溺甘社長は不幸な元令嬢を容赦なく蕩けさせたい
著者:夕日
イラスト:北沢きょう
発売日:2024年 8月30日
定価:620円+税
前原果絵の人生には、『不幸』がつきまとっていた――。
高校生の頃、父親の経営する会社が倒産し、そのまま父も帰らぬ人となってしまった。
以降、弟の大学進学のため、果絵は働きに出ることに。
ようやく弟の就職を見届けるも、今度は務め先の会社から濡れ衣により懲戒解雇を告げられてしまう。
果絵がクビになって一週間、弟から勤め先の社長のハウスキーパーをしてみないかと、仕事を紹介されて――?
面接の日、果絵は息を呑んでしまうくらいに美しい男性・藤堂裕馬と出会った。
ハウスキーパーと雇用主として接する二人だったが、日々の会話を交わすうちに互いへのほのかな好意が生まれていき……。
そんなある日、裕馬から休日のお出かけに誘われた果絵だったが――。
二人きりのデートは楽しく、あっという間に時間も過ぎ、小料理屋ではお酒をたくさん飲んでしまい――?
「うん、いっぱい甘えて。甘える君は、とても可愛い」
無邪気に甘えてくる果絵に、裕馬の蕩けるほどに極上な口づけが落とされる――!?
【人物紹介】
前原果絵(まえはら かえ)
元社長令嬢で裕馬の家のハウスキーパー。25歳。
優しく努力家な反面、自分ひとりで物事を背負いすぎてしまうところも。
裕馬の人柄に次第に惹かれていき……?
藤堂裕馬(とうどう ゆうま)
株式会社トウドウテクノの社長を務める32歳。
普段は穏やかな性格だが、仕事に関わることでは冷淡な一面も。
果絵の気遣いや思いやりに想いが膨らんでいって――。
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【試し読み】
抱き上げられて寝室まで運ばれ、丁寧な動作で柔らかなベッドに体を下ろされる。ぼんやりとした意識の中視線を上げると、そこには欲が滲む表情の藤堂──いや。裕馬がいた。
(これは夢、よね)
こんな都合のいい現実があるはずない。あったとしても、自身に訪れるはずがない。手を伸ばして触れた裕馬の頬は温かく、生々しい実存感がある。首を傾げながら何度も頬を撫でていると、その手に大きな手を重ねられた。強い酩酊感の中でもその手の熱さが明瞭に感じられ、果絵はさらに首を傾げた。
「……果絵さん」
果絵の名を呼んでから、裕馬が顔を近づけてくる。反射的に目を閉じれば、唇に柔らかな感触が訪れた。その優しい感触は何度も唇に訪れ、どんどん深く合わされていく。
「んっ」
唇の隙間から、裕馬の舌が忍び込んで歯列を舐め取る。その生々しい感触にびくりと身を震わせると、取鎮めるように優しく首筋を撫でられた。少し乾いた手のひらに肌を擦られれば甘やかな感覚がじんと湧き立ち、背筋をじわりと痺れさせる。
裕馬の舌が狭い口中へと進み、粘膜を緩やかな動きで舐め取られた。
はじめての濃蜜な交歓に戸惑いつつも、舌を伸ばしてそれに応える。舌同士が触れ合う鮮烈な感触に怖気づきそうになるが、引っ込めようとした舌は裕馬の舌に捕らえられてしまった。
息苦しくなり荒い呼吸を零していると、唇を離した裕馬に優しく頭を撫でられる。
「果絵さん。鼻でゆっくり息をして」
「んぅ……」
「……難しいか」
慣れない様子の果絵を目にして、裕馬は楽しそうに笑う。
「は、はじめてなので。ごめんなさい」
「謝らないで。俺がぜんぶ教えるから、ゆっくりと覚えていこう」
裕馬は優しい口調で言うと、ふたたび唇を触れ合わせた。舌同士での触れ合いがまたはじまり、果絵は教えてもらった通りにゆっくりと鼻で息をする。すると息苦しさが和らぎ、今度は口づけに没入することができた。
「ん、んっ。あ……っ」
「果絵さん、いい子。可愛い」
口づけの合間に、甘やかす声がかけられる。その言葉に心が蕩かされ、胸がじんと熱くなった。
(……夢でもいい。この時間が、終わらないでほしい)
裕馬のシャツを指先で掴んですがりつけば、優しく頭を撫でられる。その手はするりと果絵の首筋を撫でてから、ワンピースの背中ファスナーに触れた。
「あ……」
小さな音を立てて、背中のファスナーが開かれていく。緊張で身を強張らせると、安心させるように額に口づけをされた。肩からワンピースが落とされ、地味なデザインのブラジャーが露わになる。『こんなこと』になる想定はしていなかったし、そもそも高い下着など持っていない。恥ずかしくなって下着を手で隠そうとすれば、その手は裕馬の手によってそっと掴まれてしまった。
「ゆ、裕馬さん」
「隠さないで」
「ですが、その。恥ずかしくて」
「下着も胸も、素敵だよ」
裕馬はくすくすと笑いながら、果絵の下着越しの胸に大きな手で触れた。
「あ……」
柔らかな肉が、手のひら全体を使うようにして優しく揉み込まれる。風呂の時などに自身で触れても、なんの感覚も湧かない場所だ。そのはずなのに、裕馬に触れられると甘い感覚がたちまち湧く。そのことに戸惑いながら裕馬を見つめれば、優しく唇を啄まれた。
裕馬の手がブラジャーをずらし、その内側へと忍び込む。肌同士の生々しい接触に、果絵はふるりと身を震わせた。
「……柔らかい」
ぽつりと、裕馬の唇からそんなつぶやきが零れる。恥ずかしくて身を捩ろうとしても、大きな体に覆い被さられているためにその試みは上手くいかなかった。
果絵の胸は、平均よりも大きい。その大きな胸が裕馬の手の中で形を変える様は、自身の持ち物とは思えないくらいに卑猥なものに見える。それを目にしていると羞恥がかき立てられ、同時に官能も刺激された。
乳首がつんと尖り、この行為が気持ちいいのだと主張する。
「可愛い」
裕馬はそう言ってふっと笑うと、胸の頂を口に含んだ。温かな口内に包まれ、舌が乳首を撫でた。
「や、あっ」
裕馬は果絵の快楽を引き出すように、頂を丁寧に舐め、吸い上げる。果絵は裕馬の頭を抱きしめながら、与えられる刺激に悶えた。
「っ……! やっ、ああっ」
「果絵さん、可愛い声だね」
時折かけられる声音は甘やかで、それすらも快楽の鍵となる。果絵が背筋を震わせながら軽く達すると、裕馬は嬉しそうに笑った。
ワンピースとブラジャーは取り去られ、果絵はショーツとストッキングだけの姿にされていた。
「ごめん。……破くかも」
裕馬はそう言いながら、ストッキングに手をかける。そして少し性急な手つきで、ショーツごと脱がせていった。ストッキングの脆弱な布地はその途中で、裕馬の宣言の通りに裂けてしまう。裕馬はそれを見て眉尻を下げた。安物なので気にしないでほしいと言いたかったが、そんな余力は果絵にはなかった。
取り去られるショーツという最後の砦を見送り、真っ赤になりながら羞恥を堪える。とうとう果絵は、裕馬の手により一糸纏わぬ姿にされてしまった。手で体を隠そうとしても、すべてが隠れるはずもない。手の隙間からは白い胸の肉が零れ、下も上手く隠せているとは言えない。そんな姿が男の劣情を煽ることに、果絵はまったく気づいていなかった。
「綺麗だね、果絵さん」
裕馬はそう言いながら、うっとりとした表情で目を細める。
「あ、あの。あまり見ないでいただけると……」
「こんな綺麗なもの、見ないのは無理」
きっぱりと言い切ってから、裕馬は自身のシャツを脱ぎ去っていく。均整の取れた美しい上半身が露わになり、果絵は目を泳がせてしまう。果絵の様子を見た裕馬はくすりと笑うと、頬にそっと口づけをしてきた。唇は何度か頬に訪れ、首筋へと移る。そしてぺろりと、首筋を舐め取られた。
「んっ……」
首筋に舌を這わせ、肌を吸い上げながら、裕馬は果絵の下腹部へと手を伸ばす。そして……。
「あっ……!」
すでに湿りを帯びている、果絵の花びらにそっと指を触れさせた。表面を優しく撫で上げられると、背筋にぞくりと甘い感覚が走る。その感覚をさらに引き出そうとするように、裕馬は優しく指を動かした。
「ま、待って。裕馬さん。ああっ!」
果絵は白い裸体を跳ねさせた。裕馬は嬉しそうに目を細め、花びらの上部にある『しこり』へと指先で触れる。
「待って、待って。や、あんっ。あっ!」
そこに触れられた瞬間に立ち上った強い感覚。果絵の体は、それに揺らされてしまう。強すぎる刺激に目の前がちかちかとし、なにも考えられない。
「ゆ、まさん。ゆうまさんっ……」
快楽を与える元凶である裕馬に救いを求めるようにすがりつきながら、果絵は甘く鳴く。蜜壺の奥からとろりと蜜が滲み、その雫は裕馬の長い指に掬い取られた。
「果絵さん、もっと声を聞かせて」
裕馬は囁きながら果絵の花びらを開き、隘路へと指を進めた。はじめて内側へと踏み込まれるその感触に、果絵はびくりと身を震わせる。
「裕馬、さん」
「怖がらないで、力を抜いて」
優しい声を耳に吹き込まれて、果絵の体からはわずかに力が抜けた。
「じっくりと解すから」
『じっくり』。その言葉に、果絵はなんとなく嫌な予感を覚えた。ちらりと見た裕馬の顔に浮かんだ微笑みは美しく、まさに清廉というものだ。
「ひあっ!」
優しげな微笑みを目にして、ほっとしたのも束の間。クリトリスを指の腹で強めに刺激され、果絵は小さな悲鳴を上げた。裕馬は刺激を与えながら、隘路へと指を一本ゆっくりと沈めていく。
「や、あっ。ああっ。ぁあんっ!」
裕馬は果絵が善がるところを見つけてはそこを嬉しそうに……そして丁寧に刺激していった。クリトリスを擦られつつ、内側を解されるうちに、強い快楽に意識は呑まれ果絵は高い声を上げるばかりになる。
「本当に……君は可愛い」
そんなことを囁かれれば体の熱はさらに上がり、隘路からは蜜が滲み出す。その蜜の助けを借りて、指は奥へと進んでいった。
一本、二本と指は増え、果絵の内側を優しく拓く。最初は感じていた痛みはいつの間にか消え、じわりじわりと快感が湧き出した。その快感は、どんどん大きくなっていく。
宣言の通りに、果絵の体はじっくりと時間をかけて拓かれていった。
「──ッ!」
柔らかで濡れた膣内を指がゆっくりと、あやすように撫でる。抜き差しを繰り返されるたびに快感が湧き上がり、甘く体を震わせ、高めていく。
「や……。ああっ!」
裕馬の指の動きに導かれ……果絵は声を上げながら達してしまった。他人の指で感じ、達するという経験はあまりにも鮮烈で、果絵は息を切らせながらしばしの間呆然とした。そんな果絵の頭を裕馬は優しく撫でてから、内側に収めていた指を引き抜く。
「果絵さん」
名を呼ばれて裕馬を見れば、その表情からは思わず息を呑むような凄絶な色香が漂っていた。
「……いいかな?」
裕馬はどこか切羽詰まった口調で訊ねながら、少し汗ばんだ果絵の額に唇を落とす。
処女の身ではあるが、なにに対しての許可を求められているかの察しくらいはつく。果絵は頬を熱くしながら、こくりと小さく頷いた。すると裕馬は、心の底から嬉しいという笑顔を浮かべた。
裕馬はまだ身に着けていたボトムスを脱ぎ捨てる。すると下着越しにくっきりと浮かび上がった、怒張した男性器が果絵の視界に入った。その大きさに、果絵は目を白黒させる。
(嘘。あんなに大きなのが……今から私の中に?)
酔いも醒めそうなその大きさに、果絵はすっかり怖気づいてしまう。
「果絵さん、恥ずかしいから見ないの」
裕馬はそう言いつつ照れくさそうにしながら、残っていたボクサーパンツを軽やかに脱ぎ捨てた。すると生々しい熱杭が、しなりながらその姿を現す。その全容を目にする前に、果絵は慌てて視線を逸らした。生々しすぎて、とても直視ができなかったのだ。そんな果絵の様子を目にして、裕馬はくすりと笑う。
「少しずつ、慣れていこうね」
「な、慣れるのでしょうか」
悪戯っぽい声音で囁かれ、果絵は顔を真っ赤にしながら返す。
「慣れるよ。これからいっぱいするから」
裕馬はそう言いながら、サイドテーブルの引き出しから取り出した避妊具を性器に被せた。
「これから、いっぱい……ですか」
「そう、いっぱい」
くすくす笑いながら、裕馬は果絵に覆い被さる。大きな手が果絵の足に触れ、ゆっくりと開かせた。空気がひやりと秘部に触れる。『そこ』に裕馬の視線が集中するのを感じて、果絵は羞恥といたたまれなさが混じった心地になった。
「……見ないで」
消え入るような声で果絵が言えば、裕馬は申し訳なさそうな顔になる。
「善処する」
彼はそう言うと、蜜壺に熱杭を押しつけた。粘膜同士が触れ合う生々しい感触に果絵は戸惑い、裕馬を見つめてしまう。裕馬は安心させるように果絵に微笑みかけると、ゆっくりと腰を進めた。
「んっ……」
狭い蜜口を、大きな先端が割り開く。その痛みに果絵は眉を顰めた。
「果絵さん、大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
痛みはあるが、耐えられないほどではない。それに……。
(裕馬さんは優しいから。私が痛がれば、きっと行為をやめてしまう)
人生ではじめての、好きな人と繋がる機会。果絵はそれを逃したくなかった。この夜が裕馬の気の迷いで、二度と抱いてもらえないなんてこともあり得るのだから。その想像には心が痛むけれど、抱かれなかった時の後悔よりもいいと思った。
「あまりにもつらかったら、ちゃんと言ってね」
裕馬は果絵の頬を気遣うように撫でてから、熱をさらに奥へと押し進めた。
隘路が熱によって押し広げられ、今までの人生で感じたことがない種類の圧迫感が果絵を襲う。
「やぁっ」
「つらい?」
心配そうに言いながら、裕馬は熱を引き抜こうとする。果絵は裕馬の腕に手を添えて、その動きを制した。
「平気、です。だって……裕馬さんの、ですから」
好きな人と繋がるための痛みであれば、耐えられる。そんなことを思いながら果絵が微笑むと、裕馬の頬に朱が散った。
「……拷問かな」
裕馬は絞り出すように、そんなことを言う。
「……拷問?」
それを聞いて、果絵は首を傾げた。
「無理をさせたくないからゆっくり進めたいのに。そんな可愛いことを言われると、今すぐに貪りたくなる」
激しい行為を連想させる言葉に、果絵の表情は少し引き攣ってしまう。
「大丈夫、そんなことはしないから。ちゃんと、優しくする」
裕馬は安堵を誘うように微笑むと、果絵の胸にそっと触れた。
「ん、んっ」
胸を揉みしだかれ、頂を優しく愛撫されて、果絵は小さな声を漏らす。裕馬の手の動きに夢中になっていると体からは自然に力が抜け、裕馬の熱が少し緩んだ隘路を少しずつ進んでいった。
熱がこつんと最奥を叩き、体同士がぴたりと触れ合う。裕馬はふっと息を吐いてから、心配そうに果絵の顔を覗き込んだ。果絵は裕馬に『大丈夫だ』というように微笑んでみせる。
「裕馬さん。私は平気ですよ?」
「本当に?」
「はい、裕馬さんが優しいので。平気です」
「優しくできているのなら、よかった」
二人は笑い合ってから、どちらともなく唇を寄せ合った。
「ん……っ」
最初は軽く啄むだけだった唇同士の触れ合いは、次第に激しいものになっていく。舌を絡め合っているうちに腰のあたりが痺れたようになり、果絵はきゅうと熱を締めつけていた。すると内側にある熱杭の存在がより明瞭に感じられ、裕馬と繋がっているのだという実感がじわりと湧く。
「果絵さん、動いてもいいかな?」
「大丈夫、です」
果絵の承諾を耳にした裕馬は、内側をじっくりと味わうような動きで腰を動かす。
「ん、あっ」
熱で内側を擦り上げられ、果絵はくぐもった声を漏らした。苦しくて、少し痛くて。だけど、その奥に甘い熱がたしかに生まれているのを感じる。
結合部からくちゅりと淫靡な水音が立ち、それを聞いていると耳まで犯されているような心地になる。
「裕馬さん、裕馬さんっ……」
名前を呼びながら裕馬に抱きつけば、優しい力で抱きしめ返された。そして力強く、体を揺さぶられる。
「あっ、ああっ! あっ……!」