契約妻は淫靡な御曹司に溺愛されています

書籍情報

契約妻は淫靡な御曹司に溺愛されています


著者:ひなた翠
イラスト:八美☆わん
発売日:2021年 8月27日
定価:630円+税

高村美月とその夫である真希は、夫婦であるが、美月の家を助けるための政略的結婚をした関係だ。
実家のために妻の努めを懸命に果たす美月だが、彼女にはある秘密――片付けが苦手という弱点があった。
真希にこんな姿を見せたら契約破棄されてしまうかも。そんな危惧から必死にその秘密を隠していた美月だったが、ある時真希にバレてしまった。
しかし、真希は怒るどころか、彼女を優しく労ってくれて……!?
もしかして、私彼のことを誤解してたの?
「一生懸命、頑張る姿が……好き、なんだ」
政略結婚の私たちに愛はないと、そう思い込んでいた。
しかし、真希の誠実な愛情に気づいた美月は、固く閉ざしていた心を開くようになって――!?

【人物紹介】

高村美月(たかむら みづき)
父が開発した化粧品を世に広めるため、一年前に真希と政略結婚した。
真希の父の会社で総務として働いているが、真希と夫婦だということは社員には内緒。
片付けが大の苦手で、仕事と両立させようと必死に頑張っていたが……。

高村真希(たかむら まさき)
ホテル業界の王を父に持ち、自身も次期社長として着々と実績を重ねている最中。
妻である美月をじつは心の底から溺愛しており、その執着は美月の周りの男性社員に常に嫉妬している程で……。


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【試し読み】

 キスをするんだ、と美月が瞼を閉じると、温かい唇が重なった。柔らかい下唇を甘噛みされ、軽く引っ張られる。
「美月、口開けて」
 薄っすらと開いた隙間から、彼の舌が入ってきた。
「……んふっ」
 舌と舌が絡み合うと、美月の身体が快感で小さく震えた。
(……苦しいのに、甘いキス……初めて)
 情熱的に求められ、口の中から響く水音を聞きながら、どんどんと思考力を失っていく。目の前にいる夫と離れたくないと言わんばかりに、首に腕を回して抱き着いた。
 普段の日常では胸の奥に隠している甘えたがりの顔が少しだけ表に出てくる。長く甘いキスを終えて、身体を離そうとする真希にぎゅうっと抱き着いた。
「美月?」
「あ、ごめんなさい」
 不思議そうな彼の声を熱帯びた息とともに右耳で感じて、美月はパッと手を離した。
「美月からの抱擁、嬉しいよ。このままだと次に進めないから……あとでゆっくりと抱きしめてほしいな」
「……あ、はい」
 まるでどこかに出かけようとする母に行かないで……と縋り付く子供みたいだ、と美月は思い、恥ずかしくなった。
(いい大人が何をしているんだろう。離れたくないと言わんばかりに抱き着いて…)
 キスで失いかけた思考力が戻ってくる。
「可愛い」
 ぼそっと独り言のように真希が呟くと、美月の首筋に顔を埋めた。ソフトクリームを舐めるように首筋をぺろりと舌先で味わうと、ちゅうっと強く吸い上げた。
「んんっ、あっ……そこ、は」
「なに?」
「くすぐったい」
「それだけ?」
 くぐもった声で質問され、美月の答えを待たずに吸い付いた。
 くすぐったいだけじゃない。ほどよい快感が、全身を駆け巡っていく。茂みの奥から、とろりと蜜が溢れてくるのがわかって、美月は太腿を擦り合わせた。
「痕をつけてもいい?」
 真希の質問に、美月は一瞬なんのことを言っているのか理解できずに、小首を傾げて目を大きく開いた。
「キスマークをつけたい」
「見えないところに……お願いします」
「見えるところがいいんだけど?」
「駄目です。バレちゃ、う……」
 むぅっと不満そうな顔をして、真希は美月のワイシャツのボタンを外すと丸い膨らみに齧りついた。
 白く柔らかい膨らみに歯を立てられる。今まで以上に強く吸い上げられてから、彼の唇が離れた。
「初めてつけたよ、キスマーク。これは……エロいな」
 真希が嬉しそうに呟いたあとに、満足げ微笑んで痕をつけた場所を指でなぞった。
(真希さんが笑ってる……私を見て、嬉しそうにしている)
 彼の表情に、美月も胸がほっこりと温かくなるのを感じた。
「もっとつけてもいい?」
「見えないところなら……あっ」
 いいですよ、と言い終える前に、今度は反対の胸に齧りつかれた。
 次から次へとキスマークを胸に残されていく。もう何個目のキスマークかわからなくなったころに、真希の手がぐいぐいと背中に入ってきた。なんだろうかと思いつつ、背中を少し浮かすとブラジャーのホックを片手で外された。
 パチンという音とともに、胸の締め付けが楽になる。胸を覆っていたカップを引き上げられると、先端を長い指で弾かれる。
「ああっん!」
(大きい声が出ちゃった)
 自分が思っていた以上のボリュームで声をあげてしまい、慌てて口を手で押さえた。
 ハシタナイ。
「気持ち良かった?」
「……声が……」
「いいよ。声を出して。手で押さえなくていいから」
 真希に腕を掴まれて、口から手をゆっくりと外されていく。
「下品じゃないですか?」
「すごく可愛いよ」
 可愛くないですよと反論しようと眉間に皺を寄せたところで、唇を奪われた。
「ん、んふ……んんぁっ」
 美月の舌を吸い上げられつつ、二つの果実の先端を指先で弾かれる。
 彼の筋張った大きな手で揉みしだかれた後に、離れがたいと言わんばかりに糸を引きながら唇が解放された。
「真希さぁん」
 再び長いキスの酸欠からか、美月がぼーっとして、考えが纏まらなくなる。
 何かを言いたいと思って口を開いたはずなのに、出てきたのは夫の名をまったりとした声色で呼ぶだけ。
 何を言おうとしたのかさえも、もう覚えていない。
「なに?」
「……何でしょうか?」
「何だろうね」
(真希さんに、私は何を言おうとしたの?)
 クスっと真希が鼻で笑いながら、胸の頂を一舐めした。
 指で弾かれるのとはまた違う快感が、背筋を駆け上がっていく。ぴくっと指先まで反応してしまう。
 右胸を遠慮のない手つきで揉まれ、左胸は乳房のまわりを強く吸われた。
「ん、あっ」
 くすぐったいのに、気持ちがいい。相反する感覚で、おかしくなりそうだ。
「乳首、ぷっくりしてきた。ますます、美味しそうになった」
「んんぅ、あっ」
 彼の唾液で濡れた乳輪が、空気の流れを敏感に感じ取る。真希の吐息でさえも、反応して甘い声が漏れてしまう。
(私……なんで、こんなに)
 乱れてしまうのだろう。
 今までだって、胸を触られたり、キスをしたりしてきた。
 今夜は全然違う。全身が性感帯になってしまったかのように、彼の息がかかるだけでも快感で身体が震えてしまう。
「真希さん、もう……」
 無理、限界……という言葉が脳裏を掠めていく。
 おかしくなるのが怖い。これ以上の快感を味わったら、自分じゃなくなってしまうそうで恐ろしい。
「もう、欲しい?」
「……怖い。自分じゃないような気がして……戻れなくなりそう」
「いいよ。俺に見せて」
「戻れなくなったら」
「大丈夫。戻れなくなったら、俺が責任をとるから。だから、ね?」
 胸から手を離した真希が、スーッと下腹部へと指を滑らせていく。タイトスカートの中に手を入れると、下着越しに秘部に触れた。
 しっとりと愛液で濡れた下着に真希が嬉しそうに微笑んだ。
「あっ、待って」
「待てない」
 スカートをウエストのほうまで引き上げてから、真希がストッキングと下着を一緒に足先へと脱がしていく。
 抜け切ると、丸まった状態のままで床に落とされた。
「良かった、濡れてる」
 美月の足の間に真希が身体を入れて、蜜口に指先を這わせてきた。くちゅと音をたてて、蕾がすっかりと準備が整っていると教えてくれる。
「……言わないで、ください」
 恥ずかしくて美月の身体がさらに熱くなる。
「いつから濡れてたの?」
「聞かないでください」
「聞きたいな」
「……キスしたときから、です。たぶん」
 美月の返答に、真希がくすっと嬉しそうに笑った。
(どうして、そんなことを聞くの?)
 濡れた蜜口の入り口を、指で円を描くようになぞり、少しだけ挿入するとすぐに抜かれてしまった。
 恥ずかしくて口にはしていないが、胸の愛撫ですっかりと準備が整った蜜筒を指で擦られて気持ちが良かった。
 やっと満たされる……と心の片隅で思ったのもつかの間、すぐに指が撤退してしまい、喪失感に物足りなさと悲しみを覚えた。
 美月とは裏腹に幸福に満ちた表情の真希が、濡れた指を眼前に差し出してくる。
「すごいヌルヌル」
 中指の第一関節がてらてらと濡れて輝いていた。
「見せなくていいですから」
(恥ずかしい)
「嬉しくて」
「嬉しい、んですか?」
「そりゃ、嬉しいよ。今夜は二人で楽しめそうだね」
 美月が返事をする間もなく、真希の中指が濡れた蜜筒を貫いた。
「んぅ! あっ、ああ、あん」
 奥まで届いた指に、ぞくぞくと快感の波が襲ってくる。ナカをかき混ぜられたら、腰が浮き、声が勝手に漏れていた。
「だめ、それ」
「これ?」
 ぐちゅりと水音がなり、指がナカでうねると美月は「ああ!」と叫んで腰が揺れた。
 お腹の奥がぎゅうっとなり、もっと大きな「ナニ」かがほしいような感覚になる。
(奥が熱い)
「指一本なのに、すごい締め付け」
「え?」
「美月が気持ち良さそうにしてるから、俺もシタくなったってこと」
 真希の指が引き抜かれる。もっとナカを弄ってほしかったのか、美月の下腹部がヒクつくのがわかった。
(こんなの初めて)
 快感で全身が勝手にビクビクしてしまう。
 今までもっと指でナカを弄ってほしいなんて思わなかった。
 真希が濡れた中指を使わないように、ズボンのチャックを下ろすと、中から熱くたぎる塊を出してきた。
 結婚してから見ようともしなかった彼のいきり立つ男根を見つめる。
(嘘、こんなに大きいのが?)
 美月のナカに入っていた大きさを知り、驚いた。
 腹につきそうなほど反り返った真希の強直は、先端から透明な液を出してヒクついていた。
「もっとゆっくり解してあげたい気持ちはあるんだけど……ちょっと抑えられない。美月のナカに入りたいんだ」
 我慢がきかない男でごめんな、と言わんばかりの表情で笑みを見せる。
(真希さん、可愛い顔……してる)
 美月からしたら、今まで以上に愛撫をしてもらった感がある。逆にずっと勃起したままで、準備が整うまで待ってくれた真希の我慢強さを尊敬する。
「……きて」
 美月は目尻をさげて微笑む可愛い彼を受け止めようと、両手を広げた。
(どうしてもっと前から真希さんを知ろうとしなかったのだろう)
 真摯で優しくて、美月を可愛い女性だと言ってくれるような素晴らしい男性だったのに。彼から身体を求められるのを疎ましく思っていたなんて、ひどい女だったと後悔の念が芽生えた。
 たった二日間で、彼への想いががらりと変化した。そばに居たいのに。真希のために、自分ができることをしていきたいと今は心から思っている。
(もっと真希さんと、分かり合いたい)
 美月は彼の熱がナカに入り一つになるのを待ちわびた。
 秘裂を押し開け、強直が押し入ってきた。
 膣口が熱くて圧迫感のあるものに支配される。ゆっくりと挿入され、奥へと入っていく。美月のナカはすでに、充分に濡れており、最奥に到達するのは早かった。
「ん、あっ、あぁ……んぅ、あっ、ちょ……っと、待って。ああっ、あああっ、んあ」
 真希が美月の広げた両手の中に埋まるように抱きついた。ぐっとさらに奥に熱を押し込まれるなり、美月は全身がビクビクと痙攣を始めた。
 美月の腹の奥に眠っていた欲望がまるで目覚めたかのように、激しく身体が波打った。
 お腹の奥がぎゅうっと締め付け、ナカに入っている真希の肉棒をきつく締め付ける。
(なに、これ)
 初めての経験に怖くなり、美月は真希の腕にしがみついた。
「あ……あっ、あああっ、や、こわ、い」
「怖くないよ。大丈夫だよ」
「だって、身体が勝手に」
「……っく。ああ、噛みつきがすごいなあ。持っていかれそうだ……んん。美月、イッたんだよ。気持ちよくて、膣のナカが痙攣しているんだ」
「イッて……私、イッたの?」
 激しい痙攣が収まってくると、息も絶え絶えに目を大きく開けて真希を見つめた。
 頬が紅潮し、妖艶な眼差しの彼と目が合った。男性の色気に当てられ、美月は胸がきゅんっと締め付けられる。
 全身を支配した大きな快感の波が、ゆっくりと引いていく。強い衝動に突き動かされて疲弊した美月の身体は、じんわりと汗をかいていた。
 身体が繋がったまま、真希が覆いかぶさってくると腰を深く沈めたままで、唇を貪るように求めてきた。
「んん、みづ、き……んぅ」
 少し乱れた美月の髪を、丁寧に直すように頭を撫でながら、キスの合間に美月の名を甘いボイスで呼んでくれる。
 どうしてだろうか。
 名前を呼ばれるだけなのに、お腹の奥が返事をするかのように疼いてしまう。
ゆっくりと真希の腰が上下に動き始めた。一度頂点を味わった膣内はいつも以上に敏感になっているようで、彼の動き全てが美月の快感に繋がっていく。
「待って、これ……すぐに……同じのが」
(きちゃいそう)
 一度は収まったたぎる熱が、一度目のときよりも大きな波になって襲ってきそうになる。
「美月は敏感だね」
 真希の腰の律動が速くなる。
「あ、ん、んぅ。や、また……すぐに……あっ」
 じわじわとお腹の奥でこみ上げてくる快感に耐えきれず、美月は真希を強く抱きついた。彼のぬくもりが心地いい。
「美月、やば……ナカが……ん、くぅ」
「ん、あっ……だめ、奥ぅ、あああっ、ああああん」
 真希がイクのと同時に、美月も全身を震わせて頂点に達した。彼の精液を最後の一滴まで搾り取りたいと言わんばかりの強い子宮の痙攣だ。
 今まで感じたことない気だるい高揚感を覚えつつ、汗ばんだ身体に恥ずかしくなった。
(セックスってこんなに気持ちいい行為だなんて知らなかった)
 一回目は怖かった痙攣も、二回目は少し気持ちよさも感じられた。好きな人とのエッチが、気持ちよくて何度もシタくなるのが美月にはようやく理解できた。
「ごめん……ナカに」
 真希が美月のナカから撤退しながら、後悔の色を滲ませた表情で呟いた。
 どろりとナカから、彼の精液が出てくる感触がなれなくて「んぅ」と声に出てしまう。
「どうして、謝るんですか? 私たち、夫婦ですよ?」
 今すぐではないが、いつかは子作りもしていくのだ。
 いけないことじゃない。
「でもまだ、美月の心は追いついてないだろ?」
「……え?」
 真希に心の中を見透かされているのかと焦った。
「俺ばっかり、美月を求めてしまってごめんな。本当はセックスも、美月の気持ちが俺に向いてからって思ってたのに……それすらも我慢できずに、出張のたびに嫌だっただろ? 申し訳ない」
 美月の髪を優しく撫でながら、真希が寂しそうに微笑んだ。
(今は……違う)
 結婚当初は、確かに恰好いい人だとは思っていたが、好きという感情は生れてなかった。好意はあったが、遠目で見るだけで噂での真希しか知らなかったし、知ろうともしなかった。
 色眼鏡で彼を見て、勝手な判断をくだしていた。断れば、父の夢を引き合いに出されてしまうのではないか、と怯えていた。
 そんな人じゃないと今なら言える。
「……好き、です」
 無意識のうちにぽろりと言葉を零していた。
「え? 美月?」
「あっ! え……っと、今のは、聞かなかったことに」
「しない。しっかり聞こえた」
(あれ? なんで……私ってば口にしているんだろう)
 頭であれこれと考える前に、「好き」だと彼に伝えていた。
 好きか、嫌いかと問われれば、好きだ。
 ラブかライクかと比べると……まだわからない。
 仕事をしている凛々しい彼の姿も、プライベートのときの優しくて甘い彼の姿も……思い出すだけで、美月の頬は愛しさで頬が緩んだ。
 うっかりと零していた己の言葉に、かあっと顔に熱がこもるのがわかる。美月は思わず心の声を漏らし、真希に告白していたのだ。
(恥ずかしい)
「もう一回、シタくなったけど……ここは我慢する。夕飯を食べて、風呂に入ってから、ベッドでしよう?」
「もう一回ですか? 明日も会社があるんですよ?」
 すでに美月は二回も絶頂を味わい、身体が疲弊している。
 疲れを癒し、いつも通りに仕事をこなさなければと思うと、激しい運動は控えたいと思うのだが……。
「別の日まで我慢はできそうにない、かな」
 ニヤッと笑い、真希が指で股間をさした。
 すっかり勃起した男根を目にして、美月は苦笑する。
(さっきしたばっかり)
 自分を求めていると、たぎる熱を見せられて、断れるはずもない。
「もう、仕方ないですね。早めにベッドに入れるように、真希さんも家事を手伝ってくださいね」
「もちろん」
 美月は苦笑しながら、真希の手を握った。
 お互いに引き合うように顔を寄せると、甘い口づけを交わした。

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