敏腕社長は淫らな執着愛を没落令嬢に捧げる ~復讐の政略結婚は溺愛のはじまり~
著者:沙布らぶ
イラスト:イチノセシヲ
発売日:2021年 10月29日
定価:630円+税
父の事業の失敗で抱えた借金返済のため、休みなく働く椿の元にお見合いの話が舞い降りた。
高圧的な両親のせいで逃げ出すこともできず、しぶしぶお見合いを受けた椿だが、相手の高階は前に椿を見かけ、彼女に一目惚れしたという。
両親からの言いつけもあり断る事ができない椿は、あれよあれよと高階と同棲することが決まって!?
不本意にスタートした高階との生活だったが、彼との生活は温かく萎縮していた椿の自尊心を取り戻してくれた。
徐々に高階へ心惹かれていく椿。でも彼にはある秘密があって――!?
【人物紹介】
西荻椿(にしおぎ つばき)
元々は資産家だった実家が借金を抱えてしまったため、昼は貿易会社・夜は居酒屋で働いている。
高階との結婚に乗り気ではなかったが、一緒に生活していく内に徐々に彼に惹かれていく。
高階礼司(たかしな れいじ)
不動産を経営している若手のやり手社長。
萎縮しがちな椿を優しく支える。
居酒屋働く椿を見かけたことがあり、一目惚れしてお見合いを申し込んだらしいが……。
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【試し読み】
それから数日の間、二人はごく穏やかで落ち着いた同棲生活を過ごした。
礼司は私生活においても几帳面かつ紳士的で、二人のベッドルームは一緒だったが彼から手を出されたことは一度もない。色々と考えてはいたため、そこは正直に言って拍子抜けだった。
一方で椿は、母から言われた言葉を忘れようとするかのように、日々昼の仕事と夜のアルバイトに打ち込んでいた。
仕事以外の生活は至極穏やかなものだったが、仕事が忙しい礼司とはあまり長く話すこともできなかった。椿も仕事があるので、どうしても食事時などにその日あったことを軽く話す程度になってしまう。
だが、たったそれだけの触れ合いでも、礼司は優しく椿のことを気遣ってくれた。
新生活に慣れようとする椿をことあるごとに気にかけてくれ、必要なものがないか、無理はしなくてもいいと優しく声をかけてくれたのだ。今まで、実家ではそんなことを言われたことはほとんどなかった。
そんな彼の優しさに、椿も心が解きほぐされていくような気持ちを覚えていた。
「椿さん、俺に隠していることはありませんか」
ある日、バイトを終えて家に帰ってきた椿に夜食を用意しながら、礼司はそんなことを尋ねてきた。
先にシャワーを浴びてきた椿は、その言葉にぐっと言葉を詰まらせる。考えないようにはしていたものの、どうしても母の言葉を思い出してしまう時があった。
「この数日あなたと暮らしてみて、少しぼんやりしていることが多いように思いました。もし俺に対して不満な点や改善すべき点があれば詳細に教えてください。すぐにとはいかないかもしれませんが、できるだけ改善していきたいです」
「いえ、礼司さんに不満があるわけじゃ……」
「でしたら、一体なにがあなたを困らせているんですか?」
礼司の口調は決して厳しいものではなかったが、どこか有無を言わせない響きがあった。
心配そうに見つめてくる視線に、そうではないとわかっているのに咎められているような気分になってくる。
「俺には、言えないようなことですか?」
低い声が、優しく鼓膜をくすぐっていく。
眼鏡越しの目が少し悲しげに伏せられているのを見て、椿はきゅっと唇を噛んだ。どうあっても、彼に根負けしてしまう。
「……引っ越した日に、母から連絡があったんです」
「椿さんのお母様から? どんな用件だったんです?」
礼司はそっと椿の背に手を置いて、優しく背中を擦ってくれた。
ゆっくりと促されるままに、椿は母からの電話――父が会社を設立するということと、それに対して両親が更なる金銭援助を礼司に求めていることを伝える。
「ごめんなさい……こんなこと、これ以上お願いできる立場じゃないのに。どうしても、母に言われてしまうと……」
優しい彼に、これ以上の負担を強いてしまうのはあまりに心苦しい。
母に言われたことに反発できない自分が情けなくて、椿はきつく唇を噛みしめた。
「……なるほど、設備投資ですか。確かに新しく会社を立ち上げるとなると、初期投資は必要になりますね」
「え?」
「これから少し仕事が忙しくなるので、後日秘書に向かわせると伝えてもらえますか。額面は必要な金額を言っていただいて結構ですので」
きっと礼司に軽蔑される――そう思っていた椿は、彼のあまりにあっさりとした言葉に目を大きく見開いた。
「ま、待ってください。そんな簡単に……」
「必要なものでしたら、できる限りの支援はさせていただきます。だから、椿さんがそんなに苦しむ必要はないんです」
そう言って、彼は柔らかく椿の頭を撫でてくれた。
大きな手のひらで宥めるように撫でられると、恥ずかしさと一緒に不安と安堵が一挙に押し寄せてくる。
「れ、礼司さん……」
「大丈夫ですよ。だから、そんなに泣きそうな顔をしないで」
絹糸を染めたような黒髪を、彼の長い指がするりと梳いていく――たったそれだけの動作で、心臓がうるさいほどに高鳴ってしまう。
(わ、ど、どうしてこんな風に……すごく、ドキドキする……)
ただお金を支援されるだけだったら、こんな風に胸が高鳴ったりはしないだろう。
不安を感じさせまいとする穏やかな口調と、優しく椿のことを見つめてくる視線に、心が大きく揺さぶられる。
すると、椿の頭を撫でていた手がすっと肩に回された。
ごく自然に肩を引かれ、彼の胸に体を預けるような形になった椿は微かに震える息を吐きだしながらそっと礼司の顔を見上げる。
「あなたが俺の側にいてくれるなら、どんなことでもできます」
「そんな――ッ、んっ……」
そんなこと、冗談でも言ってはいけない。
そう言おうとした椿の唇は、いつの間にか礼司のそれで塞がれていた。前歯で軽く下唇を食まれ、その拍子に開いた唇から舌先が潜り込んでくる。
「んんぅ、うっ……ン、っ」
「すいません――あなたから許しを得るまで、我慢しようと思っていたんですが」
そっと唇が離れると、申し訳なさそうな表情を浮かべた礼司が椿の頬に触れた。
いつも掛けている眼鏡を外した彼は、どことなく鋭い印象を与える瞳に情欲の色を湛えている。
「そんな悲しそうな顔をされると、止まらなくなってしまいます」
彼が薄く口を開くと、二度目のキスはすぐに訪れた。
それまで浅い位置で歯列をなぞっていた舌先が、そろりと口蓋を舐ってくる。柔らかい他人の舌に咥内をまさぐられる感覚は椿にとっても未知のもので、反射的に舌を押し戻そうとすると逆に絡めとられてしまった。
「ッぁ、ふっ……んくぅっ」
ちゅ、ちゅ、と角度と深さを変えたくちづけを繰り返されて、椿の体からは次第に力が抜けていった。許されたわずかな合間に大きく息を吸おうとすると、礼司は強くその肩を抱き寄せた。
「ここで続きをしますか? それとも、ベッドルームで?」
興奮交じりの声が、確かな熱を帯びて鼓膜を揺らす。
それを聞いてくるのはずるい――一瞬そんな言葉が頭をよぎったが、椿も自分の体が徐々に熱を宿していくのを感じていた。
彼を拒絶するなら、きっとこれが最後のチャンスだ。けれど、椿は敢えてその選択肢を頭から外した。
「……ベッドルームが、いいです」
何度か荒い息を吐きだして、ようやくそう答える。
すると、礼司が心得たとでも言うように彼女の体を抱え上げ、そのままリビングを出て行ってしまった。
「あ、あのっ! 重たいですから……」
「重たいわけがないでしょう――むしろ軽すぎるくらいです」
リビングからベッドルームまで、そう距離があるわけでもない。自分で歩くと伝えたかったが、それは礼司によって却下されてしまった。
「……逃げないで、くださいね。ずっと我慢していたので、今ダメだと言われると本当に辛いです」
普段二人で眠っているベッドに椿のことを座らせると、礼司がそう確かめてくる。
椿はゆっくりと首を振ると、彼が着ているシャツの裾をきゅっと掴んだ。
「逃げません。……大丈夫です」
結婚を前提として彼と同棲しているのだから、いつかこんな日が来ると思っていた。
むしろ、数日ベッドをともにしていてなにもなかったことの方が不思議なのだ。
(礼司さんは、そういうことにあんまり興味がないんだと思ってたけど……)
色白な礼司が、かすかに目元を染めて椿を見下ろしている。割と淡泊な性格していると思っていたが、表情は言葉よりも饒舌だった。
長い指先がパジャマのボタンをゆっくりと外し、その下にある肌着をたくし上げる。
「そう言っていただけて、安心しました」
こんな時でも堅苦しい敬語を崩さない礼司は、ホッとしたように笑って椿のこめかみに唇を押し付けてきた。
戯れるように頬や首筋にキスを落としながら、彼は手際よく椿の体をなぞり、肌をあらわにしていく。
「ひゃ、ぅ……あの、で、電気を……消してもらうことって、できませんか?」
「暗い部屋だと、あなたの可愛らしい姿を見ることができなくなってしまう。申し訳ありませんが、それは却下で」
やや性急な口ぶりでそう告げた礼司は、一度椿の背後に回って後ろから彼女のことを抱きしめてきた。
骨ばった左手がやんわりと乳房に触れると、手のひらの冷たさに体がびくんっと跳ねる。
「ひぁっ……!」
「あぁ、すいません――椿さんは体温が高いんですね。触れていると温かくて……とっても心地いい」
ちょうど礼司の手のひらに収まるほどの大きさをした乳房を下から持ち上げて、彼はそっと指先に力を込めた。
柔らかくもしっかりと張りつめた乳肉が、指先の動きでむにむにと形を変える。
「ふ、ぁ……ぁ、んっ、ん……」
右胸を軽く揉みしだかれて、これまで感じたことのない感覚が体の奥の方から湧き上がってきた。未知の感覚に身を震わせる椿の耳元で、礼司が低い声を吹き込んでくる。
「こういったことの経験はありますか?」
「ない、です……だから、その――少しだけ、怖くて」
優しく触れてくる礼司のことを怖いとは思わないが、心地よさの先になにがあるのかがわからない。
素直にそう伝えると、彼はわずかに表情をやわらげた。
「それなら、あなたはこのままで……こうして身を委ねて、俺に奪われてください」
甘い響きを含んだ声に、椿の体がぶるっと震える。
「……は、い。全部……礼司さんの、言う通りにします」
甘い囁きを拒絶することはできない。背中を彼の体にもたれさせたまま、椿はふっと体から力を抜いた。
「ん、ぁっ……」
すると、背後から腕を回してきた礼司が、空いていた左胸にも指を伸ばしてきた。慎ましい先端の蕾を人差し指の爪で軽くひっかきながら、じわじわと刺激を与えられる。
時折指の腹でくにくにと乳蕾を押しつぶされると、ひときわ強い快楽が生まれて自ずと腰が揺れてしまった。
「ぁあっ――ッん、ふっ……」
「力を抜いて。声も我慢しなくていいですよ。気持ちいいところは沢山教えてください……そうしたら、もっと悦くしてあげられますから」
カリカリと爪で敏感になってきた乳首を擦られ、椿の唇からこぼれてくる声は徐々に艶を増していく。椿自身も、与えられる快楽が強くなるごとに頭の中にもやがかかっていくような心地になっていた。
「んあっ……でも、わからなくてっ……ッは、ぁうっ」
「わからない? じゃあ、こうして摘ままれるのはどうです?」
凝ってきた乳首を親指と人差し指で摘まれると、なぜか下腹部がきゅんっと疼いた。それまでの徐々に高まっていくような快感とは違い、まるで電流が流れたような強烈な愉悦に体が跳ね上がってしまう。
「ッあぁっ……!」
こり、と軽く先端を刺激されただけで、甘い声が唇からこぼれ落ちる。
指の腹で円を描くようにそこを捏ねられ、もどかしい快感を覚えたころにきゅっとつまみ上げられる――緩急をつけた愛撫に、いつの間にか椿は小さく腰を揺らしてしまっていた。
「は、ひっ……なんか、か、体が、熱いです……ゾクゾクッてするのに、お腹のところがどんどん熱くなって……」
「よかった、ちゃんと感じてくれているんですね――じゃあ、次はその快感をもっと体に覚えさせていきましょう。下着もすべて脱いでしまいましょうね」
もう、礼司の言葉に反応するだけの気力は残ってはいなかった。
次々と押し寄せる未知の快楽に、椿のキャパシティはいっぱいになっている。
力が入らないその体からすっかり着衣を取り除いた礼司は、柔らかい腹に手を這わせて、肌の感触を楽しむようにしながら指先をゆっくりと下ろしていく。
「ん、はぁッ……ぁ、くっ」
異性に裸を見られる羞恥を感じるよりも早く、礼司が快楽で感覚を塗りつぶしていく。うなじを甘噛みされてあえかな声を上げた椿の蜜壺に、つ、と彼の指先が押し当てられた。
「ひぁっ……あの、礼司さん……」
「力を抜いてくださいね。できるだけ優しくしますから……拒まず、あなたの中に俺を受け入れてください」
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなのに、礼司にそう言われてしまうとどうしてだか従いたくなってしまう。
素直に頷いて礼司の腕に縋りつくと、彼は頭上で小さく笑みをこぼした。
「ほら、ナカがとろとろになっています。いっぱい感じてくれたんですね、椿さん」
「そんな、く、口に出さないでください……恥ずかしい、です」
くぷぅ……と音を立てて飲み込まれていった指先が、蜜壺のごく浅い位置をくちくちと刺激してくる。
自分の足の間に指を突っ込まれ、丁寧に愛撫されているところを見ていられなくて、思わず椿は目を逸らした。すると、礼司がそれを咎めるように名前を呼んでくる。
「椿さん。ちゃんと見てください――あなたが今、どんな男に抱かれているのかをしっかり見て。俺があなたを悦くしているのだと、ちゃんと理解できるまで」
「理解は、してますっ……」
熱っぽい吐息を耳元に吹きかけられて、低い声を囁かれると腰が砕けそうになってしまう。声から逃げるように前かがみになろうとすると、くちくちと入口から念入りに隘路を広げていく指先の質感をこれでもかと感じてしまった。
「あぁっ……や、ぁんッ」
「わかりますか? 俺の指が、あなたのナカをたっぷり愛しているところ――気持ちよかったら、そうだと教えてくださいね。痛みがあったらいけませんから」
口調は優しいのに、その言葉は椿の心を甘く縛りつけてくる。
けれど、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。思わず口を引き結んだ椿に、礼司はぐっと腕を伸ばしてくる。
「ひゃ、ぁうっ……! あ、やぁっ!」
逃げようと前のめりになった体を連れ戻そうとして、礼司がむにゅりと椿の胸を鷲掴みにした。前触れなく訪れた甘い刺激に声を上げると、隘路を広げていた指先が一気に奥まで突き立てられる。
「んぁ、や……く、ぅうっ、ンっ」
潤んだ媚肉と柔らかな乳房、その両方に痺れるほどの喜悦を感じて、椿の体はがくっと崩れ落ちた。ベッドの上にうつぶせになり、礼司に尻を突き出すような形になってしまう。
「あぁ――いいですね。こういうのも趣深い……蜜もこんなに溢れて……」
もったいない、と聞こえたのは、気のせいだっただろうか。
嫌な予感に顔を上げた椿だったが、ぢゅるりとなにかを啜る音が聞こえてきたと同時に再びシーツに顔を押し付ける羽目になった。
「や……だ、だめっ……」
彼の長い指先が花弁を押し広げたかと思うと、肉厚な舌がゆっくりと処女肉の入り口をなぞり上げる。
「ァ、ひっ……やだ、それっ……れいじ、さぁっ……」
力の入らない足を広げられ、腰を突き出した体勢のままで恥ずかしい場所を舐められる――恥ずかしさと一緒に途方もない快楽がこみあげてきて、椿は悲鳴に近い声を上げた。
「あ、ぁあっん……ひ、ぃっ――だめ、それは、ぁ」
ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てながら、礼司は蜜の溢れる花弁を舐っていく。
泣きそうなほど恥ずかしいのと、どうにかなってしまいそうなくらい気持ちいいのとで、椿はすっかりパニックに陥っていた。
「っひ、ぐっ……ンぁ、あっ」
「……こちらも随分熟れてきたようだ」
濡れた息を吐かれて、思わず腰がガクガクと震える。
そんなところで喋らないでほしい――その願いは虚しく、礼司は指で花弁を広げると、その中心に向かってふっと息を吹きかけた。
「ひゃぅうっ……!」
ざらりとした舌が、ぽっちりと勃ち上がってきた蕾をとらえる。
繰り返された愛撫で敏感になった淫芽をちろちろと刺激されると、おかしくなってしまうのでないかと思えるほどの愉悦が体を駆け巡っていった。
「ッああっ! あ、だめっ……それ、やっ――」
「いや、ではなく……気持ちいい時はそうと教えてください。ね、椿さん」
教師が子どもを諭すように、礼司は椿に優しくそう命じてくる。
シーツを掴み、されるがままに蕩かされるしかなくなった椿は、まともな思考もままならずにこくこくと頷いた。
「ここを舐められるのはどうです?」
「……き、きもちいい、です……ッんぁ、でも、恥ずかしいので……」
「恥ずかしがる必要はありませんよ。快楽に浮かされているあなたはとても美しい――それに、俺以外の人間が見ているわけでもないのだから」
そう言うと礼司は舌での愛撫を再開しはじめた。
尖らせた舌先で蕾を舐め転がし、淫裂からこぼれ落ちてくる蜜を押し戻すように指を突き立てる。快楽から少しでも逃れようと体を揺らすと、先ほど愛撫された乳首がシーツに擦れてまた別の快感を生み出した。
「ッあ、あっ……ひ、ぃっ」
もっと――もっと、気持ちよくなりたい。
今まで誰も触れたことのなかった体を暴かれ、恥ずかしい格好で暴力的なまでの快楽を植え付けられている椿の脳裏に、そんな考えがよぎった。
下腹部で渦を巻くようにわだかまった熱は、きっとこの先に爆ぜてしまうのだろう。本能的にその瞬間を求めながら、いつしか椿は淫靡に体をくねらせていた。
「――椿さん」
椿のそんな欲求はお見通しと言わんばかりに、礼司が低い声で名前を呼んでくる。
顔を上げた彼は、濡れそぼった蜜口を指で丁寧になぞりながら、椿のお尻に腰を押し付けてきた。
「ぁ……」
丸い臀部に押し当てられる熱がなんであるのかは、見えなくても理解できた。
それと同時に、自分の痴態で彼が興奮しているのだということを感じ取り、ほのかな満足感が頭をもたげてくる。
「あなたを奪ってしまいたい。無理をさせてしまうかもしれませんが――どうか、拒まないでください」
縋るようなその懇願を拒むことは、到底できそうもない。
口の中に溜まった唾液をごくりと嚥下して、椿は小さく頷いた。すると、彼女の耳元に唇を寄せていた礼司がぐっと息を詰める。
「……嬉しいです。ずっと焦がれていたものが、ようやく手に入る」