過保護な御曹司の滴るほど甘い執愛に捕らわれて

書籍情報

過保護な御曹司の滴るほど甘い執愛に捕らわれて


著者:春密まつり
イラスト:小島きいち
発売日:2023年 3月31日
定価:630円+税

土曜日のお昼、一人暮らしをしている恵麻のもとに
幼なじみの峻吾から久しぶりに電話がかかってきた。
幼い頃から優しかった峻吾は、一人っ子で内向的な恵麻にとって憧れの人――。
社会人になってからなにかと疎遠になっていたが、
ずっと片思いしていた相手の声を久しぶりに聞いてときめいていると
どうやら前の職場の男から恵麻がストーカーの被害に遭っていたことを知って電話をくれたらしい。
『ああ。……あのさ、もし俺と恵麻が明日から一緒に住むことになったらどうする?』
冗談にしてもありえない話だと思う恵麻だが……!?

【人物紹介】

宮下恵麻(みやした えま)
IT企業の経理部の27歳。
大人しく控えめな性格だが親しい人には頑固な部分も。
幼なじみである峻吾にずっと片思いをしている。

三輪峻吾(みわ しゅんご)
IT企業の御曹司でも経営企画部である30歳。
面倒見がよく、恵麻のことはとくに放っておけない性格。
忍耐力があり、几帳面で良いお兄さん的な人。

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【試し読み】

 優しい手が頭を撫で、頬を包む。そのまま近づいて、唇がふれた。
「キスも嫌じゃない?」
 私はゆっくり頷いた。
 するとまた峻吾くんの唇が重なる。啄むようなキスを繰り返しているうちに呼吸が荒くなっていく。
「口、ひらける?」
 峻吾くんの声が耳元で響き身体が震えた。私が恐る恐る口を開くと、彼の舌が侵入してくる。
「んっ」
 ぬるりとした感触に声が漏れた。峻吾くんの舌は遠慮を知らず、私の咥内を蹂躙する。彼のキスにスイッチを入れられた私の身体は次第に熱くなっていく。
 深く貪るようなキスが離れると、峻吾くんの熱い眼差しが私を食い入るように見つめる。
「……は、やばいな……」
 峻吾くんが独りごちる。
 彼はネクタイを取り去りワイシャツまでも脱ぎ捨てる。目の前には筋肉がついていて逞しい彼の素肌がある。汗をかいているのかほんのり濡れていて、やけにいやらしく見えた。
「服、脱がすよ?」
 寝間着にしていた半袖のTシャツとハーフパンツは脱ぎやすく、脱がされやすい。私もあっという間に下着姿になっていた。
「なんだ、つけてるんだ」
 峻吾くんは少し残念そうに私を見下ろした。寝る時も下着をつけているのが気にくわなかったのだろうか。それでも彼に下着姿を見せるのは恥ずかしのに。
「恵麻」
 身体の線を撫でながら、首筋に吸いつく。これから本当にセックスをする気なのだと思うと、心臓が破裂しそうだ。背中に回った彼の手がブラのホックを取ると腕から抜かれてしまう。見られる、と咄嗟に手で隠した。
「だめ、見せて」
 男の人の力には適わず、私の手は簡単にベッドに縫い付けられてしまう。峻吾くんが私の身体を見下ろしている。この状況に耐え切れなくて顔を横にそらす。
「きれいだよ、恵麻」
「恥ずかしいよ……峻吾くん」
 身体をじっと見られるのは、恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうだ。
「わかったよ」
 峻吾くんが覆いかぶさってきた。胸が彼の身体でつぶれる。
「これなら見えない」
 その代わりに、彼の顔が目の前にある。これはこれで恥ずかしいことにかわりはないけれど、身体を見られているよりはマシだった。
「恵麻のこと見てるから、安心して」
「あ……」
 峻吾くんの手が私の腰のくびれを撫で、徐々に上がってくる。胸の膨らみにふれると、そのまま手のひらで包み込んだ。ゆるゆると揉みしだかれる。身体は見られてなくてもさわられているという現実に頭がついていかない。
「ここ、気持ちいいかな」
「……んっ」
 胸の先端を指先で撫でられ、息が漏れた。ぷくりと膨らんだ乳首を指先でころころと転がされる。初めての刺激に戸惑いつつもぞくぞくと快感に震える。
「や、ぁ」
「よかった。感じやすいみたいだな」
 彼は喜び、先端を指の腹でこする。くすぐったいとは少し違う感覚に肌が粟立つ。私が反応すればするほど峻吾くんはうれしそうに笑って、刺激を強める。乳首を摘まれて痛いはずなのに痺れるような快感に嬌声が上がる。刺激を与えられるたびにぴくぴくと腰が浮いてしまうのが恥ずかしい。
 熱い息を吐いた峻吾くんは、顔を胸へと移動させた。
「あっ!」
 峻吾くんがぴんと張りつめた乳首を口に含み、声が上がる。片方の胸は指先で弄ばれ、もう片方の胸は彼の舌に翻弄されている。
「やぁ……峻吾くん……」
「ん? やだ?」
「ううん……見ないって言ったのに」
「見てないよ。舐めてるだけ」
 いやらしい言葉に背筋がぞくっとした。
「……恥ずかしい」
 舐められるなんて、身体を見られるよりも恥ずかしいことだ。
「恥ずかしがってる恵麻も可愛い」
 何を言っても峻吾くんはやめてくれない。嫌かと聞かれたら『嫌じゃない』と答えるしかないので当たり前だ。
 太腿まで伸びてきた熱い手は、内腿を往復したあと秘部にふれた。下着の上からなぞるように動く指にこれまでにない、内側から何かが弾けそうになるような感覚に襲われる。
「あっ、峻吾く……」
 ふれられたことのない場所を押されて、すがるように峻吾くんを見上げる。
「……よかった。少しだけど濡れてるね」
 峻吾くんの笑顔を見ると安心する。
「初めてなら痛いだろうから、じっくりするよ」
「……うん」
 ショーツを脱がされ、ついに纏うものはなくなってしまった。峻吾くんの手が今度は直接秘部にふれる。秘裂に指を埋め、内側の粘膜にふれた。
「あ……やだ、そんなところ」
「気持ちよくなるから、大丈夫。俺に任せて」
 初めての行為に不安だらけだったけれど峻吾くんに『大丈夫』と言われたら、大丈夫な気がしてくる。素直に頷くとまた「可愛い」と言われて唇にふれるだけのキスが落とされた。
 峻吾くんとこんなに甘い時間を過ごすことになるなんて、数時間前までは想像もしていなかった。
 彼は私の顔を様子見ながら、繊細な動きで秘裂を往復する。
「ん、んぁ!」
 指先が優しく奥に隠れた花芯を撫で、声が上がった。
「いっきに溢れた。ここ、気持ちいい?」
「ん……なんか、気持ちい……」
 その場所を転がされ内側からじわりと蜜が溢れていく。ぬるついていた指はさらに蜜をまとわせ、花芯を弄る。水音も今までの比じゃないくらいにぬちゃぬちゃといやらしい音が響く。
 峻吾くんは花芯を執拗に弄る。激しいわけではない、逆にゆっくりした動きのはずなのに、甘美な疼きに支配されていく。
「あ……なんか、きちゃう」
「うん。いいよ、イッて」
 彼の指がきゅっと花芯を摘んだ。
 その瞬間、痺れるような快感が一気にせり上がる。
「あ、んん――っ!」
 今まで上げたことのないような甘い悲鳴を上げ、達していた。
 絶頂に身体を震わせ、ベッドに身を沈める。鼓動がバクバクと鳴っていてなかなか静まらない。
「はぁ……」
「大丈夫か?」
 ゆっくり頷く。初めてのことばかりで刺激が強かっただけだ。荒くなった呼吸を整えていると峻吾くんが頭を撫でてくれた。
「ごめん、もうちょいがんばれる?」
「……うん……」
 峻吾くんが再び秘部にふれる。敏感になっているのでビクリと震えた。彼の指は秘裂をなぞり、さらに奥へと侵入してくる。蜜口を撫で、指を埋める。
「え、あ、中」
「中ほぐすだけだから」
 蜜を絡めた峻吾の指が蜜口の中にじんわりと入ってくる。初めて何かが中に入ってくる感覚に怯えていたけれど痛みはなさそうだった。
「痛くないか?」
 頷くと、峻吾くんは「よかった」とつぶやいてゆっくり指を進めていく。彼のきれいな長い指が私の淫らな中を埋めているのだと思うと背徳感のようなものが生まれる。
「恵麻の中、あったかいよ」
 長い指先が奥へと入ってくる。違和感はありながらも痛みはない。ほっとして彼に身をゆだねると、彼もそれを悟ったのか指の抽送を始めた。指を動かすたびに濡れた淫らな音が聞こえてくる。
「あ、あんっ、ぁ」
 中の壁を指の腹でこすられ、また知らない感覚に峻吾くんを見上げると鋭いほどの熱視線と目が合う。彼に見つめられながら中をかき混ぜられていたんだと気づくと蜜が溢れ彼の指をさらに濡らしてしまう。恥ずかしいはずなのに興奮している自分がいる。
「や、峻吾くん……」
 こんな顔を見られたくなくて自分の顔を両手で隠すと、峻吾くんが指を引き抜いた。私の中はじんと熱く熟れていてもどかしさを感じていた。
「……俺、けっこう限界」
 私を見下ろしながらベルトを緩め、スラックスをずらすと膨らんだボクサーパンツが見える。それが彼の情欲の証だということがわかって、目をそらした。彼の熱を目の当たりにし、鼓動はさらに速度を速める。
「最後まで、いい? 今ならまだギリギリ戻れる」
 そう言いながらも、息を荒くしてつらそうな顔をしている。私が彼にそんな顔をさせているんだと思ったら、愛しさが膨らんでいくばかりだ。
「……してほしいよ」
 峻吾くんが好き。だから受け入れたい。
 ここまで高められた熱は、彼でなければ鎮めることは不可能だ。
「ありがとう。優しくする」
 峻吾くんはどこからか取り出したコンドームの袋を破き、自身につけているのがわかった。初めて見る男性のその光景に、目をそらしたくても見入ってしまった。それに気づいたのか、付け終わった峻吾くんが私を見て目を細める。
「恥ずかしいからあんまり見るなよ」
「……峻吾くんでも恥ずかしいんだ」
「当たり前だよ。すげードキドキしてるし」
「嘘だ」
「嘘じゃないって、ほら」
 手を掴まれ、彼の胸へと押し当てられる。汗ばんだ肌にも驚いたが、手のひらに伝わってくる彼の鼓動が激しくて驚いた。私相手にこんなにドキドキしているなんて。妹のような扱いだったはずなのに。
「……ほんとだ」
 緊張や羞恥がなくなったりはしないけれど、私だけではないんだと思うと、安心する。
「だろ?」
 照れくさそうに笑いながらも峻吾くんは私の足を大きく開き、足の間に身体を滑り込ませる。
「ひゃっ」
「これだけ濡れてたら大丈夫だと思うけど、痛かったらちゃんと言えよ?」
 硬く滾った彼自身で蜜口を撫でられる。先端で何度も往復され、お互いの淫らな部分がこすれる。彼の熱は蜜を十分に絡め、蜜口に押し当てる。
「挿れるよ」
「ん……」
 逞しい峻吾くんの剛直がゆっくり私の中を押し開いていく。ひきつるような痛みに身体が強張り、ぎゅっと目を閉じた。
「あ、痛い、峻吾くん」
「ごめん。ゆっくりする」
 額にキスをされ、こめかみ、頬、鼻の頭に来て、最後に唇が重なった。薄く開いた口から舌が入り込み、私の舌を絡めとる。濃厚なキスに夢中になっている間にも、中を押し広げられていく感覚があった。苦しい部分を抜けると、急に痛みが楽になった。
「……全部入った。大丈夫か?」
「う、ん……ちょっと痛いけど平気」
 引き攣るような痛みと圧迫感に呼吸が乱れる。慣れるには少し時間がかかりそうだ。
「しばらくこうしてるから」
 峻吾くんの熱を中に埋めたまま、ぎゅっと抱きしめられる。鈍い痛みはすぐに治まったけれど違和感が大きい。でも、峻吾くんが中に入っているんだと思ったらうれしくてたまらなくなった。
 初恋の人が初めての人だなんて。
 峻吾くんは言ったとおりじっとしてくれていた。
 お互いの汗ばんだ身体がくっついて鼓動も伝わってくる。さっき手に伝わってきた鼓動が身体全体に伝わってくるみたいだ。
「大丈夫か?」
 見上げると、峻吾くんは額に汗を滲ませていた。ぽたりと私の肌に落ちるほど。
「……峻吾くんのほうがつらそうだよ」
「うん。気持ちよすぎてきつい」
 峻吾くんが正直に頷いた。
 男の人がどれだけつらいのかはわからないけれど、彼の顔を見る限りでは相当我慢してくれているみたいだった。時間も経って彼の熱も中に馴染んできているのがわかる。それだけではなく、お腹の奥がもっと快感がほしいと疼いている。
「もっと、して?」
 私から誘っているようなものだ。
 でも峻吾くんのつらい顔は見たくないし、この先を知りたい。
 目をまるくしていた峻吾くんは、ふっ、と微笑んだ。
「……ありがとう。ゆっくりするから」
 こくりと頷くと、峻吾くんは言った通りに慎重に私の顔を見ながら腰を引いた。入り口まで引き出されたそれは、再び時間をかけて中へ入ってくる。
「……あ」
 私が声を上げると彼はぴたりと止まった。
「もう痛くないか?」
「うん。大丈夫だから、して?」
「……初めてのくせに。きつかったら言いなよ」
 峻吾くんは私にキスをしたあと、ゆるゆると腰を回す。十分に潤っているおかげか、滑りがよく痛みはなかった。
「あ、んんっ……あ……」
 内側の壁を峻吾くんの欲望がこすり上げる。声は我慢できず洩れ出て、甘ったるい自分の声にさえ興奮した。羞恥よりも快感が上回っている。
「……やばい、気持ちいい」
「ん、私も……」
 知らない感覚に夢中になっていた。
 いい大人なので決して興味がなかったわけではない行為だし、想像してみたこともあった。でも頭で考えるのと現実では全然違う。ふれられたことのない内側の粘膜に峻吾くんの切っ先がこすれるだけで何も考えられなくなるほどの快感があるなんて。
 質量のある彼自身に揺さぶられ続けていると、緊張していた身体の強張りが抜け、身を任せられるようになった。するとさらに快感が高まる。
「俺のが入ってる恵麻、可愛すぎる」
「……っ」
「もっと見せて、えろい顔」
「あ、ぅ、んっ!」
 顎を持ち上げられてじっくり観察するように見つめられる。逃げずに私も彼の視線に絡めとられる。
「可愛い」
 峻吾くんに可愛いと言われるたび、きゅんと胸が鳴る。それだけではなくて下腹部までも反応して熱くなる。
「もっと声聴かせて」
「んん、あっ」
 峻吾くんの抽送が速度を増すと嬌声も自然とボリュームが上がる。
 甘い声と二人の吐息、ベッドの軋む音とお互いの蜜が混ざる湿った音。聴覚からも刺激を与えられ全身が燃えるように熱い。
「……可愛い、俺の恵麻」
 揺さぶられている途中で聞こえた峻吾くんの声。聴き間違いかと思う言葉だった。
 伸びてた峻吾くんの手は私のお腹を撫で、胸のふくらみにふれて頂を可愛がる。張りつめた先端は彼の手で転がされる。
「あ、やぁ、あっ、あっ!」
 抱えきれない刺激に顔を横に振る。それでも峻吾くんはとまらず楽しむように私を攻め立てる。激しく出し入れされ身体が大きく揺さぶられる。不規則に猛然と突かれながらもお互いの視線はお互いを見つめたままだ。燃え滾った視線が絡まる。
「やばい、いく」
 切羽詰まった声と、獰猛な動きに彼の限界を肌で感じていた。峻吾くんの恍惚とした表情をもっと見ていたい。けれどそんな余裕は私にはなかった。
「ひゃ、ぁ!」
 唐突に奥を貫かれ、無意識に、きゅうと彼のものをしめ付ける。
「――くっ……あ」
 峻吾くんは腰をびくつかせて膜越しに欲望を放った。
 私の中で彼自身が脈打っているのがわかる。私の内側もひくひくと痙攣していて少し動かされるだけで敏感に反応してしまう。
「……ぁ、はぁ……」
 熱い息を吐きながら峻吾くんが覆いかぶさってくる。重さが心地いい。
「恵麻……」
 甘く囁く峻吾くんの声が、いつまでも鼓膜に残っていた。

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