淫紋を刻まれたら、なぜか初恋のエリート騎士様と極甘同棲することになりまして

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淫紋を刻まれたら、なぜか初恋のエリート騎士様と極甘同棲することになりまして

著者:太田まりえ
イラスト:浅島ヨシユキ
発売日:2024年 8月23日
定価:620円+税

ジュナヴィス王国の国立図書館で司書補として働くエミリア・バーティス。
貴族である彼女がここで働いている理由は国内最大級を誇る蔵書数のほかに憧れのエドガー・ランブリオールに会えるから――。
ジュナヴィス王国白騎士団・一等騎士であるエドガーは、エミリアの兄の親友で初恋の相手でもあった。
一方、彼から見たエミリアは親友の妹にすぎず、恋愛対象になることなどあり得ない、そう思っていたのだが……?
ある日、荒々しく図書館に入ってきたエドガーは余裕のなさそうな様子で不思議な蝶を探していると言う。
そして、虹色に輝くその蝶がエミリアの前に現れたかと思うと、突然、霧散した。
蝶の粉がエミリアに降りかかった様子を見たエドガーが慌てて駆け寄ってくるも……。
既に、彼女の胸元には見覚えのない鬱血痕が浮かび上がっており、なんとその痣は淫紋だった――!?
エミリアは、そのままエドガーに抱かれ、白騎士団の寮へと連れて行かれることに。
淫紋を消すために濡れた布でエミリアの胸元を拭うエドガーだったが、彼女の身体は敏感に反応してしまい――?
「大丈夫。すべて淫紋のせいだ。思う様、乱れていい――」
エドガーに助けを求めたエミリアは、彼の力強くも甘い愛撫に蕩けさせられていく……。

【人物紹介】

エミリア・バーティス
国内最大級の蔵書数を誇る王立図書館の司書補。
素直な性格をしており、エドガーに対しては全幅の信頼を置いている。
ある日、不思議な蝶の粉が降りかかると痣が浮き上がってきて――?

エドガー・ランブリオール
ジュナヴィス王国白騎士団・一等騎士。
頭脳明晰かつ決断力や洞察力にも優れ、上官にも一目置かれるほどのエリート騎士。
普段は淡々としているが、エミリアのことになると余裕をなくす一面も見える。

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 小首を傾げる彼女に、エドガーは、刹那、血の気の引いた顔を見せた。
「淫紋が光っている……?」
 直後、ほとんど風の速さでエミリアの制服に手を伸ばす。
「リア、すまない。破るぞ!」
「――んっ!」
 彼の手が掠めた場所がやけに熱く感じられ、違和感を覚える。
 けれど、それに対する戸惑いを表す前にブラウスのレースを引き裂く音が鼓膜を震わせた。飾りボタンが弾け飛び、胸の膨らみが光に晒される。
 恥じらいの気持ちより、困惑の方が優った。それを追いかけるように、不可思議なジリジリとした感覚が腰骨を這う。
 脚のつけ根にある、普段は意識もしない秘処が、今は、やけに気にかかる。
(……何かしら? なんだか身体の奥が、熱い……)
 もぞもぞと脚を擦り合わせるエミリアに、エドガーがはっと我に返った。
「リア……?」
「なんか、変。熱くて、むずむずする……」
 力が抜けそうになりながら、なんとかエドガーを見上げれば、鋭い双眸に見つめ返される。
「やはり淫紋だったか――」
 時によって、髪を同じ紅にも、太陽と同じ黄金色にも見える魅惑的なエドガーの瞳は、今は琥珀色に濡れていた。
 湯浴みの用意をしていた盥からは、ほわほわと温かな湯気が立ち昇るのが見える。忙しげに動いていたエドガーの手には、湿らせた浴布が握られていた。
「リア、じっとしていろ」
「――ん、……ふっ、っ!」
 熱く濡れた布でエミリアの胸元を拭うエドガーは真顔なのに、その真剣な眼差しに酩酊してしまいそうになる。
「ん、ぁ……んっ!」
 たまらずこぼした喘ぎは、広い部屋の中に消え、後に残るのは、エミリアの上擦った小さな声と荒い呼気だけだった。
 どくどくと心臓が鼓動するのに合わせ、熱い何かを押しつけられているかのような奇妙な感覚がそこから広がる。同時に、腰のあたりに馴染みのない震えを感じて、脚に力が入らない。
「ぁアっ、……エディ、や、何……これ……?」
 押し殺そうとしても唇の隙間からこぼれ落ちてしまう嬌声に、ぽろぽろと理解不能な涙が落ちる。
 表情を乱すことなくエミリアの胸元を、――左胸の淫紋を拭っていたエドガーは、やがて諦めたように浴布をそっと床に落とした。
「駄目だ、消えない」
 この恥ずかしいほどの情欲が淫紋のせいであることを、本能的に理解していた。
 それが、消えない、とはっきり言い切られ、絶望にも似た混乱がエミリアを襲う。
「やだ、そんな――……」
 嗚咽混じりの消え入る声を聞いたエドガーは、覚悟を決めるようにひとつ小さく息を呑むと、リア、と彼女の名を呼んだ。
「――誰か、付き合っている男は?」
 苦々しげな問いかけに、夢中で首を横に振る。
 そう問いかける彼こそが、エミリアの恋い焦がれる相手だと言うのに、一体、どういう皮肉だろう。
 エミリアの胸中など知らないエドガーは、安堵と緊迫感の入り混じった奇妙な表情をした後、無言のままに数回まばたきを繰り返した。彼は何やら思案している様子だが、きゅうきゅうと身体の奥深くで何かが蠢く感覚に気が散って、エミリアの方はそれどころではない。
 そうしている間にも、身体の中で得体の知れない原始的な欲望が熱く沸き立ち、渇望にも似た焦燥感に攻め立てられる。
「エ、ディ――……」
 荒い息の合間になんとか彼の名を呼べば、まるで何か覚悟を決めたようにエドガーがエミリアの視線を受け止めた。
「……今まで、自分で欲を発散したことは?」
 欲、とか、発散、とか。
 やけに遠回しな言い回しが歯痒くて、理性を欠いた頭で必死でエドガーの言わんとしていることを噛み砕こうとした。
 けれど、迫り来る渇望でぼんやりとした反応しか返せないエミリアに、彼の方が先に痺れを切らしたようだった。
「自分で性欲の処理をしたことはあるか? 淫紋なら、性的な欲求を満たしてやれば、消えるはずだ」
 淡々とそう告げるエドガーは、まるで医者が患者の治療をする時のように、真顔で彼女の瞳を覗き込む。
 一方、エミリアの方は、やっとエドガーの意図が掴め、赤面するばかりだ。
「……そんな、の……な、い」
 緊張でざらついた声は、自分の耳にさえ不快だったが、幸い、エドガーはきちんと聞き取ってくれたようで、難しそうな顔で眉間にシワを寄せる。その顔さえたまらなく魅力的で、目のやり場に困る。
「この際、仕方がないな。……では、やり方を教えるから、まず――」
 理知的なはずの声が、今はただ、歯がゆくてもどかしい。切実な情欲に支配されている自覚があれど、他には、もう為す術もなく――。
 ほとんど夢うつつのまま、自分の唇から、世界でいちばん愛しい男の名がこぼれ落ちるのを聞いた。
「……ディ、――エディ、おねが……助けて」
 大きく見開いた彼の瞳は、今度は蜂蜜色に見える。
 どさくさに紛れて、はしたないことを強請った。そんな自覚はあるのに、発言を覆す気にもなれなくて。
 打ち震える下肢には明らかな違和感があり、霞んだ頭ではうまく思考が組み立てられない。
 いずれにしても、ひとりで太刀打ちできるような生半可な欲情ではないことは、本能的に理解できる。
 助けを願ってエドガーの服を掴めば、高潔な騎士団の制服の下で、彼が小さく身じろぎしたような気がした。
 そうしている間にもまばたき二回分の時間が流れ、静寂が耳に痛く感じ始めたその瞬間。エドガーが、わかった、と小さく顎を引いた。
 その言葉に偽りはない、とでも言いたげに、エミリアの背中を彼の筋肉質な腕が抱き止める。
「今は何も考えるな。気持ちいいことだけに、――俺だけに意識を集中するんだ」
 迷いのない、切れ長の鋭い目に射抜かれ、エミリアは幼い頃からの癖で、たちまち安心してしまう。
「……ん」
 エドガーもまた彼女の身体から力が抜けたことを悟ったのか、少しだけ目元をゆるめた。眼光鋭い騎士の彼が、自分の前ではやわらかな表情を見せてくれることを、エミリアはひどく幸福に思う。
「ん、ふぅ……っ!」
 節ばった大きな手が、やさしくエミリアの左胸に触れた。赤く色づいた淫紋をかすめるようにして指先が薄い皮膚をなぞり、その刺激だけで彼女の息が上がる。
 ずり下げられた着衣は、淫らに腰のあたりでたわみ、いつの間にかスカートの裾もはだけて下肢が露呈していた。
(エディに、触られてる……)
 今までに発したこともないような鼻にかかった声は、まるで自分のものではないかのようで、いたたまれない。けれど、その中に潜む羞恥さえも感じ取ったらしく、エドガーが再びエミリアの顔を覗き込む。
「大丈夫。すべて淫紋のせいだ。思う様、乱れていい――」
 言葉だけでは足りない、と言わんばかりに、エドガーは右手でエミリアのたわわなふくらみを包み込んだ。それと同時に、彼の唇がもう一方の胸をかすめ、その先端の尖りを口に含む。ぢゅぅ、と吸われた瞬間、視界が明滅するような激しい快楽に全身を襲われ、エミリアは思わず仰け反った。
「……ぁぁあっ! あ、エディ、そこ、なんか変……!」
 制御不能な悦楽に流されそうになり、エミリアはたまらずエドガーに助けを求める。追い縋るようにして抱きつけば、彼は胸の先端を口に含んだまま、エミリアに見せつけるようにそこに赤い舌を這わせた。
「おかしくない。女性が気持ちいいと感じる場所のひとつだ」
 愛撫の合間に告げられた事実は、エミリアも聞きかじったことのある知識ではあったが、実際に与えられる快感は想像の範疇を超えていて小さく悲鳴がこぼれる。
「だからって、……んんっ、あぁぁっ!」
 熱い舌でぐにゅぐにゅと乳頭を嬲られ、その合間に、もう一方のそれは男の乾いた指に摘まれる。やわらかさと鋭さの入り混じる刺激は甘美としか形容しようがなく、身体の奥に炎が燻るようなじれったさを覚える。
 経験したことのないようなむずがゆさをやり過ごしたくて、ただ腰を揺らし、太ももに力を入れてみても、淫熱は引くどころか、ますますその温度を上げていく。
(苦し……)
 新たに生じた生理的な涙が、視界に膜を張る。少し滲んでさえ充分に端正な顔立ちのエドガーは、エミリアの気持ちなど知らず、彼女を慮るように小首を傾げた。
「リア……?」
「もっと、……もっとして?」
 言ってしまった――。
 赤面する彼女とは対照的に、その瞬間、エドガーはごくりと小さく喉を鳴らす。
「ああ。望み通り、いくらでもしてやる」
 迷いのない声。
 胸の谷間をなぞる舌先。
 敏感になった皮膚にかかる彼の吐息に、意識を奪われる。
 ぐわりと視界が揺らいだ。次に焦点が定まったのは、エミリアを見つめるエドガーの濡れたような瞳で、その時になって初めて、彼の虹彩が普段よりも濃くて深いアンバーであることに気づく。獰猛な彼の眼差しに射抜かれ、これから彼に食されるのを待つだけの草食動物のような心持ちになり、腰が甘く震えた。
 片手であっさりとその腰を掴んだエドガーは、司書補の制服だった布をすっかり脱がせると、白い太ももに空いた手を添える。
 期待。不安。そして、渇望。
 心臓を焼くような熱を帯びた刻印が、エミリアの理性を奪う。
 一抹の羞恥と鈍い痛みに奥歯を噛み締めれば、そんな彼女をあやすように、エドガーの手がレースの下着をあっけなく破り、ざらついた指がぬるりと淫窟の入り口をかすめた。
 次いで、エミリアの秘処に覆い被さるように屈み込んだ彼は、彼女の両太ももを掴むと、足を折りたたませる。そして、顕になった淫襞を何の躊躇もなくかき分けた。
 普段は秘めたそこが、外気に晒され、ぶるりと身体が震えた。追い打ちをかけるようにエドガーの熱い息と視線を受け、その刺激だけで腰が砕けそうだ。
「……ここも、愛らしい」
「エディ、待っ――、ぁァア、そこ、ヤァ……!」
 淫核がエドガーの舌に包まれた瞬間、脳裏で星が弾けた。ふわっと身体が浮き上がる感覚がして、直後、全身の血管を沸騰した血液が巡るような恍惚が湧き起こる。
 びくびくと痙攣する太腿はエドガーの逞しい手に押さえつけられ、自由がきかない。
「や、待って、……エディ、なんか変なの、またなんか来る……!」
「――やはり、この程度では消えないか」
 何が消えないのか、彼が一瞬目を向けた先から察せられた。いや、視線を追うまでもなく、自身の左胸は火傷を負ったかのように熱いままだ。
「……んぅっ……!」
 淫紋に気を逸らされていたせいだろうか。
 ちゅぷ、と小さく水音がして、なんの抵抗もなくエドガーの指が隘路に呑み込まれる。
 未知なる感覚は、恐怖心よりも情欲を刺激し、充溢した粘膜が侵入者を歓迎するように蠢くのがわかった。
「……っ、ぁ、……エディ、――それ、熱い……!」
 先ほどまで舐め吸われていた敏感な淫核を、今度は裏側から撫でられるような感覚で、身体中の血が一気に沸き立つ。逃げ惑う余裕もないまま、指の腹で軽く押されてしまえば、その摩擦で生じた新たな愉悦が、エミリアの全身を駆け巡った。
(なに、これ、気持ちいい……!)
 与えられる快楽を逃すまいとするかのように、肉壁がぎゅうぎゅうとエドガーの指に絡みつく。
「……痛いか?」
 案ずるような問いかけに、夢中で首を横に振った。
「違うの。気持ち良くて、……も、私、からだ、おかしい……」
 舌がうまく回らない。
 途絶えながらも言葉を紡ぐと、エドガーは目尻を下げ、ふわりと微笑を見せる。その優しげな眼差しは、まるで愛する女性に対して向けるそれのようで、エミリアの心がぎゅっと締めつけられた。
「いい子だ。じきにもっと気持ち良くなれる……」
「もっと……? ――ん、んぁぁ、……やぁぁぁ!」
「ここも、女性が気持ちいいと感じる場所のひとつだ」
 ぐちゅぐちゅ、といやらしい音を奏でながら、エドガーの指が淫猥にエミリアの隘路を往復する。
 媚壁を擦られるたび、そこに生まれる熱が、さらに奥にある場所へと駆け上っていくのがわかる。
(あ、やっ……奥まで来ちゃう……!)
 抽挿が繰り返されるたびに、エドガーの指はじわじわと深い場所を暴きにかかった。
 左胸の上で熱を帯びた淫紋は、浅い呼吸に合わせて上下に揺れ、しなやかに震える。
「――ぁぁあっ、んうっ……!」
 秘処の奥で何かを探していたエドガーの指が、エミリアのお腹の方の肉壁をつついた。その瞬間、目の前で火花が散るような激しい法悦が全身を伝い、たまらず腰が浮く。
「ここか」
 確信に満ちた低い声は、なぜか満ち足りたようにも、あるいは、幸福なようにも聞こえた。
 錯覚だとわかっていながら、エミリアは一瞬の夢にしがみつきたくて、エドガーの首に両手を回す。
 甘え、媚びる仕草が恥ずかしいのに、不思議と、迷いはなかった。むしろ、淫紋の呪いのせいか、大胆な心持ちですらある。
「……リア」
「エディ……欲しいの」
 口にした途端、自身の秘処がきゅっと震えたような気がした。ナカに収められたエドガーの指のかたちを如実に感じ取り、またひくひくと隘路がわななく。
 烟った眼差しをエミリアに向けたエドガーは、何かに魅せられたように小さく喉を鳴らしたのがわかった。

 足りない。
 足りない。
 全然足りない。

 頭の中だけで浅ましくそう乞えば、それが聞こえたはずもないのに、エドガーがゆっくりと頷いた。
 名残惜しげに離れた彼は、次の動作で、あっさりとその美しい肢体を露わにする。
 まだ彼も自分も幼かった頃、兄も含めて三人で領地内の湖に行ったことがある。その時、彼の半裸を見たことはあったが、目の前のそれは、まるで違っていた。
(……かっこ、いい……)
 鍛え上げられた上腕。鍛錬の賜物の厚みのある胸板。きゅっと引き締まった腰。
 そしてなにより、彼の長身に見合う、存在感のある男の証。
 初めて見る異性の肉体に、脳まで蕩けるような淫熱に襲われる。その一方で、エドガーの肉体から視線を逸らしたくない思いもまた本音で、エミリアは無自覚に片手を彼に伸ばした。
 けれど、宙に浮いた手は、あっさりとエドガーのそれに捕獲される。そのままゆっくりと押し倒されたエミリアは、背骨でやわらかなスプリングを感じながら、自身の覆いかぶさるエドガーを見上げた。
「後悔は、――いや、愚問だな。忘れてくれ」
 切なげに視線を彷徨わせたエドガーに、エミリアもまた悲しくなる。
「エディ。お願い、助けて……」
「当たり前だ」
 敏感になった秘裂に、熱い男根が押し当てられるのを感じた。期待に打ち震える襞は、すぐさま男に絡みつき、触れ合う場所からは、くちゅ、と生々しい水音が響く。
「いいか――?」
 頷いた瞬間、陽根が隘路に突き立てられた。
「……っ、ぁぁああっ!」

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