“運命”の花嫁として溺愛王子に異世界召喚されました!? ~愛情過多の旦那様に骨抜きにされるまで~
著者:久瀬川ノハ
イラスト:フミマロ
発売日:2024年 6月21日
定価:620円+税
ある日突然、異世界の王子・ディランの伴侶として異世界召喚されたミカ。
最初は戸惑うも、ミカは彼との結婚を決める。
すべてが完璧なディランに溺愛されるミカだけれど、彼女には唯一の不満があった。
それは、彼の愛が深すぎることで――!?
昼夜を問わず抱かれ、甘く愛でられるミカは、瀕死寸前の日々を過ごしていた。
そんな時、ディランの母から王家では婚約したら旅行に行くのがしきたりと聞かされて……!?
「……その視線さえ、愛おしいよ」
婚約旅行で訪れた島で開催されたパーティーで、ミカは同じ世界から来た男性に出会い、意気投合するが……。
その出来事がディランの独占欲を煽り、ミカは彼の嫉妬と溺愛の狭間で、心の奥底までぐずぐずになるほど蕩かされて――!?
【人物紹介】
鹿央ミカ
ごく普通の会社員だった女性。
恋愛に対して消極的で、ズボラで面倒くさがりだった。
ある日突然異世界に召喚され、ディランの運命の相手になる。
ディラン
一国を束ねるザクセン家の王子。
カーマの儀式や祈りを繰り返すがなかなか現れなかったが、二十代半ばで最後のカーマ恩籠の儀式を行い、ミカに出会う。
優しく丁寧な物腰で、完璧な男性。カーマであるミカのことを溺愛している。
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【試し読み】
「帰ろうか」
使用人さんから受け取ったのは、この白い上着だったらしい。「自分の上着もあるよ」って言おうとしたものの、ディランさんが肘を差し出してきたのでもうそれ以上なにも言うことはできず。
まだパーティー序盤。本格的な盛り上がりはこれからというまだまだにぎやかな会場を、我々はあとにするらしい。
こんな一瞬顔を出しただけで大丈夫なのかなとちょっと心配になるものの、とりあえず新顔として社交界の皆様にご挨拶するっていう目的は達成したんだし、確かに会場に長居する理由はない。あんまり慣れない格好で出歩いて、疲れても良くないし。
ということで、ちょっと早いけど私の社交界デビューはこれにて終了。帰路につくため、まるでおとぎ話に出てきそうなくらい華やかで美しいザクセン家の馬車に、私は乗り込んで……。
「あ、あ、あの……」
――非常に困惑していた。
「どうかした?」
「いえあの、ちょっとあの……」
ディランさんが、めちゃくちゃべったり私にくっついてたので。
王室所有のものとはいえ馬車は馬車。決して広いとは言えない空間の中、ディランさんは私を膝の上に乗せ、背中から覆いかぶさるように抱きしめていた。
「……お、重くないですか?」
「なにが?」
ディランさんは、美しい銀髪をさらっと揺らしながらわずかに首を傾げた。一体なにが重いのか、本当にわかってなさそうな顔。さすが王子様。そもそも女性が重いなんて発想自体ないらしい。
ならもうなにも言うまい考えまい。私は温かすぎる背中も、絶え間なく撫でられる手も全部無視して、がたごと揺れる馬車に身を任せることにした。あとどのくらいでお家に着くかなあ。お星さまがきれいだなあ。
しかしディランさん、諦めモード全開で小窓から夜空を見上げる私をどう思ったのか。私の横顔を見つめながら、ぽつっと一言。
「……その視線さえ、愛おしいよ」
ぶわっと顔が赤くなる。なんだこれ。ディランさんはいつも愛が深いけど、いつも以上に愛情表現がとんでもない気がする。
「疲れてない?」
「だ、大丈夫」
「楽しめた?」
「う、うん……」
ディランさんの手が、私の髪の毛を愛おしそうにふわふわ撫でる。いつもなら「これかわいいよね。メイドちゃんがパーティー用に髪飾り付けてくれたの」って雑談を持ちかけるところだけど、今の私は黙ったまま動けない。
「お腹は空いてない?」
「す、空いてないです……」
会場で食い意地を爆発させて、合間合間にめっちゃつまみ食いしましたので、なんならお腹いっぱいです……。
するとディランさんは「ならよかった」と言って、私の手に自分の手を重ねた。そして指と指を交差させて、ぎゅっと握ってきた。思わず変な声が出そうになった。
あれ、行きの馬車でもこんなくっついてたっけ? いや行きでも「ドレス姿もかわいいねきれいだね素敵だね」ってべた褒めされてたけど、こんな数センチの隙間も許さないみたいなくっつき加減ではなかったような気がする。会場で大丈夫だったかずっと質問されるし。どんな人としゃべったのか何回も聞かれるし……。
なんて言えばいいのか。そう、過保護だ。過保護。
なんかディランさん、めちゃくちゃ私に過保護になってる。初めて一人で行動したから、危なっかしく見えたのかな。
いやでもほぼ同じ空間にいたし、一番はなれてても視界に入るくらいの距離だったし、ほとんど一緒にいたような気がするけど、それでも心配をかけてしまったのだろうか。
ていうかダンスってどうなったっけ? ディランさんダンスしようって言ってなかった? いや、やらないならやらないほうがいいけど。私そういうセンス壊滅的だし。
でも自分から言いだしたのになにも言わずにやめるっていうのがディランさんらしくないというか。やめるならやめるで、「ミカも疲れてるだろうし、今日はやめておこうか」くらい言いそうな気がするというか……。
ダンスをすっ飛ばしてまで、お家に帰りたくなる理由がなにかあったのだろうか。私が変なことしてたとか?
思い当たるフシがない。ぜんぜんない。いや、一点だけあるにはあるのか……?
「あの……」
私は勇気を出してディランさんに話しかけた。
「こういうパーティーとかって、一日に話していい人数の上限とかあったりする……?」
思い当たることといえば、それしかない。いやでもそんなことある? そんなマッチングアプリみたいなルールある???
「そんなものはないと思うけど」
だよね。やっぱりないよね。よかった。
えーー私なにやっちゃったんだろう。使用人さんがどんな大きなミスしても怒らないで有名なディランさんが、こんなに過保護になるなんて。
「メイドちゃんを泣かせそうになったから……?」
いやでもそれは、王宮のメイドちゃんたちと全力で誤解を解いたし……。
うつむいて、ぶつぶつ独り言を言いながら原因を探る私を、ディランさんはじっと見つめていた。その視線に私が気づき、目が合うと同時に一言。
「キスがしたい」
待って、展開が読めない。
しかしディランさんはあっという間に顔を近づけて、そのままキスしてきた。
「っ……」
最初は、軽く唇を重ねるだけのキス。そのキスで私の反応を確かめると、次は少しだけ長くキス。その間に私の背中に手を回し、すっぽりつかまえてから、またキス。どれもこれも、わざと音を立てるようなキスだった。
「……ンッ」
気がつけば、ぱたっと押し倒されてた。座席に横たわるように、ディランさんの大きな体が、私の体に覆いかぶさっていた。
待って。ここ、馬車なんだけど。
「ディ、ディランさん」
「……うん」
返事こそしたものの、私からはなれる様子はなく。
服こそ脱がすことはしなかったけど、ディランさんは私を押し倒したまま、いろんなところにキスしてきた。耳とか、首とか胸とか、ドレスを脱がさずにキスできるところの、全部。
キスしながら優しく腰を撫でられると、なんだかぞわぞわしてしまう。なにも言えなくなってしまう。
「……あっ」
もうダメかもって思い始めたところで、馬車が止まった。窓から見えるのは、使い慣れたお屋敷の玄関。
ぐったり座席に倒れ込んだ私の頭を撫でながら、ディランさんがぽつっと言った。
「ベッドに行こうか」
お屋敷に到着するなり、ディランさんは私を抱き上げるとそのままお部屋に直行。
メイドちゃんたちを呼ぶと、私の寝支度を手伝うように頼んだ。なぜかものすごく静かになってしまった私に、メイドちゃんたちは心配してくれたけど、なにも言うことはできず。
そのまま寝室に戻れば、先に着替え終わったディランさんが待ってて、もごもごうろたえているうちに捕獲。あっという間にベッドまで連れて行かれた。
「……あっ」
私はきゅっとネグリジェの裾を握った。が、ディランさんにその手をやんわりつかまれて、すぐに裾をはなしてしまう。
「んっ……、あ……」
太ももにふわふわと触れるのは、ディランさんの柔らかい銀髪。ディランさんの両腕が、私の足を抱えるようにおさえてて、うまく足が閉じられない。
むしろ大きく足を開かされ、随分と長い時間、ディランさんの口で愛されてしまった。
「あ、あっ……、アッ」
ぺろっと突起を舐められて、思わず腰が揺れてしまう。
それを肯定ととらえたのか、ディランさんは愛おしそうにそこにキスをすると、ちゅう、と軽く吸ってきた。
「ひぅ……」
私の腰はますます揺れて、恥ずかしいことにディランさんの顔に腰を押し付けることになった。
「きもちいい?」
私はこくこく頷いて、ディランさんの手をつかんだ。もうそろそろおしまいにしてほしいなってきもちで、ディランさんを見つめてみる。
しかしディランさんとは目が合わなかった。ディランさんは目を閉じて、私の足の付け根のあたりにキスしてた。
「……ンッ」
そうしてまた、ぺろっと突起を舐めてきた。閉じようとする足をおさえられながら、むしろ膝の内側を押されて大きく開かされながら、赤く張り出した突起を何度も舐められた。
「まっ……」
待って、と口にしようとして、うまく言えずに終わってしまう。ディランさんの指が、中に入ってきた。
入り口を優しく撫で、そこがぐずぐずに濡れているのを確認した指は、ゆっくりと中へ入ってくる。
「あああ……」
お腹側のざらざらしたところを強く擦るように挿れられて、それだけでも声を出してうめいたのに、奥まで達した途端グリグリと小刻みに動かされて、思わず腰が浮いた。
やだ。まるでディランさんに突き出してるみたいになってる。もっと触ってって、言ってるみたいになってる。
ディランさんは体をどかすどころか、むしろ私の腰が浮いた状態を維持するように私の下半身に腕を絡め、腰を支えた。
「〜〜っ……!」
そうしてますます舐めやすく、触りやすくなったそこを、容赦なく愛でた。
「あ〜〜……っ」
ガクガクガクッと足が揺れる。
ぐずぐずと指で中を突き上げられ、突起は舌で吸い上げられ、吸わない合間は指でこすこすと擦られた。時々歯で柔らかく潰されることさえあった。
やばい。あつい。中が、じんじんする。
「いっちゃう……」
泣き声みたいに声が震えてた。でもディランさんはやめなかった。ディランさんは私よりも、私の体のことをよーく理解してた。
ネグリジェの裾をお尻までまくりあげ、中を擦り、突起もつぶし、なんなら乳首まですりすりと服の上から擦られた。
「あ、だめ……、むり、あ、あっ……」
もうたまんなかった。
ディランさんのすること全部、たまんなかった。
「……いく」
だからもうはなれてほしい。もうこれ以上さわんないでほしい。
そう思ったのに、ディランさんはそれまでの愛撫を続け、むしろますます触れるスピードを速めた。
「〜〜〜ッ……!!!」
そうして私はイッた。
ひくっと息が止まったと思ったら、もう一瞬だった。全身をがくがくと震わせながら、悲鳴にならない悲鳴とともにイッた。
ディランさんがそこにいるのに、足が勝手に内股になってきゅうっと閉じてしまう。太ももの内側にディランさんの体を感じて、なんかもうそれがめちゃくちゃ恥ずかしくて、もう直視できなくなった。なるべく体を小さく丸め、顔も両腕でなるべく隠し、なるべく目立たないように、イッた。
なのに絶頂した時間は、めちゃくちゃ長かった。止めたいのに、止まんない。勝手に体が、イき続ける。
「う〜〜…………」
なきそう。
ふにゃっふにゃになりながら、固く閉じていた目を開けば、ディランさんが私にキスしてるところだった。唇とかこめかみ、おでことか、首。イきすぎて震える体をなだめるようなキス。とっても優しいキス。
「……な、なにか、わるいことした?」
ディランさんがふしぎそうに首を傾げた。
「私、なにか、わるいことしました……?」
もし問題があったのなら、こういうやり方じゃなくてもっとわかりやすく教えてほしい。頑張って直すので。
私の質問に、ディランさんはすぐに返事はしなかった。しばらく黙り込み、少し長めの間を置いてから、ぽつっと言った。
「したかも」
ちょこんと唇をつつくようなキスもされた。