元教え子の極上御曹司に一途すぎる溺愛を捧げられています!?

書籍情報

元教え子の極上御曹司に一途すぎる溺愛を捧げられています!?


著者:奏多
イラスト:小島きいち
発売日:2023年 12月29日
定価:630円+税

遥乃は知人経由で引き受けた家庭教師のアルバイトで、由貴と出会う。
一緒に過ごしていくなかで互いに惹かれ合い、合格が決まった由貴に熱烈な告白をされる。
だが遥乃は由貴の前では本来の自分とは正反対の姿で振る舞っていて――?
偽りの自分を愛してくれた彼に後ろめたさを感じ、遥乃はワンナイトの末別れを選ぶ。
そして数年後、事務員として働く遥乃は運命的な再会を果たす。
自分のことなど分からないだろう、そう思っていたのだが由貴は遥乃の腕を引いて――。
「俺は過去の男では終わらない。終わらせるものか」
由貴の一途な愛に、遥乃の心も身体も蕩かされていく――。



【人物紹介】

相原遥乃(あいはら はるの)
調査会社で事務をしている、28歳。
実はスタイルの良い清楚な美人。
家庭教師時代から由貴のことが好きだったが、嘘をついている後ろめたさから別れを選ぶが……?

篁由貴(たかむら ゆき)
コンサルティングファームの代表取締役CEOかつ名家の御曹司な26歳。
彫り深く端正な顔と涼しげな切れ長の瞳で、クールな王子様のような容姿の持ち主。
遥乃に対してはひたむきで健気さを見せるが、意地悪に翻弄する部分も。

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【試し読み】

「ハルノ先生。俺は……あなたが好きです」
 遥乃の心拍数が上がる。
「先生として先輩として尊敬していたけど、それ以上に……あなたのことを、ひとりの女性として意識していました」
 由貴の双眸が切なく揺れ、伝えてくる熱に身体が熱くなる。
「――俺の恋人になってください」
 緊張に掠れきった声に、遥乃の胸が締めつけられる。
(あぁ……)
 歓喜に目頭が熱くなってくる。
 自分も好きだと、思わず口を開きかけたその時――。
「俺、あなたの恋人として……春から同じ帝都大に通いたい。隣に歩いて幸せな思い出を築きたい。あなたを俺の彼女だと皆に宣言したい」
 どくんと、心臓が嫌な音をたてる。
(そうだ。わたしが……彼に告げてきたことは……)
「あなたは言っていた」
 ――そうね、わたしをあなたの恋人にするのなら帝都大を出て一流企業に勤めて、皆が羨むようなハイスペックな男性になることね。
 彼に告げたことは、すべて偽り――。
 本名を名乗らず素とは真逆な女と偽ることで、自分の心の傷の回復を図ったのだ。
「俺……あなたが周りに自慢できるような、ハイスペックな男になれるように頑張ります。だから……」
「由貴くんは……わたしのどこを好きになったの?」
 泣き出しそうになりながら遥乃は尋ねた。
「……正直なところと誠実なところ。俺の周りには、見栄を張ったり、嘘ばかりつく人が多かった。だけどあなたは……違った。俺のために厳しくもしてくれた」
 頭がぐらぐらする。
(……違う。……わたしもまた由貴くんが嫌うタイプの女なの。見栄と嘘ばかりついて……)
 本当のことは言えない。
 純真な心で愛してくれた彼を、これ以上裏切ることはできない。
「……ごめんなさい」
 断るしかできない。
 どんなに彼のことが好きでも、本当のことを言えば幻滅される。
 友にも家族にも手のひらを返された……あの時の思いをぶり返したくないのだ。
 いい思い出のまま別れよう。当初の予定通り。
「わたしは、あなたの心に応えることはできないわ」
 勉強を教えている時のように手厳しく線を引こう。
 そうすれば聞き分けのいい彼はきっと――。
「あなたが卒業したとしても、わたしにとってあなたは……」
〝生徒だ〟と、続きを言えなかったのは、由貴が痛いくらいに強く遥乃を抱きしめてきたからだ。
「離し」
「嫌だ!」
「由貴くん!」
「あなたが言ったんだ。受験に合格したら諦めるなと。我慢していたことをやってみたらと。俺はその言葉通りずっと待っていた!」
 由貴が抵抗をするのは予想外だった。その要因は偽りだらけの遥乃が発した言葉によるものだ。
 唯一正直に口にした、真実の言葉を根拠に彼は諦めなかった。
「あなたが俺の好意を先生だからという理由で断るのなら。……生徒とした約束はせめて果たしてよ」
「約束?」
「合格したら、俺の望みを叶えてくれると言ったこと」
「……っ」
「合格祝いに……ご褒美をくれてもいいじゃないか。先生を……ください」
 縋るような声音に、胸が締めつけられる。
「他にはなにもいらないから、俺に先生をくれよ!」
 遥乃は瞑った目に力を込める。
「……一度だけ、なら」
「え?」
「今夜だけ、由貴くんの恋人になる。それが……ご褒美。それが嫌ならわたしは帰る。ここで由貴くんとは永遠にさようなら」
「先生……」
 一度きりの身体だけの関係になるか、ならないか。
 由貴が遥乃の心をも求めてくれるのなら、割り切った関係を望むはずがない。
 身体を望めば下心があっての上辺だけの言葉だと認めてしまうことになる。
 だから彼は諦めるだろう……そう思っていたのに。
「――わかった。だったらそのご褒美、貰う」
 由貴は悔しそうな顔でそう言った。
「……は?」
 まさか承諾するとは思わず、遥乃は裏返った声を出してしまう。
「なにをそんなに驚くんだよ。言い出したのは先生じゃないか」
「……っ」
「予定とはかなり違うけど……それが、経験豊富な先生の妥協点なら仕方がない」
「わたし、別に経験豊富じゃ……」
「隠さなくてもいいよ今更。俺はそれでもいい。あなたが俺を男として意識してくれるのならたとえ一夜だろうと……なにもしないで引き下がるよりはマシだ」
 牽制したはずなのに、それが逆効果となって遥乃は追い詰められている。
 由貴から距離をとろうとしたが、すぐに距離を詰められた。
「先生……」
 由貴が手を差し出す。
「俺のこと……恋人にして」
 切なそうに瞳を揺らしながら。
「一夜から、恋が生まれるかもしれない。俺は……それに賭ける」
(わたしは……)
「先生、今夜あなたは……俺の恋人だ。俺を愛して、俺に愛されてくれ」
 離さないというようにきつく抱きしめられながら、遥乃は……最初で最後の一度だけ偽りない自分のままで彼を愛し、愛されてみたいと思った。
(これは……彼と約束した、ご褒美。わたしから言い出した……ものだから)
 ……それを免罪符にして。

 カーテンがない窓の向こうは、いつの間にか夜の帳が下りていた。
 蒼白い三日月の淡い光が、ベッドの上で絡み合う全裸のふたりを照らし出している。
「ひゃ……ぁっ、由貴く……そこだめ、だめっ」
 大きく広げられた遥乃の両足が戦慄き、シーツをなぞる足先にきゅっと力が入った。
 足の間には、月光に逞しい背を照らされた由貴が顔を埋めている。
 今まで彼の剛直に掻き乱されてとろとろに溶かされたそこに、清拭とも前戯とも判断つかない由貴の口淫を受け、絶え間ない快感を与えられ続けた。
 由貴は花園から溢れ出る蜜をちゅるちゅると音をたてて啜り、時折舌を忙しく動かしては新たに湧き出た蜜を堪能する。
「……蜜、すごい。ん、んん……これは全部……俺のもの」
 喜びの声を漏らしながら男らしい喉仏を上下に動かして蜜を飲み下す様は、子供のように無邪気で成熟した大人のように妖艶で淫靡だ。
「由貴くん、わたし、わたし……あああっ」
「ああ、蜜を吸われただけで、またイッちゃったの? ハルノ先生……段々とエッチになってくるね。ほら、ここ……もっとしてほしいってひくひくして可愛い。いいよ、もっとエッチな蜜を吸いとってたくさん愛してあげる」
 甘い余韻がまだ引かないのに由貴の舌は技巧的に動いて、また遥乃を追い詰める。
「はっああっ由貴くん……だめ、気持ちよすぎて……」
 由貴から逃れようとした両手は、いつの間にか彼と指を絡ませて握り合い互いの指を弄り合っている。その様は愛を確かめ合っている恋人のようだ。
 ――先生、俺初めてなんだ。だから教えて、先生が気持ちいいところ。
 ぎこちないのは最初だけ。
 真面目で上達が早い生徒は遥乃の反応を見ながら性技を体得していくと、遥乃自身も知らなかった快感を引き出した。
 卑猥な言葉で遥乃の理性を崩しながら、蠱惑的な男の艶を強めている。
 ――ごめんね先生。初めてだから必死なのは許して。俺より経験があるあなたが、どこをどうすれば悦ぶのか、早く知りたくてたまらない。その一方でどんな男に身体を許したのかと考えると、心が嫉妬に焦げつきそうになる。
 子供と大人の狭間を揺れ動くような不安定な危うげさと、遥乃のすべてを愛で支配したがる由貴の独占欲にぞくぞくする。
「好きだよ、ハルノ先生。本当に……好き」
 淫猥な音を響かせながら、吐き出される声の切ない響きに胸が締めつけられる。
「ずっと……こうしたかった。あなたを……ひとりの女として、愛したかった」
 頭を振りながら技巧的な舌使いと激しい吸引をされ、遥乃は嬌声を上げて仰け反りながら一気に意識が弾けた。
 その一部始終を愛おしげに眺めていた由貴は、息を整える遥乃を抱きしめるとその頭を両手に抱いてすりすりと頬ずりをする。
 そして半開きになった遥乃の唇を奪うと、ねっとりと縺れるようにして舌を搦めながら足を絡ませて、遥乃の手を屹立した彼の剛直に導いた。
 熱くて硬くて太いそれは、まるで生き物のようにびくびくしていた。
 遥乃の耳元に、吐息たっぷりの熱っぽい声が囁かれる。
「ハルノ先生……また、しよう? 先生の中に挿りたくてこんなに滾ってきちゃった」
「……っ、もう……しすぎよ……」
 封を切られた避妊具の包みは何個目になったのか、もうわからない。
 窘める声は弱々しく、ねだっているかのようだ。
 遥乃の下腹部の奥は彼の言葉に悦んできゅんきゅんと疼き、熱く濡れていた。
「足りないよ。この程度で俺の〝好き〟がすべて伝えられるわけがない」
 由貴は手を伸ばして真新しい避妊具を手にすると、遥乃の目を見つめながら包みを口に咥えて封を切った。
 ぎらつくようなオスの目をしながら艶然と微笑んでみせ、手際よくそれを装着する。
 そして――。
「若さだけが取り柄なら今はそれでもいい。何度でもあなたをイカせてあげる。俺は発展途上だから、あなた好みの男に育ててよ。この先も時間をかけて」
 これで終わらないでくれと、懇願するその眼差しに胸が痛い。
 欲情と背徳感。そして込み上げてくる愛情――。
 剛直は濡れしきった花園を何度か往復した後、蜜口に押し込まれた。
 質量ある熱杭がぎちぎちと狭道を押し開いて入ってくる。
「は……ぅん」
 何度も繋げたのに、いまだ挿入は慣れない。
 萎えることのない凶悪なまでの猛々しいそれは、身も心も遥乃を満たす。
 深層を蹂躙される戦慄と喜悦が入り混じり、全身が総毛立ってしまう。
 涙で滲む視界の中で、由貴が苦悶の表情を見せて耽美なため息をついた。
「気持ち、いい……。あなたの中……すごく悦んでる……」
 嬉しそうに微笑みながら、恍惚とした表情を向けてくる。
「ああ、とろとろに蕩けた先生の中に……俺がいる。幸せ……」
 その眼差しに熱を滾らせ、そして愛おしむのだった。
「先生、好きだ。本当に好きなんだ」
 由貴は片手を伸ばして、遥乃の頬を優しく撫でた。
「ねぇ……身体のように、心も俺を受け入れてよ。心も……先生とぐちゃぐちゃになるまで溶け合ってひとつになりたい」
 愛を一途に伝えるまっすぐな瞳。
 彼が愛おしくてたまらず、身も心もきゅんきゅんする。
 だが彼の言葉に応答しない遥乃に由貴の顔が曇る。
 それを見た遥乃の胸も張り裂けそうになる。
「先生……俺を感じて」
 両手を握り合い、ゆっくりと抽送が始まる。
 ともに甘美な吐息を漏らしながら、ふたりの動きはゆっくりとひとつに揺れた。
 熱を帯びた視線が、遥乃に絡みつく。
 由貴は快感を隠そうともせず、扇情的な表情を見せ薄く唇を開く。
 そしてやるせなさそうに目を細めて、遥乃の唇を奪った。
 互いの舌を吸い合い絡ませるうちに、由貴は激しく腰を打ちつけた。
 遥乃の官能が目覚め、あまりの快感に肌が粟立ち身体が震える。
 キスの合間に快楽に弾む声が漏れて、握り合った手に力を込めていく。
「先生……奥がうねって……すごい。ああ……たまらない」
 奥を抉るように深く突かれる。
 いつしか握り合った手はほどけ、遥乃の両手は由貴の背に回って爪をたてた。
 由貴が刻む快楽に脳まで蕩けそうになる。
 幸せに酔いしれながら、なにも考えずに彼の愛に浸りたいと遥乃は喘いだ。
「気持ち、いい。由貴くんが……ああっへんになる。おかしくなる……!」
「いいよおかしくなって、俺だけしか考えられないようになって。ねぇ、俺を愛して。これで終わりにしないで俺とずっと一緒にいて」
 身体も心もこんなに由貴が好きなのに、終焉が近いことを由貴も遥乃も感じている。
「先生、先生……!」
 背徳感に満ちたその単語。
 自分は……先生の資格すらないのに。
「由貴くん……先生はやめて。もう先生じゃない」
「だったら……あ」
 遥乃は紡がれる言葉を、キスで塞ぐ。
「ハルノ……って呼んで。そっちがいい……由貴……」
 嬉しそうに目を細めた由貴は、遥乃の耳元で何度も囁く。
「ハルノさん……ハルノ……好きだ。あなたが好き」
「……っ」
 由貴は腰を大きく回しながら、遥乃の最奥を目指して内壁を強く擦り上げてくる。
 快感の大きなうねりが次第に強まり、渦を巻く。
 彼の汗、彼の熱……由貴のすべてが愛おしくてたまらない。
「ハルノさん……言って。ねぇ、今は嘘でもいいから。俺のことが好きだと」
 快楽の渦が烈しさを増して、遥乃の思考のすべてを奪い取る。
「俺はあなたに……愛されたい!」
 切羽詰まったものが遥乃の中に込み上げ、内部で膨張していた。
 愛という名の暴虐的な渦に呑み込まれ、弾けそうになる不安に戦きながら遥乃は叫んだ。嘘偽りない言葉を。
「由貴……由貴っ、好き……好き……!」
 その瞬間、由貴の目がやるせなく細められた。
「ああ、ハルノ……俺も……好きだ!」
 遥乃の蜜壷にある剛直がさらに男を主張し、獰猛な動きを見せた。
「ハルノ……ずっと一緒に。一緒に……!」
「うん、由貴……一緒に一緒にイキたい」
 由貴は本能の赴くまま獣の如き荒々しい息を吐き、遥乃とともに上り詰めていく。
 遥乃は激しく髪を振り乱しながら、女である悦びを刻まれた。

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