一途な幼馴染の執着愛に堕とされて ~別れたはずの恋人に極甘愛撫で乱れさせられています~

書籍情報

一途な幼馴染の執着愛に堕とされて ~別れたはずの恋人に極甘愛撫で乱れさせられています~


著者:こいなだ陽日
イラスト:夜咲こん
発売日:2023年 8月11日
定価:630円+税

棟寺商会の御曹司で幼馴染の禎高と真夏は恋人同士だった。
だが、禎高の恋人ということで職場で嫌がらせを受けていた真夏は別れを告げることに――。
長く続いた二人の恋に終止符が打たれたはず、だったのだが――?
禎高と別れたあと、真夏は勤務地を移動し、新天地での生活を満喫していた。
一年が過ぎた頃、真夏の勤務先に禎高が出向でやってきて……!?
平静を装う真夏だったが、禎高から別れたつもりはない、という話をされてしまい――?
執着的な愛情を感じる愛撫に翻弄されながら抱かれる真夏――。
「興奮してる? ……俺もだよ」
だが、過去に嫌がらせを受けた真夏の心は完全には癒えておらず、関係を終わらせたい彼女に禎高はとある提案を持ちかけてきた……!?

【人物紹介】

瓜瀬真夏(うりせ まなつ)
工場勤務の事務職を務める27歳。
真面目な性格で、熱帯魚を見るのが好き。
ある日、勤務先で元彼の禎高と再会して――!?

棟寺禎高(とうじ さだたか)
棟寺商会の御曹司。27歳。
真夏の幼馴染で元恋人。真夏のことを溺愛している。
口が上手く策士な一面も……?

●電子書籍 購入サイト

*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

「懐かしいな……」
 ぽつりと呟くと、禎高が背中から抱きしめてくる。
「……!」
 回される腕の太さも、背中に当たる胸板も、記憶の中にあるものと変わらない。別れるまでは当たり前のように触れていたものだ。
 だが、今は違う。
「ちょっと、なにするの」
 真夏はもがいて彼の腕から逃れようとした。
 しかし、ぎゅっと強く抱きしめられれば抵抗できない。
「ねえ、冗談はやめて……っ、ん」
 耳朶を食まれた。唇の柔らかな感触にどきりとする。
「ねえ、覚えてる? 真夏と初めてした時、こうして後ろから抱きしめながら耳を噛んだよね?」
 耳元で話されれば熱い吐息が滑りこんできた。ぞくぞくしてしまう。
「やっ、しゃべらないで……!」
「あの時の俺、めちゃくちゃ興奮してた。懐かしいな」
 禎高の言うとおり、まさに初体験の時と同じシチュエーションである。
(まさか、このまま……)
 抱かれてしまう予感がする。
 ねっとりと耳を嬲られ、彼の腰を臀部に押し当てられると、青春時代の甘酸っぱい思い出が蘇ってきて胸をくすぐられた。
 しかし、流されるわけにはいかない。腕の中から逃れられないので、言葉で説得することにした。
「待って。私たち、別れたでしょう。付き合ってもないのに、こういう行為はしたくない」
「別れてないよ」
 即座に否定されて、真夏はぽかんと口を開けてしまう。
「……は? なに言ってるの?」
「別れたいって言われた時、俺は『気持ちはわかった』って答えただろ。真夏の意思は理解したけど、別れることには同意していない」
「え……」
 絶句する。
 別れた日のことは覚えているけれど、確かに彼はそう発言していた。だが、あのやりとりは誰がどう見ても別れのやりとりである。
「屁理屈言わないで。第一、別れた後はずっと連絡してこなかったでしょ。それで付き合ってるだなんて、おかしい。自然消滅しているようなものでしょ」
「あの時の真夏はだいぶ思い詰めていた様子だったから、時間を置こうと思って我慢したんだよ。俺は別れたくなかったけど、あの場で説得するのはかえって真夏の負担になると思ったから。俺にしてみたらこの一年は冷却期間だ。俺たちは別れてもないし、自然消滅もしていない」
 そう言った禎高に強く耳朶を吸われる。ちゅうっという音に鼓動が跳ねた。
「俺から『別れる』って言質を取らなかった真夏が悪いよ」
「でも……」
「真夏と別れてないから、他の誰とも付き合ってないし、女の子がいるようなお店にすら行ってない。この一年、ずっと真夏を好きだった。だからこうして俺の部屋に真夏がいると、触れたくて仕方ない」
 どこか切羽詰まったような切ない声だった。いつもは低く穏やかな声のトーンだけれど、わずかに高くなる。
 ぐりっと、昂ぶった下肢を押し当てられた。
「真夏は俺の彼女だ。だから、俺に真夏を気持ちよくさせて? 真夏も俺とするの、好きでしょ?」
 抱きしめるだけだった禎高の手が服の内側に侵入してくる。下着の上から胸の膨らみに触れてきた。
「これ以上は本当にダメだって!」
「嫌だって言うなら最後まではしない。だから、真夏を気持ちよくさせて?」
「その言いかたはずるい……」
 自分が抱きたいと言うわけでも、気持ちよくなりたいでもなく、「真夏を気持ちよくしたい」と請うような言葉に強く否定できなくなる。
 どうしたものかと考えあぐねていると、揺れている心にとどめを刺された。
「ちゃんと別れなかった責任取って」
「……っ」
 そう言われると、なにも言い返せない。
 この一年、禎高は真夏と付き合っているつもりで他の誰とも関係を持たなかったらしいのだ。
 ひどい屁理屈だとは思うが、彼を縛り付けた原因の一端は真夏にある。確かにあの時の彼は別れると明言していなかった。
「大丈夫、気持ちよくするだけ。……ね?」
 耳に舌を差しこまれた。ぴくりと身体を強張らせれば、淡い水色のブラジャーをずらされる。
 ニットの内側で露わになった胸が彼の手に包まれた。それだけで、すぐに先端が硬くなってしまう。
「んうっ……」
 一年間、誰にも触れられていない身体は敏感になっていた。
 あっさりと主張をしてしまった乳嘴を彼の指先に摘ままれる。そのままぐりぐりと捏ねられた。
「あっ」
 両方の胸の頂を指に捉えられたまま、彼は耳に舌を抜き差しする。粘ついた音と熱い吐息が真夏を狂わせていく。
「ひあっ、んぅ……」
 彼から与えられる快楽を身体は覚えていた。動揺する心とは裏腹に、触れられた肌が悦んでしまう。
 弄られている胸の先がどんどん敏感になっていった。
(胸って、こんなに感じる場所だった?)
 真夏は自分でも驚いてしまう。
「んうっ。あのっ、もう気持ちいいから……っ」
 気持ちいいからやめてほしい。そう思いながら、いやいやと首を振る。
「へぇ……。かなり息が乱れてるね。真夏って、こんなに胸が好きだったっけ? それとも――誰か他の男に開発された?」
「……!」
 驚くほど低い声で囁かれる。
 悋気の滲んだ声色は、恐ろしいというより真夏を惑わせた。
「違う。久しぶりだから……っ、ん」
「そっか。……もしかして、胸だけでイっちゃいそう?」
「え」
「胸でイったことないよね? 試してみようか」
 そう言うと、禎高は指の腹で乳嘴を擦りあげてくる。さらに、耳朶も思う存分嬲られた。
 硬くなった下腹部も、容赦なく真夏の臀部に押し当ててくる。
「やっ……っ、ん、あぁ……」
 抗おうとすればするほど快楽の沼に溺れていく。
 まるで胸の先に全部の神経が集注したみたいに、彼の指の動きがすべて気持ちいい。
「嘘……、んっ、待って、お願い……!」
 乳嘴を引っ張られながらくりくり潰されると、もう本当にダメだ。
 思わず腰が揺れた瞬間、耳に息を吹きかけられる。
「――!」
 胸と耳の刺激に押し負けるように、真夏は背筋を大きく仰け反らせた。
 身体が硬直した後、ぐったりと力が抜けて禎高にもたれかかる。胸の先っぽがじんじんと疼く。
 彼は真夏を優しく抱きしめた。
「すごい。胸だけで本当にイっちゃったね」
 服の中から手を抜くと、彼は真夏の頭をよしよしと撫でた。
「も、もう満足した? 私、十分気持ちよくなったから……」
「イったけど、軽めだったでしょ。もっとちゃんとイかないと。まだ真夏の一番好きな場所に触ってないし。……よいしょ」
「えっ」
 腰を持ち上げられて、床に座った禎高の膝の上に乗せられる。彼の手がスカートの中に潜りこんできた。
「ちょっと、そこまではさすがにダメ」
「いや、このままにしておくほうがダメでしょ」
 下着の上から足の付け根に触れられる。布越しでもわかるほどそこは濡れていた。
「こんなにしちゃって……。まさか、このまま家に帰るつもり? 濡れた下着で外に出るの? そういう性癖にでも目覚めた?」
 禎高は嬉しそうに声を弾ませている。
「違……っ、んうっ!」
 布の上から秘裂をなぞられた。薄布が内側に張り付いて独特の感覚を伝えてくる。
「下着、中に入っちゃったね。真夏のここ、すごくほしがってない?」
 そう言いながら、禎高が下着を脱がせてくる。
 こんなことをする予定ではなかったので、ブラジャーとは違う色の黒いショーツだ。上下ちぐはぐな下着をつけていたことが知られてしまったと思うと余計に恥ずかしくなる。
 粘膜に張り付いた布が剥がれていく瞬間、なんともいえない感覚に肌が粟立った。
 糸を引きながら、下着が引き抜かれていく。
「すごい濡れてる」
 彼はわざわざ下着を自分の顔の前に持ってきて観察する。
「やだ、やめて……」
「わかった。これは後で洗ってあげる」
 下着を床に置くと、彼の右手が再びスカートの中に入ってくる。そして、露わになった秘処に指先が触れた。
「あっ……!」
 誤魔化せない水音が耳に届き、頬がかあっと赤くなる。
「こっちも気持ちよくしてあげるから」
 真夏の首筋に口づけながら、彼の指先が真夏の花弁をめくった。内側の粘膜を優しく擦られると甘い痺れに腰が揺れる。
「ああっ、んぅ……」
「はぁ……。すごく熱くなってる」
 禎高の呼吸もどんどん荒くなっていく。彼は首筋に吸いつきながら、入り口付近を何度も指でなぞった。
 お腹の奥が疼き、蜜がどんどん溢れて彼の指を濡らす。
 抵抗の言葉もでてこない。
 ただ嬌声を零していると、左手もスカートの中に入ってきた。そちらは蜜口の少し上でぷっくりと膨らんだ花芯に触れてくる。
「ひあっ!」
 敏感な場所に触れられて、思わず大きな声を上げてしまった。
「真夏はここが一番好きだよね?」
 硬くなった蜜芽に指の腹を押し当てられる。
 円を描くように捏ねられた後、ぴんと弾かれた。その瞬間、愛液が勢いよく溢れ出す。
「やぁ……!」
「興奮してる? ……俺もだよ」
 まるで食べられてしまうかのように、首筋を甘噛みされて舐め回される。彼の唾液で濡れた肌に荒い呼吸が吹きかかると身体が熱くなった。
 首を愛撫しながら、彼の指先は真夏の秘処をとことんいじめてくる。
 充血した花芯は指で擦られ、蜜口には指が差しこまれた。蜜芽の裏側に指の腹がぐっと押し当てられる。
「ああっ」
 両側から刺激されると頭の中が真っ白になった。真夏は再び快楽を極め、彼の指先を強くしめつける。真夏の手は宙をもがいた後、くたりと垂れ下がった。
 禎高は嬉しそうに笑う。
「ふふっ、嬉しいよ。俺の彼女が気持ちよくなってくれて」
「……」
 彼女のつもりはない……と心の中で反論するものの、言葉にならない。
「ねえ、真夏。このままずっと、浅い部分だけ気持ちよくする? それとも、指で届かない場所も刺激してほしい?」
「……!」
 遠回しな言い方だが、抱かれるつもりはあるのかと聞かれている。
「これ、深いところも気持ちよくしてほしいんじゃない?」
「あっ」
 禎高は浅い部分だけ指を往復させる。
 確かに奥が疼いていた。ひくりと、ものほしそうにわななく。
「真夏の許可を取らないかぎり、無理矢理しないから安心して。したくないなら、このまま、ここだけ気持ちよくしてあげる」
「んうっ」
 長い指が浅い部分をかき回す。
 確かに気持ちいいけれど、強い快楽ではなかった。入り口付近を甘く触れられるほど、奥の部分が切なくなってくる。
(どうしよう……このまま触れられるだけだと、この行為に終わりがこないかもしれない)
 お尻に当たる禎高のものは硬いままだ。
 真夏が何回気持ちよくなろうが、彼が満足しないかぎり行為が続く気がする。
 しかも触れられれば触れられただけ禎高の熱に惑わされる。
(ずっと触られることで絆されたら困る)
 嫌いで別れたわけではない。嫌だったのは禎高自身ではなく、棟寺家子息の恋人という立場だった。
 今、この土地で重荷から放たれ、特別だと認識されない生活がいかに快適か痛感している。
 このまま延々と触れられたら、再び恋情が芽吹いてしまうかもしれない。よりを戻すことになったら、以前の生活に逆戻りだ。それは避けたい。
「一回だけ」
「ん?」
「……一回だけなら、してもいいから。その代わり、終わったらもう私の身体に触らないでほしい」
 ずっと触れられつづけるよりは、さっさと一回してしまったほうがいい気がした。
 真夏に触れる手があまりにも優しすぎるから、その心地よさに溺れる前に物理的に距離を取りたい。
「なるほど、前もって宣言しておくわけね。いいよ。一回だけして、その後は触らないから」
 しっかりと言質を取った。安堵した次の瞬間、真夏は抱き上げられる。
 そのまま隣にある寝室に運ばれた。引っ越しで新調したのか、真新しいベッドの上に乗せられる。サイズはダブルだ。
 彼もベッドの上に乗り、乱れていた服を脱がされる。あっという間に裸にされると、彼も服を脱ぎ捨てた。
 禎高がヘッドボードの引き出しから長方形の箱を取り出す。スキンだ。
 ベッドの大きさもそうだが、ご丁寧にスキンまで用意しているなんて、彼は真夏とこうなることを想定していたのだろうか?
(やっぱり、しないと離してくれるつもりはなかったよね。さっさと済ませるのが最善の筈。……私の選択は間違っていない)
 それは彼に抱かれる言い訳だ。仕方ないと思うだけで少しは胸が軽くなる。
 スキンが新品であることを示すように、真夏の目の前で彼はシュリンク包装を開けた。つける行為を見るのはなんとなく気まずいので、真夏は顔をそらす。
 そんな行動とは裏腹に、真夏の秘処は期待するかのようにひくりとわなないた。
 少しして、避妊具をつけ終わった禎高が覆い被さってくる。真夏の両足を開いて熱杭をあてがってきた。
 しかしすぐに挿入されることはなく、丸みを帯びた先端が浅い部分を行き来する。
「んうっ……。な、なんでそこだけ……」
「一回だけだから、じっくり楽しもうと思って。でも、真夏がおねだりしてくれたら、ちゃんと奥まで入れてあげる」
「な……」
 禎高は口角を上げながら先端だけ真夏に挿入してくる。
 一年ぶりに感じる彼の熱は、ほんの少しだけ。もっと強い刺激を知っている身体は切なげに疼く。
 焦れたように腰を揺らせば、責めるように花芯を指ではじかれた。
「んあっ!」
「こら、ちゃんとおねだりしないとダメでしょ」
 彼はどうしても真夏の口から言わせたいようだ。一回だけしてもいいと言ったものの、真夏が望んだから行為をしたという形にもっていきたいらしい。
 長年付き合っていたから、彼の面倒な思考回路が理解できてしまう。
(言わないと、ずっとこのまま……)
 彼のほうが耐えきれずに深く挿入してくる可能性はない。やるといったらやる男だ。
 とりあえず真夏は早く終わらせたい。だからこそ「してもいい」と言ったのに、これではまるで意味がなかった。
 ここは彼に従ったほうが早く終わる。
「……挿れて」
 真夏は諦め混じりに口にした。色気も媚びもない淡々とした物言いだったが、禎高は嬉しそうに笑う。
「そういうふうに決断が早いところ大好きだよ。でも、もう入ってるでしょ? ……もっとかわいく、奥までちょうだいって言って?」
「調子に乗らないで……っ、あ」
 禎高がほんの少しだけ腰を進めてくれた。それでも、まだ半分までしか入っていない。
「ほら、言って。かわいくだよ、かわいく」
 中途半端な位置で腰を止めたまま彼は催促してきた。本当に面倒な男だし、しつこい。
 焦らされたせいで、悔しいけれど身体は快楽を求めている。それを悟られたくなくて、火照りを隠すように真夏は冷たく呟いた。
「……奥まで挿れて」
「かわいげは?」
 不満そうな禎高に言い返す。
「昔、私のすべてがかわいいって禎高が言ってたでしょう? そんな私の口から出る言葉は、すべてかわいいです」
 付き合いたてで盛り上がっていた頃に、彼は「真夏のすべてがかわいい。なにをしていてもかわいい」と、よく言ってくれた。
 それを逆手に取れば、驚いたように目を瞠った彼がごくりと喉を鳴らす。
「……本当だ、俺が間違ってた。真夏はかわいい」
 そう言って、彼は一気に腰を進めてくる。
 最奥を穿たれれば、久々の刺激にお腹の奥がきゅんと疼いた。
「ああっ……」

タイトルとURLをコピーしました