悪女なので復讐される、はずでした ~なぜかヤンデレ王子の最愛欲で甘く満たされています~

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悪女なので復讐される、はずでした ~なぜかヤンデレ王子の最愛欲で甘く満たされています~


著者:智江千佳子
イラスト:氷堂れん
発売日:2024年 4月19日
定価:630円+税

国王の王位継承の宣言とともに第一王子のギルフォード・ベルハイムが壮健な姿で貴族の前に現れる。
傲慢な公女として知れ渡っていた元婚約者であるロスマリン・アーレンハイトは彼の姿に人知れず安堵していた。
彼女は精神支配で王族を腐敗させる父に、ギルフォードへ精神支配の術をかけるよう幼い頃から命令されていたのだ。
だが、ロスマリンはギルフォードにもバレないよう、幼い彼女ができる限りで父の命に背いていた――。
王宮の廊下を歩きながら思考するロスマリンの前にギルフォードが姿を見せる。
健康な今の彼に復讐されると覚悟していたロスマリンだったが、なぜかギルフォードは優しく甘い声で話しかけてきて……?
彼はロスマリンを逃さないよう、手巾で彼女の鼻と唇を素早く塞いだ――!?
「やっと捕まえたよ、僕のロジー」
目が覚めたロスマリンは王宮の一室に軟禁され、ギルフォードから彼の妃になるよう言われてしまう……。
十四年前、彼にかけた精神支配の術がまだ解けていないと思った彼女は本心とは裏腹に冷たい態度を取るのだが――!?

【人物紹介】

ロスマリン・アーレンハイト
アーレンハイト公爵家の長女。
本来は心優しい女性だが、過酷な境遇によってあまり自身の感情を表に出そうとしない。悪女のふりをしているが、内心ではギルフォード以外への興味は薄い。
ギルフォードから与えられる愛情表現が精神支配の術によるものだと思っているが――?

ギルフォード・ベルハイム
第一王子。ロスマリンの元婚約者。
基本的にはまじめで優しく、冷静かつ温厚であろうと努めている。
ロスマリンへの愛は重くひたむきだが、時には暴走してしまうこともあり……!?

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【試し読み】

「ロジー、考え事をしているなんて、随分と余裕があるんだね」
「っ、あ……っ、嫌っ」
「嫌? そうだね、君が嫌がることでなければいけないから、当然のことだ」
 おかしそうに小さく笑い声をあげたギルフォードは、寝台の上で息を乱すロスマリンを見下ろしうっとりとため息を吐いた。彼は柔和に微笑んでいながら横たわるロスマリンの手首をシーツに縫い付けるように押さえ、上から彼女の痴態を眺めているのだ。
 仕置きをすると言い放ったギルフォードは躊躇うことなくロスマリンの体を押し倒し、バランスを崩した彼女の片足に触れた。そのまま何をされるのかわからず震える彼女をじっくりと堪能し、素足を躊躇いなく舐めた。
 彼女がどれほど動揺し、逃げ出そうとしてもギルフォードは意に介すことなく熱心に足に口づけ舐めしゃぶり、熱い吐息を漏らす。そのうち彼の唇は爪先からくるぶし、足首から膝へと隈なく口づけながら徐々に体の中心へと近づき、彼女のドレスはすっかり乱れきって、きつく締められていたコルセットも抵抗する間もなく外されていた。
「あ……っ、う、」
「ほら、こんな男を誘うようなドレスを着ているから、こうして悪戯されるんだ」
 天使のように美しい男が、頬を上気させながら乱れたロスマリンの鎖骨に触れる。彼女はその指先が焦らすようにゆっくりと下へ降りてまろい乳房に触れようとしているのを見て、慌てて両手で胸を隠した。全身への甘い口づけに酔わされて自身のドレスがほとんど脱げかけていることに気付いていなかったのだ。
「や、やめてくださ、い」
「困ったな。僕は君が嫌がることをしないといけないから。……それともロスマリン、君は僕の妃になると誓ってくれるのかな」
 なぜそのようなことを願われているのか想像もできない。彼女はただ必死に思考を巡らせ、答えを見つけられずに俯く。その姿がギルフォードの目には拒絶のように映った。
「……そう。それならもっと君が嫌がることを続けなくてはいけないね」
「まっ、……っあ、ぅ」
 ギルフォードはロスマリンの制止を聞くことなく胸を隠す細い腕を掴み、彼女の頭上に縫い付けた。突然のことにロスマリンは目を白黒させ、ギルフォードの唇が己の胸の飾りに触れようとしているのを見てさらに息を呑む。
「ロジー、ほらよく見て。とても美味しそうだ」
「っ、やめ……ん、ぁっ……!」
 まるで見せつけるように表情を覗き込まれ、ロスマリンは慌てて拒絶の声をあげようとしたものの、ギルフォードの行動を止めることなど不可能だった。彼の唇が固く実った乳首を口に含む。
「っん、あ、っ、……やっ、ああ」
 ギルフォードは飴を舐めるようにねっとりと乳首の輪郭をなぞり、彼女が熱い吐息を吐き出したのを見て、咎めるように甘く噛みつく。空いた手でもう一方のふくらみを柔らかく揉めば、彼女は耐え難い快楽を逃がそうと腰を揺らした。
「こんなに固くして、僕が触れるとたまらなく気持ちがよさそうにしているのに、君の心は嫌がっているのかな」
「あっ、そこでしゃべらな、ぁ、ああ」
「じゃあ、僕のような不埒な男に二度と襲われないよう、こういうドレスは控えてね」
 ギルフォードはロスマリンに答える隙を与えず微笑んで囁き、脱げかけていたドレスを躊躇いなく引き裂く。
「ひ、っ……、や、やめ」
「残念だけど、君が妃になると誓うまで、僕はやめてあげる気がないよ」
「ど、うして」
「君は僕のものだ。僕だけの。……何人たりとも君に触れてはならない。ロジー、君に触れていいのは僕だけだ」
 力強い宣言にロスマリンは言葉を失う。なぜ、どうしてと疑問ばかりが頭を巡り、今目の前で起こっていることがまるで夢のようにさえ感じられるのだ。はくはくと唇を震わせ、笑みを浮かべるギルフォードにその唇を奪われると、訳もわからずされるがままになった。
「ん、んんぅ……ふっ、ん」
 彼女が初めて受けた口付けは優しく幸福なものではなく、淫靡で衝撃的なものだった。柔らかく触れた唇に食まれ、呼吸を続けようと薄く口を開くとその隙間から舌が捩じ込まれる。彼の舌はねっとりと歯列をなぞり、彼女の舌を吸って口内を自在に蹂躙する。ロスマリンはまだ知らぬ未知の快楽に足を取られ、ろくな抵抗もできずに息を乱すばかりだ。
「はは、もしかして口付けははじめてかな」
 嬉々とした声で耳元に囁かれ、その甘ったるさにロスマリンは自身の背筋がぞくぞくと震えるのを感じた。このようなことを、長年婚約者がいたロスマリンが経験しているはずがない。当然のことなのだが、ギルフォードに指摘されるととても恥ずかしいことのように思えて頬が紅潮していく。
「見ない、で」
「君の肉体はこんなに熱心に男を誘っているのに、君の心は純真なんだね。どうしてこうも君は可愛らしいんだろう。十四年間、君は僕のために貞操を守ってくれていたのかな。そうだとしたら嬉しいよ。ロジー。……でももう守る必要もないよね。僕が君の全てをもらうんだから」
 うっとりと蕩けた瞳を浮かべたギルフォードが、予告なく再びロスマリンの唇に噛み付く。彼はまるで長らく餌の前で待たされ続けた獰猛な野獣のように唇に食らいつき、興奮を隠そうともせずに彼女の体に触れた。胸を弄っていた手はやわやわと肌を撫でながらへそからその下へと降りていき、彼女が長い口付けに脱力してしまった頃には、とうに秘所へと到達していた。
「ああ、とても感じているんだね」
 ロスマリンはくつくつと笑う彼の手に触れられて、初めて己の体の中心が酷く泥濘んでいることに気づいた。
「っ、ひぁ! っ……な、なん、で」
 ショーツの上から輪郭をなぞるように秘所をくるくると撫でられ、ロスマリンは混乱のまま高い声で鳴いてしまった。それが己の唇から漏れ出た声であることが信じられず、両手で口を塞ぐ。ギルフォードはその仕草さえも愛おしそうに微笑んでいた。
「君は僕に触れられるのがたまらなくいいんだ。君の体が僕に触れられたがってる。わかるだろう?」
「ん、ぁっ、わかんな……っあ……!」
 彼女が拒絶の言葉を吐こうとした途端、曖昧な力で触れていた指先がわかりやすく主張した突起を引っ掻く。その強烈な刺激に目の前が真っ白になり、爪先がピンと張り詰めるような不可思議な感覚に突き落とされた。心音がうるさい。まるでギルフォードに聞こえてしまいそうなほどだ。
「もう達してしまったんだね? ロジー、かわいいね。もっとよく見せて」
「あ、あぁっ……や、やめ」
 くちゅり、と淫靡な音が聞こえる。彼女はそれが己の秘所から発せられたはしたない音であることを察して、顔から火が出てしまいそうだった。ギルフォードはまるでロスマリンの拒絶の言葉を遮るように音を聞かせ、彼女の表情を覗き込んでいる。
「本当にやめてほしいのかな。ロジー」
「あっ……ぅああ、ん、んんっ、やめ、やめて」
「はは、じゃあ僕の妃になると誓う?」
 ――どうしてそうなるのよ!
 ロスマリンは叫びたい思いでギルフォードを睨みつけたつもりだが、その眼力は彼の巧みな悪戯のせいで弱々しく曇った。
「ひぁああん……っ! ぁ、ああっ、や、触らな……っ! ああんっ!」
「君ならそう言うだろうと思っていたよ。それならもう、先に進むしかないね」
 朗らかに囁くギルフォードの手によってショーツを脱がされる。息が整う前に両足を掴まれ、力を込めて開かされた。ギルフォードはロスマリンの秘所を覗き込むようにして寝台に座り直し、ロスマリンの体を折って両足を彼女の顔の両脇に押し付けた。
「やっ、なに……っあぁ!」
「君のここがよく見えるね。ああ、すごく濡れているよ。ロジー、君からも見えているかな?」
 ショーツが脱がされたことで、ロスマリンの秘所はしっかりと二人の眼前に晒し出されている。ギルフォードが言ったとおりそこはぐっしょりと濡れ光り、たらたらとはしたなく粘性の液を垂らしていた。ギルフォードの節くれ立った長い指先が、ロスマリンの濡れそぼった突起に近づく。ロスマリンはすでに、そこを刺激されるとたまらなく体がおかしくなり、目の前が真っ白になってしまうということを学習していた。
「っ、や、だめっ……っんあああっ……!」
 だめだと言っても、ギルフォードが行為を止めることはない。
 ――私だって十四年前、ギルに同じ仕打ちをしたじゃない。
「考え事はだめだと言ったよね」
「ひぁああっ……!」
 過去を悔いる暇もない。繊細な動きで突起を刺激していた指先は、ロスマリンの行動を詰って荒々しい手つきに変わっていく。ひっきりなしに強い快感に追い詰められ、ロスマリンは引き攣った呼吸を繰り返すだけで精一杯だ。やがてギルフォードの指先が秘所から溢れ出して肌を伝い流れる粘液をなぞると、彼女はそれがこぼれて流れ出るほど感じ入っていることを晒し出されているような気分になった。ギルフォードは滴り落ちる粘液を指先で掬って、ロスマリンに見せつけるように舐めとり、制止を聞くことなくその唇を秘所へと寄せる。
「っ、いやっ、ああっ、あんっ、ひあああっ……!」
「君はよく、僕に君のことを舐めさせたがっていたよね」
 ギルフォードがはしたなく音を立ててロスマリンの粘液を啜る音が響き渡る。彼女はその音を聞くと泣きたい気分で必死に首を横に振り、ギルフォードの頭を押し返そうと躍起になった。しかしその抵抗はまるで意味をなさず、むしろギルフォードの頭を秘所へと押し付けている。体の中心に溜まった欲情を絶えず強引に引き出され、ロスマリンは逃げ出すこともできずに呼び起こされる快感に悶え続けている。
「ち、がっ……あんっ! ああっ」
 いやいやと首を振るロスマリンはとうとうその瞳から大粒の涙をこぼして目をきつく瞑った。彼女は己の悪行が彼の心に闇を灯してしまったのだと打ちひしがれ、ろくな抵抗もできずに快楽に呑み込まれる。
 彼女はなぜこのようなことが起こっているのか理解ができなかったが、一方で間違いなくギルフォードが彼女との間に起こった過去を覚えており、そのせいで彼がおかしな行動を起こしていることを察していた。
「目を逸らさないでロジー。君がこうなっているのは僕のせいなんだ。それをよく見ていて」
 優しく甘い声に囁かれて、彼女の肩がぴくりと震える。頬を流れる涙を柔らかな手つきでなぞられ、ロスマリンは性懲りもなく瞼を開いた。その途端、眼前に信じがたい光景が映る。
「っ、……なに、」
「君のすべてをもらうよ」
 美しく成長を遂げたギルフォードが、天使のような微笑みを浮かべながらロスマリンの濡れそぼった蕾に舌を伸ばし、長い指先をその下の蜜壺に突き入れようとしている。
「やめ……っ~~!」
 思わず絶叫しかけたロスマリンの声はギルフォードの性技の前に霧散して消えた。隘路を躊躇うことなく突き進む指先にロスマリンの粘液がしっとりと絡みつく。ギルフォードの指が的確に彼女の弱点を暴こうと蠢き、腹を内側からなぞるように嬲った瞬間、ロスマリンの腰がひくりと動いた。
「ここがいいんだね」
「っ、ひ、あああっ、や、ああ」
 ギルフォードが刺激に弱い蕾を絶えず舐めしゃぶりながらその箇所を擦ると、ロスマリンはあっけなく快楽を極めて全身を痙攣させた。
「ロジー、達するのが上手だね。とても素晴らしいよ」
「ひ、あ……っ」
 ロスマリンは過ぎる快楽に足を取られ、言葉を紡ぐこともできない。ただ快楽を逃がそうと努めて呼吸を繰り返し、それを妨げるように中を擦られるたび高い声をあげて猫のように媚びてしまう。彼の指先は次第に大胆にロスマリンの中を引っ掻いて執拗に擦るようになり、その指が根元まで深々と突き入れられるようになるころには、彼女は快楽に全身を絡め取られ、もはや指先一つ己の意思では動かせないようになっていた。
 ロスマリンは己が達するたび中から分泌されるはしたない粘液を美酒のように啜るギルフォードのことを見ることができずに顔をそらすのに、彼はそのたび彼女の名を呼んで注意を促し、さらに執拗に蕾を舐め、甘噛みする。耐え難い快楽のるつぼに、ロスマリンはあっけなく陥落してしまった。
 ――何一つ考えがまとまらない。
 ただ快楽を受け入れるだけで精一杯になっているロスマリンに、ギルフォードは満足げな笑みを浮かべて甘いキスを落とした。
「ロジー、目がとろとろだ。気持ちがいいんだね」
「ど、うして……、こんな、ぁ……こと、……んっ」
「どうして? 君が悪い子だからお仕置きをしているんだっただろう? 気持ちがよすぎてもう忘れてしまったのかな。ロジー、君が僕の妃になることを、今さら拒んだからだよ」
 ロスマリンはなぜギルフォードがそのようなことに執着するのかわからない。復讐がしたいのだろうか。それほど憎んでいるということなのだろうか。それともやはりまだ精神支配に苦しんでいるのだろうか。ロスマリンの頭は混乱するばかりで、ギルフォードに微笑まれるたび居心地の悪さに震えている。しかし同時に胸の奥がくすぐったくなることにも気づいていた。
「ロジー、もう一度聞くけど、僕の妃になると誓ってくれないのかな」
 彼の瞳は熱せられたチョコレートのようにどろどろと甘く光っている。ロスマリンはその色気の籠った妖しい微笑みに唆されてしまいそうで逃げるように顔をそらした。
 ――これがギルの本心であるならば、どれほどよかっただろう。けれど決してこの言葉が本心であるはずもない。
 ロスマリンは十四年前の己の仕打ちを思い返し、結局黙り込んでしまう。頑なに首を縦に振ろうとしない彼女の姿に、ギルフォードが笑みを浮かべながら言った。
「そう。じゃあ力ずくで僕のものになってもらうよ」
「なっ……ん、ぁあ……!」

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