愛のない政略結婚ですが、寡黙な副社長夫に激重執愛されています

書籍情報

愛のない政略結婚ですが、寡黙な副社長夫に激重執愛されています

著者:紺乃藍
イラスト:カトーナオ
発売日:2025年 10月24日
定価:720円+税

 

大手家具メーカーの社長令嬢でありながら、中堅家電メーカーの受付係を務めている黒田華乃子。
二年前、副社長となる雪嗣と政略結婚をしたものの、彼には他に好きな人がいることを知っていた……。
ある日、彼女は先輩宅で開かれた女子会に参加し、人生で初めて朝帰りをしてしまう!
自分には無関心なはずの夫・雪嗣は、華乃子の朝帰りに何やら勘違いをしているようでーー?
「君の夫は俺だ。この身体に触れる権利を持つのも、俺だけのはず」
普段の穏やかな様子とは違う雪嗣に押し倒され、身体中を調べられてしまい……!?
想い人でもある雪嗣との触れ合いが嬉しく、困惑しつつも彼の極上愛撫を受け入れる華乃子。
その後、無事に誤解が解けた二人だったが、なぜか雪嗣の距離がいつもより近くなっていてーー!?



【人物紹介】

黒田華乃子(くろだ かのこ)
中堅家電メーカー本社にて受付係を務める27歳。
大手家具&インテリア雑貨メーカー「Mono Kuro Home」社長令嬢でもある。
ある日、うっかり終電を逃したことで雪嗣にとある勘違いをされてしまい……!?

黒田雪嗣(くろだ ゆきつぐ)
「Mono Kuro Home」取締役副社長。
華乃子の想い人であり、政略結婚をした夫。
普段クールで寡黙な雰囲気をまとっているが、実は恋愛面では一途。
長い間、好きな人がいるようなのだが……?

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【試し読み】
 

「ゆ、雪嗣さん……!?」
「君の夫は俺だ。この身体に触れる権利を持つのも、俺だけのはず」
「それは、そうですが……っぁ」
 華乃子の所有権を宣言した直後、胸を包んでいた両手がさらに激しく動き出した。雪嗣の大きな手がそれより大きな柔肉を上下に揉みしだくと、華乃子の喉から意図せず甘ったるい声が零れる。
「あ、あっ……やぁ……ん」
 胸を揉まれても痛みはない。それどころか温かく大きな手に胸を包まれて刺激されると、マッサージをされているようで気持ちいいとさえ思う。
 だがそれ以上に、恥ずかしい。裸のまま雪嗣のベッドで胸を揉まれるという羞恥の状況から逃れたい一心で、必死に首を横へ振る。
 髪に付着した水滴はタオルでいくらか吸い取ったが、ドライヤーを使う前だったのでまだ完全には乾いていない。このままでは雪嗣のベッドシーツが濡れてしまう――などと考える余裕も、すぐに吹き飛ぶ。両胸を揉んでいた雪嗣が手の位置を変えて、華乃子の胸の突起をきゅっと摘まんだからだ。
「ふぁ、ぁんっ……!」
 敏感な乳首をきゅぅっと摘ままれた瞬間、喉の奥から発情して甘える猫のような声が溢れた。自分の嬌声に驚いた華乃子は身を竦ませたが、それでも雪嗣は手を離してくれない。離すどころか、手のひらで胸を包んだまま親指だけを器用に動かして、乳首をくりくりと捏ね回される。
「だめ……っ! やぁ……雪、嗣……さ……ぁッ」
 息を途切らせながら名前を呼ぶと、雪嗣がこちらをじっと見つめてくる。
 雪嗣の寝室はすでに十分明るい状態だ。大きな窓にかかった遮光カーテンのうち、足側半分が開かれているためだろう。頭側にはまだ直射日光が入ってこないが、それでもお互いの表情は十分確認できる。雪嗣の仕草から、彼が華乃子に対して苛立ちと不満を感じていることも読み取れた。
「こうやって触られたのか? それとも、もっと強く揉まれた?」
「やっ……ちが……!」
 雪嗣の直接的な問いかけに反応して、慌てて否定の言葉を紡ぐ。しかし次の言葉を発する前にこすこす、すりすり、と乳首を転がされたので、説明の台詞は一つも音にならなかった。
「やぁ、あっ……あ……んぅ」
 胸を揉まれながら乳首を捏ね回されている。恥ずかしさと気持ち良さで、顔がぽうっと熱く火照っていく。雪嗣は華乃子が先輩から触られたときの状況を再現したいようだが、まったく違う。
(こんな触り方は、されていません……!)
 淫らで不埒な触れ方なんてされていない。ただの悪戯なのだから当たり前だが、性感を高めて官能を焚きつけるような刺激など与えられていない。だが雪嗣は華乃子の反応を探ることで、昨晩の状況を把握したがっている。その心境の変化と意外な執拗さに、華乃子の頭の中に疑問が浮かんでは消えていく。
「ふぅ……っぅ、ん、んん……!」
 きゅぅ、と強めに摘ままれると、甘えるような声が零れてしまう。あまりはしたない反応を見せれば、雪嗣からさらに距離を置かれるかもしれないとわかっているのに。
(だって、私たちは政略結婚で……仮面夫婦で……)
 雪嗣に触れられるのは、結婚式を挙げた夜――つまり初夜以来、二年ぶりだ。あのときは雪嗣と夫婦になれたことが嬉しくて、彼に女性として扱われる幸福に満たされていて、どきどきと緊張しているうちにすべてが終わってしまった。過保護な親の影響で男性と付き合った経験のない華乃子だったので、破瓜の痛みを経験したのもそのときだったが、それ以上に雪嗣と一つになれたことが嬉しかった。
 初めての夜は緊張してばかりで、雪嗣を満足させるには至らなかった。けれどこうして夫婦として過ごすうちに少しずつ夜の営みにも慣れて、雪嗣からの愛情は与えられなくても、彼の性欲を満たすことぐらいはできるようになると思っていた。
 しかしそれは、華乃子の独りよがりの願望だった。
 それ以来、雪嗣が華乃子に触れてくることは一度もなかった。寝室を別にする提案を受け入れたせいか『そういう雰囲気』になることすらなく、気づけば二年の歳月が経過していた。だが当然といえば当然である。雪嗣は黒田家の後継者となるべく父に提案された政略結婚を受け入れただけで、華乃子自身にはまったく興味がない。それどころか、本当は……
(雪嗣さんには、他に愛する女性がいるのに)
 黒田雪嗣――旧姓・成瀬雪嗣には、好いている人がいた。本当は愛する女性がいることを彼自身の口から聞いていたのに、彼は結局、華乃子と結婚して『Mono Kuro Home’s』の後継者となる道を選んだ。否、選ばざるを得なかったのだろう。
 おそらく雪嗣は、この先も華乃子に振り向いてくれない。ならばせめて妻としての務めだけでも果たせればよかったのに、華乃子は初夜で雪嗣を満足させられなかった。だから自分は彼の性欲を満たす相手にすら選ばれなかったのだ――と、思っていたのに。
(どうして……急に、こんな……)
 これまで華乃子に見向きもしなかった雪嗣が、今日に限って詳しい事情や状況を気にするのはどうしてだろう。確かに長時間連絡がつかないとなれば、事件や事故に巻き込まれたのかもしれない、帰り道で迷子になって困っているのかもしれない、と不安にさせてしまった可能性はある。まして雪嗣にとっての華乃子は、婿入りした家の一人娘だ。妻であると同時に上司の娘でもある華乃子は、自身の出世に必要不可欠な存在である。ならば華乃子の動向には、最低限の注意を払わねばならないはずだ。
 もちろん、その理屈はわかる。しかしそれは、いきなり自室に連れ込んで胸を揉み撫でる理由にはならないと思うのだけれど。
「ん……ん……っふ、ぁ……!」
 そんなことを考えていると、華乃子に跨って身を屈めた雪嗣が、首筋にちゅ、ちゅっと吸いついてきた。唇だけではなく肌にも口づけられていると知り、全身にかぁっと熱が走る。
 これは状況の確認や再現のための行動ではない。まるで愛情を刻み付けて好意を示すような触れ合いに、身体がぴくぴくっと小刻みに震える。雪嗣に愛されているように錯覚すると、どうしても嬉しいと感じてしまう。
「ひぁ、あっ……ぁっ」
「……こんなに感じやすかったのか」
「っ……っ!」
 華乃子の歓喜の反応に気づいたのだろう。鎖骨に唇を寄せていた雪嗣がぽつりと呟いたので、さらに身体が発火したように熱くなる。
 華乃子の体温の変化に気づいたのか、身体を起こした雪嗣が全身を観察してくる。Tシャツとルームパンツというラフな格好の雪嗣だが、朝日に照らされた姿を改めて確認すると、その逞しい身体つきにどきっと心臓が跳ねる。
 お互いに相手の身体を観察する無言の時間が訪れたが、ふと雪嗣が放った一言のせいで、華乃子の思考がぷつりと途切れた。
「……濡れてるな」
「!」
 華乃子の下腹部をじっと見つめた雪嗣が、そろりと手を伸ばしてくる。
「ちが……っ! ひぁっ!?」
 すぐに否定しようとした華乃子だったが、股の間に指を挿し込まれて蜜芽を撫でられると、下腹部がびくんっと飛び跳ねて、秘部からはクチュリと淫らな水音が溢れた。
 驚く華乃子の表情を一瞥した雪嗣が、その指を前後に動かし始める。長い指が秘芽をぬるぬると撫でると、彼の言葉の通りそこが濡れそぼっていると嫌でも自覚させられた。
「ふぁ……やぁ……あっ……雪嗣さ……ん!」
 雪嗣の指先が股の間を前後する。シャワーを浴びたからではない……明らかに粘度を含んだ音がくちゅくちゅと溢れてきて、華乃子の耳にもみだらな反応を教えてくれる。
 先ほど雪嗣が言い放った『こんなに感じやすかった』をカラダで肯定しているようで、いたたまれない。与えられる刺激を享受するばかりで、自分は雪嗣に何も与えられないのに――そのせいで女性として触れられることがないまま二年の歳月が経過してしまったというのに、華乃子はあのときと何も変わっていない。
「ん……んんっ……ふぁ……あッ……」
 恥ずかしさと申し訳なさから消え入りたくなる華乃子だったが、自省の間もなく次の衝撃に襲われる。華乃子の陰核をゆるゆると擦り撫でていた雪嗣が突然、華乃子の両脚を掴んで持ち上げ、そこをがばっと開いたのだ。
「えっ……!? ま、待ってくださ……っ」
 股を大開きにされて秘部を観察されるだけでも恥ずかしいのに、雪嗣は華乃子を羞恥に晒すだけでは許してくれないらしい。雪嗣が秘部に顔を近づけるよう身を屈めてくるので、大慌てでその動きを制止する。
「だめ……! だめです……見ないで……!」
「なぜだ? 見られて困ることがあるのか?」
「あるに決まっています……! そんなところ、汚いですから……っ」
「華乃子さんに汚い場所なんてない。それに、シャワーを浴びたんだろう」
 正論らしい言葉を並べてはいるが、雪嗣の確認はとんでもなく的外れだ。そもそも仮面夫婦で愛のない妻の秘部をじっくり観察する必要なんてないはずなのに、それを拒否された雪嗣はなぜかどんどん不機嫌になっていく。ムッとした表情で華乃子を見下ろす雪嗣は、普段は無表情で冷めた印象なのに、どういうわけか今日は怒りの感情に満ちている。
「ああ、浮気の証拠を消すためか?」
「え……? う、浮気……?」
 不機嫌な表情で質問を重ねられたことで、頭の中を大量の疑問符が埋めつくす。
(も、もしかして……私が浮気をして朝帰りしたと思っているのですか……?)
 そう考えると急に合点がいく。確かに昨夜、出かける際に『職場の先輩との飲み会に行ってきます』とは伝えたが、『女性の先輩との女子会に行ってきます』という言い方はしていない。それゆえ雪嗣はその飲み会に男性の先輩もいて、華乃子がその男性と朝まで過ごしていた、と思い込んでいるのかもしれない。
 ならば『浮気の証拠を消す』との言い方になるのも納得できる。
 最初は朝帰りなどするつもりはなく、当然、宿泊する準備もしていなかったので、着替えもメイクもそのままだった。だから帰ってきてすぐに風呂場へ直行した華乃子だが、その行動も匂いや痕跡を消すためのものだと誤解されたのだろう。雪嗣を起こさないよう静かに帰宅したことも、罪悪感の現れだと解釈されたのかもしれない。
 しかし、まったく違う。それは雪嗣の大きな勘違いだ。
(確かに、トウマって男性の名前にもありそうですけれど……!)
 先輩の名前は『藤間美月』という女性である。ちなみにもう一人は『荻野若菜』という先輩で、もちろん彼女も女性である。
「あの、雪嗣さ……」
 雪嗣が考えているような事実はない。完全な誤解である。
 そう説明しようと口を開いたが、ほぼ同時に雪嗣が気だるげなため息を零した。
「はあ……こんな風に奪われるぐらいなら、もっと早く抱き潰しておけばよかった」
「え……?」
 何やら不穏なワードが聞こえた気がする。しかし小さな声だったので聞き間違いかもしれない。だからもう一度……と彼に腕を伸ばしたところで、再びシーツの上に身体を押しつけられた。
「んっ……」
 華乃子の身体がマットレスに沈むと、シーツに含まれた雪嗣の匂いがふわりと広がって鼻腔をくすぐる。
 大好きな人の香り。ずっと想い続けてきた人の匂い。
 その存在を感じ取ると身体が自然と疼いてしまう。
 だが華乃子にはときめいている余裕などない。身体を押し倒した雪嗣が先ほどよりも広く華乃子の両脚を開き、再びその中央へ顔を近づけてきたからだ。
 きっと浮気の証拠を探すべく、徹底的に身体を観察されるのだろう。あるいは極度の羞恥に晒すことで、華乃子に浮気を自白させようとしているのかもしれない。
 雪嗣の手から逃れたいあまり、無意識に腰がずり上がっていく。それを阻止するように、腰をがっちりと掴まえて固定した雪嗣が突然、華乃子の濡れた秘芽に唇を寄せてきた。
「きゃあっ……!?」
 敏感な突起に柔らかく温かな唇が触れ、びくんっと激しく飛び上がる。しかし思わぬ刺激に華乃子が過剰反応しても、雪嗣は恥ずかしい行為を止めてくれない。そればかりか再び同じ場所に唇を寄せ、今度は全体を包むように陰核に口づけられる。
「ゃあっ……ああ、あぁ、んぅ……ッ」
 強すぎる刺激に腰が浮いて背中が仰け反る。女性の身体の中でもとりわけ敏感なその場所に口づけられた経験などあるはずがなく、強すぎる羞恥と驚愕と快感に襲われる。
(嘘……! 雪嗣さんが……私の……を舐めて――)
 しかもただ触れるだけではない。華乃子の内股や腰がびくびく、ふるふると小刻みに震えると、雪嗣の唇が同じ場所を強く吸い上げ、さらにねっとりと舌を這わされる。
「っ……っぅ、ん……んんっ……ふ」
 雪嗣が恥ずかしい場所を舐めている。ぴちゃぴちゃと音を立てながら陰核全体を撫でるように辿り、たまに先端でぐりり、と押される。
「ふぁ、ああ……あっ、ぁ」
 あまりの刺激の強さで、瞼の裏に白い光が明滅する。荒い吐息と溢れ出る嬌声のせいか、うまく呼吸ができずだんだん酸素が足りなくなってくる。はくはくと唇を動かしてどうにか息をしているのに、雪嗣はとことん容赦がない。
(指が……中に……!)
 生温かい舌が這う範囲がどんどん広がっていることには気づいていた。だがその舌が陰唇を濡らし、中央のぬかるみをさらに湿らせるよう動いていたことには気づけなかった。まして舌でほぐされた場所に突然指を捻じ込まれるとは、まったく予想していなかった。
「ひぁっ……ん」
 膨らんで色づいた蜜芽を吸われながら、蜜口の浅い場所を長い指で優しく擦られる。しかもその指がだんだんと深い場所へ沈んできて、中を探るようにぐちゅぐちゅと穿られる。
「やぁ、んっ……ぅ……ん――っ」
「……きついな」
「やぁ……あっ! だめ、ゆき、つぐ……さ……!」

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