溺愛主義な上司の身代わり新婚エロス 〜婚約破棄からはじまる濃厚蜜夜〜

書籍情報

溺愛主義な上司の身代わり新婚エロス 〜婚約破棄からはじまる濃厚蜜夜〜


著者:紅カオル
イラスト:小島きいち
発売日:2022年 1月28日
定価:630円+税

音羽ひまりは二十七年の人生の中でも最悪な出来事に直面していた。
結婚式直前で彼氏の二股が発覚したのだ。
当然、式も婚約も白紙。
どん底の気持ちの中、新婚旅行先として予約してしまっていた南国に傷心旅行として一人で行くことにしたひまりだが、そこには何故か上司である宝生の姿もあって――!?
宝生と過ごすうちに徐々にひまりの顔にも笑顔が戻っていくが、傷つけられた心はふとした瞬間に苦しく痛む。
「泣きたいなら気が済むまで泣いたらいい。それまで俺がずっとこうしてる」
抱きしめられながら囁かれた言葉はひまりの心に痛いほど沁みて、そして思わず彼に「ひとりにしないで」と縋ってしまい――!?

【人物紹介】

音羽ひまり(おとわ ひまり)
宝生の部下で27歳のOL。
結婚式を挙げる数日前に彼の浮気が発覚し、白紙になったばかり。
笑顔が可愛らしい。

宝生尊(ほうじょう たける)
ひまりの勤める会社の社長息子であり、32歳という若さでコンサル事業室の室長になった優秀な男性。容姿端麗でクールな表情なため、ひまり含め部下たちには恐れられていたが……?

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【試し読み】

 部屋の前まで送ってくれるという尊の言葉に甘え、ホテル棟を出て、ランプの灯された道を歩いていく。
「明日は何時の飛行機ですか?」
「十一時ジャスト」
「それじゃホテルを出るのも早い時間ですね」
 ここから空港まで車で一時間半かかる。
「そうだな、ゆっくりはしていられないだろう。三時から打ち合わせがあるから、飛行機に乗り遅れないようにしないとな」
「では私がモーニングコールしましょうか」
「それは心強いね」
 ひまりを元気づけるために沖縄まで飛んでくれたのだから、責任を持って東京に帰してあげなければならない。
「任せてください」
 自信満々に胸をトンと叩く。
「とかいって寝坊するなよ?」
「だ、大丈夫です」
 クスッと鼻を鳴らした笑顔の破壊力が驚異的で、つい言葉につかえた。
 慌ただしい明日の朝は一緒にゆっくり朝食を食べる時間はたぶんない。そのモーニングコールが、沖縄で尊と接点を持つ最後だろう。そして沖縄で顔を合わせるのは、これでおしまい。
 そう考えたら、とても寂しくなった。
 急に足取りが重くなっていく。いよいよ部屋の前で揃って足を止めたそのとき。
「よろしかったらコーヒーでも飲んでいきませんか?」
 ひまりの口から思いも寄らない誘い文句が飛び出した。まるで口が勝手に動いたみたいに、思考回路と連動していなくて自分で焦る。
「あっ、私ってばなに言ってるのかな。お部屋に帰ってゆっくりしたいですよね」
 朝早く東京を発ち、夕方までたっぷり海で遊んで疲れただろう。
 ひとりになるのが寂しいからといって、これ以上、尊に迷惑を掛けられない。
「せっかくだから飲ませてもらうよ」
「えっ……」
「〝えっ〟て、誘ったのはキミだろう」
 クスクス笑われ顔が熱くなる。あっさり快諾されて逆に拍子抜けした。
「強引にお誘いしてすみません」
 謝りつつカードキーをかざして尊を中に招き入れる。
「さすがヴィラは広いな」
 足を進めながら尊は目線をぐるっと回した。
「ひとりで持て余しそうです」
 明日から丸っきりひとりだから、かなり贅沢な空間だ。
 ひまりはリビングのコーナーにあるお茶セットの中にドリップコーヒーを見つけ、電気ケトルでお湯を沸かしはじめた。
「掛けてお待ちくださいね」
 三人掛けソファを勧めて、ドリップをセットしたカップに熱湯を注いでいく。ふたつ分の準備を終え、尊の前にひとつ置き、人ひとり分ほどスペースを空けた場所に自分のコーヒーを置いた。
 ふぅと息を吐きながら腰を下ろしたが、話す話題を見つけられず、やけに静かな空気が舞い降りる。
 尊は、コーヒーを飲み終えたら帰ってしまう。そうしたら今度こそひとりぼっちだ。
 楽しい時間を一緒に過ごしたからこそ、このあとの寂しい時間を想像して急にしんみりとした気持ちになってきた。
(幸せな旅行になるはずだったのに、なんで私はひとりで沖縄まで来ちゃったのかな……)
 素直にキャンセルしていれば、こんなに広い部屋にひとりで朝を迎えずに済んだのに。
 ロマンチックな雰囲気のヴィラだからこそ余計にそう感じるのか、落ち着いていたはずの心がにわかに波立ちはじめた。
 不意に、プロポーズされたときのことが蘇る。
『幸せにするよ』
 たしかにそう言った彼は今、ここにはいない。
(――どうして)
 その言葉が頭の中をぐるぐる回る。
 ずっと平気だったのに、失恋の寂しさがいきなり襲いかかってきた。
 どうしてプロポーズなんてしたの。どうして幸せにするなんて言ったの。どうしてほかの女性を好きになったの。どうして……。
 誰かに捻り潰されたかのように心臓が苦しい。
 優しくて誠実な男だと思っていたのに、自分はいったい彼のどこを見ていたのだろう。
「……音羽」
 尊に名前を呼ばれてハッと我に返る。ふと視界が歪み、それが涙のせいだと気がついた。
「ご、ごめんなさい」
 上司の前で泣くなんてどうかしている。それも仕事とはまったく関係のない失恋で。
「こんなだから結婚直前に相手に逃げられるんですよね。特別美人じゃないし、一般家庭の育ちだし、私と結婚しても利点なんてないですから」
 そうでなかったら式直前に彼氏に逃げられたりしないだろう。
 あまりにも悲惨な状況のため、自分を卑下する言葉が口をつく。
 慌てて手で頬を拭って取り繕っていたら、肩を強く引き寄せられた。尊に抱きすくめられたとわかったのは、彼の腕の逞しさを感じたときだった。ウッディ系の香りがふわりと鼻をかすめる。
「……室長?」
「泣きたいなら気が済むまで泣いたらいい。それまで俺がずっとこうしてる」
 優しい声だった。
 いつもの凛とした堅いイメージとは程遠く、やわらかい声がひまりの心にすっと染み渡っていく。一度止めた涙がぽたりと膝に落ちた。
 その一滴が合図のように、あとからあとから涙が溢れてくる。
 俊成に別れ話をされても泣かなかった。両親や友達に結婚がダメになった報告をしたときだって、笑い飛ばす余裕があった。ひとりの夜も、ひとりで迎えた朝も、涙は一滴も出なかった。
 それなのに。
 尊に優しく抱きしめられ、背中をそっと撫でられ、堰を切ったように涙が止まらない。悔しいのか悲しいのか、自分でもわからないほど心はぐちゃぐちゃだった。
「……室長、ひとりにしないで。お願い……」
 誰かにすがりつきたくて、涙交じりの声が唇から零れる。恥知らずの自覚はあるが、それよりも孤独への恐怖のほうが大きい。
 背中を擦っていた尊の手が、ふと止まる。
 このまま惨めな気持ちに囚われたくない。どうか、その手を離さないで――。
「ひとりになりたくないんです」
 こんなに広い部屋で夜を過ごすなんて嫌だ。
「なにを言っているのかわかってる?」
 尊がひまりの顔を覗き込む。見つめるふたつの瞳がゆらゆらと揺れていた。
 彼が困惑しているのは手に取るようにわかる。ひまりの言葉に隠された意味を知っているからこそだろう。
 でも。
 ひまりはコクンと頷き……。
「抱いてください」
 尊のシャツを掴んで懇願した。
 なんて破廉恥な。なんて図々しい。
 そうわかっていても、胸を押し潰されるほどの寂しさを紛らわせる方法をひまりはほかに知らない。
「……本気で言ってるのか?」
 もう一度ゆっくり頷く。
 瞬間、尊の眼差しが色を変える。湖面のように静かだった瞳の奥に熱が宿るのが見えた。
 ひまりの頬に手を添えた尊が、じっと見つめる。逸らすのも叶わないほど強く絡んだ視線はしっとりと艶めき、ひまりの鼓動を速めていく。大胆な言葉とは裏腹に、体は硬直していた。
 尊の指先がひまりの頬を伝った涙を拭い、躊躇いがちに近づいた唇が、その涙の痕にそっと触れる。慰めるように優しいキスだった。
 そこから互いの鼻先をつけ、唇と唇を軽く触れ合わせてからいったん離れる。
 それで終わりにしてほしくないと強い想いで見つめ返したら、尊は今度は思いきったように唇を重ねた。
 角度を変え、啄むようなキスが強張った体を解していく。やわらかい唇が触れては離れ、時折軽く吸われる。決して急がず優しい口づけは、ひまりの傷ついた心を癒やしていくよう。まるでそこに愛があるように錯覚しそうになる。
 水に揺蕩うような穏やかなキスに魅了されていたら、不意に唇が解けた。もう終わり?と感じるほど尊のキスに囚われていたらしい。
「ベッドへ行こう」
 囁いた尊がひまりをそのまま抱き上げる。
「きゃっ」
 思わずぎゅっと彼にしがみついた。
「寝室はこっちか?」
「あ、はい、たぶんそうだと……」
 傷心ではなく普通の精神状態だったら、この部屋に案内されたときに弾む気持ちであちこちを見て回っただろう。でもそんな気分にもなれず、ひまりはベッドルームも確認していない。
 両手が塞がっている彼に代わってひまりがドアを開けた瞬間、ドキッとさせられる。
 ウォーターヒヤシンス製の大きなベッドには淡い光を通す天蓋が緩やかに下り、真っ白なファブリックの上にハートの形をした深紅の風船が大小舞っていた。
 新婚旅行だと告げていたため、ホテル側がサプライズを仕掛けてくれたのだろう。とびきりロマンチックなベッドルームで。
 これからひまりは、新婚旅行で訪れる予定だった相手とはべつの男にそのベッドで抱かれる。その現実が背徳感を生み、心をざわつかせる。でも今は、それ以外に悲しみから逃れる術はなかった。
 ひまりがベッドに下ろされると、風船がふわりと舞いながらフロアに次々と落ちていく。
 尊に組み伏せられ、顔の両脇で絡められた指先が熱い。
「俺がそばにいるからもう泣くな」
 それが涙を止めるためだけだとしても、ひまりにとってはうれしい言葉だった。ひとりにならずに済む。それだけで心強かった。
 尊のキスが額に落ちてくる。
(どうしよう。私、本当にこれから室長に抱かれるんだよね……)
 自分から抱いてとねだったくせに、緊張が包み込んで全身が強張った。
 息もできずにいるひまりの鼻先をゆっくり伝い、尊の唇がひまりのそれに到達する。先ほどのように軽くチュッチュと触れ合わせていたのは最初だけ。彼の舌先に唇をくすぐられ、反射的に緩めた隙を突いて舌が侵入してきた。
 恋人でない男、それも上司とキスをしている事実が、鼓動を駆け足にしていく。
 歯列をぐるりと舐められ、頬の裏や顎の上下とあますところなく蠢く彼の舌。それは繋がれた指先同様に熱く、絡め取られたひまりの舌に伝染させていく。ぬめりを帯びた口腔内はすぐにふたりの唾液にまみれ、ひまりの唇の端から吐息と一緒に零れていった。
「……っふ、ぁ……」
「もっと舌を出して」
 命じられるままに伸ばした舌は彼の口腔内へ引きずり込まれ、強く吸われては硬く尖らせた舌でしごかれる。
 尊の唇から深い吐息が漏れ、それに煽動されるようにしてひまりの息も上がり、体の温度が急上昇していくのは必然。言葉にならない分、指を絡められた手を握り返し、その熱を尊に伝える。
 人肌が恋しい。心に空いた穴を埋めてほしい。その一心だった。
 それを察したのか、彼の手がキスをしたままひまりの背中に回りワンピースのファスナーを下げていく。ジーッという音が静かな部屋に響き、このあとの行為を想像して緊張が走る。
(待って!)
 そう思うより早くファスナーを下ろしきった手が、今度はひまりの肩先を露わにした。かっちりとしたタイプのワンピースでないため、たやすく両肩が剥き出しになる。
 そのまま止まらずウエストのあたりまで下ろされ、下着が晒された。
 まだ残る理性が、自分の上司にあられもない姿を見せている羞恥心を煽る。下着まで取り払われたら、すべてを彼の目に晒してしまうと焦るが、ひまりに抵抗する権限はない。――この行為自体、ひまりが望んでいるからだ。
 リップ音を立ててキスが解け、彼の唇が顎から首筋を伝いながら下りていく。胸元に唇を這わせながら、彼の手がブラジャーごと胸を覆った。
「ン……」
 長い指の大きな手が両方の胸をゆっくり揉みしだく。時折布の上から頂点をカリカリと擦られ、布越しに唇から熱い息を吹き込まれ、芯を持ちはじめるのが自分でもわかる。
 そこを暴かれたら恥ずかしいと考えたそばからホックを外されてカップが浮き、丸い膨らみがふるんとまろび出た。
「やっ」
 咄嗟に覆うために手を伸ばしたが、尊の一手が先んじる。ダメだよといった調子の手に軽く阻止された。
「隠していたらできないだろう?」
「そうなんですけど……」
理性と本能の狭間で激しく心が揺れる。
「忘れたいんじゃなかったのか?」
「……忘れたいです」
 あんな男なんて。失恋の痛手なんて大した傷じゃないと、本当の意味で笑い飛ばしたい。
「忘れさせてやるから今は俺だけを考えろ」
 熱を帯びた眼差しに射抜かれ、鼓動がトクンと弾む。
「……室長、だけを?」
「そうだ。馬鹿な男など忘れてしまえ。俺を恋人だと思えばすぐだ」
 命令口調なのに限りなく甘い声色だった。まるで愛を囁かれているよう。
「室長が私の……恋人?」
 尊が深く頷く。
 たぶん言葉の綾で言ったに過ぎないだろうが、なんて贅沢な設定なのか。やり手でイケメン御曹司の尊が自分の恋人なんて、誰もが羨むポジションを束の間ひまりに与えてくれると言う。
「だから室長と呼ぶのもナシだ」
「それじゃもしかして……」
 名前で呼べと言うのだろうか。
「尊でいい」
「そんな、恐れ多いです」
 尊敬する上司を本物の恋人でもないのに名前で呼ぶなんてできない。
「これからする行為に比べたら大したことじゃないだろう?」
 言われてハッとした。
 ひまりはこれから、その恐れ多い尊に抱かれようとしているのだ。そんな一大事に比べたら、たしかに彼の言う通りである。
「……ですね」
 反論の余地はない。
「ひまりは聞き分けがいい子だな」
「ひ、ひ……」
 不意打ちで下の名前を呼ばれ、言葉が不自由になる。
 なんて破壊力だろうか。心臓をひと突きされたくらいの衝撃だった。
「大丈夫か?」
 尊がクスッと笑う。
「次はひまりの番だ」
 目が〝ほら〟と言っていた。お膳立てされて嫌だとは言えないし、大胆なお願いをしたひまりが拒むのもおかしいだろう。
「で、では……尊さん」
 言った途端、顔がカーッと熱くなる。恥ずかしくて彼から目を逸らしたため、すぐ目の前で尊が耳をかすかに赤らめたとは気づかなかった。
「それじゃ続けるぞ」
 言うなり尊が丸い膨らみをそっと揉み、わずかに芯を持った頂を舌で舐め上げる。
「ぁっ……! や、ンッ……」
 名前呼びのどさくさで、露わになっている胸の存在をすっかり忘れていた。
 両方を不規則に揉まれ、揺らされ、尖端に神経が集まっていく。まるで飴玉でも舐めるように舌先で転がされ、ピンと尖り堅くしこっているのが自分でもわかった。
 同時に下腹部に重くじれったい疼きがたまっていく。シーツの上でもがくようにして足をもぞもぞと動かしていたら、尊がウエストでひとまとめになっていたワンピースを脱がせにかかった。
 片手で胸を弄びながら、いとも簡単に足首から引き抜く。ひまりは、いよいよショーツ一枚だけになってしまった。
 心許なくてクロスさせた腿の間に尊の手が割り込んでくる。
「あ、あの、室長っ」
「〝室長〟?」
 咄嗟に肩書きで呼び、咎められる。尊はいたずらっぽく目を細めてひまりを軽く睨んだ。
「……尊さん」
「なにどうした」
「……なんでも、ないです」
 今さら恥じらう場面でもない。ひまりは足の力を抜いて、尊の手を迎え入れた。
 さわさわと探るように内腿に触れていた手が、不意にショーツ越しに割れ目を下から上まで撫でた。
「んんっ」
 気を持たせるようにゆっくりなのがいやらしい。
 ぴたりと張りついた布が意味するのはひとつ。そこが湿り気を帯びている証拠だ。
 尊が感慨深げにわずかな吐息を漏らしたのは、そのせいだろう。
 ショーツをずらし、彼の指が中に侵入する。
「あぁ……ンッ」
「っ……よく濡れてる。胸だけで気持ちよかった?」
 違うと言ったところで体の反応を見れば一目瞭然。ひまりは正直に「はい」と吐息交じりに頷いた。
「素直でよろしい」
 蜜海を泳ぐ指先が、どんどん大胆になっていく。わざとなのか、クチュクチュと音を立て、濡れ具合が嫌でもわかって堪らない。しかしその羞恥がかえってひまりの官能に火をつける。
 襞をかき分け、じわりじわりと指が侵入を果たしていく。今にもその奥に突き立てられるのではないかとドキドキするのは、早くそうしてほしいと期待しているからだろう。
 浅瀬を行き来していた指が一本から二本、三本に増え、そのうちの一本がいよいよ最も秘められた場所にぷつっと沈んだ。
「んん……っ」
 指がぐるりと膣壁を押し、ゆっくりと抽送がはじまる。溢れ出る蜜を掻きだすように指が我が物顔で膣内を占領してしまった。
 じりじりと募っていくもどかしさが、ひまりの呼吸を荒げていく。
「尊さ、ん……、それダメっ」
「ダメなもんか。こんなにタラタラ垂れてくるのに。あぁでも、これだけじゃ物足らないよな」
 上下する胸の尖りを舌で転がされ、秘園のそばでひっそりと息づいていた蕾をカリッと擦られた瞬間、鮮烈な刺激が体中を駆け抜けた。
「あ、やっ……んっ!」
 そのまま秘芽をすりつぶされ、下半身がビクビク震える。決して強くはない、やわらかな指の動きが気持ちいい。
 そうしながら指まで抜き差しされたらひとたまりもない。
「や、やめてっ、イッちゃうから」
 こんな淫らな姿を晒し、さらに絶頂まで迎えそうになるなんて。まだわずかに残る理性が、ひまりにブレーキをかけさせる。
「素直に感じてイッたらいい」
 抽送を繰り返しながら、こりこりにしこった秘珠を入念に擦り続ける。体の中心に愉悦が溜まり、今にも溢れそうになる。
 頭を振り振り、今にも爆ぜそうな快楽を必死に抑える。
「たけ、るさ……っ、いやっ、イク……」
「ほら、イけ。全部俺に委ねろっ」
 さらに動きの早くなる指がひまりをいよいよ追い詰める。二点を同時に攻められ、もはや制御不能。その波に乗る以外に道はなく、せり上がる快楽に体を預ける。
「尊さん、待って、ぁ……やっ」

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