キツネ様に嫁入り命令されまして ~神の使いと淫らな契りを交わしました~

書籍情報


【創刊第一弾!】そなたを気持ち良くさせよう。愛しているから

キツネ様に嫁入り命令されまして ~神の使いと淫らな契りを交わしました~

著者:桔梗楓
イラスト:夜咲こん
発売日:2020年1月24日
定価:580円+税

五年ぶりに地元の田舎に帰ってきた春日あやめは、上京する前に足繁く通っていた神社に足を運ぶ。
そこで、神社の氏神様に仕えていたという仙狐・氷雨と不思議な出会いを果たすのだった。
あやめをずっと待っていたという氷雨は「もう待たない」と、あやめを妻にするための夫婦の儀を迫る!?
「ずっと待ち続けた我の気持ちを、思い知るがいい」
彼の愛に絆されて、あれよあれよという間に幕を開けた夫婦生活は、順風満帆!?
家事や炊事は氷雨が担当してくれて、おまけに仕事では小さなラッキーが続く。
だけど、その幸運な出来事には実は裏があって……?

【人物紹介】

氷雨(ひさめ)
小さな稲荷神社の神使。
あやめが上京してしまったことを寂しく思い、彼女にずっと会いたいと思っている。

春日あやめ
地方から東京に就職して、五年目のキャリアウーマン。
地元にいた頃よくお参りしていた古い神社に行ったことがきっかけで氷雨と出会う。

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【試し読み】

 ――『五年間、ずっと待ち続けた我の気持ちを、思い知るがいい』――

 そう口にした氷雨の言葉だけでわかってしまった。
 人から忘れられたみたいに、ひっそりと佇んでいた古い神社。
 たまたま私が見つけなければ、おそらくずっと、誰もこなかった。氷雨にとって私は、どんな存在だったのだろう。
 そして……上京する私を、どんな気持ちで見送ったのだろう。
 その全ての答えが、彼の切ない表情にある気がした。
 今までの人生で、そんな顔をしてまで私を待っていてくれた人なんて、いなかった。
 私自身、特に執着の強い性格ではなかったから、かつての恋人も、仲のよかった同級生も、人生という名の川に流れて過ぎ去るのを見届けるばかりだった。
 それでも、私はきっと、誰かの『特別』になりたかったのだろう。
 氷雨に対する気持ちが少しずつ変わっていく。
 同情から、憎めない存在になって、そして私は、彼に何かしてあげたくなった。
 寂しい心を癒やしたい。さみしがり屋の氷雨を幸せにしてあげたい、と。
 くにゅり。
 私の思考を邪魔するように、乳首が摘ままれる。

「はっ、や、ぁあんっ」

 くにくにと、親指で円を描くように転がされて、その甘い快感に身をよじる。
 氷雨は熱い息を吐きながら背骨を辿るように舐めて、私の太ももの間に後ろから膝をねじ込んだ。

「んっ、ひさ、め……っ、あ……っむ」

 お腹に回っていた腕がするすると動いて、私の口に親指を入れる。

「ふ、ぁあっ」

 口腔に入った親指が私の舌をえぐり取り、ぐちゅぐちゅとかき混ぜた。
 きゅっ、ぎゅっ。
 彼の、乳首を摘まむ指に力がこもる。思うように声が出ないというのは存外に快感が体に溜まってしまうもので。
 私はビクビクと体を震わせ、乳首をいじる氷雨の手を掴んだ。
 ふふ、と。小さな笑い声が耳元で聞こえる。

「可愛い、な」

 愛おしい宝物に触れるように、優しく、優しく、私をいじめる。

「やっ、う……!」

 口に入れていた手がゆるゆると降りていって、私の下肢に伸びていく。
 彼が脚を挟んでいるせいで、開かれてしまった私の脚の間。デニムパンツのボタンを外してずらし、ショーツの中へ。完全に無防備ともいえるその場所に、彼の繊細で細い指が差し込まれた。

「は……ひさ……めっ」

 茂みを分け、くちりと開かれる秘所。
 シャワーもしてないとか。夏の季節だから蒸れてないかなとか、様々なことを一気に考えてしまって、顔が熱くなる。

「何も、考えるな」

 吐息のような囁き。
 恥ずかしい。でも、ドキドキする。
 初めてというわけではないのに、心臓が飛び跳ねてしまいそうなほど、緊張している。

「そなたの過去など、全て我が払拭してやる」

 ちゅ、とこめかみにキスをされて、私は振り向く。
 氷雨は切ない瞳で私を見ていた。人間離れした、琥珀色の瞳。吸い込まれてしまいそうなほど綺麗で、思わず見入ってしまう。
 優しく触れるだけの口づけは、やがて深くなって、水気を帯びた音が部屋に響く。
 遠く、異国の波の音。
 現実離れした世界で、その水音だけがやけにリアルだった。
 舌を舐め合うようなキスを重ねたあと、私はジッと氷雨を見つめる。

「ここまで驚きの連続だと、過去の思い出なんて、すっかり覆されちゃうよ」
「そうか」

 くす、と心なしか嬉しそうに氷雨が笑うので、私も釣られたように笑った。

「ね」

 再び声をかけると、氷雨が首を傾げる。

「耳、触りたい」
「だめだ」
「ええ~?」

 ふかふかして気持ちいいのに……。私が不満げな表情をしたからだろうか、氷雨は困ったように形のよい眉を下げた。ついでに耳もへにゃりと垂れる。

「今だけは遠慮してくれ。我も今は余裕がないのだ」
「あとで触らせてくれるの?」

 私が尋ねると、彼はしょうがないなと言いたそうな顔で微笑んだ。

「構わぬ」

 その言葉を聞いて、私はどれほど嬉しそうな顔をしたのだろう。氷雨がクスクスと笑って、私の耳に舌を這わせる。

「仕方のない娘だ。しかし、今は我が先だぞ」
「あっ……」
「まだまだ、教え足りていないのだからな。我の気持ちを、もっと理解するがいい」

 するり、とデニムパンツとショーツを脱がされる。
 私だけ裸にされて、氷雨は着物を着たままだ。少し、不公平に感じる。
 ひやりとした絹のシーツの滑らかな感触に、私の体はびくっと震えた。
 氷雨は私の首筋にキスを落として、チロチロと舌先で舐める。

「あっ、やぁ、ン、また、首……っ」
「許せ。ここが悦いのだとわかると、つい、な」

 氷雨はまるでケモノみたいに、私のあちこちを舐めてばかりだ。もしかしたら、セックスの知識はそれくらいしかないのかもしれない。
 舐めて、触れて、愛撫する。
 それはとても原始的で、本能的だった。
 するりとお尻を撫でられ、その手は後ろから秘所に挿し込まれる。
 今までの愛撫により、そこはすっかり蜜液に濡れている。氷雨が指を遊ばせる度、クチュクチュと音が鳴って、恥ずかしい。
 くちりと秘裂が開かれ、内襞を人差し指でなぞる。

「はっ、ぁ……っ」

 びりびりと痺れるような快感が走り、脚を閉じたくなった。
 でも、彼の脚がしっかり挟まれていて、私の敏感なそこは隠すこともできない。

「やっ、ぁああっ」

 指でくにくにと秘芽を転がされ、私は想わず喘いでしまう。
 何かにすがりたくなって、ぎゅっとシーツを掴んだ。
 蜜液で濡れた秘芽を指で擦られてると、たまらなく気持ちがいい。でも、おかしくなりそうで怖くなる。
 ああ――そういえば、こんな風に触れられるのは、初めて――だ。

「ひっ、あ、ぁあっ、ン……っ」

 私の体すべてを愛するような執拗な愛撫は、いままでにないもので。
 ――私、今までにないほど、濡れてる。自分でもわかるくらい濡れてるなんて……。

「どうした、顔を隠して」

 思わず枕に顔を埋めてしまった私に、氷雨が尋ねる。

「ヤ……ッ、すごく気持ちよくて、恥ずかしいの」

 経験済みだというのに、まるで今が初めてみたいに、体が蕩かされそう。
 氷雨がふっと笑って、私の耳にかぶりつく。

「ヒャ、ぁああっ!」
「それは嬉しいことを言う。可愛い娘だ」
「む、娘って歳じゃ、ない、から……っ」
「我からしてみれば、あやめは充分、可愛いおなごだが?」

 氷雨が二千年くらい生きているなら、その物言いも理解はできるけど、二十五歳である私には納得できかねないところがある。

「ああ、こんなにも濡らして。掬い取ってもきりがないな」

 笑みを浮かべて、蜜口からとろとろと零れる液を指で拭っては柔らかく襞に塗りつける。

「あっ、あん、もう……っ」

 そんな風に優しく弄られたら、簡単に高みに達してしまう。
 恥ずかしながら……ご無沙汰なのだ。
 時々自慰で発散はしているけれど、人に愛撫される快感とは格段に違う。
 はっ、は。
 マラソンを全速力で走ったみたいな息切れを起こしながら、私は後ろを向いた。
 何かしてほしいとか、そういうことを思ったわけではない。
 ただ、私を弄る氷雨を見たかったのだ。
 彼は私に目を向けると、少し驚いたような顔をした。そしてにんまりと悪人みたいな笑みを浮かべる。

「そう物欲しそうな目で見つめられると、我の箍が外れそうになるな」
「わ、私、そういうつもりじゃ……」

 慌てて首を横に振るも、私の本心はそうだったのかもしれない。
 秘所をいじられるのがあまりに気持ちよくて、でも物足りなくて……欲しくなって。
 けれども、それを認めるのは恥ずかしかったから、察してほしくて氷雨を見たんだ。
 ……そう考えると、私って、かなり浅ましい……。

「うう」

 ばふっと枕に突っ伏して、擦りつける。
 五年間、男日照りだったからって、これはない。相手は今日初めて会った人……化け狐なのに。

「どうした、あやめ」
「ごめんなさい。わ、私。やっぱりこんなこと、止めた、ほうが」

 急激に冷静さを取り戻す私に、氷雨は薄く目を細めた。

「そう言われて、今更止めるわけにはいかぬ」

 ぐいっと腰を持ち上げられた。私は彼のされるがまま、下半身を突き出すような体勢にさせられてしまう。

「言ったであろう。これは――契り、なのだと」

 私の背中に、氷雨がのしかかる。ずしっとした重みに潰されそうになりながら、肘を張って耐えた。

「夫婦の契約。肉体を結ぶ儀。我はそなたを娶ると決めた。……決めたのだ。ゆえにもう、手放すつもりはない」
 蜜口に熱い楔があてがわれた。

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