欲情はライバル同期に鎮めてほしい ~煽られたらただの同僚には戻れない~

書籍情報

欲情はライバル同期に鎮めてほしい ~煽られたらただの同僚には戻れない~


著者:小日向江麻
イラスト:北沢きょう
発売日:2021年 11月26日
定価:620円+税

化粧品メーカーの営業として働く初菜は、企画部に所属する同期の加賀見に好意を寄せている。
数日後に新商品のプレゼンが迫るある時、加賀見に呼び出された初菜は、彼から美肌サプリのサンプルをプレゼントされる。
自分がぽろりとこぼした悩みを覚えていてれたことが嬉しくて、すぐさまサプリを口にした初菜。
しかし、その途端なぜか身体が熱を持ち始めて!?
戸惑う二人だが、熱に浮かされた初菜は思わず加賀見に助けを求めるのだった……。
「……そんな目でお願いされたら、断れるわけないだろ」
脈なんてないと思っていた初菜だが、激しい愛欲に飲まれた彼女に触れる加賀見の瞳は熱い欲望を映していて――!?

【人物紹介】

桐山初菜(きりやま はつな)
化粧品メーカーの営業部。
同期の加賀見に密かに好意を寄せているが、好意を寄せている人に限ってツンケンしてしまう。
最近の悩みは、花粉による肌荒れ。

加賀見駿(かがみ しゅん)
化粧品メーカーの企画部で初菜とは同期。初菜とは部署こそ違うが気にかけている。
お似合いだと言われている女性社員がいるが……。

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【試し読み】

 彼の長くて綺麗な指先が、私のブラウスのボタンをひとつずつ外していく。すべてのボタンを外すと、合わせ目を左右に開き、キャミソールを胸元にたくし上げた。飾り気のないブラック一色のブラが露わになる。
 私の身体を見下ろす加賀見が、脇腹からお臍にかけてをするりと撫でた。
「ぁあああっ……!」 
 ただ撫でられただけなのに——彼の乾いた指先に無数の小さな突起でも付いているかのように、柔らかなその場所に鮮烈な感覚が走り抜ける。その激しさに、媚びた悲鳴がこぼれる。
「すごい反応。本当に敏感になってるんだ」
 黒いブラの胸元を上下させ、呼吸を荒らげる私を眺めて、加賀見がぽつりともらした。
「ごめん、もちろん疑ってたわけじゃないんだけど……少し、驚いて」
 そう受け取られかねないと思ったのか、直前の言葉を打ち消すようにやや早口に言う。 
 ——触れられただけでこんなに反応して、はしたない女だと思われているのだろうか。
 無理もない、私自身ですらこの状況に戸惑っているのだ。彼の開発したサプリが原因だったとして、急に痴態を見せられて信じられないのも仕方がないだろう。
 でも、そんなことはささいな問題に思えた。とにかく今は、この強烈な疼きから解放されるのが先なのだから。
「辛いところ、すぐによくしてやる」
 言いながら、彼は片方のブラのカップのなかに片手を差し入れた。
「んんっ……!」
 胸の丸みを確かめるみたいに、膨らみの輪郭をやわやわと揉みしだく。
「胸……意外と大きいな。それに、すごく綺麗」
「っ……!」
 前傾する彼の手元に視線を注ぐと、加賀見が私の胸を触っている。彼の感想にただでさえ熱い身体が、さらに熱を保つ。
 昔から胸は大きいほうだったけれど、学生時代から同性の友人にそう指摘されることが多かったから、なるべく胸のボリュームが目立たないブラを選んで着けるのが習慣になっていた。
 加賀見はもう片方の手でブラをずり上げると、ふたつの膨らみがその覆いからまろび出る。そうして、左右の膨らみを同時に愛撫し始めた。
 彼の手の動きによって自由に形を変える柔いかたまりが、まるで自分のものではないように思えてくるけれど、触れ合う部分から微弱な電流のように発せられる切ない感覚が、そうではないことを示していた。
「ここ……全然触ってないのに、もう勃ってる」
 彼が片手の指先で示したのは、膨らみの頂だ。まるで彼に触ってほしいと主張するみたいに、ぷくっと勃ち上がっている。
「あっ……そこっ……」
 指摘されると羞恥が湧き上がり、お腹の下がまたきゅんと疼いた。胸のふたつの頂に意識が集中して、より硬く尖ったような気さえする。
「こんなに硬くして……辛いよな」
「あんんっ!!」
 ふたつの頂を同時にきゅっと摘まれると、それだけで身体が弾けてしまうんじゃないかという強い刺激が身体を貫いた。
「そんなに気持ちいいんだ?」
「あ、やぁ……だ、めっ……」
「胸が感じやすいのかな、桐山は。それとも、サプリのせい?」
 親指と人差し指の腹で優しく擦り潰すような愛撫を繰り返しながら、加賀見が訊ねる。
 確かに胸の先を刺激されると弱いのだけれど、それだけでこんなに強い快感を得るのは初めてだ。ということは、サプリのせいということも多分にあるだろう。
「それ、だめっ……お腹の下、もっと熱くっ……!」
「つまり気持ちいいってことだよな?」
「ひ、んっ!」
 私の発する喘ぎが、より高く湿り気を帯びてくると、彼は手応えを得たとばかりに今度は頂を圧し潰すような愛撫に切り替える。指先を自身の唾液で湿らせて滑りをよくしてから、隆起した先端を小刻みにノックするみたいに動かすと、さきほどとは性質の違う快感が、胸の先からお腹の下へと駆け抜けた。
「感じてる桐山、すごくそそられる」
 普段、男友達みたいなやり取りを交わす加賀見の口から、『感じる』という性的なフレーズが発せられたことに、違和感が拭えない。
 きっと私はひどく蕩けた顔をしているのだろう。身体中のどこもかしこも熱いけれど、首から上は羞恥心もあって特に熱い。その熱さと高まる興奮とで口元が緩んでいるだろうことを、唇の端から微かに滴る唾液によって知った。
「こうしたらどうなる?」
「あっ——」
 言うが早いか、加賀見が私の胸元に顔を埋めた。滑る舌先が頂を捉えると、その場所を突き、転がし、舐った。
「〜〜〜〜っ……!」
 声にならない悲鳴を発し、意識が遠のきそうなほどの強い刺激に身悶える。
「やぁ、やっ、それっ……!」
「こうされるのがいい?」
 びくんびくん、と激しく背を撓らせる私の性感をさらに高めようと、加賀見は舌先での丁寧な愛撫を繰り返す。時折軽く歯を立ててみたり、甘噛みしながら、私を追い立てる。そのたびに、激しくも快い痺れが溢れ出して止まらない。
「胸の先っ……こりこりしないでぇっ! おかしくなっちゃうっ……!」
「おかしくならないと、治まらないんじゃないか」
「そんなっ……ふぅ、うぁっ……!」
 そうなのだろうか? この狂おしいほどの疼きを治めるには、快楽に身を任せなければいけない?
「ぁあ……だめ、だめぇっ……」
 片方を嬲り終えると、今度はもう片方を唇で食む加賀見。これ以上欲望が膨れ上がってしまったら、自分自身では制御できなくなりそうだった。うっすらと恐怖じみたものを覚えながら、絶えず送り込まれる快感に抵抗する言葉がもれる。 
「こっちはもっと大変なことになってそう」
 こっち——と指先で辿ったのは下腹部だ。膝丈のグレーのフレアスカートの脇についたチャックを下ろして脱がせてしまうと、露わになったベージュのストッキングのウエスト部分を掴んだ。そのままストッキングもするすると脱がしてしまう。
 彼の所作が素早かったのか、それとも私の頭の回転が遅かったせいなのか、言葉を挟む隙がないままに、下半身はブラと対になったショーツ一枚になってしまう。肌が火照っているから、外気に触れてスースーとして、余計に頼りない。
「加賀見……は、ずかしいっ……」
「洋服、汚すといけないからと思って」
 彼は取り払ったスカートやストッキングを椅子の上に置いてから、腰からショーツのラインにかけてを指先でゆっくりとなぞり、私の疼きの中心へと降りてきた。
「——でも、やっぱりここはもう遅かったな」
 黒いコットン地のショーツの上から、加賀見が秘められたその場所に触れる。
「あはぁっ……!」
 下着の生地越しに感じる加賀見の指先が、胸の先で感じたものよりも一段強烈な快感を運んできた。
「わかる? 上から触っただけでぐっしょり濡れてる」
 もうその場所が悦楽の証に塗れていることには気付いていた。それでも改めて指摘されると羞恥を感じずにはいられない。
 彼は私の膝を立てさせると、耳元でこう囁いた。
「捲ってみるよ」
「あ、待っ——」
 私の制止を聞くこともなく、加賀見はショーツに手をかけ太腿までずり下げた。
「見て、桐山」
 少しだけ頭を上げて、恐る恐る脚の間を覗き込んでみると、私の秘裂から溢れた粘度の高い蜜が、黒いショーツとの間に幾筋もの糸を張っているのが見えた。 
「やだ、見ないでっ……!」
「閉じたらだめだ。疼きを止めたいんだろ?」
 太腿を閉じようとしたところを、加賀見の両手にがっちりと制される。
 自由を失った両足の間に自身の上体を入れてしまうと、彼は改めて興奮の湧き上がる秘裂を見下ろした。
「解す必要もないくらいとろとろだ」
 加賀見はそう呟くと、吸い寄せられるみたいに片手の中指を秘裂に押し当てる。すでに外部からの侵入を許している状態のそこは、抵抗感なく指先を受け入れ、一気に第二関節までを飲み込んだ。
「ぁあああっ……!」 
 彼の中指がくるりと回転し、手のひらを上に向けた角度で膣内を擦ると、否応なしに鼻にかかった声が出る。発する意図はないのに、熱に浮かされた身体は言うことをきかず、条件反射で嬌声を奏でてしまう。
「膣内がすごく熱い。それに、俺の指をきゅっと締め付けてくる」
「言わないでっ……」
 一度中指を抜いたあと、なおも物欲しそうに涎を垂らす局部をまじまじと見つめ、そうもらす加賀見。彼の視線の先にある、私の恥ずかしく濡れそぼった場所を見ていられなくて、顔を横に向けた。
「は、恥ずかしいのを我慢してるのっ……お願いだから、言っちゃやだぁっ……」
「ごめんな。いつも強気な桐山のこんな姿が新鮮で、つい苛めたくなった」
 加賀見は謝ったあと、
「安心して、ちゃんと鎮めてやるから」
 と、さきほど膣内を掻き混ぜた指先で、入り口の周辺をゆるゆると撫で擦る。
「ん、ぁはあっっ……」
 再び最も敏感な粘膜に直接触れられると、歓喜の喘ぎを堪えることができない。幾重にも重なる襞を引き延ばすように指の腹で刺激され、熱くとろみのある滴りが溢れてくるのがわかる。
 彼は蜜の湧き出る根源にもう一度中指を差し入れた。今度は根元まで一気に埋めてしまうけれど、やはり抵抗感はない。
 第一関節まで引き抜きながら、次は人差し指と二本揃えてその場所に突き立てる。
「はああぁっ……!」
 質量が倍になれば、内壁を擦る面積もまた倍になる。すると背中を駆け上がっていく快感も倍になり、私は無意識のうちに腰を浮かせてしまった。
「気持ちいい?」
「ぅ、あぁっ……」
 ——すごく気持ちいい。
 答えを音にする暇も与えられず、二本の指がゆっくりと抽送を始める。
「すぐに桐山の気持ちいいところ、探してあげるよ」
 膣内を往復しながら、彼の指先がお腹の内側を軽く引っかくような動きに変わる。
 加賀見は何かを確かめるように、ほんの少しずつ指先が触れる場所をずらしていく。
 すると、何度目かのタイミングで、お腹の中身を全部持っていかれそうになるほどの、激しすぎる快感が迸った。
「っ……?」
 その悦びに身体全体が震え、背けていた顔を思わず彼に向けてしまう。
 何これ? こんな感覚知らない——
「ここ?」
 私の反応を受け取り確信を得た加賀見は、躊躇なくその場所を繰り返し擦り始める。
「ゃああっ! それだめぇっ……! 触らないで、変にっ……ぁああっ……!!」
 気持ちいいなんて言葉ではとても表現できない強い感覚に、目が眩みそうになる。
 瞬間的に、脳裏に赤信号が点りチカチカと点滅する。このままじゃ、本当におかしくなる。
 彼の手の動きを中断させるべく起き上がろうとしたけれど、絶えず送り込まれる快感に遮られ叶わない。
 ならばと下腹部に向かって両手を伸ばしてみるものの、これも無下に払われてしまった。
 ——だめ、お腹の底からせり上がってくるものを我慢できない。
 もう、私、我慢できないっ……!!
「ぁああああああああんんっ……!!」
 下半身にふわりとした浮遊感が漂った直後、視界に映る彼の顔がぐにゃりと歪んだ。
 直後、自分のなかのリミッターが外れるのを感じた私は、何が起きたのかもわからないままに一際大きい嬌声を上げて絶頂に達した。
 びくん、びくんと大きく身体を震わせながら快感の余韻を味わったあと、緊張から解き放たれた身体が一気に弛緩する。
「……あっという間にイったね」
「はぁっ……はぁっ……」
 まるで全力疾走したあとみたいに、身体が重だるい。
 愛液でコーティングされた二本の指を膣内から抜くと、加賀見がそれをぺろりと舐めた。私はそんな彼の姿を、肩で息をしながら眺めている。
 何が起きたっていうの? ……わからない。
 稲妻のように突然降り注いだ激しい感覚に戸惑いながら、呆けたみたいにぼんやりと加賀見の顔を見つめる。
 芸能人かと見紛うほどに整った顔をしている彼が、観察するような視線を向けてくる。
 その鋭い眼差しに、消えたと思った情欲の炎が再び燃え上がる。
 やめて。そんな目で見ないで。私の身体がまた高ぶってしまっているのを見透かされそうで……ぞくぞくする。
「身体の疼きは治まった?」
「……っ」
 直前までの突き上げられるような衝動は薄れたものの、疼きの源は根深く、まだ完全に治まったとは言い難い。
 即答できなかったのが答えだと察したのだろう。彼は口ごもる私ににやりとした意地悪な笑みを浮かべた。
「治まるまで、何度でもしてやるよ」
 力の入らない私の両膝を折ると、まだ絶頂の名残に戦慄く秘裂が剥き出しになる。サプリの影響と絶頂とで普段よりずっと敏感になっている身体は、脚に触れられているだけでも声がもれてしまいそうだ。
 加賀見が直視しやすくなった秘裂に顔を近づける。彼の呼吸に合わせて吐息が吹きかかり、熱さの治まらないその場所に、わずかにひんやりとした感触をもたらした。
「——疼きが止まるまで何度も感じさせて、イかせてやる」
 そう宣言した後、彼は会議室の蛍光灯を反射してテラテラと光る秘裂に唇を寄せ、キスをした。入り口に染み出た蜜を掻き集めるように、下から上へと、舌先で撫でる。 
「やぁっ——加賀見、だめぇっ……!」
 弾かれたような快感に身悶えつつ、そんな場所を唇で愛撫するなんて——と、ほぼ悲鳴となった声で抗う。拘束を解こうと脚をバタつかせても、相変わらずがっちりと押さえ込まれているがゆえに、私の思惑は叶わなかった。
「どうして。疼きを止めたいんだろ」
「そこ、汚いからっ……は、恥ずかしくて死んじゃうっ……!」
「こういうの、されたことない?」
「あ……アブノーマルなことは、しないことにしてるからっ……」
 学生時代にお付き合いしていた人とセックスの経験はあったけれど、お互いあまり慣れていなかったこともあり、こういう愛撫の経験はない。
「アブノーマル?」
「だって、こんなの……普通じゃないから」
 常に下着で覆い隠しているその場所に、男性の唇が触れるというのは、何かとってもいけないことをしているかのように感じてしまう。ぼそぼそと述べると、彼は顔を上げて意外そうに眉を上げる。
「桐山って潔癖なんだな。そう思ってるのは少数派だと思うけど」
「そ……そう、なの?」
「ていうか、普通じゃないって話だったら、身体が疼いてるから俺に鎮めろって頼むのも同じだろ」
「そ、それは……」
 おかしそうに笑われて恥ずかしくなった。
 確かにそうだと思う反面、そもそもそういうつもりで言った言葉じゃないと反論しようとしたところを、秘裂を覆う官能的な感触に阻まれた。
 反射的に下肢に視線を注ぐと、加賀見が舌先を尖らせて、秘裂の隙間を埋めるようにゆっくりとその場所を舐っていた。恥毛をかき分け、入り口や襞を丁寧に愛撫する。
「はぁっ——やだってばぁっ……!」
「いいから、集中して」
 彼は短く言い、彼自身もまたこの行為に集中するとの意を示した。
 舌の細かな突起が粘膜に触れるたびに、甘く切ない悦びが下肢を覆い尽くし、頭の奥が蕩けてしまう。
 指で触れられてるのと全然違う。腰をくねらせ、独特な感触がもたらす初めての快楽に溺れそうになりながらも、何とか理性を保とうと必死に気を張った。
「気持ちいい?」
 直接愛撫を施している彼には、そんなことわざわざ問わなくてもわかるだろうに。私から肯定の返事を聞き出したいためにわざと訊ねているのだと思うと、妙に悔しくて、返事を控えた。
「——ま、いいけど。ここ弄られても、そんな風にしてられるかな」
 彼は片手をスライドさせて秘裂の襞を押し広げると、今度は入り口のやや上に位置する突起を舌で転がし始める。
「ゃああああんっ!」
 切れ味のいい鮮烈な快感は、私の意識を一瞬にして乗っ取ってしまった。ざらざらした舌の感触に、腰ばかりでなく全身がびくびくと震える。
「真っ赤に勃起してて探しやすかったよ。ここ、イイだろ?」
「っ——待っ……強っ……!」 
 今まで不自然なくらいに触れてこなかったその部分は、刺激を欲するあまり主張するみたいに膨らんでいたらしい。まるで、このときのために敢えて差し置いておいたのだと言わんばかりに、熟れ切った場所を一気に責め立てられる。
 舌先で転がしていた突起を唇で挟んでじわじわと圧をかけたり、そのままちゅっと吸い上げたりする。その度に、狂おしいほどの鋭い悦楽が脳天を突き、思考することそれ自体を奪われた。ただただ、鼻にかかった艶めかしい声を上げながら、強烈な刺激に反応することしかできない。
「はぁっ、やぁっ——」
「またイきそう?」
 無我夢中で相槌を打つ。容赦ない責めの果てに待っているのは再度の絶頂であろうと、容易に想像できた。
「膣内も一緒に擦ってやるよ」
 突起への愛撫を続けたまま、加賀見はさきほどそうしたように人差し指と中指の二本に、秘裂から溢れて双丘まで滴る快感のしるしを塗しつける。そのまま入り口に挿入すると、私を高みに導いたあの場所を探した。
「ひ、ぁあっ!」
 二回目ともなれば、指先はすぐに目的の場所へ辿り着く。私の声色が変わると、唇と舌先で突起を嬲りながら、そこを小刻みに擦り上げる。
 下腹部で最も敏感な性感帯を同時に刺激され、快感の回線がパンクした。
「もう、だめぇえっ——ぁあああああああっ……!!」
 悦楽を悦楽と認識したのと同時に、私は再度頂点まで上り詰めた。その刹那、汗とも愛液とも違うさらさらした液体が入り口から勢いよく噴き出した。
 ——何もかもがわからなくなるくらい、気持ちいい。 
 はしたなく腰を突き上げ、両足のつま先をピンと伸ばして——何にも代えがたい絶頂の幸福感を存分に享受した途端、身体が急に鉛のように重くなった気がして、少なからず緊張していた背中を完全にテーブルに預ける。
 ……私、またイっちゃったの……?
「潮噴くくらいよかったんだ」
「っあ……?」
 脚の間から覗く彼の顔は、私の秘裂から噴き出したものでびしょびしょになっている。
「ご、ごめん——そんなつもりじゃっ……」
 どうしよう。加賀見の手やワイシャツの袖口だけに留まらず、その綺麗な顔まで汚してしまったなんて。
 疲労困憊の身体を無理やり起こそうとして——あれ? 眩暈がする。
 おかしい。何だか視界がどんどん暗くなっていくような……。
「桐山?」
 私の名前を呼ぶ加賀見の声が遠くなる。
 ——情けなくも私の身体は、慣れない快楽責めに屈服し、意識を飛ばしてしまったのだった。

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