18禁乙女ゲームに転生したモブですが、攻略対象外の第二王子(推し)に溺愛されています!?

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18禁乙女ゲームに転生したモブですが、攻略対象外の第二王子(推し)に溺愛されています!?


著者:熊野まゆ
イラスト:yuiNa
発売日:2023年 12月8日
定価:630円+税

前世で熱中していた18禁乙女ゲームに転生したことに気付いてから2年が経ったアンナ・バレル。
ゲームには登場しない「下町に住む娘」として生きる彼女は、今日もゲームのヒロインが務めていた薬屋で働いていた。
ゲーム内知識により、性的刺激がポーションに付与効果をもたらすことを知っていたアンナは薬師として生計を立てているのだ。
アンナの推しであり、ゲーム内では攻略対象外だった第二王子のエリオットはポーションを買いに彼女の務める店に通っていた。
アンナにとってエリオットとの交流は薬屋での不当な扱いを受ける日々を癒やしてくれる大事なものだ。
また薬屋での待遇にも怒ってくれる誠実な彼にアンナは惹かれていく。
そんなある日のこと、彼から王立騎士団の専属薬師に誘われて――!?
彼の役に立ちたいという思いから誘いを受けたアンナだが、他人から性的刺激を受けてポーションを作ることになってしまい……。
その相手役として名乗りを上げたのが、まさかのエリオットだった……!?
エリオットからの愛撫はどこまでも優しく、それでいて勘違いしそうになるほどに熱いもので――。
性的刺激を受ける日々で二人の距離はより一層近づいていくのだが……?

【人物紹介】

アンナ・バレル
下町に住む町娘。優秀な薬師。
前世でプレイしていた18禁乙女ゲームのモブに転生している。
一途でひたむきな性格。
推しのエリオットから王立騎士団の専属薬師に誘われて――!?

エリオット・ノルズ
ノルズ王国第二王子で騎士団長。
真面目で誠実な性格をしている。少し照れ屋な一面も。
ゲーム世界では攻略対象外のキャラクターで、アンナの推しでもあったのだが……?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

「……アンナ」
 エリオットが目の前にやってきた。指先で頬を辿られる。付かず離れずの加減は、なにかを推し量るようだった。アンナは、はっとして短く息を吸う。
 部屋の空気が甘さを帯びた気がする。空気の味なんて、わかるはずないのに。
 ――いま、エリオット様とふたりきり。
 城へくる途中、馬上でもそうだった。それなのに、鍵がかかった部屋でふたりきりでいるということをいやに意識してしまう。自分が『傍観者』ではなくなってしまったようで、落ち着かない。
「いまさら確認するのもどうかとは思うが……ロブが言っていたことは、正しい。俺はこういうことにまったく慣れていない。それでも、いいか?」
 ――もちろんです!
 即答しそうになるのをすんでのところでこらえ、曖昧にほほえんで頷くだけにする。
 むしろエリオットでなければだめだとすら思えてくる。ほかの男性から、なんて考えられない。
 ――けど前のめりに「もちろん」なんて返事をしちゃったら、エリオット様でさんざん十八禁妄想してたってバレかねない!
 必死に笑顔を取り繕っていると、エリオットの喉元がごくりと動くのがわかった。
「ソファに……座ろうか」
 言われるままソファに腰を下ろすと、エリオットは緊張した面持ちですぐそばに座った。彼の両手が伸びてきて、詰め襟のボタンをひとつ、ふたつと外される。
 まだ、首のボタンを外されただけだ。ところが、ほんの少しでも自分の肌が露わになると、急に心臓がドクドクと過剰に反応しはじめる。
「それにしても……性的刺激でポーションに付与効果がつくのだとは、知らなかった」
 ゲーム内で攻略対象外だったエリオットが知らないのは無理もない。
「なにも知らずにきみを専属薬師として引き入れてしまって、すまなかった」
「いっ、いいえ! わたし……ほんとに、嬉しくて」
 話をしているあいだにエリオットはワンピースのボタンを胸の下まで外してしまっていた。襟を左右に開かれる。
 ワンピースの中にはシュミーズという肌着を着ていた。ブラジャー代わりとなるコルセットは、つけていない。
 シュミーズの胸元にもボタンがついており、そこを外されたらいよいよ乳房が見えてしまうのだが、エリオットはボタンに手をつけなかった。
「……っ」
 指先でそっと胸元を辿られる。彼のごつごつとした指の感触が、薄いシュミーズ越しに伝わってくる。いまこの瞬間が『現実』なのだと思い知らされる。
 ――それに、なんだか……。
 こんなふうに触れられるのも嬉しいのかと、問われているような心地になる。
 もうずっと窺うような視線を向けられている。藤色の瞳が眩しすぎて、見ていることができなくなった。
 探るように、あるいは確かめるようにエリオットの指が膨らみを押す。初めは一本だった指が、二本に増えていた。
 アンナは唇を引き結んで大きく息をする。
 王立騎士団の専属薬師になれたこと、エリオットのそばにいられること、こうして触れられることが幸せで、幸せすぎて信じられない気持ちもある。
 変な声を出してそれを聞かれるのは恥ずかしいからと、必死にこらえているときだった。エリオットが唐突に口を開く。
「そういえば、きみが作るポーションには付与効果がついていた。もしやあの店主に――」
「違います!」
 勢いよく言葉を被せてしまったからか、エリオットはぴたりと手を止めて目を丸くした。
「え、えっと……その、とにかく違うんです。だれかにこうして触られるのは、エリオット様が初めてです」
 すると嬉しそうに、照れたようにエリオットはほほえんだ。ところが次の瞬間には、どこか納得がいっていないようすできゅっと唇を噛んだ。
 ――店主になにかされたのでないのなら、どうやってポーションに付与効果をつけたのかって……疑問に思っていらっしゃるのかも。
 しかし本当のことは絶対に言えない。彼に、いまのようなことをされるのを妄想していたのだとは――絶対に。
 幸い、彼にはそれ以上のことを追及されなかった。
 考え事をしているあいだに、触れてくる指の数がさらに増え、五本の指すべてを使ってふにふにと胸を揉まれる。
「ふっ……」
 シュミーズ生地を隔てて押されるのでも、じゅうぶん性的な刺激だと思った。
 ――エリオット様は、どこまでなさるおつもりなの!?
 もうずっとシュミーズ越しに胸を触られている。これから素肌を晒すことになるのか、それとも衣服越しに触れられるだけなのか疑問だったが、面と向かって尋ねる勇気はなかった。
 彼は王族だから、閨の知識はあるものと思われる。
 ――でも「慣れていない」とおっしゃったから、実践するのはわたしが初めて……ということよね。
 アンナはこれまで、エリオットとのもっと生々しい行為を妄想していた。日本人だったころもいまと変わらず処女だったものの、性の知識は漫画やゲームから得ていた。
 ゆえに、シュミーズ越しに触れるのではなくじかに揉みくちゃにされたとしても嬉しいのだが、そんなことは告白できない。
「アンナ? 考え事か……?」
 呼びかけと同時に、エリオットはアンナの両脇へ手を伸ばし、持ち上げるようにして膨らみを掴んだ。
「あっ、ぁ……っ」
 ほかのことばかり考えていたせいで、つい大きな声が出てしまう。
 いっぽうでエリオットは、アンナの顔や胸元に熱い視線を送っていた。
 ――こんなに見られてたら、よけいに恥ずかしい!
 彼の視線を意識すれば、ますます頬が熱くなる。
「この……尖っているのは……」
 紫眼は胸の頂を捉えていた。シュミーズ越しにぷっくりと膨れ上がった乳首を、凝視されている。
「やっ、あ……! み、見ないで、くださ……」
「見ては、だめだったのか」
 するとエリオットはしゅんとしたようすで頭を垂れる。
「ち、ちが……いえ、あのっ……」
 恥ずかしいから見ないでほしい。でも、本当に見ないでほしいわけでは――ない。
 このもどかしい葛藤を、どうすれば正しく伝えられるのだろう。
「じかに見るほうが、いいだろうか。その……きみの尖りが、肌着を押し上げているのを見られるのが嫌、ということ……か?」
 ごく真面目な顔つきで――それでいて頬を赤くして――エリオットはシュミーズの前ボタンに手をかける。
「ぁ、う」
 肌着のボタンを外されているだけだというのに、期待して興奮しすぎているせいか呼吸が荒くなってくる。
 上下するアンナの胸元を見つめながら、エリオットはシュミーズの前を左右に開いた。
「あっ……」
 昼下がりの明るい部屋で、ワンピースの袖は通したまま胸だけを晒す恰好になった。
 そしてやっぱり、胸の頂はつんっと尖りきっている。まだそこには指一本すら触れられていないのに、そんな状態になっていることが恥ずかしくて、隠したくなった。
 ――でもそんなことしたら、見られるのを嫌がってるみたい。
 ただひたすら恥ずかしいだけで、嫌だなんて気持ちは少しもない。
 アンナの勃起した薄桃色の棘を見おろしてエリオットは両手で膨らみを鷲掴みにした。
「……手に余る」
 彼は険しい表情をしている。
「えっ? あ、ご、ごめんなさ……」
「いや、違う。俺の手に余るくらい豊かだと、思って――」
 エリオットはそう言ったあとで耳まで真っ赤になった。眉間には深い皺が寄せられている。
 ――え、えっ……? なんだか嫌そう……!?
 もしや彼は小さな胸のほうが好きなのだろうか。アンナの胸は、コルセットをつけずともはっきりと膨らみがわかるほど豊満だった。
「あの……わたしの胸は……お嫌、ですか……?」
 手のひらで包み込めるような乳房のほうがエリオットの好みだったらどうしよう。そう考えたあとで、自分が必死にエリオットに好まれようとしていることに気がつく。
 ――エリオット様はポーションのためにしてくれてるんだから!
 エリオットは、ポーションに付与効果をつけるためには性的刺激が必要だと知らずにアンナを専属薬師に引き入れた。だからいま、エリオットが触ってくれるのは『責任感』から。
 エリオットを、攻略対象キャラクターたちとするような恋愛のターゲットにしてはいけないのだ。でなければ真面目な彼の気持ちを裏切ることになる。
 わかっているのに、先ほどしてしまった質問を取り消せなかった。どう思われているのか、やはり気になる。
 アンナが質問したあと、エリオットは赤い顔のまま唇を引き結んでしばらく沈黙していた。視線をさまよわせたあとで彼はやっと口を開く。
「嫌だなんて、塵(ちり)ほども思わない。すごく……柔らかいから、いつまでも触っていたくなる」
 熱っぽい視線に灼かれたように、頬が火照る。
 期待してしまってもいいのだろうか。彼と恋ができるのだと。
 ――って、だめだめ!
 ぶんぶんと首を横に振って邪念を払う。
 エリオットにはいずれ婚約者が現れることを、アンナは知っている。
 前世ではポーション作りに精を出していたせいで途中までしかプレイしていないが、ゲームの攻略本を読んで知った。エリオットは騎士団の設立百年を祝う舞踏会で侯爵家の温和な令嬢と出会い、ダンスをする。ふたりは順調に愛を深めて結婚し、子宝にも恵まれて幸せな生活を送るのだということを。
 この世界で身分差はさほど問題にならないが、エリオットは第二王子なのだから――『侯爵家』というような――きちんとした身分の女性と結婚するほうがいいに決まっている。
 ――わかってる、けど……少しのあいだだけそばにいるのは、許される?
 控えめに、ちらりと彼のほうを見る。
 エリオットは「いつまでも触っていたくなる」という言葉どおり、アンナの胸を執拗に揉みしだいていた。いっぽうアンナは、彼のことをいつまでも眺めていたかった。
 仕事の一環とはいえ、普段とは違う顔のエリオットが目の前にいる。
 情欲が滲んだ、少し潤んだ瞳で胸を見られ、大きな手のひらでぐにゃぐにゃと形を変えられる。
 胸だけを見られているならまだしも、彼はこちらの反応を窺うように、顔にも視線を向けてくる。目が合えばますます気持ちよくなって、足の付け根が熱くなる。
 内側から溢れるものを感じる。下着のドロワーズは絶対に濡らしている。このままではワンピースにまで浸透して、ソファを汚してしまうのではと心配になった。
「んふ、んっ……」
 ずっと尖っている胸の先端はいまだ手つかずなのに、下腹部はひどく疼いている。いや、手つかずだからこそ、じれったくて疼くのかもしれない。
 薄桃に色づいている部分に彼の指がかかる。ほんの少し掠めただけなのに「ひぁっ!」と大声が出てしまった。
 エリオットは小さく両手を震わせたあと、指先で乳輪を擦りはじめた。
「ふっ、あぁ……あっ」
 指は乳輪ばかりを的確に擦るものだから、最も触れてほしい頂には刺激がこない。
 ――これは夢? それとも、わたしの妄想?
 胸の先端に触れてもらえずじれったいはずなのに気持ちがよくて、前後不覚になってしまう。
 そこへエリオットが、まるで現実だと訴えるように「アンナ」と呼びかけてきた。
「気分は? ……平気か?」
「え、ぁ……うぅ」
 すぐには答えられずにまごついていると、彼は切なげな顔になった。
「きみがどう感じているのか、俺はよくわからないから……言葉で、教えてほしい」
 ――エリオット様は真面目だから、わたしの本音が聞きたいんだ。
 性的な刺激になっていなければ、ポーションに付与効果はつかない。きちんと効果が出るのか、エリオットは気がかりなのだろう。
 ――わたしも真面目に答えなきゃ。
「き、気持ちいい、です……!」
 恥ずかしさを押して言った。
 涙目になっているアンナをエリオットはじっくりと見つめる。
「……そうか、よかった」
 エリオットは藤色の瞳を細くして口角を上げる。嬉しそうにほほえむ彼に、心臓を撃ち抜かれる思いだった。
 それまでよりももっと息が弾む。
 ゲームでも妄想でもなく、エリオットはたしかに存在している。そしていま、彼の指に乱されている。心も体もきゅんと締めつけられて、悦びを表すように高い声ばかりが出てくる。
「ふぁっ、あっ……あぅ」
 ふたつの膨らみを左右にふるふると揺さぶられる。それまでよりももっと張り詰めて、乳房と一緒に踊る胸の頂を、エリオットは親指で緩慢になぞり上げた。
「あぁあっ……!」
 やっと。やっとそこに触ってくれた。
 ようやくその箇所に明確な刺激を貰うことができた。焦らされていたせいか、全身がぴりぴりと快感に震えた。下腹部がトクンと脈を打つ。くねくねと身を捩らずにはいられない。
「は、あぅ、はぁっ……」
 アンナはたっぷりの吐息とともに嬌声を漏らす。その声に聞き入るようにエリオットは押し黙り、なおも薄桃色の先端を指で擦った。
 乳首に触れてくる彼の指にはさほど力が込められていない。硬さを確かめるように、そっと撫でられるばかり。
 でも、たまらない。強い刺激ではないものの指の動きは速く、快感が積み重なっていく。
 胸の蕾をピン、ピンッと弾かれるたびにはしたない声が出る。はしたないとわかっているのに抑えられない。
 エリオットから向けられる視線も、その指遣いもすべてが心地よくて、頭の中がどんどん真っ白になっていく。
 妄想で昇りつめていくときとはまったく違う。強烈な快楽の大波が次々と押し寄せてくる。
「あぁあ、あぁっ……!」
 ひときわ大きな声を出してアンナは全身をがくがくと痙攣させる。絶頂に達してもなお息は荒いまま、なかなか整わなかった。
 ――胸だけでイッちゃうなんて……!
 呼吸と心臓が落ち着きを取り戻すころになって、急に恥ずかしくなる。
 エリオットは両手を引っ込めたあと、どこかうっとりとした眼差しでアンナを見つめていた。ところが、なにか思いついたように目を見開く。
「考えなしに手を出してしまったが――具体的にどうやって、性的刺激をポーションの付与効果に結びつけるんだ?」
「え、えっと……それは、性的な刺激を受けた直後に、あらかじめ調合しておいたポーションを手のひらで包んで祈りを捧げるんです」
「調合済みのポーションはいま……ない、な」
 どこか気恥ずかしそうにエリオットは右手で自身の口元を押さえる。
「あっ……。そう、ですね」
「では――アンナがポーションを調合したあとにまた、しても?」
「ふえっ!?」
 彼から真っ直ぐに見つめられたアンナは両肩を大きく弾ませて驚きを露わにした。
「ん、いや……すまない。そんなに焦ってするものでもない、のか」
 エリオットは頬を上気させて、ばつが悪そうに視線をさまよわせた。
「いっ、いいえ! ロブさんもああおっしゃっていましたし、付与効果をつけたポーションが出来上がらなければ、わたしはただ気持ちよくなっただけになっちゃいますし――」
 ――ちょっと待ってわたし、とんでもないこと言ってない!?
「ただ、気持ちよくなっただけ……」
 まるで強調するように彼が繰り返すものだから、よけいに恥ずかしくなる。
 おまけにばちっと目が合ってしまう。熱を帯びた紫眼に見つめられ、心臓がドクドクと暴れだす。
「ポーション! いますぐ調合しますっ」
 アンナは胸元を押さえ、ぐるんと勢いよくエリオットに背を向けて調合台へと駆けた。
 調合台の前に置かれていたイスに腰を下ろすなり胸元の乱れを正し、手早く素材を集めて調合を始める。
 エリオットはというと、アンナのすぐそばまでやってきて壁にもたれかかった。
 ――すっごく見られてる……。
 これまでよりも彼の視線が気になる。性的な箇所を弄りまわされたばかりだから、自意識過剰になっているのかもしれない。
 素材を調合する手を止めて彼のほうを見る。エリオットは興味深そうにアンナの手元を注視していた。
「あ……すまない。見られているとやりづらい、か?」
「いっ、いえ……平気です」
 彼の視線を感じてそわそわしてしまうのは、このあとのことを考えてしまっているから。このポーションが出来上がればまた触ってもらえるのだと期待して心が逸る。
 ――これじゃあ変態だよ。
 自分自身に突っ込みを入れつつポーションの調合を終えた。
「あの……できました」
 おずおずと言えば、エリオットは「ん」と短く返事をしてアンナに近づく。
「……ベッドへ行こうか。そのほうがじっくりと――あ、いや」
 途中で言葉を切られると気になってしまう。
 ――じっくりと触れる? それとも、じっくりと見ることができる、とか……?
 勝手に言葉の続きを妄想して興奮している。
 エリオットに促されるままベッドに座る。そうかと思えばやんわりと肩を押され、ベッドに仰向けになった。

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