離婚初夜 ~年上敏腕社長の激しい執愛からは逃れられない~

書籍情報

離婚初夜 ~年上敏腕社長の激しい執愛からは逃れられない~


著者:天ヶ森雀
イラスト:岡舘いまり
発売日:2023年 3月10日
定価:620円+税

当時未成年だった理瀬を保護することを目的に、八年間夫婦として過ごした理瀬と翔平。
理瀬が借金の返済を終え、夫婦でいる理由がなくなった二人は離婚届を出すことに。
その前夜、理瀬は翔平への恋心を隠しながら、彼に一つのお願いをする。
それは、自らの処女を奪って欲しい、というものだった。
最初で最後、夫婦として過ごした夜はどこまでも淫らで、切なくて――。
「今晩だけ、本当の夫婦なんだろ?」
身体の関係を持ったにも関わらず、離婚前と変わらない翔平との距離感に理瀬は諦めにも似た気持ちを抱く。
そんな理瀬の前に一人の男性が現れるのだが、そのことで翔平は必死に押し殺していた自分の本心に気づいてしまい……!?

【人物紹介】

海野理瀬(かいの りせ)
アパレル企業『ツェ・リカ』のイメージモデル。24歳。
借金まみれの父親に売られそうになったところを翔平に助けてもらう。
翔平との結婚生活を送りながら、彼が肩代わりしてくれた借金の返済を進めた。
全額返済が終わり、負い目がなくなったその時に理瀬は翔平に一つのお願いごとをする――。

海野翔平(かいの しょうへい)
アパレル企業『ツェ・リカ』の敏腕社長。38歳。
理瀬の父親から彼女を守るため、当時16歳だった理瀬と結婚した。
理瀬のことはとても大切に思っているのだが、二人の年齢差を気にしていて……?

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【試し読み】

「ちゃんと、大人になって卒業したい。変かな?」
 弱気な心が漏れてしまう。翔平にとって、自分は女として見られることができるのだろうか。それとも会社の大事な商品、あるいは保護すべき子供のままじゃないのだろうか。
 しかし理瀬の不安は杞憂に終わった。
「目、閉じてみ?」
 言われるまま目蓋を閉じる。
 翔平の気配が近付き、温かく大きな手に頬が包み込まれたかと思うと、唇に何かが触れた。

 ――キス、されてる――。

 少し濡れた感触に、肌がぞわりと粟立った。緊張と悦びが胸の奥でざわめく。
 温かい唇が数秒押しつけられて離れる。
「どうだ? 嫌じゃないか?」
 潜めた声で囁かれ、理瀬は首を横に振った。
「嫌じゃない」
 答えながら自分の手を彼の裸の胸に滑らせる。翔平の胸は温かくて滑らかだった。
「翔平……」
 目が潤んでしまったのは無意識だと思う。もう一度して欲しくて、でもその言葉が出てこなくて、必死に彼の目を見つめる。
「バーカ、なんて顔してんだよ」
 笑う翔平の目は、それでも優しかった。嬉しい。もっと優しくして欲しい。
「言ったでしょ。欲求不満が溜まりまくってるんだってば」
 それでもつい憎まれ口を叩いてしまったのは、やはり恥ずかしさと緊張のせいだろう。
「しょうがねえなあ」
 ぼやくふりをして、翔平が覆い被さってくる。唇がまた重なった。今度は積極的に求めてくる。理瀬もそのキスに応じた。
 ちゅ、ちゅっと音を立てながら何度か唇がもみ合うように触れ合うと、僅かに離れた瞬間、理瀬の唇から熱いため息が漏れ、そのため息ごと飲み込むように唇が覆われた。あっという間に翔平の舌が潜り込んでくる。
 理瀬は僅かにパニックを起こし、彼の体を押し戻そうとするが、翔平の体はびくとも動かなかった。獰猛な翔平の舌が逃げようとする理瀬のそれを捕まえ、生き物のように絡み合う。濡れた粘膜が触れ合うだけで脳味噌が蕩けそうだった。翔平はからかうように理瀬の舌をもてあそぶ。
「ん、ん……っ」
 ――キスだけでこんなに気持ちいいなんて……。
 理瀬の手は、いつの間にか翔平の首に巻き付いている。少し癖のある硬い髪に指を絡め、その感触を味わった。
 キスをしたままベッドに押し倒されると、とぷんと水の揺れる音がする。サーモスタットで一定に保たれている水温が心地よい。
 いつの間にか大きな手が理瀬の胸全体をブラの上から覆っていた。怖がらせないようになのか、撫でるような柔らかいタッチだ。まるで壊れ物を扱うような繊細な触り方に、却って理瀬のもどかしさが募る。もっと強く触れてもいいのに。
「翔平……」
 熱く潤んだ目で彼を見つめると、「嫌な感じはないか?」と聞かれる。
「平気。翔平の手、あったかくて気持ちいいよ?」
 掠れた声で答えると、彼の唇が額に降ってきた。そのまま頬を辿り首筋に吸い付く。
「ん…………っ」
 夜のせいか、少し伸びていた髭が肌にチクチク当たってくすぐったい。そのくすぐったさが理瀬の官能を一層掻き立てる。
 翔平の手に力が入り、ブラがアンダーまでずらされた。剥き出しになった胸を再び大きな手が覆う。両手で左右の胸を覆われ、恥ずかしさをじっと耐える。感触を確かめるように温かい手でやわやわと揉まれ、心地よさと同時に先端に感覚が集中した。心臓が早鐘を打ち始める。それどころか触られているのは胸だけなのに、足の付け根もじんじんとしびれ始めた。恥ずかしさのあまり、目をぎゅっと瞑ってしまう。
「なるほど、欲求不満になりそうな胸だな」
「バ、バカ!」
 ステージモデルになるには少し大きすぎる胸だった。理瀬の戦略イメージはユニセックスと透明感だったので、スチールモデルをする時は少し潰してもらっていた。それは理瀬にとって少なからずコンプレックスでもあった。
「あてっ……。バーカ、セクシーだと褒めてるんだろうが」
 思わず彼の頭をぽかりと殴ってしまった理瀬を見上げ、翔平はわざと舌舐めずりしてみせる。そんな彼の方がよほどセクシーに見えて、理瀬の胸はキュンと鳴った。
「本当に? おかしくない?」
 素で訊いてしまった理瀬に、翔平は苦笑してみせる。
「めっちゃエロくて綺麗だよ」
「バ、バカ……っ」
 彼の艶めいた言い方に、同じ台詞が今度は甘くなったように感じた。
「吸ったり舐めたりしていいか?」
「! す、好きにすれば……っ」
 真っ赤になった理瀬に気を良くしたのか、翔平は柔らかく実った乳房を恭しく持ち上げると、その右側の突端をちゅっと軽く吸った。
「ひゃん……っ」
 期せずして上がってしまう声をものともせず、翔平は理瀬の胸を包むように持ち上げては強く吸ったり舌先で弾いたりする。翔平に胸を舐められている、そう思うだけで理瀬の下腹の奥がきゅんきゅんと強く疼いてしまう。
「ほら、こんなになった」
 濡れて硬く立ち上がった先端をわざとのように見せつけて、翔平はニカリと笑う。理瀬は益々顔に血が上るのを感じていた。そのままもう片方の先端も強く吸われ、ねぶられる。気が付けば両方の先端が真っ赤に染まり、翔平の唾液にまみれてらてらと光っていた。なんともいやらしい姿に、理瀬はどうしていいか分からない。
「……どうだ? 気持ちいいか?」
 理瀬は恥じらいながらも小さくこくんと頷いた。
「もっとして欲しいか?」
「……して、欲しい」
 羞恥に躊躇いながらも泣きそうな声で言うと、翔平は「いい子だ」と囁きながら唇を重ねてきた。その間も、彼は両手の指先で胸の先端をくにくにと弄ってくる。
「あ、はぁん……ぁんっ」
 快楽に溺れながら、理瀬は翔平の唇を貪る。絡められた舌を吸い、もっと深く繋がろうと必死になった。
 ようやく唇が離れた時は互いに肩で息をしていた。
「あ、翔平……、おかしくなりそう……」
「バカ、お前あんまり煽るな……っ」
 翔平の表情から余裕が消えてきている。太股に何かが当たる感触がして、理瀬は無意識に自らの腰を彼に押し当てた。ただ隙間なく、彼と触れていたかったのだ。
 しかしその動きが翔平に火を付けたらしい。彼は理瀬の胸に当てていた手を下の方にずらすと、彼女が履いていたショーツに手を指しこんだ。
「あ、や、そこはダメ……っ」
 思わず足を閉じて抵抗を試みる。ダメと言ったところで無駄なのは分かっているが、それでも初めて他人に触られることに、抵抗しないではいられなかった。しかし翔平は宥めるようにもう片方の手で優しく膝を撫でると、更に下着の奥に触れてくる。しかしそこに本来あるはずの感触がないことに気付いて、翔平は理瀬の顔をちらりと窺った。彼と視線が合うと、恥ずかしさのあまり理瀬の頬は紅潮し、涙が滲んで濡れた睫毛が震えてしまう。
「あの、仕事で邪魔だったから……」
 恥じらいながら言い訳めいた言葉を口にした。水着などの撮影もあったため、理瀬の陰部はすべて脱毛されていた。いわゆるVIO脱毛だ。欧米ではかなり増えている施術だが、翔平の目にはどう映るのか不安になる。しかし翔平は気にならなかったらしい。
「ぐしょぐしょじゃねえか……」
 嬉しそうに呟きながら、翔平は濡れた陰部を探った。
「や、ダメ、そこ……っ!」
 ちゅぷちゅぷと翔平の指を自分の蜜が濡らすことに奇妙な興奮を覚えながら、理瀬は僅かに抵抗する。しかし翔平は全く意に介することなくその感触を楽しんでいた。そしてもう片方の掌を太腿に滑らせてサイドリボンにたどり着く。彼の長い指は存外器用にあっさりリボンをほどいてしまった。
「ダメじゃないだろ? ほら……もうこんなに……」
 理瀬のショーツを右足首まで下ろしてから、大きく膝を割って濡れた花弁を凝視する。陰毛がない分、理瀬のそこは丸見えだった。誰にも見せたことのないはしたない場所を凝視されて、理瀬の恥ずかしさは頂点に達してしまった。まともに翔平の顔を見ることができず、両腕で顔を覆ってしまう。それでも見られているという事実が理瀬を更に興奮させてしまう。
「あ、だって……あ、はあぁあんっ」
 翔平の指が、濡れた花弁を左右に大きく開いた。彼が言ったとおり、理瀬のそこはとろりとした蜜が溢れ、赤く染まった花弁をねっとりと濡らしている。翔平の指が濡れた割れ目に沿って数回往復すると、少しずつ押し込まれ、襞を掻き分けて蜜の中を泳ぎだす。じゅぽじゅぽといやらしい水音が理瀬の鼓膜を犯し始めた。初めて男性に触れられる恐怖と緊張で必死に足を閉じようとするが、両足の間に翔平の膝が入り込んでしまい、それも叶わない。翔平の指が二本、三本と増やされて花弁の間を激しく動き回ると、蜜はさらに溢れて水音が大きくなった。
「あ、ぁあ、あ、あ、ああぁあああん……っ」
「ずいぶん感度がいいな。一人でしてたか?」
 さすがにその問いには答えられない。しかし答えられないのが答えだった。
 なにせ好きな男と八年間も一緒に暮らしてきたのだ。時には我慢出来なくなって、一人で自分を慰めたこともある。翔平が脱ぎ捨てたシャツを抱きながらしていたなんて、口が裂けても言えないが。
 ずっと夢想していた。彼が女を抱くとしたらどんな風に抱くのだろう。あの骨ばった長い指が、手の平が、どんな風に柔らかい肌を愛撫するのだろう。薄い唇も休日の無精髭も全部全部好きだった。キスをして舐め合って味わいたかった。
 しかし実際の抱合は想像以上に激しく淫らで甘かった。
「しょうへ……もっと、キスしてぇ……」
 舌っ足らずの声でねだると、彼は応えて脳が蕩けるようなキスをしてくれる。その間も陰唇の間を泳ぎ回る彼の指は、とうとうずぷりと蜜口に差し込まれてしまった。
「ふ、ん……っ!」
 キスをしたまま喘ぎをせき止められた理瀬は必死で彼にしがみつく。さっき散々弄られていた乳房は彼の豊かな胸筋で押しつぶされていた。
 彼の中指はじゅぷじゅぷと音を立てながら抜き差しされ、一方で隠されていた淫粒を親指が探り当ててきゅっと押しつぶす。その途端、快感の大きな波に飲み込まれた。自慰では辿り着けなかった感覚を初めて知る。恥ずかしいけど嬉しい。嬉しいけど少し怖い。
「ふぁ…………っ」
 理瀬の腰がビクビクと震え、爪先がぎゅっと反り返り、気が付けば両方の目尻から涙が滲み落ちていた。
「すげー素直な体だな……」
 感心する声に、『翔平だからだもん』と言い返したい声が上手く出なかった。しばらく息を整えながら快感に身を委ねる。
 すごくイイ。気持ちいい。でもこれで終わりじゃない。もっと先があるはずだった。もっと深く、彼と繋がりあう行為が。
「ね、翔平、お願い……」
 恥じらう気持ちと僅かな恐怖を堪え、理瀬は甘い声で懇願する。
「今日だけ……本当の奥さんにして?」 
 理瀬の言葉に、翔平の目がぎらつき始めた。それまで見せていたたっぷりの余裕が消え、雄の欲望が露になる。目の前の獲物を食らおうとする、飢えた肉食獣の目だ。
「まったく、お前は……っ」
 翔平は獣のように唸ったかと思うと、理瀬の足を大きく開いて太股を持ち上げた。
「あ、やだ、そんな……っ」
 こんなにされたら、一番恥ずかしい場所がもっと丸見えになってしまう。そんな焦りも一笑に付されてしまった。
「本当の夫婦なら、ちゃんと全部さらけ出さねえとなあ?」
 少し意地悪な声に息を呑む。しかし理瀬のそんな戸惑いに一切躊躇することなく、翔平は真っ赤に充血した淫粒に向かって唇を落とした。
「あ、やぁっ、ダメ、翔平、そんなことしたら私……ぁあっ」
「ほら、ここ、真っ赤に熟れてひくひく震えて、すげえ美味そうなんだけど?」
 まだ恥ずかしそうに隠れているそこを、翔平は舌を尖らせて掘り出すと、唇でじゅっと強く吸った。
「ひぁ……っ!」
 さっき指で押された時よりも強い快感が背筋を駆け上る。天地の感覚もなくなり、瞼の裏がチカチカする。と同時に、子宮が激しく収縮して痙攣していた。胸は激しい動悸で揺れ、爪先も小さく震えている。
「イったか? 可愛い奥さん?」
 もう何を言われているかも分からなかった。『奥さん』という響きが、翔平が言うだけでこんなにえっちだなんて思ってもみなかった。
「も、やだぁ……」
 それなのに口では正反対の言葉を紡いでしまう。嫌じゃない。想像もできなかった初めての激しい快楽に、どうしていいか分からなくなっているだけだ。理瀬の体中に悦びが溢れ、ただただ溺れきっている。
「どうする? ここでやめておくか?」
 翔平に問われて、理瀬の中で一気に恐怖に近い焦燥がこみ上げる。
 このまま放置されて終わったりしたら本当にどうしていいか分からない。今日しかないのに。今日できなかったらもう二度と会えない他人になっちゃうかもしれないのに。
 もちろん仕事を続けていれば翔平と会う機会は何度でもあるだろう。しかし彼は離婚届を出したその直後から、他の誰かと結婚することさえ可能なのだ。
「ダメ、やめないで……!」
 必死で翔平の目を見つめると、彼は「クソっ」と小さく呟き舌打ちし、自分の剛直を下着から取り出して、手早く避妊具を被せた。これはマンションに戻る前にコンビニで買ったものだ。
 初めて目の当たりにする男性器と、その上に被せた人工的な避妊具のギャップにぎょっとしながらも、理瀬は覚悟を決めて喉をゴクリと鳴らす。想像していたより全然大きい。
 翔平は竿に手をかけてその先端を理瀬の蜜口に当てた。理瀬の鼓動が一気に早くなる。
 しかしすぐに挿入はされず、しばらく先端で濡れた花弁や淫粒をもてあそんだ。その視覚的な刺激と、性器が触れ合っている感触に、官能がいやでも高まってしまう。
「挿れ、ないの……?」
「あー、挿れるけど……ちょっと待ってろ」
「……?」
 その間も先端に擦られる蜜溜まりはぬちゃぬちゃといやらしい音を立てていた。焦らされているのだろうか。
「ああ……可愛いな」
 そんな呟きに鼓動が跳ねる。――可愛い? なにが!?
「分かるか? お前のここ、すっごく俺のコレを欲しがってひくひく震えてる」
「や、そんな……っ」
 指摘されてまたもや顔に血が上った。
「ぱっくり口を開けて、だらだら涎を垂らして、……早く食べさせてってねだってるみたいだ……」
 嬉しそうに言われて頭の中は真っ白になった。
 ――いや、その通りなんだけど! はっきり言われると恥ずかしすぎてどうしていいか分かんない!
「でもやっぱ初めてだしな。ちょっと我慢しろよ……?」
「え――」
 そう告げた直後、翔平の分身はずぷりと理瀬の中に差し込まれた。

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