軍人公爵様は悪女な未亡人を愛してやまない ~嫌われているはずなのに甘く抱き潰されています~
著者:市尾彩佳
イラスト:逆月酒乱
発売日:2023年 2月9日
定価:630円+税
25歳のミランダは、夫であるボールトン公爵当主の葬儀を迎え、墓の前で一人泣いていた。
そんな彼女の前に亡き夫の一人息子、ブライアン・スィブルトンが現れた――。
軍に所属し大隊を指揮する指揮官である彼が駐屯地から戻ってきたのだ。
困窮した実父にボールトン公爵家に連れてこられた13歳の頃から、ミランダはブライアンに淡い恋心を抱いている。
だが、ブライアンの父であるボールトン公爵当主がミランダを嫁に迎えると、彼は屋敷を去ってしまった。
財産目当ての女狐だと、ミランダのことを嫌って……。
5年ぶりに再会した彼の態度からまだ自分が憎まれていることを実感するミランダ。
葬儀を取り仕切ったあと、静かに屋敷を出ようとしていた彼女だったが、なぜかミランダの部屋にブライアンが訪れてきて……!?
ブライアンと交わした初めてのキスはひどく苦く甘いものであった。
嫌われているはずなのに、ミランダはブライアンに激しく抱かれてしまい――?
【人物紹介】
ミランダ・スィブルトン
ボールトン公爵未亡人。ロイデン子爵第二子。
慎ましやかで義理堅く、義理を果たすためには強い意志を見せることもある。
ブライアンには13歳の頃から想いを寄せているのだが、誤解され嫌われてしまったことに胸を痛めている。
ブライアン・スィブルトン
ボールトン公爵嫡男。軍の指揮官を務める。
正義感があり、責任感も強い。
出会った当初からミランダを無意識に特別に感じている。
ミランダのことを悪女だと思っていたのだが――?
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【試し読み】
髪をほどき終えると、ブライアンは上に乗ったまま、肌着(シュミーズ)の上から再び胸を揉んできた。感度を確かめるように慎重な手つきで柔肉に沈む指に、ミランダはいともたやすく先程の胸への愛撫やキスで呼び起こされた感覚の中に戻された。
かすかな甘い痺れが羞恥とない交ぜになって、鼓動を速め、呼吸を忙しなくさせる。視界がぼんやりとして、顔が止めようもなく緩んでいくのが感じられる。
ふと目を上げれば、ブライアンがミランダをじっくり見下ろしていて、頬がじんわりと熱を帯びた。
「イイ顔をするようになったな。やっぱりスキモノなんじゃないか」
ブライアンはにやりと笑うと、再びミランダにキスをする。
何を言われたかわからなかったけれど、きっと侮辱なのだろう。
悲しみが心に広がる。
なのに、どうしてだか顔の火照りはおさまらない。それどころか、身体まで熱くなる。
ブライアンの両手が、ミランダのそれぞれの胸を絞り上げた。肌着越しにもわかるつんと立ち上がった乳首を、人差し指で同時に弾く。
その衝撃が痺れとなって胸を中心に広がり、ミランダは思わず声を上げた。
「あ……ッ」
鼻にかかった甘えたような声に、ミランダは驚いて両手で口をふさぐ。
ブライアンは軽蔑の笑みを浮かべ、ミランダの両手首を大きな左右の手でつかんで口元からどけさせた。
「初心なふりもここまでだな。慣れてない女がこんなイイ反応するわけないじゃないか」
抉るような胸の痛みが、ミランダの表情を奪い去る。
それを見て、ブライアンは満足げに笑う。ミランダの両手をまとめて頭の上で押さえ込み、空いた片手で再び顎をつかむ。
「よせよ。傷付いた顔をしたって無駄だ。公爵家からおまえがむしり取った金の分、きっちり身体で返してもらうからな」
ブライアンの顔が下りてきて、ミランダの開いた口に唇を重ねる。
さっきは噛み合わせた歯が奥への侵入を阻んだが、今回はそうはいかなかった。ブライアンの舌はたやすく歯の奥まで侵入し、逃げ惑うミランダの舌をからめ取ろうとする。
狭い口の中に、逃げられる場所などほとんどない。口腔を舐め回すブライアンの舌に、ミランダの舌は押し退けられたり、逆に舐め上げられたりする。予測のつかない彼の動きに口の中全体がじんと痺れてきて、頭も次第にぼんやりとしてくる。
気付いたときには、ブライアンの唇はミランダの首筋に移っていた。舌でなぞられながら、時折強く吸われたり甘噛みされたりする。食われそうな錯覚は、ミランダに恐怖ではなく興奮を呼び起こした。心臓は早鐘を打ち、息があがってくる。
ブライアンの口が鎖骨からさらに下へと移動し、布コルセットごと肌着を押し下げて胸のふくらみをあらわにした。
胸の谷間に顔を埋められ肌をきつく吸われる。熱い吐息を感じ、意外と柔らかなダークブロンドの髪に首元をくすぐられ、わけもわからず喉が鳴る。
「ん……ン……」
ブライアンが胸元から唇を離して言う。
「声を聞かせろよ」
「こ……え……?」
戸惑いながら声を出すと、ブライアンは顔をしかめた。ミランダは彼の気に障ってしまったのだと思い委縮するが、それは違った。幼い子供のようなつたない声に過去の記憶を掘り起こされそうになり、ブライアンはそれを阻止すべく眉間に力を込めただけだ。
そうとは知らないミランダは、過去から気をそらそうとしたブライアンに膨れた乳首をつままれ、思わず叫んでしまう。
「ひぁんッ……!」
自分の声とはとても思えないそれに羞恥を覚える。見下ろしてくるブライアンの嘲りの笑みを見て、ミランダは屈辱に頬を染めた。
「イイ声だ。我慢せず、ずっと聞かせてろ」
粗暴な口調に男らしさを感じてしまい、ミランダの胸はきゅんとうずく。
傷付かなければならないのに。嘲られて胸を高鳴らせるなんてどうかしてる。
そう思うのに、いやらしくまろび出た乳房の、その頂でぷっくり膨れ上がった乳首に口をつけられると、ミランダの思考は羞恥と快楽で吹き飛んだ。
「ひぁ……! あ! あぁっ、あっ、あン……ッ」
乳首とその周りを口に含まれ、舌先で蕾を転がされたりねっとり舐められたりする。そのたびに、ミランダは我を忘れてあられもない声を上げる。
羞恥も今や遥か彼方だった。熱く湿った舌にもてあそばれた乳首はじんじんとした疼きを体内に広げ、手足の指先までこれまで感じたことのない快楽に染めていく。その感覚はミランダには強すぎて、耐えようとしてすぐそばに在るものにすがりついた。胴回りを覆うベストは硬いので、太い腕にまといつく薄手のシャツを震える手で握りしめて。
ブライアンは思わず動きを止めた。何人もの男を咥え込んでいるはずの悪女が、どうしてこんな清らかな反応をするのだろう。演技に見えない。それゆえに惑わされそうになる。
出会ったころに慈しみたいと思ったあの少女と変わりないのだと。
気の迷いを振り切って、ブライアンは胸への愛撫を再開した。
ブライアンがおかしな様子を見せたのは一瞬のことだったので、ミランダは彼の葛藤に気付かなかった。すがりつくものを得て、わずかばかりの安らぎを覚えたせいもある。
ミランダにとって実家の家族は安らぎとは程遠かった。公爵家に来て、使用人たちやハーディに優しくしてもらったけれど、彼らからは一歩距離を置かれているのを感じて、完全にはなじむことができなかった。
ブライアンだけなのだ。心と身体の距離を一気に詰め、安心感をミランダに与えた人は。
――もう大丈夫だ。
その言葉通り、ミランダを虐める人々を追い払い、屋敷に近付けないようにしてくれた。
ミランダにとって、ブライアンは絶対の信頼を寄せられる人。嫌われようが罵られようが、そのことに変わりはない。
未知の経験は怖くとも、相手がブライアンならば耐えられる。
「何を考えている?」
「え? ――きゃあぁ!」
快楽への怯えからわずかばかりの安らぎに逃げ込んでいたミランダは、腰を持ち上げられ、スカートごとドロワーズを引き下ろされて悲鳴を上げた。取り返そうと手を伸ばすが、つかむ前にベッドから遠くへ放り投げられてしまう。
下衣を取り戻せないとわかると、ミランダはとっさに両手で肌着を引っ張って、足の間の恥ずかしい場所を隠した。
身体を起こしたブライアンは、ギラギラとした笑みをミランダの胸の辺りに注ぐ。
「イイ眺めだ」
それを聞いてミランダは気付いた。下を向けば、肌着を押し下げられてまろび出たささやかな乳房が、恥ずかしい場所を隠すために伸ばした両腕に挟まれて盛り上がっている。ブライアンに見せつけるかのようなそのはしたない格好を目にして、ミランダはまた悲鳴を上げた。
「いやッ!」
片方の腕を上げて胸を覆い、目を固く閉じて顔を背ける。
少しでも隠したくて足を閉じようとすると、内股に何かが当たった。ぎょっとして目を開け見ると、立てた膝の間にブライアンがいる。彼の腰を膝で挟んでしまったと気付き、ミランダは真っ赤になって動転した。
「ごっごめんなさ――」
体勢をなんとかしようとして暴れると、ブライアンは不意にミランダの片足をつかんだ。「ブーツをはいた足で蹴られちゃ敵わない」
それを聞いて怪我をさせるところだったのに気付き、ミランダは暴れるのをやめた。ブライアンがほっそりした脚を折り曲げて足首を持ち直すのを、なすすべもなく見守る。ブライアンは片手でミランダの足を支え、もう一方の手で編み上げられた紐を器用にほどいていく。
ブーツを脱がせてストッキングのみにすると、ブライアンはもう一方の足をつかんでブーツを脱がせた。足はそれぞれブライアンの身体の脇に放り出されたが、ミランダはどうしたらいいかわからず動かせない。
ブーツを脱がせ終えると、ブライアンは自身のベストのボタンを外してあっという間に脱ぎ捨てた。彼がシャツのボタンに手をかけたとき、ミランダは慌てて目をそらす。ついでに瞼もきつく閉じると、からかいまじりの声が聞こえてきた。
「なんて反応をしている? 男の裸なんぞ見慣れているだろうに」
ミランダはいっそうきつく目を閉じた。
誤解だ。ミランダは男性の裸なんて見たことはない。
ふしだらな女と言いがかりをつけられ怒りも屈辱も覚えるのに、どうしてもブライアンを嫌いになれない。
一方、ブライアンは困惑を深めていた。どう見ても彼女の反応が乙女にしか見えない。だが、金目当てで病床の父を身体を使ってたぶらかしたことに間違いはないのだ。そうでなければ、どうして父が四十も年下の女と結婚したりする?
ブライアンは償わせることを躊躇う自分に言い聞かせ、シャツを勢いよく脱いでベッドの下へ落とす。
ブライアンが大きく動く気配がして、かすかに布地が落ちる音が聞こえた。
両膝に大きな手のひらを感じる。そして足を大きく割り開かれ、驚いたミランダはとっさにそちらへ目を向けた。
両足が、恥ずかしい場所をさらけ出すかのように左右に広げられている。
それより衝撃だったのは、ブライアンの浅く焼けた逞しい身体だった。
ミランダの身体とはまったく違う。筋肉で盛り上がった肩や胸、割れた腹筋。上半身裸で訓練することもあるのか、腹部も腕と同じように焼けている。その男らしい体躯を目の当たりにして、ミランダは頭をくらくらさせた。
ブライアンが口元を歪めて笑う。
「見惚れたか? 軍人ならともかく、ここまで鍛えている奴はなかなかいないだろう?」
ミランダは我に返り、慌てて目をそらす。
無遠慮に見てしまって恥ずかしい。目を閉じもしたけれど、逞しく引き締まった身体が瞼の裏に焼き付いて消えない。
「まあ、悪い気はしないな」
ブライアンは機嫌よくつぶやいて、それから自嘲した。
悪女に見惚れられて得意になるなんてどうかしている。
そもそも、憎み蔑んでいる女を抱こうとしていること自体おかしい。
普通触れるのも、近付かれることさえも嫌悪するところだろう?
ブライアンは認めざるを得なかった。
償わせたいから抱くのではない。ただ、彼女が欲しいから、抱くための理由が欲しかっただけだ。
五年前のあの日、父の寝室の前で祈るように立っていたミランダの姿が思い浮かぶ。
信頼を裏切りながらも、ブライアンの心を惹きつけてやまない女。
そうだ。これはブライアンを裏切った女への復讐なのだ。年下の女に裏切られて傷付いたなどと、大人の男であるブライアンには口が裂けても言えないが。
俺が与える快楽に染め替え、他の男じゃ満足できない身体にしてやる。
肌着を引き下げて秘所を隠すミランダの手の下に、ブライアンは自身の手を潜り込ませる。
淡い茂みをなでられて、ミランダは息を呑み身体を強張らせた。抵抗したくなるのをじっと我慢した。これは罰。ブライアンがミランダに要求する代償。
太くてごつごつした指が、茂みをかき分け割れ目をなぞる。自分でもあまり触れたことがないのに、何度も何度も。月の物が出てくる場所までいじられて、ミランダは耐え難い羞恥にみまわれた。目をぎゅっと閉じ、身体にはいっそう力が入る。
「濡れないな」
ミランダが理解できない言葉をブライアンは呟くと、ミランダが隠している場所から手を引き抜いた。
このあと何をされるのだろう。
ミランダは目を閉じたまま、怯えと、ほんの少し興奮を覚えながらじっと待つ。
さほど経たず戻ってきた指は、何故か濡れていた。その指は、茂みをかき分け割れ目に潜り込んで、中でじんじんと存在を主張していた何かに触れる。
「ひっ」
思いがけない強い痺れを感じ、ミランダは短く悲鳴を上げた。
アクアマリンの瞳に獰猛な光を宿し、ブライアンは空いているほうの手をミランダの乳房を隠す腕の下へ差し入れる。
「カマトトぶっても無駄だと何度言えばわかる? 鳴けよ、さっきみたいにイヤらしく」
「あぁッ! いッ、あッ」
乳首をぐりっとひねられて、ミランダはあられもない声を上げる。
「そうだ。その調子だ」
せせら笑いながら、ブライアンは割れ目に差し込んでいた指を押し込んでくる。その指でこすられるたび、勝手に声が口からこぼれた。
「やッ、あッ」
「これだけ敏感に反応しておいて経験が浅いなんてないだろ。どれだけ男を知ってる? 何度男をくわえ込んだんだ?」
嘲笑と怒りのこもった声。くわえ込むとはどういうことはわからずとも、何人もの男とこういうことをしてきたと決めつけられているのはわかる。
ミランダは傷つき嘆くべきだろう。だというのに、今は与えられる刺激しか感じられない。
乳房を揉みながら人差し指で乳首をもてあそばれ、恥ずかしいところに這わされた指は割れ目の深くを行ったり来たりして中にある敏感な部分をこする。
「んッ……くッ」
食いしばった歯の間から、甘えたような声がもれる。その声にブライアンが自身の瞳を情欲にきらめかせたことに、ミランダは気付かない。
ブライアンの指は幾度となく引き抜かれ、また戻ってきて割れ目とその下のくぼみに潤いを与えていく。ミランダは慣れない刺激を受け止めるので精一杯で、何をどうされているのかほとんどわかっていなかった。
どれほどそうしていたことか。
不意に武骨な指先が自分の中に入ってくるのを感じ、ミランダは驚いて目を見開く。
抱かせろとか身体で返せとか言われても、さすがにここまでするとは思っていなかった。
これ以上は倫理的に許されない。
ミランダは秘部を隠していた手で、もっと沈めようとしている手をつかむ。
「や……やめてください……」
「白々しいことを言うなよ。その声、どう聞いても期待してるみたいだぞ?」
ミランダは押し黙った。自分でも感づいていた。声にまじる震えは怯えや怖ればかりではなかったと。
頬を赤らめそっぽを向くミランダに、ブライアンは苛立ちを感じていた。意図していた反応をどうにも引き出せない。経験豊富な女ならそろそろ欲しいと懇願してもいいころのはずだが、ミランダにその様子は見られない。指を入れられるのでさえ少し恐れているようにも感じる。だが、ためらいがちであっても、間違いなくミランダはブライアンを欲しがっている。これ以上それを否定させてたまるか。
ブライアンはミランダの耳元に口を寄せ、お見通しと言わんばかりにささやいた。
「いい加減演技はやめたらどうだ? そのほうがお互い楽しめると思うがな」
失望が、ミランダの体温を少し下げた。
ブライアンにとって、ミランダはそういう女であるほうが都合がよい。ミランダがどういう女であるか、知りたくもなければ知ろうとも思わないのだ。
ミランダには、ブライアンに抗議をする権利はない。かといって、ブライアンが言うところの本性を演じるつもりはない。
できるのは、抵抗をやめ、ブライアンの好きにさせることだけ。
ミランダは腕から力を抜き、身体の両側に腕を投げ出した。
「反抗のつもりか? だが、どのくらいの時間そうやっていられるだろうな?」
ブライアンはそう言ってミランダを嘲り、再び唇を重ねた。
唇も口腔も蹂躙され、乳房も身体の中心ももてあそばれて、冷えかけていたミランダの身体に再び火が灯る。
先ほど指を沈められそうになった場所に今度こそ指が沈んだとき、ミランダは息を呑んで未知への怯えに耐えた。
「意外と硬いな。ご無沙汰なのか? ――ああ、夫が危ないってときに男遊びはさすがにしないか」
ブライアンの侮辱が胸の痛みとなり、その胸の痛みが身体の中で高まりつつある快楽をあおる。
傷付けられて感じるなんておかしい。どうかしている。けれど、身体の反応をミランダ自身は止められない。
「あうッ、んんッ、んッ、くッ、あっ、やぁッ、そこ……!」
こじ開けられた胎内の奥深く。内壁を強くこすられて、身体がびくんと跳ねる。
「ノってきたみたいだな。もっと感じろよ。濡れてきたがまだ足らない」
教師から授けてもらった閨の知識に、性交を円滑にするために女性器の奥から潤滑液が出るというものがある。
だからだろうか。最初はきつくてなかなか入っていかなかった武骨な指が、今は少しすべりがよくなり押し込まれても最初のきつさは感じない。
それどころか、割れ目の奥をこすられていたときに感じた刺激が、膣の壁をこすられたときにもある。弱めのその刺激は何故か割れ目の奥に集まり、敏感な部分をじんじんさせる。
片方の手で乳房を揉み、もう一方の乳首を舐めしゃぶっていたブライアンが、不意に割れ目に指をはわせた。
「あぁッ!」
「ぱんぱんに腫れているじゃないか。そんなに気持ちよかったか?」
ミランダの乳首から口を離し、ブライアンは嘲ってくる。何を言われているかわからずとも、それもまた快楽に書き換えられて、ミランダをますます熱くする。
なんて浅ましいの、わたし……。
侮蔑も嘲笑も快楽の糧としてしまう。たかぶる身体をもどかしげにくねらせながら、ミランダは悲嘆に暮れる。――ブライアンを愛しているがゆえの反応だということに気付かないまま。
「そんなに気持ちいいなら、もう一本くれてやろう」
何をくれてやるというのか。考える間もなく、ブライアンは膣から指を引き抜き、指より太いものを差し込んできた。
違う。指を増やしたのだ。
最初に指を受け入れたときほどではないけれど、きつい。けれどブライアンは、最初のときより速く、二本の指を沈めていく。
「ん……んん……」
かすかな怖れをこらえ、喉が鳴る。
「どうだ? 気持ちいいか?」
獲物を品定めするようなラピスラズリの眼差しに、怖ればかりではない胸の高鳴りを覚えたミランダは心の中で自らを叱咤する。
どうかしているわ! わたしを嫌い嘲ってくる男(ひと)にときめくなんて……!
ミランダの返事など欲しくはないのだろう。ブライアンは二本の指をミランダの中にすっかり収めると、ばらばらと動かし始めた。
少しひきつれて、先程のような刺激は感じられない。
何を期待しているの? そんな権利、わたしにはないのに。
そう思い雑念を振り払おうとしたそのときだった。
ブライアンは身体を起こし、乳房を揉んでいた手を割れ目に伸ばす。そして腫れたと言った敏感な部分をぐりぐりとつまんだ。
「あぁあぁぁ――!」