奥手なバリキャリですが、S系エリート社長が強引溺愛して離してくれません

書籍情報

奥手なバリキャリですが、S系エリート社長が強引溺愛して離してくれません


著者:北条歩来
イラスト:岡舘いまり
発売日:2024年 4月26日
定価:640円+税

大手化粧品メーカー営業部長で仕事一筋な月島千沙都は、友人の結婚式に参加していた。
新郎側の友人としてそこにいたのは取引先の社長・久我葉真で――?
プライベートな姿を見た千沙都はいつもより彼のことが気になってしまう。
だが、過去の経験から恋愛に苦手意識がある千沙都は久我への思いに二の足を踏んでいた。
久我から二次会で声をかけられ、乾杯に応じる千沙都。
香り立つ色気と男らしさ、見透かすような瞳に彼女の心は乱されていく――。
二次会がビンゴゲームで盛り上がる中、久我は千沙都にある提案をもちかけてきた……!?
宣言通り久我がホテルの宿泊券を当てたため、彼と朝まで過ごすことに。
バーで久我との会話を楽しむ千沙都だったが、隠し続けていた彼への興味が加速していく。
そうして差し出された彼の手を取り、高層階にある客室へと向かった……。
「月島さん、今夜は俺に流されてみて」
惹かれていた久我からのキスに応えてしまった千沙都は――!?



【人物紹介】

月島千沙都(つきしま ちさと)
32歳の大手化粧品メーカー営業部長。
自分を持っていて落ち着きがあり、立ち振る舞いが美しい。
後輩社員からも憧れられている。
一方、恋愛は奥手で過去の失敗をひきずっており、目を背けてきたのだが――!?

久我葉真(くが ようま)
SNS特化型広告代理店、代表取締役社長。27歳。
明るく大胆で強気な性格で、頼りがいを感じさせる。
異性から惹かれやすく、また仕事柄、軽薄に思われるが実はとても一途。
以前から千沙都のことが気になっており――?

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【試し読み】

 

 不埒な考えが浮かんでは消えを繰り返し、答えに迷う。その間も、久我は控えめながらも思考を奪うようにくちづけてくる。
「ん、……待って……」
「待ってるよ。でもキスくらいはさせて」
 キスくらいというが、千沙都にとっては大ごとだ。柔らかく啄まれるたびに、思考の自由が奪われるよう。それでも必死で理性を働かせる。
(やっぱりこんなことは……)
 一度関係を持ったら、すべてが変わってしまうと思うのに、彼が醸す色香に染まっていくようだ。
「俺がたっぷり甘やかしてあげる」
「っ……ん」
 キスの合間に紡がれる誘い文句に、容易に心が乱される。よくないことと理解していても、気持ちが真逆へ走り出すのは背徳感のせいだろうか。
 彼とひとつになれる機会はきっと今夜だけ。断れば、彼も二度と誘ってこない気がする。
 しかし、この先にあるものは彼の言う通りリスクしかないだろう。これまで築き上げた信頼や実績が崩れ去る恐れもある。それはきっと久我にとっても同じなのに、なぜこんなに求めてくれるのだろう。
「……久我さんはそれでいいの?」
「うん。愛し合ってくれるなら、手を握り返して」
 これまで見てきた久我の姿が、目の前の彼に重なる。
 覚悟のように感じられる色欲を灯して、彼の手が優しく包み込んできた。
 まさかこんなことになるとは思いもしなかったが、千沙都の心は求められる悦びに靡いている。彼の軽薄さよりも、決して揺らがないまっすぐな瞳に流されてしまった。
 そっと手を握り返す。感じたことのない緊張感と色香に背を押されるように、今夜を楽しむためだけの大人の秘密の約束を交わした。
 すると、啄まれていた唇がしっとりと長く重ねられ、吐息ごと奪われていく。すでに蕩けていた唇を愛でるように舐められたら、背筋がゾクッと震えた。
「千沙都さん」
「っ……!」
 久我が真上からじっくりと眺めてくる。
 角のない艶気を含んだ彼の声で名前を呼ばれると、遠ざかっていた恋の感覚をさらに呼び起こされるようだ。
「名前で呼んでいいよね?」
「……」
 小さく頷くと、彼は微笑みとともに千沙都の髪を撫でてから上体を起こした。ベストを脱ぎ、解いたネクタイは首に垂らしたまま、Yシャツのボタンをすべて外していく。
(わわっ! ちょっと待って!)
 煌々と点いた明かりなどお構いなしに、半裸になった久我の姿に戸惑う。はだけたシャツからのぞいた肌を一瞥しただけで、千沙都は自由を得た両手で顔を覆い隠した。
「緊張してる?」
 小刻みに頷いて答える。
(いま、絶対に顔真っ赤だもの。心の準備ができてないのに! ……っ!?)
 彼の指先が耳の形をなぞり、首筋へ降りていく。千沙都の細い肩が小さく震えた。
「そういうところも可愛いけど、ちゃんと俺を見て」
「んっ……!」
 顔を覆い隠したままでいると、鎖骨のあたりを指先で踊るように辿ってくる。
「甘えた声も、訊かせてくれる?」
 くすぐったいような、煽られるような感覚に耐えきれず、千沙都は指の隙間から覗き見た。
(――っ!)
 久我が冷然とした顔つきで見下ろしていた。
 鋭利な眼差しは美しく、彼の秀麗な顔立ちをより魅力的に感じる。余裕などないのに、千沙都は見惚れてしまった。
 カクテルのような綺麗な薄茶色の瞳に取り込まれ、無駄のない男の体躯の色気に千沙都の奥が熱を帯び始める。
「千沙都さんの心の傷は、俺が治してあげる」
 久我の手がワンピースの背中に滑り込む。
「っ……待って、久我さん」
「もう待たない」
 ファスナーを下ろす間も目を逸らすことなく、彼は千沙都を逃さない。
 滑らせるようにワンピースが肩から落とされ、慌てて前を隠す。交差した両腕の下には、漆黒のブラジャーしか着けていない。
(こんなことになるなら、もっと可愛げのあるブラを着けてくるんだった)
 後悔先に立たず。日頃から仕事ばかりで色気のない私生活をしていたせいだ。祝席用に着飾るなら、手を抜くべきじゃなかった。服に響かないので重宝しているブラは、飾り気がないうえに少しよれているし、ショーツだって新品ではないとわかる肌馴染みのよさだ。いくら腰のあたりで紐を結ぶセクシーさがあっても、完全に普段使いの下着姿を見られて、途端に恥ずかしくなってきた。
「……あの、電気消しませんか?」
 消え入りそうな声で千沙都がつぶやく。すると、久我が肩紐に指をかけてきた。
「消したら見えないでしょ? 勝負下着じゃないとか、そういうことを気にしてるの?」
 男性に抱かれる時くらいは、一番いい下着を着けていたい。相手が久我なら尚更だ。今夜だけなのに、記憶される自分の姿がこれだと思うといたたまれない。
「きゃっ!」
 脱ぎ掛けのワンピースがするりと剥ぎ取られた。片手で前を隠しつつ両膝を閉じれば、パンプスも脱がされて、下着だけの半裸にされる。
「これはこれで十分そそられるけど。日頃からこの下着を着てるなら、考えただけで興奮する」
「な、なにを言って……ん、あっ」
「だって、スーツの下がこれって時もあるんでしょ?」
 彼の指先が臍のあたりを通って、ショーツにかかった。肌に触れられるだけで甘く悶える千沙都を、久我はじっくりと見つめてくる。
「さっきから思ってたんだけど、千沙都さんって敏感?」
「わかりません!」
 恥ずかしすぎて、ぷくっと両頬を膨らませて顔を背ける。敏感かどうかなんて訊かれても答えられるはずもない。それに、彼の指先のタッチがいやらしいせいだなんて言うのは憚られる。
 そんなやりとりをしている間も、久我の指先は千沙都の臍の周りを往復する。
「千沙都さんのココまで、俺のでいっぱいになると思うから、先に言っておくね」
「……」
 プイとそっぽを向きながらも、子宮は彼を感じたくてうずうずしている。ショーツに秘めたあわいは、膝を閉じていないと濡れてしまいそうだ。
(お願い。もう焦らすように触れないで……。感じちゃう)
 自分の身体が敏感なのは百も承知だ。耳に吐息がかかれば甘い声が漏れるし、熱い舌で肌を舐められれば蜜孔から愛液がとろりと溢れてくる。キスだけで双丘の飾りが反応してしまうほど敏感だから、こうして拗ねたふりでもして、冷静を保とうと必死なのに――。
「あっ、やだっ!」
 久我が閉じた両膝を割った。ショーツの船底が彼の視界に入ったのだ。指先で蜜孔のあたりをつついてくる。
「っ、あっ!」
「もう濡れてるの?」
「やだっ、あっ、あぁっ……」
 ショーツの中でぐじゅっと音がする。
(下から触られるなんて……!)
 彼の前戯には順序というものがないらしい。最初から陰部に触れられて驚く間も、淡い快感に腰が疼いてとまらない。片手で胸元を隠し、もう一方でつついてくる彼の手を押さえた。
「なに? もっと?」
「ちがっ……あ、あっ」
 リズムを速めた彼の指が、まるで律動するように動く。そのたびにショーツが擦れて、淫蕾が主張しはじめた。
「やっ、あぁっ」
「……あー、早く挿れたい」
 久我が本音を漏らすように呟くと、はだけていたYシャツを脱ぎ捨て、スラックスも放り、濃紺のボクサーパンツのみの体躯を晒した。
(……やっぱりしたいだけ? 騙されたのかも……)
 ついさっきまでは愛し合おうとか、心の傷を治すだとか言っていたが、リップサービスなのだろう。据え膳食わぬは男の恥とはよく言ったものだ。彼が本気でないことは薄々感じていたが、言葉の端々に想像と違わぬ軟派さを見るようだ。
 しかし、彼の手を握り返したのだから、今さら戻ることなどできるはずもない。もしかしたら、彼だって真面目に向き合ってくれているのかもしれないと、一縷の望みにかける。
「っ! 待って」
「待たない」
 胸元を隠していた手が奪われ、ブラジャーも外されてしまった。ぷるんと顔を出した恥じらい色の乳房に視線を注いだのち、しっかりと千沙都の瞳をとらえる。
「千沙都さん、念のためもう一回言うからね。俺は適当に相手を見繕って抱いたりしないし、エッチしたいだけで誘ったりもしない。どんなに酔っててもそれだけは守る」
「……本当に?」
「本当に。選んだ相手とひとつになりたいと思うのは、自然なことだと思わない?」
「思います、けど……」
 久我の言うことはごく普通のことだが、互いに想い合う関係ならば納得できるだろう。しかし、あくまでもふたりはビジネス上の関係しかない。
(選んだ相手って、どういう意味……?)
 エッチをしたいだけでもないというなら、なぜ彼に選ばれたのだろう。再び食むようなキスに吐息を漏らしつつ、千沙都は酔った頭を必死で働かせる。
「好きだよ、千沙都さん」
 彼の口が紡いだ愛の意味や告白めいた言葉の真偽を問う余裕は皆無だ。早くも快感に身を委ねたくなるほど、彼の色香の渦に堕ちかけている。
 そして、今夜くらいは欲望に素直になっても罰は当たらないはずと、己の誤った判断を肯定してしまう。
「俺は千沙都さんを傷つけたりしない」
「……久我さん」
 たとえ一度きりの関係だとしても、彼の優しさが千沙都の背徳感を甘やかす。
「約束する」
 彼はわずかに唇に触れてから鼻先で距離を取り、気持ちを何度も確かめてくる。
 いくら本当だと言われても、信じられるわけではない。傷つけないという約束も今夜限りだろう。彼がどういうつもりで誘っているのか、淫らな姿にされてもなおわからない。
 だが、考えたところで答えは彼しか持ち合わせていないのだ。
 ついに諦めた千沙都は、キスに応えて見つめ返した。
 久我の手が下りていき、乳房の形を変える。下から持ち上げるように双丘を包み込み、ぷっくりとした突起を軽く弾く。
「んんっ」
 甘ったるく喘ぐと、乳暈ごと食べるように含まれた。舌先に転がされる乳首がどんどん硬くなってくるのがわかる。
「っ、やぁっ、あっあん……んっ」
「こうされるのがいいの?」
 わざと見せつけるように舌を伸ばして弄ばれる。舌先で弾かれたかと思えば、吸いつきながら軽く歯を立てられた。
 唾液で濡れる久我の口元がいやらしい。小さな突起を愛で、やわらかな乳房の感触を夢中で愉しんでいるようだ。
(久我さんとこんなことをする日が来るなんて……。それに、彼のもあんなになってる)
 ボクサーパンツを押し上げる雄の存在に目が留まった。彼も快感を求めていると知って、余計に感じてしまう。
「んっ……」
 互いにこんな姿になっている背徳感も相まって、やけに心地いい。恥ずかしがりながらも素直に反応を見せると、彼はやんわりと微笑んだ。
 たったそれだけでドクンと脈が跳ね、濡れた口元を指先で拭う吸血鬼のような姿に魅せられ、みるみるうちに堕ちていく。
「千沙都さんのいいところ、たくさん見つけてあげるから、もっと甘えて」
 たっぷりと唾液をまぶされた乳首がジュルジュルと音を立てて嬲られる。交互に指先で摘まみ転がされ、最大限に勃たされる小さな突起は久しぶりの快感に震えている。
 どんなに千沙都が喘ぎ、手加減を求めるように啼いても、久我は愛撫を止めてくれる様子はない。夢中で攻めてくるその光景が、千沙都の隘路を密かに溶かしていく。
「あっ……ん、久我さん、待って、やっ……」
 早々に達してしまいそうな予感に必死で抗うも、譫言のような喘ぎを返すだけで、彼の愛撫はエスカレートするばかり。胸を揉む手を止めようとしても、彼の髪に触れても逆効果だ。執拗なまでに乳首は上顎と舌で扱かれ、きつく吸われてしまう。
 こんなに感じたのは初めてだ。抵抗しても迫りくる淡い快感と抗いたい理性が対峙する。
「っ、やだっ……んぅぅっ……んんっ!」
 しかし、あえなく身体が震え、腰が浮いた。達している間でさえも、久我は乳首を舌で転がし、指先できつく摘まみ上げてくる。胸だけで久しぶりの快感に震え、触れられていない秘所まで感じてしまう。
「……可愛い」
 なおも愛撫を続ける姿に、千沙都は身を捩りながら余韻に浸る。より敏感になった乳首がチュッと吸われて、もう一度浅く達した。愛でられた双丘は桜色を濃くし、乳暈はぷっくりと盛り上がっている。しゃぶりつくされた乳首もすっかり硬くなり、次の快感を期待しているかのよう。だが、胸だけで簡単にいかされて悔しい気もする。
「いっちゃったね、千沙都さん」
「っ、はぁっ……」
 息を乱しながらも、千沙都は潤んだ瞳で彼を恨めしく見つめる。久我は至って冷静で、濡れた唇を舐めてから前髪を掻き上げた。
 酔っていなければ、精一杯の抵抗として枕を掴んで投げていたかもしれない。久我に達する姿を見られた羞恥心と、身体を支配する甘い余韻が綯い交ぜになって思考がまとまらない。
(でも、すごく気持ちよかった……)
 千沙都は数年ぶりの快感に浸る恍惚とした顔を、掴んだ枕で覆い隠す。
「これで終わるわけがないでしょう?」
「んっ……!」
 久我はいたずらをするように愛撫を続けてくる。すっかり湿ったショーツの船底に指を添わせ、ゆっくりと擦りはじめた。
「……っ、あぁっ、だめ」
 ショーツの中に滑り込んできた指先が、溢れる愛液に浸された。
「千沙都さん、気持ちいいなら素直に甘えて。キスと乳首だけでこんなになってる」
 興味本位で枕をずらしてちらりと覗く。久我の声色は終始穏やかだが、千沙都の両脚の間を陣取ったまま、秘所を撫でる姿は雄そのものだ。
 目が合うと、彼はショーツから指を引き抜き、指の間で糸を引く愛液を見せつけてきた。
「っ!」
 見慣れぬ恥ずかしい光景に、千沙都は再び枕で顔を覆った。
「ここは好き? ……訊くまでもないか。もうコリコリしてる」
 蜜を纏った指で淫蕾を押し上げられ、たまらず両脚を閉じようとする。淫らな気持ちが湧き上がって、枕越しに小さく喘いだ。
「千沙都さんの、ちゃんと見ていい?」
「や、ダメ!」
 思わず枕を手放し、両手で陰部を隠す。
「ふっ……可愛い。やっと顔見せてくれた」
「っ!」
 彼の瞳は人を虜にする力があるに違いない。視線を交わすだけで、鼓動が一層忙しなくなる。
「あっ、あっ……んぅぅっ!」
 ガードしたはずの両手はあっさり払われてしまった。すかさず淫蕾が摘まみ上げられると、容易く腰が浮いてしまう。
「これ、もっと硬くして」
「んっあぁっ、やぁぁっ! 」
 愛液を纏った彼の指先で捏ねくり回される淫粒から、耐えがたい快感が迫りくる。どんなに抗おうとも一度快感に浸った身体は正直で、狭隘が痙攣しはじめた。
 まじまじと見つめてくる久我の瞳にすっかり取り込まれ、与えられる快感に流されていく。
「っ、ああっ!」
 淫蕾を弄びながら、久我は器用に狭隘に指を挿れてきた。震える隘路からは、無情にもクチュクチュと卑猥な音が漏れ聞こえてくる。
「やだっ、あっ……久我さん、だめっ……待って」
 あられもない嬌声が快感の証拠とばかりに、指が深度を増して挿入された。
「もう待たないよ。俺がどれだけこの時間を待ち侘びてきたと思ってるの」

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