エリート上司は不器用な部下を甘く包囲する ~ワンナイトだと思っていたのに猛烈一途に求められています~

書籍情報

エリート上司は不器用な部下を甘く包囲する ~ワンナイトだと思っていたのに猛烈一途に求められています~


著者:棗なつ
イラスト:南国ばなな
発売日:2023年 6月16日
定価:630円+税

怜奈は上司である日下部良平に思いを寄せるも、日々自身の恋心を隠して彼の部下として働いている。
人たらしで面倒見の良い彼の性格から、一番気に入られている部下としてそばにいるのだが――。
ある日の飲み会後、怜奈は良平と同じタクシーで帰ることになって……!?
酔いが回った良平を一人にすることができず、怜奈は彼を部屋まで送り届ける。
そのまま帰宅するつもりだった怜奈を良平が引き止めて――?
「冗談じゃないっていったら?」
濃厚で蕩けるような夜を過ごし、良平から告白を受けた怜奈。
だが、彼女は過去の経験から良平とのことをワンナイト限りだと思っていて……?

【人物紹介】

吉川怜奈(よしかわ れいな)
社会人三年目の24歳。良平の部下。
真面目で、あまり表情も変わらない不器用な性格。
素直になれず、恋愛面ではうまくいかないことも多かったのだが……?

日下部良平(くさかべ りょうへい)
怜奈の上司で部署のエース。30歳。
誰にでも面倒見がよく優しい性格と見た目から社内では女たらしだと思われている。
一方で、好きな人にはどこまでも一途に追い求める。

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【試し読み】

「なあ、俺はもう少し一緒にいたいんだけど?」
 手に持っていたハンガーを落としそうになった。
「っ、何言ってるんですか……」
 動揺で声が震える。
 ちらりと視線を向けると日下部さんは余裕そうな表情を浮かべていた。
 どういうつもりで言っているのだろう。
 だが、どちらにせよ本気にしては駄目だ。
 きっといつもみたいにからかっているだけだろう。真に受けて損するのは私だ。
 私はハンガーを元あった場所へ戻し、日下部さんを窘めようとする。
「もう、酔っ払いは面倒くさいです。そういう冗談は……――」
「冗談じゃないっていったら?」
「えっと……」
 真剣なトーンに思わず息を呑む。
 ヒリつく空気を感じ、私は誤魔化すように視線を逸らした。
 これ以上一緒にいては駄目だと私の本能が警告する。
「あ、私……もう行きますね」
 酔っ払いの上司を家に届けた。もう十分使命は果たせただろう。
 今ならまだ酔った上での軽いやりとりだ。
 これ以上妙な雰囲気になる前に、この部屋から立ち去ろう。そう思い日下部さんの前を横切ろうとしたとき。
「えっ……、あっ……」
 突然、腕をぎゅっと握られた。
 私は分かりやすいほど狼狽えてしまう。
 腕を振り払うこともせずそのまま立ち竦んでいると、日下部さんが立ち上がり私の正面に立つ。
「帰るの?」
 両腕を掴まれ、そのまま胸元までぐっと引き寄せられた。
 指先でそっと頬を撫でられ、私の肩はビクッと震える。
(えっ、えっ、これって……)
 今何が起きているのだろう。
 反射的に俯くと、顎をくいっと掴まれた。
 そして――。
「っ……」
 顔を上げた瞬間、柔らかい唇が荒々しく唇へと重なった。
 ほのかに香る酒の匂いが、口の中に広がる。
(うそ……)
 ねっとりとした熱い舌が歯列を割って、私の舌を絡めとってくる。
「んっ……」
 くちゅくちゅといやらしい音が部屋中に響く。
「っ、はあ……」
 逃げようにも首の後ろと腰にぎゅっと手を回されていた。
 濃厚な舌同士の交わりに、うまく息ができず、次第に酸欠でくらくらしてきた。
 しばらく執拗な舌先に翻弄された後、ようやく唇が解放される。
「っ……は、はぁ……」
「本気って理解できた?」
 日下部さんは熱っぽい視線を向けたまま、いたずらっぽく笑う。
(キス……? へっ、キスした?)
 私の頭は突然の事態に混乱してしどろもどろになる。
「あ、えっと……それはまあ……じゃなくて」
「よかった」
「きゃあっ……っ」
 そのまま横抱きにされ、ベッドの上に下ろされる。
 日下部さんもベッドの上に乗り、ぎしっとマットレスの軋む音がした。
「え、あの……」
 私は上半身を起こし、身体を寄せてくる日下部さんから逃げようと、後ろへじりじり下がる。
 日下部さんは鬱陶しそうにネクタイを外し、その仕草がすごくセクシーだ。
 でも今はそんなことを考えている場合ではなく、私は混乱しながらも両手でどうにか日下部さんの胸を押しのける。
「あの、何でこんな……急に」
「俺、前からずっとこうしたかったんだけど?」
 それは一度、私と寝てみたかったという意味だろうか。いわゆる味見的な。
 でもそんなタイプにも思えない。
(じゃあどうして?)
 部下に手を出すわけがないという会話も以前聞いていたし、急にこんなことを言われたら正直パニックだ。
 ただひたすらその言葉の真意が分からない。
 単純に酔った勢いでムラムラして寝たいということなのだろうか。
 それなら多少なりとも理解出来る。大人の男女ならそういうことだってある。
「で、でも……」
 だからといってこのまま流されていいのだろうか。
 私が戸惑っていると、日下部さんはふっと笑う。
「つーか、吉川も俺のこと好きだって思ってたけど?」
「……っ!」
 顔が燃えるように一気に熱くなる。
 もしや私の気持ちが筒抜けだったのだろうか。
 そんなわけない、と必死で平静を装うとする。
「……じ、自意識過剰じゃないですか?」
「さっきだって、俺の寝顔をじっと物ほしそうに見てなかったか?」
 予想外の指摘にギョッとしてしまう。
「……なっ、起きてたんですか?」
「欲情したエロい顔してたけど?」
「あれはただ、寝顔が珍しかっただけで……」
 やましさがあるだけに歯切れが悪くなる。
 日下部さんは全てを見透かしたような意地の悪い表情だ。
 寝ていたと思っていたのに、何て性格が悪いのだろう。
 けれど好きなのかと問われて、素直にうんと言えるような可愛い性格ではなかった。
 私はただ何も言えず口ごもるしかない。
「ほーら、そういうとこ。ほんと分かりやすいよな」
 ちゅっと、軽く触れるだけの口づけをされる。
「やっ……」
 私はキスから視線を逸らし、突き放そうとするけれど、その手に力が入らない。
「ほら、俺のこと好きなんだろ?」
 好きって顔してる、と日下部さんはせせら笑う。
「……っ、知りません」
「否定しないってことは、好きだって言ってるようなものだよな?」
「そんな都合のいい解釈……っ」
「ひどいな、俺は好きだよ、吉川のこと」
(あっ……)
 ずっと、ひそかに夢見ていた言葉だ。
 耳元で甘く囁かれ、腰が砕けそうになる。
 明らかに動揺して何も言えなくなっている私を見て、日下部さんは愉しそうに口元を緩めた。
「はは、その表情可愛いな」
 愛おしいものを見つめるような瞳に、胸がきゅっと締め付けられる。
(日下部さんは卑怯だ……)
 そんなはずないのに、まるで本当に私のことが好きだと錯覚してしまいそうになる。
「俺のこと、好きじゃないならちゃんと言葉にしろよな? そんなに俺のこと好きって目で見つめないでさ」
「違っ……んっ」
 言葉の途中で唇を絡めとられた。
 舌がくちゃくちゃと絡み合う深い口づけに、互いの呼気が交じり合う。
 そのまま背中がベッドへと沈み、いつの間にか押し倒されていた。
「っ……はぁ、はぁ……」
 ようやく口づけから解放されたと思うと、今度は日下部さんの手が胸のふくらみに触れた。
「ひゃっ……」
「本当に嫌なら、ちゃんと拒めよな?」
 日下部さんの瞳にいつもの余裕がない。
 真剣な眼差しは、蠱惑的な色気を孕みながらもひどく張り詰めていた。
(ずるい……)
 拒めるはずなんてなかった。
 だって、ずっと好きで憧れていた相手だ。
 好きな人にこうして迫られれば、もう逃げ場なんてない。
 それにきっと、こんな風に触れられることなんて、今を逃せばもう二度とないだろう。
 酔った勢いだって分かっている。
 日下部さんの言葉が本気だと素直に信じるほど初心でもない。
 でも、今だけだとしても、好きと言われたら受け入れる理由には十分だ。
 私の酔いはもう随分醒めていた。
 でも今なら互いに酔った勢いだと言い訳して、身を委ねることだってできる。
「あの……」
 私は少しだけ上半身を起こすと日下部さんの腕をぎゅっと掴む。
「どうした?」
「その、……」
 ああ恥ずかしい。
 甘えることが苦手だから、こんなこと、今まで言ったことない。
「……や、優しくしてくださいね?」
 視線を逸らしながら、ぼそりと声に出す。
 精一杯甘えるように言うつもりだったのにきっと失敗だろう。でも言葉に出来ただけで自分で自分を褒めたいと思う。
「はっ……やばいな」
 日下部さんはそんな私の態度を見て自嘲気味に笑う。やはり上手くいかなかったのだろう。
「ああ、……善処するさ」
 抱き寄せられ唇を塞がれる。
 そこからはなし崩しだ。合意の上ではじまってしまえばもう言い訳はできない。
 日下部さんが私の着ていたトップスとキャミソールをたくし上げると、ピンクのブラジャーが露わになる。
 きゃっ、と小さな悲鳴を上げると日下部さんが楽しげに笑った。
「ははっ、声も可愛いな」
 興奮する、と勝手なことを言いながらブラジャーのホックをぷつっと外す。
「あっ……」
「ほら、ばんざいして」
「え?」
 言われるがままに従うと上半身の服を全てはぎ取られた。
 日下部さんはシャツと下に着ていたインナーを脱ぎ、引き締まった身体が視界に飛び込んでくる。予想以上の色気だ。
 私はさすがに少し照れくさくて腕で乳首を隠そうとするけれど、すぐに手首を掴まれ押しのけられる。
「ほら、隠すなって」
「いやでも……」
 日下部さんの手のひらが乳房全体をぎゅっと包み、円を描くように揉みほぐす。
 ときおり指先が乳首を弾き、その度にぞくりと身体が愉悦に震えてしまう。
「へえ? ここが好きなんだな」
「ひゃあ……!!」
 その反応に気を良くした日下部さんが、人差し指で執拗にこりこりと乳首の先を責め立ててくる。
「ああっ……やっ……」
 繰り返し愛撫され、身体がじんと疼くと共に、乳首もぷっくりとカタチを主張しはじめた。
 日下部さんは顔を埋め、舌で赤く腫れた乳頭をじゅるりと舐めた。
 新しい刺激にびくっと、肩が揺れてしまう。
 ちゅっちゅと吸い付いたと思うと舌先で先端を弄ばれた。
「もっ、やあっ、あっ……」
 もう片方の乳首もぐりぐりと指で愛撫され続け、自然と腰が揺れてしまう。
 乳首がこんなに感じる場所だなんて思ってもみなかった。
「はっ……あっ……」
 私が息を漏らす度に日下部さんの目が鋭くなり、その欲を帯びた眼光に私の身体が熱くなっていく。
「んっ、……やっ」
 下腹部の奥がきゅんと反応し、胸の刺激だけでは物足りなくなる。
 下にも触れてほしいと、誘うように身体をくねらせてしまう。
 すると私の気持ちを見透かしていたかのように、日下部さんの片方の手がスカートの中へと潜り込む。
「んっ……」
 ストッキング越しに内太股を下から股に向かうようにツーッと撫でられ、思わず甘い声が口から漏れてしまう。
 だが指は一番触れてほしい場所には辿り着かず、脚の付け根を撫でまわした後、スカートを下着が見えるほど捲られた。
 そしてそのままストッキングを下まで一気にずり下ろされる。
 地肌がむき出しになり、脚がスースーする。
 するとさんざん焦らされた場所を、下着越しに指先がぐりぐりと触れた。
「ひゃっ……」
「ここ、もう濡れてるんだけど?」
 日下部さんは私の反応を見てふっと口元を緩めた。
 私は羞恥で頬が熱くなる。
 そんなこと言わないでほしい。直接見なくても感触で下着が汚れたことは分かる。
「やっ、ちょ……っ」
 すると今度はスカートをズルズルと剥ぎ取られ、ショーツだけになってしまう。
 乳首に吸い付きながら下着の中へと指を添わされると、くちゅり、と耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい音が部屋に響く。
「んっ、ひゃっ……」
「ドロドロじゃないか、やらしいな」
「ちがっ……」
 邪魔だな、とショーツも脱がされてしまった。
 私は咄嗟に脚を閉じて隠そうとするけれど、すぐ身体を割り込まれ、両脚をぐっと大きく広げられる。
 そして再び指先が奥へと進んでいく。
「あっ……やっ……」
 こうして誰かに触れられるのは久々なのに、身体の奥は愛液でとろとろに濡れてしまう。
 いくら日下部さんが好きだからって、なんて単純な身体なんだろう。
「あの……私も何かしたほうが……?」
 このままずっと受け身でいいのか分からなかった私は、上半身を起こし、おそるおそる尋ねてみる。
 日下部さんは、軽く目を見開いた後、すぐに意地の悪そうな笑みを浮かべた。
 言わなければ良かったかもしれない、と少しだけ後悔する。
「じゃあ、これ触ってくれる?」
 手首を掴まれ、おもむろに股間に導かれた。
「きゃっ……」
 そこには硬くなったものが存在し、反射的に手を離してしまう。
「何だよ、傷つくな」
「だ、だって急に……驚きますよ」
 服の上からでもはっきりとカタチが分かる。
 日下部さんも興奮してるのだと思うと、私までどきどきしてしまう。
「えっと、じゃあ……」
 とはいえ何かすると言ったのは私だ。覚悟を決めて日下部さんのスラックスと下着をずり下ろす。
 すると屹立したものが勢いよく飛び出してきた。私はごくりと息を呑む。
 ちらりと日下部さんの顔を見ると、いつもの涼しい顔とは違い少し余裕がなさそうだ。
 私は仰向けになった日下部さんの脚を跨ぐように四つん這いになり、そっと固くなっているものに手を添えた。
「その、失礼しますね……」
 そう宣言し、手を優しく動かしてみる。
 上下に扱き上げているうちに、より硬さを増し膨張していった。
「っ、……」
 日下部さんの息の荒さを感じ、私はもっと気持ち良くなってもらいたいと思った。
 私はおそるおそる唇を寄せると、ぱくりと先端を口に含む。
(えっと、どうしたらいいんだっけ……)
 見切り発車で始めたものの、口でした経験はあまり多くない。アイスを舐めるようにペロペロと舌を使ってみると、頬をそっと指先で撫でられた。
「くすぐったいな。ほら、少し奥まで咥えて上下に擦るんだよ」
 両手で根元を掴むと、言われた通りに頬張ってみる。よく分からないまま、上下に顔を揺らすと喉の奥に異物感を感じ、うっと苦しくなる。
 口の中からだらりと唾液が零れ、根元にまで伝う。
「同時に手で擦って……うん、上手だな、気持ちいいよ」
 日下部さんは余裕そうに言うが、その表情は赤く上気していた。
 偉いな、と褒められただけで身体が高揚する。
 仕事だってこうして褒められると、いつも嬉しくてたまらなかった。
 こんなことでも日下部さんに褒められることが嬉しくて、もっと喜ばせたいと思ってしまうのは惚れた弱みだと思う。
「うん、手はもっと優しく……そうそう、舌をもっと使って。ちゅーって、ストローみたいに……はあ、くそ、その顔たまらないな……」
 気持ち良くなってもらおうと必死になっていると、私の身体も火照ってくる。
 今舐めているものが自分の奥を貫く想像をして、身体の奥がじんわりと濡れるのが分かる。
「うん、ありがとう」
 途中でもういいよ、と止められてしまった。
「あっ……」
 もう少しでイかせていたかもしれないのに。
 恨みがましい目で見つめると頭をくしゃっと撫でられた。
「頑張ってくれたところ悪いけどせっかくだし、別の場所で出したいからな」
「へ……?」
 くるりと身体をひっくりかえされる。
「ひゃっ……」
 だがすぐには挿れられず、中指が濡れそぼった場所を弄りはじめた。
 媚肉をかきわけ奥へと侵入し、ぐりぐりと中で蠢く。
「あれ、舐めながら興奮した?」
「や、違っ……」
「その割にはさっきよりびしゃびしゃだけどな」
 長い指を奥で折って、私がどこで感じるのか反応を窺ってくる。
「あっ……」
「エロい身体」
 今までとは違う身体を駆け抜けるような甘い刺激に、思わず嬌声が溢れてしまう。
 見つけた、と日下部さんの指は水を得た魚のように生き生きと動き、感じるところをこれでもかというぐらいに激しく責め立てる。
「あ、駄目です……や、や、やあっ……」
 深くてじんとくる愉悦を膣の中で感じた。何か上り詰めてくるような感覚が身体中を襲う。
 やだやだと頭を横に振っても指の動きは止まらない。むしろ激しくなり、絶頂へと誘う。
「や、駄目駄目ッ……」
「イキそう?」
「あ、やっ、んんっ……!」
 その瞬間、ぶるぶると身体が震え頭の中が真っ白になる。
「……イったんだ?」
 その言葉に自分が日下部さんの手でイかされたのだと気づいた。
(……っ、うそっ……っ)
 身体の熱を落ち着けるように、深く息をする。
 その隙に、日下部さんは素早くベッド脇にあった引き出しからコンドームを取り出すと、手慣れた様子で身に着けた。
「――何だよ?」
 冷ややかな視線を送っていると日下部さんは少しだけ眉を寄せた。
「……いえ、随分慣れてるんだなって」
 遠回しに遊び人だと嫌味を言ってしまう。
「違うって。前から思ってたけど俺のイメージ悪すぎだよな」
「だって……」
 そこで口を噤む。これ以上の文句を言う資格なんて私にはない。
「お前さあ、俺が遊んでないことはいつも一緒にいるお前が一番知ってるだろ?」
 少しだけ拗ねた物言いの日下部さんだ。
 でも、と言い返そうとしたとき、身体をぐいと抱き上げられた。
「きゃっ!」
 日下部さんと向い合うようにして腰の上に馬乗りになり、コンドームのついたものがお腹に当たった。
 体勢に驚いていると、ぐいっと顎を掴まれ正面を向かされる。
「んんっ……っ」
 噛みつくようなキスだ。
 激しく口を塞がれ、舌を何度もくちゅくちゅと絡まされる。
 感情のこもった、まるで愛されていると錯覚しそうになるキスだ。
 頭がくらくらする。酸欠になりそうだ。
「はあ、……はあ」
 ようやく口づけから解放されたと思うと、耳朶を甘嚙みされる。
「お前は馬鹿なこと考えずに、俺に愛されとけ。……な?」
 耳元で熱っぽく囁かれ、ぞくぞくと身体が震えた。
 そして日下部さんの両手は私のお尻をぐっと掴みにすると、そのまま蜜口を根元まで引き寄せた。
 ぐりぐりと擦られ、敏感な突起がじんと反応する。
「や、それ……っ、あっ!」
 思わず甘い声が漏れてしまう。
 擦れ合う度にくちゅりという粘液が響き、たまらなく卑猥だ。
 いい加減苦しい。
 下腹部がより強い刺激を求めて、ヒクヒクとほしがっているのが分かる。
「なあ、このまま自分で挿れる? それとも挿れてほしい?」

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