お見合いで偽妻として雇われたら、まさかの溺愛婚でした

書籍情報

お見合いで偽妻として雇われたら、まさかの溺愛婚でした

著者:天ヶ森雀
イラスト:小島きいち
発売日:2024年 8月30日
定価:630円+税

 

定食屋でアルバイトをしている河原美琴は、なぜか株式会社テラーズ代表取締役社長・小野寺泰晴とお見合いをしていた――。
きっかけは、ある日、定食屋の前で具合が悪そうにしていた小柄な老婦人を助けたこと。
美琴が助けた人こそ泰晴の祖母であり、そのことを知った祖父が孫とのお見合い話を持ちかけてきたのだ。
とある事情を抱えた美琴は、最初からお見合い話を断るつもりでやって来ていたのだが――?
紳士で誠実な泰晴との時間は心地よく、また離れがたいもので……。
一晩だけと求め、抱かれた夜はどこか切なくも溺れるほどに甘いものだった――……。
「声、聴きたい」
翌朝、バイト先の店長から理不尽な理由でクビを言い渡されてしまった美琴。
そんな彼女に泰晴が持ちかけてきたのは、時給三千円の偽妻としての仕事だった――!?



【人物紹介】

河瀬美琴(かわせ みこと)
定食屋でアルバイトをしている24歳。
明るくて真面目な性格で、辛い過去があっても表には出さない強さを持つ。
過去に関わるとある事情から、美琴には結婚できない理由があって――?

小野寺泰晴(おのでら やすはる)
株式会社テラーズ代表取締役の32歳。
優しい性格の持ち主で、真面目に誠実に人と向き合う。
美琴に時給三千円で偽妻としての仕事を持ちかけてきて……!?

●電子書籍 購入サイト

*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】
 

「ごめん、ちょっと……」
 そう言って泰晴は一度マンションから出て、数分で戻ってきた。一階に入っているコンビニで避妊具を買ってきたのだ。さすがに普段から持ち合わせているわけもない。美琴も自宅に用意はなかった。
 どれだけ甘い雰囲気になっても、そこで理性を失わない泰晴に美琴の胸はじんと熱くなる。同時に勢いだけで誘ってしまった自分を深く猛省した。

「寝室、あっちです――」
「うん」
 さして広くないマンションの、ベッドのある部屋へ誘導すると、その短い距離さえ離すまいと泰晴は美琴の肩を抱きながら付いてきた。
 そしてベッドの前でもう一度抱き合ってキスをする。上着は泰晴がコンビニに行っている間に脱いでいたから、彼の熱がダイレクトに伝わる。何度も濡れたキスを繰り返しながら、泰晴は美琴が着ていたブラウスのボタンを外した。フレアスカートのホックは自分で外して床に落とす。
 下着になった美琴をベッドに横たわらせると、泰晴は自分が着ていたスーツも脱ぎ、上半身裸になった。そしてベッドの上の美琴に覆いかぶさる。
「河瀬さん――」
「美琴、でいいですよ」
「じゃあ、僕も名前で」
「泰晴、さん……?」
「可愛い、美琴さん可愛い、食べてしまいたい」
「うん――」
 泰晴のキスは気持ち良かった。少し落ち着いてきたのか、最初の性急さは薄れ、味わうように美琴の口の中を舌でじっくり愛撫してくる。ハイボールの苦みが少し舌に残っていて美味しい。
 美琴もキスを返しながら彼の肌をまさぐった。
「泰晴さん……」
 彼の名前を呼ぶと、首筋を探っていた唇が美琴を強く吸った。
「う……んっ」
 思わず声が漏れてしまう。口元を覆って声を抑えようとしたら、彼の手に捕まって遮られた。
「声、聴きたい」
「や、だって……」
「恥ずかしいの?」
「うん」
 美琴が頬を染めて答えると、泰晴は目を細めて唇にキスをした。
「美琴さん、可愛い」
「や、可愛くなんかない」
 そんなこと、両親以外からは言われたことがない。言われ慣れてなくて恥ずかしかった。
 けれど泰晴は何度も「可愛い」と繰り返す。胸が熱くて擽ったくなってしまう。キスされる度に脳が甘く蕩けた。
「顔がとろんってなってるよ?」
 おかしそうに泰晴が笑う。
「まだ酔ってるのかも。泰晴さんも楽しそう」
「うん、楽しい」
 くぐもった声で笑いながら、泰晴はあらわになった美琴の肩に口付ける。
「ん……っ」
「僕がキスする度に美琴さんの体が火照ってくるのが分かる」
「や、うそ……」
「嘘じゃないでしょう?」
 唇は胸元に移った。ブラの上から泰晴の大きな手が美琴の胸を包み込んでくる。
「これ、外していい?」
 優しく聞かれて拒否できるはずがなかった。
 自ら背中を浮かせて泰晴の手を招く。彼は思いのほか器用な手つきでブラのホックを外した。胸を覆っていた淡いレースは、密着していた肌からふるんと浮いた。白い乳房が泰晴の目の前に晒された。泰晴が息を呑む音が聞こえる。
「あの、あまり見ないで……」
 羞恥に耐えきれず美琴が囁いた。しかし泰晴には聞こえなかったらしい。彼は両手で美琴の胸を覆うと優しく揉み始める。
「ん――、ん――っ」
「気持ちいい?」
「うん」
「じゃあこれは?」
 言いながら両方の先端を指で摘ままれた。
「ひゃんっ!」
 突然の強い刺激に美琴の体がびくんと跳ねる。
「美琴さん、美琴――」
 泰晴は名前を呼びながら美琴の右胸の先端に吸い付いてきた。
「はぁん……っ!」
 指よりさらにねっとりと濡れた刺激を受けて、美琴の背中をぞくぞくと快感が走る。
「や、ダメ、泰晴さん、それ――」
「やめてほしいの?」
 優しく聞かれた途端、彼の舌と唇が乳首から離れて疼いてしまった。
「や、そうじゃなくて……」
「指の方がよかった?」
 泰晴は両手の指先で再び左右の乳首を弄り始める。
「ん、……ふ、指、も、嫌じゃない、けど……んっ」
 吸われた方がもっと気持ち良かった。泰晴の舌が固くなった乳首に巻き付くだけで脚の付け根がじんじんしてしまう。
「本当に敏感で可愛いな、美琴さんは」
 嬉しそうに笑いながら、泰晴は今度は左に吸い付く。
「ひゃ、あぁああぁんっ、あ、あぁあぁああぁ……っ」
 乳首をじゅっと吸われ、舌を巻き付けられ、コロコロと転がされて美琴の啼き声も益々高くなる。両方の乳首を交互に可愛がったあと、泰晴は手の平で左右の乳房を真ん中に寄せて美琴にキスしながら同時に押しつぶした。
「ふぅん~~~っ!」
 声を塞がれたまま大きく体が跳ねてしまう。泰晴の唇が離れた途端、美琴ははあはあと荒い息を漏らした。
「悪くないね、オトナの遊びも」
 わざとふざけた言い方に、美琴は寂しさと嬉しさを同時に感じた。当たり前に想い合う相手として抱き合えない寂しさと、それを受け入れてくれる泰晴の優しさへの嬉しさと。
「泰晴さん……」
「こらこら、そんな顔で煽っちゃダメでしょう」
「だって……」
「遊びじゃ終わらなくなる」
 少し切羽詰まった声で言われて、嬉しさが増した。
「うん。いっぱいシて……」
 彼の首に腕を巻き付けてキスを繰り返す。泰晴の手が美琴の下肢にのびていった。ゆっくりと太腿を撫で、更に臀部を撫でまわした。気持ちいい。ゾクゾクする。
「下着、脱がせていい?」
「……うん」
 ブラとお揃いのレースショーツが足から引き抜かれた。泰晴の手が足の間に忍び込んでくる。
「あ、そこは……」
 長い指が柔毛を掻き分けて陰部に入り込んだ。
「すごく濡れてる」
 言われてカーッと顔が熱くなる。しかも襞の間を行き来する泰晴の指が、ぬちゃぬちゃと否が応にも濡れた音を響かせていた。
「嫌じゃない?」
「へ、平気……」
 辛うじてそう答えた。
 しかし更に奥に潜り込もうとして、泰晴の指が止まる。
「……もしかして、初めて?」
 美琴の顔がより一層熱くなった。
「あの……縁がなかったって言うか……言ったでしょ? 誰にも必要とされないって」
 自虐的に聞こえただろうか。そう思うと胸が苦しくて泣きそうになる。処女のくせに遊びに誘うだなんて泰晴は呆れただろうか。このままやめてしまうだろうか。
 しかし泰晴は怖いほど真剣な顔で言った。
「僕は今、これ以上なく美琴さんが必要だけど」
「え?」
 泰晴は美琴の脚に自分の股間を押し付けた。泰晴の下着越しに、固く熱い塊の感触が伝わった。
「分かる?」
「え、えっと、はい――」
 さすがに処女でもそれがどんな状態かは分かる。
「でも初めてだと痛い思いをさせてしまうかもしれない」
 心配そうな顔で美琴を覗き込む泰晴に胸が詰まる。なんでこんなに優しいんだろう。ダメなのに。これはオトナの遊びで、好きになっちゃダメなのに。
「痛くても……泰晴さんならいいですよ?」
 正直にそう言ったら、泰晴の首筋が真っ赤になった。
「分かった。でも最大限の努力はさせてもらうね」
「え?」
 何を言われたか分からず聞き返すと、泰晴はそのまま体をずらして美琴の脚を広げさせる。そして大きく開いた足の間に自分の顔を近づけた。
「え? あ、や、ダメ――っ」
 拒絶する間もなく陰部に口付けられる。
「や、そんなとこ汚い、やめ……ぁあんっ」
 尖らせた舌は濡れた襞の間に差し込まれ、じゅるじゅると吸うようにして美琴の愛液を舐めていく。逃げようとしても太腿を両手でがっちり抱き込まれて完全に下半身はホールドされていた。濡れた粘膜に陰部を丹念に愛撫され、初めての感触に戸惑いながらも美琴の脚の奥はどろどろに溶け始めた。気持ちいい。怖い。気持ち良すぎて怖い。脚の間で溶けた快楽は、更に腹部の方まで押し上がり、爆発しそうな兆しを見せる。
「や、ぁあん、あ、なんかくる、きちゃうよぉ……っ」
 泰晴は更に舌を上部に動かし、襞の中に隠れていた淫粒を探し出してジュっと吸った。
「あぁあぁあっ!!!」
 不意にせり上がってきた快感に、美琴はシーツを握りしめたまま一気に頂点まで押し上げられた。視界はチカチカし、体中が細かく痙攣している。息が上手くできなくて苦しい。そんな美琴の体を、宥めるように泰晴が優しく撫でてくれた。
 体は一気に弛緩し、蜜洞だけがピクピクと震えている。
「よしよし、上手にイけたね。気持ち悪くない?」
 頬を撫でられ、ぼんやりとした目を泰晴に向ける。
「よく、分かんない……」
「そっか。初めてだもんね。もうやめたくなってない? 怖いとか気持ち悪いとか」
 泰晴の声はどこまでも優しい。
「分かんないけど……やめないで……」
 美琴の返事に、泰晴は微笑んで額にキスを落とした。
「じゃあ、今度は少しほぐすよ? 嫌だったら言って」
 そう言いながら泰晴は蜜口に指を入れる。美琴は生理の時にタンポンを使うので、それ自体に違和感はなかった。しかし入っているのが泰晴の指だと思うとやはり緊張はしてしまう。
「どう? 大丈夫そう?」
 差し込まれた指がぐるりと美琴の内側を撫でている。違和感はあるが嫌悪感はなかった。
「だいじょうぶ……だけど……」
 初めて受け入れる異物に、つい力んでしまうのは否めない。今、自分の淫部には彼の指が入っているのだと思うと、どうしていいか分からない。
「うん。じゃあ、もう少し力を抜いてみて。その方が楽になると思うから」
 力を抜く。そう考えて、ゆっくり深く深呼吸をした。大丈夫。泰晴なら大丈夫。
「ああ、上手だね。これなら指を増やせるかな?」
 そう言いながら、泰晴の指は二本に増え、美琴の蜜洞を探り始める。
「ん……、ん……、」
 緩慢な指の動きに、けれど再び美琴の中の快感が高まってくるのを感じる。
「分かる? ここ、美琴さんの内側、僕の指に絡みついてくるみたいだ」
「……よく、分かんないけど……気持ちいい」
「そう、よかった。それじゃあこれは?」
 今度はその指を激しく抜き差しし始めた。じゅぽじゅぽと隠微な水音に美琴の官能が高まっていく。
「ん、泰晴さん、私へん……ぁあ、あ、ぁんっ!」
 不意にもう片方の手でクリトリスを押しつぶされ、美琴は再びイってしまった。
 ハアハアと息を荒げる美琴の唇に、泰晴のキスが落とされる。堪らずに自分から舌を絡めた。キスをしてもしても足りなくて、もっと深く欲しくなる。
「泰晴さん、私――私――……」
 それでも何と言ってねだればいいのか分からなかった。けれど泰晴には通じたらしい。
「ちょっと待っててね」
 彼はおもむろにジャケットのポケットから小さな箱を取り出すと、口でパッケージの封を切って陰茎に装着する。
「それでも痛いかもしれないけど……ごめんね」
 すまなさそうに言う泰晴に、美琴はこくんと頷いた。
「少しだけ、がまんして――」
 泰晴は押し殺した声でそう言うと、膝を立てて大きく広げた美琴の足の間に固く立ち上がった男根を押し当て、ゆっくりと挿入した。
「あぁあ…………っ!」
 ずぶずぶと美琴の中に泰晴の半身が入ってくる。まるでそれ自体が生き物のように、狭い隘路を果敢に押し開き、奥へと突き進んでいく。涙を滲ませながら泰晴を見上げると、彼の肌にも汗が滲んでいた。指でほぐしてもまだきついのだろう。美琴も与えられる痛みに必死で耐えた。
 愛しい。体は辛いのに、こんなにも嬉しい。
「泰晴さん、好き――」
 思わず零れていた。しかしその言葉が零れた途端、美琴の中で泰晴が更に大きく固くなる。
「もう! 君って人は!」
 泰晴は乱暴にそう言い捨てながら、美琴の中をゆっくり行き来し始めた。美琴の上で、泰晴は汗ばんだ体を押し付けながらナカを擦り上げていく。時折互いの胸がぶつかって、固くなっている先端を刺激した。その刺激が更に美琴を狂わせていく。
「あ、やだ、熱い、溶けちゃうよぉ!」
「僕も、美琴、一緒に溶けて――」
「あ、ぁん、あぁあ、泰晴さん、泰晴さん……っ!」
 どうしてよいか分からず、ただシーツを握りしめ、泰晴の動きに翻弄される。彼の動きはどんどん激しくなり、何度も美琴の一番奥を突きあげた。泰晴の体がしっとりと汗ばみ始める。互いの濡れた肌が動きをさらに加速させた。結合部もぬちゅぬちゅと淫猥な水音を響かせている。
「あ、もうダメ、や、イく、イっちゃう……!」
 覚えたばかりのオーガズムが、美琴の体を性急に震わせ、高みへと押し上げる。美琴は振り落とされないように泰晴の体にしがみついた。その動きに呼応するかのように、泰晴の男根は膨れ上がり暴れまわる。既に痛いのかどうかもよく分からなくなっていた。
「お願い、もう――っ」

タイトルとURLをコピーしました