眠れぬ御曹司の淫らな求婚 ~十年目の両片思いは甘く動き出す~

書籍情報

眠れぬ御曹司の淫らな求婚 ~十年目の両片思いは甘く動き出す~


著者:水田歩
イラスト:藤浪まり
発売日:2021年 8月27日
定価:630円+税

仕事から帰ったあざみの部屋の前にいたのは、彼女の想い人であり、四年前に婚約者と共に海外に旅立ったはずの、三枝秀之その人だった。
何故、彼はあざみの部屋の前にいるのだろう……?
再会の喜びと疑問でいっぱいのあざみだったが、彼に請われてつい部屋にあげてしまう。
そこで聞かされたのは、あざみにとっては喜ばしい、恋人も婚約者もいないという真実だった!?
「離れていた間、よく眠れなかった……」
怒涛の夜に眠気が吹き飛んだあざみは、懐かしい過去に記憶を馳せる。
しかし、遠い記憶を回想する身体は、だんだんと三枝に刻まれたあの熱も思い出して――!?


【人物紹介】

原田あざみ(はらだ)
大学で三枝に出会って以来、十年近く一途に想いを寄せる。
彼が自分を大切にしてくれていることは分かっているが、彼のあざみへの愛は「人類愛」だと思っている。
現在は、三枝グループの会社で彼のアシスタントとして働く。

三枝秀之(さえぐさ ひでゆき)
三枝グループの御曹司かつ整った顔立ちのため、周囲の媚を売る目に飽き飽きしており、
誰に対しても冷たい態度をとっていた。
しかし、媚を売らないあざみと出会ってことで、彼女に執着するようになる。
周囲に潔癖だったせいか、恋愛感情には鈍感なところがあって……。


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【試し読み】

「じゃあ、いいな?」
 なにがいいのか、聞く前に。
 ぎしっ。
 三枝があざみにのしかかってくるのと、ベッドが鳴るのは同時だった。
 唇と唇の交通事故が発生しそうになった瞬間、あざみは三枝のあごに掌底打ちを見舞った。
「……いくら俺が穏和な人間でも怒るぞ」
 不機嫌一〇〇パーセントの声が降ってくる。しかし、あざみには構っている余裕はない。
「三枝君が穏和なら、世界で紛争なんて起こってないよ」
「おい」 
「……なにを、するの」
 あざみが小さな声で訊ねれば、掠れた声が返ってきた。
「おまえを感じたい」
 あざみがひたと彼を見つめると、引き寄せられたのか三枝が近づいてきたのか、二人の唇が触れ合っていた。
 あざみは三枝の唇の柔らかさにうっとりする。もう少し味わっていたかったのに離れてしまう。
「ん……」
 ねだると、もう一度唇が触れてきた。羽のようにそっと降りてくる感触にいつしか、あざみは目を閉じていた。
 触れるだけのキスを何回したあとだろうか。緩く開かれた唇の隙間から濡れたものが差し込まれる。うっすらと目を開けてみれば、三枝があざみを見ている。途端、恥ずかしくなってうろたえた彼女の両頬を、三枝は押さえつけるように手のひらではさんだ。有無を言わせず舌があざみの咥内に入り込んでくる。
「んっ」
 三枝の舌がさぐるように動き、奥に隠れていたあざみの舌をとらえる。舌で舌の表面を撫でられた。逃げようとすれば吸われ、解放されたと思えば舌の側面をまさぐられる。
「っ、」
 不意に気持ちいいとしか思えない刺激に、あざみは体をびくつかせた。
 唇を合わせている三枝の口角があがる気配。あざみは口の中で感じるところを、何度も攻められた。
「声をきかせて」
 唇が離れた。言葉と同時に胸のふくらみや腰、足の付け根を撫でられるのを感じた。
「あ……」
 三枝の熱い手の感触が心地いい。彼の手が体の稜線をなぞるたび、快感の火種を植え付けられていく。
「あ……はぁ……、ん」
 体から力が抜けてしまう。激しくむさぼられた口の中と唇がじんじんする。
 唇に触れようと手を動かすと、カットソーはめくれあがり、ブラジャーは押し上げられていた。スカートも太ももまでまくりあがっている。
 三枝は身を起こすと、ワイシャツを脱ぎ捨てボトムのベルトを外した。ウエストバンドに手をかけると一気に脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった。
 逞しい上半身が彼誰の空間にぼんやりと見える。膝立ちした彼はあざみに万歳をさせるとカットソーを取り去った。
 ついでスカートとストッキングも取り去られる。火照っている肌に早朝の冷気が心地よい。
 ショーツを脱がされた。蜜口から零れた蜜が外気に触れて冷えていくのには、気づかないフリをする。
 ブラジャーがホックを外された状態で鎖骨あたりにわだかまっているだけの姿を、堪能された。
「四年前より、色っぽい」 
 愉悦を含んだ声にあざみは頬を染める。身じろぎを利用されて、胸のふくらみを手に収められてしまう。
「憶えていたより、柔らかい」
 音量は抑えていたが、欲情を湛えた声音にあざみが興奮する。
 憶えていてくれたことが嬉しくて、扇情的に見えるよう、三枝の手のひらの下でふくらみをくねらせた。
「焦るなよ」
 三枝が苦笑しながら、ブラジャーのストラップをあざみの肩から外して放り投げた。
「こっちだって、がっつきたいのを我慢しているのに」
 獰猛な声に、体の芯奥が疼いた。
「私はなんの経験もなかったけど。三枝君は四年間、色んな女の人を味わってきたんでしょ」
 つい、恨みがましくなる。
「仕事で精一杯だった」
 真面目な声に、悋気が削がれる。
「おまえを抱く夢を何度も見た」
 あざみも同じだった。何度、愛し合う夢を見ては、激しい動悸とひくついた蜜口に飛び起きたことだろう。四年間夢に見ていたことが現実となる。
「あざみが欲しい、おまえの傍に帰ってきたんだと実感したい」
 せつなそうにささやかれて、ドキンと心臓が高鳴った。
 なぜ、三枝が自分相手に言い出したのか、単なる導眠のための『運動』に過ぎないのか。これからずっと悩むだろう。
(それでも)
 希われて拒否できるほど、あざみは強くなかった。
 あの日の続きを、自分も知りたい。三枝の熱を感じたい。肌と肌をじかに触れ合わせたい。誰も訪れたことのない体の奥に彼を受け入れたい。
「私も三枝君に抱いてほしい」
 あざみの小さな声とともに、三枝の手が彼女の足のあいまにのびてきた。くちょり、と水音がする。
 三枝はあざみの胸に顔を伏せると静かに愛し始めた。ふくらみに指がめり込むほど揉まれ、指の間から顔を出していた乳首を口に含まれる。既に固くしこっていた蕾を舌全体で撫でられたり、細くした先端でこねくり回される。歯で優しく扱かれて、感覚が直結している蜜孔に快楽が流れ込んでゆく。
「ふ、ん……!」
 びくん、とあざみの体がはねる。
「感じすぎ。ここから先、もたないぞ」
「だって」
 三枝に抱かれようとしているのだ。勝手に体が反応する。
「……俺もがっつく」
 興奮を抑えきれない彼の声に、耳だけではなく体全てが歓ぶ。言葉による振動や熱い息。汗ばんできた彼の肌と、包まれている濡れた感覚、全てが幸せだ。三枝の肌や指の感触をもっと受け取りたくて、勝手に腰が持ち上がる。
 指が一本、ゆっくりと蜜路に沈められた。
「あ。ぁん……」
 媚肉がきゅうう……と三枝の指にしがみつく。自分の体ながら、喜び迎え入れる反応が不思議だ。
 三枝だからかもしれないと考えついたら、正解とばかりに体の奥がまた彼の指を締めつけた。
「いい反応。あざみ、すごい色っぽい。……綺麗だ」 
 欲でけぶった声の三枝から、太ももへ固くて熱いモノを押しあてられた。彼も興奮してくれているのが嬉しくて、あざみの花芯は潤う。
 さきほどから片方の乳首を吸われたり、歯を立てられる。久しぶりの口淫は憶えていたより、ずっと煽情的だった。性感を煽られる感覚に集中していると、指がもう片方の乳首をこすりたててくる。快感が脳にも悦をもたらし、淫口はどうしようもなく蕩けきっていた。
 雄芯を迎えいれる場所を愛されて、蜜路の中が潤い滑りやすくなった。ナカに挿入されたままの三枝の指の動きが大胆になる。
「そんなにしちゃ、ヤ」
「イヤだって反応じゃない」
 指の付け根まで埋められては出ていってしまうくらいに引き抜かれる。かと思えば、へそ側、背中側。右か左か。浅い処がイイのか、奥が悦いのか。蜜路の壁を、バラバラに刺激され、探られながら広げられる。
「もっと声を聴かせて」
「あ、ア」
 指を出し入れされるときに、蜜口を手のひらで圧迫される。秘豆を爪で優しくカリカリとこすられて皮を剥かれた。
「あ。は、ぁん……」
 淫芽の周りを指の腹で少し強めに円く撫でられる。感度が一番大きい下側を擦られてイキそうになると三枝は花唇を撫で始めてしまう。
「ン、んぅ……」
 感じ始めると、彼は違うところを攻める。おかげで、そこここで生まれた快感が複雑に絡まり合い、どこもかしこも気持ちいいが、あざみは達することが出来ない。
「ヤ、あ」
 気持ちイイのに、もどかしくて泣きそうになる。
「おねがい……」
 早く奪ってと続きを言いたいのに、口からはうっとりしたため息しか出ない。
「おねだり、可愛い」
 媚肉はわなないて、すっかり口を開けている。蜜壺からは絶え間なく蜜があふれた。三枝の手だけでは受けとめきれず、ヒップの割れ目まで冷たく濡らしていく。
 ひたひたと甘い波が彼女を満たす。あざみの体はとろとろに蕩けているのに、蜜路のナカは力強く蠢いている。
 達する瞬間がすぐそこまで近づいていたが、自分だけこんなに気持ちよくていいんだろうかと疑問が浮かぶ。三枝に愛されるばかりで、自分はなにもしていない。
「あ、ンッ、ぁ」
 どうすればいいと聞きたくても、口からは悩ましい声しか出せない。
「イイ顔」
 は、は、と荒い息に、あざみはいつのまにか閉じていた目をあけた。
「あざみ、すごい気持ち悦そう。もっとヨくなれよ」
 満足そうな顔と嬉しそうな声に、気持ちよくていいのだと安心できた彼女はこくり、とうなずく。
 この四年間、やるせない疼きを自分で慰めてきた。体のどこが快楽に弱くて、どんな快感が自分を絶頂に導くのか知っている。
 けれど三枝が与えてくれた快感は、自分で作り出した感覚以上だった。すばらしい快感を、他ならぬ彼がもたらしてくれる。
 三枝があざみを抱こうとしなければ、一生知らずに終わっていた。この時間のために、自分は今まで独りだったのかもしれない。感謝を示したくて、三枝の首を抱き寄せる。
「さえぐさくん……」
 自分でも甘えたような声だった。降りてくる唇を自分から迎えいれる。三枝が施してくれた舌の愛撫を真似てみた。拙い動きだったが、彼はあざみがしたいようにさせてくれた。
じゅぷじゅぷと、足のあわいから聞こえる水音が激しくなる。最初のうちこそ異物のように感じた指はいつのにまにか二本、三本と増やされた。ほぐされ蕩けさせられて悦に連れて行ってくれる三枝の指は、蜜路にとってもあざみにとっても、なくてはならないものになった。
「ふ、ぅん……」
 じんわりと温かく痒いような感覚は、やがて熱いぬかるみとどうしようもない快感と化し、あふれるのを待ち構えていた。
 クる。
「イっていいよ」
「ン……!」
 秘芽をつままれて、あざみの体にぴんと力が入る。固唾を飲んで待ち構えていると、ひたひたと押し寄せていた甘い波が急激に満ちあふれた。最高潮に達した瞬間、法悦が訪れて体がビクビクとはねた。
「あぁ――――……」
 長くひいた声が喉から漏れ出るが、止められない。
 淫襞が快楽のあまり、収縮する。緊張が頂点に達すると、急速に弛緩する。呼吸のように蜜路が蠕動するたび、あざみは新たな快感に見舞われた。
「あ、ぁん、ああ……」
 言葉にならない。
 三枝は、あざみのひくんひくんとわななく蜜口に見入ったあと、脱ぎ捨てたズボンから財布を出した。彼女にも、避妊具のパッケージを破る音が届く。
 いよいよだ……とあざみは目をつぶりなおした。
「挿れたい。いいか」
「うん。きて」
 今日、彼にあますところなく見せ、処女をもらってもらう。怖いし恥ずかしいのに、嬉しい。
「悪い、俺も我慢の限界。理性なくさないようにするけど、痛いかもしれない」
「なくして」
「え?」
「夢中になってくれたほうがいい。痛くて構わない」
 一度しか味わえない破瓜の痛みを、彼が与えてくれるのだ。一生記憶しておくには、むしろ痛いほうがいい。
 にっこり笑って両手を差し出せば、虚を突かれたようだった。一瞬のち、男は火がついた表情になる。
「煽るな。手加減できなくなるぞ」
 三枝は、歯を食いしばったまま、体であざみの両足を割り開く。
「あざみが健気なことを言うから、出そうになった」
 照れたような声で言うと、太杭の根本をつかんだ。秘処の裂け目に丸い先端を何回かこすりつけて、あざみの蜜を自らの雄に塗りつけた。
「や、ぁん」
 達したばかりで甘く痺れていた花唇は刺激されて、また疼いた。腰が浮き足が大きく開いたところで、ゆっくりと熱芯が分け入ってくる。
 一番大きな先端で狭い入り口を広げるように少し入っては、とどまり擦りあげる。あざみが蕩けると、もう少し先に進んでくる。きついのか、何度か浅いところを出入りしたあと、ようやくカリがぬるりと入り込んできた。
 指よりも遥かに太いものが、淫襞を押し広げる感覚に、あざみは無意識に息を詰めていた。
「あざみ、力を抜け」
 胸の飾りを舐められ、きゅう、と蜜路が甘く反応する。
「は、ァん……」
 痛いのかと身構えていたあざみは、蜜のおかげで潤い、辛くなかった。ほっとして体を緩める。三枝はさらに押し入ってきたが、阻むなにかにあたる。きっと最奥に到達したのだ。
「もう、全部入ったんだよね?」
 期待をこめて訊いたが、「半分も入ってない」との言葉にあざみは目を見開いた。
 どれくらい三枝の分身は巨大なのだろう。あざみは怯えて体が固まった。
「無理、そんな大きなモノ入らない」
 訴えると、ちゅ、ちゅ、と吸いつかれた。快楽を生み出す胸の蕾を甘噛みされて、体が蕩けてくる。
「息をしてろ」
 言われて、あざみは呼吸を再開する。三枝があざみの腰をつかんで己に引き寄せるのと、途を狭めていた門を男根が押し広げたのは同時だった。
「〜〜〜〜っ!」
 悲鳴をあげたつもりが音にならない。あざみは男の逞しい腕に爪を立てた。
 蜜路が長くて太い異物を押し出そうとしているのに、かなわない。体ごと逃げようにも、彼にがっちりと腰をつかまれている。雄がさらなる奥を目指す。
 ぎゅっとつむった目のあたりを、舐められた。
「全部入った。……痛いよな」
 労りの言葉とは裏腹に、三枝の顔は嬉しそうだった。声もなく頷けば、優しくささやかれた。
「しばらく胸に集中してろ」
 三枝はあざみの足を自分の腰に巻きつけると、彼女の乳首をそっと摘んだ。痛みに消えかけていた快感が、ほんのりと灯る。三枝が腰を前後に揺すると、その動きが彼の指を通してあざみの乳首へと伝わった。
「ん……ふ、ぅん……」
 あざみは目をつむり、呼吸を繰り返しながら三枝が与えてくれる胸の快感に集中した。
 脇からふくらみの中心にかけて、ゆったりとした円が描かれ、次第にせばまってくる。ひときわ色の濃い乳輪は何度もなぞられた。もどかしくはないが、物足りない快感。とうとう乳首の先端を爪で弾かれたり、下からこすりあげられた。気持ち悦さに蜜路がうるみ始める。
「あ……」
「上手だ。そのまま感じてろ」
「あぁ、ん」
 蜜路が再び蕩けて固さを失っていく。軽くゆすられていたが、雄茎に淫襞が絡まりついているような気がした。三枝の腰に足をまきつかせる。
「っ、動いていいか」
 三枝が蜜の滑りを借りて、淫筒の内側の媚肉を丁寧に擦り上げていく。襞の一つ一つが三枝の雄に絡む。
 ぽたり、と熱いしずくがあざみに落ちてきた。三枝の顔といわず、体のあちこちに汗が浮いている。彼は苦悶するような顔で歯を食いしばっていた。
「……三枝君も辛いよね」
 隘路をこじ開けて挿入しているのだ、女性器の抵抗に男性器が辛くないはずはない。あざみは自分のことしか考えていなかったと反省した。
「ん?」
 汗が鬱陶しいのか、彼がぞんざいな仕草で前髪をかきあげた。額と汗に濡れた胸を見せつけられ、ドキッとした。心と体は連動しているようで、あざみの蜜路が彼の男根をきゅううと締めつける。瞬間、三枝がぶるりと震えた。陽茎の質量がぐぐ、と増す。
「っ、このタイミングで締めてくるとか……! 悪魔かおまえは」
「や、ン、大っきぃ、……んっ」
「仕方っ、ない、だろ……っ、おまえのナカが熱くてトロトロなくせに。締めつけが、絶、妙っ」
 喘ぎまじりの声。自分が快感を与えられたことに、あざみの蜜路がひくついた。三枝のグラインドが大胆になってきた。
「ひぁっ」
 たまらず、細い声で啼いた。
 三枝の与える律動で、彼女の胸がふるりと揺れては、たわむ。三枝の手が愛おしくてならないというように、ふくらみごと手のひらにしまいんだ。男の手に敏感な尖りがこすれてどうしようもなく気持ちイイ。じんじんと秘処が疼き、潤みはじめる。
「やぁ、ん。気持ち、イ……」
 揉み込まれて、喘ぎ声がとまらなくなる。
 自分の体に、こんな空洞があったのかと思う。熱い楔がへそ側の壁を浅く擦っては、最奥を突く。擦られたところから甘い痺れが生まれてくる。痛さより気持ち善さが増してくる。
「は、ぁ……ん」
 彼が通り過ぎたあとは、より空虚に感じてしまい、戻ってきた雄を離すまいとする。あざみは息をするのが精一杯なのに、蜜路は貪欲に快楽を貪ろうとしていて、別の生き物のようだ。
「……ハ」
 ゆっくりと抽送する三枝は、あざみを気遣ってくれているのだろう。彼に申し訳ないと考えながら、ありえない質量の異物が胎内を動いてる感覚に、これが限界だとも思う。
「もたない。あざみ、イッて」
 一緒にと願う前に、二人が結びついている場所で紅く剥けている蜜芯を摘ままれた。触られたら即、達してしまうほどに熟しきっていた芽は、快楽をはじけさせた。あざみの目の前が白くなる。
「あ、ぁ」
 呼吸が止まって、凄まじい快感が蜜路から頭の先まで走り抜ける。
「ン! ……んっ」
 びくんびくん、と陸に揚げられた魚のように、あざみの体が大きく波打った。隘路が蠕動し、屹立をこれでもかと締め上げるたび、甘いしびれが体を巡った。息をするたび、次の快楽が押し寄せてきて、つま先まで力が入る。
 三枝にとって、最後の理性の糸が切られた瞬間でもあった。
 男の腰を推し進めた動きで、彼女の腰が浮いた。三枝の手が、あざみの腰をつかむ。がくがくと激しい突き上げが彼女の視界を揺さぶる。
「あ。……っぁ」
 苦痛に近い快楽と圧迫感がないまぜになって、口を開いても息ができない。
「あ、アんぅ……、あ、ぁ」
 切迫した音が漏れるだけだ。
 と。
「っ、く……!」
 三枝の体がびくりと動いた。被膜越しだがびゅるびゅると放たれる液体の気配に、あざみは意識を手放した。

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