華麗なる双子王子は逃がさない

書籍情報

君は俺達の花嫁になるんだ

華麗なる双子王子は逃がさない

著者:桔梗楓
イラスト:つきのおまめ
発売日:5月29日
定価:620円+税

病弱な母の元を離れ独り暮らしをする櫻子は、瀬山財閥の双子・光成と貴織と幼馴染だった。
幼い頃から世話を焼いてくれるふたりに自らの想いを秘めつつも、結婚適齢期の二人のことを考えるといつまでも幼馴染ではいられないと薄々感じていた。
そんな折、入院をした母が彼らの援助もあって回復した際に、櫻子は二人から愛の告白を受ける。
彼らを同時に愛するという愛の形に戸惑うも、心から望んでくれるふたりの愛を受け入れる覚悟を決めるのだった。
「櫻子――僕に、僕たちに、溺れて」
二人に濃厚に愛され、幸せな時間を過ごす櫻子だったが、そんな櫻子の前に一人の男が現れて……!?

【人物紹介】

木田櫻子(きださくらこ)
元社長令嬢。父の浮気が原因で両親が離婚し、母と二人で慎ましく暮らしていた。
病弱になってしまった母が心配で独り立ちをできずにいたが、双子の助言もあり母と離れて独り暮らしを始める。
瀬山の双子とは幼馴染であり、幼いころから何かとお世話になっている。

瀬山光成(せやまみつなり)
貴織の双子の兄。瀬山財閥の跡取り息子で、ゆくゆくは財閥会長の座を約束されている。
堅苦しく、真面目な雰囲気を持つ男性。
几帳面で綺麗好きで、趣味は掃除。

瀬山貴織(せやまたかおり)
光成の双子の弟。瀬川財閥現会長の秘書を務めている。
柔和な雰囲気で、櫻子に対しては世話好きな一面を見せる。
料理と手芸が得意。

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

「俺と貴織。選べと言われたら、どちらを選ぶつもりだ?」

 光成に冷静に問われ、櫻子の心は揺れる。

(その質問は……何よりも、残酷だよ)

 きゅっと唇を引き締めて、櫻子の眉じりは悲しく下がる。
 ずっと一緒だった。幼いころは、三人で一緒にいるのが当たり前だった。
 どちらが上とか下とか、そんな順列はつけたことがない。光成も貴織も、それぞれにいいところがある。だから、どちらかを選ぶなんて、考えたこともなかった。

「選べないよ」

 櫻子は切なく瞳を潤ませ、正直な気持ちを口にした。

「私は、光成くんも貴織くんも、同じくらい、好き」

 どちらかの手を取り、どちらかを捨てるなんて、できない。それならいっそ、両方から離れたほうがましだ。

「わかってる。ふたりを異性として同時に好きになるのはいけないことだって。でも、私はどうしても選べない。私にとって光成くんと貴織くんは、どっちも……大切な人だから」

 親愛ならいい。だが、異性愛だったら話は別だ。
 不誠実で、不道徳。心に住まう常識人の櫻子が、常にそう非難する。
『どっちも欲しい』なんて、ワガママもいいところ。だからひた隠していたのだ。この気持ちは秘めていなければならないものだった。
「私は間違っていた。こんな気持ちを持ってはいけなかったのに、甘えていた。いけないとわかっていたのに……私は弱かった」
 結局のところ、櫻子はひとりになりたくなかったのだろう。母ひとり子ひとり。気丈に振る舞い、母を支えなければと自分を叱咤していながら、誰かに傍にいてほしかった。大丈夫だよと、頭を撫でてほしかった。
 だから双子の優しさに、頼り切ってしまっていたのだ。こんな関係は終わりにしなければならないと言い聞かせながら、ずるずると――こんな歳まで、続けてしまった。

「でも、もう。終わりにしないといけない。私は、ふたりの輝かしい人生を壊したくないの。ふたりがおかしな事を言うのなら、私はいっそ――離れて」

 そう言った瞬間、唇に柔らかいものが落ちる。
 目を丸くした。それは光成の唇。柔らかくて薄い感触が、唇を伝ってくる。

(私、キス……してる)

 後になって実感が湧き、櫻子は身じろぎする。しかし、そんな櫻子の肩を、貴織が抱き寄せた。

「櫻子。それは、僕達は両思いってことじゃない?」

 耳元で囁き、貴織が櫻子の首筋に口づける。
「俺達は元より、櫻子を誰かに譲るつもりはない。櫻子が離れて、余所に行くことも許さない」
 頬に両手を添え、光成が強い視線で櫻子を射貫き、再び口づける。
 柔らかく、何度も食むようなキス。熱い舌先が櫻子の唇を舐め、歯列を割って口腔に入り込む。

「んんっ……!」

 ダメ、抵抗しなきゃ。櫻子の理性がそう訴えて、身体をよじる。すると櫻子の両手首を貴織が掴んだ。

「これでも僕達はずっと我慢していたんだよ。さすがにこの感情が間違っていることも、倫理に反することも、理解しているからね」
「――それでも俺達は、櫻子を諦めることはできない。常識が許さないというのなら、常識に囚われずに済む場所を作り出す。それが俺達の至った答えだ」

 この広い屋敷は今、光成と貴織と櫻子しかいない。
 世界との隔絶。常識の外。
 この場所でなら、存分に愛し合うことができる。倫理感を捨て、本能の赴くままに。

「そんな……。こんなの、ふたりは……いいの? 嫌じゃ、ないの?」

 普通は、独り占めしたくなるのではないか。
 ひとりをふたりで愛するなんて、できるのだろうか。または、ひとりがふたりを愛するなんて、可能なのだろうか。
 すると光成がフッと微笑む。

「他人なら殺す。だが、貴織ならいい。俺達は昔から、ひとつのものを分け合って生きていたからな」
「僕も同じだよ。光成は僕の半身のようなものだ。共に生き、共に死ぬもの。だから櫻子……君も、僕達と共にいてほしい。一生、ね」

 貴織が櫻子の顎を摘まみ、唇に口づける。
 光成が櫻子の身体を、上から下にかけ、ゆっくりと撫でていく。

「櫻子。君は――花嫁になるんだ」

 光成と貴織、どちらが言ったかわからなかった。ただ、片方の花嫁になるのではない。両方の花嫁になるのだと、ふたりの瞳が言っていた。
 愛という感情を止めどなく双方からぶつけられて、櫻子は言葉が出せない。
 こんなのは間違っているから止めさせないといけないと、頭の中で理性ある櫻子が必死に訴えている。
 それなのに、身体は痺れたように、動かなかった。
 貴織が櫻子の手首を握って唇にキスを続ける中、光成は櫻子のブラウスのボタンをぷつぷつと外していく。

(だめ、だめだよ)

 頭の中で制止の声を出すも、実際には出てこない。
 考えてはならないこと。思ってはいけない罪深い感情が、心の奥底から湧き上がってくる。
 それはもはやごまかすこともできない。『嬉しい』という、感情だった。
 ブラウスの全てのボタンが外されて、ブラに覆われた乳房が顔を出す。
 恥ずかしい。櫻子が顔を背けようとすると、貴織の甘い声が聞こえた。

「僕から目をそらさないで」

 少し垂れ気味の、形のよい眦。見ているだけで心が和む、優しい貴織の瞳。

「櫻子、愛しているよ」

 口づけは、繊細で柔らかい。貴織の唇は光成のそれよりも少し厚くて、ふわふわしている。熱い舌がねっとりと口腔に入り込み、ぬらぬらと中を舐め回す。

「櫻子……ああ、夢にまで見た君の姿。身体の芯まで愛したい」

 胸元で光成が熱っぽく囁く。背中に手を回し、ぷつりとブラのホックを外した。そしてブラを上に押し上げると、まろみのある白い乳房がふるりとこぼれ落ちた。

「あ……っ、あむ」

 恥ずかしさに声が出るも、貴織の唇で塞がれる。目の前は彼の顔で覆われて、光成がどんな顔をして櫻子の乳房を見ているのか、わからない。

(自分で確認できないって、こんなにも……恥ずかしい)

 自分の胸を他人と比較したことはないが、Eカップの乳房は大きいほうなのかもしれない。だが、その形は果たしていいのか、乳輪の広さ、乳首の形。今まで気にも留めなかった胸の要素の全てが気になってしまう。

「可愛いな。少し陥没しているところが特に」
「ん、そうなの? あ、本当だ。可愛いね」
 唇を外して、貴織が櫻子の胸に視線を向ける。
「やっ、あう、ふたりして見ないで」

 櫻子は顔を熱くしてイヤイヤと首を横に振った。逃げ出したいほど恥ずかしいが、貴織に手首を掴まれているので、手で胸を隠すこともできない。

「まずはここを気持ち良くしようか」
「いいね、じゃあ僕はこっち」

 貴織の手が櫻子の片手首から外れる。しかしすぐさま、光成がその手を握った。
 ふたりは同時に櫻子の乳房に触れる。

「あっ……」

 こんな光景があるだろうか。胸元で、見目のよいふたりの男性が櫻子の胸を弄り始めた。乳輪の真ん中には、奥に沈み込んだ乳首が見え隠れしている。普段は気にしたこともないが、櫻子はそんな自分の胸に羞恥を覚えた。

「だ、だめえ」

 慌てて声を上げるも、ふたりが動きを止めるはずもない。まるでボタンを押すように乳輪の真ん中を押したり、乳房をすくい上げてやわやわと揉みしだく。
 くるくると、人差し指で乳輪の周りを辿り、きゅっとつまみ上げる。
 櫻子は堪らず、熱いため息を吐いた。まだ、止めなきゃという気持ちは残っている。けれども、手首が固定されていては抗うこともできない。
 その時、ちゅっと小さなリップ音が鳴った。
 光成と貴織が、同時に乳房にキスをしたのだ。

「~~っ!?」

 びくびくっと櫻子の身体が震える。なんだ、これは。こんな感覚は、知らない。

「ほら、ちゃんと『こんばんは』ってしないとね?」

 乳輪を咥えながら、貴織が櫻子を見上げる。いつも優しい彼の目はいつになくギラギラしていて、まるで挑発するように勝ち気な目をしていた。

「舌でほじくり出してやろう。櫻子はただ、気持ち良く感じていればいい」

 形のよい目を伏せ、光成は何度もリップ音を鳴らせて乳輪に吸い付く。そして赤い舌先を尖らせて、乳輪の真ん中――奥で縮こまっている乳首を探るようにチロチロと舐めた。

「あっ、ア、あぁん!」

 身体中をかけめぐるような快感に、櫻子はあられもない嬌声を上げてしまった。
 貴織も、その舌を使って奥まった乳首をほじり出すように舐める。

「両方同時に舐められるって、どう? 気持ちいい?」

 くすくす笑って、貴織が尋ねる。

「ヤッ、そんなの、わからな……っ」
「なら、否が応にもその頭に刻み込んでやる。ほら――乳首が、出てくるぞ」

 光成が低い声で言うなり乳首に吸い付き、じゅっと強く吸い上げた。

「は……ぁ、ああぁっ」

 いっそ暴力的なほど甘くとろけるような快感に、櫻子は顎を上げて声を上げた。

「あはは、やっと『こんばんは』ってできたね。えらいえらい」

 同じように乳首を吸い上げた貴織は、ちゅっと音を立てて乳首を啄んだあと、人差し指でつつく。

「あっ、あ、だめ、ツンツンしないで」

 顔を出したばかりの乳首は敏感だ。櫻子がビクビクと身体を震わせると、光成がニヤリと口角を上げる。

「そんな風に言われると、意地悪がしたくなるな」

 口を大きく開けて、光成は乳房に舌を這わす。そして敏感に勃起した乳首に口づけをして、固くした舌先で舐め回した。

「はぁっ、あ、ううぅんっ」
「感じてる櫻子、本当に可愛いね」

 貴織が優しく声をかけたあと、彼も乳首に舌を載せた。ちゅっちゅ、とリップ音を鳴らして吸い付き、温かい口腔でみだらに舐める。

「あぁ、うっ、やぁ、そんなぁ……っ」

 ふたりが自分の乳首を吸って、舐めている。これ以上ないほど淫靡で罪深い眺めだ。
 恥ずかしさに耐えられず、櫻子は目を閉じる。しかし視界を閉ざした途端、胸を弄る甘い官能が絶え間なく櫻子の心を侵す。

(だめ……なのに。こんなの、間違ってる、のに)

 身体が痺れる。口から零れ出るのは発情した猫のような声ばかり。もはや抵抗をする気力も湧かず、ただ――快感という名の海に、溺れていく。

「櫻子」

 頬に触れる、光成の温かい手。

「こんな俺達を……愛してくれるか?」

 ちゅ、と唇にキスをされ、抱きしめられる。

「ずっと傍にいて欲しいんだ。君の望みはなんでも叶えてあげる。……だから、常識で僕達を計り、離れることだけはしないで」

 まるで懇願するように、貴織が囁いた。
 ふたりの言葉に、櫻子の心は激しく揺れる。

(私だって……ふたりが、好き)

 それは違えようのない、本当の気持ち。光成と貴織。ふたりとも、こんなにも――櫻子を望んでいる。

(常識で計らないで欲しい……か)

 ふたりとも、わかっているのだ。いや、社会的な立場があるからこそ、櫻子よりも現実を理解しているのかもしれない。
 それでも光成と貴織は、櫻子というひとりの女性を選んだ。
 苦悩したのかもしれない。別の道を模索しようともしたのかもしれない。だが、この『答え』にしか至れなかった。
 でも、それは櫻子も同じだ。

(愛したい。光成くんと貴織くん、ふたりとも私の大切な人だ。ふたりの願いを叶えてあげたい。私が愛することで、ふたりが幸せになってくれるなら……)

 それは、なんて嬉しいことだろう。櫻子がずっと夢みていたことだ。
 幼稚舎のころから仲良くなって、櫻子の苦難を助けてくれた。その恩を返したいと――ふたりを笑顔にしたいと、ずっと願っていた。

(この愛を受け取ることが、私にできる最大の恩返しなのかもしれない)

 何よりも、櫻子はふたりが大好きなのだ。光成と貴織を幸せにできるなら、自分の頭にくすぶる倫理への意識など、些細なものなのかもしれない。

「光成くん……貴織くん……」

 櫻子は震える手を動かし、ふたりの手を握った。

「怖いけど、これからのことは想像できないけど」

 きゅっと唇を引き締めた後、櫻子はひとつの覚悟を決める。

「ふたりのこと、大好き。この気持ちだけは……嘘をつきたくないよ」

 これが本音だ。まだ、全てのことを納得したわけじゃない。けれども、ふたりを愛する気持ちは大切にしたい。宝物のようなふたりだからこそ、その思いから後ろを向いて逃げたくない。

「櫻子……」

 貴織がうっとりと名を呼ぶ。

「怖がってもいい。戸惑うのは仕方ない。それでも俺達の気持ちを受け入れてくれたのが、とても嬉しい」

 光成の言葉。そして貴織の真剣な瞳。
 溢れんばかりの気持ちが伝わってくる。

「愛している。三人で、幸せになろう」

 貴織はそう言って、櫻子の額にキスをした。光成は櫻子の背中側にまわり、囲い込むように抱きしめた。
 ゆっくりと膝を割り、脚が大きく開かれる。
 櫻子は恥ずかしさに堪らず、ぎゅっと目を瞑った。

「ああ、とても綺麗だ」

 うっとりと貴織が呟き、最も秘めたる場所――秘所の割れ目を親指で押さえる。

「ふっ……」

 そっと触れられるだけでも、ぞくりと身体が粟立った。
 気遣うように、焦らすように、秘裂が暴かれていく。貴織の親指で大きく開かれた秘裂は、ぬらぬらと淫靡な蜜に濡れており、何者にも犯されていない蜜口が淑やかな窪みになっている。

「見ているだけで興奮してしまうね」

 くすりと貴織が笑う。指で軽く中心を擦られて、櫻子は「ああっ」と声を上げて身体を震わせた。

「大丈夫だ。優しくするから」

 後ろから抱きしめる光成が、耳元で甘く囁く。そして耳朶に口づけ、耳の中に舌を挿し込んだ。

「あ……あぁ……っ」

 耳は、弱い。ぞくぞくした快感が櫻子の身体を支配する。
 その甘い官能に身を任せていると、秘所に柔らかくぬめった感触を覚えて、櫻子の身体は大きく痙攣した。

「ひゃあっ!」

 それは、貴織の舌だ。
 彼は舌で秘裂の襞を舐め、秘芯に吸い付き、チロチロと舌先で転がす。

「だ、だめえ、そんなの……っ!」

 櫻子はぷるぷると身体を震わせ、身体をよじった。しかし男性ふたりに身体を固定されていては、身動きも取れない。

「ふふ、もっと気持ち良くなってもらわないとね」

 唾液に濡れた唇でニヤリと笑う。今まで櫻子が持っていた貴織の爽やかなイメージとはかけ離れているが、ドキドキするほど淫靡で妖艶な表情だ。

「ほら、ここも好きなんだろう?」

 内緒話をするような小声で光成が言い、ぷっくりと膨らんだ乳首を両手で摘まむ。

「はっ、や……っンン!」

 脚に力が入る。しかしいくら閉じようとしても、貴織が脚の間に入っているから無理な話だ。無防備も同然になっている秘裂を、貴織は絶え間なく舌で愛撫し続ける。
 光成は耳を食み、首筋に舌を這わせながら、硬くなった乳首を親指と人差し指で抓り、コリコリと捏ね続ける。
 まるで身体全体を舐め回されているような愛撫。
 このような体験はもちろん初めてで、性に初心な櫻子が耐え続けられるわけがない。

「あ、だめ、なんか……来……るっ!」

 その時は、あっという間に訪れた。

「んっ、あっ、あぁぁああ!」

 雷に打たれるような衝撃。快感が頭の中で爆ぜて、白く染まる。
 ――そして後に残ったのは、恍惚にも似た虚脱感だった。

「はぁ……は……ぁ……」

 息を整える櫻子を見て、貴織が嬉しそうに微笑む。

「イッちゃったね」
「櫻子のイキ顔はとても可愛らしかった。もっと気持ち良くさせたくなるな」

 フ、と光成が後ろで笑う。

「ほら、ここも出来上がってきたみたいだよ?」

 顔を上げた貴織は、櫻子の秘所を柔らかく開いた。貴織の唾液と櫻子の蜜で濡れたそこは照明に反射してぬらぬらと光っており、非常にいやらしい見た目となっている。

「じゃあ櫻子の初めては、僕が貰うね」

 顎を摘まみ、ちゅ、と貴織が唇にキスをする。

「櫻子と籍を入れるのは俺だからな。そういう約束にしたんだ」

 光成が首筋に口づけ、そう呟く。

「う……。私を差し置いて、なんて約束をしているの」

 思わず恨みがましくふたりを睨むと、貴織と光成はクスクス笑った。

「素直に話したところで、櫻子は戸惑うばかりだろうしね」

「すまないな。しかし、ふたりと結婚できない以上、これは事前に決めておかなければならなかったんだ」

 財閥を継ぐ双子の兄と、その兄を支え続ける弟。
 世間体を大事にするなら、もちろん跡継ぎが結婚をするべきである。同時に、弟は一生独身の身であってもさほど問題視はされない。もちろん、財閥の御曹司という立場である以上、放っておかれることはないのだろうが。

「君の処女と、君の婚姻。櫻子の初めては、僕達が全て共有する」

 貴織はそう言って、ずいと身体を寄せた。そしてスラックスを寛げ、己の楔を持ち出す。
 それは、貴織の綺麗な顔からは想像がつかないほどグロテスクだった。
 くすんだ肌色をした杭はたくましく、浮き出た血管は生々しく脈打っていた。先端は赤黒く、カリの部分はつるりとしていて、先走りの雫が滴っている。

「櫻子……、愛している」

 夢見るように呟き、その楔で秘裂に触れた。ぬるり、ぬるりと、先端に愛蜜を塗りつける。
 光成は、櫻子の腰が逃げないようにと、しっかり上半身を抱きしめた。

「震えてるな。しかし怖がらないで欲しい。……貴織は優しいから」

 そっと頬を撫でられ、幾分か緊張していた櫻子の身体が緩んでいく。

「挿入るよ――」

 その呟きと共に、貴織のものがゆっくりと入ってくる。

「う、ン……っ!」

 それはあまりに大きな質量で、櫻子は再び身体を戦慄かせた。それをなだめるように光成はゆっくりと櫻子の腕をさする。

「は、ぁあ。おっ、き……ぃよ……」

 膝ががくがくと笑っている。例えようのない異物感は甘さを孕んでいながらも衝撃的で、櫻子の身体はまったく言うことを聞いてくれない。

「まだカリの先端が入っただけだよ。……っ、く、想像以上に……狭いね」

 貴織が熱いため息をつき、ゆっくりと腰を進めた。
 つぷん、とまるで呑み込むように、カリの部分が挿入った。

「はっ、あ!」

 それだけで、衝撃を感じる。櫻子はぎゅっと光成の腕を握りしめた。

「しっかり息をするんだ。息を止めると、余計に辛くなるぞ」

 耳元で光成が助言を送る。言われたとおり、櫻子は深い呼吸を繰り返した。

「はぁ、は、はぁ……」
「ふふ、上手だね」

 貴織の口元が嬉しそうに弧を描く。そして時間をかけて、味わうように――性器の侵入を続けた。
 えらの張った部分が、道なき隘路をえぐるように擦る。
 太くて硬い貴織の楔は興奮で血管が脈打ち、そのドクドクという鼓動さえ、敏感に感じ取ってしまう。

「あっ、あ……っ、ドキドキ……するっ」

 生々しい性交。破瓜の鈍痛と、それを上回る快感。下腹をうずまく、不思議な疼き。

「初めてを感じてる櫻子は、たまらないほど可愛いな」

 ジッと櫻子を見つめる光成が、うっとりと言った。

「本当だね。切なそうで悲しげで、なのにとても気持ち良さそうで――。気持ちが昂ぶって、一気にヤッてしまいそうだ」

 貴織は頬に一滴の汗を流し、凶悪な笑みを浮かべる。ずぶずぶと侵入を進め――やがて、楔の付け根と秘裂がぴたりと合わさった。

「ああ……奥まで挿入ったよ」

 感極まったように、うわずった声で貴織が言った。櫻子はあまりの質量に言葉も出ない。

「どうしよう。すごく嬉しい。今、僕は櫻子とセックスしているんだ」

 はぁっと熱いため息を吐いた貴織は、その大きな手でしっかりと櫻子の手を握りしめる。

「夢にまで見た。でも罪深いと思って何度も諦めようとした。それでも諦めきれなくて、夜ごと夢想した――その夢が叶うなんて……」

 ぐっと貴織が腰を引く。膣内で、ずるりと楔が隘路を擦り、櫻子は「あぁっ」と甘い嬌声を上げて身をよじる。

「本当に、嬉しい。これが現実で起きてることなんて」

 再び奥まで貫かれ、櫻子の顎がくっと上がった。

「あぁああっ」

 達したばかりで敏感な身体が、その抽挿に反応する。膣内でドクドクと脈打つ貴織の楔は熱く、硬く、とてもいやらしい肉質感があった。
 ――耐えきれない。暴れ出しそうになる身体を、後ろから光成がしっかりと支える。

「そんなにいい具合なのか」

 どこか楽しそうに尋ねる光成に、貴織はゆっくりとした抽挿を繰り返しながら「ああ」と頷いた。

「実のところ、いつでもイケそうだ。ふふ、必死に我慢してるよ」
「へえ? それなら、貴織がイクまでの間、俺は櫻子の可愛い声を聞かせてもらおうか」

 息も絶え絶えな櫻子の上で、双子がそんな会話をする。
 そして光成は、大きく開いた櫻子の秘所に手を伸ばし、赤く突起した小さな秘芯に人差し指で触れた。

「ひゃっ、ああっ!」
「ダメだよ。そんなところ弄っちゃ。櫻子、いっぱいいっぱいなのに」
「追い詰めると、どこまで乱れてくれるのか、今のうちに把握しておきたいからな」

 ぐちゅっ、ぬちゅ。
 繰り返される性器の抽挿。それとは違う動きで、コリコリと秘芯を弄られる指の感覚。

「だ、めぇ……! そんな、同時になんて……っ!」

 びくびくと震える櫻子の身体。
 更に光成は乳房を掴み、その乳首をぐりぐりと擦る。

「ひっ、ぁ、ああっ」

 大きく背中がしなった。身体が大きく痙攣して、再び頭の中がまっしろな雷光に染まる。

「……く。ああもう、無理。櫻子がイッた瞬間、君のナカががキュウッて締まったよ。可愛すぎない? そんなに僕のものが欲しいんだね」

 嬉しそうに笑って、貴織は身体を起こした。光成は櫻子から少し離れて、自分のシャツボタンをぷつぷつと外し始める。

「え、光成くん……」

 櫻子が光成に顔を向けた途端、貴織がその身体に覆い被さった。ぎゅっと痛いくらいに抱きしめて、腰を大きく引かせる。
 勢いよく楔を打ち付け、パン、と肌のぶつかる音がした。

「あぁっ!」

 衝撃にも似た快感に、櫻子は目を瞑って喘ぐ。

「櫻子……っ!」

 貴織はいつになく余裕のない声で櫻子の名を呼び、激しい抽挿を繰り返した。ずるずると隘路を削るように擦り上げ、子宮口めがけて勢いよく穿つ。

「はっ、あ、はっ、はあ」

 まるで全速力で走っているみたい。パン、パンと、絶え間なくいやらしい打音が部屋内に響いて、貴織と櫻子、両方の息が切れる。
 甘やかな睦言も、気取った口説き文句もない。まるで言葉など忘れてしまったケモノのように荒々しく息を吐き合い、性器の交わりは続いた。
 貴織の表情に余裕がなくなり、櫻子を乱暴に抱きしめた。力加減を失って、ただ、自分の快楽を追い求めるように、あるいは貪るように、櫻子の隘路をえぐり、擦る。

「いっ、あ、はっ、ぁアっ!」

 抽挿のたび、快感が激しさを増す。櫻子は思わず、貴織の肩を抱きしめて爪を立てた。
 ぱん、パン。
 苛烈な打音は速さを増し、櫻子の頭の中はもう、まともな思考力もない。

「はっ、は、ア、あ……櫻子……っ!」

 ぐぐっと櫻子を抱きしめる腕に力を込め、貴織はいっそう力強く、己の杭を穿った。

「……っ、くっ」

 そして――果てる。いっそう硬くなった楔は貫かんばかりに櫻子の最奥を擦り、その無防備な子宮口に、先端から白い欲をびゅるびゅると注ぎ込む。

「あ……ぁ、あっ」

 もはや言葉が出てこない。何も浮かばない。
 迸る欲はまだ尽きない。貴織は最後の一滴まで零さないように、ぴったりと付け根を合わせた。ドクドクと脈打つ楔の感覚が、膣内を通じてダイレクトに伝わってくる。

「はっ、あ……はぁっ」

 櫻子は知らず、ぎゅうっと膣を締めていた。彼の精液を全て欲しがるように。まるで搾り取るみたいに、その子宮口は嬉しそうに精液を呑み込んでいる。
 櫻子はすっかり脱力した身体で何度も呼吸し、肩を上下させた。
 心身ともにへとへとだ。しかし、光成は櫻子の回復を待つ気はみじんもないようである。

「次は俺だな」
「弛緩してふにゃふにゃになった櫻子のナカ、気持ち良くて名残惜しいけど、交代だね」

 貴織は、惜しむようにしながらも、ズルリと楔を抜く。その擦られる感覚に、櫻子の身体は素直に反応した。

「っ、んっ!」
「ああ、そうそう。ちゃんと綺麗にしてあげようね」

 言うなり、貴織は人差し指と中指を膣内に挿し込んだ。そして、グリッとひねるようにナカで動かす。

「あぁ、や、うっ」

 愛撫にも似た指の感覚に、櫻子はフルフルと首を横に振った。

「疲れているのにごめんね。でも、出してあげないといけないから」

 何度もナカを掻き回した後、その指を勢いよく引く。
 途端、ごぽっと水音がして、膣内に溜まっていた精が勢いよく零れ出た。

「うーん、思った以上にたくさん出ていたね。自慰よりも遙かに気持ち良かったから、仕方ないか。はい光成、どうぞ」

 後始末を終えた貴織が場所を譲る。すでに己の楔を露出し、すっかり準備万端になっていた光成は、ぐったりと横たわる櫻子の前に座った。
 櫻子は、力ない目でぼんやりと光成を見つめる。
 彼の楔は、貴織とは対照的に色白だった。ただ、先端のカリ首がやけに赤くて、毒々しい。
 杭は薄い肌色だからか、浮き立った血管は赤黒く、ある意味グロテスクな光景である。
 そして、腰を持ち上げるなり、クルリと体勢を変える。

「ひゃあっ!」
「俺は、こっちの体位で君を貰おう」

 四つん這いになって、お尻を光成に向ける体勢。櫻子の顔がみるみると熱くなる。

「や、これ……恥ずかしい……っ!」

 思わず下を向くと、自分の前に影が出来た。

「じゃあ僕は、恥ずかしがる櫻子の顔を堪能させてもらおうかな」

 そっと顎を摘まみ、貴織が嬉しそうに櫻子の顔を見ている。

「や、見られながら……というのは……っ」
「その照れ顔、本当に可愛いね。大丈夫――ここには、僕と光成しかいないから」

 にこりと貴織が笑う。そして光成は、櫻子の臀部を両手で掴んだ。

「そうだ。俺と貴織と櫻子しかいない。――どれだけ乱れても、構わない」

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