純愛シェアハウス 〜極上同居人の淫らな求婚〜
著者:水戸けい
イラスト:園見亜季
発売日:11月27日
定価:620円+税
一人暮らしのための新居を探していた詩織は、ひょんなことから不動産屋業務をしている秀に告白され、お試しという形で一年間シェアハウスで同居をすることに。
そんな共同生活の中で彼の優しさに触れ、いつしか詩織も秀に想いを寄せていたのだった。
ちょうど一年が経ち、一年前の告白を受け入れるために秀の仕事の帰りを待っていた詩織に、帰宅した彼はバラの花束を贈り、改めて告白をする。
「これが夢じゃないって実感させてほしい」
お互いの想いを伝え合ったふたりには、甘くとろけるような幸せな日々が待っていて――。
だけどそんなとき、秀が詩織の働いているカフェに女性を連れて来ているのを見てしまい……!?
【人物紹介】
吾妻詩織(あづましおり)
一人暮らしを始めるために不動産会社を訪れた女性。
シェアハウスでの生活をきっかけに、秀に好意を寄せている。
カフェのチェーン店で働いており、趣味はカフェ巡り。
後藤秀(ごとうしゅう)
背が高く、がっしりとした体つきで、いかにもスポーツマンといった容貌。
威圧感を与えそうな容姿の反面、柔和で人懐こい雰囲気をまとっている。
不動産会社のカウンターで詩織に一目惚れをし、シェアハウスでの同居を提案する。
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【試し読み】
「いっぱい、触れたい」
「うん。私も、触れたい」
愛おしさが体中を駆け巡る。クラクラするほど秀が恋しくてたまらない。もっともっと、彼と触れ合いたい。
気持ちのままに唇を重ねて、舌を伸ばす。舌先でつつきあって、唇で軽く噛んだ。彼の舌が詩織の口腔に侵入し、歯裏や上顎をくすぐられる。
「ふ……ぅ、ん」
口内を舌でかき回されて、湧いた唾液を飲もうとしたら、彼の舌を吸ってしまった。頭の中が甘い蜜で満たされる。荒い息を注がれて、淫らな熱が喉を通って胸が興奮に上ずった。
「ふは……ぁ、秀」
「ん、詩織」
うっとりとした秀の声が移動して、鎖骨に赤い花びらを散らされる。両脇から乳房を寄せ上げられて、先端を交互に舌先でチロチロとくすぐられると、足の間がムズムズした。そこが、秀を求めて淡く震える。
「っ、あ……恥ずかしい」
「なんで?」
「なんでって……それは、だって」
胸の刺激で女の園を疼かせているなんて言えるはずもない。もじもじしていると、艶やかな声でささやかれた。
「かわいい」
「あんっ」
キュッと乳頭を吸われて、甘い声がこぼれ出た。そのまま舌の上で転がされ、味わわれる。
「は、ぁ……ん」
たっぷりと濡らされて硬く凝ると、もう片方も同じように刺激をされた。唇が離れたほうは、指の腹でこねられて、ますます下肢が快感に甘くしびれた。
「んっ、ぁ……はぁ、あ、あ」
両方の乳首をもてあそばれて、詩織はもじもじと腰を揺らした。へその奥がじんわりとぬくもって、湧いた愛液が陰唇を湿らせる。
「つついたら取れそうなくらい、固くなってる」
うれしそうな秀のつぶやきに、肌が火照った。炭火で炙られているかのように、じわりじわりと体の芯から引き出される悦楽に、性感帯がすっかり目覚める。敏感になった乳房の周囲を舌でなぞられ、寄せ上げるように揉みしだかれると、さざ波のような心地よさが押し寄せた。
「んぁ、あ……っ」
乳房を味わって先端に戻った舌に、交互に胸の実を舐られてもどかしさに体が震えた。
「っ、秀……ぁ」
そこばかり執拗にされるなんて、思ってもみなかった。胸の芯に集まった刺激が体内を巡って蜜壺に到達し、甘い液を湧き上がらせる。ヒクリと肉花がうごめいて、触れてほしいとアピールしている。それを抑え込むために、詩織は太腿に力を込めた。奥から湧き出る愛液で、ショーツはすっかり濡れている。早く触れてほしい気持ちと、触れられていないのに濡れてしまった羞恥に悶える。
胸にあった秀の顔が腹に下がって、ヘソを舌先でまさぐられる。ズボンごと下着をずらされ、いよいよだと喜び勇んだ腹がブルッと波打った。期待が彼に伝わったのか、さらに下がった秀の唇は恥丘に到達した。ズボンとショーツが脚から抜かれ、太腿を大きく広げられて繁みに唇を寄せられる。
「やだ……っ、なんで、そんなところ」
恥毛を舌で探られて、詩織は困惑した。
「詩織の全部を、味わいたいんだ」
「ひぁっ」
脚の付け根を強く吸われて、ヒクリと陰唇がうごめいた。濡れた箇所に秀の息がかかって、恥ずかしくてしかたがない。
「ねぇ、恥ずかしい」
まさかそこを舐めたりはしないだろうが、間近で見られるのは落ち着かない。
「ゴメン。だけど、一年も約束を守ってガマンした俺への、ご褒美だと思ってさせてほしい」
情熱的な瞳でそんなふうにお願いされると、止めてとは言いづらい。好きな人のしたいように、求められるままに愛されたいという気持ちが羞恥を凌駕する。
「わ……わかった」
「ありがとう」
本当にうれしそうに、無邪気に言った秀の頭はさらに移動し、内腿から膝、脛、足首、はては足指にまでキスをされ、詩織は羞恥と快感に細かく震えた。
「ぁ、ああ」
足指をしゃぶられて、嗜虐に似た優越の恍惚にめまいを覚えた。猫のように目を細める秀の、喜びに満ちた様子に心がほっこりとぬくもった。
(私、こんなにも想われているんだなぁ)
幸せな心地に満たされて、詩織は文字通りに足先まで愛撫をされた。掴まれた足首が、秀の肩に乗せられる。何をされるのかと思うより早く、尻が浮くほど高く脚を持ち上げられた。
「えっ、え?」
「もっと、詩織のイイ声が聞きたい」
言い終わらぬうちに、陰唇に口づけられて腰が跳ねた。
「ひっ、ぁあ……うそっ、え……あんっ」
舌で肉花をかき分けられて、蜜をたたえた箇所を乱される。蠕動するヒダをからかうように動く舌に、詩織は翻弄された。
「は、ぁあ……そんなところっ、ぁ、ダメぇ……っ」
秀の髪に指をうずめて、顔を離そうと押してみてもびくともしない。逃げようとする腰を力強い腕で引き留められて、かき回される。
「ぁあ、あっ、秀……やだっ、あ、ねぇ、待って、ねぇ」
イヤイヤと首を振っても、下肢への深いキスは止まらない。恥ずかしくて、気持ちがよくて頭がクラクラする。
「ふぁ、あっ、あんっ……あっ、ひっ、そこぉ」
舌が移動し、秘裂の奥に隠れていた欲の核を探り当てられた。舌に絡めとられて吸われると、脳天を突き抜けるほどの快感に貫かれた。
「んぁああっ、あっ、や、そこぉ……っ、んぁ、ひぁう……っ」
むさぼるように陰核を食まれて、詩織は足を泳がせた。気持ちがよすぎて理性が乱れ、本能だけになっていく。こんな感覚は初めてで、どうしていいのかわからない。
「は、ぁあう……っ、だめぇ、あっ、変になっちゃ……ぁう」
甘くて高い悲鳴に呼応するかのように、秀の舌撫は激しさを増した。奥から蜜があふれ出て、いやらしい水音が立つ。
(味わわれてる……私の、秀に……恥ずかしいっ! けど、気持ちいい)
下唇を噛んで、強い愉悦に耐えようとするがかなわない。唇はすぐにほどけて、淫らな声を上げてしまう。
「ひぅ、あっ、秀……っ、は、ぁあんっ、あっ、ああっ」
体の奥底に激しいうねりが生まれて、どんどん大きくなっていく。未経験の感覚に、詩織は怯えた。
「やだ……変、ねぇ、秀っ! 何か……あっ、来てる……っ、来る……あっ、ダメ」
身悶える詩織は、得体の知れない何かを抑えようと体を丸めた。しかし、秀の与える甘美な刺激にあっけなく溶かされる。うねりは嵐となって渦巻いて、木の葉のように翻弄される。
「ふぁあ、あっ、あぁ、ダメ、あっ、いい……っ、いいけど、ダメェ!」
自分でも何を言っているのかわからなくなった詩織は、快楽のるつぼに呑み込まれて高い場所へと突き上げられた。
「はっ、あ、ぁぁあぁあっ!」
のけぞって声を放った詩織の奥から、大量の愛液が流れ出る。ビクンビクンと痙攣をする詩織の下肢から、秀の顔が離れた。そっと足をベッドに下ろされ、顔を覗き込まれる。
「は、ぁあ……あ、あ」
余韻に痙攣をする詩織の唇が、秀の指になぞられる。
「イッてくれたみたいで、よかった」
「イ……ク?」
余韻にあえぎながら、ぼんやりとした声で返事をした。寝起きのまどろみにいるような感覚に包まれて、シーツの池にたゆたっているような心地がする。
(これが、イクっていう感じ?)
雑誌で読んだ体験談や、漫画で見たそういうシーンが脳裏に浮かぶ。想像をしていたよりも、ずっと強烈な刺激に思考がうまく働かない。
「初めてのセックスは、うんと気持ちよくなってもらおうって思っていたんだ。俺先行にならないようにって考えて、まずは詩織にイッてもらおうって」
ニッと持ち上がった秀の唇を濡らしているのは、自分の愛液だ。認識すると、満面が茹蛸のように真っ赤になった。何かを言おうと思うのに、言葉が出て来てくれなくて口をパクパクさせていると、髪を撫でられた。
「だけど、せっかくのイク顔を見られなかったから、今度は指でさせて?」
「……えっ?」
「詩織の気持ちよくなっている顔、見たいんだ」
にこっとされて、目をパチクリと瞬かせる。悦楽の余韻が去りきっていないうちに、またあの強い法悦を与えられるのだろうか。
チュッと頬にキスをされて、下肢をまさぐられた。濡れた箇所に指が沈んで、かき乱される。
「は、ぁ……っ、秀……また、さっきの?」
「そう、さっきの」
イヤではないが、慣れないものをどう受け止めていいのかわからず、秀の首にしがみついた。まずは詩織の快感を優先すると考えてくれた秀の気持ちを受け止めようと、目を閉じて先ほどのうねりを待ち構える。
「そんなに緊張しなくても」
クスッと鼻先で笑われて、唇を尖らせる。
「だって、初めて……だったし」
「初めて?」
聞き返されて、詩織は耳まで真っ赤になった。
「あ、その……イ、イクのが」
細い声で告白すると、秀は「そっか」と頬をゆるませた。
「じゃあ、詩織のイク顔を見るのは、俺が最初なんだな」
「ばか」
つぶやいて、秀の肩で顔を隠した。よしよしと頭を撫でられて、気恥ずかしさがふくらんだ。ごまかすために、拗ねたフリで軽く彼の肩に歯を立てる。
「こらこら」
じゃれつく子猫を叱るような、愛おしさのこもった注意に胸の奥に恋しさの火が灯る。顔を上げると、優しい瞳に包み込まれた。心がふわっと吸い込まれて、唇がさみしくなる。顎を上げるとキスをされた。
「んっ、ん」
親猫が子猫の毛づくろいをするような、優しくていたわりのこもったキスに体の力が抜けていく。すっかりリラックスした頃に、秀の手が下肢に滑って足の間を撫でられた。濡れそぼった花弁を広げられ、沈んだ指に肉芽をつままれる。指の腹でつぶすようにこねられると、小さな箇所から全身へ、電流に似た淫靡な刺激が広がった。
「は、ぁ……ぁんっ、ふぁ」
「詩織、かわいい」
ギュッと陰芽をひねられて、目の奥に火花が散った。
「ひぁんっ、あっ、ああ」
そのままクリクリともてあそばれて、太腿がビクビクと痙攣する。キュウンと陰唇が収縮し、蜜壺が熱くなった。ヒダが秀の指を歓迎するみたいにうごめいて、腰が揺らめく。
「ふぁ、あっ、あん、ぁあ……秀、あっ、ああ」
「もっと、もっと甘い声を聞かせて? 詩織の気持ちいい顔、見たい」
「んぁあ、ばかぁ、あっ、は、恥ずかし……っ」
「恥ずかしがってる余裕もなくなるくらい、気持ちよくさせたいな」
「ひぁあんっ」
肉芽を指先で弾かれて他の指で隘路を刺激されると、詩織は耽美なめまいに襲われた。気持ちがよすぎて、わけがわからなくなる。
「は、ぁあ……っ、ひ、ぁう……秀っ、ぁ、ああ」
「詩織、好きだよ」
チュッ、チュッと、激しい指使いとは裏腹に、優しいキスを頬や目じりに受ける。その落差に、詩織の心は大きく揺れた。愛おしさと欲情が混ざり合い、破裂しそうだ。
「ん、ふぁあう……っ、また、あっ、くる……あっ、あ」
「イキそう?」
「んっ、ばかぁ」
恥ずかしくて、気持ちがよくて、涙目になった詩織の罵倒に秀はほほえむ。慈しみに満ちた笑顔に、胸がキュンと苦しくなった。やわらかな笑みとは裏腹に、緩急をつけて与えられる愛撫は激しい快楽を生み出していく。
「んぁあっ、あ、は……秀、あぁ……は、ぅうんっ」
「恥ずかしがらないで、素直に受け入れて身をゆだねて」
妖艶な誘惑にめまいがする。目じりに溜まった快感の涙を唇で拭われた。
「は、あぁ、秀……しゅ、ぅう」
「ん、詩織……詩織の最高に気持ちいい顔、見せて?」
グッと強く淫核をひねられた瞬間、二度目の絶頂が訪れた。
「ひぁあぁあっ!」
強烈な刺激に貫かれて、腰が跳ねた。のけぞって衝撃のままに高く艶やかな悲鳴を上げる。視界が一瞬、真っ白に塗りつぶされた。
「は、ぁ……あ、あ」
余韻に痙攣する頬を、唇で撫でられる。キスを返す余裕もなく、詩織はまぶたを閉じて衝撃が落ち着いていく過程を味わった。
「ふ、はぁ」
ふっと全身のコワバリが抜けると、ドロドロにとろけたような気だるい重さがやってくる。全力疾走をした後のように胸をあえがせていると、ふっと耳元に秀の息がかかった。
「すごく、かわいかった」
耳に注がれた声とキスに、詩織は照れくさくなった。それがなんとなく気恥ずかしくて、ごまかすために頬をふくらませる。
「あれ、不満?」
小首をかしげた秀に、ふてくされた声で言う。
「ずるい」
「え?」
「そっちばっかり、ずるい」
きょとんとする秀に、詩織はムッとしたまま告げた。
「私だって、秀に触りたくてもガマンしてたのに。秀ばっかりずるい」
「それって……」
「私にも、秀をいっぱい触らせて」
面食らう彼の鼻に軽く噛みつく。
「秀ほどじゃないかもしれないけど、私だってずっと片想いしていたんだからね」
「詩織」
うれしげに声を震わせた秀が、はにかみながら視線をさまよわせる。ニヤけた口元がかわいいなと思いつつ、詩織は法悦の余韻に浸された体を起こした。
「だから、私にも触らせて」
「わかった」
うなずいた秀が正座をしたので、詩織は吹き出した。
「やだ。なんで正座?」
「あ……なんとなく」
苦笑いをして頬を掻く秀に、愛おしさが募った。飛びつくように抱きしめて、大きくて熱い肌に顔を擦り寄せる。
「あったかい」
つぶやいた詩織の背中に、秀の手が触れた。胡坐になった彼の膝に乗せられて、安心感を覚えた詩織はそのまま眠りそうになった。
(違う! ダメダメ)
ハッと目を開けて、彼の首筋に口を当てる。軽く吸って、たくましい肩にも唇を押しつけた。自分とはまったく違う、鍛え抜かれた体に心音が高まる。初めての絶頂を与えられたときとは違う詩織の鼓動は、彼への想いにあふれていた。
唇を滑らせて、盛り上がった胸板を軽く吸った。女性のカップで言うと、Cカップくらいにはなりそうだと思いながら、両方を手のひらですくい上げる。
「ふにふに」
つぶやくと、秀がグッと力を入れた。みっちりと詰まった筋肉の硬さにクスクス笑いながら、胸筋の谷に舌を這わせた。背骨がゾクゾクして、鼻の孔が興奮にふくらむ。女の胸とは違う感触が不思議で、面白い。
胸の色づきも、女のそれとは違っていた。楕円形で、色が薄い。中央の突起も、自分のものと比べると小さかった。
(不思議……体は秀のほうが大きいのに)
ドキドキしながら、舌先でそっと乳首をつついてみる。ぴくっと秀の体が震えた。男の人もここで感じるのだろうか。
「ん……んっ」
吸い込まれるように口を寄せてチュクチュク吸うと、彼の体が細かく震えた。
「気持ちいいの?」
「いや……なんか、くすぐったい」
なぁんだと落胆して、詩織は両手でずっと触れたいと願っていた彼の体をゆっくりと、確かめるようにまさぐった。自分の腕の倍ほどもある、たくましい二の腕。胸筋のふくらみから伸びる、なだらかな腰までの曲線。波打つ腹筋の力強さを堪能し、キュッと締まった形のいい尻を掴んだ詩織の視線は、隆々とそびえている欲望をむき出しにした肉感的な男の証に釘付けになった。
ゴクリ……と、喉が鳴る。太腿とは違う色の猛々しいそれは、先端がわずかに濡れていた。これは情欲の証だ。
(触ってもいいんだよね)
心臓がこわばる。呼吸が浅くなって、体が震えた。
「詩織?」
動きを止めた詩織に、秀の怪訝な声がかかった。その声に促され、詩織は両手で欲の象徴を包んだ。
「んっ」
軽く息を呑んだ秀の反応に愛おしさが沸き上がり、胸がキュンと絞られた。気持ちよくさせたいと強く望む。
(さっき、私がうんと愛してもらったみたいに)
おそるおそる熱い塊の根元の繁みをまさぐると、秀の呼気がわずかに乱れた。力のこもった太腿がふくらんで、快感を与えられているのだとわかった。
(もっと、もっと気持ちよくさせたい)
しかし、どうすればいいのかわからない。男の人のこれは、ただ擦ればいいだけなのか。それとも、何かコツがいるのだろうか。
(とにかく、上下に擦ってみよう)
力加減がわからないので、ゆるめに握って手を動かした。
「っ、は……ぁ」
心地よさそうな秀の声に、体の内側で欲情が大きく育つ。
(私のイク顔が見たいって言った秀も、こんな気持ちだったのかな)
口元をほころばせて、詩織は手を動かした。単純な動きでも、秀の胸は荒く上下し、腹筋がピクピクと波打ち始めた。
「秀、気持ちいい?」
「ん……いいよ、気持ちいい」
劣情を含んだ吐息に詩織の下肢がブルッと震えた。もっともっと、秀を気持ちよくさせたい。記憶の中にある過去の彼氏とのセックスや、友人としたエッチな会話、本で得た知識などを引き出して、秀をうんと愛そうと気合を入れる。
(ええと、本にはなんて書いてあったっけ)
手の中の情炎を見つめた詩織は、傘の根元までしか擦っていないことに気がついた。ジワリと陰液を滲ませる先端の、小さな切れ目に視線が止まる。
(もっと、全体的にしたほうがいいよね?)
さきほど感じた陰唇のもどかしさを思い出し、手の中のものと自分の感覚を重ねて考える。片手で熱情を擦りながら別の手を先端に当てた詩織は、親指で汁口を撫でた。
「は、ぁ」
秀の声が大きくなって、ビックリする。顔を上げると、秀の目が淫靡に濡れていた。
「ここ、いいの?」
「ん、すごくいい」
とろりとした彼の目に、女の園がキュウンとすぼまる。そこに、手の中のものを受け入れたい。
(でも、その前に……私も秀のイク顔が見たい)
彼の欲望が解放される様子を見てみたい。
(よしっ)
片手で根元から傘までを擦りながら、いいと言われた亀頭を指や手のひらで撫でまわす。秀の息がどんどん荒く浅くなり、胸筋がブルブル震えた。
「は、ぁ……っ」
ビクンと手の中の熱が震えて、詩織の肩はビクッと跳ねた。
「ごめん、驚かせた」
「ううん、大丈夫。これ、もっとしていい?」
「うん、されたい」
快感に彩られた秀の声に、詩織の腹の底が熱くなる。愛撫をしている側なのに、体の奥を撫でまわされている気分になった。亀頭を撫でる手のひらは、彼の情液で濡れている。滑りのよくなった手で先端を包んで揉むと、秀の淫声が高くなった。
「っ……ふ、ぅ」
(気持ちよくなってくれている)
うれしくて、詩織はふふっと笑みをこぼした。彼の二の腕をチラリと見ると、グッと盛り上がっている。
(さっきの、私みたいに、気持ちがいいのをガマンしているんだ)
楽しくなって、詩織はますます愛撫に励んだ。手の中のものが脈打って、先端からこぼれる液の量が増す。秀の息はどんどん上がって、淫らな声が断続的にこぼれ出る。
「詩織……っ、あ」
手の動きを速めると、秀の腰がわずかに浮いた。手の中の熱がビクンビクンと脈打っている。手のひらから伝わる彼の興奮に、詩織の奥が震えてとろける。さきほど経験した絶頂の感覚を思い出し、秀もあんな状態なのではないかと感じた。
「は、ぁ……っ、詩織……く、顔、離し……っ、う……っは、ぁ」
頭に秀の大きな手が乗せられる。どうして顔を離さなくてはならないのだろう。不思議に思いつつ彼を見上げると、ブルンと激しく手の中で震えた秀の本能から熱い液体が噴き出した。手のひらで受け止めた詩織は、立ち昇る独特の匂いを嗅いだ。
「は……は、ぁ」
安堵とも脱力とも取れる息をこぼした秀の目じりが、幸福にとろけている。彼の気持ちが詩織に伝わり、詩織の胸も甘くとろけた。
ふっと唇がさみしくなって、キスが欲しくなる。見つめていると、両手で頬を包まれた。こつんと額を重ねられ、獣欲をたたえた瞳で見つめられる。
「ひとつになりたい」
ささやきは力強く、詩織の胸に響いた。熱い息の塊が詩織の腹からせり上がり、喉を通って秀の唇に触れた。
悩ましい息をこぼした詩織の口に、秀のささやきが注がれる。
「もう、ガマンできない」
彼のように、もう一度手淫でイかせたいという望みは、あっけなく吹き飛ばされた。ヘソの奥がジワリと濡れて、女の園が熱杭を求めてうごめいた。
「わ、私も……秀が欲しい」
かすれた声で告げた詩織の唇に、サッと軽いキスをした秀が「ちょっと待ってて」と言って離れた。ベッドの向かいにある机の抽斗を開けて、避妊具を取り出す彼の背中を見つめる。
形のいい尻には、エクボが浮かんでいる。それにキスをしたいなと考えていると、秀が戻ってきた。達したばかりのはずなのに、陰茎はしっかりと天を向いてそびえていた。
「詩織」
肩を抱かれて、キスをされる。互いの唇を軽く食みあい、伸びてきた舌に口腔をまさぐられる。肌が粟立ち色づいて、淫らな波が体内でさざめいた。
「は、ぁ……秀」
「ん、詩織」
彼の腰に脚を絡めて、迎え入れる体勢になる。耳元で「ありがとう」とささやかれ、胸が喜びでいっぱいになった。
「私こそ……」
(好きになってくれて、ありがとう)
心の中でつぶやいて、彼の首に顔を擦りつけた。淫靡に熟れた花園に、猛々しいものがあてがわれる。切っ先で割り開かれた箇所が張り出しに絡みついて歓迎を示し、ハチミツみたいな甘くてとろみのある悦楽が生まれて、うっとりとした息が漏れた。