溺あま夫婦のエロス事情 〜二人だけのいやらしい蜜事をしよう〜

書籍情報

溺あま夫婦のエロス事情 〜二人だけのいやらしい蜜事をしよう〜


著者:久遠縄斗
イラスト:夜咲こん
発売日:2021年 3月26日
定価:630円+税

三か月前にお見合い結婚をした達哉と優香。
二週間の出張で会えない時間が募り、達哉は愛する彼女との淫らな密事の夢ばかりを見ていた。
普段は品行方正で夜の営みは淡白な二人だったけれど、達哉は出張から帰ってくるなり優香を甘く誘惑する。
「型破りなセックスは、嫌か?」
礼儀正しく育てられた優香にとってその言葉は魅惑的で、躊躇いつつも彼の誘惑を受け入れる。
いつもと違う状況で激しく求められたその夜から、夫婦の睦みごとはさらに甘美で過激なものに一転して――!?

【人物紹介】

武藤優香(むとうゆうか)
達哉の妻で、彼の勤める会社に臨時派遣として仕事先に来ていた。
人の世話を焼くのが好きで、優しく気遣いが出来る。
礼儀正しく料理上手で、大和撫子を体現したかのような人。

武藤達哉(むとうたつや)
大手製薬会社の東京本社で営業として働いており、
全支店で常にトップの営業成績を収めている。そのため応援としての出張が多い。
妻の優香には優しく紳士的に接してきたが、実は優香をドロドロになるまで
愛したいという願望を募らせてきた。


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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

 キッチンキャビネットに背を預けて達哉は座り込んでいた。その達哉を跨ぐ形で優香が立っている。目の前の茂みから、ぽたぽたと雫が垂れた。泉のように湧き出続ける甘い蜜。
 足に力が入らないのか、優香は先ほどからずっとシンクの縁に掴まって息を乱していた。
 キッチンが料理を作る場所だというのはよくわかっている。達哉自身はあまり料理が得意ではないため、この場所は優香のいわば『城』のようなものだ。そこで彼女を攻めまくる。
 背徳感はもちろん、刺激的で妖しく甘美。そして劣情を煽ってくる。
 達哉はその泉の奥を指で弄る。中指と薬指の二本を中に差し込んでかき回す。長い指を駆使して、優香の感じる部分を撫でて引っかいた。
 自らスカートをたくし上げ、快感に腰をくねらせる優香は見た目がかなりいやらしい。そうさせたのは達哉自身だが、その様相は想像以上に煽情的だった。
 舌を伸ばして小さな、けれどどこよりも優香に快感を与える豆を舐めとる。舌で引っかき出すように舐め上げれば、皮が剥かれてさらに感度が増す。
「ああっ! そんな……こと、したら……」
 イキそうになったところで、達哉はすべての動きを止めた。
 先ほどからずっと繰り返している行為。優香の絶頂を封じたまま、快楽を与え続ける。狂おしいほどの快感に、優香は乱れに乱れた。
 優香はイくことを望んでいるが、達哉はそれを与えない。切ないのだろう。優香が腰を振って身悶える。
 視線を感じて見上げれば、訴えかけてくる黒い瞳が達哉を見下ろしていた。涙で潤んだ瞳は、ゾクゾクするほど加虐心を煽ってくる。
 その瞳を見つめたまま、達哉は花芽を親指で強く擦り付ける。
「あ、あああっ」
 一瞬訪れた強烈な快感に優香が声を上げる。中から溢れ出た蜜が、達哉の足を濡らしていく。
「た、達哉さん」
 優香の唇で自分の名前を紡がれる。それだけで甘い痺れが背筋を震わせる。
「もっと……して、ほしぃ……」
 優香の唇から漏れたのは、達哉の耳にようやく届くかどうかという小さな声だ。けれどその震える声が耳に心地よく、脳に欲情を植え付ける。
 優等生の優香が、こんなに乱れるところを初めて見た。与え続けた快楽で自分を見失うほど訳がわからなくなっているのだろう。いつもの淡泊なセックスでは絶対に引き出せない優香のいやらしい一面。
 正直に、もうすぐにでも突っ込んでしまいたい。けれど、もっと優香の乱れた姿態を見ていたい。
 もっと乱して、もっとイかせて、もっと感じさせて、何も考えられなくなるくらい、優香をぐちゃぐちゃにしたい。ドロドロになるまで愛したい。
 座った位置から立ったままの優香を見上げると、顔ははっきりとは認識できない。それでも色は判別できるので、その黒い瞳が見下ろしていることはわかる。その瞳から快楽による涙が出ていることも。
 達哉は目を細める。もっとはっきりと見たいけれど、眼鏡をかける時間すら惜しい。その隙さえ、優香を攻める時間に使いたい。
 達哉は顔を真正面に戻した。
 優香の大事なところが目の前にある。はっきりと毛の一本一本まで見える。その向こうにあるだろう泉を隠しているそれを唇で食む。
「ん……んんっ」
 唇で茂みを食んで引っ張る。小さな刺激だが、それでも優香は感じて腰を揺らした。舌で撫で、唾液でじっとりと濡らす。
 優香の頬を伝った涙が達哉の唇に落ちてくる。それを舌で舐めとる。かすかな塩味。唾液と一緒に飲み込んだ。優香の何もかもがおいしく感じる。
 涙の雫以上に、目の前の泉から湧き出ている蜜が飲みたい。舌を伸ばしてみるが、わずかにしか開いていない足の間には到達できそうになかった。
 達哉は優香の中から指を引き抜いて優香を見上げる。中を攻めていた刺激がなくなって、優香は困惑したような表情で見下ろしてきた。
「もっとしてほしい?」
 濡れた指で茂みを撫で、人差し指で秘裂をなぞった。
「や、ああ……んっ……欲しい」
 優香は熱い吐息と共に言葉を落とす。
「そんなに欲しいなら、ちゃんと見えるようにしてくれないと駄目だろ?」
 足を開けと暗に告げる。優香の太ももがピクリと震えた。
 優香はほんの少しのためらいの後、スカートのファスナーを下ろして脱いだ。胸に引っかかっているブラジャーも取り去る。
 下から見上げる優香の裸体は艶めかしい。美しい和毛、柔らかな曲線を描く腰、張りのある二つの胸。そのどれもが上から見ていた時とは全く違う表情を見せている。凹凸が織りなす影すらも美しい。
 顔に目を向ければ、恥ずかしげに、けれどしっかりと視線を合わせてくる。全部脱いだのだからいいだろうとその態度が告げていた。しかし達哉は首を振る。
「まだ駄目だ」
 もっと、と促す。
 優香が選べる選択肢は少ない。少し屈んで足を開くか、指でその場所を割り開くか。どちらにしても欲情を煽るものではある。
 達哉は舌なめずりをしながら優香を見上げた。
 その目の前で、優香はゆっくりと片足を上げていった。シンクに掴まる腕で膝裏を支える。
 ごくりと喉が鳴る。
 予想外だった。優香がこれほど大胆になるなど想像していなかった。
 優香は足一本で立っているものの、しっかりとシンクに掴まっているためにバランスは保たれている。転倒する心配はなさそうだった。感じすぎて足から力が抜けても、下から達哉が支えればいい。それだけの筋力をつけている自信はある。
 優香の安全を確認してから、達哉は目の前の泉に目を凝らした。片足を上げているせいで、優香の秘めたる場所がよく見えた。屈むよりも指で開くよりもずっと卑猥なその光景に、何度も生唾を飲み込む。
 この姿勢が羞恥心を刺激するのか、泉から蜜がしたたり落ちる。足を伝うそれを指で掬い上げた。そのまま秘所へと指を滑らせ入り口をくすぐる。
 いつもはその場所を守るために閉じている幾重もの花弁がぱっくりと割れて、奥まで見えていた。
 達哉は息がかかるほど近づいて、じっくりと観察する。
 薄いピンクの洞窟。その周りを飾るひだ。さらに茂みが周りを囲み、そのすべてが透明な蜜で濡れていてキラキラと輝いていた。
 その中でも最も美しく光る赤い実。鼻が触れるほど近くから見つめる。息がかかって優香が小さく喘いだ。
 もっとよく見えるようにと、ひだを指で押し広げた。赤い実がその姿をすべて現す。磨かれたようにつるりとした表面。蜜の甘い香りと相まって、唾が口内に溢れてくるほどおいしそうに見える。
 達哉はたまらずそれにかぶりついた。
「ひっ! ああああぁぁぁっ!」
 唐突に強烈な快感を与えられ、優香が叫ぶ。痙攣するように足が震え、優香が絶頂を迎える。
 優香が絶頂を迎えても、達哉は攻撃の手を緩めない。封じてきた絶頂を解放し、さらに快楽を体に刻み付けるように攻め続ける。
 花芽を強く吸いながら、つるりとした表面を舌で擦り付けた。何度も何度も舌を往復させる。時にはねっとりと舐り、時には舌先で突く。実の形を覚えるように周りに舌を這わせ、感触を確かめるように歯を当てる。
「優香のここは、甘くてうまいな」
「そ、んな……こと……なぃあっ……ひぁっ、ああぁ」
 絶頂に次ぐ絶頂に優香は苦しげに息を吐く。それでもやまない快楽。許しを請うように名前を呼ばれるが、それは逆に達哉の劣情をこれでもかと煽ってくる。
 指を泉に沈める。二本同時に入れても難なく奥まで入り込んだ。中をかき回し、指を曲げて壁を擦り付ける。蜜が垂れて達哉の拳を濡らしていく。
「もう……駄目…………達哉さん……駄目! おかしく……なっちゃう」
 指で届く範囲を余すことなく擦ってまわり、達哉は勢いよく指を引き抜いた。プシュッという音とともに潮を吹き、同時に蜜が達哉に降り注ぐ。
 最後の仕上げとばかりに、花芽を強く吸う。
「やぁああああぁぁっっ」
 喉を反らせて声を上げ、優香が体を揺らした。足から力が抜ける。崩れそうになる優香の体を達哉が支え、自分の腕の中に迎え入れた。
 数え切れないほどイかされ、優香の呼吸は乱れていた。自分でその状況に追い込んでおきながら、達哉はその背中をいたわるように撫でる。
「たくさんイったな」
 優香は深呼吸を繰り返しながらうなずく。言葉を発する気力もないようで、そのことに達哉は苦笑する。
「でも、まだ終わりじゃない」
 優香が呼吸さえ止めて達哉を見下ろしてくる。
 鼻が触れ合う距離まで近づけば、優香の表情がよくわかる。
 快楽を越えた苦痛がまだ与えられることによる怯えと恐怖がないまぜになった表情。そして苦痛の先にある、さらなる快感を期待する喜び。
 達哉はにやりと笑うと、腹につくほど反り返った怒張をゆっくりと優香の秘所に擦り付けた。
「今度は俺を感じて……俺の腕の中でイけ」
 ずぶりと自身を一気に埋め込む。
「はっ……あ、んあああぁっ」
 指では届かない最奥を穿たれ、それだけで優香は達した。体がビクビクと震える。
「くっ……ぅああ」
 あまりの熱さに達哉も呻いた。二週間前にした時とは明らかに違う。剛直が燃えるように感じるほど熱い。しかしその熱さがさらに剛直をいきり立たせた。中で膨張し、身を硬くさせる。
「んやっ、大きく……なってる」
 蜜路をみっちりと埋めているモノが質量を増やしたことに、優香が困惑と歓喜の声を上げた。
 達哉はその小さな唇を唇でふさぐ。熱い舌を絡めさせ、溢れる唾液を飲み下す。まるで蜜のように甘い唾液は、媚薬でも含んでいるかのように体をさらに熱くさせる。
 血管の中をマグマが流れているかのように熱く感じられ、肌の上を汗が流れた。
 優香も熱い呼気を漏らす。それを飲み込むように唇を深く合わせる。
 吐き出す息も流れ出る唾液も、すべて飲み込んでしまいたい。意識すらも飲み込んで、自分のことだけを考えるように仕向けたい。
 いや、何も考えられなくなるくらい、彼女を愛し、愛されたい。
「愛してる」
 思いの丈が唇の隙間からこぼれた。優香が嬉しそうに微笑んで、自ら唇を求めてきた。それに応えながら、達哉は腰を揺らめかせた。
「んっ!」
 剛直が壁に擦れて卑猥な水音を奏でた。優香が快感に身を震わせると、達哉は途端に動きを止める。
 快感が唐突になくなって、はっきりとした不満をあらわにする優香に、達哉は不敵な笑みを見せた。
「いやらしい子だ。こんなに物欲しそうにねだるなんて」
「欲しいの、達哉さんが」
 優香の直球的な物言いに、達哉の理性が飛びかけた。
 このままここで組み敷いて腰を激しく打ち付け優香を攻める。それはきっと最上の気持ちのよさだろう。しかしここはベッドではなく、下は硬いフローリングだ。そこに優香を横たえて突っ込めば、肩や背中やお尻がフローリングに擦れて傷ついてしまう可能性が高い。
 優香の白い肌に傷がつくことを想像し、達哉は千切れそうな理性を取り戻す。
 虐めたいと思ってはいても、それは心や体に傷をつけたいということではない。卑猥な言葉と行動で、優香の羞恥心を煽ってその肌を赤く染めたいだけだ。
「……欲しいの」
「じゃあ、自分で動くんだ。淫らに腰を振って、気持ちよくなればいい」
 優香の頬がカッと赤く染まる。
「ちゃんと見ててやるから、動いてみせて」
 快楽を誘うために、二人が繋がっている部分を指で辿る。爪先が花芽に触れて優香が大きく身を震わせた。
 しばらく待っていると、優香が達哉の肩に手をかけて腰を動かし始めた。最初は前後に腰を擦り付けるように、次いで上下に体を揺する。
 快楽を求めて優香はだんだんと激しく腰を使いだした。繋がった部分から二人の体液が混じり合う水音がする。
 眼鏡をしていないせいで結合部分はよく見えない。けれど水音と優香の甘い吐息が想像をかきたてる。逆に見えない分よけいに妄想が膨らんでしまう。
「優香のここ、俺のを咥えこんで涎を垂らしてる」
 繋がっている部分を指で探る。指にまとわりつくのは粘ついた液体で、優香が感じていることを教えてくれる。
「あっ! そんな、恥ずかしい……こと……あっ、い、言わない…………で」
「でも、本当のことだろう? ほら今、中が締まった」
 剛直をぎゅうぎゅうと締め付ける圧は、卑猥な言葉を口にすればするほどきつくなる。優香自身も気づいているはずなのに、羞恥からそれを認めようとしない。
 達哉は優香の胸に手を伸ばした。ゆさゆさと揺れるその中心で硬くなっている蕾を指で探り出し、きゅっと摘まむ。
「あんっ」
「ここだって、感じて硬くなってる」
 くりくりと弄れば弄るほど蕾は身を硬くし、優香は身悶えながら腰を振る。
「ほら、感じてるんだろ。気持ちいいんだろ。もっとしてほしいって、言って」
 腰の動きが速くなる。優香は言葉にできない分を行動で示してきた。達哉は目を細めるとフローリングに両手をついた。そうして優香の動きに合わせて腰を突き上げる。
「ひあぁっ」
 ガツッと最奥を突いた衝撃が剛直にも走る。それ以上に優香は感じているはずだ。優香が快感に震えている間にも腰を幾度か突き上げた。
 最奥を突き、揺さぶり、中をかき回す。腰を上下左右に動かして優香を下から攻める。達哉から与えられる快楽に、優香は自分で動く余裕はなくなっていた。
 その攻撃の手を唐突に止める。
「あ……」
 優香が声を上げた。黒い瞳が達哉を見てくる。そこにありありと欲情とそれを上回る不満が見て取れる。
「こんな時は、なんて言うんだ?」
 にっこりと笑って見せれば、優香は眉を八の字にして狼狽える。
 繋がったまま、中で剛直をほんのわずかに動かした。優香がピクリと反応する。また動かすと肩を揺らした。
「ん?」
 首を傾げて優香を見上げる。
「……意地悪」
「俺はこんなに恥ずかしい言葉を並べてるのに、優香は言ってくれないのか? 二人でいやらしくなろうって、言っただろ」
 優香がさらに眉を下げて、口をへの字に曲げる。その唇に触れるだけのキスをする。
「…………して、ください」
「ん?」
「もっと……優香のここを、いっぱい……突いて、ぐちゃぐちゃにして、ください」
 言い終わると同時に優香が両手で顔を覆う。隠れていない頬や耳が、真っ赤になっていた。
「よくできました。俺の可愛い奥さん」
 達哉は腕に力を込めると、優香を乗せたまま腰を持ち上げる。ぎりぎりまで持ち上げ、そして勢い良く腰を落とす。密着していた体が一瞬離れる。そして再度突いた。
「あうっ!!」
 重力と下からの突き上げで、優香の最奥のさらに奥に剛直の先端がぶち当たる。そのままガツガツと奥を攻める。
 優香は声を上げて啼きながら、それでも達哉の動きに合わせて腰を使いだす。肉同士がぶつかる音と二人の激しい息遣い。そして水音が絶え間なく響く。
「き、もちいい……ああっ、気持ちいい! も、イ……っちゃう」
「俺も、もう……もたないっ」
 全身の血が沸騰するかと思うほど熱くなり、その熱さが腹に集まる。一か所に集中した熱が、解放を求めて剛直の先端へと昇っていく。
「ああああぁぁぁっ!!」
 優香が叫ぶと同時に中が一気にぎゅっと締まった。それに刺激されて、達哉も欲望を一気に解き放った。
 熱いしぶきが剛直から飛び出し、優香の中へと吐き出される。自慰ではなく、愛しい妻の中に出した大量の白濁は、二人の繋がった部分から溢れて漏れ出でた。
 荒い息を整えていた達哉の目にも、それはなぜかはっきりと見えた。二人の間から漏れだす白濁は、達哉の欲望そのものだ。
 好きで好きで、愛おしい妻。その体を味わい、愛した証。
 そう思った瞬間、心臓がドクリと脈打った。熱い血潮が体内をめぐる。
「た、達哉さん……」
 優香が達哉の変化に体を震わせた。達哉も自身の変化に気づいていた。性を解放したばかりの肉の棒が、再び怒張し始めていることに。
「はぁ……」
 熱のこもった息を吐いて、達哉は苦笑する。
「まだ、終わりじゃない」
 達哉はにこりと笑って見せた。
 優香の腰を左手で支える。右手でシンクの縁を掴んだ。
「優香、俺に掴まって」
 優香は目を瞬かせながらも素直に従う。しっかりと掴まったことを確認して、足と右腕に力を込める。
「きゃうっ」
 その場から立ち上がった達哉の首にしがみつきながら優香が啼く。重力に従って下がった体が、達哉の剛直にずぶりと刺さったのだ。繋がったままだったことを理解して優香が抜こうと腰を上げる。しかしそうはさせまいと達哉は両手で優香の腰を自身にしっかりと押し付けた。
「やっ、あんっ……駄目。落ちる」
「大丈夫。落とさない」
 普段からダンベルを使って筋トレをしているせいで、体にはしっかりと筋肉がついていた。女性を抱きかかえるくらいは簡単にできる。
 優香を抱えたまま、達哉は足を寝室へと向けた。
 足を踏み出すたびに剛直が奥深くまで突き刺さり、優香が小さく喘ぎ声を上げる。それが可愛くて、ほんの少しの距離だが、小刻みに動いたり大股で歩いたりと振動の大きさを変えて歩いた。
 寝室のベッドに優香をそっと降ろす。
「んあっ」
 ベッドに降ろした衝撃で剛直が擦れ、優香がびくりと震えた。そのまま達哉は優香に覆いかぶさった。唇を合わせて見下ろす。
 期待と不安がないまぜになった表情。思わず舌なめずりするほど欲情はまだ体の中に渦巻いている。
 下は柔らかなベッドで、優香が傷つく心配はない。遠慮する必要は、なさそうだった。
「じゃあ、第二回戦と行こうか」
 宣言して達哉は腰を強く押し付けた。

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