初恋リゾート 〜甘く溺れる期間限定の執愛〜

書籍情報

初恋リゾート 〜甘く溺れる期間限定の執愛〜

著者:りりす
イラスト:長谷川ゆう
発売日:10月30日
定価:620円+税

結婚目前だった恋人に浮気され、別れを告げられたOLの遙は、子供のころ住んでいた離島へ傷心旅行に向かう。そこでは初恋の人である海里との再会が待っていた。
懐かしい島の風景や美味しい料理、そして気の合う海里と過ごす時間に、傷ついた心が癒されていく。
でもまさか、初恋の相手にもう一度恋をしてしまうなんて。そんなこと、全然思っていなかったのに――。
「今だけでもいいから……もう一度俺のこと見てよ」
海里の真剣な眼差しに心が揺れ、再び彼に惹かれていく遙。でも一緒にいられる時間はたった四日間だけ。そのうえ遙は、海里の気になる噂を耳にしてしまって……。

【人物紹介】

高崎遙(たかさきはるか)
恋人と浮気別れをしたため傷心旅行に離島へ来た女性。
旅行先の離島には、子供のころ数年住んでおり、海里とは同級生だった。
しっかりした性格で、仕事先の広告代理店では、後輩だけでなく社長にも信頼されている。

成瀬海里(なるせかいり)
離島でペンションを経営している青年。
初恋は遙で、離れ離れになってからずっと彼女に会いたいと願っていた。
地元の人にも親しまれており、海里自身も離島のことが好きなので、盛り上げようと色々と挑戦中。

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【試し読み】

 海里は何の躊躇いもなく、遙の目の前で着ているものを脱ぎ捨てていった。
 彼が身動きするたび、男性らしい爽やかな香りが届く。清潔な肌がほんのり汗ばんだ香りと、フレグランスのラストノート。ただでさえ働いていない頭が、女をたぶらかすような男の香りにくらくらした。
 どんどん露わになっていく彼の身体を「顔だけじゃなくて身体も綺麗なんだな」と思いながらぼんやり見つめる。
 昔の彼はどちらかというと小柄だったはずだ。中学生になってからも、遙と海里の身長はほとんど変わらなかった覚えがある。それなのに、今はすっかり大人の男性らしいしなやかな身体つきになっていた。
 しっかりとした肩や腕、無駄のない引き締まった身体のライン。筋肉質な長い足と、綺麗に割れた腹筋。少し細身ではあるけれど、均整のとれた美しい身体だった。
 もっともその身体の中心で存在を主張している男性の象徴は、それなりにグロテスクだけれど。筋をくっきりと浮き立たせた赤黒いそれは、太く硬く張り詰めて反り返っている。
 海里が一度扱くと、先端からトロリと雫が滴った。ずっと余裕があるように見えていたが、彼もかなり興奮していたらしい。逞しい昂ぶりは、すでに淫猥な蜜でぬらぬらと濡れていた。

「そんなに見られると恥ずかしいな」
「っ、ごめん」

 元彼からは毎回手や口での奉仕を求められていたから、男性のその部分は見慣れているつもりだった。
 でも、海里のものはこちらがちょっと怯むような大きさだ。ついまじまじと見てしまって、照れくさそうな彼の声に慌てて目を逸らす。

「遙も早く脱いでよ」
「う……そうでした」
「ちゃんと自分から裸になって、俺に差し出して。ぐちゃぐちゃにしてって」
「そんな……」

 ゆるく腰を抱かれて、トロリと欲情しきった笑みで見上げられる。さっきまで触れなかった彼の素肌があちこちに触れて、今さらながらこの状況にドキドキした。
 ……海里に差し出す。自分の手で、自分を。
 とっくに熟れている身体は、彼との行為への不安よりも、与えられる快感への期待で震えてしまう。
 遙はうまく動かない指をぎこちなく自分の背中に回した。普段は難なく外れる背中のホックが、なかなか外れてくれない。自分の荒い息遣いがやけに大きく響いて、いっそう緊張する。
 やっとのことで下着を外し、豊かな膨らみがたゆんとこぼれ出た。視姦するような彼の強い視線が、肌に刺さってちくちくする。

「……あんまり見ないでってば」
「遙だって俺の身体じっくり見たくせに。……かわいい乳首。すっごい硬くなってる」
「あ……ッ!」

 そっと指先でつつかれただけで強い快感が走る。
 痛いほどに尖ったそこを宥めるように、指の腹ですりすりとさすられた。下腹部に直接響くような甘い刺激。何とか快感を逃がそうと、遙はぎゅっと背中をしならせる。

「んっ、あ、あっ……!」
「ほら、喘いでないで下も脱いでよ」
「……ふっ、あぁ……ッ、じゃあ触るのやめてっ……」
「触ってほしそうにしてたの、遙だろ」

 すでにショーツのクロッチ部分はぐっしょりと濡れている。それを海里の目の前で脱ぐのは恥ずかしい。彼に焦らされて焦らされて、そのことに興奮したように濡れそぼった下着。
 ずっと触られたかった胸の尖りを刺激され、さらに新しい蜜がとぷりとこぼれる。遙は羞恥に震えながら、そのショーツをおそるおそる下ろした。つうっと糸を引く微かな感触に、頬が熱くなる。
 ……こんなに近くで見られてる。自分から下着をとって、裸になって。
 膝立ちして腰を抱かれたままなので、吐息さえかかるような距離だ。羞恥と興奮で、全身にじわりと汗がにじむ。いやらしく濡れた女の匂いが立ちのぼっているように思えて、気が気でない。
 小さく喉を鳴らす音がして、思わず海里の顔を見る。
 彼はさっきまでとは全然違う表情をしていた。もう我慢しないと言わんばかりの、目の前の獲物に飛びつこうとしている獰猛な眼差し。
 パチリと目が合う。あ、食べられる――そう思った瞬間、彼が喉元に噛みついてきた。痛くはない。でもそこから彼の欲情が流れ込んでくるような気がして、めちゃくちゃに感じてしまう。

「あ、ん……ッ!」
「あのかわいかった遙が下着を濡らして、乳首も硬くして……俺に抱かれたくてこんなふうになっちゃったの?」

 掠れた声で言いながら、彼は遙の胸の先をやさしく摘まんだ。急に与えられた強い快感に背を反らすと、海里の唇が胸元におりてくる。呼吸を乱した彼が、先端に荒々しくむしゃぶりついてきた。

「あ、あ……ッ、んんっ!」
「あー、いい匂い。全部食べたい」
「ん、ぅん……っ! や、だめぇっ……」

 濡れた熱い舌がぴんと尖りをはじいて、そのままいやらしく舐め回される。ぬるぬると舌が這わされ、じゅうっと音を立てて吸われた。
 時々反応を確かめるように上目遣いで見てくる海里と視線が合う。逸らしたいのに、見せつけるように胸を愛撫してくる彼から目が離せない。

「ふ……あぁっ、あ、んッ!」
「すっごい感じてるじゃん。こっちも舐めてあげる」
「や、あ、ああ……っ!」

 左右の胸の尖りを交互に舐めしゃぶり、唾液をまぶすように指先で扱かれた。こりこりと硬くなった先端が、熟れた果実のように赤く染まっていく。
 あんなに焦らされたのが嘘のように、執拗に胸が愛撫された。舌のざらついたところでじっくり舐め上げられ、少し強めに先端を摘まんだり甘噛みしたりする。彼は遙の乱れる様子を見つめながら、指先で尖りをかりかり引っかいた。

「ちょっと強くされるの好きそうだね」
「分かんな……っ、あ、あっ、全部きもちいっ……」

 何をされても気持ちよくなってしまう。海里の指も舌も遙の身体にすんなり馴染んで、とことん快感を与えてくる。
 彼が左右の胸の先をきゅうっと摘まんだ。痛みを感じない程度の、でも遙を興奮させる力加減。なぜ分かるのだろう、海里は遙を焦らすのも感じさせるのも絶妙にうまい。
 いつもはなかなか火がつかない身体が、胸だけでぐずぐずにされてしまう。やさしくすり潰すような指の動きに、遙は必死で彼にしがみついて悶えた。

「ん……っ、は、ぁッ……!」
「遙の乳首、赤くなってるの分かる? かわいく膨らんで……」
「んんッ……!」

 色づいた周辺ごと尖りを含まれ、ねっとりと舐め回される。気持ちいい。時折舌先でちろちろとくすぐられて、腰が揺れた。
 膝立ちで腰を抱かれたままになっていたが、もう膝に力が入らない。今にも座り込んでしまいそうになっていると、海里がやさしくベッドに横たえてくれた。
 のしかかってきた彼から、また何度もキスが落とされる。

「ん、キス……もっとして……」
「……っ。いいよ、いっぱいしよ」

 くちゅくちゅと音を立てて舌が絡まる。もう酒の味はしない。でも甘い。もっともっと、いくらでもほしくなる。
 唇を合わせながら、彼は遙の頭を抱えるようにしてやさしく撫で回した。まるで愛されているみたいだな、と頭の隅で思う。
 セックスの合間の、恋人同士がするようなキス。「俺が彼氏だったら、遙のこと絶対大事に大事にするのに」と言われたことを思い出す。
 その言葉をまるっきり本気にしたわけではない。でもやさしい恋人がしてくれるような甘いキスは、大切にされている気分になってついときめいてしまう。

「……っ、んんっ……」

 遙の舌に吸い付いたまま、彼の手が内腿を撫でる。
 心の準備を促すように何度か撫で回したあとで、長い指の先が花弁をまさぐった。蜜口を確かめるように撫で、滴るほどに濡れた秘裂がなぞり上げられていく。

「はぁ……ッ、あ、あっ」

 一番敏感な場所まで、もうすぐ。強い快感を期待して、微かに遙の腰が持ち上がる。唇をわずかに触れ合わせたまま、海里はふっと笑った。

「気持ちいい? もっと気持ちいいとこ触られるの、待ってるの?」
「んんっ……」

 彼はなかなかそこに触れてくれない。苦しいほど膨らんだ花芽には触れないまま、指は濡れた襞のあいだをゆっくり行き来する。

「焦らさないで、触って……っ」
「素直になったね。俺に触られるの気持ちいい?」
「ん、気持ちいいっ……」
「そう。じゃあもっと気持ちよくなろっか」

 興奮してふっくらと顔を出していた花芽が、指先でそろりと撫でられた。ひどく敏感なその場所に触れる指の動きは繊細だ。彼は触れるか触れないかのゆるゆるとした指づかいで、やさしく蜜をまぶしていく。
 海里は遙のことをじっくり味わいたいと言っていた。いきなり強い刺激を与えて追い詰めるつもりはないのだろう。
 でもたくさん焦らされた身体には、そのやわらかな愛撫だけで充分だった。もうこちらには全然余裕がない。自分でも驚くような速度で、高みに押し上げられてしまう。

「あっ、海里……っ、もうだめっ……」
「え? もうイきそう?」
「ん、ごめ……ッ、あ、ああっ」
「いいよ、いっぱい気持ちよくなって」
「ふ、やあッ、舐めちゃ……んんー!」

 海里がまた胸の先に吸い付いた。ぬるりと舐められるたび、秘裂がひくついてしまう。
 花芽に蜜を塗りこめながら、別の指が内襞に浅く入り込んできた。あちこち気持ちよくて、もう訳が分からなくなる。
 涙目で見下ろすと、海里はまだ余裕たっぷりという感じで目元に笑みを浮かべていた。 自分だけがこんなに乱されて、今にも達してしまいそうになっているのだ。そのことに羞恥が募って、遙はぎゅっと身体に力を入れて強い快感に抗おうとする。
 でもその様子を見た海里は意地悪く笑った。

「ふーん、我慢してるの? それならもっと感じさせたくなるな」

 やさしかった指先が、急に強引になった。くりゅくりゅと花芽が弄られ、蜜洞に入り込んでいた指が奥までぐっと差し込まれる。達する寸前まで追い込まれている身体には、それは強烈な快感だった。

「やっ、ほんとうに……っ、も、海里っ……」
「どうして我慢するの? 遙の乱れきったところ、何度でも見たいんだけど」
「ん……っ、恥ずかしっ……」
「我慢できないんだろ、気持ちいいくせに。ほら、思いっきりイきなよ……っ」
「海里っ、や、あああぁ……ッ!」

 急激にこみあげた絶頂に、こらえきれず身を任せた。びくびくっと大きく身体が震え、海里にしがみつく。しっかりと抱きしめてくれる腕が頼もしい。強い快感を味わいながら、彼の頭に頬ずりした。

「は……っ、あ、ん……っ」
「気持ちよかった? 遙の中、すっごいヒクヒクしてる」
「やっ、ゆび……まだ動かさないで……!」
「駄目、触りたい。中もすごいな、濡れてて熱い……」
「ぅんっ、あ、あ……ッ!」

 達したあとの蠢きを楽しむように、彼の指が蜜路を出入りする。長い指にいいところを掠められ、淫らな蜜がぐちゅぐちゅと泡立つ音を聞かされて、高みからなかなかおりてこられない。

「あ、あッ、海里っ……またイっちゃうから……っ」
「いいよ、今度は中でイこっか」
「や、もう……っ、ん、んんー……!」

 彼の指の動きが、遙を絶頂に導こうとするものに変わった。さっき達したばかりの余韻から抜け出せないままの身体は、彼の淫らな誘惑に素直に応じる。
 男らしいごつごつした指が奥までずぶりと入ってきて、また深い絶頂に引きずり込まれた。敏感な花芽を触られるのも気持ちいいけれど、蜜壺の中を的確に擦られて与えられる快感は強烈だ。内襞が何度も収縮し、彼の指をぎゅうぎゅうと締め付ける。
 ちゅっと音を立ててキスをされた。目を細めた彼の表情は色っぽい。海里は切なそうなため息をついて、ゆっくり指を引き抜いた。

「遙……俺ももう我慢できないんだけど。一緒に気持ちよくなっていい……?」

 抱きしめられて何度も頷いた。さっきから自分ばかりが翻弄されている。海里のこともたくさん気持ちよくしたい。
 彼は何度かやさしいキスをくれたあとで、遙の足を開かせた。膝裏を掴んで少し足を持ち上げ、露わになった秘裂に自分の昂ぶりをひたりと押し当てる。
 ずっしりと重量感のある、海里の雄の部分。その逞しい熱の塊が、溢れる蜜を味わうように花弁に擦り付けられていく。

「っ、ん、海里、気持ちいいっ……」
「俺も……遙のここ、ぐちょぐちょ……」

 彼は掠れた声で言いながら、ゆっくり腰を動かした。海里の昂ぶりは花弁のあいだを行き来してはひどくいやらしい音を立てている。
 海里が耐えるように漏らす呻き声にも、苦しそうに眉根を寄せた表情にも、大人の男らしい色気があった。彼の熱に浮かされるように、遙もまた少しずつ高まってしまう。

「あー……駄目だ、すぐに出そう」

 海里が悩ましげなため息をついた。
 さっきまで余裕たっぷりだった彼が、欲を吐き出したくて呼吸を荒くしている。きちんと気持ちよくなってくれているらしい様子にホッとした。
 この美しい男を乱しているのが自分だと思うとぞくぞくする。もっと誘惑したい。自分がされたように、訳が分からなくなるほど気持ちよくしたい。
 遙は開いたままだった両足の内腿を引き寄せてぎゅっと合わせ、彼の熱杭を挟み込んだ。少し苦しい姿勢だけれど、こうしてしっかり締め付けたほうが海里は気持ちいいはずだと思ったから。

「っん……遙、そんなに締めると……っ」

 遙の思惑どおり、彼は熱っぽい吐息を漏らす。
 彼自身は内腿で締められなくても充分射精に辿り着けそうなほど昂ぶっていたのだが、遙はそんなことには気付かない。むしろまだ刺激が足りないかと、足のあいだでびくびくと震える切っ先にそろりと触れる。

「ちょっ、遙……!」

 慌てたように言いながら、海里が目の色を変えた。膝が胸につくほど身体を折り畳まれ、猛然と揺さぶられる。大きく膨らんだ雁首が敏感になっている花芽を何度も容赦なく抉ってきて、遙は大きな嬌声を上げた。

「あああっ! あっ、やあッ!」
「遙の中に入りたいの、俺すっごい我慢してるから……そんなに誘惑されるとこのまま犯すよ……!」
「ん、ごめ……あ、あっ……!」

 脅すように言いながら、彼は重たく膨らんだ先端で蜜口を捏ね回す。
 決して中に挿れられないのは分かっている。彼はきっと、そこまで理性をなくしたりしない。
 それでも紙一重のところに雁首をひっかけられると、勝手に期待した身体が震える。空洞のままの蜜壺が、早くこの雄に貫かれたいと切なく収縮を繰り返した。

「は、んんっ、海里……っ、イっちゃう、からっ……」
「いいよ、何回でもイってよっ……!」

 濡れそぼった溝にみっちりと埋め込まれた昂ぶりが、また少し硬さを増した。遙のまろやかな太腿のあいだをぐちゅぐちゅと出入りする、硬く張り詰めた雄芯。
 二人分の淫らな蜜が混じって溶けてこぼれていく。くしゃくしゃになったシーツは、もう使いものにならないほど甘く汚れていた。
 荒々しく揺らされて、遙は何度も細かく達する。海里のことも快楽に引きずりこみたくて、もっと彼のことも乱したくて、誘うように腰を揺らした。濡れた秘裂をくちょくちょと押し付けられて、海里が切なそうに呻く。

「あー、出そう……ごめん、お腹に出していい?」
「ん、いいからっ……あっ、私ももう……っ」

 彼の感じた声を聞かされてたまらなくなった。再び大きな波に攫われて、頭の中が真っ白になる。
 海里も同時に達したらしい。勢いよく吐き出された彼の白濁が、遙のお腹から胸までを濡らしていく。

「ん……っ、はる、か……」

 びゅく、びゅくっと何度も震えながら、彼の切っ先が吐き出す欲望。
 男性が達した証を綺麗だと思ったことはない。むしろ味も匂いも苦手だった。でも唇を噛んでぎゅうっと目を閉じている海里は何だかかわいい。そんな彼が吐き出すものは、不思議と嫌ではなかった。
 お互いの呼吸が少し落ち着いたころ、遙は自分にかけられた生あたたかいそれを、指でそっと拭った。

「こら、汚い。……汚してごめん」

 彼はまだ荒い息を吐きながら、ヘッドボードのティッシュで手早く残滓を拭き取った。
 すぐに労わるように抱きしめられて安心する。遙も満たされた気分になって、広い背中を抱き返した。
 とんでもないことをしてしまったと頭の片隅では思っているけれど、もう身動きできないほど疲れている。何も考えられそうにない。海里が何か言っていたけれど、適当にうんうんと頷いてそのまま目を閉じた。
 海里の腕の中はとてもホッとする。あのころ抱きしめられたことなんて一度もないのに、「やっとここに帰ってきた」という安心感があった。
 こんなふうに穏やかに眠りにつくのは久しぶりで、遙はすぐに深い眠りの中に落ちていった。

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