聖女として異世界に召喚されたら、なぜか魔王様の果てなき寵愛が待っていました!?

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聖女として異世界に召喚されたら、なぜか魔王様の果てなき寵愛が待っていました!?


著者:宮永レン
イラスト:園見亜季
発売日:2023年 11月10日
定価:630円+税

ある夜、一人の部屋で自身の恋愛の奥手さに悩む桃音。
いつかは心を通わせて一生を添い遂げられるような相手を望む彼女の足元から突然、眩しい光が放たれた。
気がつくと、彼女は教会のような空間で七人の老人に囲まれていて……!?
ゼルトザーム国の七賢人と名乗る彼らによると、どうやら桃音は魔王アデルバートを倒すために聖女として召喚されたらしい。
魔王を倒せば元の世界に戻す、という言葉を残し、七賢人は彼女をアデルバートのもとへと転送した――。
飛ばされた先はなんと寝ているアデルバートの身体の上で……!?
眠りを妨げられ、魔力回復が中断されたアデルバートは、自身の上に乗っている桃音に甘く深いキスを与えた。
「いい声で啼く。もっと聞かせろ」
そのまま激しく抱かれた桃音はアデルバートにつがいになれと言われるのだが――?
残忍で冷酷なはずのアデルバートの本心に触れていくうちに、桃音は彼のそばにいたいと思い始めてしまい――。

【人物紹介】

羽生桃音(はにゅう ももね)
ビルメンテナンス業の事務職を務める24歳。
基本は明るく前向きな性格をしているが、恋愛になると消極的で優柔不断になる。
ある日、異世界に聖女として召喚されてしまい、魔王であるアデルバートのところへ飛ばされたのだが――!?

アデルバート・ルスキニア・アエテルニタス
300歳の魔王。俺様でクールだが魔族思いで優しい一面も。
桃音のことは「モネ」と呼んでいる。
長い眠りについていたのだが、桃音に起こされて――?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 低音の艶気を含んだ声が桃音の胸に響く。青年がゆっくりと目を開けると、長い睫毛が頬に濃い影を落とした。
「あ、あの……すみません。悪気はなかったんです。お邪魔して本当に申し訳ないです。もう帰りますから、どうぞごゆっくり二度寝なさってください……」
 美しいかんばせに見惚れてしまってから、我に返った桃音は体を捻ってベッドから降りようとする。だがその腕を背後からがっちりと掴まれた。
「きゃっ」
 寿命が縮まる思いで身をすくませながら振り返れば、青年が上半身を起こして桃音の方を向いている。
「待て。その気配――聖女だな?」
 彫像のような完璧な容姿で凄まれ、魔法にかかったように体が動かなくなってしまった。
 こわくて逃げ出したいという気持ちとずっと見つめていたい気持ちがせめぎ合って、桃音は黙って俯く。が、視線の先に堂々と屹立する彼の分身がばっちりと確認できてしまって、一瞬で顔を上げた。
(さっき当たってたのって、コレだよね。こんなに大きくなるんだ、男の人って……)
 ショーツ越しに感じた熱を思い出して、桃音は頭の先から湯気が出そうになった。
「いや、聖女にはちがいないが、俺を追い詰めた女とは別人、か……」
 彼の手が緩んだので慌ててひっこめるが、ベッドから降りられてもここから無事に逃げる自信がない。青年の意識が桃音から逸れる隙を伺うしかない。
「そうです。わ、私は羽生桃音といいます。聖女とか、魔王とか言われてもピンときませんよね。こんなファンタジーな夢、起きて覚えてたら小説投稿サイトに載せちゃおうかな、なんて」
 はは、と軽く笑ってみたものの、青年の表情が変わることはなかった。
「俺の名はアデルバート・ルスキニア・アエテルニタス。この世の魔族を総べる王だ。長き眠りにより魔力を回復させてきたが、あと少しというところでお前に邪魔をされた」
「だから……その、もう一度眠ればいいじゃないですか。私、出ていきますから」
「一度目覚めてしまったらもう回復効果がない。それを見越して俺の寝込みを襲いにきたのだろう、聖女よ」
 アデルバートが顔にかかった長い前髪をかき上げるが、百点満点の札を掲げたいほど色気がだだ洩れで、息を呑んで魅入ってしまった。
「あ、そうだ。私、帰らないと。無断欠勤したら無責任なやつだって怒られちゃう」
 ハッとした桃音は白々しく目を逸らし、じりじりと体を後退させる。
(見惚れてる場合じゃなかったわ。刺激しないように、そうっと……)
 テレビで見る芸能人や海外のセレブでも、ここまで恵まれた容姿の人物がいるかどうか、少なくとも桃音の知る限りではいない。だが対処方法はまるで野生動物へのそれだ。この魔王に通用するかどうかはわからないが。
 ところがアデルバートの腕がさっと伸びてきて桃音の体を軽々と引き寄せたかと思うと、次の瞬間には彼に囚われてしまった。
「ひゃっ……」
「無責任、か。ではまず俺を起こした責任をとれ」
 仰向けの桃音の体の上から彼女を見下ろしているアデルバートが、初めて唇に笑みを浮かべた。完全にベッドに組み敷かれた状態では逃げ場がない。
 ――その性は残忍で冷酷、人間に対する情けなど皆無。
 老人の言葉が脳裏によみがえる。
(こんなわけのわからない所で死んじゃうなんていや……!)
 顔から血の気が引いて、指先も冷たくなっていくような気がした。
「私、何も知らないんです。たぶん人違いですよ」
 涙目でゆるゆると首を振ると、長い髪がシーツの上で微かな音を立てた。
「……百年近くが経過しても、相変わらず人間たちは自分よがりな生き物のようだな」
 そう口にしたアデルバートの表情には憐憫の色が混じっていた。その美貌がゆっくりと下りてくる。
(これってつまり、体で払え、とかいうやつ? 恋人でもない、初めて会ったばかりの人とセックスするってこと? そんなの無理! でも――)
 絶望の淵に追いやられた桃音の頭の中は、大混乱だった。
 ――これは犯罪なのでは? 警察を呼ぶべき!
 ――処女を捨てるいい機会なのかも。
 ――素性のよくわからない相手と寝るなんてどう考えてもおかしい。
 ――彼を起こした自分が悪いのだから責任をとらないと。
 さまざまな意見が脳内を飛び交うが、その思考は一瞬にして停止した。
「ん……っ」
 唇に温かく柔らかいものが触れたからだ。
 目の前には神すらひれ伏しそうな尊顔。ガーネットのような深紅の瞳と視線がかち合って、桃音は慌てて目を閉じた。
 重なった唇がちゅっと音を立てて吸い上げられ、途端に肌が粟立った。心臓が痛いほど高鳴っている。
(キス……しちゃった)
 今まで大事に取っておいたファーストキスが、会ったばかりのよく知らない青年にあっさりと奪われてしまった。ショックというより、いきなりすぎて感情がついてこない。
「そう固くなるな。悪いようにはしない」
 アデルバートの艶めいた吐息が間近で感じられ、再び唇が塞がれる。今度は先ほどよりも長く、繰り返し角度を変えて啄むように口づけられた。もっと乱暴にされるのかと思っていたので、どうしたらいいのか戸惑ってしまう。
 いざとなったら彼の体を押しのけて逃げようとしている両手が、ぎゅっとシーツを掴んだままだった。
 重なる口づけが熱を帯び、きつく吸われたかと思うと、桃音の閉じた唇のあわいを舌先でなぞられる。
「ふ、んん……っ」
 驚いて顔を逸らそうとしたが、アデルバートの手が桃音の頭の下に滑り込んできて、ぐっと引き寄せられた。
 ――逃げられない。
 慌てて両手を彼の胸に当てて押し返そうとするが、逞しい胸筋に触れるだけでびくともしなかった。
「んっ、ふぁ――」
 熱く濡れた舌が桃音の呼吸を奪い、こらえきれずに開いた口の中に、新鮮な空気と共にアデルバートの舌が滑り込んできた。
 しなやかで力強いそれは、口腔内を味わうように入念に粘膜を貪ってくる。
(初めてなのに、こんなキス……)
 どうしたらいいかわからず呼吸で精いっぱいの桃音の舌が、アデルバートの舌先に絡め取られ、何度も擦り合わされた。
「はっ――や……ぁっ」
 水音を立てて舌の根をきつく吸い上げられ、下腹部の辺りに未知の感覚が沸き起こる。ぬるりと舌が離れても桃音の体には力が入らず、頼りなく薄く開いたままの唇をこじ開けられて、再び深く口づけられた。
「ん……ふぁ……」
 腰の辺りから今まで感じたことのない痺れがぞくぞくと立ち上ってきて、押し返すはずの両手はいつのまにか彼にしがみつくような形になっていた。
 息が苦しくなって顔を背けようとしても、一瞬呼吸ができたかと思えばすぐに彼の唇が迫ってきて、奥まで隈なく責め立てられる。
 そんなに繰り返しキスをして飽きないのだろうかと最初は呆れたが、だんだんアデルバートの巧みな舌遣いに、頭の芯がじんと痺れてきて何も考えられなくなってしまい、与えられる口づけに溺れてもいいとさえ思えてきた。
「っあ……ん……」
 時間を忘れ、思考が水あめのようにとろりと溶けるまで唇を貪られていると、ふいにキスが途切れ、胸元からびりっと衣を裂く音が聞こえた。それから、はらりと肌を滑る布の感覚。
「ふぇ……?」
 夢見心地の瞼をこじ開けた桃音の視界に飛び込んできたのは、遮るものが何もなくなった自分の乳房だった。
「ま、待って……やっぱり私――」
 二十四年生きてきて、やっと初めてのキスをし、それだけでも大きな一歩だというのに、さらにその先へ進むのはまだ早い気がする。
「待たない。お前がいやがっていないことは、その体から滲み出ている魔力の気配でわかるからな」
「て、適当なこと――」
 キスでいい雰囲気になってしまったことは否定できないが、素直に認めたくもなかった。
(私、好きでもない人と寝たりなんかしないんだから!)
 心の中で宣言しても、アデルバートには伝わらなかったらしく、彼は遠慮なしに桃音の胸をむにむにと揉んだ。
「やだっ……触らないで……」
 身をよじったり、両手をばたばたさせてみたり、できる限りの抵抗を試みたが、再び口づけで動きを封じられ、くぐもった声が唇の間から漏れるだけだった。
 大きな掌で胸を捏ねられ、指先で乳嘴の根元を撫でさすられると、キスの時よりもはっきりとした痺れが全身を巡る。
「んっ……んゃ……っ」
 きゅっと先端を摘ままれ、扱くように擦られる。途端に下腹部が熱く疼いて、何かが秘所から蕩け出した。
 アデルバートは左右交互に乳嘴を摘まんだり、胸全体を転がすように撫で回したり、優しく揺らしたかと思えば乳嘴をかりかりと指先で鋭敏に刺激してくる。
「あっ……だめ……んぁ……」
 熱い舌が耳朶を食み、ぴちゃぴちゃと淫らな音を立てて隅々まで舐められ、きゅんと下腹部の奥が強くなる。
「さきほどよりも感じているな」
 耳元で薄く笑われ、その吐息にさえ下腹部の最奥がみだりがましく戦慄いた。
「嘘……」
 濡れた唇を噛んで顔を逸らすと、白い肌の上を彼の黒髪が滑って胸元をくすぐった――と思ったら、ちゅっと乳嘴に吸いつかれた。
「ひぁっ。やめ……あっ、やぁ……」
 口に含んだまま、舌で舐め転がされ、思わず腰が揺れ動く。ひくひくと秘部の間が震えて、温かいものが零れて肌を濡らした。
「お願い――私、その、こういうの初めてで……っ」
 互いのことを何も知らないまま、体の関係を持つのはよくない。だからこの辺りで許してほしい。恥ずかしさと不安で瞳が潤む。
「初めてにしてはいい反応だ」
 にっと笑ったアデルバートは悪魔のように美しく――魔王なのだから当たり前なのかもしれないが、その溢れる色気で桃音を惑わすのだから、ずるいとしか言いようがない。
「そんな――あ、ひあぁっ!」
 薔薇の蕾のようにつんと尖った乳嘴にアデルバートが甘く歯を立て、ぴりっとした痛みに眉を寄せる。しかし次にはちゅうっと吸い上げられ、唇が離れた途端にぷるんと頂が揺れた。
「やぁ……あぁ、んぁっ……はぁ……っ」
 今度は反対側の乳嘴を吸われ、濡れている反対側は指で弄られる。優しくしたりきつくしたり、異なるリズムに翻弄され、桃音の口からは甘ったるい声が零れるようになってきた。
「いい声で啼く。もっと聞かせろ」
 アデルバートの声色は機嫌がよさそうだ。濡れた唇の間から舌を覗かせ、桃音の乳嘴をちろちろと優しく舐め上げる。触れている部分はわずかなのに、下腹部の最奥は切羽詰まったかのように疼きが増してじっとしていられない。その感覚をごまかそうと足を動かし膝をもじもじと擦り合わせてみるが、ほとんど効果はなかった。
「あ……んっ、もうやめて……このままじゃ……」
 涙の膜の張った瞳で桃音は彼を見上げた。
「このままじゃ?」
 紅の瞳をついと桃音に向け、アデルバートはからかうように乳嘴を優しく擦り上げる。
「それ、は……」
 桃音は顔を背けた。このままでは歯止めが利かなくなってしまう。もっと他の場所も触れてほしいという気持ちが抑えられなくなる。
 黙っていると、アデルバートの大きな掌が胸を撫で、それからくびれた腰、薄い腹の上、そして淡い茂みをなぞってショーツの中に滑り込んできた。
「や……待って――」
 一縷の望みをかけてそう口にしてみたが、やはりアデルバートはおかまいなしにその長い指で秘所をまさぐってきた。ぬる、と指の腹が敏感な部分に触れ、桃音はびくっと腰を浮かせた。
「ひ――」
「体にまとう魔力で感じているのはわかっていたが、ここまで濡れているとはな」
 柔らかな花弁を割り開いて、指先がぬるぬると抵抗なく滑っているのが桃音にもわかる。
「かっ……感じてなんか……っ、ん、ふ……」
 頬がかあっと熱くなる。足を閉じて彼の手を押し出そうとしても、内腿に彼の手が擦れるだけでまったくきかなかった。
「では素直に気持ちいいと口にするまで、かわいがってやろうか」
 秘裂をなぞられると、ぞくぞくと甘い痺れが立ち上がってきて、足のつま先までピンと力が入ってしまう。
「ふ……っ、ぁんん……っ」
 声が漏れないように両手で口元を覆う。胸を触られるよりも、はるかに敏感に感じる場所だ。
(恋人でもない人に、そんなところ弄られちゃうなんて……)
 逃げ出したい、やめてほしい。そう思う一方で、どうしようもなく胸を高鳴らせている自分がいることに戸惑いを隠せない。
「どんどん蜜が溢れてくる」
 潤った蜜口の周りにぬちゅぬちゅと指を滑らせていたアデルバートが、唇の片端を吊り上げて、身をかがませると桃音の乳嘴に舌を這わせた。
「ひゃぅ……っ」
 空気に触れるだけでもじんじんと痺れていた胸先には刺激が強すぎた。切ないくらい下腹部の奥が疼いて、腰が揺れるのを止められない。
「お願い、もういじわるしないでぇ……っ」
 ぽろりと目尻から涙の粒が零れ落ちた。
「そんなかわいい顔でお願いと言われたら、もっと悦くしてやるしかないだろう?」
 アデルバートの指先が秘裂の少し上の方にずれて、くりくりと撫でまわすと、桃音の鼓動が一気に跳ね上がった。
「あぁっ……そこっ……だめ……!」
「だめじゃないだろう?」
 アデルバートの言う通り、潤った泉から溢れるように蜜がとめどなくショーツも内腿も濡らしていた。その蜜を指に絡めながら、桃音の敏感な花芽を捏ね回したり、優しく摘みあげたりする。
「いやっ……だって……っ」
 懇願するように、アデルバートの汗ばんだ体を押し返そうとするがびくともしない。手を離してほしいとみだりがましく腰を振るがどうにもならず、しっかりと押さえつけられて花芽を弄られた。
「あぁぁ……っ」
 ぷっくりと膨れ上がった欲望の花芽を、蜜をまとった指でぬるぬると擦られると、粗相してしまいそうな感覚に陥って、必死に体をこわばらせて耐える。背中には汗が滲み、シーツが張り付いていた。
「はぁ……っ、あぁ、いや……もう……」
 蜜襞が収斂を繰り返し、感じ入った雫がとめどなく零れていく。
 止めることができないのは、涙も同様だった。腰が甘く蕩けそうで、頭の中もぐずぐずに溶け、与えられる愉悦に溺れ切っていた。
「我慢することはない。淫らにイく姿を見せてみろ」
 乳嘴を強く吸い上げられ、はち切れそうな欲望を含んだ花芽を一際執拗に指で捏ねられたら、桃音の理性はついに吹き飛んでしまった。
「あっ、あっ……あああぁぁ……っ」
 限界を超えた途端に、目の前が真っ白になって、きらきらと光る星々が舞ったように見えた。同時にぞくぞくと強烈な愉悦が背中を駆け上がり、頭の先まで抜けていく。一瞬体が宙に浮いたような感じがして身をこわばらせるが、次の瞬間にはぐったりとシーツの上に体を投げ出していた。
「は……はぁ……あぁ……」
 全力で走った後のように呼吸も鼓動も乱れ、頭がぼうっとして何も考えられない。ただひたすらに甘怠くて、快楽の余韻に浸るのが心地よかった。
「イったようだな。陶酔しきった魔力……淫靡で得も言われぬほど甘美だ」
 アデルバートの言葉で絶頂に達したのだと気がつくと、桃音は自分のはしたなさに恥ずかしくてたまらなくなり、一層顔を赤らめた。
「だが、まだ足りない」
 彼の瞳には深い色彩が宿っていた。瞳孔の中にはまるで深淵のように広がる濃密な紅が存在し、その周囲を包むように仄暗い縁取りが織りなす煌めきがあった。
 かすかに伏せた瞼と、長い睫毛の影が混ざり合い、謎めいた色気を漂わせている。その眼差しが桃音の上気した肌を滑るように下りていく。見られているところが熱を持ったように疼いた。
「え……?」
 アデルバートが体をずらしたかと思うと、だらしなく弛緩していた桃音の両脚をたやすく割り開き、そこへ顔を埋めてきた。
「ひぁ……ん!」
 ショーツをずらされ、ぬるりと熱いものが濡れそぼった花弁に触れた。それが彼の舌だということはすぐにわかった。達したばかりの体は官能を簡単に拾い上げ、再び桃音を快楽の渦に落とす。
「やっ……そんなとこ、汚いからぁ……っ」
「この世で一番美しい花が咲いている。お前にも見せてやりたくらいだ」
 唇についた愛蜜を舌で舐め取る仕草に、桃音の鼓動がドキドキとせわしなくときめいた。
(だめっ、だめっ。この顔にだまされちゃ――)
 もう流されまいと思うのに、この状況を打破できる名案は何も浮かばない。
 溢れる愛蜜とアデルバートの唾液でぐしょぐしょになった秘所を、わざと音を立てて吸われ、桃音は耳を塞ぎたくなった。
「どんどん湧いてくるな、お前の甘い蜜は」
 笑ったのか、彼の吐息がほころんだ秘花にかかる。見られている、その視線を感じただけで最奥がきゅうっと疼き、また愛蜜が溢れて幾筋も垂れていく。
「恥ずかしいから……もう、見ないで……」
 桃音は太腿を小さく震わせた。
「お前はおもしろいな。言葉と行動が伴わない。ここは、こんなにひくついて悦んでいるのに」
 蜜口にぐちゅっと音を立て、アデルバートの指が滑り込んできた。
「あっ……っ」
 桃音はびくんと腰を逸らした。弱々しく収斂していた蜜襞が彼を押し出さそうときゅっと窄まる。
「いや……っあぁ……っ」
 蜜襞に潜り込んだしなやかな指が、愛蜜をかき混ぜるように卑猥に抜き差しされる。浅い部分を擦られているだけなのに、背中からは汗が噴き出し、蜜壺が切なく戦慄いた。
「やめて……指、抜いて……っ」
 羞恥に耐えかねて桃音は声を上げるが、無意識に腰はくねり、蜜口から響く水音は粘性を増して大きくなるばかりだ。
「気持ちいいと言えば楽になれるぞ」
 からかうような笑みを浮かべたアデルバートは、指を動かしながら秘裂に舌を這わせ、硬くしこった花芽を器用に探り当てた。
「あっ……そこ、だめぇ……!」
 ぬるぬると舌を押しつけるように花芽を舐め上げられ、収斂を繰り返す蜜襞は指を曲げて擦られ、桃音の体は火がついたように熱くなった。
「やぁ……っ、また、イっちゃう……っ」
 びりびりと稲妻のように激しい愉悦に打たれ、桃音は再び足のつま先までぴんと力を込めると、溢れる愛蜜と共にくったりと弛緩していった。意識が朦朧としながらも蜜壺は切なく疼いて、愉悦の余韻を感じようと隘路がうねる。
「何度でもイかせてやる」
 アデルバートは、引き抜いた指に絡みついた愛蜜を舐め取った。その妖艶な笑みに、ぞくりと背筋が震える。

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