿を見せてくれるのが、由加里の心の深い場所を揺さぶってくる。
「なんていうか……知樹さんがこういうこと、する人だって思わなくて」
「ベッドの上でも自分勝手な人間だと思っていたか?」
「い、いえっ! そういうわけではなくてっ……」
 慌てて首を横に振った由加里だったが、ニヤッと笑う知樹の姿に、からかわれたことを理解した。
 普段はあんまり冗談を言うような人でもないし、よほどお酒が回っているのだろう。
「触れたいって、思っていたんだ。千載一遇のチャンスだから、この機会にたっぷり触れておきたくて」
「それって……仕事中とかに、ですか?」
 知樹の長い指先が、ブラウスのボタンをゆっくりと外してくる。
 あらわになっていく鎖骨と、淡い色の下着――それを丁寧に脱がせてから、彼はようやく口を開いた。
「そうだって言ったら? 幻滅する?」
 その言葉に、由加里が返事を返すことはできなかった。
 別に、そんな風に言われたくらいで幻滅なんてしない。ただ、知樹が話すその言葉が冗談であるのか本音であるのかを図りかねていた。
「仕事の最中に君をどうこうしたいとかは、考えないようにしていた。だけど少しだけ手が触れたり、肩がぶつかったり……そういうラッキーがあったら嬉しいな、くらいには考えていた」
(そ、それってラッキーっていうの……?)
 上機嫌に由加里の服を脱がせにかかる知樹は、そのまま由加里の体をベッドの上に押し倒してきた。
「あっ……」
「明るいのはよく見えていいが、これだと少し気恥しいな」
 目元をほころばせた知樹は、そういってサイドテーブルにあった照明のリモコンを弄る。
 ぼんやりとした間接照明の光が、徐々に暗くなっていく――やがて部屋の明かりは頼りなさげなフットライトのみになってしまった。
(もしかして、気を遣ってもらった……?)
 煌々と電気がついていて恥ずかしいのは、由加里も同じだ。
 知樹のおかげでそれを口にすることはなかったが、正直ホッとしている。おそらく知樹は、それに感づいてすぐに明かりを落としてくれたのだろう。
「あぁ、これでいい。自分が君に何をしようとしているのか、想像しなくてよくなったよ」
「え、そん――ッんぁ……!」
 薄く笑った知樹が、そのまま鎖骨に軽く歯を立ててきた。
 痛みはなかったが、前歯で火照った肌を軽く嚙まれると甘い痺れのようなものが体を駆け抜けていく。
(な、なに……今の声……っ)
 悲鳴じみた声を上げてしまった由加里だったが、思っていたよりもその声は甘ったるく喜悦を孕んでいた。
 自分の口からこんなにいやらしい声が出るものなのか――恐ろしくなって口元を手で覆おうとすると、知樹の左手がそれを阻止してくる。
「声は我慢しないで」
「でも、な、なんか変な……」
「いいから。……もっと聞かせてほしいんだ。君が俺に触れられて感じてる声、もっと聞きたい……」
 掠れて熱っぽい声でそう囁いてきた知樹が、先ほど噛んだ場所をゆっくりと舐め上げる。
 たっぷりの唾液をまぶした舌先でぬるりとヒリつく場所を舐められて、羞恥とはまた違った愉悦が体の奥からせりあがってくる。
「ンぁ、ぁ……や、だめっ……」
 甘く上ずった、まるで媚びるような声。
 これまでできるだけ他人に見せないようにしていた、自分の弱い部分が無理矢理さらけ出されているみたいだ。
 ふるふると首を横に振って声を堪えようとしても、知樹の唇は火照りきった肌の上を滑り、時々戯れるようにして吸い付いてくる。
 そうしてその唇が柔らかな乳房に触れると、ほのかな愉悦が確かな快感となって花開いた。
「あ、ぁっ……!」
 白く柔らかな双丘に唇を押し付けた知樹は、右手でそっと柔肉を包み込む。
 壊れ物に触れるかのような手つきで乳房に触れてきた彼は、やがてゆっくりとその場所に指を沈み込ませてきた。
「ふ、ぅうっ……」
 敏感にしこり始めた先端を避けるようにしながら、知樹はゆっくりと味わうように柔肉に指を這わせ、揉みこんでくる。
 丁寧な愛撫自体はそれほど強い刺激にはならなかったが、丸い女性の象徴を、尊敬している知樹に触れられていると思っただけで、おなかの奥の方がジンジンと熱を灯し始めた。
「や、ぁんっ……ふ、くしゃちょ……」
「名前」
「ッん、と、知樹さん――だめ、ぁっ……」
 短くたしなめられて、びくっと肩が跳ねた。
 消え入りそうな声で懇願しても、知樹は柔肉を弄ぶのをやめてはくれない。
「っは、んんっ……」
 胸の付け根から先端にかけてを指先でなぞられると、くすぐったいのと同時にもどかしさが頭をもたげてくる。
 じぃんと甘く痺れる胸の中心、熱を宿した朱蕾の先端に触れてほしくなって、由加里はいつしか体をもじもじとくねらせていた。
「んぁ、あっ……」
「切なそうだな。焦らされるのは嫌いか?」
 おそらく知樹は、由加里が何を求めているのかを理解している。それでいてこんな風に訪ねてくるのだから意地が悪い。
「や……も、胸が、っ……」
 すすり泣くような声でそう呟くと、彼はようやく柔肉を弄う手を止めた。
 かすかな刺激を受け続けて色づいた乳蕾に、肉付きの薄い指が触れる――形のいい爪の先でカリッと敏感なところを引っかかれて、頭の奥の方で火花が散った。
「ひ、ぁあっ!」
 大げさなくらいに、体がビクビクと跳ねる。
 触れてほしくて仕方がない場所を爪で何度か刺激され、由加里は甘ったるい嬌声を上げた。
「あ、っ……ンぁっ、あ、ぅっ……」
 細い腰をしならせ、白い下腹部をわななかせながら強い快感に耐えるその姿を、知樹がじっと見下ろしている。
(見られ、てる……副社長に、こんなところ……)
 だが、今はその羞恥よりも愉悦が大きく勝っていた。
 焦らされていた乳首への刺激を受けた由加里は必死に快感に流されまいと耐えていたが、足の間からはとぷっと愛蜜が溢れてくる。
 懇ろに慣らされて、体が知樹を求め始めているのを否が応でも認識させられていた。
「……知らなった。君は――触れると、こんな声を聞かせてくれるんだな」
「ん、っ……」
 知樹の声も、興奮でかすかに上ずっていた。
 この一年間、由加里は知樹の自信に満ち溢れた、強いビジネスパーソンとしての姿だけを見ていた。
 その認識が、今日一晩で大きく変化する。
 弱々しく俯くその姿も、蠱惑的にこちらを見つめるまなざしも――初めて知る知樹の一面に、心の中を大きく掻き乱されていく。
「由加里」
 低く、けれどとても優しく名前を呼ばれて、胸の奥が鷲掴みにされたかのように苦しくなった。
 呼ぶ声のする方に視線を向けると、そのまま唇を柔らかく食まれてしまう。
 やがて熱い舌が唇を割り、ゆっくりと咥内を撫でまわしていった。
「ん、むっ……んちゅ、ぅっ……」
 吐息とかすかなリップ音だけが、二人きりの部屋の中に響いている。
 潜り込んできた舌先は歯列をなぞり、舌を絡めとってきた。咥内の粘膜ごと蹂躙するようなキスに、目の前がクラクラして思考がぼやけていく。
「ふ、むぅっ……ンぁ、ぁん、んっ……」
 目がくらむような口づけは、永遠に続くのではないかと思えるほどに長い。
 下唇を食まれてようやくキスが終わると、由加里の視界は涙で滲んでしまっていた。
「っは……、は、っ……」
 甘く激しい口づけが終わると、体には思うように力が入らなかった。
 ぐったりとベッドの上で四肢を投げ出した由加里は、しばらくの間呆然と天井を眺めていることしかできない。
 すると、知樹がおもむろに体を起こし、自分が着ていたシャツのボタンを外し始める。
「ぁ……」
 スーツを着ていると細身に見えるが、その体は思っていたよりもしっかりと鍛え上げられていた。均整の取れた体は美しく、シャツを脱ぎ捨てると暗がりの中でも月明りを受けてうっすらとそのラインが見える。
「なるほど、視線を感じると――暗くても恥ずかしいものだ」
「ご、ごめんなさい……」
 笑いを含んだ声でそう言われて、とっさに謝罪が口をついて出た。
 すると知樹はクツクツと喉を鳴らして、それから人差し指でふにっと由加里の唇を押さえてくる。
「謝らなくていい。君に見られていると思うと興奮する、って思っただけだ」
「……興奮」
 知樹に聞こえないように、口の中だけでそう呟く。
 正直に言って、彼はそんな言葉とは無念の人間だと思っていた。由加里が知っている屋久野知樹という人間は、常に理性的で――こんな風に優しく誰かに触れたりするような人間だとは思っていなかった。
(考えてみれば、本当に……仕事の時の副社長しか、知らなかったんだな……)
 秘書だからといって、私生活まで干渉を許されているわけではない。
 知樹には知樹の、由加里には由加里のプライベートがあって、そこの線引きはとても明確だった。
「あ、あの……知樹さん、さっきわたしの名前……」
「自分のことを名前で呼ばせておいて、俺が君のことを水島さんって呼ぶわけにはいかないだろう。あぁ、でも――いいね。由加里って呼ぶと、本当に恋人同士みたいだ」
 恐らく、知樹は笑っていたはずだ。
 暗くてその表情はよく見えなかったけど、軽く空気を吐き出すような音が聞こえた。
 恋人のようだなんて、嘘であったとしても言われて嫌な気はしない。そう思ってしまえるほど、いつしか由加里は知樹に対して憧れを抱いていたようだ。
「もう少し、君に触れてみたい」
 ぽつりと知樹が呟くと、先ほどまで丹念に胸を弄っていた手がゆっくりと腰のところまで下りてくる。
 スカートを脱がされた後で指先で軽くショーツを引っ張られて、一瞬だけ由加里の体がこわばった。
「んんっ……」
「……怖いか?」
 それでも、その問いかけには首を横に振る。
 ここから先に訪れるものを、全く恐れていないわけではない。だが、それよりも身中でくすぶる熱が大きくなって――どうしようもなく、知樹に触れられたくて仕方がなかった。
「大丈夫――こ、怖くないです」
 微妙に声がひっくり返ってしまったが、知樹は笑うことも、茶化すこともしなかった。
 そっと前髪をかき上げられて、柔らかな唇を落とされる。
「んん……」
 くすぐったいようなキスの後で、そのままショーツを引き下ろされた。
 かすかに潤んだ秘裂にそのまま指が這ってきて、由加里の体が大きく震える。
「ひ、ぅっ……」
 丁寧な愛撫を繰り返されて、その場所はすでに蜜を湛えている。
 中指が蜜口を割ってゆっくりと挿入されると、なんとも言えない感覚がせりあがってくるようだった。
「っは、ぁぅっ……ん、んっ」
「息を吐くんだ。ゆっくりと、体から力を抜いて」
 長く硬い指先が、浅い場所をくちくちと刺激してくる。
 思わず体を固くする由加里の耳元で、知樹はそっとそう囁いてきた。
(力を抜く、って言ったって……こんなの、無理っ……)
 だが、一方で由加里の方もギリギリだった。
 自分の意志とは裏腹に体が緊張してしまって、うまく知樹のことを受け入れられない。体はとろけそうなくらい熱いのに、どうにも下腹部に力が入ってしまう。
 おそらく彼の方もそれを察したのか、一度指先を動かす手を止めて体を起こしてきた。
「す、すみません……あの……」
 気分を、害してしまっただろうか。
 一瞬で体の熱が冷め、由加里はギュッと胸の前で手を握りしめた。
 頭の中でいろいろな可能性が頭をよぎり、そのどれもが最悪の可能性を指す――おずおずと知樹の表情をうかがうと、彼は不思議そうにまばたきをして首を傾げた。
「なんで謝るんだ?」
「だって、その――き、緊張しちゃって」
「緊張しているのは俺だって同じだし、そのことで君を責めたりはしない」
 淡々としていたが、その言葉はなによりも由加里のことを安心させた。
 ホッとして息を吐く秘書の姿を見下ろしながら、知樹は優しく太ももに触れてくる。
「指でダメなら別の方法がある。……膝を立てて」
 言われた通りに、そっと膝を立てる。すると知樹は、その足をぐっと開いて自らの体をその間に滑り込ませた。
「ひぁっ……」
 潤んだ秘処が丸見えになってしまうような形になって、つい悲鳴が上がる。
 だが、知樹はそんなことお構いなしに体を屈め、二本の指先で淫裂をくにっと広げてきた。
「あぅ、っ……ン、ぁあっ……」
 その瞬間に、先ほど引いた熱が再びぶり返してくる。
 その様子を見ていた知樹はさらに身を屈め、あろうことか蜜口に熱い舌を這わせ始めた。
「んっ、んやぁっ……ッひ、知樹、さんっ……」
 ぬるりとした舌と唾液の感触に、高い悲鳴が上がる。
 知樹は浅い場所を丹念に舐め上げ、溢れてくる愛蜜を掻き分けてかすかな刺激を与えてくる。
「ふ、ぅぅっ……ンぁ、あっ……」
 くちゅっ……と小さな音を立てて、浅い場所が攪拌される。
 最初は強い羞恥が頭をもたげてきたが、それもすぐに快感へと置き換わっていった。指先よりも柔らかな舌先の感覚は、強張った体を簡単に解きほぐしていく。
「は、ァっ……んん――ぁ、そんな、っ……舐めちゃ、だめぇっ……」
 あえかな声を漏らしながら、白い由加里の裸体がびくっと跳ねる。
 当然その変化を知樹が見逃すはずもなく――巧みにうねる舌は、火照った膣口を丹念に刺激していった。
「ッは、ぁ……あ、と――知樹さん、待っ……んぁあっ……!」
 ぢゅるるっ、と蜜を啜り上げる動きですら、今の由加里にとっては甘美な刺激になった。
 ぎゅっとシーツを握りしめて快感に耐えようとするも、緊張のほぐれた蜜口はさらなる快感をねだるようにヒクヒクと開閉を繰り返していた。
「ん――大分ほぐれてきた、かな……? これならもう、指先も……ほら、入った」
「あ、ぁっ……」
 知樹が言う通り、舌での愛撫を受けて頑なだった秘処は柔らかく蕩けはじめていた。
 それを確認した知樹がもう一度指先で秘裂をなぞると、今度は簡単に指先が飲み込まれていく。
「んんぅっ……く、ぅっ……」
 うねる膣肉は、まるで誘うように蠕動して知樹の指先を奥へ奥へといざなっていく。
「は――すごい、な……」
 先ほどまでは指の第一関節すらも挿入できなかった蜜口に、知樹の指がずぷずぷと突き立てられた。媚肉を撫で擦り、押し込むような動きをしながら奥に進む指先に、由加里の下腹部がびくびくとわななく。
「や、ぁあっ……ンっ、んぁっ……」
「大分慣れてきたか? さっきよりは――苦しくはなさそうだ」
 確かに、痛みや苦しみはなかった。
 その代わり身を焦がすような焦燥感と、悶えるような快感が一気に体を責め立ててくる。
 もっと触れてほしい――そんな浅ましい願いが、頭の奥で浮かんでは消えていく。
「苦しく、ないです……」
 そう答えると、知樹の指で慣らされヒクつく淫裂に、二本目の指先がくぷんっと挿し込まれた。
「んぁ、ぅっ……」
「あぁ――二本挿入れても大丈夫そうだな」
 人差し指と中指が、ぬかるんだ蜜壺の中をバラバラに動いていく。
 溢れてくる愛蜜をかき混ぜるその動きに腰を跳ねさせた由加里の様子を眺めながら、知樹はふーっと深く息を吐いた。
「これだけほぐれているなら、もう……流石に大丈夫か」
 熱で掠れた声が鼓膜を揺らしたかと思うと、埋められていた指先がゆっくりと引き抜かれる――次の瞬間にはジジッ……とファスナーを下ろすような音が聞こえてきた。
(ぁ――そう、だ……)
 これだけで終わりじゃない。限界まで高められた体は、この後に訪れる愉悦を察知し、それを待ち望んでいる。
「んぅ、ぁ……」
 内腿に、逞しい熱の感覚があった。
 窮屈そうに下着に収まっていたものを取り出した知樹は、ふーっと深い息を吐いて髪をかき上げる。その仕草すらも妖艶に見えて、由加里は思わずごくりと喉を鳴らした。
(ほ、本当に……副社長としちゃうんだ……)
 内腿に感じていた熱は、やがてにわかに潤んだ淫口に突き付けられる。
 丸い亀頭がぴっとりと押し当てられて、その熱さに由加里は息をのんだ。

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