ワンナイトした冷徹上司に一途な切愛で甘やかされて

書籍情報

ワンナイトした冷徹上司に一途な切愛で甘やかされて

著者:冬島六花
イラスト:かがり
発売日:2024年 8月30日
定価:630円+税

 

大手システム開発会社に勤務する加原明日菜。
彼女は、「鬼上司」と呼ばれている営業部長・黒岩史也にひそかに片思いをしていた――。
だが、仕事上ではただの上司と部下。迷惑をかけないよう自分の気持ちを隠していたのだが……?
ある夜、仕事終わりに史也からバーに誘われてしまう明日菜。
バーでは普段決して見られない史也の笑顔にどきどきと心臓が高鳴っていく。
史也から仕事での頑張りを褒められたり、楽しく夢見心地な時間についついお酒が進んでしまい――。
翌朝、目が覚めて最初に視界に飛び込んできたのは、見知らぬ天井だった――!?
「……君が良ければだが、僕と恋人として交際してくれないか?」
史也とワンナイトしてしまった、と焦る明日菜に彼は責任を取ると言ってきて……?



【人物紹介】

加原明日菜(かはら あすな)
大手システム開発会社の営業部で働く会社員、25歳。
明るくて素直な性格だが、恋愛に関しては不器用で臆病な一面を見せる。
酔った勢いで史也と一夜を過ごしたと思っていたのだが――?

黒岩史也(くろいわ ふみや)
明日菜が勤める大手システム開発会社の営業部長、30歳。
仕事に厳しく社内では「鬼上司」と呼ばれている。
だが、実は照れ屋で愛情深い性格をしていて……。

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【試し読み】
 

「もうっ、史也さんってば……ケダモノすぎますっ!」
 加原明日菜は、背後から自分を抱きしめる黒岩史也に訴えた。
 柔らかいブラウンに染めたセミロングの髪は、まだ濡れたまま。頬は朱に染まり、潤んだ焦げ茶色の瞳は、戸惑いの色に染まっている。
 結婚式を終えてやってきた、新婚旅行先のリゾートホテル。広々とした部屋のベランダからは、オレンジ色に染まった海へ沈みゆく太陽が見えた。
 夕暮れ時。シャワーを浴びてから街を散策して夕ご飯を食べようと企画した二人だが、予定通りにはいかなかった。史也に続いてシャワーを浴びた明日菜を洗面所で待っていたのは、熱い抱擁だったからだ。
 シャツに黒のスラックス姿の史也は、全裸にタオルだけを羽織った明日菜を見るや否や、抱きついてきたのだ。
 ――駄目ですよ、史也さん!
 ――だって、明日菜が可愛すぎるから……。
 かくして明日菜は、全裸のまま史也に羽交いじめにされた。
 史也は、すらりとした長身と切れ長の瞳に銀縁の眼鏡が印象的な青年だ。
 クールな眼差しを持つ彼の逞しい腕に閉じ込められれば、明日菜はもう、抵抗することなどできない。
(それにしても〝鬼上司〟だなんて呼ばれている史也さんが、プライベートではこんなにデレデレになるだなんて……)
 職場恋愛を経て結婚した二人は、上司と部下というかつての関係性からは想像できないくらいに、甘い甘い夫婦になっていた。
(ああっ、でも、これはさすがに恥ずかしすぎるっ!)
 洗面所の鏡に映った、艶めかしい裸体。愛撫に悶える自らの姿が、明日菜を煽っている。
「もう……、史也さんったら……」
「だって、君を見たら、可愛すぎて、我慢できなくなった」
 史也は、明日菜の首筋にキスをしながら答える。知性を感じさせる銀縁の眼鏡、すらっと通った鼻が顔のすぐ近くに来るものだから、明日菜としてはたまらない。
「でも……、ここではいけません! 少し落ち着いてください、ねっ!?」
 そうは言ったものの、実際のところ、高鳴る鼓動でどうにかなりそうなのは明日菜である。
 洗面所の明るい照明の下で見る彼の取り乱した姿と全裸の自分自身は、刺激的すぎた。
 それでも、なんとか理性を保っていられたのは、ここが自宅ではないからだ。ハネムーンで羽目を外すのは、新婚夫婦にはよくあることだろう。
 しかし、史也の愛撫は終わらず、逆にどんどんエスカレートしていく。
「ごめん……、少しだけ、ね?」
 史也はそう言うと、今度は耳たぶを優しく噛んできた。
「ふぁ……ん、そこ、弱いんですぅ……!」
 身悶えて、彼を遠ざけようと手を伸ばせば、抑えていた瑞々しい乳房がたわんだ。
 史也はすかさず、右手で明日菜の胸を支えるように包む。
「知ってる。ねぇ明日菜、胸の先はもう、こんなにぷっくり、立ち上がっているよ?」
 指先で円を描くように桃色の乳輪を撫でながら、史也は指摘した。
「あぁん、言わないでぇ……あっ!」
 乳首に走る、甘い刺激。
 史也は明日菜の胸を揉みしだき、先端の蕾を摘み上げたのだ。
「ああっ……、だめぇ……! 感じちゃいますっ……!」
「感じる? 気持ちっていいことかな? 明日菜」
「……は、はい」
 恥ずかしさで消え入りそうな声。それを史也は聞き逃さなかった。
「もっと感じてごらん。僕の可愛い妻を、たっぷり可愛がってあげたいんだ」
「あぁん! だから、ここじゃ駄目ぇっ!」
 甘い声を漏らす明日菜だが、彼の愛撫は止まらない。
 膨らみの先端を、指で摘んだり、弾いたりし始めた。
 そして空いていた左手を、するすると腰から下半身へ滑らせていく。
 左手が股座へ到達すると、明日菜の脚を開かせ、その奥へと手を伸ばした。
「こっちも……もうこんなになってる……」
 手のひらで茂みを揉み込まれると、肉丘はすでに、むわっと湯気が立つほどに熱い。
「あ……、そこは……!」
 秘裂を割り人差し指で花芯に触れられれば、自然と身体が跳ねた。
 そのまま秘裂に沿って動いた彼の指先は、すぐに愛蜜にまみれる。
「もうこんなに濡れてる……。ほら、聞こえるかい?」
 クチュリという水音がした。それはたしかに、自分の股座から聞こえてきたものだ。
「い、いゃぁ……」
 恥ずかしさに、手で顔を覆う明日菜。だが、彼は容赦しない。そのまま指を中へと侵入させたのだ。
「あぁっ! ……もう私、立っていられませんっ」
 膝から崩れ落ちそうになった明日菜を、史也が抱きとめた。そのままもう一度、鏡の前に立たせ、二人の姿がしっかり映るように姿勢を正す。
「あぁ……ん、こんなところで……!!」
 ふるふると小さく震えながら、明日菜は姿勢を崩すことも許されず、鏡を見た。
 鏡には蕩けきった表情の自分が映っている。潤んだ目、上気した頬、だらしなく開いた口元――。
(こんな顔を、史也さんに見られているだなんて……!)
 背後から抱きしめる史也はまだ涼しげな表情だ。羽織ったシャツから、鍛えられた筋肉がちらりと覗いている。
 乱されている自分と余裕のある史也というコントラストに、明日菜はますます興奮してしまう。
「ベッドまで我慢できないのだろう? ほら、もっとしっかり、脚を開いて立ってね」
 史也の言葉に、明日菜はおずおずと脚を開く。鏡の前に晒した秘裂は、すでにしっとりと濡れそぼっていた。
「史也さんっ、見ちゃ、いやぁ……!」
 明日菜はいまや、立っているのがやっとの状態だ。
「いいや、君の姿は、しっかりと目に焼きつけておくよ……」
 史也は鏡越しに明日菜を見つめ、優しい手つきで秘裂に触れた。そして敏感な突起を、潤んだ秘裂を、リズミカルに指先で擦る。
 明るい場所で愛する夫に見られながら全裸で乱れる姿は、明日菜からますます劣情を引き出した。
「ふぁ……んっ! だ、駄目駄目っ、史也さん、それなら眼鏡は外してくださいっ!」
 せめてもの反抗として、明日菜は史也の眼鏡をそっと取った。
 強烈な刺激に腰を引いたら、スラックス越しに史也の剛直を感じた。すでに彼のものも、熱く、固くなっている。
(史也さんも、興奮しているんだ)
 同じ気持ちであることを嬉しく思うものの、兎にも角にも今は逃れようとしたが、後ろには史也がいるため、逃げることはできない。
「……ごめんよ。そうだね、これでいいかい?」
 おとなしく明日菜に眼鏡を奪われた史也は、いつもより低い声で尋ねる。
 誠実そうな目が、欲望剥き出しの獣の色を帯びていた。
「は、はい……!」
 明日菜は小さく首肯した。眼鏡を畳み、そのまま手に持つ。
「眼鏡は落とさないよう、気をつけて」
 鏡の中の明日菜に微笑みかけると、史也は花芽を指で突く。
 先ほどより少し強く、トントンとリズミカルに叩くような刺激を与えられる。
「いやぁっ! 下は、もう、ゆるしてぇ……!」
「刺激が強すぎる? じゃあ、こっちももう少し、弄ってあげよう」
 史也はそう言いながら、今度は胸の頂を摘んだ。
「あんっ、くぅ……そっちも駄目っ……!」
「どうして? ほら、こんなに固くなってるよ?」
 胸の突起をコリコリと指で扱きながら、史也は尋ねた。
「だって……、両方されたら、おかしくなっちゃうからっ……」
 鏡の中で喘ぐ明日菜と目を合わせたまま、史也は指先で彼女の敏感な部分を弄り続ける。
 眼鏡を外してもなお、強い目力は明日菜を蕩けさせるのに十分だった。
「おかしくなっても、いいんだよ? ……ただ、僕の眼鏡は大切に、手に持っていてね」
 いつもは優しい史也だが、今日は少し違う。
(眼鏡を持っていろだなんて……それじゃあ私、逃げられないじゃない!)
 かつて〝鬼上司〟だった史也も今では、すっかり新妻の明日菜を甘やかす愛しい人になっていた。
 けれど、身体を合わせるときだけは、妙に意地が悪い。
 史也は鏡越しに明日菜を見つめながら、ふたたび割れ目に指を這わせた。
 彼の指先は的確に、明日菜の急所をとらえている。
「明日菜……自分で腰を振って、気持ちいいところを僕の手に当ててごらん?」
 熱い吐息とともに、明日菜を試すような言葉が囁かれた。
「そんな恥ずかしいことっ……できません……あっ、んんっ!」
 無理だと首を振るものの、身体は正直だ。
 快楽を求めて、自然と腰が前後に揺れる。
 グチャ、ヌチャ、という湿った水音が響き、溢れた蜜が史也の手を濡らす。
 充血した花芯が彼の手に擦れれば、より快感を得やすくなっていく。
(ああ、なんて淫らな……でも、これが嬉しいなんて思ったら……変、かしら)
 唇の端から、自然と甘い吐息が漏れる。
「君の蕾(つぼみ)は可愛いね。上も下も、ぷっくり膨らんで固くなってる」
 史也の左手は秘所に押し当てられたまま、空いた右手で胸への愛撫を続けられる。
「あっ……ぁあっ、やっ、それっ……反則ですぅ!」
 大きな手のひらでやわやわと胸を揉まれ、乳輪を指で撫でられ、不意打ちで先端をキュッと摘まれるたび、甘い痺れが走った。
(気持ちいい……けれど、やっぱりもっと、強い刺激が欲しい)
 自ら腰を動かし、史也の手に秘所を擦りつけて得る快感は、身体を昂ぶらせるものの、絶頂を迎えるのには足りない、もどかしいものだった。
「今の明日菜の顔、すっごくいやらしくて綺麗だよ」
 史也に囁かれ、ハッとして顔を上げると、鏡の中の自分と目があった。
(あ、私、こんなに乱れてる)
 淫らに腰を揺らしながら、とろんとした目をしている。快楽に蕩けた雌の表情だ。
 その後ろには着衣のまま微笑む史也の姿。着衣の男と全裸の女という非対称性の卑猥さは、より二人を興奮させる。
「明日菜、このままここでイきたい? それとも……」
 答え方に迷って、明日菜は黙り込む。
 本音を口にすることは、あまりにも淫らで憚られた。
「それは、その……」
 思いあまって、明日菜は口をつぐんだ。
 業を煮やした史也は、さらに追い打ちをかけてくる。
「それとも、他の場所で、この先を望んでる……?」
 史也の声には余裕があった。この状況を、楽しんでいるのだ。
 一方の明日菜はたじたじだ。史也の腕を掴み、少し逡巡した後、自らの思いを口に出す。
「はい、寝室で続きをしたいです。史也さん、その……挿(い)れてください」
 消え入りそうな明日菜の答えを聞いた途端、史也はフッと笑った。
 その表情に、全身が悦楽への期待で疼く。
 明日菜は眼鏡を優しく手に持ったまま、もう片方の手で史也と手をつなぎ、寝室へ向かうのだった――。

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