一夜の過ちからエリート同期の溺愛が始まりました 〜本気の求愛と強がりな秘密〜
著者:紅カオル
イラスト:北沢きょう
発売日:11月27日
定価:600円+税
男性経験が豊富という周囲のイメージとは裏腹に恋愛をしたことがない理沙は、友人の結婚式の二次会で酔いつぶれてしまう。
彼女が目を覚ますと、ホテルの一室で同期の蓮也とふたりきりになっていた。
経験豊富な理沙のイメージに疑問をぶつけてくる彼を、理沙はプライドから「それなら試してみる?」と挑発してしまう。
駆け引きとして告げたつもりだった理沙のそんな言葉が、彼の雄としての本能を刺激してしまったようで――!?
「素直になれば、もっとよくしてあげるのに」
挑戦的な蓮也に身も心も乱されて――ふたりの淫らな攻防戦が幕を開ける……!?
【人物紹介】
滝川理沙(たきがわりさ)
派手な顔立ちから注目の的になることが多く、男性経験が豊富だと勘違いされている。
実際は恋愛すらしたことがないが、プライドが高い性格から周囲のイメージに合う自分を五年間演じてきた。
気は強いが見た目に反して話しやすく、優しい心の持ち主。
風間蓮也(かざまれんや)
マーケティング部所属。理沙とは同期入社で、一年前に異動してきた彼女と同部署で働いている。
仕事に関しては優秀で、整った容姿から女性人気も高い。
五年前から理沙に想いを寄せており、男性経験が豊富という彼女のイメージに疑問を感じている。
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【試し読み】
(……すごい)
初めて見た射精の様子はものすごく卑猥で、やけに官能的だ。
風間は急いで手を伸ばしてティッシュペーパーの箱を取って数枚掴むと、理沙にかかった体液を拭った。
「ごめん、汚したな」
「ううん、大丈夫だから」
持参したルームウェアはところどころに淫らな染みを作っている。風間が掴んでいた箱から理沙も何枚か引き抜き、自分でも拭う。
風間は熱を放出した自身のものも同様に拭い、ボクサーパンツの中に収めた。
(終わった……。きっとこれでセックスにはならないよね)
フロアにペタンと座った理沙が安堵の息をついたのも束の間、風間が立たせてひょいと抱き上げる。
「えっ、なに、どしたの!?」
いきなりのため思考が追いつかない。
「どうしたのって、これからが本番だろ」
「えっ本番って」
なにを言っているのだろうか。
「次は俺の番」
「やっ、もういいから! 私はこの前ので十分だから!」
「なに言ってんだよ。お互い前戯だけで終わりなんてあるか」
「だ、だって風間くん、もう出しちゃったじゃない」
男の人は一度射精したら終わりではないのか。すぐに回復するなんて聞いていない。
「滝川は男を知らなすぎ」
「知ってます! 風間くん、気持ちよかったでしょ? イッたよね?」
抱かれた腕の中でじたばたするが、風間はびくともしない。理沙を軽々と抱き、隣のベッドルームのベッドの上に優しく下ろした。
「ほんっと素直じゃないね、滝川は。でもそういうのを崩すの、嫌いじゃない」
まるで難解なデータ処理に挑むよう。
「ちょっと待って、風間くん」
「待たない。あんなのされて止められるわけがないだろ」
収まるはずが、逆に風間のスイッチを入れてしまったようだ。
風間は着ていたシャツを脱ぎ捨て、上半身を理沙の前に晒した。逞しく隆起した胸と上腕二頭筋にドキッとさせられる。
理沙のルームウェアもあっさりと脱がされ、ナイトブラとショーツを着けた状態でベッドに押し倒された。
両手を顔の脇で拘束され、唇が塞がれる。すぐに風間の舌に口腔内を侵略されてしまった。引っ込めていた舌を引きずり出されて吸われ、淫らに絡まり、理沙の欲望にじりじりと火をつけていく。
ついさっきしたキスとは違う荒々しさに、漏れる吐息を隠せない。
「んっ……」
「滝川、もっと舌出して」
言われるままに応じる自分を俯瞰で見る冷静な部分もまだあって、なんてことをしているのだろうかと惑う。
この前の夜のようにイカされまくるのかと考えると、少しの不安と、それを大きく上回る期待で体の奥がじんと痺れた。
あっという間に外されたブラジャー。焦らされる間もなく尖端を口に含まれ、ぐっと声を呑み込む。まだ主張を始めていないやわらかな乳輪を舌でしごかれ、唇を噛みしめた。
「気持ちいいのなら我慢するな」
首を横に振って堪えているうちに胸の蕾が吸い出され、突起となって風間の舌の愛撫に震える。じゅるじゅると音を立てて吸われれば、耳まで侵された気になり体のずっと奥の方がじりっと熱を持つのを感じた。
「この前の夜みたいに乱れたらいい」
記憶を呼び覚ます言葉が、理沙の脳内に指令を出す。あの夜の秘め事がフラッシュバックし、羞恥心と興奮がない交ぜになる。
「素直になれって」
風間が理沙の口に指を差し込み、それによる圧迫で理沙は自然と声が漏れた。
「……ぁんっ……」
ほんの数分前にした口淫のように風間の指を舐め回す。
「っは、いやらしいな、滝川の舌」
風間は唾液で濡れた指を引き抜き、そのまま理沙の胸の先端を転がした。舌と指で両方を同時に攻められ、悦楽の渦がいきなり湧き上がってくる。
前回の夜にもたらされた前戯の記憶だけで下腹部がじんじん痺れ、気持ちよさがどうにも止まらない。
(――もうダメ)
そう思った直後、ぴくんと体が跳ねる。軽く絶頂を迎えてしまったのだ。
「今、イッた? 胸で?」
力なく首を振っても誤魔化しようもない。風間はうれしそうに声を弾ませ、ウエストラインをツツツと移動した指先でショーツの中に潜り込んだ。
「――あぁんっ」
ヌルッとした感触は紛れもなく理沙から溢れた蜜だ。
「そんなに気持ちよかったんだ」
風間に意地悪っぽく言われ、なにも返せない。事実、理沙の体はすでにとろとろで、風間に触れてもらえるのを待っているのだから。
「どこに触れてほしい?」
「そんなのっ……」
わかっているくせに。
「ここか?」
風間の指先がいたずらに内腿やヒップラインに移動する。
(――違うの、そこじゃない)
「それじゃ、ここ?」
首を懸命に振って訴えるが、風間もわかっていてわざと見当違いの場所ばかりを指す。
堪えきれなくなった理沙は、思わず風間の手を掴んで自分の秘所に持っていった。
風間がいやらしく微笑む。
「ここだったのか。それなら最初から素直にそう言えばいいのに」
それができないから焦れているのだと目で訴えたが、風間が敢えてそうしているのは理沙にもわかっていた。
なにを思ったか、風間はいきなり理沙の体を反転させる。うつ伏せ状態になりつつ振り返って風間を見た。
「えっ、なに……?」
「なにって、膝立てて」
「どうして」
「いいから」
言われるがまま四つん這いになる。ショーツを脱がされ、風間にあられもない部分が丸見えだ。
「やっ……!」
きゅっと足を閉じたが、当然すぐに開かされる。
卑猥な格好に恥ずかしさが込み上げ、そのくせ下腹部はじゅんと湿る感じがしてもどかしい。
風間は理沙の腿を手で押さえ、そこに顔を埋めた。
「ひゃあっ!」
ぬかるんだ蜜口にそれとは異質の生温かい感触を覚え、理沙がつい腰を引くと、そうはさせるかと風間はぐっと戻した。
「やめてっ」
そう懇願されて止める風間ではない。襞に隠れてひっそりと息づいていた蕾を指で剥き、舌を押し当ててゆっくりと舐め上げた。
「あぁぁーー……!」
鮮烈な刺激が体を駆け抜ける。ガクガクと腰が震え、あっさり達してしまった。腕を突っ張っていられず、ベッドに突っ伏す。お尻だけ突き上げているような体勢だ。
「滝川、むちゃくちゃかわいいんだけど」
「……かわいく、なん……てっ……」
見せかけだけの強がりだと思われただろう。風間はふっと笑みをこぼし、ひくつく蜜口を執拗に舐め始めた。襞を丹念にめくり、解すように優しく。それでいて攻めの姿勢は強硬で、容赦なく理沙を乱す。
「んぁっ、ああ……はっ……や、もう……ダメだか、らっ」
「ダメって割に腰が動いてる」
ククッと笑った吐息がかかり、それもまたもどかしさを与える。イッたばかりのはずなのに、膨らんだ蕾を吸われ、舌で転がされ、またたく間に次の波を連れて愉悦が押し寄せた。
処女のくせに、こんなにも感じていいのだろうか。
この前同様、風間の舌に指に乱されすぎて、自分が自分でなくなっていく。必死に守ってきたプライドごと崩れていくのは目に見えていた。
「ほら、もっとイけ」
これ以上ないほど膨らんだ花芽が、受け止めきれない快感を放とうと痺れたそのとき――。
「ああああっ……!」
三度やって来た絶頂の波が理沙をさらっていった。
腰から力が抜けてベッドに倒れ込んだところを今度は仰向けにされ、休む間もなく大きく開かされた蜜窟に風間は指を突き立てた。
「ぁ……ふっぅ……っ」
「やっぱりまだキツイな」
風間の指がまだ強張りの解けない蜜壁を優しくなぞる。理沙が感じる部分はないかと探りながら、押したり擦ったりをされ、引いていた愉悦がまたたく間にぶり返してくる。
終わりの見えない悦楽の世界は、理沙を完全に包囲していた。
肉厚の舌でゆるゆると舐められれば、穢れを知らないはずの蜜壷は飲み込んだ指をきゅうきゅうと締め上げる。断続的に与えられる挑発は、落ち着く間もなく歓びを植え付けていく。
逃げられないぞ。
そう言われている感覚にゾクゾクし、理沙を乱れに乱れさせる。
「ほんと、に……許してっ、もう……おかしくなっちゃ……んんんっぁ……ぁはっ」
「もっともっとおかしくなれ」
変なプライドなんか捨てろ。そう命じられているようだった。
呼吸は弾み、胸は上下する。
風間の指に合わせて腰が動き、自分を制御できない。
「風間くっ……っふ、ぅ……あぁっあっ」
理沙にオーガズムの兆しが見えたのか、風間の動きが速くなっていく。舌と指、両方に翻弄され、理沙は頭を振り乱した。
「イッちゃ、う……っ……あぁっ……あああああ――……」
ひときわ高く腰が持ち上がり、高みまでいった途端ガクンと落ちる。ゆらゆらと波間を漂う葉っぱのごとく恍惚の波をゆっくりと下りていくと、ぺりっとなにかを破る音が耳に届いた。
重い瞼をどうにか開けると、風間はボクサーパンツを脱ぎ、猛々しく反り立った自身の屹立に薄い膜を装着していた。
ついさっき発散したはずの欲望の塊は、彼のそこに再び宿っている。
「今夜はここで終わりだと思うなよ」
理沙は、処女だとバレるのをもはや気にしているどころではなかった。とろとろにとろかされた体は、風間の熱棒を欲していたのだ。
それは風間に口淫をしていたときから。――いや、その勇ましい姿を目にしたときから。
疼く下腹部にこれを迎え入れたらいったいどうなるのかと、未知の法悦に胸を躍らせていたのだ。
――なんていやらしい。
自分でもそう思うが、それは相手が風間だからこそ。彼となら、想いが通じ合わなくても繋がりたかった。
風間が理沙の足に手を添え、いよいよ理沙の秘所へあてがう。
まだ笠の部分だけだというのに強烈な圧迫感だ。いくら十分に濡れ、解されていても、さすがに指の何倍もの大きさのものはやすやすと入らない。
じりじりと侵入してくるのと同時に、焼けつくような痛みに理沙は歯を食いしばった。
「っは、きつっ……」
風間はそこでいったん動きを止め、じっと理沙を見下ろす。
「……滝川、本当は初めてなんじゃないか?」
馬鹿にするよりはむしろ、優しい、諭すような言い方だった。
ここまできて言い逃れはできないだろう。侵入を拒むような状況を目の当たりにして、風間が気づかないわけがない。
「さんざん経験豊富なふりしておいたくせにって呆れるでしょ」
目を逸らして自虐した。
処女のくせに、なにを強がって経験者ぶっていたのか。弱みを一番見せたくなかった相手に、無様に自分から晒さなくてはならないカッコ悪さが情けない。
「バカだな」
まただ。侮蔑の言葉が胸に響く。
風間の〝バカ〟には愛がこもっているように感じるからたちが悪い。そんなわけがないのに。
「なんでそんな嘘なんか」
「……みんながそう思ってるのに悔しいし恥ずかしいし、違うなんて言えないじゃない」
「普通逆だろ。経験豊富なくせに初心なふりするものじゃないのか?」
「そんなこと言われたって!」
そうなってしまったのだから。みんなが描くような自分でいるしかなくなったのだ。
「ほんっとバカだな」
「そんな実感込めて言わなくてもいいじゃない。どうせバカですよーだ」
つい強がって言い返す。
目を逸らしたままでいると、不意に風間が理沙を抱きしめた。
「それでいい。滝川はそのまんまでいろ」
「なによ、どういう意味? バカがお似合いだって言いたいの?」
どうしてこんなにも素直じゃないのだろうか。
「減らず口はこうしてやる」
「――んっ」
無理に顔を風間に向かせ、唇が塞がる。侵入してきた舌にねっとりと口内を舐められ、最後に舌をきゅっと吸われた。
「滝川の初めてが俺でうれしい。優しくするから」
(うれしいってどういう意味?)
風間の言葉の真意を測りかね、頭の中が混乱する。
プライドの高い女の正体を自分が暴けてうれしいのか、それとも――。
もうひとつの可能性が頭を過ったそのとき、チュッと音を立てて唇が離れた。体を起こした風間が、理沙の腰をぐっと引き寄せる。
「ゆっくり挿れていくから痛かったら言ってくれ」
頼りなく頷き、来る痛みに備えてシーツをぎゅっと掴んだ。
いったん離れた熱い塊が、今度こそ理沙の中を埋め尽くしていく。メリメリと音を立てているのではないかと思える衝撃に、理沙は息を止めて耐えた。
ようやく奥まで飲み込むと、風間は体を倒して理沙をぎゅっと抱きしめた。圧迫感がなくなる気配は、まだない。
「滝川、俺を好きって言え」
風間が唐突に出した指令に耳を疑う。
「……え? なに言って」
「いいから。嘘でもいいから好きって言え。そうすれば痛みも忘れられるはずだ」
「なんで」
「いいから、言う通りにして」
よくなるための潤滑油。そう言われれば理沙は従う以外にない。
この痛みの向こう側にある未知の領域に行くには、その言葉が必要だと言うのなら。
「……好き」
想いが小さな声でぽろりと零れていく。それが口先だけのものでないのは、理沙自身が一番よくわかっていた。
風間にとって、この〝好き〟は本気の好きじゃない。風間がそう思ってくれるのなら、何度だって言える。
「好き、風間くん」
風間の言う通りだったのかもしれない。好きと言っただけで、繋がった部分が優しく解けていく。まるで最初から繋がっていたかのように、それがあたり前であるかのように、馴染んでいく感覚がした。
「滝川……」
風間の目に情欲が浮かぶとともに、理沙を抱きしめたままゆっくりと動き始めた。
「痛くないか」
「……うん」
「俺も好きだ」
風間のその言葉もまた、セックスの潤滑油。理沙の痛みを完全に取り払うためだけのもの。理沙に言わせたのと同じ意味合いのものだとわかっている。
でも、それでもいい。こうして繋がっている間だけでも、隠さずに気持ちをぶつけられるのなら。
「風間くん、好き……んんっ、ぁ」
やがて動きが大きくなり、痛みが気持ちよさへと徐々にすり替わっていく。ついさっきまであった異物感や猛烈な圧はなくなり、とろける感覚に変わった。