お見合い妻は極上御曹司の不埒な盲愛に抗えません!?

書籍情報

お見合い妻は極上御曹司の不埒な盲愛に抗えません!?


著者:夕日
イラスト:小島ちな
発売日:2023年 8月11日
定価:610円+税

大手菓子メーカーの次期後継者である柊の妻になった雪香は幸せな新婚生活を送っている。
お見合いを経て結ばれた二人だったが、柊は初夜に自身の滾る思いを告げ、雪香を甘く熱く抱いた――。
「隅々まで、君を愛でさせてくれ」
そんな幸せ絶頂の最中、雪香宛に不審な手紙が届く。
昔からストーカーに狙われやすい純情な雪香に柊は彼女を守る万全の体制を整えることにしたのだが……!?
在宅勤務で過ごす雪香は自身の危険に気が付かないまま、打ち合わせに出かけてしまい――。
ストーカーに鉢合わせしたものの、柊の助けが入り、事なきを得た雪香。
だが、事件のあと柊の心配は膨れ上がってしまうばかりで、そんな彼はあるモノを雪香に渡してきて――?

【人物紹介】

大浦雪香(おおうら ゆきか)
柊の妻で、普段は翻訳家として活動している24歳。
おっとりとしていて優しい性格。
昔からよくストーカーに狙われてしまうことが多く……?

大浦柊(おおうら しゅう)
大手菓子メーカーの次期後継者。29歳。
冷静沈着で、感情の起伏が少ない。
一方、妻に対しては感情が大きく動き、深い愛情を見せるのだが――!?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

「入るぞ」
 声と扉が開く音に、雪香はびくりと身を震わせる。
(ど、どうしよう。どうしたらいいんだろう)
 焦る心を押し殺しながら恐る恐る扉の方を見れば、風呂上がりで肌が上気した柊が立っていた。その匂い立つような色香に当てられて、雪香は夫を見つめたまま放心してしまう。
 艶やかな黒髪は湿気を帯びたことでさらに艷を増し、頬はうっすらと赤みを湛えている。寝間着のボタンは二段目まで外れており、そこからは鍛え上げられた胸筋が垣間見えていた。柊は週に何度かジムに通っている。その成果なのだろうと、雪香はぼんやりと考える。
「雪香、寝ていなかったんだな」
 柊のいつも通りの冷静な口調に、意識が引き戻された。
(……もしかして、寝ていてほしかったのかな)
 マイナスな方向へと、思考が引っ張られそうになった時。
「……よかった」
 今まで見たことのない柔らかな笑みを向けられ、雪香はあっけにとられた。
 柊は大股で雪香のもとへ行くと、大きな手を伸ばす。そして、雪香の手をしっかりと握りしめた。
「……雪香」
「は、はい!」
「近頃は式の準備やらで大変だっただろう。疲れてはいないか?」
 労りの言葉と、長いまつ毛に囲まれた茶色の目が向けられる。その視線は穏やかなものなのに、なぜだか熱を孕んでいるような気がした。
「大丈夫です! 疲れていません!」
「俺に触れられるのは、嫌じゃないかな?」
 手を握っていない方の手で、そっと頬に触れられる。大きな手のひらは温かく、少ししっとりとしていた。握られていただけだった手も、いつの間にか指先を絡める形に変わっている。密に触れ合う指と手のひらを見つめてから、雪香は頬を熱くした。
「い、嫌じゃないです」
 嫌どころか、ずっと触れられたかったのだ。このチャンスを逃すまいと勢い込んで言う雪香の唇は、柊の唇に塞がれた。突然のキスに雪香は目を丸くする。唇は角度を変えて何度も重ねられ、頬に触れていた手は首筋へと回る。さらりと素肌を撫でられると、背筋がぞくりと甘く震えた。
「雪香、口を開けて」
「はい、柊さ……んっ」
 甘い声音で命じられて口を開けると、そこから柊の舌がゆるりと侵入してくる。舌は雪香の前歯を軽く舐めてから、さらに奥へと進む。そして舌同士が、くちゅりと淫靡な音を立てながら触れ合った。舌を絡められ、時折優しく吸い上げられる。そうされると頭の奥がじんと痺れたようになった。
(気持ちいい。キスってこんなに、気持ちいいんだ)
 懸命にキスに応えていると、優しく頭を撫でられる。柊の手のひらの感触を感じていると、じわりと胸の内側が温かくなった。
「は、ふ」
 上手な息の仕方がわからず、酸素が足りずに苦しくなってくる。そんな雪香の様子に気づいたのか、柊は唇を離すとまた頭を優しく撫でた。
「息は鼻でするんだ」
「ご、ごめんなさい。はじめてなのでわからなくて」
 雪香の言葉に、柊の目は丸くなる。そんな彼の様子に雪香は首を傾げた。
「俺が……はじめて?」
「は、はい」
 もしかして引かれてしまっただろうか。二十四歳にもなって、なんの経験もない女は少数派であるという自覚はある。それが恥ずかしいことだとは、今まで思っていなかったけれど……。柊に引かれてしまうなら、ちゃんと経験しておけばよかったと雪香は少しばかり後悔をした。
「それは……なにもかも?」
「はい。お付き合いをしたのも、キスも。こういうことも……はじめてです」
「そうか、そうなのか。それは……嬉しいな」
 柊はそう言いながら頬を赤らめ、緩む口元を手で押さえた。その様子はどこからどう見ても、彼の言葉の通りに『嬉しそう』だ。
 ──前言撤回。こんなふうに喜んでもらえるのなら、未経験で本当によかった。
 雪香はそんな現金なことを考えながら口元を緩めた。
「雪香。君は本当に可愛いな」
 雪香の名を呼ぶ柊の声は甘い。髪を一房取られ、優しく口づけられる。
(こんな柊さん……知らない)
 いつも凛としていて感情をあまり表に出さない。その態度は優しいものではあるけれど、甘い言葉を吐くようなことはない。柊はそんな人の……はずだったのに。
 目の前の柊は甘い声で雪香の名を呼び、熱のこもった瞳でまっすぐに見つめてくる。
(この人は、本当に柊さんなのかな)
 そんな馬鹿なことを思いながら視線を向ければ、蕩けるような笑みで返されてしまう。
 あまりにもまぶしい笑みを間近で直視してしまい、雪香の頬は一気に熱を持った。鼓動が速くなり、鳴り止まない。
「隅々まで、君を愛でさせてくれ」
 柊はそう言うと、雪香の首筋に顔を近づけ舌を這わせた。生々しい舌の感触が肌に触れ、未知の感覚が体に湧き上がる。
「や……っ」
 その感覚に押し出されるように小さく声を上げると、柊の目が愛おしげに細められた。
「もっと、可愛い声を聞かせて」
「そう言われましても……ひゃんっ!」
 ちゅっと肌を吸い上げられ、くすぐったさと同時にぞくりと背筋が震える。その震えは恐怖を感じた時のものに似ており、しかしそれと違って淡い快感に転換される。
「脱がせるぞ」
 柊は宣言すると寝間着をぐいと捲り上げた。あっという間に、雪香は下着だけの姿にされてしまう。パステルカラーの可愛らしい下着に包まれた体を目にした柊は、嬉しそうに頬を緩ませた。
「可愛い下着だな。君に似合ってる」
「あ、ありがとうございます」
 この下着は柊に見られることを想定して懸命に選んだものだ。それを褒められることは嬉しいが、まじまじと見られるのは恥ずかしい。頬を熱くしていると、額に軽くキスをされた。
 柊の手が片胸に触れ、優しく揉みしだかれる。「……大きいな」としみじみつぶやかれ、雪香の顔はさらに真っ赤になった。雪香は胸と尻への肉づきがかなりいい。そのことが本人としては長年のコンプレックスだったのだ。
「あ……っ」
 ブラを外されると、豊かな胸が淫らに揺れながら姿を現した。反射的に胸を手で隠すが、柔らかな脂肪の大半は手から溢れてしまう。胸を隠す手に、柊は啄むようなキスを繰り返した。
「柊さん、恥ずかしいので……」
「雪香、綺麗だから隠さないで。俺にぜんぶ見せてほしい」
 想い人に甘えるように言われてしまうと、雪香には断ることなんてできない。恐る恐る両手を外せば、柊が嬉しそうに笑った。その笑顔を見た瞬間。心臓が壊れてしまいそうなほどに大きな動悸を刻んだ。
(そんな顔をされると……なんでも許せてしまいそう)
 笑顔に見惚れていると、触れるだけのキスをされる。同時に両胸へと手が伸びて、柔らかな双丘に優しく触れられた。柊の大きな手にも、雪香の胸は収まりきれない。指の隙間から溢れる媚肉を目にして恥ずかしい気持ちになるが、それを見つめる柊が楽しそうなのでなにも言えなくなってしまった。
「んっ」
 肌同士が直接的に触れ合い、互いの体温がふわりと交わり合う。自身のものではない手が胸を捏ね、予測できない動きに感覚が翻弄される。
「は、あ」
「雪香。怖いか?」
 訊ねられ、雪香はふるふると首を横に振った。慣れないことばかりではあるが、相手が柊だからだろうか。恐ろしいとは感じない。それどころか……。
「ふ、あっ」
 甘やかな感覚が湧き上がり、体中を少しずつ満たしていく。体という杯がこの感覚で満たされた時、自分はどうなってしまうのだろう。それを想像すると、心臓がとくりと高鳴った。
「ひゃっ!」
 右胸の頂を口に含まれ、雪香は小さく悲鳴を上げる。吸い上げられると柔らかな蕾が芯を持ち、そこから甘い感覚が湧いた。
「柊、さん。んんっ」
 縋るものがほしくて柊の頭をぎゅうと抱きしめると、宥めるように首筋を撫でられる。その手つきも快楽を誘発し、雪香は吐息とともに甘やかな声を上げた。
(どうして、今夜の柊さんはこんなに甘いんだろう)
 その『理由』が知りたくて、雪香の胸は締めつけられる。その扉を開けてもいいのだろうか。望む答えはもらえるのだろうか。そんな不安が胸を過ぎるが、一度湧き出た知りたい気持ちは止められなかった。
「しゅう、さん。その。お願い、待ってください」
「どうした、雪香。不快なのかな?」
 快楽に耐えながら必死に懇願すれば、不安そうな声と視線が向けられる。雪香は慌てて、首を横に振った。
「いえ、気持ちいいです」
「よかった、雪香に気持ちいいと言ってもらえるなんてね」
 切れ長の目が細められ、唇が笑みの形に変わる。
 柊の美しい笑顔に見惚れ、雪香は一瞬言葉を失ってしまう。そんな雪香の喉を柊の指先が優しく撫でた。
「では、どうしたんだ?」
「柊さんは私でいいのかなと、少し気になってしまって」
「え……」
 柊の目が驚いたように瞠られる。雪香は不安で声を震わせながら、今まで気になっていたことを訊ねようと口を開いた。
「その。私は柊さんが好きなので、この行為が嬉しいのですけれど」
 緊張からなのか、不安からなのか。胸のあたりがぎゅうと締めつけられる。雪香はなけなしの勇気を振り絞り、言葉を続けた。
「柊さんの方はどうなのかなと……」
 とうとう、自身の気持ちを告げてしまった。頬が熱くなり、柊から目を逸してしまう。
「雪香は、俺のことが好きなのか?」
「は、はい」
「俺もだよ。君が好きだ」
 奇跡のような言葉を耳にし、雪香は柊に視線を戻す。するとそこには、真剣な表情で雪香を見つめる柊がいた。その視線に込められた熱に、雪香の心臓は大きく跳ね上げられる。
「お見合いの時に、一目惚れをして以来……ずっと君に夢中なんだ」
 さらに告げられた柊の言葉に、雪香は目を瞠る。そんな雪香の両頬を大きな手が包み、優しく唇を重ねられた。
 喜びからの涙が溢れ、頬を流れ落ちていく。その雫は柊の唇によって、優しく拭い取られた。
「伝えていなくてすまない。絶対に君を幸せにするから」
「は、はい。ひゃっ!」
 首筋を舌が這い、生温かで濡れた感触に体が跳ねる。柊はふっと笑うと首筋にひとつ口づけてから、耳朶に優しく舌を這わせた。
「あっ……」
 ぐちゅりと音を立て、濡れた舌が耳穴に埋まる。内側を舌が出入りすると肌の表面にさざなみのような感覚が走り、それは甘やかな刺激となって体を揺らした。
「は、ふ。うっ」
「雪香は耳が弱いんだね」
 低い声と吐息に鼓膜が揺らされ、体がびくりと跳ねる。しかしその動きは、のしかかっている柊の体の重みによって抑え込まれてしまう。柊の手がふたたび胸に伸び、優しい力で揉みしだきはじめる。
「や、柊さん、そんなにっ」
「ん……いっぱい感じて、雪香」
 耳を嬲る舌、感じる柊の体温、体を這う手。過多なくらいに与えられる感覚に、雪香は声を上げながら翻弄されることしかできなかった。追い立てられ、揺らされ、上へ上へと押し上げられていくような錯覚。その未知の感覚に嬲られているうちに、雪香の体の奥にはじわりと熱がこもっていった。
「しゅ、しゅうさんっ。しゅうさんっ──んんっ!」
「はぁ、可愛い」
「やぁ、お耳の側でそんなこと、言わないでっ。は、んっ」
 ぐちゅぐちゅと濡れた舌が耳穴を往復し、胸の頂をきゅっと摘まれる。その強い刺激に高みに連れていかれ、雪香の目の前は真っ白になった。
「──ッ!」
 言葉にならない声を上げながら、人生ではじめての絶頂に大きく身を震わせる。まっさらな雪香の体は……柊によって確実に拓かれはじめていた。耳から濡れた舌が引き抜かれ、その柔らかな刺激にも体がびくりと反応する。そんな雪香の様子を、柊は目を細めて愛おしげに見つめた。
「柊さん……今の、なんですか」
「そうか。雪香は本当になにも知らないんだな」
「知らない……?」
「自慰、したことあるか?」
「し、し、し、したことないです!」
 柊からの唐突な問いに雪香の顔は真っ赤になった。世間知らずな雪香でも、『自慰』というものの存在自体は知っている。けれど、してみようと思うことは一度もなかった。いや正確に言えば『するのが怖かったからしなかった』だろうか。
 雪香の両親は雪香を過剰なくらいに大事に育ててきた。そんな両親を裏切るような『いけないこと』に対しては、勝手に気持ちのブレーキが効いてしまう。自慰もその『いけないこと』に自然に分類されており、する機会が訪れないままこの年齢になったのだ。
「そうか、今の感覚もはじめてなんだな。俺と一緒にたくさん覚えて、雪香」
 おとがいに指をかけられ、優しいキスをされる。雪香は目を閉じ、そのキスをうっとりと享受した。目を開けると、大好きな人が目の前にいる。それが嬉しくて、雪香は満面の笑みを浮かべてしまう。
「覚えたら……柊さんは喜びますか?」
「──ッ! 君は本当に……!」
 言葉と同時に、首筋に鈍い痛みが走った。柊が少し強めに肌に歯を立てたのだ。
「ひ、ん!」
 突然のことに驚きながらも、雪香は気づいてしまった。柊に与えられるものは、痛みすらも気持ちいい。
「可愛すぎて、隅から隅まで食べてしまいたくなる」
 囁きながら、柊は雪香の下腹部に指を滑らせる。そして最後の砦であるショーツに指先で触れた。
「……たくさん濡れてる」
 柊はそう言うと、空気を含んだ笑いを零す。
「あ……」
 その時雪香ははじめて、自身の蜜壺から滴っている蜜の存在に気づいた。
「ほら、下着の色が変わってる」
「ひゃ!」
 柊の手によって足を開かされ、雪香は小さな悲鳴を上げた。さらに足を持ち上げられ、秘部を見せつけるようにされる。柊の言うように、ショーツはじっとりと濡れて変色していた。それを目にした雪香の頬には、羞恥による朱がぱっと散る。
「柊さん、そんなの見せなくていいです! あと、見なくてもいいです!」
「どうして? 君が感じている証拠だ」
「あっ……!」
 柊の美貌が秘部に近づき、布地の上からゆっくりとそこを舐め取った。
「待って、柊さん! はずかし、やぁっ」
「これが、雪香の味か」
「馬鹿、もう! んんっ!」
 柊のことを、『馬鹿』などと言ってしまった。そんな後悔は柊の楽しそうな表情を見れば、たちまちに霧散する。
「君に馬鹿と言われるのも、とてもいいな」
 柊は白い歯を見せて笑うとまた蜜壺へと唇を寄せる。そして今度は強く吸い上げた。
「あ、ああっ!」
 花びらの上部にある、しこりのようなものを吸われた瞬間。強い刺激が体を走り、雪香は喘ぎながら背を反らせた。
「そこ、強っ……んんっ!」
 感じる雪香を目にしてほくそ笑んでから、柊は何度もしこりの部分を吸い上げる。そして仕上げとばかりに、指先でそれを押し潰した。
「あああっ!」
 意識が白に塗り替えられ、裸体がシーツの上で跳ねる。大きな胸がぶるりと揺れるが、その猥雑さに恥ずかしさを感じる余裕なんてものはない。激しく息を切らせながら絶頂の余韻に身を浸している間に、ショーツが抜き取られて全裸にされる。そして今度は、直で口をつけられた。
「しゅ、柊さんっ……」
「ここにもたくさん、口づけないとな」
 ぐちゅりと卑猥な音が立ち、無防備な粘膜同士が触れ合った。舌が蠢き、花びらを優しく撫で上げる。
「んんっ!」
 舌は丹念に蜜壺を探り、部屋に濡れた音を響かせながら恐ろしくなるほどの快楽を引き出していった。
「あっ、んぅ! しゅうさん、やぁあっ!」
 柊の唾液なのか自身の愛液なのかわからないくらい、秘部がずぶ濡れになっていく。舌が動くたびに快感が高まり、唇からとめどなく零れる甘い声は雪香を嬲る狼の興奮をさらに高めていった。
「可愛い、雪香。声も肌の感触も匂いも。ぜんぶ愛おしい」

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