
訳ありオーナーの極上溺愛に囚われて ~恋のはじまりは甘く淫らな一夜から~
著者:乃村寧音
イラスト:かがり
発売日:2024年 10月25日
定価:620円+税
芸能事務所でスタイリスト兼付き人として働く陽菜は、仕事に忙殺されクタクタな日々を送っている。
そんなある日、近所にオープンしたテラリウムショップのオーナー・佐野にひと目ぼれをしてしまう。
しかし再びお店に行くきっかけを掴めずに想いを募らせていたところ、自転車の故障で困っている佐野に鉢合わせ、自転車屋へと案内したお礼に食事に誘われるという願ってもない急展開に!
穏やかな佐野との会話は楽しく、二人の距離は急接近していき……?
「それもさっき聞きましたけど……本当になんだかもったいないですね。柿崎さんはこんなに可愛いのに」
そんな佐野の言葉に、陽菜はいつのまにか「今夜、抱いてください」と口にしてしまい――!?
【人物紹介】
柿崎陽菜(かきざき ひな)
29歳。現在は芸能事務所でスタイリスト兼付き人をしている。
近所にオープンしたテラリウムショップで明仁と出会い、ひと目ぼれ。
真面目で気が利くため、大物女優から指名される程信頼されている。
佐野明仁(さの あきひと)
33歳。陽菜の家の近くにオープンしたテラリウムショップのオーナー。
服装や髪型に洒落っ気がなく、一見地味に見えるが容姿は整っている。
穏やかで優しく、どこかつかみどころがない男性で、かなりのお金持ちのようだが……?
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【試し読み】
案内されるままに入った、ホテルの部屋の中で。
(どうしよう……。佐野さん、上手い!)
シンプルで上品それでいてやっぱりどことなくゴージャスな、広いお部屋。スウィートなんだろうか。なんだかよくわからないけれど、ホテルの従業員の方に案内され、ここに来た。
佐野さんは、真面目そうで、顔は美形だけど、服装とかには構わない感じの人で……。離婚してからは誰ともつき合っていないと、さっきは言っていたけど。
(この人、印象と違う……すっごい、上手だ……)
気が動転している。建て直せない。抱きしめられて、そっと背中を撫でられ、そして……。
(やだ……どうしよう……気持ちいい)
まだ、服もちゃんと脱いでいないのに。
肌を触れ合わせてもいないのに。
それなのに……。
「や……あっ……」
お尻の下にはクッション。そのうえから両脚を押し開くようにされて、スカートが捲られ、ショーツの上に履いていたいわゆる見せパン──黒の綿ガードル──こんな下着、きっとデートなら履いていないけど──を脱がされて、ショーツの上から舌で女の急所を……蜜豆のあたりを……舐められ続けていると、体中から力が抜けて、甘い痺れに全身が覆われてくる。
どうしてこんなことになってしまったのかわからない。もちろん自分から望んだからだけど、でも……こういう風にされるのは、想像していなかった。
なんだか佐野さんって……わたしの想像をすべて超えてくる。
(不思議な人だ。それにしてもこんなの、ぜったいに反則……)
「あっ、あっ、あぁぁぁ……もう……だ、だめ……」
「ん? そうなの? じゃ、やめる?」
「えっ?」
喘ぎながら目を開ける。佐野さんは真顔で、意地悪を言っているわけでも、冗談を言っているわけでもないみたい。
まだほんの浅いつき合いだけど、とっさにそう感じたわたしはつい素直に言ってしまった。
「やだ。やめないで。あの……でも佐野さんが嫌じゃなければ……」
そう言いながら、でも恥ずかしくて全身がすくむようだ。
「嫌じゃないよ、ぜんぜん。楽しい。続けさせて欲しいな」
佐野さんの愛撫が素敵すぎて、なんだか自然にうっとりしてしまう。
(こんな男の人、初めてだよ)
そう思った。わたしもさほど男性経験が多いわけでもないのだけど。人並みに性欲があるだけで……。そしてその……わたしの、人並みであるはずの性欲は、いま爆発寸前になっていて。
佐野さんが再びわたしの急所を舌で責め始める。
(どうしよう、困った。いや……違うな、困ってはいないんだけど……)
気持ちいいことに、困るも困らないもない。ひたすら気持ちいい。
「あっ……んっ……」
気持ちよくて……堪えようとしても、嗚咽のような声が漏れてしまう。
(すでにこんなで、どうしよう。恥ずかしいよ)
「う……」
両脚の間に佐野さんがいる。佐野さんの生温かい舌と唾液がわたしのショーツをぐっしょり濡らしてゆく。
そしてわたしの体の奥からも……蜜がどんどん溢れてくる。
(恥ずかしいよ……)
よく知らない人なのに……。身が縮む。胸の奥がばくばくと波打ってる。
「喜んでくれてるんだよね?」
優しい声で確認された。この優し気な声が曲者、のような気がする。なんだか、どんどん甘えたくなってしまう。
「うん……」
頷いた。
「脱がせるよ」
そう言われ、お尻をちょっと上げた。佐野さんが脇にずれ、するするとショーツが引っ張られ、足首から抜かれる。
そして再び、佐野さんがさっきと同じ位置に。わたしの秘所に目線を当てながら、つぷり、と右手の人差し指を差し込んできた。
「あっ……」
たとえ指先でも、タンポンを使う習慣のないわたしにとっては、何かが膣の中に入ってくることはここ数年ほとんどなかったので、たったそれだけで息が上がった。
(どうしよう……わたし、けっこう狭くなってきているのかな)
二十代で、四年近く性交渉のないわたしは、もしかしたらいわゆるセカンドバージンなのかも。
そう思ったらますます、
(せっかくだから、いいなと思った人に抱かれておきたい)
そんな気がしてきた。
多くは望まない、ただ、それだけでいい。
「痛くない?」
そう尋ねられ、首を横に振った。痛くはない。ちょっと違和感はあるけど……。でも、しだいにそれも、快感に変わりそうな感じがあって……。
「もっと……」
「もっと……何?」
「もっと、弄って欲しい……」
「そう。いいんだね」
佐野さんの声はあくまでも穏やかだ。
この人が興奮しているのかどうかわたしにはわからない。でも……さっきよりは少し、上気しているような。
指が、さらに進んで来る。第二関節くらい……そのまま少し、探るように動かされる。くちゅ、と水音がして、わたしもどんどん上擦ってくる。
粘膜を押し広げ、蜜をかきだすような動き……指先をくいっと動かしたり、ちょっと出し入れしてみたり。そのたびに喘ぐと、視線を感じた。
(観察されてる……?)
テラリウムでもアクアリウムでも、大事なのはわずかな変化に違いない。静かに丁寧に見守る目。
(わたしも自然の一部ってこと?)
女の興奮も、大きく捉えたらきっとそうだ。
「あ……あっ……」
くちゅ……とねっとりした水音が響く。どんどん蜜が降りてくるのがわかる。
「バスタオルでも敷く?」
「あっ……だ、大丈夫……」
なんだかもう、いろんなことを考える余裕がない。指一本の動きで、どんどん追い詰められてる。
(だからもう……なんでこんなに上手なの?)
ひとことで言うと、焦らされてる感じ。気持ちいいところを繰り返し繰り返し、撫でる。もっと、と腰が上がってしまう寸前で止められる。そしてまた始まる。
ぐい、と指がさらに奥まで沈められた。佐野さんの指の腹がわたしの敏感になっている膣壁を擦りつつ、下腹部の裏側をトントンと触る。内股がビクンと震え、ぬちゃぬちゃと粘着質な水音が響く。
「あっあっ……そこ、ダメ、あ……」
「えっと、ここかな……」
小さくつぶやき、愛撫は引き続き静かに続けられた。
(へ、へんな感じ……)
自慰するとき、わたしの指では届かないところに、佐野さんの指は届くみたい。
いつも自分で探るとき、もしかしてこの少し奥に、もっと気持ちいい場所があるに違いない……と思う、その、疼く場所を──佐野さんは指先でそっと刺激してくる。
「ど、どうして、そこ」
つい、口に出してしまった。
「ん? どうしたの?」
佐野さんの返事はあくまでも優しい。
「どうして、わかるんですかぁ……」
喘ぎながらつぶやいた。
蜜を垂らして感じている自分が恥ずかしい。でもどうしようもない。羞恥心と快楽がせめぎ合い、もう何がなんだかわからない。
「どうしてって……俺も探り探り、だよ。柿崎さんのここ、触るのは初めてだから。大丈夫、痛くない?」
「痛く……ないです」
気持ちよくて、いろんなところから水が溢れてきそう。蜜だけじゃなくて、変だけど、口から涎が零れそう。
「こんなに潤んで、俺の指を締めつけてくれるなんてうれしいよ」
甘い囁きで、ますます蕩けてしまう。
佐野さんはけして強く触らない。それなのに──わたしはどんどん追い詰められてゆく。
前の彼氏は、こんな風にはしてくれなかった。もっと性急で、指先の力は強くて。それが普通だと思っていたけど、
(こういう愛撫も、あるんだ……)
そっと撫でたり、優しく押したり、擦ったり、ちょっとだけトントンしたり。そんなさりげない刺激で、わたしはどんどん切なく、甘く、どうしようもなくなってゆく。
(どうしたらいいの。気持ちいい……。気持ちよすぎて、おかしくなっちゃいそう……)
体に力が入らない。太腿が内側に寄っていく感覚……でもそうできないから、ブルブルと震える。知らず知らずのうちに、喘ぎ声が漏れる。
「あっ……あんっ……んっ……」
「ん。指だと……これくらいがギリかな、中は」
佐野さんが探りながら言う。
わたしはただ、薄く目をあけて……喘ぎながら、佐野さんを見つめるだけ。言葉も出ない。佐野さんはというと……意外と落ち着いているように見える。わたしを観察しているような。それがさらに、わたしの羞恥心を煽る。
(わたしはこんなに、感じてるのに……)
花弁も内側も熱い。こんな風に愛撫されたことは生まれて初めてで、その気持ちよさについていけない。
「だいぶ……緩んできたね。これなら指を二本入れても……大丈夫かな。柿崎さん、本当にずいぶん、セックスしてないんだね」
頷く。その通りだし……。
(え。二本?)
指が増やされた。膣壁がさらに広げられ、感じる箇所を探し回るかのようにクニクニと指先が動く。
「ひゃ、あ、あぁん……」
二本の指が、わたしの蜜壺を蹂躙するかのようにゆっくりと抜き差しされたかと思うと、次はバラバラに動いたり──。わたしは我を忘れて何度も嬌声をあげる。
「あんっ、あ、あ、あぁぁっ」
指だけで達してしまいそう……と思った、次の瞬間に。すうっと指が抜かれた。
佐野さんの顔が再び、わたしの秘所に近く。
「うっ……」
自分の手で口を塞いでしまった。大きな声が出てしまいそう。
佐野さんの舌先で……。潤み切った秘所の、花弁の両側を一枚一枚、舐られる。その次に膣の淵を丁寧に。優しく、ぬめりを広げるように。
さっきよりもさらに、舌先に温度を感じる。熱くなっている気がする。指でトロトロになったところを、さらに舌で、なんて──。
(ダメもう、何も考えられないよ……)
高みにのぼってゆく。戻れない道を。押し上げられてゆく。
「ふ……は、う、うぅ……あぁぁ……く……う」
快感がどんどん高まり、必死にシーツを握った。何か握っていないと、落っこちてしまいそうだ。
(落っこちるって、どこに……?)
上半身は脱いでいない。これって性交渉って言えるんだろうか?
でもすでに、体の、一番秘められたところをさらけだしている。その場所からはひっきりなしに蜜が溢れ出ている。自分でもわけがわからない。
たった一部分だけをひたすら責められるなんて、想像もしていなかった。
じわじわとした熱が高まる。ゆっくり時間をかけて、花弁、そして膣の中に舌が差し入れられ、蜜を舐めとられる。恥ずかしいという感覚が次第に麻痺していく。だって、溢れ出るものは止められない。お尻のほうまで垂れている……。
じりじりした。切ない。背筋までビリビリする。
秘豆が、はち切れそうなほど膨らんでいるのがわかる。そこに熱がこもり、溜まっているのを感じる。
でも、強くされたらたぶん痛い……。
佐野さんの舌がその周りを優しく愛撫し始めたとき、たったそれだけでビクビク痙攣してしまった。すると、舌の動きが止まる。すぐにはイかせて貰えない、加減されているらしい。
「あ、あ、あぁぁ」
もどかしくて腰を揺らし、突き上げてしまった。羞恥心と快感の戦いで、快感が勝ってしまった……。すると、思いがけないほど強い力で抑えられた。佐野さんの雰囲気が少し変わる。冷静さが少し消えた。
(あっ……)
その腕の力に、当たり前だけど、佐野さんは男の人なんだ、と実感した。
押さえつけられたまま、舌が秘豆を優しく捉えた。柔らかく舐められ、包まれ、少し押された瞬間に、
「くぅぅぅぅぅっ! イクうっ!」
膣奥と秘豆、両方に電流のように快感が走り、ガクガクと体が揺れた。ぶしゅ、と内側から蜜がほとばしり出る。
「あ、あ、ああぁぁぁ──」
堪えようとしても体が、膣が、ヒクヒクして止まらない。
「すごいね……柿崎さん。いっぱい、溢れてるよ。気持ち良かった?」
「あ……あ……すごく……すごく気持ち良かった……」
呼吸がおかしくなりそうで、喘ぎながらやっとそれだけを言った。すると、佐野さんがぎゅっと抱きしめてくれた。
「良かったよ……感じてくれて……すごく可愛かった」
わたしは目を閉じ、なんだか安心してしまい、気が遠くなった。