三嶋夫妻はもっと淫らに愛し合いたい 〜溢れる蜜欲、溺愛のお返し〜
著者:桜月海羽
イラスト:rera
発売日:2022年 3月25日
定価:630円+税
結婚から一年が経過しても、相変わらず美紅と彰史は新婚よろしくラブラブだ。
そんな三嶋夫婦は今回、お互いの誕生日祝いを兼ねた旅行として京都に来ていた。
名所を観光したり旅館でご馳走に舌を鳴らす。
そして絶景をバックに幸せを噛みしめる美紅は覚悟を決め、彰史へのサプライズを決行するのだった――!?
「俺に好きにされる覚悟はちゃんとできている?」
お互いの欲望をさらけ出した美紅と彰史は、もっともっととお互いを求め合う。
愛する人と過ごす甘い日々は、夫婦の絆をより確かにして――。
【人物紹介】
三嶋美紅(みしま みく)
夫である彰史が初恋の相手であり最愛のパートナー。
主婦の傍ら、カフェでのパートもこなしている。
親友の麻紀の勧めで、度々かわいいランジェリーを購入して彰史を喜ばす。
三嶋彰史(みしま あきふみ)
大手食品メーカーの企画部の課長として働くエリート。
容姿端麗でモテるが、妻の美紅以外は眼中にない。
普段は紳士的だが、意地悪な面もあって……?。
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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。
【試し読み】
「プレゼント、受け取ってくれる?」
これも誕生日プレゼントだということを告げれば、彼が満悦そうに口角を上げる。美紅の二重瞼の瞳は、愛する夫の端正な顔に釘づけになっていた。
長いまつげに覆われた二重瞼の瞳に、スッと通った鼻筋。色香を纏った笑みを湛える少し彫りの深い面立ちは、いつだって美紅の心を簡単に捕らえてしまう。
「おいで」
眇めた目を向けられてそう言われるまでには数秒もなく、美紅は従順に頷いて柔らかな布団を踏み、彰史の前で膝をついた。
「俺に好きにされる覚悟はちゃんとできている?」
「……うん」
淫蕩な意味を孕んだ問いに細い腰を戦慄かせながらも頷けば、彼の瞳に興奮が混じる。
「彰史さんの好きにして?」
恥じらいを覗かせた微笑は、どこか妖艶にも見えた。艶やかな色香を纏う表情が、一瞬で彰史の心を掴んでしまう。
彼が息を短く吐けば、室内の空気にいっそう淫靡な熱が増した。
「美紅は俺をどうするつもりなんだ」
悩ましげにしつつも唇の端を持ち上げる彰史は、困惑と喜びに苛まれているようだった。
「こんなことされたら、朝まで寝かせてあげられないけど」
彼を喜ばせたい美紅にとって、そこまで思ってもらえるのは本望だ。そんな気持ちを伝えるように、骨張った手をそっと取る。
「うん……。今夜は特別だから……」
刹那、彰史が美紅の腰を引き寄せた。密着した身体が浴衣越しの彼の硬い胸板に押しつけられ、ダウンライトに照らされたふたりの顔がグッと近くなる。
彰史のソフトツーブロックの髪から嗅ぎ慣れないシャンプーの香りが漂い、非日常感が増した。
キスの予感を抱いた美紅が瞼を閉じれば、間を置かずして唇が重なった。
最初は触れるだけのくちづけ。少し強めに押しつけられる唇からは彼が興奮していることを感じたが、いつものように労わりが混じった優しさもある。
「ねぇ、彰史さん……今日は私がしたい……」
唇が離れた隙に、美紅はようやく今夜の目的を口にできた。相変わらず恥ずかしさはあるものの、結婚当初に比べればこうして積極的な言葉を伝えられるようになったと思う。
「気持ちは嬉しいけど……俺はされるよりもする方が好きなんだ」
けれど、彰史は眉を寄せて小さく笑い、意味深な視線で美紅の全身をたどった。
「これを脱がすのが、すごく楽しみだしね」
「でも……」
今夜のために立てた計画を決行したくて食い下がろうとすれば、言葉を遮るように唇を奪われた。唇が食まれたあと、甘さを秘めた視線を寄越される。
「ね?」
真っ直ぐな瞳でじっと見つめられてしまえば、素直な美紅はただ頷くしかない。彼は満足げに口角を上げると、親指で美紅の顎を掬い上げた。
再び唇が合わさり、柔らかな感触に包まれる。下唇を舐められ、戯れるように唇全体を食まれて、甘やかすためのキスが繰り返されていく。
美紅は、このくちづけが好きだった。
彰史の情欲を感じるのに、どこか優しくて。このあとの情事を想像してドキドキする反面、大切に扱われている感覚に包まれて嬉しくなるからだ。
毎日交わす挨拶代わりのキスや、情交中のそれとも違う。
悪戯のような、それでいて相手の愛欲と熱を感じられるような……。甘やかな意図のある行為を重ねるたび、彼への想いが膨らんでいく。
何度もキスを交わして唇が熱くなり始めた頃、彰史の舌が美紅の唇を割り開き、そのままゆっくりと押し入ってきた。
舌先が歯列に触れ、いたずらになぞり出す。熱い肉塊を受け入れるように口を開けば、すぐに彰史の舌が美紅の上顎を撫でた。
少しくすぐったくて、けれど背筋がゾクゾクと粟立つ。下肢がむずがゆくなるような感覚を抱き、下腹部がじんわりと熱を帯びていった。
自然と鼻から抜けたような吐息が零れる中、必死に彼の舌を追いかける。程なくしてお互いの舌が絡み合い、表面や側面を丹念に舐められたかと思うと、舌全体を吸い上げられた。
「んんっ……! ぁ、はぁ……」
湿ったリップ音が、鼓膜をくすぐってくる。彰史の手が美紅の顔を包むように置かれているせいで耳まで隠れ、淫靡な水音が頭の芯にまで響いていた。
キスだけで眩暈を覚える。脳が酩酊感に襲われ、鼻先をくすぐる彼の匂いとあいまってクラクラする。
縋るように彰史にしがみつけば、大きな左手が下りてきた。そのまま美紅のダークブラウンのセミロングの髪をかき分け、無防備になった背中をそっと撫でた。
美紅の唇から甘い声が漏れ、反射的に細い肩が跳ねる。キャミソールの背面は大きく開いているため、剥き出しの白い肌が彼の指先に弄ばれてしまう。
産毛を撫でるかのごとく、ふんわりと背筋をたどる指先。その感覚を無意識に追った美紅の腰が密かに戦慄いた。
塞がれていた唇が離され、肺いっぱいに空気を吸い込む。身体が熱くなり始めているせいか、体内に取り込んだ酸素が冷たく感じて心地好かった。
「ぁん、っ」
息苦しさから解放されたのも束の間、骨張った手にたわわな膨らみを掴まれた。
頬を撫でていた右手と背中にあったはずの左手が、ふたつの乳房の形を変えていく。
下から掬い上げるように、かと思えばゆったりと円を描くように。けれど、小さな蕾には決して触れてはくれず、もどかしくて焦れてしまうほどだった。
節くれだった指先が動くたび、敏感な先端を愛でてもらえるんじゃないかと期待する。しかし、悪戯に動き回る彼の指は、そこだけを上手く避けている。
追い縋るように身体をわずかに動かしてみても、彰史は華麗によけてしまい、決して幼気な粒を触ってはくれない。
「……っ、やだ……どうして……」
涙が浮かぶ瞳で彼を見れば、淫蕩な色をした眼差しとぶつかった。
「こうして触れているだけでも、美紅のここは勃ち始めているだろう?」
視線を下げてみると、確かに柔らかかったはずの蕾がブラのレースを押し上げている。まだ熟れ切ってはいないが、本当にこのままでも硬くなってしまうんじゃないかと思った。
それでも、今すぐに刺激が欲しい。そんな気持ちで眉を下げて顔を上げれば、彰史が困ったように微笑んだ。
「その顔はずるいな」
「ずるいのは、っ、ぁ……彰史さん、だよ……」
甘えたような吐息とともに言い返せば、彼は心外だとばかりに苦笑を零す。直後、胸を弄ぶ手のひらが、硬さを帯び始めていた突起を撫で上げた。
「あんっ……!」
突然の刺激が美紅を襲う。レースごとこすれた可憐な粒が敏感に反応し、まるで最後の一押しだったようにツンと天を仰いだ。
「もう勃ったね」
唇の端を持ち上げた彰史が、しっかりと主張するふたつの頂きを指の腹で揉み込むようにし、次いできゅうぅっ……と摘まみ上げる。
欲していた快感を一気に与えられ、美紅は胸を突き出すようにしながら嬌声を上げた。
「下着の上からなのに、そんなに気持ちいい? それとも、焦れる感じが逆にいいのかな」
シースルー生地のキャミソールと総レースのブラがもどかしいはずなのに、彼の言う通り感じてしまっている。けれど、直接触れてほしい。
「ほら、どうしてほしい? 今なら美紅の望み通りにしてあげるよ?」
優しい囁きが鼓膜をくすぐり、魅惑的な言葉に熱い息が漏れる。脳裏で駆け巡る想像は淫靡なものばかり。いつもの彰史の愛撫を思い出し、密かに内壁が震えた。
「舐めて……噛んで、ほしい……っ」
「このまま? それとも、直接弄る方がいい?」
キャミソールの胸元部分を指先で軽く引っ張った彼が、美紅の望みを見透かすようにうっすらと嗤う。意地悪な態度なのに、美紅の胸の奥がキュンキュンと震えた。
羞恥でいっぱいであっても、言わなければ願いが叶わないことはもう知っている。彰史が美紅の反応を楽しむのはいつものことで、美紅が答えるまで愛撫は与えられない。
「……っ。脱がせて、して?」
だから、美紅は淫蕩な眼差しを受け止めたまま、眉尻を下げて小さく訴えた。
瞬間、彼の瞳が弧を描く。その面差しは、言うまでもなく満足げだった。
足の付け根まで隠していたキャミソールの裾から、骨張った手が入ってくる。下腹部をふんわりと撫で、ウエストラインをくすぐる手に、美紅の期待が高まっていく。
たわわな膨らみの付け根にたどりつくと、指先がバストラインをツツッ……と走った。
焦らすような動きに吐息を漏らせば、もう片方の手が臍をかすめたあとでブラのリボンを解いた。美紅の胸を覆うランジェリーが、なんの抵抗もなく緩む。
キャミソールに引っかかったブラが、彰史の手によって左右にはだけさせられた。
「これ、いいね。上を脱がさなくても最後までできそうだ」
唇の端だけを持ち上げた彼は、どうやらすべてを脱がす気はないらしい。美紅はそれに気づいたが、愛撫を与えてもらえるのならなんでもよかった。
「直接舐めて噛む、だったね」
耳元で囁かれて、下肢がすぼまる。あえて確認されると、自分がいかにいやらしいことを求めたのかと思い知らされた。
そんな美紅を余所に、彰史がキャミソールをたくし上げる。無防備な双丘に、少し冷たい空気が触れた。
ふるりと身体を震わせた刹那、顔を近づけてきた彼が白い膨らみにくちづけた。ちゅっとリップ音が響き、何度かキスが繰り返される。
大切に扱われていることがわかるのに、今はそれがもどかしくて仕方がなかった。
つい太ももをすり合わせれば、それに気づいた彰史がクスリと笑った。
「きっと、もう濡れているんだろうね」
図星を突かれて、美紅の頬が真っ赤になる。さきほどからずっと、蜜口辺りに冷たいものを感じていたが、いざはっきりと指摘されてしまうと羞恥が大きくなる。
「そっちも早く確かめたいけど……まずはこっちだね」
一方、彼は楽しげな笑みを零し、刺激を待ちわびていた幼気な蕾に舌を這わせた。
「あっ……!」
左側の突起の付け根をクルリと舐め、温かい口内に含まれる。唇で吸い上げるようにしながら舌先で弄ばれ、甘い快楽に翻弄されていった。
もう片方の先端は節くれだった指先にいじくられ、丹念に揉み込むように捏ね回された。
この快感を待望していた。可憐な粒には絶え間なく喜悦が送り込まれ、あっという間に甘い痺れが広がっていく。
飴玉を転がすように舌で嬲られるのも、指の腹で摘ままれるのも、弾力のある乳房を揉みしだかれるのも、どれも気持ちいい。
美紅の弱点を知り尽くしている彰史は、まごうことなき愉悦を注ぎ込んでくれた。
「ひっ……!」
甘い感覚に陶酔していると、唐突に芯を持った薄桃色の果実に歯が立てられた。痛みを感じないギリギリの強さで噛まれ、先端の小さなくぼみは舌先でグリグリと押される。
電流が流れるようなビリビリとした刺激が全身を這い回る。喜悦に見舞われた美紅の細い腰が、数回大きく跳ねた。
絶えず与えられる感覚に翻弄されてしまう。自身が乱れていく様を見られるのは恥ずかしくもあるのに、美紅を見下ろす彰史の瞳に覗く雄の劣情にゾクゾクさせられた。
甘ったるい声が漏れ、空気を揺らす。住み慣れた家とは違う場所での行為というのもまた、ふたりの興奮を煽っていった。
けれど、美紅はもっと気持ちよくなれることを知っている。そのせいで次第に焦れ始めていき、無意識のうちに膝をすり合わせてしまっていた。
「次はどうする?」
すると、目敏い彼が顔を上げ、淫悦に溺れかけていた美紅に笑みを寄越した。
「……っ、ぅん、あぁっ」
上目遣いのまま愛撫が再開され、舌と指先に与えられる刺激に視界が歪む。熱を持った口腔に飲み込まれた先端が、溶けてしまうかと思った。
「もっと、っ、してほしい……!」
「〝もっと〟って?」
「んんっ」
美紅の答えに満足しなかった彰史は、たしなめるように突起を吸い上げる。美紅は、自身の膨らみを弄んでいた右手を取り、おずおずと下肢に誘導した。
「……こっちも、して?」
直接的な言葉は言えなくて、精一杯のおねだりをして見せる。眉を下げた彼が、ふっと微笑んだ。
「美紅は俺を煽るのが本当に上手いね」
そのセリフはそっくりそのまま返したい。ただ、今はそんなことはどうでもよくて、新たな悦楽ばかりを求めてしまう。
そんな美紅の望みを受け入れるように、彰史の手がショーツの上で動いた。
レースに透けている柔毛辺りをふんわりと撫で、デザインを楽しむかのごとく指が生地の上をたどっていく。脚の間に膝が入ってくると、素直に受け入れた。
相変わらず、双丘の頂きは舐められたまま。さらにはショーツの縁をなぞる指先に期待を寄せ、鼓動がドキドキと高鳴っていた。
「Tバックだと紐をずらすだけで触れるのがいいな」
喜色を孕ませた声音が落ちてきた直後、クロッチ部分の紐を軽く引っ張られて、美紅の脳裏に口にはできないような想像が駆け巡った。あられもなく乱れる自身が安易に浮かび、それだけで吐息が漏れてしまいそうになる。
彰史はふっと目を眇め、まだ芽吹いていない下肢の蕾を指先でそっとかすめた。
「……ぁ、っ」
触れるか触れないか。その程度の刺激なのに、過敏な粒はしっかりと快感を受け取る。
ほんのわずかな快感すら嬉しくて、美紅は思わず腰を揺らめかせた。一番敏感なその場所を、自ら彼の指の腹に押しつけるようにしてしまう。
はしたないとわかっているのに、悦楽を追う身体が止まらなかった。
「今日はいつも以上に興奮しているね。うちとは違うから? それとも、このランジェリーのせいかな」
きっと、どちらも正しい。両方の理由が相乗効果となり、美紅をどんどん淫らにしていく。
身も心も羞恥に襲われているのに、自分が大胆になると彼が喜んでくれることを知っているから、美紅は素直に本能のまま求めることができた。
「……ん、彰史さん……早く……っ」
焦れてねだる美紅に、彰史が笑みを零す。愛おしいと言われているような優しい眼差しなのに、瞳の奥はギラギラとした欲に塗れている。
「仕方がないな。……ほら、ここだろう?」
「あぁッ……!」
いきなり花芽をグリッと押し潰され、美紅の背中が弓なりになる。求めていた刺激だったのに、予想以上に苛烈な喜悦を持て余して咄嗟に首を振っていた。
彰史はうっとりとしたように微笑み、ショーツの紐をずらしたまま指先を動かす。
包皮の上からクリクリといじくり、時折蜜孔から雫を掬っては脆弱な一点に塗りたくって。蜜をまぶした小さな粒を、丹念に優しく捏ね回す。
彼の手にかかれば蕾が芽吹くのはあっという間で、つるりとした真珠のような赤い芯が顔を出した。
「気持ちいいね?」
「……はぁ、ッ……うん……いい、っ……」
従順に頷く美紅に、彰史の顔は満悦そうな笑みを湛える。
姫粒を掬い上げるように押されるとたまらなくて、落ち着いた部屋の雰囲気に似つかわしくない嬌声が飛び散る。声を抑えようと唇を噛みしめても、啼き声は止まらなかった。
滲む視界に彰史を映す美紅は、絶え間なく零れる体液で臀部の方まで濡れていくのを感じながら、必死に快楽を追いかけ続けた。
やがて、とどめとばかりに淫芽をグリグリと押し、強く捏ね繰り回された刹那。
「……ひっ……! ああぁぁぁぁっ――!」
下肢から頭頂部に向かってビリビリとした痺れが駆け抜け、引き攣ったような声を上げながら法悦の波に飲み込まれてしまった。
「上手にイけたね。ここ、真っ赤に腫れているよ」
「ふぁ……ぁ、んっ」
ここ、と指摘しつつ蜜芯をツンと突かれ、華奢な腰が震える。
熱い吐息を漏らせば身体を寝かされて膝を抱えられ、秘部に彼の顔が近づいてきた。
そこを見られるのは未だに恥ずかしい。反して、羞恥をこらえれば得も言われぬ淫悦を与えてもらえることを知っている。美紅は抵抗も見せずに、彰史を受け入れていた。
ふっ、と息を吹きかけられ、熱を孕んだ空気が当たる。敏感な部分はそれだけで幼気な反応を見せ、蜜口がヒクヒクと戦慄いた。
柔毛をかき分ける指先に期待が高まり、触れてもらえるのを今か今かと待ちわびている。
ようやくして、舌先が秘芽をくすぐった瞬間。
「……あぁんっ!」
悩ましいほどに甘い声が響き、美紅が腰をくねらせた。
熱い舌が突起の根元をクルリとたどり、下から持ち上げるように押し潰す。口内に飲み込まれて嬲られると、喜悦を受け止め切れなくなって全身が跳ねた。
「動かないで。ちゃんと舐めてあげられない」
言葉とは裏腹に、彼の手は美紅の太ももをがっちりと掴み、大きく広げている。自由になるのは膝から下だけで、美紅は爪先を丸めながら嬌声を上げた。
ちゅっ、ぴちゃ……と艶めかしい音が鼓膜を犯し、頭がおかしくなりそうだった。
そんな美紅をさらに追いつめるがごとく、節くれだった指が蜜路に侵入してきた。
「やぁ、っ……あぁ、っん、ぁ……」
いきなり二本の指を飲み込まされ、息を詰めそうになる。
外側と内側に与えられる刺激に翻弄される美紅を余所に、彰史は中指と人指し指を広げるようにしたり指の腹で押すように襞を撫でたりと、性急に蜜壺を解していく。
程なくして指を鉤状に曲げ、弱く過敏な部分をこすり上げた。
「――ッ、ひっ……ああっ……!」
最初から容赦なくこすられて、全身がビクビクと痙攣する。
そこで達することを教え込まれた美紅は、掻きむしるような動きに涙を流した。
姫粒と姫襞を同時に愛でられ、為す術もなく高みへと押し上げられていく。こうされることを望んでいたはずだったのに、快感の渦から逃げ場を探すように首を横に振り、必死に脚をばたつかせた。
けれど、美紅の弱点を知り尽くしている彼にとって、そんなものは抵抗ですらない。
「……そろそろ、かな」
「やっ……! ぅっ、あああぁぁぁッ――」
とどめとばかりに花芽を吸い上げられると、美紅の身体は瞬く間に愉悦の沼に放り込まれ、彰史の指を食いしめながら蜜飛沫を散らせた。
はぁ……と熱い吐息が触れた直後、肉襞を捏ねていた指が抜かれる。甘苦しい刺激が遠のくと、秘孔が寂しげにパクパクと轟いた。
「美紅、このまま挿れるよ」
「ん、っ……もうちょっと、待って……」
「だめ。俺ももう我慢できない」
虚ろな視線を下げれば、浴衣をはだけた彰史の中心はそそり立っていた。まだ呼吸が整わない美紅は、窮屈そうにボクサーパンツを脱いだ彼の下肢から目が離せない。
ごくりと喉を鳴らせば、クスリと笑われてしまった。
彰史は帯を外して浴衣を脱ぎ捨て、手早く雄幹に薄膜を被せた。パチッとゴム製特有の音が鳴ると、程よく鍛えられた身体を折り曲げるようにして彼が美紅に覆い被さった。
ショーツの紐が邪魔だと言わんばかりに寄せられ、下肢同士が密着する。
硬く大きくなっている剛直で濡れそぼったあわいを撫でられると、すっかり熟れた蜜粒まで届き、そのわずかな刺激すらたまらなかった。
美紅も腰を押しつけるようにして、夢中で下肢をこすり合わせる。こんな感覚だけでは足りないのに、可憐な淫芽を弄ばれるほどに興奮が大きくなっていく。
「はやく……あきふみさっ……!」
少し前には待ってほしいと願ったはず。それなのに、今はこの刺激では足りない。
「美紅……っ、さっきは『待って』って言わなかった?」
興奮を隠さない彰史の視線が、いたずらに美紅を咎める。けれど、その声の甘さはただの意地悪であることを語り、美紅は涙に濡れた瞳で彼を見つめた。