英国系CEOと約束の令嬢

書籍情報

愛おしくて可愛い。まるでバラの花びらのようだ。

英国系CEOと約束の令嬢

著者:月乃ひかり
イラスト:rera
発売日:5月29日
定価:630円+税

香月グループのお嬢様として育ち、フラワーデザイナーになる夢に向かって花屋で働く和花菜は、毎朝見かける英国紳士に秘かな憧れを抱いていた。
そんなある日、兄の投資取引の失敗によって和花菜は知らぬ間にダーク・マーケットのオークションに出品されてしまう。
兄に売られた事実を知り、焦燥感に駆られる和花菜の前に現れたのは、憧れていた英国紳士であるレオンで……!?
「――セックス、だよ。そのために君を落札したのだから」
オークションで自分を買った目的が分からずに狼狽える和花菜を囚えるように甘く、誘惑するようにレオンはそう囁く。
そこからじっくりと深まる淫靡な時間に、無垢な和花菜の官能が花開いて――。

【人物紹介】

香月和花菜(こうづきわかな)
フラワーデザイナーになることを夢見る、香月グループの令嬢。
幼い頃に母をなくし、当時のことは曖昧にしか覚えていない。
兄の投資取引の失敗によりオークションにかけられ、レオンに買われることに。

レオン・スペンサー
世界的な投資ファンドのCEO。
父は外交官をしている英国貴族、母は旧華族の流れを汲む家柄の正真正銘の貴公子。
以前、和花菜と会ったことがあるようだが……?

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【試し読み】


「こ、今夜、私に、何をするつもりなの?」

 レオンはその問いに、愚問だと言いたげに口元をふっと緩めた。
 一瞬、罠にかかった獲物を憐れむような色をその瞳に浮かべた後、一歩、足を前に踏み出す。レオンの逞しい体躯が見下ろすように覆いかぶさってきた。
 星屑をちりばめたような夜景の広がる窓に両手をついて、和花菜をその腕の中に捉え込む。
 その姿は、この世の煌めきも和花菜も、全て自分のものだと言わんばかりだ。

「知りたい?」

 レオンが妖しい光を灯しながら、ふわりと瞳を揺らめかせた。
 ──聞いてはだめ。
 心が警鐘を鳴らす。甘い声で、邪悪な何かを伝えてくる美しい悪魔のようだ。
 ひとたびその言葉を聞いてしまえば、悪魔の虜になってしまう。
 そう思うのに、耳を塞ぐことさえできない。
 くらくらするような彼の香りがすぐそばに迫る。
 まるで恋人にするように耳元に唇を寄せ、どこか淫らさを纏ったハスキーな低音で囁いた。

「──セックス、だよ。そのために君を落札したのだから」

   *……*……*

 和花菜は首筋にまで吹きかかる熱い吐息を感じ、緊張で肌がじっとりと汗を含んだ。
 一瞬にしてレオンと自分をつなぐ空気が猥らな色を纏う。
 いつもはその存在を気にしていない胸のふくらみが、レオンを誘っているように盛り上がっている気がして、背をぴったりとガラス窓に押しつける。
 それでも、レオンとの距離は一ミリぐらいしか縮まっていない。
 (──セックス、だよ)
 それが男女の交わりであるということは知っている。でも和花菜は知らない──。それがどんな風に自分を変えるのか。
 どくんどくんと、心臓が勝手に大きな音を立て始めた。
 ──怖がっちゃだめ。こうなることは分かっていたはずよ。買われたとはいえ、自分が選んだことなのよ。未経験の私と違い、レオンは、経験豊富そうな男性だ。
 きっと優しくしてくれるはず……。
 そう考えた自分に、唖然とした。
 ああ、私ったらなんてことを考えているの。
 心のどこかで、甘いひとときを期待している自分が怖い。ずっとレオンに憧れを抱いていた心は、素直に反応してしまう。
 胸の奥に残る甘い気持ちに引き摺られて、今夜、自分の知らない何かを曝き立てられてしまいそうだ。まるで自分の心が見えなくなっている。


「怖がることはない。天国を見せてあげるよ」
「て、天国……?」
「そう、二人で、一緒にね」

 レオンは極上の笑みを向けながら、和花菜を見下ろした。
 長い睫毛に縁どられた、温もりのある琥珀みたいな色の瞳。
 ──だめ。惑わされてはいけない。
 気を抜けば、滲み出そうになる淡い恋心に蓋をするように、ぎゅっと目を閉じた。
 甘い予感を感じさせる瞳の裏にあるのは腹黒い思惑だ。
 私を金で買って、欲望の処理の相手をさせようとしているのだから。
 もちろん、このホテルに向かう車の中でも、レオンの目的は一つしかないと思っていた。
 連れてこられたときから覚悟はできていたはずだ。
 ──これから淫らなことをされてしまう。
 恋や愛などとは関係なく、ただレオンの欲望の捌け口になるのだ。
 それでも、和花菜に抵抗する術はない。
 そんな和花菜の心の内を見透かすようにレオンが苦笑する。

「大人しく抱かれる気になった? もちろんおかしな性癖などないから安心していいよ。ただし──」

 レオンの唇が近づいて、すべすべした頬の輪郭をなぞるように滑る。

「僕は濃厚なセックスが好きだからそのつもりで」
「──っ」

 上等なジャケットを脱ぐとぱっとグランドピアノの上に放った。ネクタイを片手でクイっと緩める仕草に、どきんとする。
ベストとシャツだけになると、彼の逞しさがいっそう際立った。
 スーツのジャケットの中には、しなやかでいて、敏捷そうな体躯が潜んでいた。
 逃げられるはずなどない。

「僕は君に選択肢を与えた。僕に買われるか、買われないか。そして君は買われることを選んだ。今さら後悔しても遅いよ」
「──っ、後悔なんて、していません」

 和花菜は精いっぱいの虚勢を張る。レオンが言ったように自分で選んだことだ。無理やり、じゃない。これは自分の意思だ。せめてもの矜持は保ちたい。

「ならよかった。聞き分けのいい仔猫は好きだよ」

 その言葉にレオンは満足したようだ。
 レオンの指先が伸びてきて、和花菜の頬を撫でる。思いのほか気持ちがよくて、漏れ出た吐息が震えている。触れられたところに切ない熱が灯って、やるせない。
 無意識に、引き結んでいた唇をそっと開いた。さきほどのキスの名残で、唇が潤んでぽってりと膨れているのが分かる。
 するとレオンの視線が和花菜の口元をなぞるように絡みついてきた。

「……思ったより、たちが悪い」

 なぜか美しい眉間に皺が寄る。呟かれた言葉の意味がよく分からない。
 何か気に障ってしまったの?
 聞き返そうとする間もなく、レオンは和花菜のワンピースのファスナーをひと思いに引き下げた。
 足元に、パサっと音を立ててワンピースが花びらのように散る。

「あっ……」

 反射的にレオンの視線から隠すように、両手で胸元を抱え込んだ。薄い下着だけの無防備な姿に、心もとなくなる。

「隠すことなどない。東洋人の肌は、陶器のようだというのは本当だな。いや、和花菜だからかな? 純白の花びらのようになめらかだ。触れてみたくなる」

 胸を隠すように覆っていた腕に指が触れ、そっと解く。

「なによりも……」

 レオンの顔が近づいてきた。その長い睫毛に、ついうっとりと見とれてしまう。

「……どんな味がするのか確かめたい」
「ひゃ……」

 ハスキーな声が喉元から伝わってきた。首筋のくぼみ、そして胸のふくらみの際をなぞるように、口づけを落としていく。ちゅ、ちゅ、という唇から奏でられる淫らな音と、乳房を押し付けられるような感触に、腰から下がじくりと疼き出す。

「んっ……」

 背中を彷徨っていた手が、前に回りブラの下から侵入した。
 男らしい節くれだった手が無遠慮にふくらみを包み込んできて、思いのほか大胆な仕草に、ぴくんと背が仰け反った。しかもブラの中の乳首はピンと尖ってしまっている。
 レオンは、和花菜の肌のきめ細かい感触や、丸い房の質感を愉しむように、やわりと揉みしだく。嫌悪を感じるかと思っていたのに、揉み込まれる感触が、どんどん熱を持って違う何かに変化していく。
 愛撫するように包まれれば、鼻から悩ましげな吐息が漏れそうになる。
 いつの間にかブラを外され、小ぶりなのにたっぷりとした二つの膨らみがぷるんと晒されてしまう。

「すごく可愛いよ。形も手触りもすごくいい、ほら……」

 それが嘘でないと分からせるように、レオンの指先が、白いまろみのある先端、色づく乳首の先にくりっとあてがわれた。

「ココ」
「やぁっ……」
「可愛い乳首も愛らしく尖っている」

 快楽の呼び水を与えられ、芽吹くように勃ち上がった薄桃色の蕾をレオンの指がきゅっと摘まむ。

「ふぁっ……んっ」
「ほら、こうすると気持ちが悦いだろう?」

 これまでに感じたことのない灼けつくような刺激が胸の先から生まれ、とうとう耐え切れずに、甘い声が漏れ出した。

「和花菜は、いい声で啼く」

 レオンは笑みを浮かべた唇で、やわらかく膨れた乳輪ごと、生温かい口に含み入れた。じんわりとした熱に包まれ、胸の先から蕩けてしまいそうになる。
 こんな感覚は知らない。男の人は自分の欲望を先に満たすものではないの? どうしてこんなふうに私を弄ぶの?
 レオンの唾液に濡れた舌先が、和花菜の凝った胸の蕾を捉え、くりくりと揺さぶり、ねっとりと嬲る。与えられる愛撫に腰が切なくもどかしく揺れ動き始めた。

「あ、ふぁ……っ、あぁんっ」
「──ん? これが気に入った? もっと?」

 その言葉に、思わず涙目になる。
 なんて馬鹿なのだろう。金で買われた男の愛撫に、甘く感じ入ってしまうなんて。
 レオンはもう一方の乳首の先もちゅっと吸い上げた。そこはまるで待ちわびていたように、つんと凝っていた。
 淫らに誘うような色に染まり、レオンに咥え込まれるのを今か今かと待っていたかのように。
 ──恥ずかしい。
 羞恥でのぼせたように顔が火照る。レオンは目に笑みを浮かべながら、ぬるりとした舌先を器用に動かして、和花菜の乳首を吸い始めた。
 ちゅちゅ、と音を立て、こりこりと甘く弾かれ甘噛みされる。そうして今度は柔らかく口の中に咥えられ、強請るように背をしならせてしまう。

「やぁ、あ……、あ……、だめ、んっ……」
「こんなに乳首を硬くして、もっと可愛がって欲しいんだろう? 和花菜の身体は素直だね」

 レオンは両手で乳房を掬い上げた。
 ほんのりと色づき、そこだけぷっくりと膨らんだ乳輪。つんと尖る蕾をすべて呑み込むように、レオンの口内に深く咥え込まれていく。

「──やぁっ、あ、あ、あ、んぅっ──……」

 慣れない甘痛い刺激に、あられもない声が漏れる。レオンは含んだ乳首を、まるで飴玉を口の中で弄んで溶かすように舌先で転がし始めた。

「なんて愛らしい乳首だ。いつまでも舐めていたくなる。吸ったらどうかな」
「んっ、あぁ……吸っちゃ、や……っ」
「ああ…‥、乳輪はこの上なく柔らかいのに、可愛い乳首はコリコリして美味しいよ」

 小さな蕾を味わうように、何度も舐めしゃぶっては吸い上げる。
 ──声にならない。
 レオンのいやらしい言葉がまるで媚薬のように甘さを運んで、なにも考えられなくなってくる。
 快感に震える和花菜をレオンは外からよく見えるように、窓辺にもたれさせた。都内でも有数の高さを誇るこのホテルのスイートは最上階にある。
 目の前に広がる夜景は、ほとんどのビルを眼下に見下ろしていた。他のビルから肉眼ではこのスイートを見ることは不可能だ。なのにレオンは、見られていることを意識しているようだった。

「いい子だから、今夜は逆らわないで。そうすればご褒美をあげよう」

 下肢に伸ばされた手が、和花菜らしい清楚なフリルの並ぶ白い下着に伸びる。まっすぐに閉じ合わさった割れ目に沿ってなぞり上げられた。

「分かる? 和花菜の花びらの綺麗な縦筋がくっきりと浮かび上がっているよ。こんなに美しい筋を見せられたら男はどうにかして開かせたくなるものだ」

 言い終わらないうちに、レオンの指が下着の中に忍び込んできた。

「中もほどよく湿っているね」
「あ、や、だめ、そこ……、んっ……」

 割れ目に沿って指が湿り気を帯びた茂みをゆっくりと掻き分けていく。
 胸を愛撫されるのとは全く違う。淫らで、甘くて、ざわざわする。
 和花菜は、ぎゅうっと目を瞑り、消えゆきそうな理性を必死に追う。なのにレオンの指先の熱さしか感じられなくなってしまう。

「ふ……。感じているんだね。可愛い襞がしっとりと濡れている。奥はぬるぬるだよ」

 レオンが低めた声で囁き、くちゅっと蜜を弾く音を立てた。
 だめなのに。初めてでこんな風に感じてしまうなんておかしい。
 なのに、レオンが秘めやかな場所に触れただけで、蜜口からとろりとした雫が溢れ出た。
 和花菜の反応に気をよくしたのか、レオンの喉が鳴る。

「んぁっ……」
「ほら、和花菜のいやらしい蜜がどんどん溢れてくる」

 耳朶に落ちたレオンの声に、ずくんと秘芯が疼く。

「飼い主冥利に尽きるよ」

 長い指が花襞のあわいに入ってきた。滑りの良くなった襞を掻き分けて、撫でるように行き来する。
 くちゅ、くちゅ、という淫猥な水音を立てて、レオンの指が楽しげに動く。

「和花菜のココは、柔らかくて最高だ。触れているだけで気持ちが悦い。まるで綻んだばかりの薔薇の花びらのようだ」
「やっ、……お、ねがい。そこはっ……」

 レオンの瞳が色香を帯びて艶めいた。

「ここは、そうだな……。快楽の花園だよ」

 和花菜でさえもよく分からない秘めやかな部分。そこを無遠慮にもぬちゅぬちゅと指先で探られる感触に、震えながら息を詰めた。
 ぬめりを掬いながら上下になぞられると、蜜口がひくひくと蠢いて、和花菜は恥ずかしくてレオンの肩口にぎゅっと顔を押し付けた。レオンの香りに、頭がぽうっとする。もっと感じたいと思う気持ちが溢れてきた。指の腹がぬるぬる滑る感触に、ぞくぞくする。

「こんなに濡らして……。感じやすいね。とろっとろだよ」
「んっ……、れ、レオ……、なんだか、おかしいの……」

 我慢できない。お腹の奥が熱くなって、レオンの指の動きに合わせて腰が勝手にくねり出す。
 立っていられないほどの愉悦が腰からせり上がり、助けを求めるように、目の前のシャツを皺が付くほどぎゅっと握りしめる。

「いい子だ……、可愛い和花菜。僕の、初……」

 レオンはその胸に和花菜をぎゅっと抱きしめる。そのせいで彼が最後に呟いた言葉が聞き取れなかった。
 彼の男らしい匂いに包まれると、なぜか懐かしさのようなものを感じて戸惑う。
 どうしてこんなに私を優しく抱きしめるの? 
 いいえ、彼はただ愛玩動物を気まぐれに抱きしめただけ。
 それでも、レオンの腕の中で、和花菜は甘い抱擁に蕩けそうになる。レオンの熱い体温を感じ、もっと包まれていたいと思ってしまう。
 こんな感情を持つのは間違っている。
 和花菜は気を抜くと、どんどん溢れそうになる恋心を想いとどませるように、きゅっと唇を噛みしめた。

「──だめっ、お願い、離して……っ」

 レオンはお金で私を買ったのよ。恋するなんて馬鹿げてる。
 できることなら、もとの花屋の私に戻してほしい。自分には似つかわしくないゴージャスなスイートで、初めてを捧げる相手は、私をオークションで買った男なのだ。

「だめだ」

 それまで甘さを帯びていたレオンの声が、すっと氷のように冷たくなる。

「わ、私は経験がないから、あなたに満足をあげられない。だから……」
「なおさら都合がいい。よその家で飼われていた猫は躾づらいものだ。経験がない方が僕好みに調教できる」

 有無は言わせないとばかりに、レオンは和花菜の両手首を掴み上げた。頭の上でひとまとめにすると、ほっそりした脚を自身の太腿で強引に割り、下着のクロッチ部分を捲って秘部を露にする。
 まるで花びらをもぎ取られて、雌蕊だけにされてしまった花のよう。
 抵抗など何の意味もない。レオンの支配欲を煽っただけだ。
 蜜口に触れた指先が滴るほどの蜜を掬う。
 たまらなく羞恥を感じているのに、触れられる指先から、快感が甘さを伴って浸潤する。

「んっ……、やっ、動いちゃ、だめ……んっ」

 たった指先一つ。
 それを気まぐれに動かしただけで、ありえないほどの快楽を送り込むレオンの存在が怖いくらいだ。

「こんなに滴らせて。調教しがいがありそうだ」

 レオンは割れ目に沿うようにくにゅりと指を差し込んできた。閉じかけた花びらをまたほぐすようにゆっくりと往復させると、今度はいやというほど襞を押し広げて、和花菜の無垢なクリトリスを剥き出しにする。

「ああっ……」

 ──いやっ、恥ずかしい。
 無防備になった雌芯がひくりと震えた。

「なんて愛らしい。桃の蕾のような色だ。それにどうやら膨れているよ」

 レオンの指がぷっくりと膨れた淫芽を見つけると、蜜を纏わせながら愛でるようにその形をなぞる。

「ふぁぁ……っ、や、あ、あ……、そこ、だめっ……んぅ──っ」

 はじめて男に触れられた。自分でも触れたことのない秘めやかな花芯。

「和花菜のクリトリス、貝の中に埋もれた真珠のようだね。可愛い形をしている、ほら、分かる?」

 おかしくなる──。
 クリトリスの形なんて知らない。そこにあることさえ意識したことはない。なのにレオンは自分のいやらしい芽の膨らみを分からせるようにゆっくりとその輪郭をなぞる。まるでなめらかな真珠を転がすように。

「やぁっ……、ふぁっ……、んんっ……」
「ああ、小さくて可愛い。指を動かすたびにくりくりして、ずっと捏ね回したい」

 指でくにゅくにゅと優しく捏ね回されては、甘い痺れが止まらない。今までとは違う、脳芯を直撃するような強烈な快楽。あまりの気持ちよさにどうにかなってしまいそうだ。手首は頭上でまとめられ、和花菜はまるで淫らな操り人形のように腰を揺らめかせる。

「ほら、茱萸のようにどんどん膨れてきた。もっと奥も感じさせてあげよう」

 和花菜がぎゅっと足を閉じようとするのを阻み、レオンは片方の足の膝裏を軽々と持ち上げた。

「やぁっ……」

 花唇がぱくりと開き、ひんやりした空気に触れる。無防備になった秘所から、誘うようにとろりと蜜が生まれて、腿に滴った。
 ──どうして? なんでこんなに感じてしまうの?

「こんなにたくさん、とろとろの蜜が滴ってるよ。和花菜のココは素直で可愛い」
「ああっ……! やめてっ……」

 長い指が、つぷりと音を立てて、和花菜の無垢な隘路に侵入する。その途端、反射的にきゅっとお尻が引き締まった。意図せずレオンの指を咥え込んでしまっている。
 男の指を自分が締め付けている。その事実を信じたくはないのに、肉襞がきゅうっと締め付けて埋め込まれた指の感覚をありありと伝えてくる。

「なんてことだ。すごく締まる。指一本でもこんなにきつい。経験がない、というのは本当のようだね」

 無垢な媚肉に淫らなことを教え込むようにレオンの指が蠢いた。淫猥にゆっくりと焦らすような仕草で、節くれだった長い指が媚肉の奥に入り込んでいく。

「あ、あっ……、はぁっ……」

 ひどくもどかしい。レオンが指を増やし、ぬちぬちと音を立てながら、ゆっくりと抜き差しを繰り返した。
 出して、抜いて。出して、抜いて。
 その動きが何を表しているのか分かっている。セックスと同じ動きだ。これから指ではなく、レオンの男性自身で同じようにされるのだ。
 怖いと思う。なのに、身体からどうしようもない甘い熱がせり上がる。

「んっ……、レオ、レオ、お願い……」

 漏れ出た声が、甘くねだるような声音に変わっている。それすらも和花菜は気づいていなかった。指がちゅぽちゅぽと淫らな音を立て抜き差しされるたび、和花菜のお尻がぴくぴくと震えてしまう。

「ほぐれてきたよ。媚肉が嬉しそうに蠢いている。ここが悦いのかな」
「ああんっ……、いや、そこ、突かないで。変になっちゃう……」

 達しそうで、でもそこまで辿り着けない。
 身悶えするような懊悩に脳が侵され、なにも考えられずにただ、腰がのたうってしまう。
 気持よさと甘苦しさがない交ぜになる。

「可哀そうに。ナカでイくのはまだ無理のようだね」

 レオンの声に泣きそうになった。早く、解放してほしい。
 和花菜が助けを求めるようにレオンの胸にぎゅっと顔を埋めると、レオンが力強く抱き返してくれたような気がした。

「一度、イくと楽になる」

 中指を深く隘路に差し込んだまま、親指で蜜を掬い、ぷっくりと膨らんだ快楽の芽をくちゅくちゅと弄んだ。瞬時に花芯の奥がじぃんと甘く疼く。敏感になった秘玉を巧みに弄ばれては未熟な身体はひとたまりもない。
 どこからか湧き上がってくる、ぞわぞわとした甘い感覚。すぐに全身がぞくぞくと蠢動した。脳芯に快楽の波が押し寄せ、そのうねりがぐんと大きくなる。

「やぁ──っ、んっ、そこ、だめ……なの、あぁっ……」

 はしたなく声を上げ、尻ををびくん、びくんと揺らしてしまう。
 中と外からぐちゅぐちゅと掻き回される甘い責めに、身体が追い付かない。ただレオンのシャツにしがみつくのがやっとだ。

「和花菜、我慢しようとしちゃだめだ。ほぅら、気持ちいいだろう」
「んっ、レオン、レオンっ、怖いっ……」
「怖くなどないよ、天国に行ける。さぁ」

 くにゅ、くにゅと花芯をいやらしく弄ばれるたび、嬌声が漏れる。
 甘い疼きが全身の肌という肌をこれでもかというほど、這い回る。
 こんなにいやらしく、淫らに感じてしまう自分が恥ずかしい。なのにレオンから与えられる快楽を欲している自分もいる。
 放心してしまいそう。だめ、だめ……。
 快楽以外、何も考えられなくなりそうな自分を必死に食い止めようとする。
 だが、それもむなしい抵抗だった。

「悪い子だ。和花菜が理性と闘っているのがよく分かる。理性なんて捨てて快感に悶えればいい」

 ぬるっと指を引き抜かれた瞬間、ぷっくりと膨らんだ秘玉をくにゅりと捏ねられ、さらには根元をきゅっと摘ままれて熟れた秘芯ごと揺さぶられた。

「ひっ、ひゃぁぁぁぁ──……っ」

 熱く痺れるようなうねりが脳芯にまで駆け抜けた。自分の身体がまるで閃光を放ったかのように弾けて、真っ白になる。雲の上に舞い上がってしまったような感覚だ。

「──いい子だ。初めてイった気分はどう?」

 含み笑いながら、崩れ落ちそうになるのをレオンが力強く抱きしめた。
 何かどうなったのかさえ分からない。あまりの快楽のすさまじさに、全身がびくびくと小刻みに波打っている。
 和花菜は堪えきれずに啜り泣きを漏らした。

「う……ひっく……わ、わたし……」
「泣くほど気持ちよかった? 天国を見れただろう?」
「~~~~っ」

 恥ずかしくて、やるせなくて、答える代わりにレオンの胸にぎゅっと顔を埋めた。和花菜の脆い抵抗など、経験豊富なレオンには、造作もないことだ。目も眩むような愉悦に、痴態を晒してしまったことが恥ずかしい。なのに、レオンの腕の中で絶頂に達してしまったことに、悦びを感じている。
 ──きっとおかしくなってしまったんだ。
 初めての快楽の波をあやすように、レオンが満足げに和花菜の背中をよしよしと撫でた。
 和花菜は、ゆるゆると絶頂の波が引いていくのを感じながら、ほっとしていっときレオンのあたたかな温もりに甘えるように身を任せた。
 もしかして、これでやめてくれるのだろうか?
 経験のない私をここまで辱めたのだもの。きっと、レオンも今夜はこれで解放してくれるかもしれない。
 なのにレオンの言葉が無情にも降ってきた。

「まだ終わりじゃないよ。これからたっぷりと、僕も味わわせてもらう」

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