元聖女候補の生贄は皇帝陛下の深い猛愛に溺れ果てて ~夜のおつとめが気持ちよすぎて大変です!~

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元聖女候補の生贄は皇帝陛下の深い猛愛に溺れ果てて ~夜のおつとめが気持ちよすぎて大変です!~


著者:江原里奈
イラスト:天路ゆうつづ
発売日:2023年 12月8日
定価:620円+税

レティシアは三日後に祭祀場で行われる建国祭の秘儀で、命を奪われることになっていた――。
彼女の実家はこれまで何人もの聖女を排出してきた由緒正しき家柄で、一人娘のレティシアも神殿内にある聖女養成学校に入学し、これまで勤勉に生きてきた。
しかし、レティシアが成人するまでに異能は発揮されず、養成学校も退学となる。
実家からも勘当された彼女は教皇庁付きの女官としてあくせく働いていたのだが、後ろ盾がなく純潔の乙女であることを理由に建国祭での生贄に選ばれてしまい……?
祭祀が翌日に迫った夜、レティシアはなぜか皇宮に呼び出されて――!?
そこで彼女を待っていたのは見目麗しい男性で、レティシアは一世一代の勇気を振り絞って彼の元で雇ってもらうように懇願した。
だが、目の前の男から提案されたのは、彼の愛人になることだった……!?
生贄になる未来から逃れるため、彼の提案を受け入れたレティシアは思いの外甘く激しい一夜を過ごすことに――。
「優しくしてやろう。お前が、俺から一生離れられなくなるように……」
翌朝、愛人になった相手が、気性が荒いと噂の皇帝陛下・アレンディスだと知ったレティシアは――?

【人物紹介】

レティシア・グレン
教皇庁付きの女官。
元聖女候補ではあったものの、異能が発揮されず実家からも勘当されている。
後ろ盾がない純潔の乙女だったため建国祭での生贄に選ばれてしまったのだが……!?

アレンディス
現・ペルゴルド帝国皇帝。
気性が荒く、目的のためには手段を選ばない。
レティシアを生贄になる未来から救ってくれて――?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 男に促されて寝台に腰かけると、彼の手が頬に触れる。
 何をされても、このまま神殿に戻るよりはいい。そう思ってはいても、未知の事柄への不安に、どうしても緊張してきてしまう。
「愛らしい瞳だ」
 そう囁きながら、男は耳朶を軽く噛んできた。
 その瞬間に、脳裏に走るのは甘い痺れ。心がくすぐったくなるような、おかしな感覚が襲ってくる。
「お前のような澄んだ色の瞳を、俺は見たことがない」
「ん……っ、旦那様……」
「優しくしてやろう。お前が、俺から一生離れられなくなるように……」
 髪を撫でられながら、額にされたキスは頬に、そして唇へと滑り落ちていく。
 甘美な感覚は、本能的な恐怖を別のものにすり替えていく……それは、自分の肉体が女に変化する予兆だろうか。
 これまでに感じたことがない陶酔を体中に感じながら、レティシアは目を閉じた。
「俺のことは、アレンと呼べ。旦那様だと興醒めしてしまう」
「アレン……」
 その名を口にしてみると、彼は微かに笑った。
「いい子だ。俺は、お前をレティと呼ぼう」
 耳に心地よい愛称は、大昔に家族に呼ばれていたものだ。
 不意に懐かしさが込み上げ、胸がギュッと締めつけられる。
 幼い頃は、何不自由ない生活を送っていた気がする。きっと、それはグレン家の将来を変えてくれる聖女だと思われていたからだ。
 しかし、家族の中で誰も、レティシアに肉親としての愛を向けなかった。養成学校を追い出されてから家に戻ることを許さなかったし、生贄になることだって止めてくれなかったのだ。
 圧倒的な権力が教皇庁にあるとしても、レティシアは家族に見殺しにされたのと変わりはない。
 微かな寂しさ――そこには、これからはひとりで生きねばならないという覚悟も混ざっている。アレンにされることもすべて、これから彼女が生きるために必要なことなのだ。
「何を、そんな悲しそうな顔をする?」
 優しく頬を撫でられ、レティシアはアレンを見上げた。
「お前の望みだったのではないか? 建国祭が終わっても、お前はこの宮殿で生きられると約束してやっただろう」
「アレン……」
「それとも、俺に抱かれるのが不本意なのか?」
 少し怒ったような表情をするアレンに、レティシアは咄嗟に首を横に振った。
 どんなことをされるのか……それは何の経験もない彼女には、想像さえできないことだった。それでも、以前、神官に襲われそうになったときに覚えた恐怖や嫌悪を、アレンにはまったく感じなかった。
 むしろ、アレンにはもっと触れてほしい。そう思ってしまうのは、なぜだろう。素性も知らない、今日初めて出会った相手なのに――。
「まぁ、いい。お前のような女をその気にさせるのも、醍醐味というものだ」
 レティシアの様子を窺い見るようにしていたアレンだが、彼女に拒絶する様子がないのを察すると、顔を近づけて唇を重ねてきた。
 濡れた舌が、レティシアの口腔を探り、ねっとりと絡みついてくる。
「……ふ、ぅ……ん……っ」
 知らないうちに、甘い吐息が漏れる。
 生まれて初めての口づけに、胸の鼓動が激しくなった。
 何度も繰り返し、濡れた舌を吸われ、体の奥深くに生まれるのは奇妙なざわめき――その得体が知れない情動が何なのか、初めて唇を奪われたばかりのレティシアには想像もつかなかった。
「……イヤじゃなさそうだな。うっとりしたような顔をしている」
 長すぎるキスに息を乱した彼女の様子を見て、アレンは満足そうに笑う。
 後頭部に添えられていた手が、細い肩を滑り、鎖骨へと降りていく。
 薄い生成りの布地の上から胸に触れられると、体がびくりと震えた。
 華奢な体躯と見合わない胸を鷲掴みにされ、緩やかに豊満な胸の先の尖りを刺激された。
「あ、ぁ……っ」
 彼に触れられることで訪れる快感に、レティシアは小さな声をあげる。
「下着をつけないのは、神様の趣味なのか?」
「……そんな……」
 揶揄してくる言葉にも、頬を染めてしまう。
 無論、女官として働いていたときは、きちんとした身なりをしていた。
 しかし、生贄に選ばれ、神殿の奥で過ごすようになってからは女官長が用意した長衣だけを着るよう指示されていた。
 そもそも、禊をする期間は人との接触を控えるし、一日に何度も沐浴をするのだ。下着など必要ないと思われていたのだろう。
 最終的には火にくべられるのだから、そのようなものは無駄なのかもしれない。
 言い澱むレティシアをさらに狼狽させるようなことを、アレンは言い出した。
「服の上からではお前の価値がわからないな。直に触ってやろう」
「……っ!」
 嫌がる間も与えられないうちに、体を覆う布地をずり上げられ、腕だけ拘束されているような形にされる。
「い、や……っ……」
 生まれたままの姿がすべて、彼の視線に晒される。
 神殿内で過ごしてきたせいで、透き通るように白くなった肌。全体的に折れそうに華奢なのに、意外に胸は豊かだ。抉れるように腰が括れているからか、清純な雰囲気の中に奇妙な色気を宿している。
 すらりと伸びた両脚は、淡い繁みを隠そうとするように、両膝をもじもじとすり合わせた。
 その何気ない恥じらいさえも、男の目には媚びるように映るだろう。
 眩しそうに露わになった裸体を眺めながら、アレンは感嘆する。
「美しいな……まるで、雪のような肌だ」
 褒められると、何だかくすぐったい気分になる。
 無論、恥ずかしさはある。なのに……こんな風に手枷を嵌められたような形にされ、裸体を晒しているのに恐怖を感じないのが不思議だった。
(……もしかして、感覚が麻痺しているのかしら……)
 生贄になる準備をしていたせいで、すでにおかしくなっているのかもしれない。
「ひゃ……」
 遮るものがない状態で、柔らかな膨らみを揉まれる。
「……あぁ……っ……!」
 彼の指の間で乳首が凝り、ジンとする痺れが襲う。
 直接に触れられていない部分まで悶えて、下肢が濡れるような恥ずかしい感覚が湧き起こる。
 レティシアの中で、得体の知れないものが目覚めていくかのようだ。
 下着を身につけていない部分がどうなっているのか、考えただけでも顔から火が出そうになる。
「もう感じているのか? 甘い匂いがするぞ」
 それを察したのか、アレンはからかうように尋ねてくる。
 羞恥心が煽られると、なおさらに感覚が敏感になってしまう気がした。
「あ、いや……」
 唇を肌に落とされ、白い肌が少しずつ紅く染まっていく。
 きつく閉じていた足に手がかかると、咄嗟に抵抗するように体を強張らせる。
「力を抜け。いきなり襲ったりはしない」
 それは、まるで宥めるような囁きだった。
(……言う通りにしないと、だめだよね)
 心の中で、自分の立場を振り返ってみる。
 さっき、アレンの愛人になると約束した。それは、レティシアの肉体のすべてを彼に曝け出すことを意味する。
 口約束であれ契約事なのだから、彼の言うことを聞かないと神殿に戻されるかもしれない。生贄に逆戻りするのは、いくら何でも勘弁してほしかった。
「は、い……」
 震えながら頷いて、諦めたように力を抜く。これから自分の身に起きることを考えるだけで、知らぬ間に胸の鼓動がうるさくなる。
「いい子だ」
 探るように内腿に触れられると、アレンは大胆にも彼女の両脚の間に体を入れ込んできた。
「すっかり濡れているじゃないか。ここには、全然触れていないのに」
 愉快そうに目を細めるアレンに指摘されて、レティシアは頬を赤く染めた。
 身動きできない状態だが、彼の視線から逃れたくて首を横に振って哀願する。
「あぁ……そんなに、見ないで……!」
「そう言われると、もっと見たくなってしまうな」
「……っ……」
 恥部を凝視されて、生まれたのは奇妙な昂ぶりだ。
 誰にも見せたことのない秘処を観察されるのは、清らかな乙女にとって何よりの屈辱のはず……ところが、レティシアの肉体は彼女の意思に反して、アレンに触れられることを心待ちにしていた。
「さて、無垢な花を堪能させてもらおうか」
 と、まるでその形を確認するかのように、濡れた陰花をそっと指先でなぞられる。
 指紋の凹凸までも感じそうなほど、レティシアは昂っていた。
「あ……、は、ぁ……っ……!」
 花びらを左右に割り、滴る蜜の源泉を探られると、堪え切れずに喘ぎが漏れる。
 嫌がっている素振りを見せないのをいいことに、アレンはさらに彼女の両脚を大きく開かせ、百合のような形をした花弁の奥を探っていく。
「どうした? こんなに溢れさせて……」
「……あぁ、ん……っ!」
 粘膜をなぞるように、そっと触れられる。
 微かな違和感はあっても、予想していた痛みは感じない。むしろ、これまでの愛撫で肉体に溜まった熱が、煽られてしまっていた。
「これだけ濡れているんだから、指くらいは入るだろう」
 指先が処女孔をくすぐり、ぬめりの力を借りて中に潜り込んでいく。
 興奮に熱くなった粘膜は、ゆっくりと触れてくる彼の指先に歓喜するようにまとわりついた。
「はぁ……ん……、ん……っ……」
 きつい蜜口に潜り込んだ指が、ぐちゅぐちゅと淫らな水音をさせ、レティシアの濡れた襞を丹念にまさぐってくる。
 次第に、その下肢の疼きはそれ以上の刺激を求めるような焦燥感に変わっていく。
 聖女になるべく教育を受け、それが叶わなかった後も、神殿で禁欲的な生活をしていたレティシアである。
 生贄から逃れるため……ただ、そのための義務なのに、こんな風にとろけてしまうなんて、ひたすらに恐ろしかった。
 どんどんと理性が削がれていき、あっけなく快楽に溺れてしまいそうだ。
「まだ、きつすぎるな」
「……ん、っ……」
「じっくりほぐさないと、俺を受け入れられないだろう」
 小さく呟くと、アレンは指を内部に入れたままで膨らんだ花芯に顔を近づけた。
 舌先で官能に凝った真珠を刺激され、歯で柔らかく噛まれると、新たな官能が引きずり出されていく。
 二箇所を同時に刺激されるのは、ことのほか甘い苦悶だった。
「あ、はぁ……、は……ぅ……っ」
 絶え間なく、微かな呻きのような声が漏れ出る。
「痛くはないか?」
 その問いかけに、レティシアは黙って頷いた。
 すると、内襞をまさぐる指が二本に増やされた。
「んっ……ぁ、き、つい……っ」
 圧迫感に泣きごとを漏らすが、抜いてはもらえなかった。
 隘路が満たされる感覚はあっても、思っていたほどの強烈な痛みはない。
「もっと、素直に感じてみろ」
「……あ、ッ……」
 アレンの唇が胸の尖りを咥え、舌先でもてあそんでくる、
 どこまでも甘く疼くような感覚に襲われ、体の中にせり上がってくる快感に飲まれてしまいそうになる。
(……どうしよう……、気持ちいい……っ)
 彼が言った通りだった。何も考えずに体を委ねると、肉体が溶けていきそうに感じてしまう。
 指先の抽送も、粘膜を捏ね回される感触も、レティシアにさらなる喜悦をもたらしてきた。
「……ずいぶんと反応がいいみたいだな。お前を生贄にしそこねた神は、きっと俺に嫉妬しているだろう」
 情欲に満ちた低い声で囁いてくるアレンに、レティシアは頭を横に振る。
「い、や……」
 しかし、羞恥を煽る言葉にさえ、子宮の辺りがキュッと疼いてしまうのはなぜだろう。
 心のどこかで理性を保とうとしているのに、体が先に淫らに蠢いてしまう。そんな自分の卑猥さを、レティシアはまだ受け入れることができなかった。
「……んッ……っ、あぁ……っ……」
 彼の指先が肉襞の一点を掠めると、きゅっと肉襞が収斂する。
 レティシアの肉壺が過敏に反応したのを見て、アレンは執拗にそこを突いてくる。
「ここがいいのか?」
「……だめっ、そこは……っ」
 甘い責め苦に、レティシアは首を横に振った。
 自分が自分で制御できなくなる予感がある。これ以上の刺激には堪えられそうもなかった。
「い、や……! そん、な……っ……!」
「お前の体は、そうは言っていないぞ?」
「ふ、あぁ……!」
 子宮の奥まで揺さぶるように、内部を穿つアレンの指先。
 蜜口から溢れるじゅくじゅくという粘着質な水音が、レティシアの羞恥をさらに煽り、官能を揺さぶってくる。
「や、やめっ……、変になる……、んっ……!」
 悲鳴じみた声を漏らし、体がびくりと跳ねる。未知の淫らな感覚が、肉体の奥からせり上がってきたのだ。
 一瞬、脳裏が真っ白になって、何もかもがわからなくなった。そんな中で肉体の一点だけが、別の生き物のように熱い収縮を繰り返していた。
(……何が、起こったの……?)
 ぼんやりと目を開いた彼女を、アレンの美しい顔が見下ろしていた。
「処女なのに、最初から中で感じたんだな。それなら、覚えがいいはずだ」
 息を整えるレティシアの内襞は、まだ極めた余韻を貪るかのように微かに蠢いていた。
 ぐったりと寝台に横たわっている彼女の上に、ガウンを脱ぎ捨てたアレンが覆い被さってくる。
 レティシアは、男性の裸身を見るのは初めてだった。
 ほとんどの貴族は剣の心得があり、有事には戦争に赴くと聞いているが、ここまで筋肉が隆々としているのがふつうなのだろうか――厚い胸板と太い腕、そして、どこで負ったのかわからない所々にある古傷に目が釘づけになる。
(逞しい……神殿には、こんな人いなかった……)
 レティシアは、ただひたすらに見惚れていた。
 これまで出会ったことがない男に、自分の純潔を捧げることに不思議な高揚感を覚える。
「……っ!」
 太腿の辺りに触れる硬くて熱いものに、レティシアは少し驚いた。
 それがアレンの雄の部分だと理解するには、時間がかかった。
「きゃ……、アレン……何、を……!?」
 狂暴な灼熱の塊が、レティシアの蜜口に押し当てられる。
 先ほど得た悦楽から鎮まりを取り戻したばかりで、花園は蜜露に濡れそぼっている。
 しかし、初めて目にする雄の象徴はあまりに長くて太い。
 そして、押し当てられる熱さに目を見張ったレティシアは、今からどれだけのものを受け入れるのかを悟って愕然とする。
「……お許しを……!」
「フッ……何を今更? 俺は聖人君子ではない。お前が達する姿を見せられたのだ……もう、我慢できない」
 願いを却下されて、レティシアは絶望する。
「む……、無理です……、そんな大きいの……っ!! ふ……、あ、ぁ……!」
「可愛いことを言う。だからって、やめるわけにはいかないけどな」
 恐れおののくレティシアを、アレンは嘲笑った。
 ぐちゅぐちゅと、切っ先で蜜孔を縦になぞられると、甘いもどかしさが湧いてレティシアの肉体は熱くなる。
 その淫らな動きに、達したばかりの肉体が飢えを感じているようだ。
「こんなに、ぐっしょり濡れているのだ。破瓜の痛みもそうひどくはないだろう」
「……きゃ……、あ……っ……!」
 指よりも数倍太いもので、潤んだ入口を抉じ開けられる。
 その衝撃は、予想していた以上のものだった。
 あまりに熱くて、苦しくて……レティシアの目尻に、涙が盛り上がってくる。
「う……ぅ、……ん……!」
「もっと、力を抜け。これじゃ狭すぎて、入り切らない」
 アレンの低い声は、さっきよりも艶があるような気がした。
 その瞬間、胸に訪れたのは奇妙な昂ぶり。初めて会ったばかりの男と、ひとつにつながり合っている。強く肉体を求められて、こんな風に深い交わりまでしている……その感覚は、ひどく生々しいものだった。
 純潔を保ったまま殉死するより、女としての快楽を知って生き続けるほうがいい。それがどんなに卑しいことだとしても。
 少しずつ深く入り込んでくる楔の熱さに、どうしても涙がせり上がってくる。
「大丈夫か……?」
 瞳を開けると、彼の整った顔が彼女を見下ろしていた。
 眉を潜めているレティシアを、男性的な美貌が心配そうに覗き込んでくる。黒曜石のような双眸が思いのほか優しい光を帯びている。
 それを見つめていると、不思議な気分になった。
 鮮やかな痛みと悦楽を与え、レティシアを生かした男の顔を胸に刻みつけるかのように、彼女はアレンを凝視した。
「……キス……して、ください……」
 内側を苛む痛みを和らげたい。
 ただそれだけのために、薄く唇を開いて、アレンに口づけを請う。
「お前が望むなら、いくらでも」
 小さく頷くと、アレンは彼女の体を深く抱え込んだ。
「あぁ……っ」
 喰い込んでいる楔の角度が変わって、少し苦しい。受け入れた部分が、まるで焼かれそうに熱くなってしまう。
 しかし、彼に唇を重ねられると、肉体の苦悶さえも陶酔に変わっていった。
「ふ……っ、ん……」
 舌を絡められれば、途端に下肢が疼いてくる。
 アレンの口づけはとてつもなく甘い。胸が高鳴って、しあわせな気持ちになる。
 誰かにこんなに激しく求められることが、これまでの人生であっただろうか。彼女の亡骸ではなく、生を望んでくれるのはアレンだけだ。
「……あっ……、は……ぁ、ん……っ」
「愛らしい声だ、レティ……」
 アレンは耳朶を軽く噛みながら、容赦なく腰を奥に進めていく。
 肉体の内側で彼の存在が浸食するにつれ、下肢に感じていた鈍痛が、少しずつ違った感覚に置き換わっていく。
 新たに湧き出た蜜と純潔の証が混じったものが、リネンの上に滴り落ちた。
「……あっ……、あ……ン……っ」
 確実に互いの距離が近づいていく。
 それは、初めて男を受け入れるレティシアにとって、苦しいことに違いない。
 しかし、愛欲で濡れた隘路はアレンの雄の形に押し広げられ、ぴったりと彼に絡みついているのがわかる。
「あぁ……」
 慣れない体にすべて収めるのは無理があるが、時間をかけるうちに二人の交わりはかなり深まっていった。
「ようやく、馴染んできたな。動くぞ」

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