極上社長と偽装の蜜月を過ごすことになりまして ~淫靡な新婚旅行から始まる真実愛~
著者:乃村寧音
イラスト:小島きいち
発売日:2023年 6月16日
定価:620円+税
前の会社を退職していた千尋は友人の紹介でジュエリー販売の事務所に雇われ、そこで社長の拓馬と出会う。
仕事ができるだけではなく、優しく真面目な人柄の拓馬に次第に惹かれていく千尋だったが……。
そんなある日、拓馬が婚約破棄をしたという話を知ってしまう千尋。
キャンセルできないという理由で予約されていた新婚旅行になぜか千尋が誘われて――!?
拓馬の婚約破棄を機に仕事でもプライベートでも距離が近づいていく二人。
拓馬から誘われた食事の場で、彼の過去や婚約破棄についての真実を伝えられた千尋は――。
二人きりの食事を楽しんだあと、そのまま激しくも淫靡で極上な一夜を過ごす。
「なんで? ……ほら。甘くて美味しいよ」
旅先のバリ島でも熱い毎夜を過ごす二人だったが、新婚夫婦として扱われることに千尋の心は揺れ動いてしまい……?
【人物紹介】
前田千尋(まえだ ちひろ)
ジュエリー関係の事務所に勤務する29歳。
複数の言語を扱うことができる。
社長である拓馬から新婚旅行に誘われて――?
西川拓馬(にしかわ たくま)
貿易会社の敏腕社長。29歳。
結婚願望がないために偽装の婚約をしていたのだが、千尋と出会って――?
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【試し読み】
「んぅ……ふ……んッ……」
口づけが繰り返される。舌先で唇を割られ、中に入り込んでくる。何度か行きつ戻りつしているうちに、わたしの唇が緩んで、最初は優しかったキスが、口腔を探る激しいものに変わっていく。
(いま……どうなんてるんだろ……ここ、どこ?)
うっすら目を開けても、自分がどこにいるのか全くわからない。ただ、とりあえずベッドの上で、目の前にいてキスしているのが西川社長だ、ということはわかる。
(どうしてこうなっちゃったんだっけ……?)
思い出せないけれど、キスやわたしを撫でまわす手が心地よくて、どんどん何も考えられなくなっていく。
唇は首筋に移動した。お互いすでにほとんど服は着ておらず、下着を身に着けている程度。ピンクベージュのブラジャーとショーツはまだ脱がされていないみたい。
「しゃ……社長……」
「それはやめてよ。同じ年なのに。拓馬、って言ってよ」
小さな、囁くような声。
(そうか……そうだよね……だってこんなことしてるんだもん……)
意識は戻ったものの、まだふわふわしている感じ。
「た、拓馬……。そしたらわたしのことも、千尋、って呼んで」
「うん、わかった」
拓馬の唇が首筋を這いまわり、胸元に落ちていく。次第に体の奥に熱が溜まっていく。
(どうなっちゃうの……)
時々ハッとして、怖くなる。だってこんなこと、何年ぶりだろう。前にどうしてたのか、思い出せないくらい……。
トク……トク……トク……心臓の音が次第に早くなっていくみたい。わたしは仰向けで、脚と脚の間に拓馬の身体がある。想像通り、いやそれ以上に、やせ型だけど引き締まっていて、程よく筋肉がついた素敵な身体。
(こんな素敵な人となんて、初めてだよ……どうしたらいいの)
拓馬の手が背中に入ってきて、ブラジャーのホックを外した。胸が溢れる。
「想像より……大きいしきれいだな」
拓馬が右胸にしゃぶりついてきた。そのまま乳首を舐め回される。すぐに固くしこり、胸の奥に甘い切なさが走った。
「んっ、あ、あぁん……」
固くなればなるほど敏感になる。舌先で先端を舐られると、甘い呻きが口からこぼれた。身体の奥まで快感が流れ、下腹部が熱くなる。閉じられない脚をバタつかせた。
「ふぁんっ……」
強い快楽に、逃げたくなる。でもすぐに肩を掴まれ、身体を抑えられる。次は左胸。
「千尋はおっぱいが感じるみたいだね。いっぱい弄ってあげる」
西川社長の目はわりと冷静な感じで。
「や……あ。あぁぁ」
こんなこと……何年ぶりだろう。もう五年くらいご無沙汰だったから……。このまま二十代が終わってしまうのかと思っていたのに、なぜかこんなことになってしまった。
(やだ……どうしよう。気持ちいい。もしかしてだいぶ、溜まってた?)
生きることに必死だったから、セックスのことなんかどうでもいいと思っていたけれど、よく考えたら自分の体を労わってあげることさえ忘れていた。
(どうやらわたし、癒されたかった……みたい)
寝た子を起こされた感じ。のんびり化石になっていたのに、掘り出された。こうなってしまうと──。途中では止まれない。
太腿に手が触れる。そのまま撫でまわされ、次第に脚の付け根に届き──。ショーツのクロッチ部分を拓馬の指先が弾いた。
「乳首はカチカチだけど、ここはどうなってるかなぁ……?」
意地悪な言い方なのに、響きはちょっと甘い。この人はこういうとき、こういう声で話すんだ、と思った。
「だ、だめ」
だめじゃないのに……。思わず言うと、
「だめかどうか、確認しなきゃ」
耳元で囁かれ、軽く耳たぶを噛まれた。どこもかしこも敏感になっていて、びりっとした刺激が全身に、特に下腹部に──影響を及ぼす。
拓馬の指はクロッチの真ん中の、女の一番デリケートな部分を、内部の割れ目に沿って何度か前後に動かした。
「や、あ……」
恥ずかしくて顔から火を噴きそう。だって。
「ってゆーか、これ、履いて帰れないんじゃない? すでにいっぱい染みてるよ。たったこれだけで……。ねえ、蜜、多いほう?」
少し意地悪な感じで、拓馬が言う。
「やっ……言わないで」
「可愛いなぁ。すっごく可愛い。最初から、面接の日からそう思ってたんだよ。でもまさか、こんなことになるなんて思ってもみなかったけど……。うれしいよ。じゃ、脱がせちゃうね。これ以上ぐちょぐちょにならないうちに」
拓馬はそう言って、さっさとわたしの脚からショーツを抜き取ってしまった。
何も身に着けていない。全裸……。
拓馬もボクサーショーツを脱いで裸になる。薄暗いからよく見えない。
(恋人同士でもなんでもない男性に裸を見せるなんて、わたしの辞書には書いてないんだけど……)
でもとっくに大人だし、お互いに決まった相手もいないんだから、別に悪いことをしているわけでもない。こういうのを俗に『遊び』っていうのかな。
(それにしても本当になんで、こうなったんだっけ?)
心もとない。何がなんだかわからないまま、でも身体だけは反応しまくってる。
拓馬がわたしの上に来た。さっきのように、脚の間に。目があって、キスされた。さっきよりも素早く舌がねじ込まれる。口腔内を愛撫されると、気持ちよくて思考がぼんやりとしてくる。何も考えられなくなる。太腿を撫でる手が内側に入り、指先が割れ目を撫でた。
「んふぅっ、う、うぅぅ」
ツーっと何度も指先が割れ目に沿って動くと、そのたびに奥から降りてくる蜜が周囲に溜まり、熱く腫れあがってくる感じがする。
(だめ。久しぶりすぎておかしくなりそう)
キスで唇を塞がれたまま、拓馬の指先が花びらをかきわけ、人差し指が差し込まれた。狭い隘路を押し開くように……。
「んふっ、ぁあっ、あ……」
唇が離れ、キスから解放されたけど、それどころではない。じんじんした痺れのような快感が、花芯やその周辺、そしてその奥へと広がっていく。お腹の奥はさっきからずっと熱を持って疼いているし、すぐに息が上がってきて喘いでしまう。
「すごい。いっぱい出てきた」
拓馬が感心したように言うけど、わたしはそれどころじゃない。
「あぁ、だめぇ……やだぁ……あ、あぁぁ」
「嘘つきだなぁ。本当に嫌だったら、こんなことになってないでしょ」
拓馬が指を二本に増やし、蜜壺の内壁をそうっと撫でる。奥からひっきりなしに降りてくる蜜のせいで、ぐじゅぐじゅといやらしい音がする。
「ぁああっ……。ひ、久しぶり、すぎて、よくわかんないのぉ……」
「ふうん。どれくらい、してないの?」
「わ、わかんない……五年、くらい……」
「そっか、セカンドバージンみたいなもんかな。じゃあ、よく慣らさないとね。でも大丈夫だよ、千尋のここ、いっぱい濡れてるから」
じゅぶ、と音を立てて動かしながら、拓馬が蜜壺から指を引き抜いた。
「ほら、すごいだろ? 透明で、ぬるぬるしてて、指にまとわりついくる」
指を目の前で左右に動かされ、恥ずかしさでカァっと血が上った。拓馬も上気している。
「やだ、見せないで……」
「なんで? ……ほら。甘くて美味しいよ」
拓馬が指先をぺろりと舐めた。
「だめ、そんな……」
「さっき久しぶりって言ってたからさ、絶対痛く無いように、気持ちいいようにしてあげる」
両ひざの裏に手を入れて持ち上げ、大きく開かれた。恥ずかしく、脚を閉じたくなるけれど、体に力が入らない。
「あっ……あ、あぁ、いや……っ、く、う……」
拓馬がわたしの両脚の間に顔を埋め、蜜壺の間の割れ目に口をつけた。熱い吐息を感じ、ぬめった柔らかい舌が花弁のあたりを這いまわる。
「ひ……ぁ、ぁああ、やぁぁぁっ、んっ、あ、あぁぁ」
びちゅ、ぬちゅ……ぐちゅっ……。淫らな音が部屋中に響いている。舌は花弁の奥の蜜壺の入り口に進み、丹念に舐めあげ、内部の形を確かめるかのように奥まで差し込まれた。
「んぁっ……く、うぅぅ」
指も差し込まれた。広げるように動かしながら、壁をさすり、恥骨の上側の敏感な箇所へ……。指先でトントンと押され、
「あっ、あっ、あああああ!」
ぶじゅっ、と奥から溢れてきた。
「ここ、気持ちいいんだね。わかった。ふふ、軽くイったかな。もうドロドロになってきたよ。中も柔らかくなってきた」
(やだもぉ……何もわかんなくなる……)
ここまでの段階ですでに、これまで経験したどのセックスよりもよくて、反応のいい自分がなんだかうらめしいくらい。
再び拓馬が顔を伏せ、まずは軽く花びらにキスをし、唇と舌で愛撫を始める。上側の花芯に触れないように周りを舌でゆっくり、押すように動かす。
(あ、これ、やばい)
彼氏はいないけど、もう大人の女だから、時折、どうしても寂しいときは──。指を使って自分を慰めることがあった。わたしは花芯が感じやすいので、直接弄られるのは痛くなってしまうことが多くて──。だけどこんなに優しく舌で愛撫されたら……。
(彼氏たちは、してくれなかったな……)
恋人だった人は二人しかいないけれど、こんな風に愛された記憶はない。こんなに丁寧にしてもらうのは、初めてだ。セックスなんて、つまらないものだと思っていた。
(この人のことは、素敵だと思うけれど……でもつき合っているわけでもないし、愛を誓い合ったわけでもない。でも、こんなに感じちゃうんだ……)
なんだかしみじみしてしまう。体って……不思議だなあ。
慣れない刺激だけど、むず痒いような、奥から快楽が滲んできてしまうような感じ……でもそのうちに、
「あっ、ぁああっ、やぁぁっ、も、もっとぉ……」
じわじわと強まってくる快感に、焦れてしまった。
「ん。やっとおねだりモードになってきたね……」
甘く優しい感じで、拓馬が言う。
「ぁあああんっ、じ、焦らさないでぇ……っ」
わたしが背中を反らし、腰を浮かせて身もだえしているのに、拓馬はじゅる、じゅる、と音を立ててどんどん溢れてくる蜜を舐めとっている。そうしながら、花芯の周囲をそっと舌で愛撫し続けていて……。わたしの思考は、真っ白になって溶けだしていた。
「あ、あ、あぁんっ、拓馬っ……。お願い、もう」
瞬間、舌先で花芯をトン、とつつかれた。弾かれたように、全身が撓る。
「ひぁっ!」
腰を引き寄せるように抑えられ、唇で花芯が包まれたかと思うと、舌先で上下左右に嬲られた。身体がビクビクと痙攣し、
「あ、ぁああ、あ、あ、ふあぁっ、あ、あぁぁぁぁぁ──っ」
快感がぎゅっと塊になって爆発した。ビクンビクンと大きく体が跳ねる。どろりとした蜜が熱い下腹部から流れ出てくる。
目の中でパチン、と火花が散り、それは一度だけでなく何度も散って……。
(こんなの、初めて……)
「さてと、本番行きますか」
拓馬が体を起こし、わたしの髪を撫でながら言った。
避妊具をつけ、濡れそぼった蜜口に熱いモノを当てがう。わたしは朦朧としていて、あまりちゃんとわかっていなかった。
ぐぶ。ぐぶぶ。
花びらをかきわけ、膣壁を広げるように拓馬の大きなモノが入ってくる。
「んあぁ、あぁぁ」
内臓を押し上げられるような重圧感に、わたしは喘いだ。
(久ぶりだし、大きいし、こんなの入るかな)
今さらながら不安になったけれど、こうなってしまったらもう逃げたり、途中でやめたりはできないだろう。
痛い……とまではいかないけれど、すごい圧迫感。それにすごく熱い。
「んくっ、んはぁっ、あぁぁぁぁぁ」
下半身はガッチリ固定されている。その状態で、拓馬はゆるゆると腰を動かす。
「ん……少しきついけど、いいよ……すごくいい」
「あ、は、あ、あぁん」
喉の奥から甘い鳴き声が漏れる。
さらにぐうっと押し込まれ、身体の中がいっぱいになってきた。激痛ではないけれど、奥の方が少し痛い。
「大丈夫?」
「だ……いじょうぶ」
息も絶え絶えに答えると、察してくれたみたいでキスされた。今日はもう何度もキスしているけど、だんだん慣れてきたみたいで、舌を絡められるとすぐに甘く蕩けてしまう。知らず知らずのうちに身体から力が抜け、新たな蜜がじわりと膣奥から溢れてきた。
「動くよ」
拓馬はそう言って、ゆっくりと腰を引く。すると、ぎゅっと奥が締まって、じゅぶっと音を立て、蜜が流れ出た。
キスをされて。そうしたまま、また、押し込まれる。
「んっ……」
無理やり何度も突いたら、きっと痛い、と思ってこうしてくれているのがわかる。わたしの身体から力を抜くため、キスをしてくれてる。
(上手なんだ。それに、優しい……)
遊ぶなら、こういう人と遊ぶのがいいんだろうなと思った。彼女になれなくても、こんな風に抱いてくれるんだったら。
(わたし、何を考えてるの? もしかして彼女になりたいの? でもダメだよ、この人とはそういう関係にならないほうがいい。だって、素敵すぎるから、一生残る火傷になっちゃうかもしれないもの。拓馬もそんなつもりはないだろうし…… )
ゆっくりと何度も突かれているうちに、蜜が増え……。困ったことに、どんどんよくなってきた。
「ふ……あ……ぁあ」
喘ぎ声の響きが甘くなったのを気づかれたのか、拓馬の動きが激しくなった。じゅぶ、じゅぶ、静かな部屋に水音が響く。
「いやらしい音、してるね……。千尋、すごく可愛いよ……」
「や……恥ずかしい……あ、あぁぁぁ、いいっ……」
拓馬が体を起こすようにしながら、上側を突くように動きを変えた。気持ちいいところに当たってしまう。快楽のポイント。
「やっ、そこ、だめぇっ……」
「ここだろ? さっき確認しといた」
探すような動きが定まって、押すように動かしたり、軽く突き上げたり。そのたびに声をあげてしまう。
「ふあっ、あ、あ、あぁぁ」
わたしが腰を浮かしそうになるとそれを抑えて、さらに打ち込んでくる。
「く、あ、あぁぁぁっ」
口の端から涎が零れ、じゅっ、と何かが漏れた。
(やだ。おしっこ……?)
「ご、ごめんなさい……」
小さな声で謝ると、
「また、イッた。三回目かな。なんで謝るの?」
「だってなんか、漏れちゃった」
「漏れたというか、吹いたかなぁ。可愛いね。そんなん、いいに決まってるだろ……さて、そろそろ俺も限界なんで」
拓馬が切なげな表情でわたしを見下ろす。
膝裏に手が添えられ、大きく開かれた。角度が変わり、さらに深く腰を押し入れられる。最奥に当たった。