
婚約破棄されたところ、幼馴染エリート弁護士のとんでもない溺愛が爆発したみたいです
著者:ぐるもり
イラスト:カトーナオ
発売日:2026年 4月17日
定価:710円+税
フリー翻訳家の伊藤桃は、「外面ヨシコ」として周囲には清楚なふりをして生きていた。
激情家で酒豪な桃の本性を知っているのは幼馴染の弁護士である雛段優希だけ――。
そんな桃には婚約者がいるのだが、同業者の彼とは将来についてすれ違いがあって……?
ある夜、桃と優希は偶然にも婚約者が別の女性と親しげにしているところを目撃してしまい――!?
立ち去ろうとする桃に婚約者と向き合うよう活を入れたのは「本当の彼女」を知る優希だった。
その場で別れを告げた桃に優希は長年の想いを打ち明けてきて――!!
「俺は、もう桃が好きだって言ったから……幼馴染を終わりにしたい」
婚約破棄後、桃もまた自身の気持ちと向き合うことに。
そして、優希のとんでもない溺愛に桃の心と身体は甘く蕩かされていく――……!
【人物紹介】
伊藤桃(いとう もも)
フリーランスの翻訳家として働く28歳。
とある出来事から「外面ヨシコ」という清楚な仮面を被るようになったが、本当は気が強く、お酒も大好き。
幼馴染の優希にだけは、本当の自分をさらけ出すことができるのだが――。
雛段優希(ひなだ ゆうき)
桃の幼馴染で、エリート弁護士の28歳。
左のこめかみに、幼い頃に桃を庇って負った傷跡が残っている。
端正な容姿かつ穏やかな性格だが、桃のこととなると暴走しがちで……?
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【試し読み】
持っていた本を取り上げられ、丁寧に棚にしまわれた。ああ、と本を追いかけると、背後から抱きしめられ、身動きが取れなくなった。首だけ振り返ると、視線を塞ぐようにキスが降ってきた。
「ん、ゆう、き」
漏れ出る声に反応したのか、優希の舌がぬるりと侵入してくる。ここまで深いキスは初めてだ。優希の持っていたビニール袋が床に落ちるが、気にする暇もなくキスが深くなっていく。自分の部屋での行為に、そわそわしてしまう。
キスが心地よい。私は舌を絡めながらそんなことを思う。もっと深くなんて思っていると、舌が口の中にぐっと入り込んでくる。私の意思をくみ取ってくれた優希に、心がくすぐったくなる。
――もっと欲しいな。
そんな自分勝手な思いが生まれる。しかし優希がゆっくりと私から離れていく。名残惜しさを感じていると、体をくるりと反転させられた。
「ただいま」
しっかり目を合わせて優希がそう口にした。私は、その言葉に驚き、目を見開く。そういえば、いってきますと見送ったのを思い出す。恋人になった優希を家に招き入れるのは初めてだ。くすぐったいやり取りに、私はくふふと笑みをこぼした。
「ほら、何て言うの?」
「おかえりなさい」
よくできました、とご褒美のキスが降ってくる。互いの名前を呼び合いながら、キスを交わしていると視界の端に嬉しそうに目を細める優希がいる。
「たく、不用心すぎて心臓が止まるかと思った」
「ごめん」
「不用心もほどほどに」
しっかり注意を受けたところで、床に座ったままの私を抱え上げると、額に唇を落としてきた。
「悪いけど、俺も初めてだから」
「え!」
「なんだよその反応。ずっと桃のこと好きだって言っただろ?」
「だって、彼女とかいたっぽいじゃん!」
こんなにかっこいい優希が経験が無く初めてだなんて、自分にとっては信じられない発言だった。
「まあ、それは否定しない。でも、なんかそんな気になれなくてってのが正直なとこ」
「え、そ、そうなの」
「だからまあ、うまくいかないこともあるかもしれないけど」
「そんなの……」
全然問題ないと私は首を横に振る。二十代も後半にさしかかっている二人がこんなことを打ち明け合っているのは非常に面白い。はたから見たら滑稽な風景だが、大切なことだ。
「頑張ってみましょう」
「そうしましょう」
互いに意見を一致させつつ、なんとも言えない雰囲気での宣言に、優希もノリノリだ。ずいぶんすれ違っていたが、私たちはこんな風に話し合いながら楽しんでいけばいいのかもしれない。そんな考えにたどり着き、少しだけ緊張がほぐれた。
「なんか、照れるな」
「え?」
「これから桃を抱く準備をするってことだろ?」
抱く。直接的な表現に私の顔に熱が集まる。思わず手を伸ばして優希の口を止めようとするが、時すでに遅し。
「桃」
ゆっくりベッドに押し倒されると、優希がその上に跨がった。ぎしりとベッドがきしむ。そして。私はおずおずと彼の首に腕を回すと、そのまま長い腕に囚われてしまった。
「捕まえた」
「捕まった」
しばらく抱き合ったままベッドの上で互いの呼吸と心音を混ぜ合う。私が上になったところで、優希と視線がかち合った。どちらからともなく顔が近づくと、すぐに唇が重なる。薄く口を開けると、ぬるりと舌が侵入してきた。
「ん、ふう」
肉厚の舌が私の口内の形を探るように動き回る。それで満足したかと思えば、私の小さな舌を追いかけてくる。時に逃げ、時に追いかけるように夢中になってキスしていると、口の端から処理しきれない唾液が流れ出る。私の体温を奪い、ぬるくなった唾液が首筋に流れると、大きな体がゆっくり離れていった。
「桃、もう、一生離さない」
一音一音強調するように、優希がそう口にした。それはまるで私に言い聞かせるような口調だった。どう応えるのが正解なのかわからなかったが、私は何度も頷く。
「私も、優希が隣にいないなんて耐えられない」
「うん。お互い様だ」
その瞬間、ぐるりと体が反転する。寝慣れたベッドの感触に体が包まれた。見慣れているはずなのに、今日の優希はとてもかっこよく見える。この人が私の彼氏になるんだと思うと、気恥ずかしくて私は思わず顔を背けた。
「だめ」
顎を掴まれ、すぐに正面を向かされる。恥ずかしさからぎゅっと目をつぶると、瞼に温かさを感じた。
「ちゃんと見て。俺のこと。意識してほしい」
「あの、私も初めてだから……」
続く言葉を紡ぐことを許されなかった。今まで優しかった唇が、急に凶暴になって私を襲った。
「っ、」
勢いがあったせいか、軽く歯がぶつかる。じん、と残る痛みに驚いていると、凶暴な視線に捕らわれた。
「うん。知ってる。今、心の底から安堵している」
それ以上話すなと言わんばかりに唇に指が押し付けられる。瞬きも許されず、私はされるがままだ。
「本当は桃に婚約者ができたとき、憎くて憎くてたまらなかった。でも、幸せになれるならと自分を押し殺した」
押し当てられた指がゆっくりと口内に侵入してくる。歯をこじ開け、舌を撫でられる。口を閉じられず、唾液がゆっくりと口角から流れ出る。短く息を吐いていると、優希の口元が緩く上げられた。
「怒りんぼで、優しい桃の全てを知るのは、俺だけだ」
ジャケットのボタンに手がかかる。ああ、これから私は本当に優希のものになるんだ。
「幻滅しない? 浮気したりしない?」
怖さがそのまま言葉となってこぼれた。全然平気だと思っていたが、もし、優希に同じことをされたら二度と立ち直れない。
「しない」
「……ふ、」
返事と一緒にキスが落ちてくる。ゆっくりとした唇の重なりは「安心して」と伝えてくれるようだ。
「誰かのために怒れる桃が大好きだよ。幻滅なんてしないし、浮気もしない」
逆にどうしたらできるのか教えてほしいと優希が続けた。頼もしい言葉に、自然と口元が緩んだ。
「ずっと努力していたのを知ってたよ。頑張っていたってわかってる。桃は生まれたときからずっとかわいいよ」
その一言に、涙が溢れ出る。ずっとずっと隠してきた恋だった。迷惑をかけたくないと偽って生きてきたが、優希の前では何の意味も無かったのかもしれない。そう思わずにはいられなかった。
「どんな桃でもかわいい」
ジャケット、シャツと順番にボタンを外される。少しずつ肌が露になっていって、心も裸にされているような気になる。
「一人で頑張らせてごめんね」
「そんなこと、ない」
優希からの愛が嬉しくて、自然と涙がこぼれる。すると、優希の唇が涙を掬い上げた。
全てのボタンを外したのか、白い布がはらりと肌を滑り落ちていく。
「綺麗」
シャツに響かないなんの色気もないノンワイヤーのブラジャーだけになった上半身がどこか心もとない。優希の視線はしっかり自分に固定されていて、囚われてしまっている。鎖骨のくぼみにキスが落ちてくる。軽く吸われ、ちくりとした痛みが走った。その痛みに気を取られていると、ぷつりと背中でホックが外れる感触がした。
――な、慣れている!
初めてなんてほんとうだろうか? もともと器用だけど、ブラジャーのホックってこんなに簡単に外れるの? などとぐるぐる思考を巡らせていると、柔いふくらみに唇が落とされた。
「っ、あ」
作り上げてきた偽りの自分という仮面がどんどんはがされていく。心はもう丸裸にされてしまいそうだ。そんなことを考えていると、ブラジャーが抜き取られた。肌がさらに露になったところで優希の吐息が肌の上を滑っていく。
「桃、好きだ」
自分の格好を考えると恥ずかしくてしかたがない。今更隠すようなものもないかもしれないが、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。しかし、それを見越したように、優希がまた唇を重ねてきた。揺れる乳房を大きな手が掴むのが視界に入る。こんなに素敵な男性が自分にだけ懸想している。そう考えるだけでぞくりと肌が粟立つ。恐怖というよりも、どうやら自分は興奮しているらしい。自分の中にこんな感情が隠れているなんて知らなかった。
「あ、ああ……」
頂をしごかれ、そのたびに甘い声が漏れ出る。甘噛みされ、いたぶられ、吸われる。それぞれ違う感覚に、私は翻弄された。気づかぬうちに、お腹や胸に残る赤い痕が増えていく。優希の執着心の表れかと思いながら、増えるキスマークをぼんやりと見つめていた。そうするうちに今度は内ももを大きな手が撫でた。ひゃっと漏れる悲鳴を塞ぐように唇が重なる。キスに気を取られていると、優希の手は徐々に体の中心に向かい、どこか探るような動きで私の肌を撫でた。
――慣れている! この男、慣れてる! ほんとに、初めて!?
そんなことを思いながらも甘い刺激に流されてしまう。優希の手が触れるたびに心地よくて理性が吹き飛ぶ。
「桃、桃……」
大切にするよ。キスの合間にそう囁かれる。低い声と、優希の存在そのものに、私はとろけてしまいそうだった。与えられる快感に身を任せて喘いでいると、大きな手がパンツの中を撫で始める。ショーツの中心部分を撫でられると、今までにない刺激がびりりと全身を巡った。そしてすぐに、じわりと何かがにじみ出る。
「あっ、」
濡れている。自覚すると、急に恥ずかしさが蘇ってくる。優希の指もきっと気づいている。
「ね、ねえ」
「……ん?」
「私だけ脱いでるの、恥ずかしいよ」
もう少し優希を近くに感じたい。そんな思いを伝えると、急に抱きしめられた。あまりの強さに、一瞬呼吸が止まった。
「ゆ、き」
「ごめ、夢中になった」
体が密着したところで、腹部に押し当てられる質量を感じた。慣れているように見えたが、もしかすると優希もいっぱいいっぱいだったのかもしれない。スーツのジャケットを脱ぎ、シャツの袖ボタンを外す姿にどきりと胸が高鳴る。細かい動作だが、長い指が器用に動く様が優希らしくて見とれてしまう。なんだかいけないものを見ているようで、私は視線を伏せる。衣擦れの音が止まると、名前を呼ばれた。真っ先に目に入ったのは太い鎖骨。そして、適度に盛り上がった胸筋だった。
――っ、すご!
抱きしめられたとき、感じていた胸板の厚さに間違いはなかった。そのまま視線を下にずらすと、バッキバキに割れた腹筋が見える。
「すご……」
心の声がそのまま漏れ出てしまう。触ってみたいと思って、手を伸ばしてしまう。指先に触れた筋肉が少しひくついている。ゆっくり指を這わせると、優希の体がびくりと震えた。
「もも、そのまま触ると暴発する」
「……」
それはあんまりにもかわいそうかもしれないと名残惜しさを覚えつつも手を引っ込めた。互いに肌をさらしたことで羞恥が少しマシになる。ゆっくり体を寄せると、優希はすぐに受け入れてくれた。会話は無く、しばらく見つめ合う。どちらからともなく唇を重ねて湿った音を奏でる。優希の手が先ほど触れていた場所に伸びてきた。
そのままショーツ越しに、擦られる。探るような動きだったが、段々とある一部を狙ってせめてきた。私はとっさに腰を後ろに引き、快感から逃れようとする。すると、逃がさないとばかりに腰を掴まれて、引き寄せられた。いつの間にかパンツも抜き取られ、頼りないショーツ一枚になっていた。
「触るよ」
「そんなこと、聞くなあ」
ぽつん、とそうこぼすと、小さな笑い声が聞こえた。
「ごめん。いろんな桃を見られるのが嬉しくて」
その言葉と一緒にショーツを下ろされる。私の頬がかっと熱くなった。
「あっ」
濡れたショーツが無くなると、私にはもう隠すものが無くなっていた。
「気持ちいいなら、気持ちいって教えて」
素直になる方法を教えてもらい、私は小さく頷く。ありがとうと囁かれて、くらくらとめまいがした。優希の甘い声になれず、少しのことでどぎまぎしてしまう。鼓膜から神経を伝い、脳髄に響いていく。命令されていないのに、全ての行動を操られているような気がした。
「っ、ひゃあ!」
閉じていた足が勢いよく開かれ、驚きのあまり悲鳴をあげてしまう。
「舐めていい?」
「だ、ダメ!」
秘部は外気にさらされ、ひんやりとした感覚をもたらした。太ももの付け根付近や内ももにまで冷たさを感じた。そんなところまで濡らしていたのかと気づき、私は両手で顔を覆った。
「ごめん、聞けない」
はっきりとした拒絶に、私はなら聞くな! と言ってやりたかった。だけど、秘部に顔を近づける優希に期待している自分もいる。形ばかりの制止しようとしたが間に合わなかった。
「っああ!」
布越しに感じた刺激よりも、より強いものが全身を駆け巡った。抑えきれない喘ぎが漏れ、恥ずかしがる暇もないほど快楽に翻弄される。じゅるじゅると卑猥な水音と共に、優希が私の秘部を舐めている。先ほど布越しに見つけた、小さな突起を重点的に攻められた。どうにかして快楽をやり過ごそうとするが、声を出すしかない。
「だめ、あ……っだ、め!」
「ダメじゃない」
素直になってと言われる。優希が秘部から口を離している間は、太い指で突起を押しつぶされた。考える暇も与えてもらえないほど溶かされる。思考も、体も快感に濡れ、ぐちゃぐちゃになっていた。
「ん、う……ふう、きもち、いい」
優希に言われた通りに、口にする。抗いようのない気持ちよさは、言葉になってするりと漏れ出た。優希からの反応は無い。一心不乱に私の恥ずかしいところに舌を這わせている。優希の唾液か私の蜜かわからないが、濡れた舌が私の快楽の中心部を撫でた。ぞわぞわと這い上がる刺激に、視界が真っ白になる。弾けるような気持ちよさに溺れようとしたが、すぐにまた蕩けるほどの刺激が襲ってくる。体中に張り巡らされた神経を伝って、脳に直接快楽を叩きこまれるような攻めに私は抵抗できなかった。
「あっ、ああ!」
口角から唾液を垂らし、真っ白なシーツを濡らす。拭う余裕もなく、肢体を投げ出し、俺に身を任せるしかない。
「あっあぁーーーっ!」
仕上げと言わんばかりに思い切り突起に吸い付かれる。激しく吸われた瞬間、足をピンと伸ばし、叫ぶしかない。真っ白な世界に放り込まれ、ふわふわとした柔らかいなにかに包まれるような不思議な感覚だった。これが、いくってこと? とぼんやりと考えながら、余韻に浸る。
「桃」
まだ現実に戻れていない私を優希の声が連れて帰ってくれる。はひはひと呼吸を荒くしていると、額に唇が落とされた。
「次は、俺の番」
「……?」
少し呼吸が整ってくると、覆いかぶさっていた優希がむくりと体を起こした。薄暗い明かりの下でもわかるほどに、彼の唇は濡れていた。あれはきっと私が濡らしたものだ。
――ああ、もう、逃げられない。


