閨のお手本係に任命されたら、ライバルのエリート同僚に極上愛撫で啼かされました!?

F+

閨のお手本係に任命されたら、ライバルのエリート同僚に極上愛撫で啼かされました!?


著者:なとみ
イラスト:森原八鹿
発売日:2023年 11月24日
定価:620円+税

歌と踊りの国ベリメアの王宮で働くアデラは、ある日皇太子の「閨のお手本係」を任命される。
この国にはお手本係に選ばれた男女が実際にベッドの上で身体を使って、夫婦の営みの方法を教えるという習わしがあるのだ。
手本に選ばれるのは名誉なことだったが、なんとその相手は同僚であるエリアスで――!?
アデラは仕事と割り切ってお手本係を努めようとするが。
「感じずにいられそう?」
エリアスの甘い声や、熱い指先で淫らに責められてしまって――。

【人物紹介】

アデラ・オルティス
歌と踊りの国ベリメアの王宮で働いている。
仕事ぶりも非常に真面目で、芯のある性格をしている。
華やかな顔立ちと抜群のスタイルの持ち主だが、
そのせいで誤解をされることも。
過去には踊り子として活躍が期待されていたが……?

エリアス・ファネーレ
アデラと同じくべメリアにて外交官として働いている。
掴みどころのない性格をしているが、仕事に向き合う姿勢は厳しく、手を抜かない。
整った顔立ちをしており、女性人気が非常に高い。
なぜかアデラを気に入っているようで――?

●電子書籍 購入サイト

*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

「舌を出して」
 エリアスの言う通り、舌を出す。もうアデラはすっかり言いなりになってしまっていた。二人に見せつけるように、そこをこすり合わされる。
「は、あ……」
(気持ちいい……)
 角度を変えていやらしくキスをされながら、アデラの頭はもうその甘い感触にぼうっと蕩けそうになっていた。頭の端では分かっているのだ。これは明らかにはじめの話とは違う。度を超えている。それに、あまりに官能的すぎる。決して品のいい講義ではない。
「このように、口の外に出して舌を絡め合うのも非常に官能的です」
「あ、……ああ……」
 エリアスのする通り、舌を出し、それを見せつけるように絡め合う。フェルナンドも圧倒されているようだ。
 自分はいったい、どんな顔をしているのだろう。きっと、蕩け切っただらしない顔をしてしまっている。それが分かっているのに止められない。エリアスが細く、だが確実に目を開けて、こちらを熱っぽく見つめている。その瞳を見ていると、アデラの身体はさらに火照った。
 ちゅくちゅくという音、エリアスとアデラの息遣い。それに触発され、部屋の中はもう、先ほどまでの物足りない講義中の空気ではなくなっていた。充満する官能的な空気は、そこにいる全員に影響を与えていた。
 ごくりとフェルナンドが喉を鳴らす。それだけではなく、壁沿いに立つ騎士たちも、顔色だけは変えていないものの、その視線は二人の口づけに注がれていた。
 そうしてやっと、エリアスがゆっくりと唇を離し、アデラの身体を解放した。アデラは一瞬物欲しそうに首を上げてしまい、そこでようやく我を取り戻して、慌てて身体を離した。
「な……っ、エ……っ、どう……!」
 顔を真っ赤にして混乱するアデラに、まだどこか熱を帯びた表情でエリアスは言う。
「……どう感じているか、言えますか?」
「……っ」
 呼吸を整えるのが精一杯だ。エリアスの声は一段低く、雄の瞳でアデラを見下ろしている。アデラは一気に現実に引き戻された。
(私は、なんて場所で……っ、なんてことを……!)
 深呼吸を繰り返し、そして言った。
「先ほど彼が申しました通り、はじめの、バードキス、……そこからの突然の深いキスに、ギャップを感じてとても、……ドキドキいたします。舌も、はしたないことだと思いながらも、獣のように絡めることが、とても……興奮いたします」
「……とのことです」
 先ほどまでの瞳の熱を治めたエリアスが、フェルナンドとソフィアに穏やかな笑顔を向ける。だがアデラはびくりとなった。その手が腰を撫で始めたからだ。振り払おうと思ったが、次に続けられた言葉に、それができないことを突きつけられた。
「女性の感じる部分が、この奥にあります。このタイミングから、ここを温めて、撫でることで、徐々に感じさせてあげましょう」
 これは閨講義なのだ。そんな場で、この手を拒絶することなどできない。
(エリアス~~……っ)
 羞恥と怒りでぶるぶると震えながら、でも、鼓動の高鳴りが治まらない。
 先ほどの激しいキスの余韻が、お腹の奥を疼かせている。あんなにはしたなく、官能的な口づけ。
 アデラは、自分が経験した閨がどれほど浅いものだったかを改めて思い知らされていた。
 実際、愛撫といえば、まだ、キスをしたくらいなのに。
 ――そう、まだ、キスだけなのだ。
 アデラの心臓はその事実を思い出し、さらに早い鼓動を刻んだ。では、このあとは、何が待っているのだろう。
「では、このまま次に進ませていただきます。身体の部位の中で、唇は非常に柔らかく、肌に触れて官能を呼び起こすのに最適です。ですので、このまま……」
「……ッ」
 エリアスの唇が首筋に触れ、アデラはそのぞくりとした感触に歯を食いしばって背を反らせた。ふ、と落とされた笑いが首筋をくすぐる。そうして、焦らすようにゆっくりと、しっとりした唇が水音をさせてそこを降りていく。耐えきれず、びくびくアデラの身体が震えた。
「首筋が感じやすい方も多いです。血管が多く集まっていて、性感帯になりますので。こうして、少し湿らせた唇や舌先を使って辿っていきます」
「~~……っ」
「このまま押し倒してもいいですが」
 その言葉に身体を固くすると、後ろから温かいものに包み込まれた。
「こうして、背中から抱きしめてもいいでしょう。そして……」
 触れるよ、という小さな声が聞こえた。
「ぁ……っ」
 両胸が、エリアスの手に包み込まれた。
 自分の声は聞こえてしまっただろうか。アデラは咄嗟に自分の口を塞いだ。
「こんなふうに、胸――乳房全体を優しく刺激して差し上げてください。力が入りすぎると痛い女性も多いので、相手の表情と息遣いを見ながら、優しく。女性にどう感じているか、確認するのもいいでしょう」
 痛くない? そう囁かれ、アデラは答えた。
「痛く、あり、ません……っ」
 フェルナンドのほうをちらりと見て、エリアスが付け足す。
「じゃあ、……気持ちいい?」
「……っ」
 アデラは息を呑んだ。ぎらりとした瞳がこちらを向いている。
「……っ、気持ちいいっ、ですっ」
 アデラは絞り出した声でそう答えた。自分は何をさせられているのだろう。皇太子とその婚約者の前でこんなことをされて、気持ちいいなどと口走って。だが、これは閨講義なのだという前提がアデラを縛っていた。拒絶して雰囲気を壊してはいけない。それが言い訳でしかないと頭の隅では気づいていたのに、アデラはそれに蓋をした。
 エリアスの指が、焦らすように胸の突起の周りを辿っていく。そのいやらしい動きに反して、声は冷静そのものだ。
「誤解を恐れず言うなら、――まるで従僕のように。己の女神に服従するつもりで女性に奉仕するといいでしょう。これはもちろん、お二人の好みにより、今後変えていっても構いません。ですがこの行為は、基本的に女性の身体のほうに負担がかかるもの。それをお忘れなく」
 その言葉が終わった瞬間、エリアスは指と指の間で、勃ちあがっていたアデラの胸の先端をきゅうっと挟んだ。
「ああん……っ」
 アデラはとうとう出てしまった喘ぎ声に口を塞いだ。あまりに大きく部屋に響いた声に、羞恥が押し寄せる。だが、エリアスはそれがまるで講義の一環であるかのように続けた。
「いい反応ですね。このように指でつまむ、指の間で挟む、などして先端を刺激します。この力加減も同じく、相手をよく御覧になって」
「……ぅ、く……っ」
 エリアスの指は突起をつまみ、押しつぶし、いやらしく愛撫する。きゅんきゅんとした刺激が足の間に降りていく。アデラは自覚していた。自分の男性を受け入れるところが、すでに濡れてしまっていること。アデラは顔を上気させたまま、せめてもの抵抗でエリアスの腕を掴んだ。
「エリ、アス……っ」
 小さい声で咎め、その手の動きを止めようとする。だがエリアスは意地悪く笑って首を振った。唇を噛みしめ、耐えるしかないのだと前に向き直って、そして気づいた。
 二人の甘く蕩けた空気は、フェルナンドとソフィアにも伝播していた。フェルナンドは欲情した視線でこちらを凝視しているし、その手はいつの間にか、ソフィアの手と絡み合っている。ソフィアの足も、落ち着きなく摺り寄せられている。
 閨の講義が順調であることに、アデラは愕然とした。
(だめ、止められない……!)
「……このまま、座ったままでもいいですが」
 声を必死で抑えていたアデラは、エリアスの言葉にはっとした。もし自分の知っている愛撫が正しいとしたら、次に来るのは……。
「押し倒しますね」
 今度はそう事前に宣言されて、アデラは背中をエリアスの手で支えられながら、優しくベッドに押し倒された。
 エリアスがこちらを見下ろしている。その目はまるで、獲物を捕らえた肉食獣のようだ。
「先ほどもご覧いただいたように、胸の先端は非常に敏感で、指だけであのように女性を感じさせることもできます。今からこちらを、口で愛撫していきます」
「だ、……んん……っ」
 だめ、と続く言葉は、エリアスの手に塞がれた。身体がぶるりと震える。だめだ、こんなこと許してはいけない、だって、これから。
 ――今から、乳首を、口で愛撫される。 
 その言葉を思い出してお腹の奥がきゅんと疼く。足の間はもう、ぐっしょりと濡れている。
 エリアスはベールの下にある、自分を睨みあげるアデラの目が見えているかのように、狂暴さのある瞳で真っ直ぐ見下ろしてくる。
「今は、このように服の上からになりますが、実際に普段隠されている女性の身体を目にした時には、……そうですね」
 そう言いながら、エリアスのもう片方の指は、つうっと胸の間を辿っていく。
「綺麗だと、そして、とてもいやらしいと。そうお伝えいただくとよいかと思います」
 アデラの身体がまた跳ねる。エリアスは、やる気だ。止める気などない。
 なんとか逃げられないかと思っていた。でも、もう逃げられないのだ。それを思い知る。
 だったら早く、早く……!
 ゆっくりと、エリアスの顔が胸に近づいてくる。そして、その唇が先端にかすかに触れた。
「んんん……ッ」
 服の上からほんの少し触れただけなのに、アデラの口から甘い息が漏れた。
(だ、め……!!)
 ぎゅっと目を閉じる。胸の突起は固く尖り、服の上からでも分かるくらい、はっきりと主張してしまっている。
 こんなの、おかしい。話と違う。そのはずなのに、エリアスはまるでこの行為が当然かのように言葉を続ける。
「ぜひ、たくさん焦らして差し上げてください。このように、触れるか触れないかの距離で、周囲を刺激するのもよいでしょう」
 つうっと突起の周りを舌で辿られて、アデラの腰がかすかに浮いた。ふっと落とされたエリアスの笑いに、かあっと顔が熱くなる。
「ここからは……今からここを咥えますと宣言してでも、抑えきれない欲求のままにむしゃぶりついても、どちらでも構いません」
 そういったエリアスの動きがスローモーションに見えた。
「――……ッ」
 ぱくりと、エリアスが服の上から突起を口に含んだ。かろうじて声を出さないよう耐えたものの、あまりの甘い刺激に腰が跳ねる。そのまま唇で挟んできゅうっと潰されて、舌で押し込まれて、おかしくなりそうだ。
「歯を立てずに、唇で優しく挟んでください。それから、舌で押しつぶすのもいいでしょう。こちらも、女性の反応を見ながら行ってください」
(これは……! これは、もう、本当に、話と違う……っ)
 与えられる刺激が止まった間に、アデラは、はあっ、はあっ、と荒く息を吐いた。
「服の上からになってしまいますが、唾液をたくさん絡めて、吸い上げるのもいいでしょう。このように」
 今からされる行為をいちいち宣言されるのがたまらない。アデラはぶんぶんと首を振ったが、エリアスは小さく笑っただけで、その手はまたアデラの口を塞いだ。そうしてまた顔が胸に近づいて、今度は、じゅっ、じゅっ、と服に唾液をにじませながら吸い込んだ。
「~~……っ、……ッ」
 アデラは腰を浮かせてその快楽を受け止めるしかない。その時だ。
「あの……」
 か細く、だが透き通る声に、二人ははっとなった。ソフィアがはじめて口を開いたのだ。
 動きを止め、顔を上げたエリアスが彼女のほうを向いて微笑む。隣のフェルナンドにも促されて、彼女はおそるおそる続けた。
「私からも、質問、よいかしら」
「もちろんです」
「あの……女性役にお聞きしたくて……それは、あの、……どのような感覚なの?」
 閨講義において婚約者の女性から質問が出るのは、――アデラにとっては災難だが――とてもよい傾向だ。
 アデラは息を整えた。答えるしかない。
「こ、この感覚は、むずむずとした刺激です。おなかの奥が、きゅんとなります。胸からの刺激が、奥に、子宮に、降りていくような」
「……っ」
 エリアスが息を呑んだ気がした。なにか、とてもいやらしいことを言ってしまった気がする。遅れて顔に熱が集まってきた。
「君は……」
 エリアスの掠れた小さな声が聞こえた。彼は何かに耐えるように口に手を当てている。
「それは、気持ちいいということ……?」
 再び尋ねるソフィアの声に、アデラは真っ赤な顔で答えた。
「はい、気持ちいい、です」
 羞恥でおかしくなりそうだ。私はいったい、何を言わされているのだろうか。そしてなぜかエリアスも、自分を落ち着けるかのように、ふー、と息を吐いている。
「そう、よく分かりました……」
 ソフィアの声も照れくさそうな響きだ。
 彼女が質問を終えたのを見て、エリアスがアデラに向けて言った。
「今、あなたの足の間……男性を受け入れる部分は、どうなっていますか?」
「……!」
 エリアスの声色は、いつものようなからかうそれではない。声は低く、目はギラギラとしている。
 そんなこと、答えられるわけがない。首を振ろうとした時だ。
「どう、なっているの……? わたくしも、知りたいわ……」
 ソフィアの声に、アデラはぎゅっと目を閉じた。彼女に聞かれれば、答えるしかない。だってこれは、彼らのための閨講義なのだから。
「……濡れて、います」
 エリアスと、フェルナンド、ソフィア、そして騎士たちの視線も感じながら、アデラはもうやぶれかぶれだと言わんばかりに言った。
「愛液がたくさん溢れて、びしょびしょに濡れています……!!」
 涙ぐんで唇を噛み、拳の握りしめるアデラに、ソフィアは言った。
「恥ずかしいのに、ごめんなさいね。でも、とても、安心しました」
「いえ……!」
 はっと顔を上げたアデラは、ソフィアの言葉に救われた気がした。
 隣でエリアスが、また細く息を吐く。
「今、女役の言った言葉は、男を非常に煽ります。自分の刺激が愛する人を悦ばせているのだと、喜びと、強い興奮を引き起こします。ぜひ、恥ずかしがらずに、感じたことをお伝えください」
 もう欲情した声も瞳も隠さず、エリアスは言った。もはや地を這うような声色だ。そして。
 ――愛する人。
 その言葉に、アデラはどきりとした。自分のことではないのに、と、一瞬弾んでしまった気持ちを振り払った。

タイトルとURLをコピーしました