完璧社長は幼なじみ秘書を燃え滾る熱情で囲い込む
著者:まつやちかこ
イラスト:小島ちな
発売日:2024年 6月28日
定価:620円+税
社長秘書の彩音は、二十五歳の誕生日に社長であり幼馴染の颯大にディナーに誘われる。
仕事とプライベートを分けることを徹底している彼からの申し出に動揺するも、彩音は食事に行くことに。
彩音をドレスアップさせてくれ、エスコートまでしてくれる颯大。
夢のような時間を過ごす彼女に、なんと彼は熱のこもった瞳を向けてきて――!?
「もっと見せて。君の全部を、隠さないで」
ホテルのスイートルームに連れられた彩音は、昔から慕い続けていた颯大との官能的な一夜を過ごす。
大好きな人に初めてを捧げられる喜びを感じる彩音だったが、完全仕事モードの颯大を見て、あの夜は彼の気まぐれだったのだろうと思い悩んでしまう。
そんな中、颯大に縁談話が来ていると知るが、彼は彩音に対し執着心を露わにし、彼女を快感の堝へと誘って――。
【人物紹介】
戸倉彩音(とくら さやね)
颯大の社長秘書を務める二十四歳。非常に努力家で、責任感が強い性格。
幼馴染の颯大が初恋で、幼い頃から慕っていた。
仕事中は礼儀と言葉遣いに気をつけているが、プライベートでは彼のことを「颯にいちゃん」と呼んでいる。
水科颯大(みずしな そうた)
国内有数の電子機器メーカーの社長。彩音の八歳年上の幼馴染で三十三歳。
自信に満ちた雰囲気で威風堂々としており、誰にでも親切で人当たりが良い。
彩音とは「社長と秘書」の関係を徹底しているが……?
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【試し読み】
んん、と鼻にかかった声が漏れる。
「どうした?」
「……もっと、触って……」
口から滑り出した懇願に、颯大さんが息を呑む気配がした。閉じていた目を開けると、端正な顔が驚きを隠さずに私を見ている。しばらく後、何故か苦しげに、彼が目を伏せる。
「どこでそんな誘い方、覚えたんだ」
「え?」
誘い方なんか知らない。ただ、してほしくなったことを口にしただけ。私にとってはそれだけだったのだが、颯大さんには違ったらしい。
再びこちらに向けられた目は、明らかにさっきまでと違っていた。見たことのない色を帯びて光っている──燃えているようだ、と言っても差し支えないかもしれない。
後から思い返すと、あれは欲情というものだったのだろう。動物が獲物を捕らえようと思い定めた、決意と欲に満ちた目。
「お望み通りにするよ。でも後悔はなしだ」
言うが早いか、颯大さんの両手が有無を言わせない素早さで、私の膝を割った。必然的に両脚を広げ、自分でもまともに見る機会のほとんどないアノ場所を、彼の目に正面から晒す状況になっている。
「え、あ」
さすがに恥ずかしすぎて足を閉じようとするけど、力強い手が許してくれない。がっちりと私の太腿を固定した颯大さんの顔が、足の間に沈んだ。
何が起きるのか、と思った瞬間。
「あ、あぁっ!」
いきなりソコに吸い付かれ、叫んだ。乳首を弄られた時の、何倍もの衝撃と快感が一息に押し寄せる。先ほど割れ目を触られている際に、疼くと思っていた部分──ソコの上の方に付いている突起を、柔らかな唇と熱い舌に翻弄されている。
「あぁ、あ、あぁんっ」
「彩音のココ、真っ赤になってる。甘くて美味い」
舌先で突かれながら転がされ、ジンジンと痛いほどに疼くソレが、津波のような勢いで快楽を生み出していた。
「やぁ、そん……っ、んぁ、はぁぁん!」
「もっと食べていい?」
答えを待たず、舌が、とろりとした液を垂らす入口に侵入してきた。同時に唇が秘孔に吸い付き、溢れる愛液を音を立てて吸い上げる。
ぴちゃ、じゅる、じゅぅう、という淫靡な音が部屋に響く。いやらしく舐められる感覚とともに、私の理性を侵していく。
「甘いよ、彩音……どれだけ食べても足りない」
「あん、あぁん、颯大さん……気持ちイイ……」
知らず、私は腰をゆらめかせていた──もっと、もっととねだるように。彼に、さらなる快感を与えられたくて。
そう考えた時、舌と唇の動きが止まった。何だろうと思ったのとほぼ同時に、秘孔に何かが差し込まれる。
「っ、あ」
「痛い?」
尋ねられて、入れられたものが颯大さんの指であることを察する。舌よりも固く、そして長いものの感触は、ソコに入れられると違和感が強かった。けれど、痛くはない。
「……ううん、痛くない」
「そう、よかった。なら続けていいか」
私が頷くと、指がさらに奥へと入ってきた。彼の指は、男の人にしては繊細に見えたけど、こうして内側で感じると、骨張ってゴツゴツしている。それが粘膜を擦り上げ、まだ開かれていない道を進んでくる。
じゅわり、と身体の奥からまた、愛液が染み出してきた。それを確認してか、ナカに入れられる指が二本に増えた。一本の時よりも強まった圧迫感に、思わず腰をよじらせる。
「ふぁっ……」
「苦しいか」
「……ちょっと」
「なんとか慣れてくれ。でないと、挿れられない」
「あっ、あぁー……」
くちゅくちゅと、音を立てながら指が出し入れされる。遠からず別のモノで同じ動きをされるのだ、と思い至って、その感触にどうにか慣れようと、気を集中させる。
私のナカで蠢く指が、内側の壁の、ある一点を押した。
「んぁっ」
不思議な刺激が走って、身体が一瞬浮き上がる。その反応に、颯大さんは何かに気づいたような表情になった。
「今感じた?」
「え」
「ココ」
もう一度、同じ所をぐっと押される。先ほどよりも力を込めて。波のように全身に波及する刺激に、私は思わず背中を反らした。同時に、ナカがきゅうぅ、と締まるのを感じた。
「あぁん」
「……っ、やっぱりココ、感じるんだな」
確認の言葉を呟かれた後、指は出し入れする動きから、同じ場所を押し上げる動きに変わった。ぐ、ぐ、と繰り返し、指を捻りながらソコを押されるうちに、だんだんと身体は、刺激を快感と捉えるようになっていく。
「あ、あん、あぁ……」
ぐちゃぐちゃと掻き回されて、ナカからは、生み出された愛液がこれでもかというほどに零れ出てくる。溢れたとろとろの液体は、お尻を伝ってベッドのシーツへと染みていく。
お尻に感じる冷たさでそれが如実にわかって、いかにいやらしい行為をされて淫らに反応しているか、あらためて認識した。
恥ずかしい、はしたないという思いは、感じてはいるけど最初に比べるととても薄いもので、今は【感じたい、気持ち良くなりたい】という思いの方が圧倒的に勝っていた。
気づけば私は、いやらしく腰をくねらせて、ナカを蠢く指が感じる場所にもっと当たるようにといざなっていた。
「そうた、さん……気持ちイイ、あぁ……」
「そんなに善いのか、彩音」
「イイ……好き、気持ちイイの好きぃ」
ふっ、と嬉しげに息を吐く音が聞こえる。
「彩音、すごくいやらしい顔してる」
告げられた後、唇が塞がれ、舌が絡み合う。
ぴちゃぴちゃと二つの口が立てる音と、じゅぽじゅぽと秘孔と指が立てる音が混じり合う。この上なく淫靡な空気が、豪華絢爛なスイートルームの寝室に満ち満ちていた。
「……ん、んぅ──ふ、っぅ、んん」
口づけの甘さと、ナカに与えられる甘い刺激に、頭がクラクラする。身体も心も蕩けて、おかしくなりそうだ。
「ん、んっ……ん、あ、あ」
突如、ナカが震えた気がした。その震えはソコからお腹へ、手足へと波打つように広がっていく。
「あ、なんか、へん──や、あ、や、くる……」
「怖いか? 怖かったら俺にしがみついて」
颯大さんの言葉に、左手に絡められた手を、しっかりと握りしめる。空いている右手は、腕ごと彼の背中に回し、言われた通りにぎゅっとしがみついた。
来る、と思った「何か」は、すぐそこまで迫っていた。
「あ、やぁ、きちゃう……きちゃう、あ、あ、あぁ」
その「何か」が脳天まで辿り着き、全てを吹き飛ばすような強さで、一気に弾け飛ぶ。
「あぁぁーーーーー!!!」
感じた勢いのままに、弓なりになりながら叫んだ。
ビクリ、ビクリと痙攣する身体の感覚を、弾け飛んだ「何か」がまとめて攫っていく。
……しばらくは、頭が真っ白になって、何も考えられなかった。何分ぐらい経った頃だろうか、目尻を優しく拭う指に気づく。
瞼を開くと、涙の粒がこめかみを滑り落ちた。颯大さんの指がまた、そこを優しい手つきで拭った。
「気持ち良かった?」
「…………え、あ、私」
「すごく上手にイケてたよ」
「……イケる……?」
ぼんやりと、オウム返しに口にした私に、彼は説明してくれる。
「快感が極まるとそうなるんだ。頭がおかしくなるぐらい気持ち良かっただろう?」
問われて答えるのは照れくさかったけど、私は頷く。
「初めてなのにイケるなんて、彩音はイイ身体してるな」
颯大さんの、どこか楽しげな様子に、今度は私が質問した。
「──それって、いいことなの?」
もちろん、と自信たっぷりに返される。
「彩音が気持ち良くなってくれるのは嬉しいし、俺も、君を可愛がり甲斐があるのはこの先が楽しみだよ」
先、と言われて心の中で首を傾げた。実際はまだぐったりしていて、頭もよく動かせなかったのだけど。
……この先、なんて時間があるんだろうか。
今夜、私を女として扱うのは、気まぐれの一種なのではないのか。もっと穿って考えれば、昔から身近にいた女の子を、自分の手で女にしたくなった、とか──
この部屋に誘われた時から燻っていた思いが、ちりちりと、新たな火を点けられたように心に広がる。
そんなことを考えている私には気づかない様子で、颯大さんは「そろそろいいかな」と言いながらベッドの端に寄り、もぞもぞと動いていた。
──私の上に被さる体勢に戻った颯大さんは、何も身につけていなかった。正しく言うなら、彼の中心、垂直に近い角度で起ち上がるモノに着けた、薄い膜以外は。
思わず、ソレに見入ってしまった──だって。
(…………おおきい)
他の人のモノを見る機会は当然なかった。幼い頃にはたぶん、入浴中に家族のを見たことはあるのだろうけど、実際どんなふうだったかは今となっては覚えていない。だから比較なんてできないのだけど。
(大きい、よね……)
男性のその場所が、性的な興奮でそんなふうになることは、知識として知ってはいた。でも想像は漠然としかしたことがない。
……この見た目は、はっきり言って、想像のはるか上をいっている。最初の驚きが去ると、不安が取って代わった。
「あ、あの」
「ん?」
「そんなの、入るの……?」
そう──これから私のナカに入るのだ、アレが。
サイズを測ったことなんか当然ないけれど、完全に未経験の私のナカにあんなモノが入って大丈夫なんだろうか、と思わずにはいられない。そもそも、最初の時はけっこう痛いとも聞くし。
あからさまに泡を食っている私に、颯大さんは、安心させるような柔らかい微笑みを向けてくれた。
「不安なのはわかるよ。……たぶん、痛くしてしまうとは思う。もしかしたら最初は痛いだけかもしれない。どうしても嫌だと君が思うなら、ここでやめておく」
迷いない口調で、そう言ってくれたけど──私はそれでも良いとしても、男性的にはどうなんだろう。こんな状態になってから何もせずに終わるなんて、そんなこと平気なのか。
「……颯大さんは、その、どうなの?」
「え?」
「男の人は、ここまで来て止めても、大丈夫なの?」
私の質問を、すごく意外なことを言われたように受け止めたらしい。颯大さんは見開いた目を、何度もパチパチと瞬かせる反応をした。
そして、照れくさそうな、少し困ったような表情になる。
「君に気遣われるとは思わなかったな……聞かれたから正直に言うけど、俺はもちろん、最後までしたいと思ってる。けど君が嫌がることをするつもりはないんだ。無理強いしてまで、自分の欲望を通すつもりはない」
欲望、と彼自身の口から言われて、また思わず、変わることなく形態を保つソレに目をやってしまう。ゴムの膜越しにもわかる、赤黒い皮膚の色と、そこに走る筋の形。他の人のモノだったら、あるいはグロテスクに感じたかもしれない。
けれどこれは、彼の興奮の証──私に対して、男として欲情しているからこその反応。私を一人の女と見てくれている事実の証明。
それがたとえ、今だけのことなのだとしても、構わなかった。ずっと恋してきた、大好きな人に初めてを捧げられるのなら、女として何よりも喜ばしいことに違いない。
「…………い」
「えっ」
「嫌じゃ、ないです。ちょっと怖いけど、颯大さんが相手なら──だから、抱いてください」
はっきりと思いを伝えた。
颯大さんの喉仏が動くのが、また見えた。
「……まったく、君って子は」
少し顔を伏せて呟く声が、どこか苦々しい。
「本当に、どこでそんな言い回しを覚えるんだか」
「え、えっと」
「ああ、ごめん。彩音が悪いんじゃないよ」
ふう、とため息をつく様子からは、そんなふうに思えないけれど。
「君が健気すぎて可愛くて、制御できるか心配なだけ」
「え……」
問い直そうとした時、向けられた双眸に、射るように見つめられた。
「先に謝っておくよ。無理させたらすまない」
両膝をあらためて開かれ、彼の身体が割り入れられた。
潤う入口に、熱い切っ先が触れてくる。
「挿れるよ」
「──はい」
身構えて、目を瞑る。
つぷり、と入ってくる感覚の後、徐々にナカが圧迫されていく。もう少し力抜いて、と囁かれそう努めてみるが、初めての熱い違和感に気を取られてうまくいかない。
そして唐突に、身体の奥がミシリと、音を立てた気がした。
「…………っ、あ…………」
同時に襲ってくる、どこかが引き裂かれるような痛み。熱い竿がナカを擦って進んでくるのに伴ってそれは強まり、波紋のように全身へ広がってきた。
「痛い……?」
「……っく、ぅ」
掠れた声音での問いにも、想像以上の痛みで言葉が紡げない。何か言わなければと思っても、食いしばった歯の間から出せるのは呻きだけ。引き結ぶ私の唇に、颯大さんの唇が優しく触れてきた。ついばむように何度も軽く吸われる。
「もう少し……っ」
颯大さんが言った直後、ナカの一番深い場所に、何かが当たった。動きが止まる。
ふーっと、彼が深く息を吐いた。
「全部、挿入った」
「……そう、な、の?」
絞り出した自分の声は、思った以上に細い。
「ああ。──彩音の中、ものすごくイイよ」
何かを堪えるように言われて、よくはわからなかったけど、きっと気持ちいいのだろうと察した。
彼が私で気持ち良くなってくれているのなら、とても嬉しい。
溢れた想いのせいか、知らずソコに力が入り、ナカを収縮させる。
くっ、と颯大さんが呻いた。気持ち良さと苦しさが一緒になったような、そんな声。
「……彩音、あまり締めないでくれ。我慢できなくなる」
と言われても、意識してやったことではないから私自身、どうしていいかわからない。そう考えているうちにまた「締めて」しまったようで、彼が息を詰めてまた呻く。
「──もうだめだ。彩音、動くよ」