天才医術師の甘美な指先に翻弄されています ~政略結婚は、熱く蕩ける初夜教育のあとで~

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天才医術師の甘美な指先に翻弄されています ~政略結婚は、熱く蕩ける初夜教育のあとで~

著者:nori.
イラスト:森原八鹿
発売日:2024年 8月23日
定価:630円+税

アルヴァーテインの王女、オリヴィア・アルヴァーテイン。
オリヴィアは傷ついた兵士のためにも自国の医術師たちに新しい医術を学ぶよう強く要請していた。
だが、それが横暴な命令だと認識されており、類まれない美貌の持ち主でもあることからも『何も知らないわがまま姫』と呼ばれていた。
そんな彼女のもとに、長い間敵対関係にあった隣国ラーヴァーグルトの第二王子、ルートヴィクとの結婚の話が舞い込んでくる。
夜な夜な残虐行為を楽しんでいると噂される『極悪非道の冷血王子』との政略結婚だったのだが――。
オリヴィアが自身の王女たる責務を果たすため受け入れると、婚姻の前に初夜教育が行われることになり――? 
教育係としてやってきたルークと名乗るその人こそ、実はルートヴィク本人だった……!?
当然オリヴィアは気づかないまま、二人の熱く蕩ける初夜教育が始まる――。

【人物紹介】

オリヴィア・アルヴァーテイン
アルヴァーテインの王女。
強気で真面目な性格で、『何も知らないわがまま姫』と呼ばれてしまうことも。
政略結婚のため、初夜教育を受けることになるが……。

ルートヴィク・ラーヴァーグルト
隣国・ラーヴァーグルトの第二王子。
『極悪非道の冷血王子』という恐ろしい噂があるのだが、本来は穏やかな性格をしている。
オリヴィアの教育係として任命されてしまい――?

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【試し読み】

 わずかな蝋燭の明かりがちらつく、貴婦人の寝室。
 深紅の天蓋の奥、クイーンサイズのベッドの上には一組の男女がおり、男――ルークが静かに口を開く。
「それでは――初夜教育の一日目を始めさせていただきます」
「…………」
 サラサラとしたこげ茶の髪。髪と同じ色の聡明な瞳。
 派手さはないが非常に整った目鼻立ちをしており、背は高く、見た目の穏やかに反した実にしっかりとした体つきだ。本国では『医術師』をしているらしく、シャツの上に黒を主体とした法衣のような衣装を身にまとっている。
 そんな男にゆっくりとベッドに押し倒されながら、もう一方の女性――オリヴィアはぎこちなく唇を噛みしめた。
(大丈夫よ……だって、みんな経験することなんですから……)
 燃えるような赤色の髪に同じく深紅の瞳。誰もが振り返るような美人だが、それ以上に激しい気性を秘めていそうだと、その目の輝きを見るだけで分かる。
 ルークの大きな手が純白のナイトドレスの襟元に伸びてきて、するするっとリボンがほどかれる。前身頃があっという間にはだけ、オリヴィアの白くて華奢な鎖骨と豊満で形の良い乳房が露わになった。
 上から見ていたルークは一瞬息を吞んだものの、すぐに真面目な顔つきになる。
「初夜……というか、男女の交わりの際には、まずはこうして相手の体に触れていくことが多いと思います」
「……っ」
「こうして少しずつ緊張を解きほぐして――」
 そう言うとルークはオリヴィアの肩に手を置いた。まるで陶磁器のようになめらかな彼女の肌を、ことさらゆっくりと撫でる。
(んっ……)
 彼の手からしっとりとした熱が伝わり、それだけでオリヴィアはぞくぞくっとした謎の快感を拾ってしまった。
 上腕、肘の内側、前腕、細い手首――男性特有の長くて硬い指が丹念に肌をすべり、もう一方の腕も同様に優しくなぞられる。気づけばナイトドレスは肩から落ちており、オリヴィアは秘部を隠す下着だけを身に着けた状態になっていた。
 羞恥に顔をそむけるオリヴィアをよそに、ルークは彼女の腰に手を添える。びくっと分かりやすく震えたのに気づき、くすりと笑みを漏らした。
「そんな、痛いことはしないのでリラックスしてください」
「し、してるわよ! いいからさっさと続けなさい!」
 自分でも思った以上にきつい言葉が出てしまい、オリヴィアは頬に朱を走らせる。
 少しだけ閨の空気がなごみ、ルークがそっと自身の手をずらした。
「では……」
 腰骨から、薄くて平らな腹へと彼の指先が移動し、オリヴィアはくすぐったさから太ももをすり合わせる。ルークはそのまま手を上側にすべらせると、彼女の胸の下側を包み込むようにして持ち上げた。
「痛くありませんか?」
「へ、平気よ……」
 普段着替えを手伝ってくれる侍女たちではなく、はじめて異性から――しかも直に触れられるとあってドキドキしていたが、思っていたより不快感はない。
 ルークはその柔らかさを堪能するように指先を動かしたあと、手を大きく開いて全体をむにゅっ、むにゅっと揉みしだいた。その際、彼の手のひらに乳頭が擦れてしまい、オリヴィアは再びびくっと肩を震わせる。
「失礼。……ですが、きちんと硬くなっていますね」
「う、うるさいわね!」
 堂々と指摘され、オリヴィアは喧嘩する子猫のように応じる。ルークは特段気を悪くした様子もなく、そのまま優しく乳房を愛撫し続けた。
「よく女性は、胸を揉まれると気持ちが良いとされていますが――あれは一概に正しいとは言えません。要は単なる脂肪組織なので、触れ方によっては痛いと思うことすらあるようです」
「そ、そうなのね……」
「はい。もちろん、時間をかけて慣らしていくことで、快楽を得られるようになるそうですが」
 そう言いながら触れるルークの手つきは、じれったくなるほど丁寧で、オリヴィアは痛みを感じるどころかもっと強く、乱暴に揉んでほしいとすら感じてしまう。
 やがて彼の手が動き、指先が先ほどの乳頭へと伸びてきた。
「逆にこの部分は、経験が浅くとも快感を覚える女性が多いそうです。ただし、あまり強く触れると傷が出来てしまうので、出来ればあらかじめ、こうした香油などを準備しておくといいかもしれませんね」
 ルークは法衣から小さな香油の瓶を取り出し、蜂蜜色のとろりとした液体を手のひらに出した。両手に塗り広げると、あらためてオリヴィアの両胸を摑む。
「やっ、ちょっ……!」
 ぷっくりと立ち上がった乳首にルークの人差し指の腹が押し当てられ、くり、くりと硬さを確かめるように何度か左右にこねられる。ようやく慣れたかと思うと今度は円を描くように乳輪をなぞられ、さらには爪先で強く擦られたりと愛撫に切れ間がない。
「もうっ、あっ、やだっ……!」
「痛い時はすぐに言ってくださいね」
「んっ……」
 香油ですべりが良くなっているおかげか、まったく痛みはない――それどころかあまりの気持ちよさに、オリヴィアはたまらず身を捩った。
「ちょっ……待っ……!」
「ああ、苦しかったですかね」
 するとルークは覆いかぶさっていた上体を起こし、オリヴィアを自身の腕の中へと抱き上げた。そのまま体の向きを変えてベッドのヘッドボードに背中を預けると、オリヴィアを背後から抱きしめるような形に体勢を変える。
 脇の下から大きな手を差し込まれ、両方の胸を同時に揉まれているというあられもない状態に、オリヴィアはたまらず抗議した。
「どうして後ろからなのよ!」
「この方が加減しやすいですし、僕の体で押し潰してしまう心配がないかなと」
「――っ!!」
 反論が思いつかず、オリヴィアはぐぬぬと歯噛みする。
 その間にもルークの手技はとまらず、赤く熟れた乳首を指先で何度も撫でられた。屹立した先っぽをくにくにといじられたり、親指と人差し指で挟み込んで、引っ張るように優しくしごき上げられたり。
 さらに一度、ぴんと立ち上がったそこを乳輪の奥に埋め込もうとされたが――。
「やっ、あんっ!?」
 よほど硬くなっているのか、ピンク色の乳首はすぐにぷくっと顔を出してしまった。戻ってきたそこをこすこすと擦りながら、ルークが小さく苦笑する。
「ここの反応は十分すぎるようですね」
「わ、悪かったわね!」
 ルークからの指摘が妙に恥ずかしく、オリヴィアはつい強く言い返してしまう。
 その後も、気が遠くなるほど丁寧で丹念な愛撫が両乳首になされ、いつしかオリヴィアの思考はぼんやりと霞がかったものになっていた。
(胸を触られているだけなのに、どうして……こんな……)
 自身のかいた汗と香油が混じりあい、甘ったるい匂いが天蓋の中に充満している。背中越しに感じるルークの体温は高く、衣服越しにもその熱が伝播してくるかのようだ。
 そのうえ、引き締まった彼の腹筋や立派な太ももなどをはっきりと意識してしまい――オリヴィアの下腹部が、知らずくうんと鳴く。
(まさか初夜教育が……こんなに激しいものだったなんて……)
 やがてルークの片手が胸から離れ、するするっと腹の方へ下りてきた。そのままオリヴィアの鼠径部に差し入れると、唯一残されていた下着に指を添える。
「このように胸への愛撫を終えたあと、今度はこちらをほぐしていきます」
「こ、こちらって……」
「女性生殖器――ワギナ、と呼ばれる場所です」
 ルークの長い中指が、しっとりとした下着の布地を上下になぞる。
 ここにまで汗をかいていたのだろうか、とオリヴィアが恥ずかしがる間もなく、薄い布地はその下にある外陰部へぴったりと張り付いた。
 はっきりとした割れ目をかたどったその部分を、ルークはことさらゆっくりと愛撫する。その途中、彼の指を特に気持ちよく感じる箇所があり、オリヴィアはたまらず太ももを動かした。
「オリヴィア様、大丈夫ですか?」
「へ、平気よ! これくらい……」
「そうですか。では――」
 ルークはいったん指を止め、オリヴィアのへそ下あたりにまで手を引き戻す。
 思ったより大したことなかったわね、と内心安堵するオリヴィアをよそに、今度は下着の布地の下へと指先を潜り込ませた。
「ちょっ、ちょっと!?」
「す、すみません。ですがほとんどの場合、直接触れることが多いので……」
(ちょ、直接ですって!? こんな場所を!?)
 騙されているのでは!? とオリヴィアはたじろぐが、ルークの真面目な性格と医術師であるという点には信頼を置いている。仕方なく動向を見守っていると、彼の指がオリヴィアの秘部へと直に押し当てられた。
 ずっと汗だと思っていたが、どうやらそこから湿り気が生じているらしく――くちゅり、という初めて聞く水音が、オリヴィアの耳に飛び込んでくる。
「濡れていますね。挿入には適している状態です」
「濡れて……」
「ですが初めてなので、今日はもう少し柔らかくしていきましょう」
 ルークの中指が、ぬかるんだ割れ目の入り口をぬりぬりと行き来する。
 布地の上からではかろうじて耐えられたものが、はっきりとした太さと熱を持つ彼の指に代わった途端、名状しがたい快感を伴うものとなった。
(でも指……ちょっと怖いわ……)
 いきなりずぶっと奥に突き入れられるのではないか、という恐怖もあったがそんな気配はなく、ルークは内側から溢れてくる蜜をオリヴィアの肌に馴染ませるかのように、慎重に、かつ丁寧にその部分を愛撫し続ける。
 そのうちオリヴィアの足の間に、じわじわとした新たな感覚が芽生えてきた。
(なにかしら、この……ぞくぞくする感じ……)
 もっと奥に触れてほしい、でもこれ以上は痛いかもしれない――という葛藤に苛まれつつ、オリヴィアは無意識に腰を揺らす。
 するとそれに気づいたルークが、そっと指の本数を増やした。
「気持ちいいですか? では――」
「っ……あっ……!」
 耳朶が蕩けそうなほど低く甘い囁きのあと、彼の中指と人差し指がぬりゅりゅっと恥丘の上側に移動する。
 その瞬間オリヴィアは、まるで雷に打たれたかのような衝撃に襲われた。
「――っ!?」
 彼が触れたのは、割れ目の奥にあった小さな突起。
 ほんのわずかな刺激であったのにもかかわらず、オリヴィアの全身はびくびくっと歓喜に打ち震える。それを見たルークは、慌てて彼女の下着から手を引き抜いた。
「し、失礼しました! 大丈夫ですか?」
「っ……これくらい、なんでもないわ……」
 続きを、とルークに訴えるが、彼はすっかりうろたえてしまったのか、眉尻を下げて悲しそうな顔をするばかりだ。
 それを見たオリヴィアは、はあっと堪えていた息を吐き出す。
(私には、時間がないのよ……)
 これは王族として必要な花嫁修業。
 国民を守るために、この身と心を捧げることなど造作もないこと。
 たとえその相手が――隣国の悪名高き『極悪非道の冷血王子』であろうとも。
(二国の和平のためにも、私は、早く処女を失わなければ……)
 オリヴィアは唇を噛みしめると、ぎゅっと強く瞳を閉じたのだった。

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