三嶋夫妻はもっと淫らに愛し合いたい 〜秘めた執着、誓い合う蜜愛〜
著者:桜月海羽
イラスト:rera
発売日:2022年 10月28日
定価:630円+税
本音を打ち明け合ったり勘違いですれ違ったり、様々な出来事を経て愛するパートナーと満たされた日々を過ごす三嶋夫婦。
そんな美紅と彰史は、今住んでいるマンションから新居へ引っ越すことに!
「夏にはこの家ともお別れだからね。それまでに色々な場所でしておかないと」
冗談だと分かっていても、淫らな想像をしては照れている美紅。
可愛らしい妻の様子にますます愛を深めていくのだった――。
しかし、変わらずラブラブな生活を送るニ人の前に、彰史の元カノが現れて……!?
【人物紹介】
三嶋美紅(みしま みく)
大好きな夫とラブラブな生活を送る。
カフェ「フルール」でパートをしており、その働きぶりは周囲からも信頼されている。
彰史の元カノに吹き込まれた言葉をきっかけに、彼とついギクシャクしてしまい……。
三嶋彰史(みしま あきふみ)
美紅の父の部下であり、大手食品メーカーの企画部の課長。
容姿端麗で紳士だが、ベッドの中ではいじわるになることも……。
美紅以外の女性は眼中になく、彼女を傷つける人には容赦をしない。
●電子書籍 購入サイト
*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。
【試し読み】
「美紅」
ぼんやりとしていた美紅が顔を上げると、彰史に唇を塞がれた。シャンパン風味のキスは、優しくて心地好い。
うっとりとしながら瞼を閉じれば唇を食まれ、美紅もお返しとばかりに彼の唇を啄んだ。
戯れのようなくちづけに、胸の奥がキュンと締めつけられる。
美紅が彰史の首に手を回すと、彼も美紅の背中を一撫でしてから腰を引き寄せた。
髪からはシャンプーの香りが漂ってくる。どちらのものかはわからないが、清潔感のある匂いが鼻先をくすぐるたびに安堵感を抱いた。
甘いキスに心を奪われて、美紅の身体を撫でる手に意識が集中する。腰を這っていた温もりがウエストラインで轟き、ふわりとこすられる。
快感には程遠く、くすぐったさの方が勝る。それでも、自分に触れているのが彰史だと思うだけで、期待感と体温が高まっていく。
キスも触れられるのももう何度目かわからないのに、彼に愛されているという事実にドキドキさせられてしまう。
そんなことを考えていると、唇の隙間から彰史の舌が侵入してきた。
歯列をたどるように動く熱塊の感触に背筋が粟立ち、粘膜同士がこすれ合う感覚にゾクゾクする。無意識のうちにこのあとのことを想像して、下肢がきゅうっ……とすぼまった。
舌を捕らえられ、それに応えるように美紅も彼の舌を捕らえ返すと、互いを求め合ってくちづけが深くなっていく。
舌が解けそうになるともっと強く結ぼうと絡ませ、水音を響かせながらキスに陶酔した。
呼吸が苦しくなっても、唇を離すのも忘れて彰史にしがみつく。やがて、唾液ごと食い尽くすがごとく、舌をちゅうっと吸い上げられた。
「んんっ……はぁ……」
そっと離れたふたりの唇を繋いでいた透明な糸が、数舜してぷつりと切れた。
「顔が赤いね」
熱を帯びた頬が彰史の左手に包まれ、もう片方の手がたわわに実った双丘に触れる。美紅がピクンッと肩を跳ねさせてしまうと、彼がうっすらと笑みを湛えた。
眇めた目に射抜かれた美紅は、わずかな戸惑いを浮かべる。
「……ここでするの?」
「夏にはこの家ともお別れだからね。それまでに色々な場所でしておかないと」
「っ……!」
途端に動揺を見せた美紅に、彰史がクスッと笑う。
「寝室はもちろん、キッチンやお風呂……ああ、書斎や美紅の部屋もいいね。そういえば、ベランダと廊下ではまだしたことがなかったな」
「べ、ベランダなんて……」
からかわれているとわかる反面、本当にされるんじゃないかと脳裏に過る。
「そうやって戸惑っていても、美紅は素直で感じやすいからたくさん乱れるよね」
楽しみだな、と独り言のように落とした彼が瞳を緩める。簡単に想像力を働かせてしまう美紅は、ますます顔を真っ赤にした。
「……なんてね。さすがの俺でも、ベランダではしないよ」
彰史は美紅の唇に触れるだけのキスを落とすと、「でも今夜はここでするけどね」と悪戯な声音で囁く。耳元に彼の吐息が当たり、下腹部がキュンと戦慄いた。
「そろそろちゃんと集中して」
「ァッ……」
ギュッと胸を掴まれ、身体がわずかに跳ねる。痛くはない程度の力加減だったが、美紅の意識を奪うには充分だった。
ゆったりと揉みしだかれる膨らみが、彰史の手の動きに合わせて形を変える。弾力のある柔らかな感触を、彼はじっくりと楽しんでいるようだった。
反して美紅は、悦楽には届かない中途半端な感覚に腰を小さく捩った。
「じれったそうだね」
「……意地悪」
「意地悪じゃないよ。前にも言っただろう? こういうのは、可愛がっているとか愛でているって言う方が正しいんだ」
もっともらしい言い方ではあるものの、悪戯な笑みを浮かべる彰史を見ていると、やっぱり「意地悪だよ」という感想しか出てこない。
「心外だな。俺は誰よりも美紅を愛しているし、こうして可愛がっているのに……」
美紅が眉を寄せると、わざとらしく肩を竦めていた彼が目尻をふっと下げた。
「そんな顔しないで」
彰史は言い終わるよりも早く、ルームウェアの裾から手を入れてきた。
少し冷たい手にピクンッと下腹部を震わせたのも束の間、今度は焦らすことなく双丘にたどりつき、いきなり先端を探り当てられてしまった。
「あんっ!」
「あれ? 今日は下着をつけていないんだね」
ルームウェアがモコモコの素材なのをいいことに、今夜はブラをつけていなかった。
いつもはナイトブラや可愛いランジェリーをつけるようにしているが、少し疲れていたのもあって、下着の締めつけが煩わしく感じたのだ。
なにより、ここ最近は情交の回数が減っていたため、油断していたのもある。
住宅プランを立てるのは予想以上に大変で、抱き合う余裕もなく眠る日が増えていたことで、まぁいいか……とつい思ってしまった。
「やっ……」
恥ずかしがる美紅に反し、彼の目は生き生きとしている。
「俺は嬉しいよ。いつもみたいに可愛い下着を脱がすのも楽しいけど、簡単に美紅の弱いところを可愛がれるのも興奮する」
「……っ」
あけすけに言われて、美紅の顔がボッと熱くなる。
「でも、こういう無防備なことは俺以外の前ではしないようにね?」
こんな格好、彰史以外の人の前でするわけがない。美紅が必死になって大きく頷けば、彼がクスクスと笑った。
彰史は満足そうな顔で美紅の唇を塞ぎ、甘噛みのようなキスを繰り返した。
その間にも敏感な突起をくすぐられ続け、ピリピリとした淡い快楽が芽生えていく。
指の腹でこするようにしたり、そっと捏ねるようにいじくったり……。美紅の弱点を熟知している彼は、美紅の身体が悦ぶ触れ方をよく知っている。
わずかな時間で熱を与えるのは、彰史にとってはあまりにも簡単なことだった。
「ん、っ……ぁ……」
「これ脱ごうか。ほら、手を上げて」
言われた通りにすると、ルームウェアを脱がされた。エアコンが効いているとはいえ、無防備になった上半身に当たる空気はひんやりとして少しだけ肌寒い。
そのせいか、再び伸びてきた彼の手が肌に触れた時、体温の差をはっきりと感じた。
「ここ、少し勃っているね」
「だって……」
恥じらう美紅に、彰史が瞳を緩める。豊満な双丘の先端を摘まんだ彼は、素直に反応する身体を弄んだ。
「ふっ……ぅ……」
薄桃色の飾りは軽く芯を持ち、その存在を主張し始めている。
指の腹をこすり合わせるようにして捏ね、かと思えばカリカリとくすぐられ、淡い喜悦が広がっていく。もどかしさもあるのに、愛欲が湧き上がってきた。
節くれだった指がうごめくたび、美紅の身体が従順に反応する。
彰史はひとしきり小さな突起を可愛がると、優しくくちづけた。
色づき始めていた粒に唇が触れた直後、口内に含まれてしまう。舌でくすぐるようにして舐め、そっと吸い上げられると、美紅の腰が震えた。
指先よりもずっと鋭い感覚に、艶やかな吐息が漏れる。時折混ざる声は甘く、確かな悦びをあらわにしていた。
突起のくぼみをほじくるようにしたり、蕾全体を丹念に舐め上げたり。そのまま軽く歯を立てたあとには、舌が纏わりついてねぶってくる。
まるで飴玉を転がすがごとくじっくりと味わわれ、反対側の果実は指先でいじくられて、小さな姫粒から下肢に向かって甘切ない熱が広がっていった。
「あんっ……!」
甘噛みされたまま舐められるとたまらなくて、美紅は何度も甲高い声で啼いた。
すっかり硬くなった尖りは、赤々と色づいて腫れている。さらに鋭敏になったそこに舌が軽く触れるだけでも、下腹部が疼いて仕方がなかった。
ほとんど無意識のうちに下肢をすり合わせると、ショーツからひんやりとした感触が伝わってきた。
「そっちも触ってほしくなった?」
意地悪な質問に、美紅が眉を下げる。けれど、早く触れてほしいのも事実で、羞恥を押しのけるようにして口を開いた。
「うん……」
素直な答えに、彰史が満悦の笑みを浮かべる。どこか雄臭い表情に見入っていると、身体を押し倒されてしまい、美紅の視界には彼の顔と天井が映った。
色香を纏った笑みを前に、思わず息を呑む。間を置かずしてショートパンツを脱がされ、「これも脱いでしまおうか」と言った彰史が手際よくショーツも剥いだ。
一糸乱れぬ彼に反し、自分だけがなにも身に纏っていない状況が羞恥を煽る。
それでも、身体は触れてもらえることを待ちわびていて、自然と抵抗もしなかった。
おもむろに伸びてきた指先が、秘所に触れる。そこで指を動かされると、くちゅんっ……と淫靡な音が響いた。
「もう濡れているね。早く触れてほしかった?」
意地悪な笑顔を見つめ返し、吐息混じりに首を縦に振る。
どうすれば気持ちよくなれるのかは、もう知っている。節くれだった指で弄ばれるのを、内心では今か今かと期待していた。
「ふっ……んっ、ぁ……」
そんな美紅に応えるように、彰史の指が花弁をこする。割れ目に沿って往復する指は、優しく襞を撫で、上部にある小さな蕾をかすめていく。
何度も繰り返されて敏感な花芽は熱を持ち、少しずつ硬さを帯びて存在を主張し始めた。
そのうちに花粒をクルクルと回すように捏ね、一点だけを集中的に責められて、思わず足の指がギュッと丸まった。
「あぁっ、ぁっ……んぁっ……ッ」
包皮から顔を出した花芯に蜜をまぶされ、指の腹で押したり指先で引っかかれたりすると、たまらなく気持ちいい。
愉悦が膨れ上がるのに比例して、姫核がツンと尖った。
「ここ、硬くなっているね」
美紅を見下ろす彰史は、獰猛な色香を纏った視線を逸らさない。その間にも蜜粒はいたぶられ、喜悦は膨れ上がっていく。
「そろそろ軽くイっておこうか」
それは、質問だったのか独り言だったのか。
考えるよりも早く淫芽を激しくこすられたかと思うと、背中を反らせた美紅を押さえつけるように腰を掴まれてしまう。
「んぁっ……! ひゃぁあっ、ッ……ああぁぁぁぁっ……」
とどめとばかりに脆弱な真珠をグリッと押し潰され、容赦のない愛撫に身体は勝手に高みへと駆け上がった。
甘い痺れに包まれた肢体から力が抜ける。
程なくして美紅がキスをねだろうとした時、彼は白く滑らかな両脚を抱えたあとで下肢に顔を近づけてきた。
「やっ……」
「嫌じゃないだろう? 美紅の『嫌』は悦んでいるようにしか聞こえないよ」
薄い茂みを掻き分けた彰史が、秘部を見つめる瞳を緩めた。
「よく濡れているね。それにほら、ここは真っ赤に腫れているし、舐めてほしそうだ」
うっとりとしたような顔で指摘されて、恥ずかしくてたまらない。
もう数え切れないほど身体を重ねているのに、いやらしい言葉で嬲られるたびに泣きたくなるほどの羞恥に襲われる。
彼は間違いなくそのことを知っていて、こうして顔を真っ赤にする美紅を見るのが愉しみで仕方がないようだった。
ふぅっ……と息を吹きかけられ、腰がピクンッと跳ねる。次いで、両手で襞を大きく開くようにした彰史の舌が、淫裂をゆっくりと舐め上げた。
刹那、甘切ない悦楽がまるで雷のように襲いかかってきた。
蜜口に差し込まれた舌が再びあわいをたどり、蜜核を捕らえる。繰り返し下から持ち上げるように舐められて、あまりの快感に細くしなやかな腰が大きく戦慄いた。
「あっ、ぁッ……んぅっ、アンッ……」
絶え間なく悦楽を送り込まれ、全身の血が濁流のごとく身体中を巡る。
美紅の意思を置き去りにしたまま、身体は頂きに向かっていく。
艶と淫蕩さを助長するかのような水音が響き、鼓膜を侵される。姫核は今にも弾けそうなほどパンパンになり、針で突けば割れてしまいそうだった。
「はぅっ……!? ぁんっ!」
やがて、彰史はなんの前触れもなく蜜口から二本の指を侵入させ、収縮する柔壁を撫で回した。
入り口あたりをこすり、二本同時に出し入れして指に蜜を纏わせていく。舌で花芯をいじくられたまま内襞まで刺激されて、美紅の中に蓄積していた蜜欲がさらに膨張する。
指も鉤状に曲げた彼は、舌で陰核を押し潰しながらその裏側を掻きむしった。
「……ひぅっ!?」
苛烈な刺激が脳天まで突き抜けるような感覚に、美紅は反射的に腰を引いてしまう。
けれど、身体の下にあるソファーのせいで逃げ道はなく、両脚をがっちりと掴まれている状態では膝から下にしか自由は与えられない。
せめてもの抵抗で宙を掻いた足先は、抵抗というには弱過ぎてどうにもならなかった。
二度目の絶頂が迫ってくる。
それを見計らっていた彰史は、指の腹で美紅の弱点を押しては引っかき、極めつけにパンパンに腫れた姫粒をちゅうっ……ときつく吸い上げた。
「ぅあっ……! ッ……ひっ、ああぁぁぁあっ――」
法悦の波に飲み込まれ、背中が大きく反る。甲高い声を上げた喉は詰まり、一瞬呼吸が止まった。
深過ぎない絶頂なのに、身体はじんじんと痺れて脳がわずかに白んでいる。
額に彼のキスを受け入れながら、瞼を閉じて呼吸を整えた。
「美紅、もう眠い? 今夜はやめておこうか?」
「ん……大丈夫だよ」
再び目を開けて微笑むと、真っ直ぐな視線が注がれていた。
中途半端な熱が余計に身体を疼かせるのは、彰史もわかっているはず。彼はそれを証明するように目を眇め、美紅の唇を優しく塞いだ。
食むようなくちづけを繰り返す間に、彰史もパジャマを脱いでいく。自ら舌を求めて搦めれば、逆に舌を捕らえ直されて吸い上げられた。
くぐもった声が漏れた直後に身体を起こされ、下着まで脱ぎ捨てた彼の膝の上に乗せられる。腰に手を回されると、期待で胸がいっぱいになった。
いつの間に準備していたのか、彰史はコンドームのパッケージを破り、ふたりの肢体の間でそそり勃つ雄芯に薄膜を纏わせた。
思わずその様子を見ていると、彼がクスッと笑いを零した。
「そんなに期待した目で見られるとそそられるよ」
「ぁっ……だって……」
「別に咎めたわけじゃない。美紅が俺を求めてくれているのが嬉しいんだ」
喜びを隠さない笑顔に、胸の奥が高鳴る。甘やかな音を立てる鼓動が速まり、まるで心臓をギュッと掴まれた気がした。
この気持ちを伝えたくて彰史の首に両手を回して唇にキスをすると、お返しとばかりに触れるだけのくちづけが与えられた。
「挿れるよ」
「うん」
軽く腰を浮かせれば、彼が瞳を緩める。
淫裂に屹立が触れた瞬間、吐息が漏れた。
秘所を数回往復した熱芯を蜜口にあてがわれ、細い腰を掴む骨ばった手に力が込められる。美紅も腰を押しつけるようにすると、硬く逞しい肉塊が体内に押し入ってきた。
圧迫感に息を詰め、反射的に彰史にしがみつく。
身体をこじ開けられるような感覚は苦しくもあるのに、少しずつ侵入してくる雄刀に蜜壁をこすられると快楽が芽生える。
隘路は愛する夫の欲望を歓待し、きゅうきゅうと轟いていた。
「……ハッ」
「はっ、ん……ぁっ」
喜悦をこらえる息遣いが胸元に触れ、美紅の興奮を煽ってくる。
早くすべてを埋め尽くしてほしくなって、彰史が腰を突き上げるタイミングで自らもお尻をグッと下げた。
「あぁっ……」
深く突き刺さった楔が、蜜壺をあますことなく侵す。悦び震える内壁は剛直にしがみつくがごとく、ぎゅうぅっ……と締めつけた。
「ッ……動くよ?」
美紅は眉を寄せながら首を縦に振り、彼が軽く腰を引くのに合わせて自身もお尻を浮かせ、腰を落とした。
相手に甘美な毒を与えるために、下肢をぶつけ合う。動くたびに上半身が隆起した胸板でこすれ、双丘の先端も刺激された。
普段ほどの激しさはないが、それでも全身が総毛立つような感覚に息を詰める。
向かい合って快感を貪り合う光景は、筆舌に尽くしがたいほどいやらしい。
身体は勝手にさらなる喜悦を求め、腰を上下させていた。
「んぁっ、ぁ……やんっ……あぁっ、アッ……」
「美紅……可愛いっ……」
夢中になる美紅に、彰史が満悦の笑みを浮かべた。
最初の頃は羞恥ばかりが勝り、本音もなかなか言えなかったのが嘘のように、今では美紅自身も積極的に動いているのだ。彼にとっては、嬉しくてたまらないのだろう。
美紅も、彰史の表情にますます欲情し、腰を回すようにしてグイグイとお尻を押しつけてみせる。すると、雄の欲望を纏った刀身がさらに膨張した。
「ほら、っ……もっと突いてあげる……ハッ……」
荒々しく息を吐き出した彰史の額や身体には雫が滲み、美紅の肌もしっとりと汗ばんでいる。全身の体液を混ぜ合うかのような行為が、さらに互いの愛欲を煽った。
「やあぁっ……」
「ここと、奥……美紅はどっちも好きだよね?」
ズンッと突き上げられ、美紅の喉が仰け反る。思わず跳ねた肢体が逃げそうになると、細い腰をグッと引き寄せられた。
「ひぁっ……! だめっ……! まって……」
刹那、最奥に突き刺さった熱杭が、まるで脆弱な部分をこじ開けるようにグリグリとこすり上げ、容赦なく嬲った。
「やっ……そこ、ッ……やぁんっ……」
「くっ……ッ」
グチュッ、ぐちゃっ……とあられもない音と嬌声が、リビングに響き渡る。
淫蕩な空気がいっそう濃くなり、蜜欲を煮詰めたような甘さと濃密さに包まれていった。
呼吸もままならないほどなのに快楽に囚われて、四肢の痺れが強くなっていく。脳芯までじんじんと震え、限界がすぐそこまで来ていることを悟った。
甘切ない愉悦は苦悶にも似ている。けれど、下から突き上げられるたびに、苦しさの中にある法悦に夢中になった。
最果てまであと一歩。
それに気づいた時には、美紅の身体は押し寄せてくる濁流に飲み込まれる寸前だった。
「……ぅあぁっ……ひっ……ああぁぁぁぁッ――」
思考が追いつかないまま昇り詰めた身体が、一気に叩き落されるような感覚。数秒で天地を味わわされ、美紅は蜜路ごと全身を大きく震わせた。
「……っ、ハッ、ぁ……っ!」
ほぼ同時に、腰をぶるっ……と戦慄かせた彰史が、荒々しい息遣いとともに爆ぜ、薄膜越しに精を放った。
綺麗に割れた腹筋がピクピクと引き攣り、呻くように歯噛みしながら美紅をギュッと抱きしめる。
汗で濡れた素肌のまま抱き合ったふたりは、程なくして視線がぶつかると笑みを零し、どちらからともなく唇を重ねた。