蕩けて溺れさせて ~幼なじみドクターの一途な愛情~
著者:久遠縄斗
イラスト:石田惠美
発売日:2023年 2月24日
定価:640円+税
実家で母と二人暮らしをしているOLの果純。
冬のある日、夜中に合コンから帰宅した果純は
自宅のお風呂で髪を洗っている途中でお湯がでなくなってしまう。
母親は友達と旅行に行っていて不在……。
真冬に水で洗い流すわけにもいかず、頭を泡だらけにしてどうしようかと悩み、
そこで果純は隣に住んでいる幼なじみの響也を頼ることに。
「お前、わかってるのか? 男が一人でいる家に入り込んで、風呂に入るって意味が」
果純は雄の顔をした響也に迫られて――!?
【人物紹介】
橘果純(たちばな かすみ)
実家で母と二人暮らしをしている30歳OL。
響也とは幼馴染であり、弟のように思っている。
響也のことが好きだが、響也の勤める病院で看護婦が将来を誓った女性がいると
噂話をしているのを聞いてからは響也への気持ちを心の中にしまっている。
久我響也(くが きょうや)
個人病院を経営している26歳医者。
果純の幼馴染。子供たちには『戦うお医者さん』として人気。
実家暮らしだが、両親は仕事で海外に暮らしており広い家に実質独り暮らし。
果純に弟と思われたくなくて強気な態度で対応してしまうが、基本的には優しく紳士的。
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【試し読み】
耳元に顔を近づけ、低い声で囁かれた。
「果純の嘘は、すぐにわかる」
熱い息が耳にかかり、背筋がまた震えた。それをすぐに見抜いて響也が笑う。その低い声が耳に届くと、脳が情欲の色に染められていく。そうなると体は果純の気持ちを無視して、勝手に快感を求め始める。
身体に触れている響也の手のひら、熱い体、伝わる鼓動、息遣い。それらすべてを先ほどよりも感じ取ろうとしだす。
「……や、駄目」
自分の体の変化に果純は思わず呟いた。
耳を舌が這う。ぴちゃぴちゃという音と、響也の鼻息が堪らなくいやらしく響く。くすぐったさと快感に首をすくめた。その首筋に響也の指が触れた。するりとなでられて肌が粟立つ。それは気持ちの悪さではなく、真逆の快感。
「本当は感じてるんだろ? 素直になれよ」
小さな快感は次の快楽を呼び込む。肌に触れた指から全身に熱が伝わっていくようだった。
ほんの小さな震えも、聞こえないほどの吐息も、鋭敏に感じ取って響也は果純の肌に触れてくる。首筋から鎖骨へとなぞる指先のゆっくりとした動きがじれったい。そう思った瞬間、鎖骨に爪を立てられた。
小さな痛み。けれどそれすらも快感として脳が受け入れる。
「んっ……」
唇からごく小さな声が漏れた。慌てて口をふさいだがすでに遅く、響也が目を細めて果純を見下ろしていた。その瞳に浮かんでいるのは、はっきりとした色欲。欲情に濡れて光る瞳に、果純は息を飲む。
響也は果純の瞳を見下ろしたまま身を起こし、ソファから離れた。そばにあった温もりがなくなり、果純は寒さと寂しさを覚えた。呆然としたまま見上げれば、響也が唇に自嘲の笑みを浮かべた。
「キスで感じて、これでも俺は弟扱いか?」
言われて果純はうつむいた。
「響也はいつから私のこと、その……お姉ちゃんだって思ってなかったの?」
「さあな。気付いた時には好きだった」
「私はずっと弟だと思ってたのよ。手のかかる弟だって」
「俺はずっと好きだった。それこそガキのころから、果純しか見ていない」
ソファの前にひざを付き、響也はうつむく果純と視線を合わせた。その黒い瞳がどこまでも真剣で、嘘偽りを言っているようには見えない。
「……本当に許嫁とかいないの?」
「いない。たとえいたとしても関係ない。俺は果純が好きなんだ。他には誰もいらない」
その真摯さに果純は息を飲んだ。
「果純はどうなんだ。俺のことはこれからもずっと弟なのか?」
「それは……」
言いよどんだ果純に響也は目を細めた。その真剣な眼差しを見ていられなくてうつむく。
「じゃあ、最後の選択は果純にさせてやるよ」
「選択って、何を……」
「俺にこのまま抱かれるか、それとも今まで通りのつまらない関係に戻るか」
果純はとっさに答えることができなかった。それを見た響也はさらに目を細めると果純に背を向ける。
「俺は自分の部屋にいる。もし抱かれたいなら、自分から来い」
言い置いて響也はリビングから出ていく。去っていく背中を目で追いながら、果純は動くことすらできなかった。その響也の背中が廊下に通じる扉の前で止まる。
「その時は、もう遠慮しねえからな」
ぱたんと扉が閉められた。そうすると途端に部屋が静寂に支配される。空調の音だけがやけに大きく聞こえた。
部屋は適温だ。寒くもなく暑くもない。なのに、響也がいなくなっただけで酷く冷たく感じた。先ほどまで熱くなっていた体が急速に冷めていく。と同時に、思考も冷静さを取り戻した。
果純は長く大きな息を吐くと、ソファにもたれかかった。
時間にすればほんの十分ほどの出来事だ。なのに、永遠のようにも感じた。それほど濃い時間だった。その濃密な響也との時間は、果純にとって衝撃的だった。
あんな響也を見たことがなかった。男として、果純に欲情している姿。弟でも幼馴染でもない、一人の男。それをはっきりと理解した。それと同時に子宮がうずいた。響也が欲を抱いているように、果純の体もまた響也を求めたのだ。一人の女として。
「どうしよう」
言葉にしたところで果純は自分で気づいた。
数十分前までの果純なら、間違いなくこのまま自宅に帰っていただろう。けれど今は悩んでいる。もうその時点で答えは決まっているようなものだった。
最初から姉弟ではなかった。ずっと意識していた。許嫁がいるのなら、好きになっても自分が苦しくなるだけだと思った。自分の心に蓋をして姉を装ってきた。
離れたくないから姉の立場を貫いたのだ。響也が誰かと結婚してもともにいられる関係を望んだ。けれど、響也が言うように許嫁などいないのなら、その前提が崩れる。姉であり続ける理由も、自分の気持ちに蓋をする理由もない。
姉弟ではなくなる。それは甘い関係を意味していた。同時に別れの側面も孕んでいる。けれど今は、いつか来る別れよりも響也を好きだという気持ちに従いたい。
深く一つ呼吸をし、果純は小さくうなずいた。
リビングの扉を開ける。廊下はひやりとしていた。冷気が果純を包むが、体は熱かった。響也が触れた場所が熱くて疼く。
果純はゆっくりと階段を上がっていった。
2
扉の下から明かりが見えていた。この向こうに響也がいると思うとドキドキする。しかも果純は自ら望んで響也に抱かれにきた。心臓が爆発しそうなほどの緊張と不安。けれど、もう逃げたくない。
つばを飲み込んでノブに手をかける。捻れば簡単に扉は開いた。廊下に光が差し込む。その部屋の奥、ライトグレーのベッドに響也は腰を掛けていた。入ってきた果純を見て黒い瞳が細まる。
まるで獲物を見定める猛獣の瞳だ。果純はその瞳を受けて、後ろ手に扉を閉めたまま動けなくなってしまった。
「果純……」
響也が名を呼ぶ。それ以外は時計と空調の音しかない部屋。自分の心臓の音が聞こえそうなほど静かだった。果純は居たたまれなくなって視線を下げた。
「俺の部屋に来た意味、わかってるよな?」
問われてうつむいたまま小さくうなずいた。
「そうか」
小さく呟いた響也が立ち上がり、一歩歩み寄ってきた。逆に果純はわずかに下がった。しかし扉に踵が当たるだけで、それ以上は下がれない。響也はさらに一歩近づいた。
「こ、後悔しない?」
「後悔?」
果純の問いに響也はさらに目を細めた。
「姉弟じゃなくなったら、いつか別れる日が来るかも……」
「そんな日は来ない。俺は死ぬまで、離れるつもりはない」
響也は果純の言葉を途中で遮った。目を細めてさらにゆっくりと近づいてくる。
「私は気が強くて、負けず嫌いなのよ。途中で引っ掻いたり噛みつくかもしれないわよ」
「お前につけられる傷なら、どんなものでも勲章だ」
「……っ!!」
果純は目を見開き、顔を赤らめた。覚悟をして部屋に来たのに、いまだに心が落ち着かない。視線を逸らせて少しでも響也から距離をとろうとさらに扉に背中を押し付ける。それに気づいて響也は扉に手をつき、果純の逃げ道をふさいで囲い込んだ。扉と響也に挟まれて果純はうろたえる。
「もう逃げるな。俺に食われに来たんだろ」
顔を近づけた響也が耳元で囁く。肩が震えた。その肩を引き寄せられ、気付いた時には響也の腕の中にいた。強く抱きしめられる。その胸元から石鹸の香りが漂ってくる。果純がいつも使うものとは違う香り。自分の肌からも放たれるそれが、すでに響也のものだと物語っているようだった。
「好きだ、果純」
明確な好意の言葉に果純は泣きそうになった。果純とてずっと好きだった。封じ込めた想いは、一度溢れると止まらなくなる。上を向けば、黒い瞳が見下ろしてきていた。その真剣な色に息を飲む。
自然と唇が近づいて触れあった。離れて見つめ合い、またキスをする。触れ合うだけのキスを何度も繰り返す。果純は無意識に響也のシャツを掴んだ。
その瞬間、響也は果純を抱き上げた。
「きゃっ」
悲鳴を上げて思わず響也の首に抱き着く。それに響也が苦笑した。むっとして睨むとさらに笑みを深め、ベッドに足をむけた。数歩の距離を大股で進み、ベッドに降ろされる。
背中が柔らかなベッドに埋まり、響也が上から見下ろしてくる。広がった茶色の髪をひと房掬い取って、響也はそれに唇を寄せた。頭に、額に、頬に唇が触れる。そうして唇に優しく触れるだけのキスをする。わずかに触れ、離れる。また触れて離れる。触れるたびにその柔らかさを感じ、背筋がゾクゾクとしてくる。
「…………んっ」
ごくごく小さな反応に響也は唇を離し、また上から見下ろした。果純の茶色の瞳は潤んでいた。
「もう認めろよ。お前も俺を弟と思ってなかったって」
頬を指でたどり、人差し指で唇の形をなぞる。背筋がぞくりとする。指の感触が、先ほどの唇の柔らかさを余計に思い出させる。
「さっきも今も、キスだけで感じてただろ」
「か、感じてないっ」
果純は頬を赤く染めながらも眉を吊り上げた。
本当は感じていた。響也の柔らかな唇とそこから匂ってくる響也の肌の香りにくらくらとしていた。けれど頭ではわかっていても感情がすぐには追いついてこない。
言い返した果純に、響也の唇がふと緩む。
「嘘つき」
苦笑と共に囁き、またキスをされた。上気していた頬をさらに赤らめて、果純はプイッと顔を逸らした。赤くなった耳にキスをされ、果純は驚いたように響也を見上げた。その顔には余裕の笑みが浮かび、黒い瞳からは楽しんでいることが伺えた。それに果純は眉根を寄せた。
「と、年下なのに生意気」
「なら、その年下の男の本気を見せてやるよ」
黒い瞳がさらに細まる。その瞳を見て、果純はびくりと体を震わせた。初めて見る、獰猛な笑みを浮かべた響也。弟としてでもなく、医者としてでもない。一人の女を求めている男の姿。
「っ!!」
果純が言葉を口にする前に、響也はその唇をふさいだ。
本気を見せる。その言葉通り、先ほどまでの優しさは微塵もない。まさしく奪うように荒々しく唇をふさぐ。深く交わるために角度を変えて何度も食らいつく。その激しさに、果純は息を乱した。果純が顔をそむければ、響也も追ってきてまた唇をふさぐ。それこそ息つく暇も与えてくれない。
「響……や、待っ……て…………んんっ」
「待たない。もう遠慮しねえって言ったろ」
唇の端から息も絶え絶えに果純は言葉を紡いだ。その隙間を埋めるように舌が差し込まれてさらに深く求められる。わずかな抵抗も許さないように頬を両手で挟み込んで果純の口内を深く探る。歯列をなぞり、顎裏を舐め、舌を絡めとる。そのたびに体が痺れ、頭も痺れる。何も考えられなくなり、静かな部屋に互いの唇を吸う音だけが響いた。
「……はっ……堪んねえ」
数分かけて果純の唇を堪能し、響也はようやく唇を離した。唾液で濡れ、吸われた果純の唇はぽってりとしていた。赤く艶めいたその唇を舌で舐めとり、また優しくキスを落とされた。
「ん……」
耳たぶを食まれ果純は小さく吐息を吐いた。キスをした場所を辿るように、指が這う。指が頬を滑り、細い首を撫でた。そのままフリース素材のパジャマへと手が這う。肩から腕、腰を辿ってまた首に戻る。
温かく大きな手がパジャマ越しに肌に触れた。生地の下にある肌を確かめるようにゆっくりと動く。腰を撫でた響也の手が、裾からパジャマの中へ入り込んだ。薄いインナーの生地の上から肌をまさぐられる。
脇腹から胸の縁を円を描いて指がたどり、そうしてゆっくりと揉みしだいた。
「……っ」
果純が唇を噛んで体を震わせた。
パジャマを脱がそうと裾に手をかけた響也の腕を、果純は慌てて掴んで止める。
「おい。今更……」
「自分で脱ぐから」
眉を吊り上げた響也に、果純は赤い顔をしてそう口にした。それを見た響也が微妙に眉をしかめる。
「脱がすのも楽しみの一つなんだが」
「だから嫌なのよ。ニヤニヤしながら脱がされるなんて」
恥ずかしさを隠すように果純は響也を睨んだ。果純が一度言いだすと聞かない性格なのをよく知っている響也は、両手を上げると溜息を一つ吐いて半身を起こした。
果純は響也の下から抜け出て、ベッドを降りた。響也に見られながらパジャマの上を脱ぐ。ズボンも脱いだ果純を見上げて響也は目を細めた。
「そのキャミソールもだぞ」
「え!?」
「なんだ。やっぱり脱がして欲しいのか?」
「じ、自分で脱ぐわよ!」
勢いよく言ったものの、その勢いのままに脱ぐのは躊躇われた。その躊躇っている間に、響也は自分の衣服を脱ぎ、ベッドの下へと放り投げる。下着一枚の姿をした響也の目が脱げと言ってくる。
響也の視線にさらされながら堂々と脱ぐことはできず、果純はベッドに背を向けてインナーのキャミソールを脱いだ。あらわになった背中に響也の視線が刺さっているのがわかる。そしてそれがショーツに向いているのも。だが、さすがにショーツまで脱ぐ勇気はなかった。
首だけで振り返れば、ニヤニヤしたまま見上げてくる黒い瞳と合う。
「なんだよ、今更。さっきも風呂場で見たし、それに子供の時は風呂だってプールだってお互いに裸だったろ」
「子供の時とは違うでしょっ」
言葉に響也は目を細めて笑うと、果純の腕を取って引っ張った。バランスを崩した果純が、響也の膝の上に座り込む。咄嗟に立ち上がろうとする果純の腰に響也が腕を回した。逃がさないようにやんわりと力を込められて動くこともできない。
「確かに、もう子供じゃないよな。お互いに」
果純が浴室で思ったことを響也が口にする。言葉にされると改めてそう思う。触れるどこもかしこもが自分とはまるで違う。男性らしくしっかりとした骨格。広い胸、筋肉質な腕。手のひらは大きく、指は長い。その指が果純の肌を滑っていく。
肩から二の腕、腰、太もも。そこからまた上へと撫で上げる。柔らかな唇が首筋に押し当てられてぞくりとした。
いつまでも胸を隠したままでいる果純に業を煮やしたのか、響也がその両腕を掴んだ。わずかに抵抗したが、響也が耳を食んだ隙に取り払われた。あらわになった胸は、後ろからのぞき込んでいる響也にももちろん見えているだろう。それが恥ずかしい。恥ずかしいのに、隠すための腕は響也によって掴まれたままだ。
「綺麗だ、凄く」
耳元で囁かれ、果純は恥ずかしさに顔を逸らした。果純の腕から離れた響也の手が胸を下から掬い上げた。柔らかさを確かめるように、もどかしいほどゆっくりとした手つき。先ほどの性急なキスとは違う緩慢な動きは、逆に落ち着かない。
長い指がいたずらするように胸の頂点をかすめる。硬くとがった先端は敏感で、果純はビクリと体を震わせた。ゆっくりとした動きがじれったい。頭では恥ずかしくてやめて欲しいと思うのに、体はもっと性急な愛撫を求めている。自分の感情を持て余し、果純は小さく首を振った。その首筋に熱い唇が押し当てられてさらに体が震える。
「…………っ」
何度も何度も揉まれて、甘い吐息が出そうになる。それを出さないのは、後ろに感じている響也の体のせいだ。
弟だと思っていた。年下の男の子だと思っていた。それがいつの間にか男性へと変わっていた。顔つきや身長で大人になっているのはもちろん知っていた。けれど知っていただけで、本当はわかっていなかった。背中に感じるのは熱く引き締まった体だ。大人の男性の体。
わかっていても理解できない。知っていても感情がついてこない。弟だという認識がいまだに果純の中にあって、それが声を出すのを拒否していた。
「声、出していいんだぞ」
囁かれて思わず首を振った。
「ふ~ん。ここまで来て、まだ姉貴面するわけだ」
囁く声が途端に低くなる。同時に響也の手つきが急に変わった。ゆっくりと胸を揉むだけだった手が、先端へと向かう。固くなっているそこを摘ままれて息が詰まった。両方を抓られて、痛みと快感が体の中心を走り抜ける。電流のようなそれは体の隅々にまで届き、痛みと快楽を全身に散らせていった。その快感がやまぬうちに、また突起を抓られて体が震える。
「…………ぅんん」
声が漏れそうになって思わず両手で口をふさいだ。それでも甘い吐息は指の隙間から漏れ出てしまう。
指で上下に弄られ、摘ままれる。時々いたずらするように胸全体を揺らされ、また突起を弄られる。体が勝手にビクビクと震え、甘い吐息が固く閉じた唇からすり抜ける。
その吐息を聞きつけて、響也がくすくす笑いながら手を伸ばした。
「ここ、もうこんなに濡れてる」
響也の手がショーツに触れた。じっとりと濡れて染みまで作っている。上から触れられただけでも快感に蜜がにじみ出てくる。響也の指がショーツの内側に入り込み、くちゅりと音をさせた。
「ほら、もっと感じさせてやるよ」
耳元で悪魔のごとく低い声が響いた。