呪いを受けた王子は、宝石姫を愛欲本能で啼かせたい
著者:在原千尋
イラスト:石田惠美
発売日:2024年 7月26日
定価:620円+税
流した涙が宝石になる、奇跡の宝石姫シファー。
彼女の宝石には傷病を癒し浄化する神秘の力が宿っていた――。
そのため、彼女を狙うものも多く、高き石の塔の上にシファーの身柄は隠されている。
ある夜、人里を襲っていた毒竜がなぜか王都までやってくると、シファーの住む塔の屋根を突き破ってきた……!?
しかし、そこにいたのは隣国より駆けつけて竜討伐に参加していたはずの、スレイマン殿下であった。
目の前に現れた彼はひどい怪我を負っており、さらには竜の毒に侵されているかもしれず――。
無事を願い彼を送り出していたシファーは、彼の姿に長らく忘れていた「泣くこと」を思い出し、涙を流したのだが……。
溢れ出した涙を口にしたスレイマンにそのままキスをされてしまう――!?
「あなたの涙は、とても甘い」
そう言った彼の様子はいつもとどこか違い、禍々しい雰囲気があって……?
【人物紹介】
シファー
銀の髪に翠眼を持つ美少女。
好奇心旺盛でまっすぐな性格をしている。
流した涙が宝石となり傷病を癒すことから「宝石姫」と呼ばれている。
スレイマン
隣国で名を馳せる三剣の王子。
シファーに一目惚れして、どこまでも一途。
穏やかで聡明な性格だが、毒竜の呪いを受けてしまい――?
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【試し読み】
ひどい怪我を負ったスレイマンと再会したシファーは、あまりの出来事に自然と目から涙を溢れさせた。その涙を浴びたスレイマンは、怪我人とは思えぬほど強い力でシファーを抱き寄せ、その唇を奪い、目を細めて笑った。
「あなたの涙は、とても甘い」
彼の印象にそぐわぬ強引な仕草に、シファーは驚いて身じろぎをしながら呼びかける。
「スレイマン、さま?」
その動きだけで、スレイマンはシファーが逃げようとしていると思ったのか、骨がきしむほどに強く抱きしめてきた。
「ああっ、痛っ……」
たまらず叫んだ瞬間、涙が溢れる。それもすべて、唇で吸われ、舌で舐め取られた。
肌を這う生暖かく湿った感触に、ぞくりと、背筋が震える。
シファーは腕の中でもがき、か細い声で懇願した。
「痛くしないで」
スレイマンは片腕でシファーを抱き直し、目をのぞきこんできた。
ラピスラズリを思わせる、吸い込まれそうなほど深い青の瞳。
その奥底に揺らめく、暗い情欲を宿した炎に気づかぬまま、シファーの意識は、視界をかすめたスレイマンのこめかみを伝う血へと向けられた。
(怪我が、治りかけている……!? 今まで、涙石ではなく涙を直に飲まれたことなどないけれど、宝石になる前であっても、わたくしの涙そのものにも、怪我を治す力があるの?)
傷のお加減はいかがですか、と問いかけようとした。
それより先に、スレイマンはシファーを抱き抱えて立ち上がった。
迷いのない仕草で、崩壊に巻き込まれずに残った天蓋付きの寝台に歩み寄ると、垂れ下がる薄絹を片手でまくりあげるようにかきわけて、シファーを下ろす。
そのまま、細腰の上に跨って、乗り上げてきた。
「殿下、何を」
スレイマンは、儚い抵抗をものともせずに、自分の髪紐をするりと解くと、シファーの手首をまとめて縛り上げた。
そして、シファーの柔らかな頬を硬く大きな手のひらで包み込み、うわごとのように呟いた。
「なるほど、これが奇跡の乙女か。涙のひとしずくでここまで効果があるとは。しかしまだ全然足りない。この身の焼け付くような渇き、飢え、苦しみ……」
全身から、何か不吉な気配が漂っていた。
(スレイマン様のご様子が、おかしいわ。禍々しくて、ひとならざるもののような)
瞳の奥に、獰猛な輝きがあることを、このとき初めてシファーは意識した。
体をこわばらせ、目を大きく開いて見上げるシファーを、スレイマンは酷薄な表情で見下ろした。布地を押し上げる、張りのある胸から、すんなりとした腰までを手荒な仕草で撫でて、口角を持ち上げる。
「美味そうだ。さて、その血はどれほど甘いのか」
スレイマンは、縛めたシファーの手首を上から押さえつけると、体を倒して唇に唇を重ねてきた。
「んっ……ふ……」
硬い胸板に、弾むように豊かな胸が押し潰される。
肉厚な唇は、シファーの小さな唇を覆ってしまい、その息苦しさに、シファーは空気を求めて喘いだ。
ほんのわずかに、唇が離れた。
そのすきに、シファーは「スレイマンさま」と呼びかけようと口を開いた。そこに、容赦なく舌をねじこまれる。
「あ、んんっ」
スレイマンは口腔内を舐め上げ、小さな舌に舌を淫靡に絡めて、唾液を啜り上げた。
蹂躙される感覚と、耳に響くぴちゃぴちゃという卑猥な水音に、シファーは途切れ途切れの悲鳴を上げる。
抵抗しようにも、腕は括られた上にがっちりと押さえつけられていて、為す術もない。スレイマンは、乱れた吐息をもらして、呟いた。
「やはりな。癒しと浄化の力が宿っているのは、涙だけではない。お前の体を流れる体液すべてに、生命力を呼び起こす力がある……。くっ」
不意に、スレイマンは苦しみに堪えるように目を伏せた。
そのまま、低い声で素早く告げてきた。
「姫、頼む。俺に力を貸してくれ。体がいうことを、きかない。竜の毒が」
その一瞬、スレイマンの雰囲気が変わった。
(邪悪な気配が、消えた?)
シファーは、潤んだ目でスレイマンを見つめる。
視線を絡ませる間もなく、スレイマンは再び唇を寄せてきた。シファーの口から漏れた唾液を飲み込み、目尻から溢れた涙をも舐め取る。
「スレイマン、さま……」
かぼそい声でシファーがその名を呼ぶと、手首を押さえつけていた手が離れた。ほっとする間もなく、その手は衣服の上から、柔らかく張り詰めた乳房を鷲掴みにする。
「やっ」
背を寝台に押し付け、シファーは清らかな顔を歪めて悲鳴を上げた。
それが男の嗜虐心と劣情を、激しく煽るとも知らず。
形が変わるほど強く両手で胸を揉みしだき、息を乱しながら唇を無理やりに割り開いて口腔をすみずみまで舌で激しく犯して、スレイマンは押し殺した低い声で囁いてきた。
「このまま抱く」
シファーは、唇を噛みしめた。
スレイマンは両手で、指からこぼれるほどに豊かな双丘を強く掴み、続けた。
「初めて目にしたときから、あなたをこうやってひどく泣かせたいと思っていた。毒のまわったこの身は、苦しみゆえにあなたを求めずにはいられない」
欲望に突き動かされた、暗い声。
(この方は、いったい誰? スレイマン様なの? それとも)
片手が胸から外れ、ドレスの裾をまくりあげられた。シファーは「だめ」と弱々しく抗議したが、聞き入れられることはない。手はそのまま下穿き越しに腿をなで上げる。薄い肉付きを確かめるように、指が徐々に上までたどり、足の付根まで届いた。
布地越しに、信じられない場所をぐっと苛めるように触られて、シファーは悲鳴を上げた。
「殿下、そこは……んっ」
必死の訴えは、唇を重ねられて、強引に奪われる。スレイマンの息遣いは獣のように荒く、胸元に手をかけられたところで、一気に布地を引き裂かれた。
雪花石膏(アラバスター)のような白い肌が露わになり、丸みを帯びた豊かな胸が空気に晒されて、シファーは「いやっ」と鋭く悲鳴を上げた。
「あなたはどこもかしこも美しい……。薄衣(ヴェール)越しでは想像するしかなかったが、素顔はまるで月の女神。無垢で汚れを知らない……」
布からまろび出た真っ白な胸が、濃い肌色の素手できつく掴まれて、まだら模様を成すように指が食い込む。
「やめて……」
涙をぼろぼろとこぼしながら、シファーはか細い声で懇願した。
スレイマンはもはや涙に関心を失ったように、シファーを泣かせたまま、両方の手で胸を揉み込んだ。指の腹で転がすように何度も頂きを嬲られると、そこが固く芯を持ってツンと立ち上がる。スレイマンはふふ、と笑いながら指先できゅうっと乳首を摘み上げた。
「んっ」
シファーは身を捩り、腰を揺らす。その反応はすべて、シファーの体に乗り上げているスレイマンに、直に伝わってしまう。
喉を鳴らして、愉快そうに笑いながらスレイマンが言った。
「やめてと言うわりに、ずいぶん猥りがましく腰を振るんだな、姫は。さては、こうして痛くされるのが良いのか」
両方の乳首を、絶妙な力加減で摘まれ、膨らみに押し込むように指の腹で潰される。痛みだけではない感覚がじわじわと沸き起こり、触られてもいない足の付根部分までもが怪しく熱を持ち始める。
シファーはその未知の感覚を恐れ、首を振りながら喘ぎ混じりに訴えた。
「だめ……、もうやめてください」
「その願いは聞かない」
無情に断言をして、スレイマンは乳首に唇を寄せると、薄い色づきの乳輪ごと口にぬるりと含んだ。舌でころころと乳首を舐め回されて、シファーは喘ぎをこぼしながら何度も「だめ」と繰り返したが、乳首をきつく吸われて苛められてしまうだけだった。
「あっ……んっ……ああっ」
体を捻って逃げようにも、かえって彼の口に胸を押し付けるような体勢になってしまう。スレイマンは笑いながら、もう片方の胸を手でぎゅっと握りしめてきた。
(そんな、乱暴な……っ!)
ひどい、と思う一方で、舌や手の動きを意識すればするほど、体が熱くなり、足の付根の奥が熱を持ったように切なく疼き始める。
「殿下ぁ……もう、お許しください……」
泣き濡れた声でシファーが願っても、スレイマンは聞き入れることなく、乳首に歯を立て甘噛みをした。
「ああっ、痛いっ……!」
ぴりっとした痛みに、スレイマンの体の下で、腰がびくんと跳ねた。
ふ、とスレイマンは笑みを漏らして顔を上げる。涙でぐずぐずになったシファーの顔を見つめ、楽しげに言った。
「胸だけでこれほどに感じるのか、姫は」
軽く体を起こしたスレイマンは、シファーの腰に手をかけて、下着ごと下穿きを脱がせてしまった。とっさにシファーは足を閉じようとするが、スレイマンが強引に両足の間に体を置き、両方の膝を寝台に押し付けるようにして、大きく割り開く。
されるがままのシファーは、息を止めて体をこわばらせた。
露わになった秘部にスレイマンの指が触れ、ぐちゃ、とはしたない水音が響く。
(濡れてる……!?)
粗相をしたのかと焦ったが、スレイマンはなぜか気を良くしたように指でそこをなぞり、ぐちゃぐちゃとなおさら激しく音が立つほど、弄り始めた。
「ん、ん、あ、いや、だめっ」
「すごいな。こんなに濡れるものなのか。それとも、『宝石姫』はここも特別なのか? 効力があるのは涙だけと喧伝していたのは、この体そのものが至宝であることから目を逸らさせるためであったか。体液すべてに癒しの力が宿っているというのなら……。さてここの味は」
味、と聞いた瞬間、次に何をされるかを悟り、戦慄が背筋を駆け抜けた。
「舐めちゃだめ……っ」
シファーは闇雲に叫んだが、スレイマンの動きを阻むことなどできはしなかった。スレイマンは、ほっそりとしたシファーの両足をがっちりと手で抑え込み、顔をそこに寄せる。
指で散々嬲られて、潤み切った蜜口に、柔らかく生暖かいものが触れた。それは、先程シファーの口の中を散々に犯したスレイマンの舌であった。
「やだ……っ、だめ、やめてくださっ」
はしたないほどに溢れた蜜を、音を立てて吸われ、舌で丹念に秘裂を舐め上げられる。
(スレイマン様の舌が、わたくしの……)
舌先が、蜜口のそばの花芽に触れた。これまで味わったことのない、強烈な快感に、シファーは甘くかすれた悲鳴を上げる。
目眩がして、全身から汗がにじみ出た。
「甘い……。素晴らしい甘露だ。舐めれば舐めるほど溢れ出てくる……」
秘処に、スレイマンの乱れた息遣いを感じる。その熱さを意識しただけで、蜜が染み出す感覚があった。それをスレイマンの舌が貪欲に舐め取り、まだ足りないとばかりに割れ目の奥まで舌をねじ込まれた。
「ひぁっ……それはっ」
入り口をなぞるように舐めながら、舌は浅い部分で何度も出たり入ったりを繰り返す。
「気持ち良いか、姫。そのように腰を振って、何を強請っている?」
「ね、強請ってなど……んっ」
指摘されて、シファーは初めて自分が腰をくねらせていたことに気づく。
(舌から、逃げたいだけ)
しかし、花芽を再び舌先で苛められ、舐め上げられた瞬間、意志に反して腰が跳ね、スレイマンの口に秘処を押し付けてしまった。応えるようにスレイマンは秘裂に舌を差し入れ、内側の襞を舐めてから抜き、続けて花芽を舌先でぐいぐいと刺激する。
「あっ、だめっ、やめっ」
心臓が、壊れそうなほどばくばくと高鳴っている。
喘ぎながら、シファーは腰を浮かせた。スレイマンは、すかさず太ももを手で押さえつけ、花芽に軽く歯を立ててから、舌を蜜穴の奥深くまでめりこませた。
「きゃあ……ああああっ」