一夜の関係だと思ってたのに、結婚前提のお付き合い!?

書籍情報

一夜の関係だと思ってたのに、結婚前提のお付き合い!?


著者:水田歩
イラスト:八美☆わん
発売日:2022年 3月25日
定価:630円+税

名香エンタープライズの社長令嬢である梓は、二十七歳の誕生日を前に非常に焦っていた。
次期社長として父のお眼鏡には敵わなかった梓は、『二十七歳の誕生日までに会社の後継者となるような恋人を作れなければ、父が指定した男性と結婚する』という約束をしていたのだ。
しかし、ついに恋人のひとりもできずに約束の日を迎えようとしている。
家に帰りたくない梓がバーでやけ酒を飲んでいると、佑輝という男に声をかけられて……。
「だとしたら、俺は君のお眼鏡に適うな」
ヤサグレ気分の梓は、甘く優しい言葉をくれた彼にほだされ、一夜を過ごしてしまう。
行きずりの恋など忘れようとついに二十七歳の誕生日を迎えた梓だったが、婚約者がいるという会場には佑輝がいて――!?

【人物紹介】

名倉梓(なぐら あずさ)
名香エンタープライズの社長令嬢だが、父との約束の関係で名前を隠し受付嬢として働いている。
お人好しなところがあり、父からは経営者としては期待されず育った。
すこしこだわりが強い部分がある。

朝比奈佑輝(あさひな ゆうき)
梓が26歳最後の夜を一緒に過ごした男性。
正体は梓の父が指定した彼女の婚約者。
政略結婚だが、梓に接する態度は溺愛夫そのもので……?

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

 ホテルの一室に入ると、男性は梓を抱きしめながら後ろでにドアを締め、施錠した。
「俺は朝比奈佑輝。君の名前を聞きたい」
 吐息と共につぶやいたくせに、噛みつくようなキスが梓の唇を覆う。
「んっ」
 初めから、舌を絡め合うキス。佑輝の舌は遠慮なく梓の口腔内を冒険し、彼女を翻弄した。梓も負けじと、彼の舌を吸い返す。息も出来ない。
(こんな激しいキス、……体験したことない)
「ふ、ぅん」
 甘えた息が鼻から抜ける。
 佑輝は口淫に夢中になっている梓をさらに陥落させるべく、彼女の後頭部と腰を引き寄せた。
 梓も負けじと彼の首に腕を絡みつかせる。
 佑輝に舌の奥の感じるところをまさぐられて、彼の首に回していた腕から力が抜けた。甘い刺激が足に響いて、がくんと膝が折れたところを佑輝に腰を支えられた。
 そのまま横抱きにされてベッドに運ばれる間も、佑輝は梓の唇を求めてくる。
 ぽすり、と背中がマットレスに着地した。
「君の名を呼ばせてくれ」
 上から覗き込んで来た佑輝が熱っぽい瞳で乞うた。
 一夜限りの関係かもしれないと思うと苗字まで言うのは躊躇われた。
 佑輝は彼女のためらいを理解したようだった。
「今は名前だけでいい」
 かけられた言葉の意味が気になって彼の顔を見れば、目を細めた表情が予想以上に優しい笑顔だったので、さらに心拍数が増した。
「まだ、知り合って二時間も経っていない。君の懸念は理解できるよ」
 梓は肩から力を抜いて、息を吐き出した。
「……梓」
 自分にも聞こえないくらいの小さな声で名乗れば、彼がコツリと額を合わせてきた。
 だが、と続けたとき佑輝は雄の貌に戻っていた。
「明日の朝、君は俺がどんなふうに愛するかを知るはずだ。俺も君がどんなふうに歓び、どう果てるのかを知ることになるだろう」
 佑輝は梓の耳を食みながら楽しそうに告げた。
(えっちしたら、サヨウナラじゃないんだ)
 嬉しさが、じんわりと体のなかで広がっていく。梓の潤んだ瞳をどうとったのか、佑輝は。
「梓、君を俺のものにする」
 恫喝と嗜虐心と希う気持ちがまじった双眸に魅入っていると口づけされた。
 佑輝は唇を二度三度触れ合わせると、彼女のうなじに舌を這わせる。
 ぷちぷち、と胸元でブラウスのボタンを外される感覚がある。同時に、太ももの間に体を割りこまれ、ブラウスの裾をスカートから上に引きずり出された。
 彼の右手が腹のほうから胸のふくらみを目指していく。
 左手が膝から太ももへ伝い、とうとう腰骨に達してストッキングのヘムにかかった。
「しゃわぁ……あびたい」
 梓が喘ぎのあいまにささやいた。口が感じてしまい、うまくしゃべれない。
 彼のコロンまじりの体臭を鼻腔いっぱいに吸い込むのはフェロモンを胎内に取り込んでいるような気になる。
 けれど、自分が仕事帰りのことを考えると、黙らせていた理性が無駄な抵抗をしはじめる。
「却下」
 佑輝は一言で切り捨てた。顔を上げて、梓を見つめてきた。
「シャワーに欲情を流すなんて、そんなもったいないことはさせない」
 穏やかな口調とは裏腹に、肉食獣のようなまなざしを向けられた。
 梓の背中にぞくりと震えがはしる。自分を欲しがっている捕食者の瞳に、梓の体は濡れていく。
 私も、彼が欲しい。
 奪って、奪われたい。
「流さないわ」
 食べられる期待で震えた梓のささやきに、佑輝はねだるように口づけをした。
「安心しろ、隅々まで洗ってやる」
 佑輝がかすかに笑った拍子に、梓はびくんと体をはねさせた。
(どうかしてる。彼の息がかかったくらいで感じてしまうなんて!)
 以前の自分にはなかった反応だ。……佑輝だからだろうか。
「君をたっぷりと啼かせてあげたあとでね」
「ん……」
 梓は佑輝の言葉にいちいち胸をときめかせつつ、徐々にさがっていく彼の頭を撫でながら足を開いていく。
 佑輝は梓の肩にキスしながらはだけたブラウスを腕から抜き取った。
 キャミソールの肩紐を口で引っ張りながら愛撫するように手首まで滑らせていく。
 大事な物を守っている包装紙をはがすときのように丁寧に一枚ずつ脱がされていき、ぱさりと衣類が置かれる音が刺激的で、彼女の興奮を高める。
 とうとうブラジャーを外された。
 じっと見つめられて、恥ずかしくなった梓は胸を両手で隠した。
 男は眉をひそめたが、やがてにやりと笑う。
「好きなだけ、俺を焦らして煽ればいい」
 焦らされ煽られたぶんだけ彼女を貪るとその目は告げていた。
 つ……、となめらかな腹を指でなぞられる。それだけで梓の息が荒くなった。
「このまま梓を味わうのも興奮するが」
 上半身は生まれたままの姿だが、下半身には二人を隔てる布がまだ数枚と腰のあたりにわだかまっているスカートが残っていて、生まれたままの姿より扇情的なながめだ。
「梓との初めての一夜だ、君の全てを見たい」
 佑輝の掠れた声に、胸を隠していた手の下で乳蕾が硬くなった。
 腰の下に、力強い手が潜り込み、彼女も腰を浮かせててしまう。
 かち、と金属の音がしてホックが外されると、スカートは下半身から離れていった。
 ストッキングがなんの障害もなくすべるように脱がされて、佑輝の手がショーツの中に潜り込んできた。梓の体がびくりとこわばる。
 すると、佑輝の手がとまった。
「大丈夫だ、梓の怖いことはしない」
 慈しみの言葉に梓は安堵した。佑輝はそのまま彼女の絹糸のような茂みを撫でつづけた。
 柔毛一本一本を梳るような動きに、梓の力んでいた体から力が抜けていく。
 心が開けば体も拓くのか。
 欲望の谷間の上で殻に閉じこもっている秘珠にも触れられていないのに、淫芽がある恥骨近くは敏感になっているのか、それだけで秘密の泉が蜜をあふれ出させる。
 指をもう少し先の、一番感じる花芽に伸ばされてしまえば二・三回撫でられただけで達してしまいそうだった。
 しかし佑輝は愛おしそうに彼女の下腹部をなぜると、丁寧にショーツを降ろしていく。
 彼女は少し残念に思いながら、男の熱い手と布が足を撫ぜていく感覚を辿った。
 下着はとうとうくるぶしを通り過ぎ、かかとを離れた。
「綺麗だ」
 賞賛の言葉が、眩しく思える。
「君が俺を受け入れようとしている。……そのことがどれだけ俺を興奮させているかわかるか?」
 わからない、と梓は小さく答えた。
(貴方にも、私がどれだけ興奮しているかを知られていないように)
 彼女の考えていることがわかったかのように、俺も君もすぐにわかる、と佑輝は言った。
 ちゅ、ちゅ、とリップ音をさせていきながら佑輝は脱がせていった道筋を逆に辿っていく。
 彼女の足を持ちあげてキスしては舐め、軽く歯を立てていく佑輝に、梓は見入った。
 美酒を味わうかのような、大事なものに口づけするような仕草に梓は多幸感と誇らしい気持ちに満たされていく。同時に、快楽を感じ始める。
 口づけて欲しいと梓がこっそりと望んでいた秘密の谷間を通り過ぎて、佑輝は太ももの際を強く吸ってから目線を梓に合わせる。
 ベッドに横たえられた彼女を見降ろしながら、佑輝は体を起こすとゆっくりと服を脱いだ。
 くちょり、と濡れた音が足のあいまから聞こえてきて、梓は恥らう顔をそむけた。
 佑輝が彼女の頬に手を添えて向き直させる。
 梓が彼を見つめていると、佑輝も見つめ返してくる。彼が唇を寄せてきたので、梓は目を閉じた。
「梓、俺の名前を呼んで」
 強請る声が掠れている。
「ゆう、き」
 梓はおずおずと、彼の名を呼んだ。
「いいね」
 佑輝は満足そうに笑った。
「梓に呼ばれると、クるな」
 彼の興奮した声に勇気をもらい、梓はもう一度呼んでみた。
「ゆうき」
 名前を呼ばれるだけで心が踊ってしまうのに、彼の名前を呼んでしまえば相手を自分のものだと思い込みたくなる。互いが互いのものだと信じてしまいたくなる。
(今晩だけ)
 梓と佑輝はこの時間だけは恋人同士。明日からは知らない者同士に戻っても、この時間だけは自分のものだ。
 梓は離れたくないとばかり、佑輝の首にしがみついた。
 彼女の必死さに、なにか違和感を感じたのだろう、佑輝が静かな声で訊ねてきた。
「なにが君を悲しませている?」
「このまま時間が止まってしまえばいいのにって」
 彼女の独り言めいたつぶやきが聞こえなかったのか、佑輝は梓の両手をつかんだ。片手で頭の上にまとめあげられ拘束される。
「……俺以外のことを考えるな」
 嫉妬と独占欲を剥き出しにした声が降ってきた。
 佑輝が己の唇をぺろりと舐め上げる。欲に濡れた男の双眸から、梓は目を離せない。
「君は俺のものだ」
 彼女の心臓がどきんと脈打つ。
 男の、組み敷いた女への所有欲だとしても、リップサービスでも、この場所では彼の恋人だと思いたかった気持ちが通じたようで嬉しい。
 佑輝の目の前で、梓の胸のふくらみがふるりと揺れた。
「梓の胸の真っ赤な飾りが悪い。ここからもいやらしい匂いがして俺を誘ってくる」
 彼の手が、梓の足をするりと撫でると、ひくりと反応する。佑輝は遠慮なく、彼女の足のあわいに手を伸ばす。
「梓も準備万端だな」
 佑輝の欲望の塊が先ほどから梓の腹と言わず太ももに当たっているので、彼女も正直に首肯した。
「…………佑輝に触れられているから」
 梓がか細い声でささやいた瞬間、大きなため息が佑輝から吐き出された。
「……まったく……。そんな可愛いことを言ったら俺が暴走すると思わないのか? もう、お行儀のいいフリはおしまいだ。これからは愛し合う時間だよ」
 言葉と共に、佑輝は彼女の紅く熟れた果実を口に含んだ。硬く、じんじんと充血していたところを温かく、濡れた感触が撫ぜていく。甘い感覚が蜜口と頭に流れていく。
「んッ、ぁ、ア!」
 途端、梓の体が跳ねる。
「梓も待ちわびていたんだな。嬉しいよ」
 言いながら佑輝は梓の上にのしかかる。
「だ……っ、て!」
 言い訳めいた声が我ながら蕩けそうだ。甘く、媚びを含み男を誘う声。
 梓は佑輝の肌ともっと重なりたくて、みずから彼の厚い胸に自分のふくらみを押しつけた。
 彼の与えてくれる刺激を逃さず反応しようと、自分の体が全身全霊で佑輝の動きに集中しているのがわかる。
 ちゅ、ちゅとリップ音を響かせながら、佑輝の唇が梓の胸のふくらみをついばんだ。
「わかっている。俺のせいだな」
 笑いを含んだ声がして、強く吸いつかれた。
「あぁんッ」
 男を受け入れる体、佑輝の愛撫を歓んでいる声。 梓は自分が女であることが嬉しい。
「可愛いよ、梓。俺は君の体も好きって言ったっけ?」
 頭の上で拘束されていた両手は、いつのまにか佑輝の手が載せられているだけだったが、梓が指に力を入れれば彼も握り返してくれた。指が指と指のあいだにはさまれ、恋人つなぎのようにからみあわせる。
(『も』って)
 他に好きなところを言われただろうか。先ほどまでの会話では地味な外見を褒めてはもらったが。
 佑輝は彼女の手を持ち上げると、爪に口づけた。
「俺が君を好きなところは色々あるけれど。今は教えてあげられないな」
 梓が彼を見つめれば佑輝は必ず自分を見ている。
「なんで私の考えていること、わかるの?」
「わかるよ。……俺に君が溺れていることも」
 だから、なんで。
 開こうとした唇は欲望を湛えた双眸に封じられた。
「梓、今は愛させて欲しい」
 嬉しい。
 でも、聞きたい。佑輝のような男がどうして自分みたいな女を抱いてくれるのか。
 自分をじっとみつめてくる梓の表情を見て、彼女が抱いている疑問を理解したのだろう。
 佑輝は梓の頭をかかえこむと、ささやいた。
「あとで教えてやるから」
 ……『あと』はないだろう。けれど、今はたしかに甘い悦びを全身で受け取る時間だ。
 梓は渋々とばかり、目を閉じた。
 絡んでいた手が離れていく。
 寂しい、と思ったのは一瞬だった。
 口淫されていなかった反対の乳首を摘まれたのだ。
「ひぁっ」
 梓の唇から、待ちかねていた吐息のような声がこぼれた。
「ずいぶん感度がいいんだな」
 心なし、尖りをつかんだ指に力が入る。快感のなかに少し、痛みがまじった。
「……ン。だって、佑輝の手が気持ちいいんだもの」
「そうか。なら、もっと気持ちヨくさせてやる」
 蕾から指は離れて、円を描くように乳輪をなぞられる。何度も撫でられるうち、じんわりと気持ち良くなってきた。
 固い木の実のようになった胸の飾りの側面がこすられ、快感が蜜口にも伝わっていく。
「ンン」
 梓がもじもじする。
「梓は覚えるのが早いな。いい子だ」
 褒められるのは無条件に嬉しいのだが。
「おっ……ぱい、舐めながら、しゃべんない、でぇ……っ」
 不規則な舌の動きや熱い息、振動が乳嘴を刺激するのだ。
 だが、抗議と裏腹に梓は胸のふくらみを佑輝の顔と指におしつけた。
「気にいってるようだな」
「や、ァん……」
「梓。気持ちイいときは、『イイ』と言うんだ」
 片方の乳首は舌で左右に揺さぶられ、もう一方の尖りは先端を指の腹で押しつぶされる。
「……いい……いいの……」
 言葉にすると、悦がさらに高まった気がした。胸のふくらみ全体がじんじんしている。乳首でなくても、触れられたら激しく反応してしまいそうだ。
「気持ち、イ……」
 体がうねり、腰が勝手に持ち上がる。いつのまにか佑輝の体が足の間にいて、彼に下腹をこすりつけている。
 ……足のあわいの花唇が満開となり、とめどなく蜜があふれている泉を濡れ具合で知った。
 ひくついている秘裂と蜜口を佑輝に押しつけて快楽を自ら得ようとしていたことに気づき、梓は腰を引こうとした。
 ぐい、と下腹部を押しつけられる。彼の恥骨に敏感な紅玉を圧され、快感が一気に高まった。
「あ、ァン、やぁ……」
 佑輝の太茎がいまにも梓のなかに入ってきそうなくらい張り詰めている。
「だ、だめ……もう、」
 秘密の谷間全体が性感帯と化してきて、梓は達する予兆を感じた。
「可愛い」
 快楽と直結している、胸の頂点にある一方の尖りを吸われ、片方は二本の指で擦りたてられて、梓は達した。 
 佑輝は荒い息をしている梓をうつ伏せにすると、彼女の背中へ愛撫しはじめた。
「梓、気持ちイいか?」
 指先での触れるか触れないかのようなボディータッチを、うなじからヒップまで、丹念に何回も繰り返す。
「うん……羽に撫でられてるみたいので、気持ちいいの……」
 枕に沈んだ梓の顔にうっとりとした表情が浮かぶ。
 スケートリンクを軽やかに滑るスケーターのようによどみなく流れていく指淫の合間に、手のひら全体で肩甲骨やウエストのくびれを愛でられる。
「あ、ぁ。は、ぁ……ん……」
 繊細な動きが、梓をリラックスさせていく。
 彼女の体からすっかり力が抜けて、蕩けたところで佑輝は唇を寄せた。
「ン!」
 すっかり敏感になった背中は梓の意思とは関係なくはねた。
「背中も弱いのか」
 満足そうにつぶやかれる。
 誰のせいだ、となんとかにらみつければ男の舌が腰のくぼみを舐めようとしているところだった。
 濡れた熱いものが触れた瞬間、梓の体はビクビクと反応した。
「よさそうだな」
 佑輝は執拗なくらいキスと舌で奉仕する。
「やっ、……あ。ア! だめ、イっちゃうからぁ」
 快感に揺蕩っていた梓は唇を落とされるたびに体を震わせた。
「何度でもイっていい」
「やぁんぅ……、あ、ぁ、ぁぁ……」
 慈しむようなキスなのに、体はいちいち反応してしまう。
 きつく吸いつかれるのも気持ちイイ。
 舌の先でからかわれたあと、分厚い部分でじっくりとねぶられれば、もう啼きつづけることしかできない。
 白い肌は薄紅に染まり、盛り上がったヒップの双丘のあいま、秘されていたところは男の目にさらされている。
 とろりと愛汁が蜜壺からあふれでて、シーツを濡らした。
 足のあわい自体が触れられていないのに、じんじんとする。ほんのひと撫で、いや息を吹きかけられただけで達してしまいそうになっている。
 佑輝がヒップに軽く歯をたてたあとを、舌で撫でた。
 梓の体がふいに硬直する。
「あーー………………っ、」
 最後に背をのけぞらせて、果てた。

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